JP3731459B2 - オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents

オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関し、詳しくは軟化剤のブリードが少なく、柔軟性、機械的強度、ゴム弾性に優れるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂とエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとを有機過酸化物の存在下で動的に熱処理して、後者のゴムを部分的に架橋させたオレフィン系熱可塑性エラストマーが、特開昭48−26838号公報等に開示されている。このような熱可塑性エラストマーはゴム的な軟質材料としての特性を示しつつ加硫工程が不要で、熱可塑性樹脂と同様の成形加工性を有しているので、工程の合理化やリサイクル性等の観点から注目され、自動車部品、家電用品、医療用機器部品、電線、雑貨等の分野で広く使用されている。
【0003】
ところで、従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、加硫ゴムに比し、柔軟性、機械的強度、ゴム弾性等の点で劣り、使用できる用途に限界がある。そこで、柔軟性を付与するため、鉱物油系軟化剤や有機過酸化物非架橋型の炭化水素系ゴム状物質、ゴム弾性を改良するための架橋助剤の併用による架橋度向上等の試みが種々行われてきた。
【0004】
しかしながら、仮に架橋度を高めてゴム弾性を改良したとしても、そのために柔軟性の低下、機械的強度の低下、或いは組成物表面の軟化剤のブリード等が起こり、物性バランスの優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を得るのは困難であった。
上記の問題点を解決するため、特公平7−103274号公報に記載されるような、100℃ムーニー粘度が170〜350であるオレフィン系共重合体ゴムを含む溶液に鉱物油系軟化剤を添加した後に脱溶媒して得られる油展オレフィン系共重合体ゴムとオレフィン系プラスチックとの混合物を部分架橋してなる組成物が提案されている。しかしながら、このような組成物であっても、機械的強度、ゴム弾性の改良は依然として不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、柔軟性、機械的強度、ゴム弾性に優れるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、オレフィン系共重合体ゴム(以下「成分(A)」と記す)と、その100重量部あたり5〜100重量部のオレフィン系樹脂(以下「成分(B)」と記す)とを用いてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を製造するに際し、複数の原料供給口を有する押出機を用いて、成分(A)の全量と、成分(B)の配合量の10〜90重量%とを含む混合物を、より上流側のホッパーから押出機に供給して、ラジカル発生剤(以下「成分(C)」と記す)の存在下で溶融混練することにより動的に熱処理した後、成分(B)の残量を上記の原料供給口より下流側の原料供給口から押出機に供給して溶融混練することを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、に存している。
【0007】
本発明の他の要旨は、成分(A)のオレフィン系共重合体ゴムがゲルパーミエイションクロマトグラフィーによるポリプロピレン換算の重量平均分子量が50万以上である上記の製造方法、成分(A)のオレフィン系共重合体ゴムが油展オレフィン系共重合体ゴム、特にその油展の程度が、オレフィン系共重合体ゴム100重量部当たり10〜200重量部の鉱物油系ゴム用軟化剤を含有するようなものを用いる上記の製造方法、成分(A)のオレフィン系共重合体ゴムが、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムである上記の製造方法、及び該エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムがエチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴム、中でもこのエチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴムが、エチレン含有量が50〜90重量%、非共役ジエン含有量が1〜30重量%のエチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴムである上記の製造方法、にも存している。
【0008】
本発明のもう一つの要旨は、成分(B)のオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン又はプロピレン−α−オレフィン共重合体である上述の製造方法、及び成分(C)のラジカル発生剤が有機過酸化物である上述の製造方法にも存している
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明で使用する各成分について説明し、その上で本発明の具体的方法について説明を加える。
(1)オレフィン系共重合体ゴム(成分(A))
