JP3705715B2 - 流体封入式筒形マウント - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、内部に封入された流体の流動作用等に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式の筒形マウントに係り、特に、互いに直交する2つの軸直角方向での防振特性を異ならせることが出来ると共に、こじり方向の入力振動に対しても有効な防振効果を発揮し得、例えば自動車用ストラットマウント等に有利に適用され得る流体封入式筒形マウントに関するものである。
【0002】
【背景技術】
軸部材と、その径方向外方に離間して配設された外筒部材を、それらの径方向対向面間に介装されたゴム弾性体で連結せしめて、軸部材と外筒部材の間に入力される振動に対して防振効果を得るようにした筒形マウントの一種として、それら軸部材と外筒部材の径方向対向面間に、壁部の一部がゴム弾性体で形成されて非圧縮性流体が封入された流体室を形成し、封入流体の共振作用等の流動作用に基づいて発揮される防振効果を利用するようにした流体封入式筒形マウントが、知られており、例えば、自動車用のストラットマウントやエンジンマウント,ボデーマウント,サスペンションマウント等への適用が検討されている。
【0003】
また、このような流体封入式筒形マウントにおいて、互いに直交する2つの軸直角方向で異なる防振特性が要求される場合に、その要求特性を達成するために、例えば、特開平11−63084号公報等に記載されているように、軸部材と外筒部材の間を周方向に延びる、軸方向両側の壁部がゴム弾性体で形成された流体室を形成し、かかる流体室を、軸部材から外筒部材に向かって径方向両側に延びる一対の第一の弾性仕切壁と、軸部材から外筒部材に向かって該一対の第一の弾性仕切壁に対して直交する径方向両側に延びる一対の第二の弾性仕切壁とによって仕切って、それぞれ非圧縮性流体が封入された4つの分割流体室を形成すると共に、一対の第一の弾性仕切壁を挟んだ両側に位置せしめられた各二つの分割流体室をそれぞれ相互に連通する一対の第一のオリフィス通路を設けた構造等が、提案されている。このような構造の筒形マウントでは、第一の弾性仕切壁と第二の弾性仕切壁のばね特性を相対的に調節したり、第一のオリフィス通路を適当にチューニングすること等によって、互いに直交する2つの軸直角方向で異なる防振特性を有利に設定することが出来るのである。
【0004】
ところで、このような流体封入式の筒形マウントにおいて、近年では、更なる防振効果の向上が要求されるようになってきており、また、軸方向に傾斜したこじり方向などにおいても、防振性能の向上が要求される場合がある。例えば、自動車においてショックアブソーバのピストンロッド上端部をボデー側に防振支持せしめるストラットマウントにおいては、車両横方向および前後方向となる、互いに直交する軸直角方向で異なるばね定数が要求されると共に、車両横方向に延びる平面上でこじり方向の防振特性も要求される。
【0005】
そして、前述の如き従来構造の筒形マウントにおいても、そのような要求特性を達成するために、更なる改良が望まれていたのである。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、封入された非圧縮性流体の流動作用に基づく防振効果をより有効に発揮し得ると共に、こじり方向の入力振動に対しても有効な防振効果を発揮し得る、新規な構造の流体封入式筒形マウントを提供することにある。
【0007】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様および技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0008】
