JPH08206451A - 水酸化マグネシウムの製造及び脱硫方法 - Google Patents

水酸化マグネシウムの製造及び脱硫方法

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JPH08206451A
JPH08206451A JP7234541A JP23454195A JPH08206451A JP H08206451 A JPH08206451 A JP H08206451A JP 7234541 A JP7234541 A JP 7234541A JP 23454195 A JP23454195 A JP 23454195A JP H08206451 A JPH08206451 A JP H08206451A
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magnesium
slurry
magnesium hydroxide
desulfurization
gypsum
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JP7234541A
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English (en)
Inventor
Shigeo Iiyama
繁生 飯山
Kozo Osaki
功三 大崎
Kenichi Nakagawa
健一 中川
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Subaru Corp
Toyo Engineering Corp
Original Assignee
Toyo Engineering Corp
Fuji Jukogyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排ガス中の硫黄酸化物をMg系脱硫剤を含む
液で吸収除去する脱硫方法において、濃縮Mg(OH)
2スラリーを製造し、かつ脱硫剤の利用率が向上し、脱
硫装置の安定運転が維持できる方法を提供する。 【解決手段】 脱硫処理液を酸素を含むガスで酸化し、
その液にドロマイトを焼成・消化して得た塩基性化合物
を加えて複分解し、複分解後の液を湿式分級器で分離
し、Mg(OH)2スラリーのうち脱硫に必要な量を脱
硫塔に戻し、残量は濃縮分離して系外に取り出し、二水
石膏スラリーは酸化して随伴するMg(OH)2をMg
SO4に変換した後二水石膏は沈降分離して石膏として
系外に取り出し、石膏分離後の上澄み液は前記脱硫処理
液の酸化後の液とともに複分解処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、マグネシウム系
脱硫剤等に利用され、あるいは酸性廃液の中和等に利用
される水酸化マグネシウムスラリーの製造方法に関する
ものである。また同時に、重油、石炭等の燃焼排ガス等
の硫黄酸化物を含有する各種排ガスの脱硫方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ドロマイトはCaMg(CO32でMg
CO3が約40〜60モル%含むものであり、石灰岩が
高マグネシウム海域に存在した場合の海水中のマグネシ
ウムや、陸地でもマグネシウムを含む地下水の浸透によ
り石灰岩中のカルシウムイオンがマグネシウムイオンに
より徐徐に置換されて生成したといわれており、石灰岩
に伴って層状或いはレンズ状をなして大量に存在してい
る。
【0003】しかし、石灰石はセメント・鉄鋼・土建・
化学工業等の分野で大量に利用されているが、ドロマイ
トは石灰石重量の1/40〜1/30程度しか利用され
ていなく、その用途拡大がドロマイト生産業者により強
く望まれている。
【0004】ドロマイトの用途のひとつとして水酸化マ
グネシウムスラリーの製造があり、ドロマイトを1,0
00〜1,500℃で焼成して得られた軽焼ドロマイト
を消化した水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムの
例えばほぼ等モル混合物としてドロマイト乳を海水に加
え、海水中に含まれるマグネシウムの塩化物や硫酸塩と
次の式で反応を行なわせ、水酸化マグネシウムを製造す
る方法が知られている。
【0005】MgCl2+MgSO4+2Ca(OH)2
+2Mg(OH)2=4Mg(OH)2+CaCl2+C
aSO4 しかし、この方法では海水中のマグネシウムイオンの濃
度は1.29g/kgと低く、通常水酸化マグネシウム
1tに対し約300tの海水を必要とし、分離濃縮する
には効率が悪い。また海水中にはCO2換算で1l当た
り約0.1gの炭酸イオンを含有しているので、前処理
なしでドロマイト乳を加えるとCaCO 3が不純物とし
て混入する恐れがあり、H2SO4処理により脱炭酸を行
う必要がある。さらに製品とする迄に副生物である二水
石膏の分離以降も水酸化マグネシウムの沈澱・洗浄・ろ
過・乾燥・粉砕・消化・攪拌分散工程等の多くの煩雑な
工程を必要とし、より効率の良い安価な製造方法が切に
望まれている。
【0006】一方、各種の排ガスの脱硫方法の一つとし
て、脱硫剤に水酸化マグネシウムや軽焼酸化マグネシウ
ム等のマグネシウム系化合物を用いる方法が知られてい
る。この方法はまず脱硫工程において上記の脱硫剤を含
む処理液に排ガスを接触させ硫黄酸化物を処理液中に吸
収させ、次いでこの処理液を酸化工程に導いて空気等の
酸素を含むガスにより酸化して硫酸マグネシウムと硫酸
の水溶液とし、この水溶液をマグネシウム系化合物で中
和する。中和後の硫酸マグネシウムの水溶液は、これを
海や河川等へそのまま放流するとマグネシウム源や硫酸
根の消費につながり、また放流自体が環境に及ぼす影響
を考えると望ましくない場合もある。
【0007】上記方法において硫酸マグネシウム水溶液
を放流しない方法が望まれるが、これに関する従来技術
としては、川崎マグネシウム石膏法が知られている(実
用公害防止技術集覧(1)、化学工業社出版、p.1
