JP3706198B2 - 水性印刷インキ用バインダ− - Google Patents

水性印刷インキ用バインダ− Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水性印刷インキ用バインダーに関する。さらに詳しくは、インキの再溶解性が良く、塗膜の耐油性に優れかつ低臭気性である水性印刷インキ用バインダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水性の印刷インキ用バインダーとしては、ポリウレタン樹脂エマルションからなるもの(特開昭63−37160号公報、特開平2−238015号公報など)が知られている。しかしこれらのものは、樹脂が水中に分散したエマルションであるため、エマルション粒子が凝集すると再溶解性が悪く、印刷中に版詰まりを起こす問題がある。また、水溶性のポリエーテル系ポリウレタン樹脂からなるもの(たとえば特開昭55−134635号公報)が提案されているが、インキとした場合の耐油性が悪くなる問題がある。このような問題を解決するものとして、平均官能基数が2未満の分子末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの中和物を水中で鎖伸長してなるもの(特開平7−3199号公報)が提案されているが、このものは中和剤に有機アミン(3級アミン)を使用する水溶性ポリウレタン樹脂であるために、通常の印刷乾燥条件では一部の有機アミンが塗膜中に残存して不快な臭気を有する問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インキの再溶解性が良好で印刷途中に版詰まりすることなく良好な印刷物が得られ、しかも印刷物とした場合の塗膜の耐油性が良好でかつ残存有機アミン等の臭気が極めて少ない水性印刷インキ用バインダーを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、分子末端にイソシアネート基と分子側鎖にアニオン性基とを含有するポリウレタン樹脂をアンモニアで末端封止するとともに該アニオン性基を中和し、親水性を付与して水性化することで上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
すなわち本発明は、有機ポリイソシアネート(a)、ポリエステルポリオール(b)、分子内にアニオン性基と少なくとも2個の活性水素含有基とを有する化合物(c)および必要により鎖伸長剤(d)から誘導された分子末端にイソシアネート基を含有するポリウレタン樹脂(A)を、アンモニアで末端封止するとともに該アニオン性基を中和し、水性媒体中に溶解させてなる水性ポリウレタン樹脂からなることを特徴とする水性印刷インキ用バインダーである。
【0006】
【発明に実施の形態】
有機ポリイソシアネート(a)としては、例えば▲1▼芳香族ジイソシアネート[2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)など];▲2▼脂肪族ジイソシアネート[ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネートなど];▲3▼脂環族ジイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)など];▲4▼芳香脂肪族ジイソシアネート[キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)など];▲5▼これらの有機ジイソシアネートの変性体(たとえばイソシアヌレート、ビュレット、カーボジイミドなどの変性体)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは脂環族ジイソシアネートおよび芳香脂肪族ジイソシアネートであり、特に好ましいものはIPDI、水添MDI、TMXDIおよびXDIである。
【0007】
ポリエステルポリオール(b)としては、▲1▼数平均分子量500以下の低分子ポリオール[エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,6ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチルプロピレングリコール、2,2−ジメチロールオクタン、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ビスヒドロキシルベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ビスフェノールAのアルキレンオキシド(たとえばエチレンオキシド、プロピレンオキシドなど)低モル付加物など]と多価カルボン酸(アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ダイマー酸またはこれらのエステル形成性誘導体)からなる末端ヒドロキシル基を有する縮合ポリエステルポリオール、▲2▼ラクトンポリエステルポリオール(ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオールなど)、▲3▼ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。