JP3728000B2 - 排ガスの脱硫方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、石油や石炭等の燃焼排ガスのような硫黄酸化物を含有する排ガスの脱硫方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の排ガスの湿式脱硫方法の代表的なものとして、石灰石膏法が知られている。この方法は、脱硫塔へ炭酸カルシウムや水酸化カルシウムを吸収剤として直接加えるため、処理液中にカルシウムイオンが溶解している。そのため、これが脱硫塔内で硫黄酸化物等と反応すると、二水石膏、二水亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等の析出物からなるスケールが脱硫塔や配管内で生じるため、円滑な運転の維持が困難であるとともにその除去に大変手間がかかった。また、水酸化カルシウムは本来二分子の亜硫酸ガスを吸収可能な脱硫剤であるが、一分子の亜硫酸ガスを吸収した脱硫剤である亜硫酸カルシウムは、同様な脱硫剤である亜硫酸マグネシウムと比較すると大幅に溶解度が低いため、処理液の硫黄酸化物の吸収効率が低く、脱硫塔や循環ポンプ等設備の大型化を招き、経済性の面でも問題があった。
【0003】
一方、脱硫塔での硫黄酸化物の吸収を塩基性ナトリウム、アンモニアあるいは塩基性マグネシウム等の塩基性脱硫剤を使用して行い、脱硫塔外で生石灰を用いて複分解を行なって脱硫剤を再生するダブルアルカリ法も知られている。ダブルアルカリ法はスケールの発生が生じにくく、特に塩基性マグネシウムを脱硫剤として用いる方法は、硫黄酸化物の吸収効率もよく、生成した亜硫酸マグネシウムの溶解度が大きく、吸収塔でのスケールの発生の少ない方法の一つである。しかし、塩基性脱硫剤を用いるこの方法では、複分解工程で二水石膏と水酸化マグネシウムという二種類の結晶が析出し、その分離が容易ではないため、装置が複雑になるという問題点があった。
【0004】
また、石灰石膏法とダブルアルカリ法との折衷的な方法として川崎マグネシウム石膏法が知られている(実用公害防止技術集覧(1)、化学工業社出版、p.14)。この方法は脱硫剤に水酸化マグネシウムと水酸化カルシウムの混合スラリーを用いて脱硫工程で硫黄酸化物を吸収させ、次いでこの処理液を硫酸によりpHを2.0−4.0に調整しつつ空気等により酸化することにより硫酸マグネシウムと二水石膏を生成させ、沈降分離工程と遠心分離器により二水石膏と硫酸マグネシウム水溶液とに分離する。分離された硫酸マグネシウム水溶液は水酸化マグネシウムと水酸化カルシウムの混合スラリーが加えられる脱硫剤再生工程に循環供給され、ここで混合スラリー中の水酸化カルシウムの一部と複分解反応することにより水酸化マグネシウムと二水石膏が生成し、これと残部の水酸化カルシウムを含む混合液は脱硫剤として吸収工程へ循環供給される。しかし、この方法は脱硫塔内に水酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムと二水石膏とを導く点では石灰石膏法と同じであり、脱硫塔内や循環ポンプ・配管へのスケール付着が起こりやすいという問題点は解消していない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、処理液の硫黄酸化物の吸収効率が高く、簡略かつ小型の設備で実施可能な排ガスの脱硫方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、脱硫塔内や循環ポンプ・配管へのスケールの付着や閉塞を阻止し、円滑な運転が維持できる排ガスの脱硫方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、マグネシウム系脱硫剤を使用するダブルアルカリ法におけるプロセスの簡略化につき鋭意検討した結果、従来は複分解工程で得られた二水石膏と水酸化マグネシウムを分離して、水酸化マグネシウムスラリーだけを脱硫塔へ戻していたが、