JP3722126B2 - リラクタンスモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リラクタンスモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から鉄など高透磁率材からなるロータ本体に永久磁石を埋設したロータ本体が知られている。
【0003】
図6は、リラクタンストルクを有効に利用するため、本発明者らが開発した2層構造の永久磁石付ロータを示している。(特開平8−331783号公報)
この先行発明に係わるロータ1は中心にロータ軸2を有し、鉄製ロータコア3にロータ半径方向に1極当たり2層に間隔を置いて配置された4組の永久磁石4a,4bを埋設してなり、各組の永久磁石4a,4bはS極,N極が交互となるように隣接して配置され、いずれもロータの求心方向へ凸形をなす円弧形状に形成されている。この鉄製ロータコア3は多数の有穴のコアシートを積層して構成されるが、穴の位置を合わせて積層し、上述の円弧状の永久磁石を挿入埋め込むことになる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−331783号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記先行発明の構成においては、ロータ組み付け工数としては最も少なく、低コストで製作可能であるが、ロータに設けたスリット部分がロータ軸と平行に真っ直ぐに構成されているため、ステータとの位置関係でロータが回転中のコギングトルク変動が大きくなってしまう不具合点があった。
【0006】
一例として、当先行発明の構成における磁界解析によるトルクリップルの変動結果を図7に示す。このデータより明らかなように約80%という大きいトルク変動を示している。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本件出願に係る発明は上記先行発明の問題点を解決するため、ロータコア内部に永久磁石を軸方向に埋設してなる永久磁石埋め込み型リラクタンスモータにおいて、軸方向に複数に分割した永久磁石を、同様に軸方向に複数に分割したロータコアに埋設し、これら複数個のロータコア完成品をロータ回転方向にずらして軸方向に一体に構成する。詳細に説明すると、リラクタンスモータのロータ内部に永久磁石が軸方向に埋設されるリラクタンスモータにおいて、
前記ロータは、軸方向に分割された複数のロータコア完成品と、複数の前記ロータコア完成品を一体として挿入されるロータ軸とからなり、
前記永久磁石は、前記ロータコア完成品の極毎にこのロータコア完成品の半径方向に間隔を置いて複数層に埋設され、かつ前記永久磁石の形状は前記ロータの求心方向へ凸形をなす円弧形状であり、さらに前記永久磁石の磁極は前記極毎にS極,N極が交互となるように配置されており、
前記リラクタンスモータのステータの歯と、前記ロータの永久磁石との回転位置の位置関係により、
前記ロータコア完成品各々のうち、一のロータコア完成品の永久磁石と前記ステータの歯とが相対して、前記一のロータコア完成品にての前記ステータ側から前記ロータ側に流れる磁束量が小さいときには、他のロータコア完成品のスロットと前記ステータの歯との位置関係が、他のロータコア完成品の永久磁石とステータの歯とが相対する位置よりもずれており、他のロータコア完成品にての前記ステータ側から前記ロータ側に流れる磁束量が大きく、
次の時点においては、前記一のロータコア完成品の永久磁石と前記ステータの歯とが相対する位置よりもずれており、前記一のロータコア完成品にての前記ステータ側から前記ロータ側に流れる磁束量が大きく、このときには前記他のロータコア完成品の永久磁石と前記ステータの歯とが相対しており、前記他のロータコア完成品にての前記ステータ側から前記ロータ側に流れる磁束量が小さく、
このように、前記ステータ側から前記ロータ側全体に流れる磁束量が平均化されるように前記ロータコア完成品各々が回転方向にてずらされて軸方向に一体に構成されるリラクタンスモータである。さらに、上記のリラクタンスモータにおいて、4極のロータコアであり、1極当たり2層に間隔を置いて円弧形状の永久磁石複数個が埋設されるリラクタンスモータである。
さらに、上記のいずれかのリラクタンスモータにおいて、ロータが2個のロータコア完成品を有するリラクタンスモータである。
