JP3700274B2 - 車両用制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前後輪および左右輪のスリップ率の内の制御可能なスリップ率を制御することにより車両のヨーモーメントを制御し得るようにした車両用制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の車両用制御装置としては、例えば、特開昭63−106168号公報に記載されたものがある。この従来例の車両用制御装置は、路面摩擦係数(路面μ)が変化して左右輪の路面μが異なるようになった場合、つまり、車両が左右異μ路を走行する場合には、高μ側車輪の制動力を低μ側と同程度になるまで低下させる制御を行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例の車両用制御装置においては、左右方向の路面μの変化に対しては高μ側車輪の制動力を低μ側と同程度になるまで低下させる制御を行うが、前後方向の路面μの変化に対しては、通常のABS(antiskid brake system )制御の場合と同様に特別な制御を行っていない。そのため、前後方向において路面μが例えば高μから低μに変化した場合、制御開始1サイクル目には実際の車輪のスリップ率が目標車輪スリップ率に対して大きくなってロック傾向を示すため、適正なスリップ率に回復するまでに要する時間が長くなり、その間にタイヤ横力が低下してしまう。
【0004】
例えば、図8(a)に示すように、旋回中に路面μが高μから低μに変化する際に前輪のみが低μ路へ進入した状態では、前輪のタイヤ横力が低下するため、旋回外向のアンダーステア(US)モーメント(図示太線矢印A)が発生し、車両挙動変化が大きくなってしまう。
一方、図8(b)に示すように、旋回中に路面μが低μから高μに変化する際に前輪のみが高μ路へ進入した状態では、前輪の横力が増大するため、旋回内向のオーバーステア(OS)モーメント(図示太線矢印B)が発生し、車両挙動変化が大きくなっててしまう。
【0005】
本発明は、前後方向の路面摩擦係数の変化に応じて前後輪または左右輪の目標スリップ率を補正して、旋回時にタイヤ横力の変化に応じて生じるUSまたはOSモーメントを打ち消すようにすることにより、上述した問題を解決することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的のため、本発明の請求項1に係る構成は、前後輪および左右輪の双方のスリップ率を制御可能な車両用制御装置において、車両進行方向の前後での路面摩擦係数の変化を検出する路面摩擦係数変化検出手段と、左右輪が旋回内外輪の何れに該当するかを識別する内外輪識別手段と、前記路面摩擦係数変化検出手段により路面摩擦係数の低摩擦係数から高摩擦係数への変化が検出された場合には、前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回外輪目標スリップ率を大きくする補正および前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回内輪目標スリップ率を小さくする補正を行い、前記路面摩擦係数変化検出手段により路面摩擦係数の高摩擦係数から低摩擦係数への変化が検出された場合には、前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回外輪目標スリップ率を小さくする補正および前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回内輪目標スリップ率を大きくする補正を行う目標スリップ率補正手段とを具備して成ることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項1においては、内外輪識別手段により左右輪が旋回内外輪の何れに該当するかが識別されると、目標スリップ率補正手段は、前後輪および左右輪の双方のスリップ率を制御可能な車両用制御装置では、車両進行方向の前後での路面摩擦係数の変化を検出する路面摩擦係数変化検出手段により、路面摩擦係数の低摩擦係数から高摩擦係数への変化が検出された場合には、前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回外輪目標スリップ率を大きくする補正および前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回内輪目標スリップ率を小さくする補正を行い、前記路面摩擦係数変化検出手段により路面摩擦係数の高摩擦係数から低摩擦係数への変化が検出された場合には、前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回外輪目標スリップ率を小さくする補正および前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回内輪目標スリップ率を大きくする補正を行う。