4)。この方法は脱硫剤に水酸化マグネシウムと水酸化
カルシウムの混合スラリーを用いて脱硫工程で硫黄酸化
物を吸収させ、次いでこの処理液を硫酸によりpHを
2.0−4.0に調整しつつ空気等により酸化すること
により硫酸マグネシウムと二水石膏を生成させ、次いで
沈降分離工程と遠心分離器により二水石膏と硫酸マグネ
シウム水溶液とに分離する。分離された硫酸マグネシウ
ム水溶液は水酸化マグネシウムと水酸化カルシウムの混
合スラリーを含む原料調整工程に循環供給され、ここで
混合スラリー中の水酸化カルシウムの一部と複分解反応
により水酸化マグネシウムと二水石膏が生成し、これと
残部の水酸化カルシウムを含む混合物は脱硫剤として吸
収工程へ循環供給される。しかし、この方法では脱硫液
には二水石膏が混合されてくるため脱硫工程循環用ポン
プや配管のスケール付着が起こり易い欠点がある。
【0008】硫酸マグネシウム水溶液を放流しない他の
従来技術として次の方法が開示されている(特公平5−
7045)。酸化工程で生成した硫酸マグネシウムの水
溶液を複分解槽へ導き、これに水酸化カルシウムや生石
灰等を加えて反応させることにより、二水石膏と水酸化
マグネシウムを生成し、これら混合物を湿式分級器等に
導き、ここで水酸化マグネシウムを主とした微粒子スラ
リーと、二水石膏を主とした水酸化マグネシウムを含む
粗粒子スラリーとに分離する。分離した前者の微粒子ス
ラリーは脱硫剤として脱硫工程に循環供給し、後者の粗
粒子スラリーには少量の随伴されてくる水酸化マグネシ
ウムが含まれているので、これを別工程に導き、ここに
脱硫工程より硫黄酸化物を吸収した処理液の一部を供給
して、スラリー中の水酸化マグネシウムと反応させて亜
硫酸マグネシウムに変換し、この亜硫酸マグネシウムを
含む液を沈降分離工程等により二水石膏と分離し、脱硫
工程へ循環供給し脱硫剤として再利用する。
【0009】しかしこの方法においては上記亜硫酸マグ
ネシウムは溶解度が低く、生成した亜硫酸マグネシウム
の一部は二水石膏とともに系内より分離排出され、マグ
ネシウム系脱硫剤の再利用率は低く、この分のマグネシ
ウム系脱硫剤の脱硫工程への供給が必要であることが判
った。また、複分解槽へ供給される塩基性カルシウムに
由来する微量のカルシウムイオンが系中を循環し脱硫工
程で脱硫処理液と反応し、水への溶解度の低い亜硫酸カ
ルシウムが生成析出し、循環用のポンプや配管のスケー
ル付着や閉塞を生じ易く、脱硫装置の円滑な運転が継続
できなくなることも判明した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水酸化マグ
ネシウムスラリーの製造方法の上記問題点を解消し、ド
ロマイトを原料とした、5〜40重量%の高濃度水酸化
マグネシウムスラリーの製造方法を提供することを目的
としている。これにより、従来用途の少なかったドロマ
イトの使用量の飛躍的拡大が期待される。
【0011】さらに、本発明は、マグネシウム系脱硫剤
を用いる排ガスの脱硫方法の上記問題点を解消し、マグ
ネシウム系脱硫剤の利用率及び二水石膏の分離回収の向
上をはかり、脱硫システムの循環系内におけるスケール
の付着や閉塞を防止した円滑な運転が維持でき、さら
に、脱硫工程にマグネシウム系脱硫剤を新たに供給する
必要がない、排ガス脱硫が行える方法を提供することを
目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、前記従来技術にお
いて、酸化工程で生成した硫酸マグネシウム水溶液の複
分解に使用する水酸化カルシウムや生石灰等に代えて、
ドロマイトを焼成し消化して得られる塩基性化合物を用
い、複分解後のスラリー中に脱硫工程において吸収され
る亜硫酸ガスのモル数よりも多くの水酸化マグネシウム
と、吸収亜硫酸ガスとほぼ等モルの二水石膏を存在さ
せ、次いで湿式分級器で水酸化マグネシウムスラリーと
二水石膏スラリーに分離し、分離された水酸化マグネシ
ウムスラリーのうち吸収亜硫酸ガスとほぼ等しい水酸化
マグネシウムモル数を含むスラリーは脱硫工程へ循環供
給し、残りの水酸化マグネシウムスラリーは、系外に取
り出すことにより、脱硫工程をスタートアップさせると
き以外に新たにマグネシウム系脱硫剤を脱硫工程に供給
する必要がなく、かつ水酸化マグネシウムスラリーを製
造する方法を見出した。さらに、湿式分級器による分離
工程で分離され一部の水酸化マグネシウムを含む主成分
が二水石膏の粗粒子スラリーを別の工程に導き、脱硫処
理液を空気等により酸化し生成する硫酸マグネシウム及
び硫酸の水溶液を用い、二水石膏の粗粒子スラリー中の
水酸化マグネシウムと反応させて、亜硫酸マグネシウム
(溶解度:0.646g/100g水溶液)に比較すれ
ば遥かに溶解度の高い硫酸マグネシウム(溶解度:2
6.7g/100g水溶液)に変換すると、水に難溶解
性の二水石膏の分離が容易となり、また二水石膏が分離
された硫酸マグネシウム水溶液を複分解槽へ循環供給
し、水酸化マグネシウムに変換して脱硫工程に循環供給
することにより、従来法の二水石膏と分離された亜硫酸
マグネシウム水溶液を脱硫工程に直接循環供給するより
もマグネシウム系脱硫剤の再利用率が高くなることを見
出した。さらに、複分解工程後の二水石膏と水酸化マグ
ネシウムの混合スラリーに、亜硫酸マグネシウム及び亜
硫酸水素マグネシウムを主成分とする脱硫処理液の一部
を供給し、循環液中に存在する微量の溶解カルシウムイ
オンを亜硫酸カルシウムに変換し、次いで水酸化マグネ
シウムを主とする微粒子スラリーと二水石膏及び亜硫酸
カルシウムの粗粒子スラリーとを湿式分離器等で分離す
ることにより系中を循環している微量のカルシウムイオ
ンを除去できることを見出した。
【0013】すなわち、本発明は、 1.硫黄酸化物を含む排ガスをマグネシウム系脱硫剤を
含む処理液と連続的に気液接触させ排ガス中に含まれる
硫黄酸化物を吸収除去する脱硫法において、脱硫処理液
を酸素を含むガスで酸化し含まれるマグネシウム塩を硫
酸マグネシウムに変換し、該硫酸マグネシウムをドロマ
イトを焼成し消化して得られる塩基性化合物と反応させ