これらのうちで好ましいものは炭素数5〜10の直鎖または分岐の低分子ポリオールと多価カルボン酸とからの縮合ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオールおよびポリカーボネートジオールであり、特に好ましくは炭素数5〜10の分岐の低分子ポリオールとジカルボン酸とからの縮合ポリエステルポリオール[ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、ポリ(1,4−ペンタンアジペート)ジオール、ポリ(2,5−ヘキサンアジペート)ジオール、ポリ(2−ブチル−2−エチルプロピレンアジペート)ジオール、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,6ヘキサンアジペート)ジオールおよびポリ(2−メチル−1,8−オクタンアジペート)ジオール]である。
【0008】
本発明において、ポリエステルポリオール(b)の数平均分子量は、通常500〜10,000、好ましくは700〜6,000である。分子量が500未満ではポリウレタン樹脂の皮膜が硬くなり、インキとした場合にプラスチックフィルムへの接着性が低下し、10,000を越えると該ポリウレタン樹脂の皮膜が柔らかくなりすぎ、インキとした場合に塗膜の耐油性および耐ブロッキング性が低下する。
【0009】
分子内にアニオン性基と少なくとも2個の活性水素含有基とを有する化合物(c)としては、例えば▲1▼ヒドロキシ酸(グリコール酸、酒石酸、4,6−ジヒドロキシイソフタル酸、α,α−ジメチロールプロピオン酸、α,α−ジメチロール酪酸、α,α−ジメチロールノナン酸およびこれらにカプロラクトンモノマーを付加重合させて得られるカルボキシル基含有ポリカプロラクトンジオールなど);▲2▼ヒドロキシスルホン酸(1,7−ジヒドロキシナフタリンスルホン酸など);▲3▼アミノスルホン酸(2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、分子内に2個の水酸基と1個のカルボキシル基を有する化合物(α,α−ジメチロールプロピオン酸、α,α−ジメチロール酪酸およびこれらにカプロラクトンモノマーを付加重合させて得られるカルボキシル基含有ポリカプロラクトンジオール)である。
【0010】
(c)のアニオン性基がカルボキシル基の場合の該カルボキシル基の含量は、ポリウレタン樹脂(A)の重量に基づき通常1.0〜7.0重量%、好ましくは1.5〜6.0重量%、特に好ましくは2.0〜5.0重量%である。カルボキシル基の含量が1.0重量%未満では安定な水性ポリウレタン樹脂が得られず、7.0重量%を越えるとインキとしたときの皮膜の耐水性が低下する。
【0011】
必要により用いられる鎖伸長剤(d)としては、低分子ポリオールおよびポリアミンが挙げられる。低分子ポリオールとしては前記(b)の項で例示した平均分子量500以下の低分子ポリオールが挙げられる。ポリアミンとしては、脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、など);脂環族ジアミン(イソフォロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサンなど);芳香族ジアミン(4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);芳香脂肪族ジアミン(キシリレンジアミンなど);ヒドラジンもしくはその誘導体(アジピン酸ジヒドラジドなど)およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは低分子ポリオールである。
【0012】
本発明におけるポリウレタン樹脂(A)の末端イソシアネート基の濃度は通常0.1〜1.5重量%、好ましくは0.2〜1.0重量%、特に好ましくは0.3〜0.8重量%である。イソシアネート基濃度が0.1重量%未満では得られる水性ポリウレタン樹脂の分子量が大きくなり、インキとした場合に再溶解性が低下し、1.5重量%を越えると得られる水性ポリウレタン樹脂の分子量が小さくなり、インキとした場合に接着強度および耐油性が低下する。
【0013】
本発明における水性ポリウレタン樹脂の製法を例示すると、有機溶剤の存在下または非存在下で、前記の(a)、(b)、(c)および必要により(d)を反応させて分子末端にイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(A)を作成し、該(A)にアンモニアを加えて分子末端のイソシアネート基を封止とともに、アニオン性基(カルボキシル基等)を中和した後水性媒体中に溶解させて、必要により有機溶剤を除去することにより水性ポリウレタン樹脂を得る方法が挙げられる。
該(A)の製造に際しての、(b)、(c)および必要により(d)の活性水素含有基の合計と、(a)のイソシアネート基との当量比は通常1:(1.02〜2)、好ましくは、1:(1.05〜1.5)である。
【0014】