先ず、本発明の第一の態様は、防振連結される一方の部材に取り付けられる軸部材の径方向外方に離間して、防振連結される他方の部材に取り付けられる外筒部材を配設せしめて、それら軸部材と外筒部材をゴム弾性体で連結すると共に、軸方向両側の壁部が該ゴム弾性体で形成されて、それら軸部材と外筒部材の間を周方向に延びる流体室を形成し、かかる流体室を、該軸部材から該外筒部材に向かって径方向両側に延びる一対の第一の弾性仕切壁と、該軸部材から該外筒部材に向かって該一対の第一の弾性仕切壁に対して直交する径方向両側に延びる一対の第二の弾性仕切壁とによって仕切って、それぞれ非圧縮性流体が封入された4つの分割流体室を形成すると共に、前記一対の第一の弾性仕切壁を挟んだ両側に位置せしめられた各二つの分割流体室をそれぞれ相互に連通する一対の第一のオリフィス通路を設けた流体封入式筒形マウントにおいて、前記各分割流体室における軸方向両側壁部に、それぞれ軸方向外方に向かって突出して周方向に延びる弾性突起を、軸方向の投影で、前記軸部材から外周側に外れた位置で、且つ前記一対の第二の弾性仕切壁にかからないように形成し、前記防振連結される部材間への装着状態下で、それら各弾性突起の突出先端面が、前記外筒部材が取り付けられる側の部材に対して当接されるようにしたことを、特徴とする。
【0009】
このような本態様に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、各分割流体室の軸方向両側壁部に突設された弾性突起が、外筒部材の取り付けられる側の部材に当接されることにより、分割流体室の軸方向両側壁部における壁ばね剛性が向上される。その結果、軸直角方向の振動入力時に各分割流体室の圧力変化がより積極的に生ぜしめられて、特に、一対の第二の弾性仕切壁が延びる径方向での振動入力時において、第一のオリフィス通路を通じての流体流動量が増大せしめられる結果、流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果がより効果的に発揮され得ることとなる。
【0010】
また、かかる流体封入式筒形マウントにおいては、分割流体室の軸方向両側壁部に突設された弾性突起が、軸方向の投影で、軸部材から外周側に外れて位置せしめられていることから、弾性突起を設けたことに起因するマウントの軸方向ばねの高剛性化が回避されて、軸方向の防振性能が有利に確保され得る。
【0011】
更にまた、かかる流体封入式筒形マウントにおいては、分割流体室の軸方向両側壁部に突設された弾性突起が、軸方向の投影で、軸部材から外周側に外れて位置せしめられていることから、軸直角方向の荷重や振動の入力によって軸部材が外筒部材に対して軸直角方向に相対変位せしめられた際にも、弾性突起の外筒部材に対する相対変位量が抑えられて、外筒部材の取り付けられる側の部材に対する当接面での擦れ等が軽減されることにより、耐久性も有利に確保され得る。
【0012】
また、かかる流体封入式筒形マウントにおいては、分割流体室の軸方向両側壁部に突設された弾性突起が、軸方向の投影で、軸部材から外周側に外れて位置せしめられていると共に、第二の弾性仕切壁にかからないように周方向に分断されて形成されていることから、第二の弾性仕切壁が延びる径方向平面上でのこじり方向では、弾性突起による高ばね化が回避されており、かかるこじり方向において良好なる防振効果が発揮され得る。
【0013】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記一対の第一の弾性仕切壁を、前記第二の弾性仕切壁よりも、周方向で小さな厚さ寸法としたことを、特徴とする。このような本態様においては、第一の弾性仕切壁のばね特性が第二の弾性仕切壁よりも柔らかく設定されることにより、一対の第一の弾性仕切壁が延びる径方向と一対の第二の弾性仕切壁が延びる径方向とのばね比を、より大きく設定することが出来る。
【0014】
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記軸部材の少なくとも一方の軸方向端部において、外周面上に突出するフランジ状部を一体形成し、該フランジ状部を、前記ゴム弾性体で形成された前記流体室の軸方向壁部に固着せしめると共に、前記弾性突起を、軸方向の投影で、該フランジ状部から外周側に外れた位置に形成したことを、特徴とする。このような本態様に従えば、流体室の軸方向壁部、ひいては流体室の壁ばね剛性を、硬質のフランジ状部によって一層大きく設定することが出来るのであり、それによって、流体の流動作用に基づく防振性能の向上効果等が一層有利に達成され得る。しかも、軸方向の投影で、フランジ状部を外れた位置に弾性突起を形成したことにより、マウント軸方向における著しい高ばね化が有利に回避されることとなり、軸方向の防振性能も十分に確保され得る。なお、フランジ状部は、軸部材の一方の軸方向端部に形成して、流体室の軸方向一方の壁部だけに固着しても良いが、軸部材の軸方向両側端部に形成し、流体室の軸方向両側の壁部にそれぞれ固着しても良い。