【0008】
本発明の請求項2に係る構成は、前記目標スリップ率補正手段は、前記路面摩擦係数変化検出手段により低摩擦係数から高摩擦係数への変化が検出された場合には前輪目標スリップ率を大きくする方向の補正および後輪目標スリップ率を小さくする方向の補正の少なくとも一方を行い、高摩擦係数から低摩擦係数への変化が検出された場合には前輪目標スリップ率を小さくする方向の補正および後輪目標スリップ率を大きくする方向の補正の少なくとも一方を行うことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項2においては、目標スリップ率補正手段は、前記車両用制御装置が少なくとも前後輪のスリップ率を制御可能な車両用制御装置であるとき、路面摩擦係数変化検出手段により検出された前後方向の路面摩擦係数の変化が低摩擦係数から高摩擦係数への変化である場合には前輪目標スリップ率を大きくする方向の補正および後輪目標スリップ率を小さくする方向の補正の少なくとも一方を行い、逆に高摩擦係数から低摩擦係数への変化である場合には前輪目標スリップ率を小さくする方向の補正および後輪目標スリップ率を大きくする方向の補正の少なくとも一方を行う。
【0010】
本発明の請求項3に係る構成は、各輪について前記目標スリップ率とスリップ率との偏差であるスリップ率偏差を算出し、このスリップ率偏差と各輪の車輪速から算出した車輪加速度とに基づいてブレーキ圧を調整するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】
本発明の請求項1によれば、車両進行方向の前後での路面摩擦係数の変化時には、路面摩擦係数の低摩擦係数から高摩擦係数への変化が検出された場合には、前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回外輪目標スリップ率が大きく補正されるとともに前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回内輪目標スリップ率が小さく補正され、前記路面摩擦係数変化検出手段により路面摩擦係数の高摩擦係数から低摩擦係数への変化が検出された場合には、前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回外輪目標スリップ率が小さく補正されるとともに前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回内輪目標スリップ率が大きく補正されるから、旋回時にタイヤ横力の変化に応じて生じるUSまたはOSモーメントを抑制して車両挙動変化を小さくすることができる。
【0012】
本発明の請求項2によれば、旋回時にタイヤ横力の変化に応じて生じるUSまたはOSモーメントを抑制するように前後方向の路面摩擦係数に応じて目標スリップ率を補正するから、車両挙動変化を小さくすることができる。
【0013】
本発明の請求項3によれば、上記のように補正された目標スリップ率とスリップ率とから算出したスリップ率偏差と、車輪加速度とに基づいてブレーキ圧を補正するから、車輪挙動変化を小さくすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態の車両用制御装置を適用した車両の構成を示す図である。図1中10,20は夫々左右前輪を示し、30,40は夫々左右後輪を示す。上記各輪は夫々、ホイルシリンダ11,12,13,14を具える。また、図1中1はブレーキペダル、2はブースタ、3はリザーバ、4はマスタシリンダ、60は図示しないアンチスキッド装置の圧力サーボユニットであり、マスタシリンダ4とホイルシリンダ11〜14との間は図示しない配管によって接続されている。なお、上記車両用制御装置は前後輪および左右輪の少なくとも一方のスリップ率を制御可能なものとするが、本実施形態では少なくとも前後輪のスリップ率を制御可能な車両用制御装置であればよい。
【0018】
また、図1中50はコントローラであり、コントローラ50の出力信号によって圧力サーボユニット60を介して上記アンチスキッド装置の各バルブの動作を制御する。コントローラ50には、上記各輪に設けられた車輪速センサ51,52,53,54からの信号Vw1, w2, w3, w4が夫々入力される他、ブレーキペダル1に設けられたブレーキスイッチ6からの信号、ならびに上記各ホイールシリンダに設けられた圧力センサ71,72,73,74の出力信号が夫々入力される。
【0019】