複分解を行わせ、水酸化マグネシウムと二水石膏とに分
解させ、次いで複分解で得られた水酸化マグネシウムと
二水石膏の混合物を湿式分級器でマグネシウム粒子を含
むスラリーと二水石膏粒子を含むスラリーとに分離し、
湿式分級器で分離された水酸化マグネシウムスラリーの
一部を脱硫工程に戻し、残りの水酸化マグネシウムスラ
リーを製品として系外に取り出すことを特徴とするドロ
マイトを原料とする、水酸化マグネシウムスラリーの製
造及び脱硫方法。
【0014】2.硫黄酸化物を含む排ガスをマグネシウ
ム系脱硫剤を含む処理液と連続的に気液接触させ排ガス
中に含まれる硫黄酸化物を吸収除去する脱硫工程と、脱
硫工程処理液を含む液を酸素を含むガスで処理し含まれ
るマグネシウム塩を硫酸マグネシウムに変換する1つま
たは2つの酸化工程と、酸化工程で得られた液中に含ま
れる硫酸マグネシウムをドロマイトを焼成し消化して得
られる塩基性化合物と反応させ複分解を行わせた水酸化
マグネシウムと二水石膏とに分解させる複分解工程と、
複分解後の水酸化マグネシウムと二水石膏の混合物のス
ラリーを湿式分級器で水酸化マグネシウムスラリーと二
水石膏スラリーとに分離する分離工程と、分離工程で分
離された水酸化マグネシウムスラリーの一部を脱硫工程
に戻し、残りの水酸化マグネシウムスラリーを濃縮分離
する濃縮分離工程と、分離工程で分離された二水石膏ス
ラリーを前記の1つの酸化工程にて処理して随伴する水
酸化マグネシウムを硫酸マグネシウムに変換させ、酸化
工程を経た二水石膏スラリーから二水石膏を沈降分離す
る沈降分離工程からなり、沈降分離工程の上澄み液は複
分解工程に戻して処理し、濃縮分離工程で濃縮された濃
縮水酸化マグネシウムスラリーを製品として系外に取り
出すことを特徴とするドロマイトを原料とする水酸化マ
グネシウムスラリーの製造及び脱硫方法。
【0015】3.硫黄酸化物を含む排ガスをマグネシウ
ム系脱硫剤を含む処理液と連続的に気液接触させ排ガス
中に含まれる硫黄酸化物を吸収除去する脱硫工程と、脱
硫工程処理液を含む液を酸素を含むガスで処理し含まれ
るマグネシウム塩を硫酸マグンシウムに変換する酸化工
程と、酸化工程で得られた液中に含まれる硫酸マグネシ
ウムをドロマイトを焼成し消化して得られる塩基性化合
物と反応させ水酸化マグネシウムと二水石膏とに分解さ
せる複分解工程と、複分解後の水酸化マグネシウムと二
水石膏の混合スラリーに脱硫工程処理液を供給し、溶解
しているカルシウムイオンを亜硫酸カルシウムに変換す
るカルシウムイオン変換工程と、湿式分級器で水酸化マ
グネシウムスラリーを二水石膏粒子と亜硫酸カルシウム
粒子とを含むスラリーから分離する分離工程からなり、
湿式分級器で分離された水酸化マグネシウムスラリーの
一部を脱硫工程に戻し、残りの水酸化マグネシウムスラ
リーを製品として系外に取り出すことを特徴とするドロ
マイトを原料とする水酸化マグネシウムスラリーの製造
及び脱硫方法。
【0016】4.複分解工程の後に複分解工程で得られ
た水酸化マグネシウムと二水石膏との混合物スラリーに
脱硫工程処理液を供給し、溶解しているカルシウムイオ
ンを亜硫酸カルシウムに変換するカルシウムイオン変換
工程を付加することを特徴とする上記1又は2のドロマ
イトを原料とする水酸化マグネシウムスラリーの製造及
び脱硫方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。
【0018】本発明で用いるマグネシウム系脱硫剤と
は、海水中のマグネシウムを原料とした水酸化マグネシ
ウム、マグネサイト鉱石を焼成して得られる酸化マグネ
シウム及び該酸化マグネシウムを消化して得られる水酸
化マグネシウム等の酸化マグネシウムや水酸化マグネシ
ウムを主成分とする塩基性マグネシウム化合物をいう。
【0019】脱硫工程とは、硫黄酸化物を含む排ガスと
上記マグネシウム系脱硫剤を含む水溶液を接触させて硫
黄酸化物をその水溶液に吸収させる工程で、その装置は
これら気液を効率よく接触するような構造を持つ塔から
なり、水溶液をノズルで噴霧し、これに対し向流または
並流でガスを流す型式が多く用いられ、また気液接触を
良くするために充填物や棚段等を内部に設置してもよ
い。
【0020】脱硫工程処理液とは、マグネシウム系脱硫
剤水溶液と硫黄酸化物が反応して生成した硫酸マグネシ
ウム、亜硫酸水素マグネシウム及び硫酸マグネシウムが
混在した組成の水溶液である。
【0021】脱硫温度は、80℃以下、好ましくは60
℃以下であり、pHは5.0−7.5、より好ましくは
5.5−7.0である。
【0022】脱硫工程では、亜硫酸マグネシウムの水へ
の溶解度が低いので、その析出を防止するため、空気を
吹き込み亜硫酸マグネシウムを酸化し、水への溶解度の
高い硫酸マグネシウムにかえ、亜硫酸マグネシウムの濃
度をある値以下に制御するのが一般的である。あるい
は、亜硫酸マグネシウムの濃度をある値以下に制御する
方法として、空気等の吹き込みによる亜硫酸マグネシウ
ムの酸化をせずに、後述の酸化工程からの処理液の一部
を脱硫工程に導入して脱硫工程での亜硫酸マグネシウム
の濃度を希釈する方法もある。
【0023】酸化工程では通常槽型反応器を用いるが、
脱硫塔内で硫黄酸化物とマグネシウム系脱硫剤と反応し
て生成した亜硫酸マグネシウムや亜硫酸水素マグネシウ
ムが酸素を含むガスにより酸化されて硫酸マグネシウム
及び硫酸を生成する。通常硫酸マグネシウムの濃度は3
−10重量%であり、pHは2−3である。酸化工程で
は攪拌混合してもしなくてもよい。
【0024】酸素を含むガス中の酸素以外のガスは脱硫
工程処理液に対して不活性なものであればその種類は問
わない。通常空気が用いられる。酸化工程は1つまたは
2つあり、これらの区別については後述する。
【0025】複分解工程は、基本的には酸化工程で生成
した硫酸マグネシウムを水酸化カルシウムと反応させて
水酸化マグネシウムと二水石膏に複分解し、硫酸マグネ
シウムを前述のマグネシウム脱硫剤に再生するための工
程である。この複分解反応の水酸化カルシウム源として
この発明の方法ではドロマイトを焼成し消化して得られ
る塩基性化合物を用いる。