【0015】
また、本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記一対の第一の弾性仕切壁および前記一対の第二の弾性仕切壁の少なくとも一方において、前記軸部材と前記外筒部材の少なくとも一方の側から他方の側に向かって径方向に突出する硬質の拘束突部を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、拘束突部によって弾性仕切壁のばね剛性を調節することが出来るのであり、例えば、拘束突部の大きさを適当に調節することによって、互いに直交する軸直角方向でのばね比を、一層大きなチューニング自由度をもって設定することが出来ると共に、第一の弾性仕切壁の壁ばね剛性を拘束突部で大きくすることにより、一対の第二の弾性仕切壁が延びる径方向での振動入力時に、第一の弾性仕切壁を挟んだ両側に位置する両分割流体室間により大きな圧力差を生ぜしめて、第一のオリフィス通路を通じての流体流動量を増大させることにより、流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果の更なる向上を図ることも可能となる。
【0016】
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記弾性突起を、前記各第一の弾性仕切壁を跨いで、該第一の弾性仕切壁を挟んだ周方向両側に位置せしめられる各二つの前記分割流体室の壁部間に亘って周方向に連続するように、一対形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、弾性突起を、第二の弾性仕切壁には連結されることなく、第一の弾性仕切壁にだけ直接に連結された形態をもって形成したことにより、こじり方向のばね剛性の増大を回避しつつ、各分割流体室の壁ばね剛性をより有効に大きく為し得る弾性突起が実現され得るのである。
【0017】
また、本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、防振連結される前記他方の部材に取り付けられる筒状のブラケットを用い、該ブラケットの筒状部に前記外筒部材を内嵌固定する一方、該ブラケットの軸方向両側開口部から径方向内方に広がる環状の当接突部を一体形成せしめて、該当接突部に対して前記弾性突起の突出先端面を当接させたことを、特徴とする。このような本態様に従えば、ブラケットを利用して、弾性突起が当接される当接面を有利に形成することが出来るのであり、それによって、弾性突起を安定して確実に当接させることが可能となって、目的とする防振特性を高い信頼性をもって得ることが出来るのである。
【0018】
また、本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記一対の第一のオリフィス通路の一方を、他方のオリフィス通路を流動せしめられる流体の***振作用が生ぜしめられる周波数域で、流体の共振作用に基づく低動ばね効果が発揮されるようにチューニングしたことを、特徴とする。このような本態様に従えば、一対の第一のオリフィス通路に対して、互いに異なるチューニングが施されることとなり、低周波数域にチューニングされた方の第一のオリフィス通路を流動せしめられる流体の***振作用に起因する、特定周波数域での軸直角方向における著しい高動ばね化と、それに伴う著しい防振性能の低下が、高周波数域にチューニングされた方の第二のオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用によって軽減乃至は解消されることにより、広い周波数域に亘って良好なる防振効果が有利に実現され得る。
【0019】