コントローラ50は、図2の機能ブロック図に示すように、車輪速センサ51〜54からの入力信号に基づき車輪速を演算する車輪速演算部50aと、演算された車輪速に基づき車体速を演算する車体速演算部50bと、演算された車輪速に基づき車輪加速度を演算する車輪加速度演算部50cと、路面摩擦係数の変化を検出する路面摩擦係数変化検出部(路面摩擦係数変化検出手段)50dと、上記車体速演算部50b、車輪加速度演算部50cおよび路面摩擦係数変化検出部50dからの出力に基づき目標スリップ率を演算する目標スリップ率演算部50eと、目標スリップ率演算部50eからの出力に基づき圧力サーボユニット60に駆動パルスを出力する駆動パルス出力部50fとから成る。
【0020】
図3は第1実施形態においてコントローラによって実行されるスリップ率制御の制御プログラムの一例を示すフローチャートである。この図3の制御は図示しないオペレーションシステムにより、所定時間毎の定時割り込みによって実行される。なお、以下の説明において、iは各輪に対応する添え字であり、i=1〜4である。
まず、図3のステップ100では、車輪速センサ51〜54からの信号である車輪速Vwiを読み込む。なおここで、車輪速Vw1、Vw2、Vw3、Vw4i は夫々、左前輪10、右前輪20、左後輪30、右後輪40に対応するものとする。次のステップ101では、車輪速Vwiを時間で微分して車輪減速度Vwdi を演算し、次のステップ102では、推定車体速Vi を演算する。
【0021】
本実施形態では、上記擬似車体速(推定車体速)Vi は、通常のABS制御で用いられる方法によって算出するものとする。すなわち、各輪の車輪速Vw にフィルタをかけ、より車体速度に近いVwfi を各輪毎に算出し、制動時/非制動時等の条件により、各Vwfi の中から最大のものを選択することにより最も車体速度に近いVwf(以下、車体速中間値と称す)を演算し、さらにこのVwfに基づいて推定車体速Vi を求める。
【0022】
次のステップ103では、実際のスリップ率である実スリップ率Si を、次式によって演算する。
【数1】
Figure 0003700274
【0023】
次のステップ104では、各輪の路面摩擦係数の変化を以下の各式によって演算(検出)する。
i ×(dωi /dt)=TBi−Fw −(2)
ただし、Ii :タイヤ慣性、(dωi /dt):タイヤ回転加速度、TBi:ブレーキトルク、Fw :路面伝達力
ωi =VWi/r −(3)
ただし、 ωi :タイヤ回転速度、r:タイヤ半径
Bi =K1 ×PBi −(4)
ただし、K1 :ブレーキ圧(ブレーキトルクへの比例係数であり、ブレーキパッドの摩擦係数およびピストン面積等により決定される)、PBi:ブレーキ圧力
w =μWi =ki ×Si ×Wi −(5)
ただし、μ:路面摩擦係数、Wi :輪荷重、ki :制・駆動剛性係数
よって、次式が得られる。
【数2】
Figure 0003700274
【0024】
上記演算において、輪荷重Wi は、静荷重を前後加速度および横加速度によって演算してもよく、あるいは、静的な前後の重量配分によって前輪(後輪)平均として前輪(後輪)左右のki の平均値を求めてもよい。
本実施形態では、前輪の推定路面摩擦係数μsfおよび後輪の推定路面摩擦係数μsrを夫々、次式によりki を左右平均して求める。
μsf=(kfl+kfr)/2 −(7)
μsr=(krl+krr)/2 −(8)
ただし、kfl=K1 、kfr=k2 、krl=k3 、krr=k4 である。
【0025】
ここで、路面摩擦係数の変化を検出するため、前後輪の推定路面摩擦係数の比Jμを次式により求める。
Jμ=μ sf /μ sr −(9)
このJμに基づいて前後方向の路面摩擦係数の変化の判断を行う。すなわち、
(ア)Jμ=1ならば、路面摩擦係数の変化なし
(イ)Jμ<1ならば、路面摩擦係数の高μから低μへの変化
(ウ)Jμ>1ならば、路面摩擦係数の低μから高μへの変化
と判断する。なお、「路面摩擦係数の高μから低μへの変化」とは、後輪側が高μ路で前輪側が低μ路である場合(すなわち車両の走行路が高μから低μへ変化する場合)のことであり、例えば図8(a)の場合が該当する。
【0026】
次のステップ105では、目標スリップ率を設定する。この目標スリップ率の設定では、同時に目標スリップ率の補正も行う(このステップ105において、コントローラ50は目標スリップ率補正手段として機能する)。すなわち、前輪目標スリップ率αfおよび後輪目標スリップ率αrを夫々、目標スリップ率の初期値αと、1および前後輪のスリップバランスを補正するような補正係数γの差または和とを乗算することにより求め、次式を得る。
αf=α(1−γ) −(10)
αr=α(1+γ) −(11)
上記補正係数γは、その正負を上記路面摩擦係数変化判断に応じて決定されるとともに前後の路面摩擦係数の比により決定される係数であり、ステップ104で求めた路面変化直後の前後輪の推定路面摩擦係数の比Jμより以下のようにして算出する。
