JP3724370B2 - 圧電体の分極方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミックフィルタやセラミック発振子などに使用される圧電体の分極方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の圧電セラミックの分極処理は、例えばPZTやPT系の圧電セラミック基板で説明すると、圧電セラミック基板を焼成した後、その相対面に銀等の両面電極を設け、この圧電セラミック基板の複数枚を60〜100℃の絶縁溶液に同時に浸漬し、2〜8kV/mmの電圧を10〜30分間程度印加することにより、分極処理していた。
【0003】
しかし、このような液中分極の場合、分極中に圧電体の分極度を測定することができない。なぜなら、液中に配置された圧電体は液体のために振動がダンピングされるので、その周波数特性を測定できないからである。そのため、液中分極では、予め決められた時間だけ分極を行なう定時間分極を行なっていたが、これでは分極度を正確にコントロールできなかった。
【0004】
そこで、近年、圧電定数値のバラツキを一定の小さい値に抑え、一定品質の圧電体を得ることを目的として、気中での分極コントロール方法も採用され始めている(例えば特許第2656041号公報参照)。
分極コントロール方法とは、分極処理前の圧電セラミックに直流電圧を印加して分極処理しながら、圧電セラミックの圧電定数値(例えば電気機械結合係数や分極度)を測定し、その測定値が設定レベルに達した時に直流電圧の印加を停止する方法である。上記設定レベルは、直流電圧印加を停止した直後の圧電定数値と、十分な時間経過後の安定した圧電定数値との間の相関関係により求められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来技術による分極コントロール方法の場合、分極中の分極度を設定レベルにコントロールしても、原料や焼成の違うロットによって、図1に示すように残留分極度Δfrem に多少のバラツキが生じてしまうことがある。ここで、残留分極度Δfrem とは、分極後、エージングして常温に戻した後の安定した分極度をいう。そのため、ロット製造毎に先行試験を行い、分極条件出しを行う必要があった。また、分極度のロット間バラツキのため、後工程での面倒な周波数調整を必要とし、生産効率を低下させるばかりか、良品率の低下を招いていた。
【0006】
本発明者は、かかる問題点について検討した結果、残留分極度Δfrem のバラツキは、分極中の分極度を同一にコントロールしても、原料や焼成の違いにより、ロット間で分極戻り量(電圧印加停止直前の分極度と、電圧印加停止後エージングした後の分極度との差、つまり残留しない分極度)が異なるために生じると考えた。そして、分極戻り量について種々の実験を行ったところ、ロット間で生じる分極戻り量の違いは、分極中に流れる電流の大きさと相関関係があるという知見を得た。
【0007】
本発明は上記知見に基づいてなされたもので、その目的は、ロット間で生じる分極度のバラツキを少なくし、目標とする残留分極度へ精度よく到達できる圧電体の分極方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、圧電体に直流電圧を印加して分極処理を行なう工程と、圧電体の分極処理を行いながら、分極中の分極度Δfmid を測定する工程と、測定された分極中の分極度Δfmid が設定レベルに達した時の圧電体に流れる電流を測定する工程と、測定した電流値から、電圧印加停止直前の分極度と電圧印加停止後エージングした後の分極度との差である分極戻り量を求め、上記設定レベルと分極戻り量との差によって残留分極度Δfrem を求める工程と、求めた残留分極度Δfrem に応じて、分極中の分極度Δfmid の設定レベルを更新する工程と、分極中の分極度Δfmid がこの更新された設定レベルに達した時に直流電圧の印加を停止する工程と、を含む圧電体の分極方法を提供する。
【0009】
本発明では、分極中の圧電体の周波数特性を測定し、分極度を測定する。分極度を求める方法としては、共振周波数frと***振周波数faとの周波数差Δfによって求める方法のほか、電気機械結合係数Kや中心周波数その他の圧電定数によって求めてもよい。分極中の分極度Δfmid を測定しながら、その分極度が設定レベルに到達したか否かを判別する。