【0026】ドロマイトとは、公知のように苦灰石また
は白雲石とも称され、主成分はCaMg(CO32
ある。理論値として炭酸カルシウム45.7重量%、炭
酸マグネシウム54.3重量%を含むが、採掘場所によ
り組成が異なり、いずれのドロマイトでも用いることが
できる。900〜1,000℃に焼成すると酸化カルシ
ウム(CaO)と酸化マグネシウム(MgO)の混合物
に変えられ、これを水と反応させて消化することにより
水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )と、水酸化マグネ
シウム(Mg(OH)2 )が混合した塩基性化合物のス
ラリーを得ることができる。
【0027】ドロマイトとしては、できるだけMg成分
を多く含むものを用いたほうが水酸化マグネシウムスラ
リーの製造量が多くなり最も良い。特に台湾の花蓮地方
に産するドロマイト中のMgとCaのモル比は1.0:
0.7といわれており、本発明に適するドロマイトの一
つである。
【0028】複分解工程では通常槽型反応器を用い、酸
化工程で生成した硫酸マグネシウムと硫酸の水溶液に前
記塩基性化合物スラリーを添加し攪拌混合する。最初は
硫酸と塩基性化合物が反応し二水石膏が生成し、硫酸が
この反応により消費されたのちには、硫酸マグネシウム
と塩基性化合物中の水酸化カルシウムが反応し、二水石
膏と水酸化マグネシウムが生成する。塩基性化合物スラ
リーの添加量は、このスラリー中の水酸化カルシウムの
モル数と、酸化工程後の液中の硫酸および硫酸マグネシ
ウムのモル数の合計とが等しくなるように調整する。硫
酸と硫酸マグネシウムの合計モル数は脱硫工程で脱硫剤
を含む水溶液に吸収された亜硫酸ガスのモル数とほぼ等
しいので、複分解反応により、吸収された亜硫酸ガスモ
ル数と等モルの二水石膏が生成し、添加した塩基性化合
物のスラリー中の水酸化マグネシウムは結果的には未反
応のまま残存することになる。
【0029】反応温度は80℃以下、好ましくは60℃
以下である。このように温度制御すると、生成する二水
石膏は、一般に平均粒子径(長径)が70μm以上、通
常は200μmまでの粗大粒子に成長し、一方水酸化マ
グネシウムは1μm以下、通常0.3−1μm程度の微
小粒子となって、これらが粒子間で凝集して、みかけ上
10−20μm程度の大きさとなる。
【0030】塩基性化合物のスラリー液の供給量は、複
分解工程での液のpHが11前後になるように調整する
のが二水石膏の粒子径を大きくできるので最もよい。
【0031】カルシウムイオン変換工程では通常槽型反
応器を用いる。水中には二水石膏(溶解度:硫酸カルシ
ウムとして0.208g/100g水溶液)が溶解し、
したがってカルシウムイオンとして約0.06重量%溶
解しているが、これが脱硫工程処理液中の亜硫酸水素マ
グネシウムと攪拌混合され水不溶性の亜硫酸カルシウム
(溶解度:0.0051g/100g水溶液)が生成、
したがって水中のカルシウムイオンは約0.002重量
%と1/30に減少する。pHが6以下では亜硫酸水素
マグネシウムは溶解カルシウムイオンのみならず共存し
ている水酸化マグネシウムとも反応するので、pHを6
以上、好ましくは6−11とするのが望ましく、反応温
度は80℃以下、好ましくは60℃以下が望ましい。
【0032】カルシウムイオン変換工程後の水酸化マグ
ネシウム、二水石膏及び亜硫酸カルシウムを含む液(ス
ラリー)は湿式分級器による分離工程において、水酸化
マグネシウムを主とする微粒子スラリーと二水石膏を主
とする粗粒子スラリーに分離される。ここで用いる湿式
分級器としては湿式サイクロン、遠心沈降器等やこれら
類似の分級器があり、特に湿式サイクロンがよい。
【0033】微粒子スラリーは、脱硫工程での吸収亜硫
酸ガスモル数よりも多くの水酸化マグネシウムを含むの
で、脱硫工程で吸収すべき亜硫酸ガスとほぼ等しいモル
数の水酸化マグネシウムを含むスラリーを脱硫剤として
脱硫工程へ循環供給し、残りの水酸化マグネシウムスラ
リーは後述する濃縮分離工程を経て濃縮水酸化マグネシ
ウムスラリーとして製造され、系外に取り出し他の用途
に供する。
【0034】二水石膏を主とする粗粒子スラリーには1
0−30重量%の水酸化マグネシウムが随伴されてい
る。この粗粒子スラリーは酸化工程に導かれる。酸化工
程が1つの場合はそれに、酸化工程が2つある場合はい
ずれかの一方の酸化工程に導かれ、随伴された水酸化マ
グネシウムは脱硫処理液が空気等の酸素を含むガスによ
り酸化されて生成する硫酸マグネシウム及び硫酸の水溶
液と攪拌混合され反応し硫酸マグネシウムとなる。
【0035】粗粒子スラリーを別の工程に導き、そこで
酸化工程で生成した硫酸マグネシウム及び硫酸を供給し
攪拌混合すれば、上記酸化工程で粗粒子スラリーを処理
することと同一の効果を与えるので、これも本発明に含
まれることは勿論である。
【0036】硫酸マグネシウム水溶液は沈降分離工程に
より二水石膏と分離された後、複分解工程へ循環供給さ
れ、複分解反応により水酸化マグネシウムに変換され脱
硫工程に循環供給され再利用される。沈降分離工程から
の硫酸マグネシウム水溶液の一部は脱硫工程で生成する
亜硫酸マグネシウム濃度を希釈するために利用される場
合もある。脱硫工程では次の反応により、1モルの水酸
化マグネシウムは1モルの亜硫酸ガスを吸収し、生成す
る亜硫酸マグネシウムはさらに1モルの亜硫酸ガスを吸
収する。
【0037】Mg(OH)2 +SO2 →MgSO3 MgSO3 +SO2 →Mg(HSO32 このように本発明では沈降分離工程で分離した硫酸マグ
ネシウムを、複分解槽でほぼ全量を亜硫酸マグネシウム
に比べ2倍の亜硫酸ガス吸収能力を持つ水酸化マグネシ
ウムに変換した後脱硫工程に供給するため、沈降分離工
程で分離された亜硫酸マグネシウム水溶液を脱硫工程に
直接循環供給する従来法に比べてマグネシウム系脱硫剤
の利用率が高くなる。
【0038】さらに従来法では脱硫工程処理液には通常
亜硫酸マグネシウムよりも多量の硫酸マグネシウムが溶
解していることから沈降分離工程で分離された亜硫酸マ