ポリウレタン樹脂(A)の製造方法は特に制限はなく、▲1▼各成分を一度に反応させるワンショット法または▲2▼段階的に反応させる多段法[たとえば(b)と(a)と反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを形成したのち、活性水素化合物の残部を加えてさらに反応させて製造する方法など]のいずれの方法で製造してもよい。
【0015】
また、該(A)の製造にあたり、必要により分子内に活性水素を1個有する化合物[モノアルコール(例えばメタノール、ブタノール)またはモノアミン(例えばブチルアミン、ジブチルアミン)など]を併用することができる。
【0016】
ポリウレタン樹脂(A)の合成反応は通常20〜140℃、好ましくは40〜120℃で行われる(ただし、ポリアミンを反応させる場合は通常100℃以下、好ましくは0〜80℃での温度でおこわれる。)
【0017】
反応を促進させるため、通常のウレタン化反応において使用されるアミン触媒(トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンなど)、錫系触媒(ジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウリレート、オクチル酸錫など)、チタン系触媒(テトラブチルチタネートなど)などを用いてもよい。
【0018】
また、反応は(a)に不活性な有機溶剤[ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテートなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラハイドロフラン、など)、炭化水素類(n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、テトラリン、トルエン、キシレンなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、N−メチルピロリドンなど]の中で行ってもよく、該有機溶剤を反応途中または反応後に加えてもよい。
【0019】
本発明における水性ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、通常5,000〜200,000、好ましくは8,000〜100,000である。数平均分子量が5,000未満ではインキとした場合に塗膜の耐ブロッキング性が不良となり、200,000を越えるとインキの再溶解性が低下する。
【0020】
本発明の水性印刷インキ用バインダーは、通常該水性ポリウレタン樹脂を水性媒体に溶解させた溶液として用いられる。該溶液の樹脂濃度は通常10〜80重量%、好ましくは20〜60重量%である。また、粘度は通常50〜100,000cP/25℃、好ましくは100〜10,000cP/25℃である。
【0021】
本発明の水性印刷インキ用バインダーを構成する樹脂は、該水性ポリウレタン樹脂単独でもよく、必要により他の水性樹脂を併用してもよい。併用できる他の水性樹脂としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレンマレイン酸共重合系樹脂およびロジン系樹脂が挙げられる。
【0022】
また、必要に応じて安定剤、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、凍結防止剤,増粘剤などの添加剤を加えることができる。これらの具体例としては下記のものが挙げられる。
安定剤:ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、オキザリックアシッドアニリド系またはヒンダードアミン系安定剤など。
界面活性剤:ノニルフェノールのエチレンオキサイド付加物などのノニオン界面活性剤、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリュウム塩などのアニオン界面活性剤など。
消泡剤:シリコーン系またはアルコール系の消泡剤。
防腐剤:有機窒素硫黄化合物系または有機硫黄ハロゲン化合物系防腐剤など。
凍結防止剤:エチレングリコール、プロピレングリコールなど。
増粘剤:セルロース誘導体、でんぷん誘導体またはポリビニールアルコールなど。
【0023】
本発明の水性印刷インキ用バインダーに、必要により顔料分散剤、溶剤としての水および/またはアルコール類(エチルアルコール、イソプロピルアルコールなど)などを配合し、サンドグラインダーミル、ボールミルなどの通常のインキ製造装置を用いて混練することで水性印刷インキとすることができる。
【0024】
本発明のバインダーを使用した水性印刷インキの配合処方の一例を示せば下記とおりである(%は重量%を示す)。
本発明のバインダー(固形分の量) 10〜30%
顔料 5〜40%
他の樹脂類 0〜10%
溶剤(樹脂成分中の溶剤も含む) 40〜70%
【0025】