また、本発明の第八の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記一対の第二の弾性仕切壁を挟んだ両側に位置せしめられた各二つの分割流体室をそれぞれ相互に連通する一対の第二のオリフィス通路を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、一対の第一の弾性仕切壁が延びる径方向に入力される振動に対しても、第二のオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が発揮されることとなる。それ故、互いに直交する二つの軸直角方向に入力される振動の何れに対しても、流体の流動作用に基づく防振効果を利用して優れた防振性能を得ることが可能となるのである。なお、その際、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路には、各方向に入力される振動を考慮して、互いに異なるチューニングを施すことが望ましい。
【0020】
また、本発明の第九の態様は、前記第一乃至第八の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいて、前記軸部材に対して、自動車のショックアブソーバのピストンロッドを固着すると共に、前記外筒部材に対して筒状のブラケットを外嵌固定せしめて、該外筒部材を該ブラケットを介して自動車のボデー側に固定することにより、それら軸部材および外筒部材の軸方向が自動車の略上下方向とされると共に、前記一対の第一の弾性仕切壁と前記一対の第二の弾性仕切壁が自動車の前後方向と左右方向に延びる状態で自動車に装着せしめる一方、該ブラケットの軸方向両側開口部から径方向内方に広がって一体形成された環状の当接突部を、前記弾性突起の突出先端面に当接せしめると共に、前記軸部材の軸方向上側の端部に、外周面上に突出するフランジ状部を一体形成して、前記ゴム弾性体で形成された前記流体室の軸方向壁部に固着せしめられると共に、該フランジ状部を前記ブラケットの軸方向上側開口部に一体形成された当接突部に対して軸方向で離間して対向位置せしめ、且つ軸方向の投影において、前記弾性突起を該フランジ状部から外周側に外れた位置に設けたことを、特徴とする。
【0021】
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、自動車用のストラットマウントが有利に実現されるのであり、特に、車両の操縦性に大きな影響を与える車両の左右方向においては、第一のオリフィス通路を流動せしめられる流体の流動作用に基づく有効な防振効果が発揮されると共に、衝撃的に課題な振動荷重が入力される車両上下方向においては、軸部材のフランジ状部がブラケットの当接突部に当接せしめられることによって、大きな耐荷重性能が実現され得ることとなる。しかも、こじり荷重が入力され易い車両左右方向では、車両左右方向両側に位置せしめられる第二の弾性仕切壁上で弾性突起が分断されていることにより、こじり方向において、低ばね特性による有効な防振効果が発揮され得る。
【0022】
特に、かかる第九の態様において、前記第二の態様が、組み合わせて有利に採用され得、それによって、軸部材と外筒部材の間において、車両前後方向の入力荷重が圧縮/引張方向に及ぼされる第一の弾性仕切壁のばね剛性を、車両左右方向の入力荷重が圧縮/引張方向に及ぼされる第二の弾性仕切壁のばね剛性に比して、十分に低く設定することが出来、以て、車両前後方向における低ばね剛性に基づく良好な乗り心地と、車両左右方向における高ばね剛性に基づく良好な操縦安定性とが、両立してより高度に実現可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0024】
先ず、図1〜4には、本発明の第一の実施形態としての自動車用ストラットマウント10が、示されている。このストラットマウント10は、軸部材としての内筒金具12と、その径方向外方に離間して配設された外筒部材としての外筒金具14が、ゴム弾性体16によって弾性的に連結された構造を有している。そして、図5に示されているように、内筒金具12に対して、ショックアブソーバのピストンロッド18の上端部が挿通固定される一方、外筒金具14がブラケット金具20を介して自動車のボデー22に取り付けられることにより、ショックアブソーバのピストンロッド18をボデー22に対して防振連結せしめるようになっている。
【0025】