さらに、上記のいずれかのリラクタンスモータにおいて、ロータが3個のロータコア完成品を有するリラクタンスモータである。
【0008】
この発明によれば、ロータに設けたスリット部分の位置とステータの歯の位置が同時に同一位置に来ることがなくなるため、コギングが減少し、トルクリップルの少ない良好な特性のリラクタンスモータが得られる。
【0009】
また、本件出願に係る発明は、複数個のスリットを設けてなるロータを有するリラクタンス型同期モータにおいて、前記ロータは複数個のロータコア完成品よりなり、各ロータコア完成品は前記スリット位置を回転方向にずらして軸方向に一体に構成する。
【0010】
この発明によれば、ロータに設けたスリット部分の位置とステータの歯の位置が同時に同一位置に来ることがなくなるため、コギングが減少し、トルクリップルの少ない良好な特性のリラクタンスモータが得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記の課題を解決するために本発明は、複数個のロータコア完成品を回転方向にずらして構成するロータを有するリラクタンスモータである。
【0012】
永久磁石を有するリラクタンスモータにおいては、永久磁石をロータ軸方向に複数個に分割して、各永久磁石の軸方向長さに合わせてロータコアシートを積層したものに永久磁石を埋設して得られた複数個のロータコア完成品を回転方向にずらして一体に構成してロータを得る。また、永久磁石を有しないリラクタンスモータにおいても、永久磁石を有しないだけで上述と全く同様の構成となる。
【0013】
【実施例】
以下本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0014】
(実施例1)
図1に示すように、ロータ1の内部に埋め込まれた永久磁石4a,4bは軸方向に2分割されており、分割された永久磁石4a,4bの軸方向の長さに合わせて、ロータコアシートを積層しロータコア3を得る。その積層されたロータコア3に分割された永久磁石4a,4bをそれぞれ埋め込み一体として構成したロータコア完成品3a,3bを得る。
【0015】
この2個のロータコア完成品3a,3bを回転方向にずらして接合しロータ軸2を圧入等の手段で挿入してロータ1を得る。
【0016】
図3にロータコア完成品3a部でのロータ,ステータの回転方向位置関係の説明図を示す。また図4にロータコア完成品3b部でのロータ,ステータの回転方向位置関係の説明図を示す。この図3と図4は、ロータコア完成品3a及び3bが一体に構成されたロータ1がある回転位置において、ステータ側の歯やスロットとの位置関係を示している。
【0017】
ロータコア完成品3a側が図3に示すように、ステータの歯6の位置に永久磁石4a及び/または4bが合致した場合、磁気抵抗は大きくなり磁束8は小さくなる。この時一方、ロータコア完成品3b側は図4に示すようにステータの歯6の位置と永久磁石4a及び/または4bとがずれているので、磁気抵抗は小さくなり磁束8は大きくなる。
【0018】
このように図3及び図4の位置関係にある時点では、ステータ側からロータ側に流れる磁束量はロータコア完成品3a側は小さく、ロータコア完成品3b側は大きくなり、ロータ1全体としては平均化されることになる。また、図示していないが、次の時点においてはステータ側からロータ側に流れる磁束量は、ロータコア完成品3a側は大きくロータコア完成品3b側は小さくなり、ロータ1全体としては、やはり平均化される。
【0019】
この磁束量の変化がコギングトルクとなるので、本発明の構成によりコギングトルクが小さいリラクタンスモータが得られることになる。
【0020】
図5に本発明の構成における磁界解析によるトルクリップルの変動結果を示す。このデータにより明らかなように、トルク変動は約35%となっており、図7に示す従来例より大幅に改善されている。
【0021】
なお上記実施形態では、2個のロータコア完成品を一体に構成したロータとして説明したが、3個以上のロータコア完成品を一体に構成したロータとしてもよい。3個以上のロータコア完成品を同一回転方向にずらした構成やロータ中心に向かう半数を同一回転方向にずらし、残り半数は逆方向にずらした構成にすれば、さらにコギングトルクは減少し、トルク変動も小さくなる。
【0022】
(実施例2)