この設定レベルは、予め初期値を設定しておき、この初期設定レベルまで分極中の分極度Δfmid をコントロールする。そして、初期設定レベルに到達した時の電流値を検出し、この電流値から残留分極度Δfrem を予測する。なお、電流値と残留分極度Δfrem との関係は、予め実験的に複数ロットについて求めておく。
次に、予測した残留分極度Δfrem に応じて、分極中の分極度Δfmid の設定レベルを更新する。例えば、予測された残留分極度Δfrem が予め決められた目標値以上であるか、未満であるかによって更新の有無を決定してもよい。そして、分極中の分極度Δfmid がこの更新された設定レベルに達した時に直流電圧の印加を停止する。
【0010】
図2は分極〜エージング〜常温戻しに至るプロセスにおける圧電体の分極度の変化を示す。
分極中における最大分極度をΔfmax 、エージング後の分極度をΔfage 、常温戻し後の分極度をΔfrem とすると、図2から明らかなように、分極時には分極度が最大限Δfmax まで上昇し、エージングによって分極度Δfage が低下した後、常温に戻すことによって分極度の一部が復元し、Δfrem で安定する。一般的には、残留分極度は常温戻し後の分極度Δfrem のことを指すが、本発明では、残留分極度とはエージング後(常温戻し前)の分極度Δfage または常温戻し後の分極度Δfrem のいずれを採用してもよい。
すなわち、エージング後の分極度Δfage と、常温戻し後の分極度Δfrem との関係は、材料の温度特性によって一義的に決定される。つまり、材料とエージング温度とエージング後の分極度Δfage とが分かれば、常温(例えば26℃)戻し後の分極度Δfrem を一義的に求めることができるからである。
【0011】
請求項2のように、予測した残留分極度Δfrem が目標値未満の場合には、分極中の分極度Δfmid の設定レベルを更新し、予測した残留分極度Δfrem が目標値以上の場合には、分極中の分極度Δfmid の設定レベルを更新せず、分極中の分極度Δfmid が上記設定レベルに達した時に直流電圧の印加を停止するのがよい。
予測された残留分極度Δfrem が予め決められた目標値未満であれば、分極中の分極度Δfmid が設定レベルに達した時に直流電圧印加を停止したのでは、最終的な残留分極度Δfrem が目標値にまで到達できない。そこで、上記設定レベルを更新し、分極中の分極度Δfmid がこの更新された設定レベルに達した時に、直流電圧の印加を停止する。
一方、予測された残留分極度Δfrem が予め決められた目標値以上である場合には、分極中の分極度Δfmid の設定レベルを更新することなく、分極中の分極度Δfmid が初期の設定レベルに達した時に直流電圧の印加を停止する。なお、直流電圧の印加停止後、目標値からのずれ量に応じて逆分極などの追加処理を行ってもよい。
このように、常に分極中の分極度Δfmid の設定レベルを更新するのではなく、予測した残留分極度Δfrem が目標値未満か以上かによって、更新の有無を決定する。これによって、不要な更新作業を省略でき、分極を早期に終了できる。
【0012】
請求項3のように、上記設定レベルは、直流電圧の印加を停止する直前の分極度と、印加停止後エージングして常温に戻した後の残留分極度との間の相関関係によって求めるのがよい。
分極中の分極度Δfmid と、残留分極度Δfrem との間には高い相関があるので、この相関によって目標とする残留分極度Δfrem から分極中の分極度Δfmid を逆算し、この分極度になった時点で電圧印加を停止すればよい。
この方法により、目標とする分極度Δfrem へ高精度にコントロールでき、分極バラツキを低減できる。
上記設定レベルの具体的な設定方法としては、請求項4のように、直流電圧の印加を停止する直前の分極度と残留分極度Δfrem との相関データを、複数ロットについて実験的に求め、これらデータの近似直線によって求めるのがよい。近似直線は、例えば最小自乗法などの公知の方法で簡単に求めることができる。
【0013】
本発明では、測定した電流値から残留分極度Δfrem を予測する場合に、測定した電流値から分極戻り量を求め、上記設定レベルと分極戻り量との差によって残留分極度Δfrem を求めている。
ここで、分極戻り量Qdfとは、図2を参照すると、電圧印加停止直前の分極度Δfmax と、電圧印加停止後エージングした後の分極度Δfage との差で定義される。