γ=Kγ(1−Jμ) −(12)
ただし、Kγ:換算係数である。
【0027】
次のステップ106では、車輪のスリップ率(Si )と目標スリップ率(αf,αr)との偏差であるスリップ率偏差λf ,λr と、車輪減速度Vwdi とに応じて、ホイールシリンダ圧(W/C圧)の増減圧を決定する。本実施形態では、図4に例示する制御マップに従って増減圧モードを決定するABS制御を用いるものとする。
上記制御マップでは、スリップ率偏差λf =Si −αfまたはスリップ率偏差λr =Si −αrと、車輪加速度Vwdi とに応じて、現在の車輪の状態がどのゾーンに属しているかにより増減圧モードを決定する。基本的には、図示したように、ABS制御中は保持モード、緩減圧モード、緩増圧モード、急減圧モードの4つのゾーンに区分されるが、場合によっては急増圧モードを設けてもよい。また、制御のしきい値を車速等によって変化させてもよい。なお、上記スリップ率偏差λf ,λr は、車輪スリップ率Si に対するしきい値となる。
【0028】
次のステップ107では、ステップ106で決定された増減圧モードに応じてアクチュエータ(図1の圧力サーボユニット60)の駆動パルスを出力する。
さらに、本制御プログラムの終了時には、ステップ108において、カウンタの設定を行う。このカウンタは、前輪に対して本制御を行ったとき、後輪が同一地点を通過するタイミングがホイールベース距離の走行に要する時間分遅延することから、後輪に対する制御を後輪における路面摩擦係数変化検出後に遅延させるために用いるものである。
【0029】
次に、本実施形態の作用を図5(a)、(b)および図8(a)、(b)を用いて従来例と比較しながら説明する。なお、上記各図では、路面μが変化しない場合に発生する力を細線の矢印で表わすとともに、路面μが変化する場合に発生する力を太線の矢印で表わしている。
従来例において、図8(a)に示すように旋回中に高μ路から低μ路への路面変化が生じた場合には、路面μの変化により前輪の横力が細線の矢印から太線の矢印のように低下し、この横力の低下により太線矢印AのUSモーメントが発生し、ヨーモーメントが細線の矢印から太線の矢印のように低下するため、車両挙動の変化が大きくなってしまう。
【0030】
これに対し、本実施形態では、図5(a)に示すように旋回中に高μ路から低μ路への路面変化が生じた場合には、図3の制御プログラムのステップ105において前輪の目標スリップ率を小さくするとともに後輪の目標スリップ率を大きくする目標スリップ率の補正を行うため、前輪側においては前輪の横力低下分が補償され、後輪側においては制動力が細線の矢印から太線の矢印のように増加することになる。その結果、上記太線矢印AのUSモーメントを抑制するOS方向のヨーモーメント(太線矢印Cで示す)が発生し、車両挙動変化が小さくなる。
なお、本実施形態では、上記目標スリップ率の補正において、前輪の目標スリップ率を小さくする補正および後輪の目標スリップ率を大きくする補正を同時に実施し、それら補正による旋回内向きのヨーモーメントの合計が太線矢印Cとなるようにしているが、何れか一方の補正を行うことにより太線矢印Cの旋回内向きのヨーモーメントを発生するようにしてもよい。
【0031】
一方、従来例において、図8(b)に示すように旋回中に低μ路から高μ路への路面変化が生じた場合には、路面μの変化により前輪の横力が細線の矢印から太線の矢印のように増加し、この横力の増加により太線矢印BのOSモーメントが発生し、ヨーモーメントが細線の矢印から太線の矢印のように増加するため、車両挙動の変化が大きくなってしまう。
【0032】
これに対し、本実施形態では、図5(b)に示すように旋回中に低μ路から高μ路への路面変化が生じた場合には、図3の制御プログラムのステップ105において前輪の目標スリップ率を大きくするとともに後輪の目標スリップ率を小さくする目標スリップ率の補正を行うため、前輪側においては前輪の横力増加分が補償され、後輪側においては制動力が細線の矢印から太線の矢印のように減少することになる。その結果、上記太線矢印BのOSモーメントを抑制するUS方向のヨーモーメント(太線矢印Dで示す)が発生し、車両挙動変化が小さくなる。
なお、本実施形態では、上記目標スリップ率の補正において、前輪の目標スリップ率を大きくする補正および後輪の目標スリップ率を小さくする補正を同時に実施し、それら補正による旋回外向きのヨーモーメントの合計が太線矢印Dとなるようにしているが、何れか一方の補正を行うことにより太線矢印Dの旋回内向きのヨーモーメントを発生するようにしてもよい。
【0033】