本発明のバインダーからなる水性印刷インキは、一液型水性印刷インキとして使用してもよいが、硬化剤と併用して二液型水性印刷インキとして使用することもできる。該硬化剤としては、たとえば▲1▼水性のポリエポキシ化合物[ビスフェノールA型グリシジルエーテルまたは水添ビスフェノールA型グリシジルエーテルの水性分散体;エチレングリコールまたはポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテル;グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどにアルキレンオキシド(炭素数2〜3)を付加させたもののポリグリシジルエーテルで水溶性のものなど]、▲2▼水性のアミノ樹脂[メチロール化またはアルコキシメチル化された尿素またはメラミン樹脂]、▲3▼ポリイソシアネート系化合物[IPDIまたはHDIの3量化物をメチルエチルケトオキシムまたはε−カプロラクタムなどでブロックしたブロック化ポリイソシアネートの水性分散体]、▲4▼オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらのうち好ましくは水性のポリエポキシ化合物である。
該硬化剤の添加量は水性ポリウレタン樹脂の重量に基づき、通常0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%である。
【0026】
本発明のバインダーを用いた水性印刷インキは、従来の水性印刷インキと比べ、再溶解性、耐油性に優れ、かつ低臭気であるため、特に特殊グラビアインキおよびフレキソインキとして好適である。該インキの適用対象としては、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、セロファンフィルムなどが挙げられる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において部は重量部、%は重量%を示す。
【0028】
実施例1
温度計および撹拌機を備えた加圧重合器に、数平均分子量4,000のポリ(3−メチルペンタンアジペート)ジオール〔クラポールP−4010;(株)クラレ製〕772部、1,4−ブタンジオール19部、ジメチロールプロピオン酸119部、IPDI290部およびアセトン800部を仕込み、撹拌下80℃で10時間反応させ、NCO含量0.30%のNCO末端ポリウレタン樹脂のアセトン溶液を得た。得られたアセトン溶液を30℃に冷却して28%アンモニア水49部を加えた。次いで水1765部を該アセトン溶液に加え、減圧下50〜60℃でアセトンを除去し、固形分40.0%、粘度660cP/25℃のポリウレタン樹脂水溶液を得た。この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(以下同様)は15,000であった。
【0029】
得られた水性ポリウレタン樹脂溶液をバインダーとして用いて、次の処方にて印刷インキを作成した。
水性ポリウレタン樹脂溶液 100部
顔料(ルチル型酸化チタン) 80部
イソプロパノール 30部
水 90部
セラミックボール 150部
上記の原料混合物を内容積500mlのスチール缶に入れて、ペイントコンデイショナー(レッドデビル社製)にて1時間混練し印刷インキ[1]を得た。
【0030】
実施例2
温度計および撹拌機を備えた加圧重合器に、数平均分子量2,000のポリネオペンチルアジペートジオール618部、1,4−ブタンジオール20部、ジメチロールプロピオン酸102部、IPDI290部およびアセトン670部を仕込み、撹拌下80℃で10時間反応させ、NCO含量0.20%のNCO基末端ポリウレタン樹脂のアセトン溶液を得た。得られたアセトン溶液を30℃に冷却して28%アンモニア水42部を加えた。次いで水1515部を該アセトン溶液に加え、減圧下50〜60℃でアセトンを除去し、固形分40.0%、粘度460cP/25℃のポリウレタン樹脂水溶液を得た。この樹脂の数平均分子量は28,000であった。
得られた樹脂溶液をバインダーとして用いた以外は実施例1と同様にして印刷インキ[2]を得た。
【0031】
実施例3
温度計および撹拌機を備えた加圧重合器に、数平均分子量2,000のポリ−ε−カプロラクトンジオール309部、数平均分子量2,000のポリネオペンチルアジペートジオール309部、分子量350のビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物78部、ジメチロールプロピオン酸102部、IPDI290部およびアセトン720部を仕込み、撹拌下80℃で10時間反応させ、NCO含量0.40%のNCO基末端ポリウレタン樹脂のアセトン溶液を得た。得られたアセトン溶液を30℃に冷却して28%アンモニア水42部を加えた。次いで水1584部を該アセトン溶液に加え、減圧下50〜60℃でアセトンを除去し、固形分40.0%、粘度410cP/25℃のポリウレタン樹脂水溶液を得た。この樹脂の数平均分子量は13,000であった。
得られた樹脂溶液をバインダーとして用いた以外は実施例1と同様にして印刷インキ[3]を得た。
【0032】
実施例4
実施例1で得られた印刷インキ100部に対して、「デナコールEX−521」(ナガセ化成製、水溶性ポリエポキシ化合物)6部を添加し、印刷インキ[4]を得た。
【0033】
比較例1