Qdf=Δfmax −Δfage
この分極戻り量Qdfは、分極中に流れる電流の大きさと相関関係があり、電流値が大きい程、分極戻り量Qdfも大きくなる。したがって、設定レベルと分極戻り量Qdfとの差によって残留分極度Δfrem を正確に予測できる。
分極戻り量Qdfと分極中に圧電体に流れる電流値との相関関係は、材料開発時に数ロット分について実験的に求めておき、これを数式化したり、あるいはマップとして記憶しておけばよい。このようにすれば、複雑な演算処理を必要とせず、短時間で分極戻り量Qdfを求めることができる。
なお、上述のようにエージング後の分極度Δfage と常温戻し後の分極度Δfrem との関係は、温度特性によって一義的に決定されるので、分極戻り量Qdfを次のように定義することもできる。
Qdf=Δfmax −Δfrem
【0014】
請求項5のように、設定レベルの更新値を、初期の設定レベルと、残留分極度Δfrem の目標値と予測値との差との和で与えるのがよい。
設定レベルを予め決められた値だけ高くなるように更新する方法もあるが、必要以上に高い設定レベルに更新すると、過剰分極になる恐れがある。これに対し、初期の設定レベルと、残留分極度Δfrem の目標値と予測値との差との和で与えれば、1回の処理で設定レベルを適切な値に更新できる。
これによって、直流電圧の印加後、エージングして常温に戻した後の分極度の安定値、つまり残留分極度Δfrem を、目標値へ正確にコントロールできる。
なお、設定レベルの更新値を、残留分極度Δfrem の目標値と分極戻り量Qdfとの和の値で与えることもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図3に本発明にかかる圧電体の分極方法を実施する分極制御装置の一例を示す。Wは分極処理を行なうための圧電セラミック板よりなる圧電体、1は圧電体Wを収納し所定温度雰囲気に制御する恒温槽、2は分極用の高電圧直流電源、3は圧電体Wの印加スイッチングを行なう高圧切換回路、4は分極時の直流高電圧を阻止するためのAC/DC分離回路、5は分極中の圧電体Wの分極度(Δf)を測定するための測定器、6は分極中の圧電体Wに流れる電流を測定するための電流検出回路、7はコンピュータよりなる制御装置である。
ここでは、圧電体Wとして、厚みが5〜10mmのPZTブロックを用いた。圧電体Wの表裏面には電極が形成され、これら電極間の電界を1.1kV/mmに制御した。
【0016】
恒温槽1は、圧電体Wの分極〜エージング〜常温戻しの各処理が行なわれるものであり、制御装置7によりそれぞれの処理に適した温度雰囲気(気中)に制御される。分極温度は、エージング温度以上で、かつ液中分極と同等の分極度が得られる温度に設定される。ここでは、分極温度を200℃、エージング温度を200℃、エージング時間を300secとした。なお、図3では恒温槽1の中に単一の圧電体Wのみを収容したが、複数の圧電体Wを同時に分極コントロールできるように、複数個の圧電体Wを収容してもよい。
【0017】
測定器5は例えばネットワークアナライザよりなり、内蔵する交流信号源から圧電体Wに交流信号を印加し、そのインピーダンス特性から共振周波数frと***振周波数faとを検出し、その周波数差Δfによって分極度を測定している。なお、Δf以外に電気機械結合係数Kによって分極度を測定してもよい。
【0018】
電流検出回路6は、検出用抵抗およびこの抵抗の両端の電位差を検出するOPアンプなどの増幅器で構成され、抵抗の両端の電位差から圧電体Wに流れる電流を検出している。測定器5により検出された分極度Δfや電流検出回路6によって検出された電流は制御装置7に入力され、これら信号に基づいて印加電圧や分極度コントロールを行う。具体的には、恒温槽1、高電圧直流電源2、高圧切換回路3などを制御している。なお、複数個の圧電体Wを恒温槽1の中に収容した場合には、これら圧電体Wを1個ずつ順に分極コントロールできるように、多チャンネル切換構成としてもよい。
【0019】
制御装置7には、後述するように分極中の分極度の設定レベル、分極中の分極度と常温戻し後の分極度との相関データ、電流と分極戻り量との相関データなどの各種データが格納されるとともに、所定の分極コントロールを行うためのプログラムが格納されている。
【0020】
次に、上記構成よりなる分極制御装置の作動について説明する。