なお、本実施形態では、上記目標スリップ率の補正を前後輪の少なくとも一方において左右輪の双方に実施しているが、前後輪の少なくとも一方において左右輪の何れか一方に実施するようにしてもよい。
【0034】
図6は第2実施形態においてコントローラによって実行されるスリップ率制御の制御プログラムの一例を示すフローチャートである。本実施形態の上記第1実施形態との相違点は、図1において舵角センサ5を追加してコントローラ50に舵角センサ5からのハンドル角信号θを入力するように変更したことと、図2においてコントローラ50内に左右輪が旋回内外輪の何れに該当するかを識別する内外輪識別手段としての内外輪識別部50gを追加したことと、上記ハードウエアの追加に伴い図2の制御プログラムの一部を変更して図6の制御プログラムとしたことであり、その他の部分は上記第1実施形態と同様に構成する。なお、上記車両用制御装置は前後輪および左右輪の少なくとも一方のスリップ率を制御可能なものとするが、本実施形態では少なくとも左右輪のスリップ率を制御可能な車両用制御装置であればよい。また、舵角センサの代わりに横加速度センサ、ヨーレイトセンサ等を用いてもよい。
【0035】
図6の制御プログラムにおいては、ステップ100aでは各輪車輪速VWiに加えて舵角センサ5からのハンドル角θを入力する。
また、ステップ105aでは、目標スリップ率の設定において目標スリップ率の補正を行う際に、第1実施形態で使用した前輪目標スリップ率αfおよび後輪目標スリップ率αrの代わりに、前後輪の一方について求めた旋回内輪目標スリップ率αinおよび旋回外輪目標スリップ率αout を用いる。その際、ハンドル角θに基づいて左右輪が夫々旋回内外輪の何れに該当するかを識別しておくものとする。なお、上記ステップ105aにおいて、コントローラ50は目標スリップ率補正手段として機能する。
【0036】
上記旋回内輪目標スリップ率αinおよび旋回外輪目標スリップ率αout は、目標スリップ率の初期値αと、1および補正係数βの和または差とを乗算することにより求め、次式を得る。
αin =α(1+β) −(13)
αout =α(1−β) −(14)
上記補正係数βは、ステップ104で求めた路面変化直後の前後輪の推定路面摩擦係数の比Jμより以下のようにして算出する。
【数3】
Figure 0003700274
【0037】
次のステップ106aでは、車輪のスリップ率(Si )と目標スリップ率(αin,αout )との偏差であるスリップ率偏差λin,λout と、車輪減速度Vwdi とに応じて、ホイールシリンダ圧(W/C圧)の増減圧を決定する。本実施形態では、図4に例示する制御マップの縦軸をλin,λout に読み替えたものに従って増減圧モードを決定するABS制御を用いるものとする。
上記制御マップでは、スリップ率偏差λin=Si −αinまたはスリップ率偏差λout =Si −αout と、車輪加速度Vwdi とに応じて、現在の車輪の状態がどのゾーンに属しているかにより増減圧モードを決定する。基本的には、図示したように、ABS制御中は保持モード、緩減圧モード、緩増圧モード、急減圧モードの4つのゾーンに区分されるが、場合によっては急増圧モードを設けてもよい。また、制御のしきい値を車速等によって変化させてもよい。なお、上記スリップ率偏差λin,λout は、車輪スリップ率Si に対するしきい値となる。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。
図7(a)に示すように旋回中に高μ路から低μ路への路面変化が生じた場合には、図6の制御プログラムのステップ105aにおいて旋回外輪(この場合右輪)の目標スリップ率を小さくして旋回外輪の制動力を小さくするとともに旋回内輪(この場合左輪)の目標スリップ率を大きくして旋回内輪の制動力を大きくする目標スリップ率の補正を行うため、例えば後輪側において左輪の制動力が細線の矢印から太線の矢印のように増加するとともに右輪の制動力が細線の矢印から太線の矢印のように減少することになる。その結果、太線矢印AのUSモーメント(図8(a)参照)を抑制するOS方向のヨーモーメント(太線矢印Cで示す)が発生し、車両挙動変化が小さくなる。
なお、本実施形態では、上記目標スリップ率の補正において、旋回外輪の目標スリップ率を小さくする補正および旋回内輪の目標スリップ率を大きくする補正を同時に実施し、それら補正による旋回内向きのヨーモーメントの合計が太線矢印Cとなるようにしているが、何れか一方の補正を行うことにより太線矢印Cの旋回内向きのヨーモーメントを発生するようにしてもよい。
【0039】
