JP3706062B2 - ポリトリメチレンテレフタレート組成物及びその製造方法 - Google Patents

ポリトリメチレンテレフタレート組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート組成物及びその製造方法に関する。更に詳しくは、重合過程で生成するオリゴマー、とりわけ環状ダイマーの含有量が少なく、紡糸等の溶融成形しても溶融段階で環状ダイマーが増加しにくいポリトリメチレンテレフタレート組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレフタル酸やテレフタル酸の低級アルコールエステルと1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコールともいう。以下、1,3−プロパンジオールを「PDO」と略記する。)の重縮合体から溶融紡糸によって得られるポリトリメチレンテレフタレート(以下、「PTT」と略記する)繊維は、従来にない驚くべきほどのソフトな風合いやドレープ性、優れたストレッチ性、低温染色性、耐候性等の、ポリエチレンテレフタレート繊維(以下、ポリエチレンテレフタレートを「PET」と略記する)やナイロン6繊維等の既存の合成繊維では得られない多くの特徴を兼ね備えている。
【0003】
しかしながら、PTTは、その重合過程でオリゴマーを生成し、そのオリゴマーが紡糸過程や加工段階で様々な問題を起こすことがわかってきた。例えば、紡糸過程においては長時間紡糸を行うと、オリゴマーが昇華して紡口周辺に析出し、それが吐出された繊維に付着して糸切れや毛羽の原因となる。また加工段階では、熱セット段階でテンター内に蓄積して汚れの原因になったり、染色液中に溶けだして染色斑や廃液処理を困難にする原因となる。またひどい場合には、装置に蓄積したオリゴマーが熱や静電気によって着火し、火災の原因ともなる。
【0004】
溶融重合で得られたPTT中のオリゴマーは、PTTに対して約2.5〜3.5重量%含まれる。また、そのオリゴマーは、下記の構造で示すような環状オリゴマー(1)と線状オリゴマー(2)の混合物であることが知られているが、その約90重量%は環状ダイマー(式(2)において、qが1に相当する構造を有する)である。環状ダイマーは特に高い昇華性、熱水溶解性を有するので、上記に示したような様々な問題を引き起こす主たる原因物質となる。
【化1】
Figure 0003706062
(式中、P≦10、q=1〜4である。)
【0005】
類似骨格を有するポリエチレンテレフタレートにもこのようなオリゴマーが存在することは古くから知られている。しかしながら、PETの場合は、その存在量は1重量%程度であること、更にはオリゴマーは環状3量体が大部分で、PTT環状ダイマーよりも分子量が大きいため昇華性や水への溶解性が小さい。従って、製造工程における問題の程度はPTTの場合がはるかに深刻である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
PTT中に含まれるオリゴマーを減らす試みは既に知られており、最も有効な方法は固相重合することである(特開平8−311177号公報)。この引例では、200℃近傍で、真空中で数時間固相重合すると、オリゴマーの含有量は1重量%以下になることが記載されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、固相重合したオリゴマー量が1重量%未満のPTTを用いても再度溶融するとオリゴマーは増加し、溶融時の滞留時間が長くなると2.5〜3.5重量%程度の固相重合前の含有量まで戻ることが明らかとなった。
重合過程で生成するオリゴマー、とりわけ環状ダイマーの含有量が少なく、紡糸等の溶融成形しても環状ダイマーが増加しにくいPTTを得ることができれば、紡糸や加工段階でのオリゴマー由来の上記問題は解決されるが、これまでにそのような検討はなされていなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、本発明者らは環状ダイマーの生成プロセスを詳細に解析した結果、分子末端の水酸基酸素の不対電子が分子内部のエステル基のカルボニル炭素を攻撃して環状ダイマーが生成することを突き止めた。
【化2】
Figure 0003706062
そこで、本発明者らは、分子末端の水酸基の求核性を低下させることができれば、環状ダイマーの生成を抑制できると考え、更に詳細に検討した結果、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明の第一は、繰り返し単位の80重量%以上がトリメチレンテレフタレート単位からなる、極限粘度が0.5dl/g以上で、分子末端の水酸基の20%以上が水酸基と反応しうる化合物によって封鎖されたポリトリメチレンテレフタレートから構成されるPTT組成物であって、分子末端の水酸基の20%以上が水酸基と反応しうる化合物によって封鎖され、かつ環状ダイマーの含有量が2重量%以下であることを特徴とするPTT組成物であり、本発明の第二は、テレフタル酸又は/及びその低級アルコールエステルとPDOを反応させてテレフタル酸のPDOエステル及び/又はそのオリゴマーを生成させ、その後、重縮合反応させて、繰り返し単位の80重量%以上がトリメチレンテレフタレート単位からなる、極限粘度が0.5dl/g以上のポリトリメチレンテレフタレートから構成されるPTT組成物を製造する方法であって、重縮合反応の開始から終了の任意の段階でPTTの分子末端の水酸基と反応しうる化合物をテレフタル酸又は/及びその低級アルコールエステルに対して、0.2〜1.5モル%添加することを特徴とするPTT組成物の製造方法を提供するものである。