まず、圧電体Wの材料開発時に、次のような数ロット分の分極制御条件出しを行う。
(1)図4に示すように、分極中の分極度Δfmid と残留分極度Δfrem との相関関係を求める。
すなわち、同一材料において、原料,焼成条件の異なる数ロットの圧電体で、分極中の分極度(6.5kHz,6.55kHz,6.65kHzの3点)に対する残留分極度Δfrem の関係を求める。つまり、最小自乗法によって近似直線(AVE)およびAVE±3σの計3本の直線を求める。
(2)次に、分極中の狙いの分極度を初期設定レベルとして設定する。
目標とする残留分極度Δf=5〔kHz〕とすると、図4のAVE+3σの直線と、残留分極度Δf=5〔kHz〕と交差する分極度Δf=6.4〔kHz〕を初期設定レベルとする。
ここでは、初期設定レベルを求めるための直線としてAVE+3σの直線を用いたが、AVE直線を用いてもよく、その場合には初期設定レベルはΔf=6.5〔kHz〕となる。
(3)初期設定レベル(例えば6.4kHz)に到達した時の各ロットの電流値と分極戻り量との関係を求める(図5参照)。
図5において、横軸は初期設定レベルに到達した時の各ロットの電流値、縦軸は分極戻り量である。分極戻り量は次式で定義される。
分極戻り量=(初期設定レベル)−(残留分極度Δfrem )
なお、上式において、残留分極度Δfrem をエージング後の分極度Δfage に置き換えることもできる。
図5においては、分極中の電流値をxとし、分極戻り量をyとすると、次式で近似することができる。
y=0.5084x+1.4256
【0021】
次に、分極制御方法について説明する。
図6は分極制御時の分極度の時間変化を示し、図7は分極制御の流れを示す。
(1)まず分極対象となる圧電体Wに直流電圧を印加し(ステップS1)、分極中の分極度Δfmid が初期設定レベルに到達するまで分極する(ステップS2)。なお、分極と同時に電流を測定し、高圧切換回路3内の保護抵抗での電圧降下分を算出し、印加電圧にフィードバックするのがよい。つまり、この電圧降下分を初期印加電圧に加えることにより、圧電体Wの電極間電圧が常に一定になるように制御するためである。
(2)初期設定レベルに到達した時の電流値を測定し(ステップS3)、図5から分極戻り量を求める(ステップS4)。そして、次式から残留分極度Δfrem を予測する(ステップS5)。
予測Δfrem =初期設定レベル−分極戻り量
例えば、測定された電流値が0.3mAの場合、分極戻り量は1.58kHzとなり、初期設定レベルを6.4kHzとすると、予測残留分極度Δfrem は、
予測Δfrem =6.4−1.58
=4.82〔kHz〕
となる。
(3)次に、予測残留分極度Δfrem を目標値(例えば5kHz)と比較する(ステップS6)。予測残留分極度Δfrem が目標値以上の場合には、設定レベルを初期設定レベルに維持し、分極中の分極度Δfmid が初期設定レベルに達した時点で、直流電圧の印加を停止すればよい(ステップS7)。
(4)一方、予測残留分極度Δfrem が目標値未満の場合、設定レベルを次式で更新する(ステップS8)。
設定レベル更新値=初期設定レベル+(目標値−予測値)
例えば、初期設定レベルが6.4kHz、目標値が5kHz、予測値が4.82kHzとすると、設定レベルの更新値は6.58kHzとなる。
なお、設定レベルの更新値を求める方法は、上式に限らない。例えば、次式でも求めることができる。
設定レベル更新値=目標値+分極戻り量
このように、ロット間バラツキによる分極戻り量の増加量に応じて、設定レベルを初期設定レベルに比べて高い値に更新する。
この設定レベルの更新値に分極中の分極度Δfmid が到達した時(ステップS9)、直流電圧の印加を停止する(ステップS7)。
【0022】
図8は、原料や焼成ロットの違いによる分極戻り量を狙いの分極度へフィードバックした場合(本発明)と、フィードバックしない場合(従来例)とのロット間の分極度ばらつきを示したものである。
図8の(A)はロット間の分極度平均値(AVE)の比較、(B)はロット間の分極度ばらつき(3σ)の比較である。共に初期設定レベルΔf=6.4kHzとした。
(A)から明らかなように、フィードバック有りの場合には、フィードバック無しの場合に比べて、残留分極度Δfrem の平均値のロット間バラツキが小さく、目標値(5kHz)に集中していることがわかる。