本発明において用いられる成分(A)のオレフィン系共重合体ゴムとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、エチレン−ブテン−非共役ジエンゴム、プロピレン−ブタジエン共重合体ゴムなどの、オレフィンを主成分とする無定型ランダム共重合体の弾性体が例示できる。これらの中で、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムが好ましく、特にエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムが好ましい。このエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムの非共役ジエンとしてはジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が用いられ、特にエチリデンノルボルネンを用いると、得られる共重合体ゴムは適度な架橋構造を与えることができ好ましい。
【0010】
上記のような、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムの好ましい例としては、エチレン含有量が50〜90重量%、より好ましくは60〜80重量%、非共役ジエン含有量が1〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%のオレフィン系共重合体ゴムである。エチレン含有量が90重量%を超える場合は、得られる組成物の柔軟性が失われ、50重量%未満の場合は機械的性能が低下する傾向となる。非共役ジエン含有量が1重量%未満では得られる組成物の架橋度が上がらないためか機械的特性が不十分となり、一方30重量%を超えて多い場合は射出成形性が低下する傾向となる。
【0011】
この成分(A)のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリプロピレン換算の重量平均分子量は25万以上であるのが好ましく、更に好ましくは30万以上、特に好ましくは50万以上のものである。重量平均分子量が25万未満では機械的強度の改善が不十分となりやすい。また、通常この成分(A)の重量平均分子量の上限は75万である。
【0012】
なお、本発明においては、得られる組成物の機械的強度が失われない範囲、例えば成分(A)、成分(B)の合計量を100重量部としたときに、200重量部以下の量で、分子量5万以上、25万未満のオレフィン系共重合体ゴムを併用することができる。
(2)オレフィン系樹脂(成分(B))
本発明において用いられるオレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系樹脂を挙げることができる。これらのオレフィン系の樹脂の中でも、プロピレン系樹脂が好適に用いられ、その具体例としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂等が例示できる。
【0013】
これらのプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)は通常0.05〜200g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分である。メルトフローレートが上記範囲未満のものを用いた場合は、得られる組成物の成形性が悪化して外観に不良が生じやすく、上記範囲を超えるものを用いた場合は、得られる組成物の機械的特性、特に引張破壊強度が低下する傾向となる。
【0014】
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を製造するにあたって、オレフィン系共重合体ゴム(成分(A))100重量部あたり5〜100重量部のオレフィン系樹脂(成分(B))を使用する。この使用量が5重量部未満では、組成物の流動性が低下して成形品の外観不良を招き、100重量部を超えて多い場合は、組成物の柔軟性が失われる。
(3)ラジカル発生剤(成分(C))
本発明において用いられるラジカル発生剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物やジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物が例示できるが、中でも有機過酸化物が好ましい。
【0015】
このような有機過酸化物としては、芳香族系もしくは脂肪族系のいずれも使用でき、単一の過酸化物でも2種以上の過酸化物の混合物でもよい。具体的には、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類、アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が用いられる。この中では、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
【0016】
このラジカル発生剤の添加量は動的に熱処理される成分(A)と成分(B)との合計量(即ち、オレフィン系共重合体ゴム(成分(A))とオレフィン系樹脂(成分(B))の配合量の10〜90重量%に相当するものとの合計量)に対して0.05〜3.0重量%、好ましくは0.07〜2.0重量%の範囲とするのが好ましい。0.05重量%未満では架橋反応の効果が小さく、3.0重量%を越えると架橋反応の制御が困難になりやすい。
(4)鉱物油系ゴム用軟化剤
本発明においては、成分(A)として用いるオレフィン系共重合体ゴムの100重量部当たり10〜200重量部の鉱物油系ゴム用軟化剤を用いると、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーを軟化させ、柔軟性と弾性を増加させるとともに加工性、流動性が向上するので好ましい。
【0017】
特に、この鉱物油系ゴム用軟化剤を用いてエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムを予め含浸させることにより油展しておくと、効果がより大きくなり好ましい。