より詳細には、内筒金具12は、ストレートな小径の厚肉円筒形状を有しており、その軸方向一方の端部(図2中、上端部)には、径方向外方に向かって広がる円環板形状のフランジ部24が一体形成されている。また、内筒金具12の外周面には、拘束ブロック26が固着されている。
【0026】
この拘束ブロック26は、合成樹脂材等の硬質材によって形成されて、内筒金具12の外周面を略全面に亘って被覆する状態で、内筒金具12に固着されている。また、拘束ブロック26には、内筒金具12を径方向一方向(図1中、上下方向)に挟んで対向位置する部分に、径方向外方に向かって突出する一対の第一の拘束突部28,28が一体形成されていると共に、それに直交する径方向(図2中、左右方向)で内筒金具12を挟んで対向位置する部分には、径方向外方に向かって突出する一対の第二の拘束突部30,30が一体形成されている。これら第一の拘束突部28と第二の拘束突部30は、何れも、拘束ブロック26の軸方向全長に亘って形成されており、特に本実施形態では、第一の拘束突部28と第二の拘束突部30が、略同じ径方向の突出高さとされていると共に、第一の拘束突部28よりも第二の拘束突部30の方が、周方向幅が大きくされている。また、第一の拘束突部28,28の略中央には、それぞれ、突出方向に対して略直交して略マウント周方向に直線的に延びる貫通孔32が、全長に亘って略一定の円形断面形状をもって、一つずつ形成されている。
【0027】
また、内筒金具12のフランジ部24の軸方向外面には、環状突部34が、拘束ブロック26と一体的に形成されており、この環状突部34が、フランジ部24の外周縁部に位置して周方向全周に形成されており、軸方向外方に向かって突出せしめられている。
【0028】
さらに、内筒金具12の外周側には、中間スリーブ36が配設されており、内筒金具12の外周面を径方向外方に離間して取り巻くようにして位置せしめられている。この中間スリーブ36は、金属等の硬質材で形成されて大径円筒形状を有しており、内筒金具12と略同軸的に配設されている。また、中間スリーブ36には、4つの窓部38a〜dが設けられており、それぞれ中間スリーブ36の軸方向中間部分において、互いに周方向に離間して形成位置せしめられている。
【0029】
そして、これら内筒金具12と中間スリーブ36の径方向対向面間に、ゴム弾性体16が配設されており、ゴム弾性体16の内周面に内筒金具12が加硫接着されると共に、ゴム弾性体16の外周面に中間スリーブ36が加硫接着されることによって、内筒金具12と中間スリーブ36がゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。特に、本実施形態では、ゴム弾性体16が、内筒金具12と中間スリーブ36を備えた一体加硫成形品として形成されている。
【0030】
また、かかる一体加硫成形品では、内筒金具12側に突設された各一対の第一の拘束突部28,28と第二の拘束突部30,30の突出先端面が、何れも、中間スリーブ36における窓部38が形成されていない部分に対向位置せしめられるように、内筒金具12と中間スリーブ36の周方向での相対位置が設定されている。そして、ゴム弾性体16には、軸方向中間部分において、それぞれ外周面に開口する4つのポケット状凹所40a〜dが形成されている。これらのポケット状凹所40a〜dは、何れも、周方向で隣接する第一の拘束突部28と第二の拘束突部30の間に形成されており、それぞれ、中間スリーブ36に設けられた窓部38a〜dを通じて、中間スリーブ36の外周面に開口せしめられている。
【0031】
要するに、各ポケット状凹所40は、その軸方向両側の側壁部48,48が、何れもゴム弾性体16によって構成されている。また、周方向で互いに隣接するポケット状凹所40,40間には、それぞれ、ゴム弾性体16で形成されて、内筒金具12から中間スリーブ36の間に跨がって径方向に延びる弾性仕切壁44,46が設けられており、それら弾性仕切壁44,46の内部に、内筒金具12側から突設された拘束突部28,30が埋設状態で固着されている。特に、図1に示されているように、それら4つの弾性仕切壁のうち、第一の拘束突部28,28が埋設固着された第一の弾性仕切壁44,44は、第二の拘束突部30,30が埋設固着された第二の弾性仕切壁46,46よりも、周方向厚さが小さく(T1<T2)されており、第二の弾性仕切壁46の方が、第一の弾性仕切壁44よりもばね剛性が大きくされている。