グネシウム水溶液には、硫酸マグネシウムも含んでお
り、これらが水酸化マグネシウムに変換されることなく
脱硫工程に循環供給されるので、本発明の方法における
脱硫剤の利用率がさらに向上していることは明らかであ
る。
【0039】なお沈降分離工程で分離される二水石膏は
セメント用や石膏ボード用等に広く用いることができ
る。
【0040】前述の系外に取り出す「残りの水酸化マグ
ネシウムスラリー」は沈降分離装置等で濃縮する濃縮分
離工程を経て、通常の水酸化マグネシウムスラリーの販
売形態での濃度である約35重量%まで濃縮される。製
造された水酸化マグネシウムスラリーはそのまま脱硫剤
や廃酸の中和剤として使用できるが、さらに湿式サイク
ロン等を用い粒径のより小さな水酸化マグネシウムスラ
リーを分離製造すれば、より反応性の高い中和剤として
水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の反応性の高い中
和剤の代わりに用いることができる。ここで分離排出さ
れる水は脱硫工程へ循環供給し、系外への排出水をなく
すことができる。
【0041】この発明においては、複分解工程でドロマ
イトを焼成し消化して得られる塩基性化合物を使用する
ので、脱硫工程で吸収された亜硫酸ガスモル数よりも多
くの水酸化マグネシウムモル数を生成させることがで
き、脱硫工程で排ガス中の亜硫酸ガスの吸収に必要なモ
ル数以外の余剰分は濃縮スラリーとして製造することが
できる。 さらに湿式分級器で分離される二水石膏が、
酸化工程で生成した硫酸マグネシウム及び硫酸の水溶液
により処理され、二水石膏に随伴する水酸化マグネシウ
ムが水溶性の硫酸マグネシウムに変換する。このため沈
降分離工程において、二水石膏と硫酸マグネシウムとの
分離効率が高くなりマグネシウム系脱硫剤の再利用がよ
り効率的に行われると共に、他用途向けの二水石膏の取
得率も高くなる。また、亜硫酸マグネシウム及び硫酸マ
グネシウムの混合水溶液として回収し脱硫工程に供給す
る場合に比べ、これらに対応する硫酸マグネシウムをほ
ぼ全て亜硫酸ガス吸収能の高い水酸化マグネシウムに変
換し供給できるためマグネシウム系脱硫剤の利用率は高
くなる。
【0042】さらに、複分解工程での生成液に脱硫処理
液を供給することにより溶解しているカルシウムイオン
が処理液に含まれる亜硫酸イオンと反応し水不溶性の亜
硫酸カルシウムに変換され、次の湿式分級器による分離
工程と沈降分離工程により系外に排出除去されるので、
従来の方法のように水に溶解し系中に循環している微量
のカルシウムイオンが、脱硫工程において脱硫処理液と
の反応により生じる亜硫酸カルシウムの析出による循環
用ポンプや配管のスケール付着や閉塞が発生することな
く、円滑な運転が継続できる。また、このとき複分解工
程において生じた粒子濃度が、カルシウムイオン変換工
程において脱硫工程からの処理液により希釈されるの
で、その後の湿式分級器等による分離効率が従来法より
も高くなる。
【0043】
【実施例】以下に、この発明の排ガスの脱硫方法を図面
を参考にして実施例をあげて説明するが、本発明はこれ
に制限されるものではない。
【0044】実施例1 図1はこの実施例の排ガスの脱硫方法に用いる装置の構
成例を示したものである。図において、1は脱硫塔であ
り、マグネシウム系脱硫剤を含む処理液を上方からシャ
ワー状に流下させ、この処理液と下方より導入される硫
黄酸化物を含有する排ガスG1とを気液接触させること
により、脱硫反応によって硫黄酸化物が亜硫酸マグネシ
ウム等として処理液中に吸収・固定されるとともに、硫
黄酸化物が除去された排ガスG2が上方より塔外へ排出
されるようになっている。
【0045】脱硫塔に供給された排ガスは、高温のため
工水をノズルで噴霧し冷却された。排ガス流量は100
Nm3/hr、SO2濃度は1000ppmであった。
【0046】脱硫塔1の下部層に流下した処理液、つま
り硫黄酸化物を吸収した脱硫液は、循環供給される再生
脱硫剤とともにポンプP1と配管L1を介して上部へ送
られ、この繰り返しによって脱硫塔1内を連続的に循環
するようになっている。この処理液の塩濃度は硫酸マグ
ネシウム換算で7.50重量%、亜硫酸マグネシウムと
亜硫酸水素マグネシウムの合計濃度は硫酸マグネシウム
換算で1.50重量%、またpHは6.2−6.4に調
整され、この結果、脱硫率を95%に調整することがで
きた。
【0047】2は第1酸化漕であり、ポンプP2と配管
L2により脱硫塔より供給された脱硫処理液(供給量:
硫酸マグネシウム換算で13.9mol/hr)が空気
により酸化され硫酸マグネシウムと硫酸の水溶液とな
る。
【0048】3は複分解漕であり、配管L3により供給
された硫酸マグネシウム及び硫酸の水溶液に、ドロマイ
ト焼成物の消化物スラリーの原料タンク4から配管L8
により水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムの合計
が約30重量%の水スラリーを加えた。このときの水酸
化カルシウム及びマグネシウムの供給量は、それぞれ
4.25mol/hrであった。これらを攪拌機により
攪拌混合しながら硫酸マグネシウム及び硫酸と水酸化カ
ルシウムとの反応を行わせ、二水石膏と水酸化マグネシ
ウムとの固体粒子が生成する。反応温度は50℃であ
る。
【0049】このようにして得られる二種の固体粒子を
含む水スラリーを、ポンプP4により湿式分級器6に導
いて、水酸化マグネシウムを主とする微粒子スラリー
と、二水石膏及び一部の水酸化マグネシウムを含む粗粒
子スラリーとに分離する。
【0050】水酸化マグネシウムを主とする微粒子スラ
リーのうち、脱硫工程での吸収亜硫酸ガス(4.24m
ol/hr)とほぼ等モルの水酸化マグネシウムを含む
スラリーは脱硫剤として配管L6を介して脱硫塔1に循
環供給される。残りの水酸化マグネシウムスラリーは配
管L11を介して水酸化マグネシウムスラリー沈降漕9
に導かれ、水酸化マグネシウムが35重量%のスラリー
に濃縮され配管L13を介して系外に取り出された。こ
のようにして製造された水酸化マグネシウムの量は1.