このような鉱物油系ゴム用軟化剤は、一般に芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素、及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素量に対し、芳香族系炭化水素の炭素の割合が35重量%以上のものは芳香族系鉱物油、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のものはナフテン系鉱物油、またパラフィン系炭化水素の炭素の割合が50重量%以上のものはパラフィン系鉱物油と呼ばれるが、本発明においては、ナフテン系またはパラフィン系の鉱物油が好ましい。
【0018】
これらの鉱物油系ゴム用軟化剤としては、40℃動粘度が20〜800cst(センチストークス)、好ましくは、50〜600cstで、流動度が0〜−40℃、好ましくは0〜−30℃、引火点(クリーブランド・オープンカップ法:COC)が200〜400℃、好ましくは250〜350℃のものが好適に使用できる。
【0019】
本発明においては、この鉱物油系軟化剤は、予めオレフィン系共重合体ゴムを油展して用いる以外に、本組成物の性能を損なわない範囲で、例えば成分(A)と成分(B)の合計量に対して150重量%以下の範囲で、追加して配合して用いることもできる。この量を超えて配合した場合には、軟化剤のブリードが問題となることがある。
(5)架橋助剤
本発明においては架橋助剤を用いることもできる。主な架橋助剤としては、例えば、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン等の過酸化物用助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0020】
架橋助剤の添加量は、動的に熱処理される成分(A)と成分(B)との合計量に対して、0.01〜4.0重量%の範囲で用いればよい。好ましい使用量は0.05〜2.0重量%である。0.01重量%未満では架橋助剤の効果があまり現れず、4重量%を超えて配合しても、その添加量に見合う効果の増加は得られず、経済的に有利でない。
(6)その他の成分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、上記必須成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて他の任意の配合成分を配合することができる。
【0021】
任意成分としては、例えば、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等の各種添加物、上記必須成分以外の熱可塑性樹脂、上記必須成分以外のエラストマー、フィラー等を挙げることができ、これらの中から任意のものを単独でまたは併用して用いることができる。
【0022】
ここで、必須成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等を挙げることができる。
【0023】
また、任意のエラストマーとしては、例えばスチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系エラストマー、ポリブタジエン等を挙げることができる。
更に、充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、金属石鹸、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。
(7)熱可塑性エラストマー組成物の製造法
(7−1)エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの油展
前項(4)で述べた通り、本発明においては、成分(A)のオレフィン系共重合体ゴムを予め油展しておくのが好ましい。このときの、鉱物油系軟化剤の使用量は、オレフィン系共重合体ゴム100重量部あたり鉱物油系軟化剤を10〜200重量部、好ましくは20〜180重量部、更に好ましくは30〜150重量部である。この使用量が10重量部未満では得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の流動性が低下し、特に押出加工性と射出成形性が損なわれる。一方、200重量部を超えて多く用いた場合は、加工性が悪くなり、更に製品の物性などの性能が低下するので好ましくない。
【0024】
ポリプロピレン換算の重量平均分子量が25万以上のEPDMを用い、かつ鉱物油系軟化剤として上記の範囲の量を配合すると、柔軟性の確保と流動性の向上による加工性の改良、及び機械的特性の改良を同時に満足したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。また、鉱物油系軟化剤を配合することにより、架橋時の発熱が抑制されるため、押出成形したときにブツの発生が少なく表面の平滑な物を得ることができる。
【0025】
オレフィン系共重合体ゴムの油展方法は公知の方法を用いることができる。例えば、ミキシングロールやバンバリミキサーのような装置を用い、オレフィン系共重合体ゴムと鉱物油系軟化剤をを機械的に混練して油展する方法、或いは、オレフィン系共重合体ゴム溶液に所定量の鉱物油系軟化剤を添加し、その後スチームストリッピング等の方法により脱溶媒して油展ゴムを得る方法などがある。
【0026】
好ましい油展方法としてはオレフィン系共重合体ゴムの溶液を用いる方法であり、この溶液は重合で得られるオレフィン系共重合体ゴムの溶液を用いるのが、操作が容易となり好ましい。
(7−2)熱可塑性エラストマー組成物の製造