脱硫塔へ戻す処理液中に水酸化カルシウムが含まれないようにすれば、二水石膏と水酸化マグネシウムを分離せずに混合スラリーとして脱硫塔へ戻しても脱硫塔内でスケールが発生せず、また脱硫工程での処理液のpHを基準にして複分解工程で塩基性カルシウム化合物を添加すれば、負荷変動があっても複分解工程以降に大容量の緩衝槽を設けずに処理液を直接脱硫工程へ戻しても安定した運転が可能であることを見い出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、硫黄酸化物を含む排ガスをマグネシウム系脱硫剤を含む処理液と接触させ排ガス中に含まれる硫黄酸化物を処理液中に吸収させる脱硫工程と、脱硫工程処理液を酸素を含むガスと接触させ処理液中のマグネシウム塩を硫酸マグネシウムに変換する酸化工程と、酸化工程処理液に塩基性カルシウム化合物を添加し、処理液中の硫酸マグネシウムを水酸化マグネシウムと二水石膏とに分解させる複分解工程とを有し、複分解工程で得られた混合スラリーを脱硫工程に戻すとともに、処理液から二水石膏を系外に取り出す脱硫方法において、複分解工程へ供給する酸化工程処理液の流量を硫黄酸化物の吸収量から算出される理論流量より大きくし、かつ脱硫工程での処理液のpHが一定値を保つように複分解工程で塩基性カルシウム化合物を添加することを特徴とする排ガスの脱硫方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の排ガスの脱硫方法について説明する。
【0010】
本発明の排ガスの脱硫方法においては、硫黄酸化物を含む排ガスは、脱硫工程においてマグネシウム系脱硫剤を主成分として含む水溶液からなる処理液と接触して、硫黄酸化物が処理液に吸収される。
【0011】
複分解工程から脱硫工程へ戻される処理液は、水酸化マグネシウムと二水石膏と微量の亜硫酸カルシウムとを含み、少量の硫酸マグネシウムが溶解した混合スラリーであるが、処理液中の水酸化マグネシウムは脱硫剤として消費されるので、脱硫工程では水酸化マグネシウム微粒子は消失している。
【0012】
脱硫工程に適した装置としては、これら気液を効率良く接触させるような構造を持つ塔からなり、脱硫剤を含む水溶液をノズルで噴霧し、これに対して向流または並流でガスを流す型式のものが挙げられる。処理液は二水石膏粗粒子を含んでいるので、ノズルは詰りが生じないようなものであることが必要とされる。なお、気液接触の効率向上のために充填物や棚段等を内部に設置してもよい。
【0013】
脱硫工程を出る処理液(以下、「脱硫工程処理液」と略)は、マグネシウム系脱硫剤水溶液と硫黄酸化物が反応して生成した亜硫酸マグネシウム、亜硫酸水素マグネシウムおよび硫酸マグネシウムが混在した組成の水溶液であり、二水石膏が懸濁物として含まれている。
【0014】
脱硫工程では、通常、処理液の温度は50〜60℃とされる。また、脱硫工程では、亜硫酸マグネシウムの水への溶解度が低いので、その析出を防止するため、空気等を吹き込み酸化して水への溶解度の高い硫酸マグネシウムとし、亜硫酸マグネシウムの濃度をその溶解度以下に制御するのが一般的である。空気等の吹き込みをせずに、脱硫工程での亜硫酸マグネシウム濃度をその溶解度以下に制御する方法として、後述の酸化工程を出る処理液の一部を脱硫工程に循環し、脱硫工程での亜硫酸マグネシウム濃度を希釈する方法も知られている。なお、脱硫工程における処理液のpHについては、5.0〜6.2とされるが、複分解工程で添加する塩基性カルシウム化合物との関係については後述する。
【0015】
本発明の方法においては、処理液中に含まれる二水石膏の系外への取り出しは、脱硫工程処理液あるいは後述する酸化工程処理液から二水石膏を分離することにより行われる。これら処理液では、二水石膏以外の固型分を殆ど含まないので、容易に分離できる。
【0016】