【0009】
本発明の組成物を構成するPTTは、繰り返し単位の80重量%以上がトリメチレンテレフタレート単位からなる、極限粘度が0.5dl/g以上のPTTである。極限粘度が0.5dl/g未満の場合は、得られる繊維の強度が低い。極限粘度の上限については特に制限はないが、2dl/gを越える場合は、溶融粘度が高すぎるためにギアポンプでの計量がスムーズに行なうことが困難となるので好ましくなく、好ましくは0.7〜1.5dl/g、特に好ましくは0.8〜1.35dl/gであり、最も好ましくは紡糸安定性と繊維強度の高さから0.85〜1.2dl/gである。
【0010】
本発明のPTTの主骨格を形成する原料モノマーとしては、テレフタル酸及びPDO以外に、繰り返し単位の20重量%未満で他のモノマーを共重合してもよい。共重合しうるモノマーとしては、テレフタル酸もしくはその低級アルコールエステル、PDO以外であれば、ジオール、ジカルボン酸、ジカルボン酸エステル、ジカルボン酸アミド、オキシカルボン酸等、特に制限はない。エステル形成性モノマーの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−ナトリウムスルホ−4−ヒドロキシ安息香酸、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウム等のジカルボン酸及びそのメタノール等の低級アルコールエステル、オキシ酢酸、オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸及びそのメタノール等の低級アルコールエステル、更には分子量が200〜100000のポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオールであってもよい。必要に応じて2種類以上のエステル形成性モノマーを共重合させてもよい。
【0011】
また、重合過程で生成する共重合成分、例えば、PDOのダイマー(ビス(3−ヒドロキシプロピル)エーテル:以下、BPEと略記する)が共重合されていてもよい。BPEは重合過程でPDOやPTT分子末端のBPEは3−ヒドロキシプロピル基が更にPDOと反応して生成し、そのままPTTに共重合される。PTTの耐光性や耐熱性を低下させるが、適度に共重合されると染料吸尽率や紡糸安定性を高める効果ある。従って、適度にBPEは共重合されることが好ましく、BPEの共重合比率としては0.01〜2重量%、好ましくは、0.04〜1.2重量%である。
【0012】
本発明のPTTは、分子末端の水酸基の20%以上が水酸基と反応しうる化合物によって封鎖されていることが必要である。分子末端の水酸基は環状ダイマー等の環状オリゴマーの生成に寄与するが、これを封鎖することで環状ダイマー等の環状オリゴマーの生成を大幅に抑制することができる。水酸基と反応しうる化合物としては、モノカルボン酸、モノカルボン酸エステル、酸無水物、酸塩化物、モノオキサゾリン、エポキシ化合物、アミド化合物、ラクタム、ラクトン等が挙げられる。具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、吉草酸メチル、安息香酸メチル、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、ギ酸クロリド、酢酸クロリド、プロピオン酸クロリド、酪酸クロリド、吉草酸クロリド、安息香酸クロリド、カプロラクトン、カプロラクタム、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、ギ酸アミド、酢酸アミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、吉草酸アミド、安息香酸アミド等が挙げられる。これらの内、PTT分子末端との反応性が高い点で、モノカルボン酸、モノカルボン酸エステル、酸無水物、エポキシ化合物が特に好ましい。
【0013】
また、これらの物質によってPTTの分子末端の水酸基の20%以上が封鎖されていることが、溶融紡糸や溶融成形の段階で環状ダイマーの再生を抑制するために必要である。水酸基の封鎖の割合は、好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上である。
本発明のPTT組成物中の環状ダイマーの含有量は、紡糸過程や加工段階での環状ダイマーによる問題を避けるためには、PTT組成物重量に対して2重量%以下であることが必要である。より好ましくは1.5重量%以下であり、更に好ましくは1重量%以下である。
【0014】