【0032】
さらに、ゴム弾性体16には、図2〜4に示されているように、軸方向両端面から軸方向外方に向かって突出する一対の弾性突起42,42が一体形成されており、中間スリーブ36の軸方向両端面よりも軸方向外方にまで突出せしめられている。この弾性突起42,42は、周方向に所定長さ(本実施形態では略1/4周の長さ)で、全長に亘って一定の略山形断面形状をもって形成されており、第一の拘束突部28,28が突出する径方向で内筒金具12を挟んで対向位置せしめられている。特に、これらの弾性突起42,42は、第一の弾性仕切壁44,44が延びる径方向で内筒金具12を挟んで対向位置せしめられており、第一の弾性仕切壁44の軸方向端面から周方向両側に向かって、それぞれ、第二の弾性仕切壁46の軸方向端面までは至らない周方向長さで、各ポケット状凹所40の側壁部48に形成されている。即ち、各弾性突起42は、第一の弾性仕切壁44を跨いで、該第一の弾性仕切壁44を挟んだ周方向両側に位置せしめられる各二つのポケット状凹所(40aと40b, 40cと40d)の軸方向壁部間に亘って周方向に連続するようにして形成されているのである。なお、かかる弾性突起42は、ゴム弾性体16の外周縁部に形成されていても良いが、本実施形態では、外周縁部から僅かに径方向内方に離間した径方向中間部分に位置して、周方向に延びるように形成されている。
【0033】
また、内筒金具12のフランジ部24が埋設固着された側(図3〜5中、上側)の側壁部48に設けられた弾性突起42,42は、軸方向の投影において、内筒金具12のフランジ部24よりも径方向外方に位置せしめられており、軸方向でフランジ部24に重ならないように形成されている。特に、本実施形態では、軸方向の投影において、第一の弾性仕切壁44に設けられた弾性突起42が、第一の拘束突部28よりも径方向外方に位置せしめられている。これにより、内筒金具12が外筒金具14に対して径方向に相対変位せしめられた際にも、弾性突起42の内筒金具12との一体的な変位が回避されて、弾性突起42の外筒金具14に対する径方向の相対変位量が、内筒金具12の外筒金具14に対する径方向の相対変位量に比して軽減されるようになっている。
【0034】
さらに、このような一体加硫成形品に対して、外筒金具14が外挿されて組み付けられている。この外筒金具14は、中間スリーブ36よりも一回り大きな大径の円筒形状を有しており、その内周面には、略全面に亘って薄肉のシールゴム層50が加硫接着されている。そして、かかる外筒金具14は、八方絞り加工等によって縮径されることにより、中間スリーブ36の外周面に対して流体密に嵌着固定されていると共に、軸方向両端部がロールかしめされて、中間スリーブ36の軸方向両端面に対して係止固定されている。なお、ゴム弾性体16の軸方向両端面に突設された弾性突起42,42は、中間スリーブ36の軸方向端面に係止された外筒金具14の軸方向端面よりも、更に外方にまで突出せしめられている。
【0035】
これにより、一体加硫成形品に形成された各ポケット状凹所40a〜dの開口が、外筒金具14にて流体密に覆蓋されていると共に、そこに非圧縮性流体が封入されて、合計4つの分割流体室52a〜dが形成されている。即ち、これらの分割流体室52a〜dは、見方を変えれば、内筒金具12と外筒金具14の径方向対向面間を周方向に延びる一つの環状流体室が、各一対の第一の弾性仕切壁44,44と第二の弾性仕切壁46,46で仕切られることにより、互いに周方向に離間位置して形成されているのである。
【0036】
なお、これらの分割流体室52a〜dへの非圧縮性流体の充填は、例えば、一体加硫成形品に対する外筒金具14の外嵌を、非圧縮性流体中で行うことによって、外筒金具14の組付けによる分割流体室52a〜dの形成と同時に行うことが出来る。また、封入流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が採用され得、特に、後述する流体の共振作用に基づく防振効果を有効に得るためには、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。
【0037】