脱硫工程処理液からの二水石膏の分離除去は、脱硫工程処理液を脱硫塔から別途取り出して実施して残液を脱硫塔へ戻してもよいし、あるいは次の酸化工程へ導く途中の脱硫工程処理液に対して実施してもよい。二水石膏の分離除去には、湿式サイクロン、遠心沈降器、ドルシックナー等の湿式分級器が使用でき、特に湿式サイクロンが好ましい。分離された二水石膏は系外へ取り出され、セメント用や石膏ボード用等に広く用いることができる。
【0017】
脱硫工程処理液は、次いで酸化工程へ導かれる。酸化工程では処理液に対して酸素を含むガスを接触させ、処理液中の亜硫酸マグネシウムや亜硫酸水素マグネシウムが酸化されて硫酸マグネシウムおよび硫酸を生成する。通常、処理液中の硫酸マグネシウムの濃度は3〜10重量%であり、pHは1〜3であるが、装置の耐蝕性のために中和してもよい。酸化工程では、通常槽型反応器が用いられ、処理液は攪拌混合してもよいし、しなくてもよい。
【0018】
酸化工程で供給される酸素を含むガス中の酸素以外のガス成分は、脱硫工程処理液に対して不活性なものであればその種類は問わない。酸素を含むガスとしては、通常空気が用いられる。
【0019】
酸化工程を出た処理液(以下、「酸化工程処理液」と略)は、次いで複分解工程へ導かれる。本発明の方法では、複分解工程へ供給するこの処理液の流量を、吸収工程における処理液の硫黄酸化物の吸収量からこれを全て二水石膏へ変換するのに必要とされる最小量の処理液の流量として算出される理論流量より大きくする。すなわち、再生される硫酸マグネシウムの量より過剰な量の硫酸マグネシウムを含む酸化工程処理液を複分解工程へ供給する。理論流量に対するこの処理液の供給流量の割合として表わされる過剰率は、1.07〜10.0の範囲が好ましく、1.2〜5.0の範囲がより好ましい。過剰率が1.07未満の場合には、負荷量の変動があった場合に複分解工程での未反応水酸化カルシウムが脱硫工程へ流出するおそれがあり、その場合には脱硫塔内塔でスケールが発生するおそれがある。一方、過剰率が10を超えると、複分解槽内での硫酸カルシウムの濃度が薄くなるので、二水石膏の生長が遅くなるとともに、循環する処理液の流量がそれだけ増加するので、複分解槽に大型のものが必要となるため好ましくない。
【0020】
また、亜硫酸ガス等の硫黄酸化物の発生量が変動した場合には、上述した過剰率を一定に保ったまま硫黄酸化物の量に連動させて処理液の流量を調整することが好ましい。なお、ここでは酸化工程処理液の流量の調整について説明したが、脱硫工程処理液が一定の割合で酸化工程処理液として複分解工程へ送液されるのであれば、脱硫工程処理液の流量を対象として過剰率を上述のようにして調整しても同じ結果が得られる。
【0021】
本発明の脱硫方法は、上述したようにして供給される硫酸マグネシウムと硫酸とを主成分とする酸化工程処理液に対して、複分解工程では塩基性カルシウム化合物を添加して攪拌混合する。ここで硫酸が塩基性カルシウム化合物と反応して二水石膏が生成するとともに、硫酸マグネシウムと塩基性カルシウムが反応して二水石膏と水酸化マグネシウムが生成する。
【0022】
複分解工程では、通常槽型反応器が用いられ、反応温度は高い程好ましいが、操作・運転上からは脱硫工程と同程度の温度でよい。滞留時間は4〜5時間以上とするのが好ましく、これによって生成する二水石膏は、一般に平均粒子径(長径)が70μm以上、通常は200μmまでの粗大粒子に成長する。一方、水酸化マグネシウムは1μm以下、通常0.3〜1μm程度の微小粒子であり、これらが粒子間で凝集してみかけ上10〜20μm程度の大きさとなる。
【0023】
複分解工程で使用する塩基性カルシウム化合物としては、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウムまたはこれらの混合物が好ましく、反応槽に供給する形状としては粉末でもよいが、これらの水スラリーが作業性の点で最も好ましい。
【0024】
本発明の方法では、この複分解工程での塩基性カルシウム化合物の添加を、脱硫工程での処理液のpHが所定の一定値、例えば5.9を保つように制御して実施する。
【0025】