更に必要に応じて、本発明のPTT組成物には、各種の添加剤、例えば、酸化チタン等の艶消し剤、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤などを共重合、または混合してもよい。特に、艶消し剤として用いる酸化チタンを用いる場合は、PTT組成物重量当たり0.01〜3重量%が好ましい。特に、本発明の製造方法において、末端カルボキシル基量の低下、熱安定性、溶融安定性やポリマーの白度を高める方法としては、上記の好ましい触媒量、反応温度を適用すると同時に、熱安定剤や着色抑制剤を用いることが特に好ましい。
【0015】
熱安定剤としては、5価または3価のリン化合物やヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。例えば、5価または3価のリン化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、リン酸、亜リン酸等が挙げられ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン)イソフタル酸、トリエチルグリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられる。
【0016】
添加量としてはPTT組成物に対し0.01〜0.5重量%、好ましくは0.02〜0.1重量%添加する。尚、この範囲であっても触媒量との量比の関係で、熱安定剤が多くなると、重縮合反応や固相重合反応の速度を低下させる場合があるので、量比を適宜実験の上設定することが好ましい。このような量比の決定は当業者であれば、何ら困難なく行うことができる。また、着色抑制剤としては、酢酸コバルト、蟻酸コバルト等のコバルト化合物、市販の蛍光増白剤が挙げられ、PTT組成物に対し0.0001〜0.1重量%添加することもできる。
【0017】
以下、本発明のPTT組成物の好ましい製造方法について説明する。
本発明のPTT組成物は、テレフタル酸又は/及びその低級アルコールエステルとPDOを反応させてテレフタル酸のPDOエステル及び/又はそのオリゴマーを生成させ、その後、重縮合反応させて製造することができるが、重縮合反応の開始から終了の任意の段階でPTTの分子末端の官能基と反応しうる化合物をテレフタル酸又は/及びその低級アルコールエステルに対して、0.2〜1.5モル%添加することにより製造することが可能である。
【0018】
本発明において、テレフタル酸又は/及びその低級アルコールエステルとPDOを反応させてテレフタル酸のPDOエステル及び/又はそのオリゴマーを生成させ方法としては、公知の方法を用いることができる。この反応は、テレフタル酸を用いる場合にはエステル化反応、テレフタル酸の低級アルコールエステルを用いる場合はエステル交換反応と呼ばれる。ここで、テレフタル酸の低級アルコールエステルとは、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸モノメチル等を指す。
【0019】
本発明で用いるテレフタル酸、テレフタル酸の低級アルコールエステル、PDOは、市販のもの、あるいはPTTやPTT製品からを回収されたものでもよく、好ましくは純度95%以上、更に好ましくは98%以上である。
重合原料であるテレフタル酸やテレフタル酸の低級アルコールエステルに対するPDOの仕込み比率はモル比で0.8〜3であることが好ましい。仕込み比率が0.8未満では、エステル交換反応が進行しにくく、また、仕込み比率が3より大きくなると融点が低くなる他、得られたポリマーの白度が低下する傾向がある。好ましくは、1.4〜2.5であり、更に好ましくは、1.5〜2.3である。
【0020】
触媒は反応を円滑に進行させるために用いることが好ましく、例えば、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシドに代表されるチタンアルコキサイド、非晶性酸化チタン沈殿物、非晶性酸化チタン/シリカ共沈殿物、非晶性ジルコニア沈殿物等の金属酸化物、酢酸カルシウム、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸アンチモン等の金属カルボン酸塩等を全カルボン酸成分モノマーに対して0.01〜0.2重量%、好ましくは0.05〜0.12重量%用いることが反応速度、ポリマーの白度、熱安定性を兼ね備えることから好ましい。反応温度としては200〜250℃程度で、副生する水やメタノール等のアルコールを留去しながら反応を行うことができる。反応時間は通常2〜10時間、好ましくは2〜4時間である。こうして得られた反応物は、テレフタル酸のPDOエステル又は/及びそのオリゴマーである。以上のエステル化反応、エステル交換反応は、必要に応じて2つ以上の反応釜に分けて順次連続的に行ってもよい。
PTTは、こうして得られたテレフタル酸のPDOエステル又は/及びそのオリゴマーを重縮合することにより製造することができる。
【0021】