このような構造とされたストラットマウント10においては、第一の弾性仕切壁44,44を挟んで周方向両側に位置せしめられた各一対の分割流体室52aと52bおよび52cと52dが、それぞれ、第一の拘束突部28の貫通孔32を通じて相互に連通されており、この貫通孔32,32によって、それら各一対の分割流体室52aと52bの間および52cと52dの間での流体流動を許容する一対の第一のオリフィス通路54,54が形成されている。また一方、第二の弾性仕切壁46,46を挟んで周方向両側に位置せしめられた各一対の分割流体室52aと52cおよび52bと52dは、互いに完全に独立しており、その結果、一方の第一の弾性仕切壁44を挟んだ両側に位置せしめられた一対の分割流体室52aおよび52bは、他方の第一の弾性仕切壁44を挟んだ両側に位置せしめられた他の一対の分割流体室52cおよび52dに対して、完全に独立して形成されている。
【0038】
そして、かかるストッラットマウント10は、図5に示されているように、内筒金具12に対して、ショックアブソーバのピストンロッド18の上端部が挿通されてボルト固定される一方、外筒金具14に対してブラケット金具20が外嵌固定されて、該ブラケット金具20を介して、外筒金具14が自動車のボデー22に固定されることにより、ピストンロッド18をボデー22に対して弾性連結するようになっている。
【0039】
そこにおいて、ブラケット金具20は、上筒金具56と下筒金具58から構成されている。これら上下筒金具56,58は、何れも大径の円筒形状を有していると共に、軸方向一方の端部において、径方向外方に向かって広がる取付板部60が一体形成されている一方、軸方向他方の端部において、径方向内方に向かって広がる円環板形状の当接突部62が一体形成されている。そして、これら上下筒金具56,58は、ストラットマウント10の軸方向両側から、各取付板部60を前方にして、外筒金具14に外挿されており、上下筒金具56,58の各取付板部60,60が互いに重ね合わされた状態で、ストラットマウント10に固定されている。なお、上下筒金具56,58を、何れも、外筒金具14に圧入固定しても良いが、本実施形態では、組付作業性等を考慮して、上筒金具56だけが、外筒金具14に圧入固定されている。
【0040】
すなわち、かかる組付状態下、ブラケット金具20は、その円筒状部において、ストラットマウント10の外筒金具14に外嵌固定されていると共に、その取付板部60,60が、互いに重ね合わされて、外筒金具14の軸方向中間部分から径方向外方に張り出しており、更に、その当接突部62,62が、ストラットマウント10の軸方向両端部において、外筒金具14の軸方向端面を覆うようにして径方向内方に延び出して、ゴム弾性体16の軸方向外方を離間して覆うように位置せしめられている。そして、重ね合わされた取付板部60,60が、ボデー22に重ね合わされて、該取付板部60,60を貫通して形成されたボルト孔64において、ブラケット金具20がボデー22にボルト固定されるようになっている。
【0041】
しかも、当接突部62は、ゴム弾性体16における弾性突起42の形成位置よりも径方向内方にまで延び出しており、各弾性突起42の突出先端面が、かかる当接突部62の軸方向内面に対して、何れも、当接せしめられている。
【0042】
また、かかる当接突部62は、軸方向の投影において、内筒金具12の本体部分には重ならないが、内筒金具12に突設されたフランジ部24の外周縁部には重なるだけの径方向突出寸法を有している。換言すれば、当接突部62の内径寸法が、内筒金具12の本体部分の外径寸法よりは大きく、且つフランジ部24の外径寸法よりは小さく設定されている。それにより、フランジ部24の外周縁部に突設された環状突部34が、当接突部62に対して、軸方向で離間して対向位置せしめられている。なお、環状突部34の突出先端面には、ゴム弾性体16によって緩衝ゴム層が形成されている。
【0043】
そして、かくの如き自動車への取付状態下、ストラットマウント10は、図1及び図5に示されている如く、内外筒金具12,14の中心軸が略車両上下方向(略鉛直方向)とされて、内筒金具12のフランジ部24が上側に位置せしめられると共に、内筒金具12を挟んで、第一の弾性仕切壁44,44が車両前後方向に延び、且つ第二の弾性仕切壁46,46が車両左右方向に延びるように、位置決めされるようになっている。