従来のダブルアルカリ法における複分解工程での塩基性カルシウム化合物の添加は、硫酸マグネシウムの複分解反応が完結するように、複分解槽のpHに基づいて実施されていた。しかし、複分解工程において過剰に供給された硫酸マグネシウムを目標とする反応率、換言すれば脱硫工程での処理液の硫黄酸化物の吸収量に見合った量だけ反応させるという調整を複分解槽でのpHに基づいて実施することはできない。これは、水酸化マグネシウムの溶解度が溶存硫酸マグネシウムの濃度、液温等により微妙に変化するためである。
【0026】
排ガス脱硫設備では、ボイラーの稼動状況により負荷が変動する場合があり、夜間には日中の1/3程度に負荷が低下することがある。脱硫工程、酸化工程、複分解工程の処理液の滞留時間は、通常それぞれ2〜3時間、2〜3時間、5〜7時間のようにかなり長い。このため、従来のようにこれら各工程での処理を独立的に取り扱ったのでは、脱硫工程へ混合スラリーを戻す前に大容量の緩衝槽(貯槽)がなければ、負荷変動があった場合に、その時点における脱硫工程での水酸化マグネシウムの消費量とは無関係に、10〜14時間前の水酸化マグネシウムの消費量に対応する量の混合スラリーが複分解槽から送液されてくるので、脱硫工程のpHをコントロールすることは困難である。ところが、複分解槽への塩基性カルシウム化合物の添加量を上述のようにして調整・制御すれば、脱硫工程へ戻される混合スラリーの流量だけでなく水酸化マグネシウムの濃度も変化するので、大きな緩衝槽を配設することなく脱硫工程での処理液のpHを一定に保つことができる。また、複分解工程へ供給される処理液中には複分解反応させる量よりも多量の硫酸マグネシウムが溶解しているので、このような制御によって複分解槽で塩基性カルシウム化合物が一時的に多少余分に加えられてもpHが上昇し過ぎることはない。
【0027】
本発明の方法では、複分解工程で処理液中の硫酸マグネシウムが100%反応しないため、系内のいずれにある処理液を系外へブローしても硫酸マグネシウムが同伴され、その分だけマグネシウム損失となり、系内の処理液の硫酸マグネシウム濃度は徐々に薄くなる。そのため、処理液の塩濃度を検知して水酸化マグネシウムを系内に補給してやる必要がある。本発明の方法において、最も固型分の濃度が低く、かつ溶解成分としての硫酸マグネシウムの純度が最も高いのは、酸化工程処理液である。したがって、酸化工程処理液の密度を測定して、その測定値に基いて水酸化マグネシウムスラリーを補給してやるのが適当である。
【0028】
本発明の脱硫方法においては、種々の変形が可能である。例えば、酸化工程処理液の一部を脱硫工程(脱硫塔)に戻してもよい。脱硫塔に酸化工程処理液を加えると、脱硫塔内の処理液中の硫酸マグネシウムの割合が増加し、亜硫酸塩の割合が減少することになり、亜硫酸マグネシウムの析出を生じにくくすることができる。また、本発明の脱硫方法は、硫黄酸化物の他に塩化水素等をも含有する排ガスについても適用することが可能である。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の排ガスの脱硫方法を図面を参照しつつ実施例に従い説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1
本実施例は、重油だきボイラーの排ガスの脱硫処理の例であり、図1にこのプロセスの概要を示した。
【0030】
マグネシウム系脱硫剤が溶解し、二水石膏粗粒子を懸濁物として含む処理液を、脱硫塔1の上方から500t/hrでシャワー状に流下させ、下方より導入した硫黄酸化物を含有する排ガスG1と気液接触させ、硫黄酸化物は亜硫酸マグネシウム、亜硫酸水素マグネシウム等として処理液中に吸収・固定し、硫黄酸化物が除去された排ガスG2を上方より塔外へ排出した。
【0031】
脱硫塔に供給された排ガスは、高温のため工水をノズルで噴霧し冷却した。最大負荷時の排ガス流量は105 wetNm3 /hrで、SO2 濃度は2000ppmであった。
【0032】