重縮合反応では、必要に応じて更にチタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシドに代表されるチタンアルコキサイド、非晶性酸化チタン沈殿物、非晶性酸化チタン/シリカ共沈殿物、非晶性ジルコニア沈殿物等の金属酸化物を全カルボン酸成分モノマーに対して0.01〜0.2重量%、好ましくは、0.03〜0.015重量%添加する。この重縮合触媒は、エステル化反応やエステル交換反応でもちいたた触媒をそのまま使用することもできるし、新たに追加してもよい。これらの触媒の内、チタン系の触媒はエステル化反応、エステル交換反応、重縮合反応のいずれにも有効な触媒であるので、エステル交換反応や重縮合反応段階で添加しておくと、重縮合反応前に新たに添加することなく、あるいは添加するにしても少量で重縮合反応を行うことができる点で最も好ましい触媒である。
重縮合反応においては、PDOや更にはエステル化反応やエステル交換反応で生成した反応系内に残存する水やアルコールを効率的に排出させるために、減圧中で重縮合することが好ましく、適用する真空度としては、0.0001〜2torr、好ましくは0.01〜0.7torrである。
【0022】
本発明においては、PTT中に含まれる環状ダイマー量を減らすために、重縮合反応の開始から終了の任意の段階で、すでに説明したPTTの分子末端の水酸基と反応しうる化合物をテレフタル酸又は/及びその低級アルコールエステルに対して、0.2〜1.5モル%添加することが必要である。0.2モル%未満では環状ダイマー量を減らす効果が小さく、1.5モル%を越えると、重縮合過程において分子量が上がりにくくなる。好ましくは、環状ダイマーの生成抑制と重合反応性の観点から0.5〜1.2モル%であり、更に好ましくは0.7〜1.0モル%である。
【0023】
PTTの分子末端の水酸基と反応しうる化合物の添加時期は特に制限はないが、好ましくは重縮合反応の70%以上、より好ましくは重縮合反応が終了した時点で添加することが重合速度を落とさない観点から好ましい。
また、本発明のPTT組成物に添加する添加剤もまた、重合の任意の段階で添加することができるが、重縮合反応の開始前に添加することが好ましい。
こうして得られたPTT組成物は、そのままあるいは更に固相重合をすることもできる。固相重合は、得られたPTT組成物をペレット化した後、窒素、アルゴン等の不活性ガス下、あるいは少なくとも5torr以下の真空中で190〜220℃の範囲で3〜200時間反応させることができる。このような固相重合により環状ダイマー量は更に大幅に低下させることが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、言うまでもなく本発明は実施例などにより何ら限定されるものでない。尚、実施例中の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1)極限粘度
この極限粘度[η]は、オストワルド粘度管を用い、35℃、o−クロロフェノールを用いて比粘度ηspと濃度C(g/100ml)の比ηsp/Cを濃度ゼロに外挿し、以下の式に従って求めた。
Figure 0003706062
【0025】
(2)水酸基と反応する物質によって封鎖された水酸基の測定
PTTをCDCl3 /(CF3 2 CHOHの混合溶剤(容積比1:1)に溶解させ、 1H−NMR(Bruker社製 FT−NMR DPX−400)を用いて測定した(基準はテトラメチルシランを用いた)。得られたスペクトル図から、未反応の水酸基量(A)と水酸基と反応する物質によって封鎖された水酸基量(B)を求め、水酸基の封鎖率を以下の式から求めた。
水酸基の封鎖率(%)=〔B/(A+B)〕×100
【0026】
(3)環状ダイマーの含有量
試料0.3gをクロロホルム5mlと(CF3 2 CHOH:5mlの混合物に溶解させた後、更にクロロホルム5mlを加え、その後アセトニトリルを約80ml加えた。この時析出した不溶物をろ別し、溶液を全て集めた。この溶液にアセトニトリルを添加し、200mlの溶液とした。
この溶液を高速液体クロマトグラフィーを用いて分析し、環状オリゴマー量を測定した。カラムは、μBond asphere 15μ C−18−100A 3.9×190mm(ウォータース社製)を用い、移動相としては水/アセトニトリル(容積比30/70)を用い、検出器としては紫外線242nmの波長を用いた。温度は45℃、流量は1.5ml/minであった。
【0027】
(4)紡糸実験
PTT組成物を130℃で乾燥後、水分率を50ppm以下とし、押出機を用いて260℃押出し、1600m/minで巻き取った。巻き取られた未延伸糸を55℃のホットロール、140℃のホットプレートを通しながら、伸度が40%に成るように熱延伸を行い、84dtex/36fのフィラメントを得た。
【0028】
【実施例1】
テレフタル酸ジメチル1300g(6.7モル)、PDO:144g(15モル)、チタンブトキシド0.78gを板状の羽根を備えた3lのオートクレーブに仕込み、220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応率は、95%であった。エステル交換反応終了後、次いで、触媒としてチタンテトラブトキシド0.52g、熱安定剤としてトリメチルホスフェート0.65gを添加し、30分攪拌後、PDOを留去しながら、0.1〜0.5torrの真空度で260℃、4時間重縮合反応を行った。反応終了後、PTTの末端水酸基と反応しうる化合物として無水安息香酸15.1g(0.067モル)を添加し、更に10分間撹拌した。