70mol/hrであった。また排出された水は排水処
理槽に移された。
【0051】二水石膏を主とする粗粒子スラリーは混合
槽7”に導き均一に攪拌され、その後ポンプ5により沈
降漕8に導入され、ここで二水石膏と硫酸マグネシウム
を含む液に分離され、下部の二水石膏は配管L9により
系外に取り出され、上部の硫酸マグネシウムを含む液は
排水槽に供給された。本実施例での排水は脱硫塔へ循環
使用することも可能である。
【0052】実施例2 本実施例は酸化工程が2つある場合の例である。図2は
この実施例の排ガスの脱硫方法に用いる装置の構成例を
示したものである。図において、1は脱硫塔であり、マ
グネシウム系脱硫剤を含む処理液を上方からシャワー状
に流下させ、この処理液と下方より導入される硫黄酸化
物を含有する排ガスG1とを気液接触させることによ
り、脱硫反応によって硫黄酸化物が亜硫酸マグネシウム
等として処理液中に吸収・固定されるとともに、硫黄酸
化物が除去された排ガスG2が上方より塔外へ排出され
るようになっている。
【0053】脱硫塔に供給された排ガスは、高温のため
工水をノズルで噴霧し冷却された。排ガス流量は100
Nm3 /hr、亜硫酸ガス濃度は1000ppmであっ
た。脱硫塔1の下部に流下した処理液、つまり硫黄酸化
物を吸収した脱硫液は循環供給される再生脱硫剤ととも
にポンプP1と配管L1を介して上部へ送られ、この繰
り返しによって脱硫塔1内を連続的に循環するようにな
っている。この処理液の塩濃度は硫酸マグネシウム換算
で7.50重量%、亜硫酸マグネシウムと亜硫酸水素マ
グネシウムの合計濃度は硫酸マグネシウム換算で1.5
0重量%、またpHは6.2−6.4に調整し、この結
果、各実施例での脱硫率をそれぞれ95%に維持するこ
とができた。
【0054】脱硫工程処理液はポンプP2と配管L2に
より脱硫塔より第1酸化槽2に供給され空気により酸化
され硫酸マグネシウムと硫酸水溶液となる。
【0055】生成した硫酸マグネシウムと硫酸の水溶液
は配管L3によって複分解槽3に供給される。複分解槽
3にはさらに後述する沈降槽から分離供給される硫酸マ
グネシウム水溶液と、ドロマイトを焼成し消化して得ら
れる塩基性化合物スラリーを貯蔵するタンク(以下、ド
ロマイト系塩基性化合物供給タンクと称する)4から配
管L8により水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウム
の合計が約30重量%の水スラリーを加えて、攪拌機に
より攪拌混合しながら硫酸マグネシウム及び硫酸と水酸
化カルシウムとの反応を行わせ、二水石膏と水酸化マグ
ネシウムとの固体粒子を生成する。反応温度は50℃で
ある。なお、本実施例で用いたドロマイトのCaC03
とMgCO3はほぼ等モル組成であった。
【0056】このようにして得られる二種の固体粒子を
含む水スラリーは、次いで配管L4によりカルシウムイ
オン変換槽5に導かれ、ここで脱硫塔1よりポンプP3
及び配管L5を介して供給される硫黄酸化物を吸収した
脱硫工程処理液の一部と攪拌機により均一に攪拌混合さ
れ、水中に溶解しているカルシウムイオンが上記処理液
中の主として亜硫酸マグネシウムや亜硫酸水素マグネシ
ウムとの反応により、水に不溶性の亜硫酸カルシウムが
生成沈殿した。
【0057】次いでこれらの二水石膏、水酸化マグネシ
ウム及び亜硫酸カルシウムとの固体粒子を含む水スラリ
ーを、ポンプP4により湿式分級器6に導いて、水酸化
マグネシウムを主とする微粒子スラリーと、二水石膏、
亜硫酸カルシウム及び一部の水酸化マグネシウムを含む
粗粒子スラリーとに分離する。
【0058】水酸化マグネシウムを主とする微粒子スラ
リーは二分し、一方は脱硫工程で吸収すべき亜硫酸ガス
とほぼ見合う水酸化マグネシウムを含むスラリー分と
し、配管L6を介して脱硫塔に循環供給される。残りの
水酸化マグネシウムスラリーは配管L11を介して水酸
化マグネシウムスラリーの濃縮分離槽9に導かれ、35
重量%のスラリーに濃縮され配管L13を介して系外に
取り出された。分離排出された水は配管L12により脱
硫塔に循環供給された。
【0059】二水石膏を主とする粗粒子スラリーは第2
酸化槽7に導き、ここで脱硫塔1よりポンプP3及び配
管L5を介して供給される硫黄酸化物を吸収した脱硫工
程処理液の一部と、空気を吹き込みながら攪拌機により
均一に攪拌され、二水石膏と同伴されてきた水酸化マグ
ネシウムは、亜硫酸水素マグネシウムの酸化により生成
した硫酸と反応し水溶性の硫酸マグネシウムに転化され
る。
【0060】この硫酸マグネシウムを含む液は、これに
分散された上記反応に関与しない二水石膏とともに沈降
槽8に導入され、ここで二水石膏と硫酸マグネシウムを
含む液に分離され、下部の二水石膏が配管L9により系
外に取り出され、上部の硫酸マグネシウムを含む液は配
管L7を介して前記の複分解槽3に循環供給される。試
験結果を表1に示した。表中、Mg(mol/hr)及
びCa(mol/hr)は配管記号表示の配管中の硫酸
マグネシウム及び二水石膏の換算でのマグネシウム及び
カルシウムの量(mol/hr)である。これらの中で
配管L2,L5,L6,L9、L10及びL13でのM
gは水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マ