図2に示すように、複数個の円弧状のスリットを設けたコアシートを積層して得られたロータコア完成品3aと、同様にして得られたロータコア完成品3bとを回転方向にずらして接合し、ロータ軸2を圧入等の手段で挿入してロータ1を得る。
【0023】
この構成により実施例1における永久磁石4a,4bがスリット5に代わっただけなので実施例1と同様にコギングトルクが小さいリラクタンスモータが得られる。
【0024】
なお上記実施例では、2個のロータコア完成品を一体に構成したロータとして説明したが、3個以上のロータコア完成品を一体に構成したロータとしてもよい。3個以上のロータコア完成品を同一回転方向にずらした構成やロータ中心に向かう半数を同一回転方向にずらし、残り半数は逆方向にずらした構成にすれば、さらにコギングトルクは減少し、トルク変動も小さくなる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、複数個のロータコア完成品をそれぞれ回転方向にずらして一体に構成したロータを有するリラクタンスモータとすることにより、コギングトルクが小さく、また回転中のトルクリップルが小さいリラクタンスモータとなり、モータ回転中の騒音や振動を抑えた良好な特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すロータの斜視図
【図2】本発明の他の実施例を示すロータの斜視図
【図3】本発明の実施例の作用を説明する図
【図4】本発明の実施例の作用を説明する図
【図5】本発明の実施例の磁界解析による特性図
【図6】従来のロータの斜視図
【図7】従来例の磁界解析による特性図
【符号の説明】
1 ロータ
2 ロータ軸
3 ロータコア
3a、3b ロータコア完成品
4 永久磁石
5 スリット
6 ステータの歯
7 スロット
8 磁束
β ロータコアの回転方向のずれ
Claims (4)
- リラクタンスモータのロータ内部に永久磁石が軸方向に埋設されるリラクタンスモータにおいて、
前記ロータは、軸方向に分割された複数のロータコア完成品と、複数の前記ロータコア完成品を一体として挿入されるロータ軸とからなり、
前記永久磁石は、前記ロータコア完成品の極毎にこのロータコア完成品の半径方向に間隔を置いて複数層に埋設され、かつ前記永久磁石の形状は前記ロータの求心方向へ凸形をなす円弧形状であり、さらに前記永久磁石の磁極は前記極毎にS極,N極が交互となるように配置されており、
前記リラクタンスモータのステータの歯と、前記ロータの永久磁石との回転位置の位置関係により、
前記ロータコア完成品各々のうち、一のロータコア完成品の永久磁石と前記ステータの歯とが相対して、前記一のロータコア完成品にての前記ステータ側から前記ロータ側に流れる磁束量が小さいときには、他のロータコア完成品のスロットと前記ステータの歯との位置関係が、他のロータコア完成品の永久磁石とステータの歯とが相対する位置よりもずれており、他のロータコア完成品にての前記ステータ側から前記ロータ側に流れる磁束量が大きく、
次の時点においては、前記一のロータコア完成品の永久磁石と前記ステータの歯とが相対する位置よりもずれており、前記一のロータコア完成品にての前記ステータ側から前記ロータ側に流れる磁束量が大きく、このときには前記他のロータコア完成品の永久磁石と前記ステータの歯とが相対しており、前記他のロータコア完成品にての前記ステータ側から前記ロータ側に流れる磁束量が小さく、
このように、前記ステータ側から前記ロータ側全体に流れる磁束量が平均化されるように前記ロータコア完成品各々が回転方向にてずらされて軸方向に一体に構成されるリラクタンスモータであり、さらに前記ロータコアが4極のロータコアであり、1極当たり2層に間隔を置いて円弧形状の永久磁石複数個が埋設されるリラクタンスモータ。 - 請求項1又は請求項2のいずれかに記載のリラクタンスモータにおいて、ロータが2個のロータコア完成品を有するリラクタンスモータ。
- 請求項1又は請求項2のいずれかに記載のリラクタンスモータにおいて、ロータが3個のロータコア完成品を有するリラクタンスモータ。
- 請求項1記載のリラクタンスモータにおいて、複数層の永久磁石が複数層のスリットに置換されるリラクタンスモータ。
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