また、(B)から明らかなように、フィードバック有りの場合には、フィードバック無しの場合に比べて、残留分極度Δfrem のロット内でのバラツキ(3σ)も小さくなっていることがわかる。
【0023】
上記のように、原料や焼成ロットの違いによる分極戻り量を、分極中の電流測定により求めることができることから、分極中の分極度ではわからない残留分極度を予測することができ、分極戻り量を狙いの分極度へフィードバックすることにより、ロット間の分極度バラツキを従前以上に低減することができる。
また、材料開発時に、数ロット分の分極制御条件出しを行えばよいため、従来工法のような、ロット製造時毎の先行試験も不要となり、分極工程の合理化が図れるという利点がある。
【0024】
上記実施例では、測定した電流値から分極戻り量を求め、この分極戻り量から残留分極度Δfrem を予測するようにしたが、電流値と残留分極度との関係を予め実験的に求めておき、電流値から直接残留分極度を予測するようにしてもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、原料や焼成ロットの違いによる分極度バラツキを分極中の電流により予測し、狙いの分極中分極度へフィードバックするようにしたので、ロット間の分極度バラツキを最小限に抑え、残留分極度を目標値へ高精度に制御することができる。
また、ロット毎の先行試験による分極条件出しを廃止でき、後工程での周波数調整効率の向上、良品率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】残留分極度および分極戻り量のロット間比較図である。
【図2】分極処理過程における圧電体の分極度の変化を示す図である。
【図3】本発明にかかる分極方法を実施するための分極制御装置の一例の説明図である。
【図4】分極中の分極度と常温戻し後の分極度との相関関係を示す図である。
【図5】分極中の電流値と分極戻り量との関係を示す図である。
【図6】分極中の分極度の挙動を示す図である。
【図7】分極制御方法の一例のフローチャート図である。
【図8】分極制御時のロット間の分極度の比較図である。
【符号の説明】
W 圧電体
1 恒温槽
2 高電圧直流電源
3 高圧切換回路
4 AC/DC分離回路
5 測定器(ネットワークアナライザ)
6 電流検出回路
7 制御装置
Claims (5)
- 圧電体に直流電圧を印加して分極処理を行なう工程と、
圧電体の分極処理を行いながら、分極中の分極度Δfmid を測定する工程と、
測定された分極中の分極度Δfmid が設定レベルに達した時の圧電体に流れる電流を測定する工程と、
測定した電流値から、電圧印加停止直前の分極度と電圧印加停止後エージングした後の分極度との差である分極戻り量を求め、上記設定レベルと分極戻り量との差によって残留分極度Δfrem を求める工程と、
求めた残留分極度Δfrem に応じて、分極中の分極度Δfmid の設定レベルを更新する工程と、
分極中の分極度Δfmid がこの更新された設定レベルに達した時に直流電圧の印加を停止する工程と、を含む圧電体の分極方法。 - 上記求めた残留分極度Δfrem が目標値未満の場合に、分極中の分極度Δfmid の設定レベルを更新する工程と、
求めた残留分極度Δfrem が目標値以上の場合に、分極中の分極度Δfmid の設定レベルを更新せず、分極中の分極度Δfmid が上記設定レベルに達した時に直流電圧の印加を停止する工程と、を含む請求項1に記載の圧電体の分極方法。 - 上記設定レベルは、
直流電圧の印加を停止する直前の分極度と、印加停止後エージングして常温に戻した後の残留分極度との間の相関関係によって求められることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電体の分極方法。 - 上記設定レベルは、
直流電圧の印加を停止する直前の分極度と残留分極度との相関データを、複数ロットについて実験的に求め、これらデータの近似直線によって求められることを特徴とする請求項3に記載の圧電体の分極方法。 - 上記設定レベルの更新値は、
初期の設定レベルと、残留分極度Δfrem の目標値と予測値との差との和で与えられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の圧電体の分極方法。
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