温度計および撹拌機を備えた加圧重合器に、数平均分子量2,000のポリブチレンアジペートジオール618部、ジメチロールプロピオン酸102部、IPDI290部およびアセトン672部を仕込み、撹拌下80℃で10時間反応させ、NCO含量1.50%のNCO基末端ポリウレタン樹脂のアセトン溶液を得た。得られたアセトン溶液を30℃に冷却してトリエチルアミン70部を加えた。次いで水1692部にエチレンジアミン120部を加えた溶液を該アセトン溶液に加え、減圧下50〜60℃でアセトンを除去し、固形分40.0%、粘度5,000cP/25℃のポリウレタン樹脂水溶液を得た。この樹脂は分子末端が封止されていないため伸長反応により高分子量化し、テトラハイドロフランに不溶となり、分子量の測定が出来なかった。
得られた樹脂溶液をバインダーとして用いた以外は実施例1と同様にして印刷インキ[5]を得た。
【0034】
比較例2
温度計および撹拌機を備えた加圧重合器に、数平均分子量2,000のポリプロピレングリコール618部、1,4−ブタンジオール27部、ジメチロールプロピオン酸102部、IPDI290部およびアセトン690部を仕込み、撹拌下80℃で20時間反応させ、NCO含量0.02%のポリウレタン樹脂のアセトン溶液を得た。得られたアセトン溶液を30℃に冷却して28%アンモニア水42部を加えた。次いで水1523部を該アセトン溶液に加え、減圧下50〜60℃でアセトンを除去し、固形分40.0%、粘度2,000cP/25℃のポリウレタン樹脂水溶液を得た。この樹脂の分子量は250,000であった。
得られた樹脂溶液をバインダーとして用いた以外は実施例1と同様にして印刷インキ[6]を得た。
【0035】
性能試験例
実施例1〜4および比較例1〜2で得られた印刷インキ[1]〜[6]を各々使用し、下記性能試験を行った。その結果を表1に示す。
<性能試験項目と試験方法>
(1)再溶解性
ガラス板に水性印刷インキを固形分で2〜3μmの厚みになるようにバーコーターで塗布し、室温で2分間放置しインキ表面を半乾きにした後、使用した水性印刷インキを垂らしてガラス棒で混ぜ合わせ、インキ塗膜の溶解性を観察した。
Figure 0003706198
(2)接着性
表面処理ポリプロピレンフィルム(OPP)および表面処理ポリエステルフィルム(PET)に水性印刷インキを固形分で2〜3μmの厚みになるようにバーコーターで塗布し、60℃で1分間乾燥後、塗布面にセロテープ(ニチバン製、12mm巾)を貼り、このセロテープの一端をを塗面に対して、直角方向に急速に引き剥がしたときの塗布面状態を観察した。
Figure 0003706198
(3)耐水性試験
接着性試験と同じ方法で得た塗布試験片(PETに塗布)を25℃の水中に24時間浸漬した後、塗布面にセロテープを貼り、このセロテープの一端をを塗面に対して、直角方向に急速に引き剥がしたときの塗布面状態を観察した。
Figure 0003706198
(4)耐油性
接着性試験と同じ方法で得た塗布試験片(PETに塗布)を25℃の菜種油中に24時間浸漬した後、塗布面状態を観察した。
評価基準 ○:変化なし ×:艶びけあり
(5)臭気
接着性試験と同じ方法で得た塗布試験片(PETに塗布)を500mlの三角フラスコに封入しゴム栓にて密封し、60℃の恒温器中で24時間静置後、ゴム栓を開封し、アミン臭気の有無を検査した。
評価基準 ○:臭気なし ×:臭気あり
【0036】
【表1】
Figure 0003706198
【0037】
【発明の効果】
本発明の水性印刷インキ用バインダ−は、従来のポリウレタン樹脂系水性印刷インキ用バインダーの問題であったインキの再溶解性、耐油性を向上させ、かつ低臭気性であるので、特に包装材等に用いられるプラスチックフィルム用の水性印刷インキ用バインダーとして極めて有用である。
また、本発明のバインダーは、各種基材に対する接着性に優れ、しかも低臭気であることから、上記用途としてだけではなく、塗料用バインダー、接着剤、紙用のコーテング剤等としても有用である。

Claims (5)

  1. 有機ポリイソシアネート(a)、ポリエステルポリオール(b)、分子内にアニオン性基と少なくとも2個の活性水素含有基とを有する化合物(c)および必要により鎖伸長剤(d)から誘導される分子末端にイソシアネート基を含有するポリウレタン樹脂(A)を、アンモニアで末端封止するとともに該アニオン性基を中和し、水性媒体中に溶解させてなる水性ポリウレタン樹脂からなることを特徴とする水性印刷インキ用バインダー。
  2. (c)のアニオン性基がカルボキシル基である請求項1記載の水性印刷インキ用バインダー。
  3. カルボキシル基の含量が、ポリウレタン樹脂(A)の重量に基づき1.0〜7.0重量%である請求項2記載の水性印刷インキ用バインダー。
  4. (A)のイソシアネート基濃度が0.1〜1.5重量%である請求項1〜3いずれか記載の水性印刷インキ用バインダー。
  5. プラスチックフィルム用印刷インキに用いられる請求項1〜4いずれか記載の水性印刷インキ用バインダー。
JP12250396A 1996-04-19 1996-04-19 水性印刷インキ用バインダ− Expired - Fee Related JP3706198B2 (ja)

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