グネシウム及び亜硫酸水素マグネシウムの合計mol数
である。配管L8及びL9でのCaはそれぞれ水酸化カ
ルシウム及び二水石膏である。またCa(L9)は配管
L9での二水石膏の量(mol/hr)である。Mg,
Caのバランス式は表の欄外に示した。Mg(OH)2
転換率は、配管L6及びL13中の水酸化マグネシウム
の合計値から配管L8中の水酸化マグネシウムを差し引
いた値と、配管L8中の水酸化カルシウムとの比であ
る。水酸化マグネシウムスラリーの製造量(mol/h
r)は表1中のMg(OH) 2 のL13のカラムに示し
た。
【0061】
【表1】 実施例3 第2酸化槽に空気を供給しなかったほかは、実施例2と
同様に運転を行った。試験結果を表1に示した。
【0062】実施例4 カルシウムイオン変換槽をバイパスさせた以外は実施例
2と同様に運転を行った。試験結果を表1に示した。
【0063】実施例5 本実施例は酸化槽が1つであり、また湿式分級器により
分離された粗粒子スラリーを別槽に導き、粗粒子スラリ
ーの中の随伴された水酸化マグネシウムを酸化槽からの
硫酸マグネシウム及び硫酸により処理する例である。試
験条件は実施例2と同様である。
【0064】図3はこの実施例の排ガス脱硫方法に用い
る装置の構成例を示したものである。図において、湿式
分級器により分離された粗粒子スラリーが導かれる槽
7’が酸化槽ではなく空気を吹き込まない槽であり、こ
れに供給される液が脱硫工程処理液ではなく酸化槽2か
らの硫酸マグネシウム及び硫酸の水溶液であり、この水
溶液により二水石膏に同伴されてきた水酸化マグネシウ
ムが水溶性の硫酸マグネシウムに変換されること以外は
図2と全く同一であるので説明を省略する。試験結果を
表1に示した。
【0065】実施例6 本実施例は酸化工程が1つで酸化槽7によって行われる
場合の例であり、脱硫工程処理液と、湿式分級器により
分離され水酸化マグネシウムを同伴する粗粒子スラリー
とを同一の酸化槽で処理する例である。図4はこの実施
例の排ガスの脱硫方法に用いる装置の構成例を示したも
のである。試験結果を表1に示した。
【0066】比較例1 この比較例は実施例2の場合と比べると複分解槽に供給
される塩基性化合物は、水酸化カルシウム供給タンク
4’からの水酸化カルシウムであり、カルシウムイオン
変換槽がなく、第2酸化槽に空気を供給せず、したがっ
て単に混合層7”として機能し、かつ、沈降槽の上澄み
液を複分解槽に供給処理することなく直接脱硫塔の処理
液に戻す場合の例である。比較例の試験方法を図5に、
試験結果を表1に示した。この場合は、、再生循環され
る水酸化マグネシウムのモル数が脱硫塔で吸収される亜
硫酸ガスのモル数より少ないので、不足する水酸化マグ
ネシウムを補給タンク10より補給した。
【0067】この発明の上記脱硫方法においては、脱硫
率及び脱硫液等が同一の条件では、濃縮分離槽9により
濃縮された3.71〜4.01(mol/hr)の水酸
化マグネシウムスラリーが製造でき、さらに沈降槽8に
より二水石膏を確実に分離回収でき、かつ二水石膏が除
去された硫酸マグネシウムの含有液は配管L7を介して
複分解槽3に供給されるため、硫酸マグネシウムの水酸
化マグネシウムへの変換率が0.871−0.941と
比較例の0.840より高く、したがってマグネシウム
系脱硫剤の利用率を高くすることができる。しかも系中
を循環しているカルシウムイオンがカルシウムイオン変
換槽5とその後の湿式分級器6及び沈降槽8等により系
外に排出除去されるので、亜硫酸カルシウム等の析出に
よるポンプP1や配管L1内での閉塞やスケーリングが
発生することなく、安定した運転状態を維持できる。
【0068】
【発明の効果】以上のように、この発明の排ガスの脱硫
方法によれば、複分解工程でドロマイトを焼成し消化し
て得られる塩基性化合物を使用するので、脱硫工程で吸
収された亜硫酸ガスモル数よりも多くの水酸化マグネシ
ウムモル数を生成させることができるので、脱硫塔で吸
収される亜硫酸ガスと等モルの水酸化マグネシウムを脱
硫塔へ循環するため新たに脱硫塔へ水酸化マグネシウム
を補給する必要がなく、余剰分は製品として他の用途に
供することができる新規な水酸化マグネシウムスラリー
の製造法を提供することができる。
【0069】さらに本発明では二水石膏の分離回収とマ
グネシウム系脱硫剤の利用率の向上が図られ、しかも脱
硫塔においては循環系のスケール付着や閉鎖の要因とな
る残査の沈積を完全に防止でき、もって低コストで安定
運転が維持できる効率の良い排ガス脱硫を行うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水酸化マグネシウムスラリーの製造及
び脱硫方法に用いる装置の構成例を示す模式図である。
【図2】本発明の水酸化マグネシウムスラリーの製造及
び脱硫方法に用いる装置の他の構成例を示す模式図であ
る。
【図3】本発明の水酸化マグネシウムスラリーの製造及
び脱硫方法に用いる装置の別の構成例を示す摸式図であ
る。
【図4】本発明の水酸化マグネシウムスラリーの製造及
び脱硫方法に用いる装置の別の構成例を示す摸式図であ
る。
【図5】従来法の脱硫方法に用いられる装置の構成例を
示す模式図である。
【符号の説明】