一方、図7(b)に示すように旋回中に低μ路から高μ路への路面変化が生じた場合には、図6の制御プログラムのステップ105aにおいて旋回外輪の目標スリップ率を大きくして旋回外輪の制動力を大きくするとともに旋回内輪の目標スリップ率を小さくして旋回内輪の制動力を小さくする目標スリップ率の補正を行うため、例えば後輪側において左輪の制動力が細線の矢印から太線の矢印のように減少するとともに右輪の制動力が細線の矢印から太線の矢印のように増加することになる。その結果、太線矢印BのOSモーメント(図8(b)参照)を抑制するUS方向のヨーモーメント(太線矢印Dで示す)が発生し、車両挙動変化が小さくなる。
なお、本実施形態では、上記目標スリップ率の補正において、旋回外輪の目標スリップ率を小さくする補正および旋回内輪の目標スリップ率を大きくする補正を同時に実施し、それら補正による旋回内向きのヨーモーメントの合計が太線矢印Dとなるようにしているが、何れか一方の補正を行うことにより太線矢印Dの旋回内向きのヨーモーメントを発生するようにしてもよい。
【0040】
なお、上記各実施形態では、スリップ率制御をABS制御装置を用いて実現するようにしているが、4輪駆動車両による前後輪のスリップ率制御装置や、左右駆動力配分制御による内外輪のスリップ率制御装置を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の車両用制御装置を適用した車両の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態のコントローラの機能ブロック図である。
【図3】第1実施形態においてコントローラによって実行されるスリップ率制御の制御プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態のホイールシリンダ圧制御に用いる制御マップを例示する図である。
【図5】(a)、(b)は夫々、第1実施形態の作用を説明するための図である。
【図6】第2実施形態においてコントローラによって実行されるスリップ率制御の制御プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図7】(a)、(b)は夫々、第2実施形態の作用を説明するための図である。
【図8】(a)、(b)は夫々、従来例の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ブレーキペダル
2 ブースタ
3 リザーバ
4 マスタシリンダ
5 舵角センサ
6 ブレーキスイッチ
10,20 左右前輪
11,12,13,14 ホイールシリンダ
30,40 左右後輪
50 コントローラ
51,52,53,54 車輪速センサ
60 圧力サーボユニット
71,72,73,74 液圧センサ

Claims (3)

  1. 前後輪および左右輪の双方のスリップ率を制御可能な車両用制御装置において、
    車両進行方向の前後での路面摩擦係数の変化を検出する路面摩擦係数変化検出手段と、
    左右輪が旋回内外輪の何れに該当するかを識別する内外輪識別手段と、
    前記路面摩擦係数変化検出手段により路面摩擦係数の低摩擦係数から高摩擦係数への変化が検出された場合には、前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回外輪目標スリップ率を大きくする補正および前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回内輪目標スリップ率を小さくする補正を行い、前記路面摩擦係数変化検出手段により路面摩擦係数の高摩擦係数から低摩擦係数への変化が検出された場合には、前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回外輪目標スリップ率を小さくする補正および前記路面摩擦係数の変化量に応じて旋回内輪目標スリップ率を大きくする補正を行う目標スリップ率補正手段とを具備して成ることを特徴とする車両用制御装置。
  2. 前記目標スリップ率補正手段は、前記路面摩擦係数変化検出手段により低摩擦係数から高摩擦係数への変化が検出された場合には前輪目標スリップ率を大きくする方向の補正および後輪目標スリップ率を小さくする方向の補正の少なくとも一方を行い、高摩擦係数から低摩擦係数への変化が検出された場合には前輪目標スリップ率を小さくする方向の補正および後輪目標スリップ率を大きくする方向の補正の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項1記載の車両用制御装置。
  3. 各輪について前記目標スリップ率とスリップ率との偏差であるスリップ率偏差を算出し、このスリップ率偏差と各輪の車輪速から算出した車輪加速度とに基づいてブレーキ圧を調整するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の車両用制御装置。
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