本発明方法においては、オレフィン系共重合体ゴム(成分(A))と、その100重量部あたり5〜100重量部のオレフィン系樹脂(成分(B))とを用いてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を製造するに際し、成分(A)の全量と、成分(B)の配合量の10〜90重量%とを含む混合物を、ラジカル発生剤(成分(C))と必要に応じて用いられる架橋助剤の存在下で動的に熱処理した後、成分(B)の残量を混合する。
【0027】
この動的な熱処理は、溶融混練によって行うのが好ましく、そのための混合混練装置としては、例えば非開放型バンバリーミキサー、ミキシングロール、ニーダー、二軸押出機等が用いられる。中でも二軸押出機を用いるのが好ましい。
この二軸押出機を用いた製造方法の好ましい態様としては、複数の原料供給口を有する二軸押出機のより上流側の原料供給口(ホッパー)から成分(A)、成分(B)の一部、及びラジカル発生剤を含む混合物をシリンダー内に供給しながら溶融混練し、成分(B)の残量を該ホッパーと別個のより下流側に位置する原料供給口(ホッパー)からシリンダー内に供給して更に熱処理し、部分的に架橋された熱可塑性エラストマーを製造する方法である。
【0028】
このように、成分(A)、成分(B)の一部、及びラジカル発生剤を含む混合物を動的に熱処理して部分架橋させた後に、成分(B)の残りを加えることにより、後で加えられる成分(B)がラジカルによる分子鎖の切断を受けにくいため、組成物として機械的強度が高くなる。また、架橋時に成分(B)の相対量が減少することにより、発生したラジカルが効果的に成分(A)に作用して架橋度が高くなり、ゴム弾性が良好になる。
【0029】
成分(A)と同時に初期仕込される成分(B)成分の割合は、成分(B)の配合量の10〜90重量%に相当する量である。より好ましくは20〜80重量%である。成分(B)の初期仕込割合が90重量%を超える場合は、得られる組成物の機械的強度とゴム弾性の改良が不十分となり、一方、この量が10重量%未満では押出成形品の外観が悪化する傾向にある。
【0030】
熱処理の温度は、通常100℃〜300℃で、時間は通常0.1分〜30分の範囲である。鉱物油系ゴム用軟化剤等の副原料は本組成物の性能を損なわない範囲で、本発明の組成物を製造中のいかなる段階において配合しても構わない。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、通常熱可塑性エラストマーに用いられる成形方法、例えば、射出成形法、押出成形法、中空成形法、圧縮成形法等によって、又はその後の積層成形、熱成形等の二次加工によって、単独で又は他の材料との積層体として成形体とされる。そして、自動車部品(ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、エアダクトホース、各種パッキン類等)、土木・建材部品(止水材、目地材、窓枠等)、スポーツ用品(ゴルフクラブやテニスラケットのグリップ類)、工業用部品(ホースチューブ、ガスケット等)、家電部品(ホース、パッキン類)、医療用機器部品、電線、及び雑貨等の広汎な分野での資材として用いられる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
なお、以下の実施例・比較例で使用した原材料及び評価方法は以下の通りである。
<原材料>
(A)成分
A;油展エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン三元共重合体ゴム(エチレン含有量66重量%、エチリデンノルボルネン含量4.5重量%)、ポリプロピレン(PP)換算の重量平均分子量547,000であり、共重合体ゴム100重量部あたり100重量部のパラフィン系ゴム用軟化剤(後記)を含有する。
(B)成分
B−1;ポリプロピレン単独重合体樹脂(メルトフローレート(230℃、21.2N荷重)0.5g/10分)
B−2;プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(エチレン含有量3.1重量%、メルトフローレート(230℃、21.2N荷重)0.7g/10分)
(C)成分(有機過酸化物)
POX;2、5−メチル−2、5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(1分間半減期温度179℃)
架橋助剤
DVB;ジビニルベンゼン
鉱物油系軟化剤
パラフィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘度382cSt(センチストークス)、流動点−15℃、引火点300℃、出光興産製「PW380」)
<評価方法>
以下の(1)〜(3)の測定には、インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)にて、射出圧力50MPa、シリンダ温度220℃、金型温度40℃の条件で射出成形して得られたシート(横120mm、縦80mm、肉厚2mm)を使用した。
(1)硬度:JIS K6253準拠(JIS−A)
(2)引張破壊強さ:JIS K6251準拠(JIS−3号ダンベル、引張速度500mm/min)
(3)圧縮永久歪み:JIS K6262準拠(70℃、22時間,25%圧縮)
<実施例/比較例>
[実施例1]
成分(A)と、その100重量部あたり成分(B−1)25重量部を用いてエラストマー組成物を製造する際に、成分(B−1)の一部(50重量%)を成分(A)と混合し、得られた混合物に対して0.33重量%のPOX及びDVB0.44重量%とを配合した後、ヘンシェルミキサーにて1分間ブレンドした。このブレンド物を、2個の原料供給口を有する同方向2軸押出機(神戸製鋼製「KTX44」、L/D=41、シリンダブロック数=11)の第1供給口へ27kg/hの速度で投入し、160℃で溶融混練することにより動的に熱処理し、同時に押出機シリンダーの途中に設けられた第2の供給口から、残りの成分(B−1)(成分(B−1)の添加量の50重量%)を3kg/hの速度で供給して混練を行った後、ペレット化してオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