1 脱硫塔 2 (第1)酸化槽 3 複分解槽 4 ドロマイト系塩基性化合物供給タンク 4’ 水酸化カルシウム供給タンク 5 カルシウムイオン変換槽 6 湿式分級器 7 (第2)酸化槽 7’ 石膏処理槽 7” 混合槽 8 沈降槽 9 濃縮分離槽 10 補給タンク G1 脱硫前排ガス G2 脱硫後排ガス P ポンプ L 配管
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C01F 5/22

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫黄酸化物を含む排ガスをマグネシウム
    系脱硫剤を含む処理液と連続的に気液接触させ排ガス中
    に含まれる硫黄酸化物を吸収除去する脱硫法において、
    脱硫処理液を酸素を含むガスで酸化し含まれるマグネシ
    ウム塩を硫酸マグネシウムに変換し、該硫酸マグネシウ
    ムをドロマイトを焼成し消化して得られる塩基性化合物
    と反応させ複分解を行わせ、水酸化マグネシウムと二水
    石膏とに分解させ、次いで複分解で得られた水酸化マグ
    ネシウムと二水石膏の混合物を湿式分級器で水酸化マグ
    ネシウム粒子を含むスラリーと二水石膏粒子を含むスラ
    リーとに分離し、湿式分級器で分離された水酸化マグネ
    シウムスラリーの一部を脱硫工程に戻し、残りの水酸化
    マグネシウムスラリーを製品として系外に取り出すこと
    を特徴とするドロマイトを原料とする、水酸化マグネシ
    ウムスラリーの製造及び脱硫方法。
  2. 【請求項2】 硫黄酸化物を含む排ガスをマグネシウム
    系脱硫剤を含む処理液と連続的に気液接触させ排ガス中
    に含まれる硫黄酸化物を吸収除去する脱硫工程と、脱硫
    工程処理液を含む液を酸素を含むガスで処理し含まれる
    マグネシウム塩を硫酸マグネシウムに変換する1つまた
    は2つの酸化工程と、酸化工程で得られた液中に含まれ
    る硫酸マグネシウムをドロマイトを焼成し消化して得ら
    れる塩基性化合物と反応させ複分解を行わせ水酸化マグ
    ネシウムと二水石膏とに分解させる複分解工程と、複分
    解後の水酸化マグネシウムと二水石膏の混合物のスラリ
    ーを湿式分級器で水酸化マグネシウムスラリーと二水石
    膏スラリーとに分離する分離工程と、分離工程で分離さ
    れた水酸化マグネシウムスラリーの一部を脱硫工程に戻
    し、残りの水酸化マグネシウムスラリーを濃縮分離する
    濃縮分離工程と、分離工程で分離された二水石膏スラリ
    ーを前記の1つの酸化工程にて処理して随伴する水酸化
    マグネシウムを硫酸マグネシウムに変換させ、酸化工程
    を経た二水石膏スラリーから二水石膏を沈降分離する沈
    降分離工程からなり、沈降分離工程の上澄み液は複分解
    工程に戻して処理し、濃縮分離工程で濃縮された濃縮水
    酸化マグネシウムスラリーを製品として系外に取り出す
    ことを特徴とする、ドロマイトを原料とする水酸化マグ
    ネシウムスラリーの製造及び脱硫方法。
  3. 【請求項3】 硫黄酸化物を含む排ガスをマグネシウム
    系脱硫剤を含む処理液と連続的に気液接触させ排ガス中
    に含まれる硫黄酸化物を吸収除去する脱硫工程と、脱硫
    工程処理液を含む液を酸素を含むガスで処理し含まれる
    マグネシウム塩を硫酸マグネシウムに変換する酸化工程
    と、酸化工程で得られた液中に含まれる硫酸マグネシウ
    ムをドロマイトを焼成し消化して得られる塩基性化合物
    と反応させ水酸化マグネシウムと二水石膏とに分解させ
    る複分解工程と、複分解後の水酸化マグネシウムと二水
    石膏の混合スラリーに脱硫工程処理液を供給し、溶解し
    ているカルシウムイオンを亜硫酸カルシウムに変換する
    カルシウムイオン変換工程と、湿式分級器で水酸化マグ
    ネシウムスラリーを二水石膏粒子と亜硫酸カルシウム粒
    子とを含むスラリーから分離する分離工程からなり、湿
    式分級器で分離された水酸化マグネシウムスラリーの一
    部を脱硫工程に戻し、残りの水酸化マグネシウムスラリ
    ーを製品として系外に取り出すことを特徴とする、ドロ
    マイトを原料とする水酸化マグネシウムスラリーの製造
    と脱硫方法。
  4. 【請求項4】 複分解工程の後に複分解工程で得られた
    水酸化マグネシウムと二水石膏との混合物スラリーに脱
    硫工程処理液を供給し、溶解しているカルシウムイオン
    を亜硫酸カルシウムに変換するカルシウムイオン変換工
    程を付加することを特徴とする請求項1又は2記載のド
    ロマイトを原料とする水酸化マグネシウムスラリーの製
    造及び脱硫方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102861482A (zh) * 2012-09-29 2013-01-09 樊荣富 燃渣锅炉脱硫除尘自清理***
JP2020089804A (ja) * 2018-12-03 2020-06-11 住友金属鉱山株式会社 二酸化硫黄を含む排ガスの除害化方法

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