得られたPTT組成物の極限粘度は、0.72dl/g、水酸基の封鎖率は、82%、環状ダイマー含有量は1.5重量%であった。
紡糸実験後のPTT繊維の極限粘度は0.65dl/g、環状ダイマー量は1.8重量%であった。本発明のPTT組成物中の環状ダイマー量は少なく、再溶融(溶融紡糸)した後の環状ダイマー含有量も少ない。
【0029】
【実施例2〜4】
無水安息香酸の代わりに、表1に示す様々なPTTの末端水酸基と反応しうる化合物を用いて実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。本発明のPTT組成物中の環状ダイマー量は少なく、再溶融(溶融紡糸)した後の環状ダイマー含有量も少ない。
【実施例5】
実施例1で得られたPTT組成物を0.1torrの真空下、205℃で25時間固相重合を行った。結果を表1に示す。得られたPTT組成物中の環状ダイマーは更に大幅に低下した。
【0030】
【比較例1】
末端水酸基と反応しうる化合物を添加せずに、実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。環状ダイマーの含有量は実施例に比べて格段に高かった。
【比較例2】
比較例1で得たPTT組成物を0.1torrの真空下、205℃で25時間固相重合を行った。結果を表1に示す。得られたPTT組成物中の環状ダイマーは更に大幅に低下したが、溶融紡糸すると、実施例5に比べてかなり増大した。
【0031】
【表1】
Figure 0003706062
【0032】
【発明の効果】
本発明により得られたPTT組成物は、再溶融しても環状ダイマーに代表されるオリゴマーの増加が少なく、オリゴマーが原因となる紡糸工程での糸切れや毛羽の発生や、加工段階でのオリゴマー析出による染色斑等の問題が抑制されており、紡糸から加工までの工程安定性を格段によくすることができる。もちろん、このようなオリゴマー問題は繊維のみでなく、フィルムや成形体製造においても起こるので、本発明は、これらの製造にも適用可能であり、品質、工程性の両方の観点から極めて重要である。

Claims (8)

  1. 繰り返し単位の80重量%以上がトリメチレンテレフタレート単位からなる、極限粘度が0.5dl/g以上で、分子末端の水酸基の20%以上が水酸基と反応しうる化合物によって封鎖されたポリトリメチレンテレフタレートから構成されるポリトリメチレンテレフタレート組成物であって、、かつ環状ダイマーの含有量が2重量%以下であることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート組成物。
  2. 環状ダイマーの含有量が1.5重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリトリメチレンテレフタレート組成物。
  3. 分子末端の水酸基と反応しうる化合物が、モノカルボン酸、酸無水物、酸塩化物、モノオキサゾリン、エポキシ化合物、アミド化合物、ラクタム、ラクトンから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリトリメチレンテレフタレート組成物。
  4. テレフタル酸又は/及びその低級アルコールエステルと1,3−プロパンジオールを反応させてテレフタル酸の1,3−プロパンジオールエステル及び/又はそのオリゴマーを生成させ、その後、重縮合反応させて、繰り返し単位の80重量%以上がトリメチレンテレフタレート単位からなる、極限粘度が0.5dl/g以上のポリトリメチレンテレフタレートから構成されるポリトリメチレンテレフタレート組成物を製造する方法であって、重縮合反応の開始から終了の任意の段階でポリトリメチレンテレフタレートの分子末端の水酸基と反応しうる化合物をテレフタル酸又は/及びその低級アルコールエステルに対して、0.2〜1.5モル%添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリトリメチレンテレフタレート組成物の製造方法。
  5. 分子末端の水酸基と反応しうる化合物が、モノカルボン酸、酸無水物、酸塩化物、モノオキサゾリン、エポキシ化合物、アミド化合物、ラクタム、ラクトンから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載のポリトリメチレンテレフタレート組成物の製造方法。
  6. 請求項4又は5で得られたPTT組成物を更に固相重合することを特徴とするPTT組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載されたポリトリメチレンテレフタレート組成物からなる成形体。
  8. 成形体が繊維であることを特徴とする請求項7記載の成形体。
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