成分(B−1)を成分(B−2)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行ってオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
成分(A)に予め混合して動的に熱処理を行う成分(B−1)の量を、成分(B−1)の使用量の25重量%とし、後添加する成分(B−1)の量を75重量%としたこと以外は、実施例1と同様に操作を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
成分(A)に予め混合して動的に熱処理を行う成分(B−1)の量を、成分(B−1)の使用量の75重量%とし、後添加する成分(B−1)の量を25重量%としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
成分(B−1)の使用量の全量を成分(A)と混合して、同方向2軸押出機の第1供給口へ30kg/hの速度で投入して動的に熱処理を行い、第2供給口からのフィードは行わなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0003731459
【0033】
*:添加量は動的な熱処理の対象となっている混合物量に対する重量%を示す。
<結果の評価>
本発明方法により製造した熱可塑性エラストマー組成物は、実施例1、3、4より明らかなように、同じ組成であるが成分(B)を一括混合して熱処理を行った、比較例1に比べて、ほぼ同様の硬度を示しながら、引張破壊強さもゴム弾性(圧縮永久歪み)の両者とも改良されていることが分かる。
【0034】
また成分(B)の樹脂を変更した実施例2でも良好な結果を与えている。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、引張り強度や圧縮永久歪み等の機械的特性を改良したオレフィン系熱可塑性エラストマーの製造方法が提供される。

Claims (9)

  1. オレフィン系共重合体ゴム(以下「成分(A)」と記す)と、その100重量部あたり5〜100重量部のオレフィン系樹脂(以下「成分(B)」と記す)とを用いてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を製造するに際し、複数の原料供給口を有する押出機を用いて、成分(A)の全量と、成分(B)の配合量の10〜90重量%とを含む混合物を、より上流側のホッパーから押出機に供給して、ラジカル発生剤(以下「成分(C)」と記す)の存在下で溶融混練することにより動的に熱処理した後、成分(B)の残量を上記の原料供給口より下流側の原料供給口から押出機に供給して溶融混練することを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  2. 成分(A)のオレフィン系共重合体ゴムがゲルパーミエイションクロマトグラフィーによるポリプロピレン換算の重量平均分子量が50万以上である請求項1に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  3. 成分(A)のオレフィン系共重合体ゴムが油展オレフィン系共重合体ゴムである請求項1又は2に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  4. 成分(A)のオレフィン系共重合体ゴムが、その100重量部当たり10〜200重量部の鉱物油系ゴム用軟化剤を含有する油展オレフィン系共重合体ゴムである請求項3に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  5. 成分(A)のオレフィン系共重合体ゴムが、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムである請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  6. エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムがエチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴムである請求項5に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  7. エチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴムが、エチレン含有量が50〜90重量%、非共役ジエン含有量が1〜30重量%のエチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴムである請求項6に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  8. 成分(B)のオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン又はプロピレン−α−オレフィン共重合体である請求項1〜7のいずれか1項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  9. 成分(C)のラジカル発生剤が有機過酸化物である請求項1〜8のいずれか1項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
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