脱硫塔1の底部に流下した硫黄酸化物を吸収した脱硫液は、水酸化マグネシウムスラリー供給タンク7より新たに供給された処理液とともにポンプP1と配管L1を介して塔上部へ送り流下させ、この繰り返しによって脱硫塔1内を連続的に循環させた。塔底には、亜硫酸マグネシウムの析出を防止するために、空気を吹き込んだ。また、配管L1から一部の処理液を65t/hrで石膏分離機2へ導き、処理液中に懸濁していた二水石膏を分離して1.4t/hrで系外に排出し、残液は脱硫塔へ戻した。なお、処理液中の二水石膏の濃度は約2%であった。脱硫塔内の処理液の塩濃度は、全硫黄分を硫酸マグネシウム換算で表わすと7.5重量%で、そのうち亜硫酸マグネシウムと亜硫酸水素マグネシウムの合計濃度は硫酸マグネシウム換算で1.5重量%であった。排ガスG2のSO2 濃度は100ppmで脱硫率は95%であった。
【0033】
脱硫工程処理液をポンプP2と配管L2により脱硫塔から酸化槽3へ供給し、空気を曝気して酸化して硫酸マグネシウム7.5重量%と少量の硫酸の水溶液とした。この酸化工程処理液を配管L3によって、理論流量からの過剰率を3.0として36t/hrで複分解槽4へ供給した。複分解槽4には、水酸化カルシウム供給タンク5から配管L4により30重量%の水酸化カルシウムの水スラリーを、脱硫塔内の処理液のpHが5.9となるように制御して加え、攪拌機により攪拌混合しながら硫酸マグネシウムおよび硫酸と水酸化カルシウムとの反応を行わせ、二水石膏と水酸化マグネシウムの固体粒子を生成した。反応温度は50℃であった。
【0034】
得られた二水石膏および水酸化マグネシウムの固体粒子を含み、未反応の硫酸マグネシウムを経時平均的には5.0重量%の濃度で溶解した水スラリーは、配管L7を介して脱硫塔1に循環供給した。
【0035】
この脱硫塔に供給される排ガスは、夜間にはSO2 濃度は2000ppmのままであったが、排ガス流量が4×104 wetNm3 /hrに低下した。しかし、複分解槽での二水石膏の生成は順調であり、また脱硫塔内の処理液のpHも5.9を保つことができた。
【0036】
【発明の効果】
本発明の排ガスの脱硫方法により、マグネシウム系脱硫剤を用いるダブルアルカリ法の脱硫プロセスが、二種類の固体粒子を分別することなく、簡略かつ小型の設備で実施可能となった。二水石膏が処理液とともに系内を循環するが、これは不活性なSSとして扱えばよく、脱硫塔や配管等にスケールが付着することはなく、安定運転が維持され、効率の良い排ガス脱硫が実施できた。また、複分解槽へ供給される処理液の流量はやや増加するものの、大容量の緩衝槽を設けることなく亜硫酸ガスの負荷変動に対して安定した運転が継続できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱硫方法に用いた装置の一つの構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 脱硫塔
2 石膏分離機
3 酸化槽
4 複分解槽
5 水酸化カルシウム供給タンク
6 水酸化マグネシウムスラリー補給タンク
7 脱水機
G1 脱硫前排ガス
G2 脱硫後排ガス
P ポンプ
L 配管
Claims (1)
- 硫黄酸化物を含む排ガスをマグネシウム系脱硫剤を含む処理液と接触させ排ガス中に含まれる硫黄酸化物を処理液中に吸収させる脱硫工程と、脱硫工程処理液を酸素を含むガスと接触させ処理液中のマグネシウム塩を硫酸マグネシウムに変換する酸化工程と、酸化工程処理液に塩基性カルシウム化合物を添加し、処理液中の硫酸マグネシウムを水酸化マグネシウムと二水石膏とに分解させる複分解工程とを有し、複分解工程で得られた混合スラリーを脱硫工程に戻すとともに、処理液から二水石膏を系外に取り出す脱硫方法において、複分解工程へ供給する酸化工程処理液の流量を硫黄酸化物の吸収量から算出される理論流量より大きくし、かつ脱硫工程での処理液のpHが一定値を保つように複分解工程で塩基性カルシウム化合物を添加することを特徴とする排ガスの脱硫方法。
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