【0044】
このようなストラットマウント10においては、車両前後方向の入力振動に対しては、圧縮/引張変形せしめられる第一の弾性仕切壁44,44が、低動ばね特性とされていることにより、柔らかいばね特性に基づく優れた振動絶縁性、即ち防振効果が発揮されるのであり、以て、良好なる車両乗り心地が実現されることとなる。なお、ばね剛性の大きな第二の弾性仕切壁46,46は、主に剪断変形せしめられることから、第二の弾性仕切壁46,46によって防振特性が大幅に損なわれるようなことがない。
【0045】
一方、車両左右方向の入力荷重に対しては、圧縮/引張変形せしめられる第二の弾性仕切壁46,46が、高いばね剛性を有していることから、大きなロール変位等が抑制されて優れた操縦安定性が実現されることとなる。しかも、かかる車両左右方向に振動が入力された際には、内外筒金具12,14の相対変位に伴って、第一の弾性仕切壁44を挟んだ両側の分割流体室52aと52bの間および52cと52dの間で、それぞれ、相対的な圧力差が生ぜしめられることとなり、かかる圧力差に基づいて第一のオリフィス通路54を通じての流体流動が生ぜしめられることにより、かかる第一のオリフィス通路54を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、有効な防振効果が発揮され得るのである。なお、第一のオリフィス通路54の通路長さと通路断面積の比を、防振すべき振動周波数等に応じて適当に調節することによって、防振すべき振動に対してより有効な防振効果を得ることが出来る。
【0046】
そこにおいて、上述の如きストラットマウント10においては、ゴム弾性体16で構成された各分割流体室52a〜dの軸方向両側の側壁部48の剛性が、弾性突起42,42によって大きく設定されていることから、それら分割流体室52a〜dにおける内圧変動が、かかる側壁部48,48の膨出変形によって吸収,解消されてしまうことが有利に軽減乃至は防止され得るのであり、各第一の弾性仕切壁44を挟んだ両側の分割流体室52aと52bの間および52cと52dの間での相対的な圧力差が有効に生ぜしめられる。その結果、分割流体室52aと52bの間および52cと52dの間で、それぞれ第一のオリフィス通路54を通じて流動せしめられる流体の流動量が増大されることとなり、以て、かかる流体の共振作用等の流動作用に基づく上述の如き防振効果が、一層有効に発揮されるのである。特に、本実施形態では、各弾性突起42が、第一の弾性仕切壁44に一体的に連結されていることから、第一の弾性仕切壁44の剛性を利用して、各分割流体室52の側壁部48に対するばね剛性の向上効果が、一層有利に発揮され得る。
【0047】
しかも、弾性突起42,42は、内筒金具12やそれに一体形成されたフランジ部24を径方向外方に外れた位置に形成されていることから、径方向荷重の入力に際して内外筒金具12,14が径方向に相対変位せしめられた際にも、弾性突起42のブラケット金具20に対する径方向の相対変位量が小さく抑えられることとなる。その結果、弾性突起42とブラケット金具20(当接突部62)との当接面での相対的な擦れ変位量が軽減されて、弾性突起42の摩耗等が抑えられることにより、優れた耐久性が発揮されて、目的とする初期の防振特性を長期間に亘って安定して得ることが可能となるのである。
【0048】
また、弾性突起42,42が、内筒金具12やそれに一体形成されたフランジ部24を径方向外方に外れた位置に形成されていることから、内外筒金具12,14間への軸方向荷重の入力時に、内外筒金具12,14間で弾性突起42,42が直接に圧縮されるようなことがない。それ故、弾性突起42を設けたことによるストラットマウント10の軸方向ばね特性や防振特性への影響が可及的に防止され得るのであり、所期の軸方向ばね特性を確保しつつ、弾性突起42による上述の如き防振特性の向上効果を得ることが出来るのである。
【0049】
また、本実施形態のストラットマウント10では、内筒金具12に一体形成されたフランジ部24が、ブラケット金具20の当接突部62に対して、軸方向で離間して対向位置せしめられていることから、バウンド方向(ショックアブソーバを圧縮する方向)に過大な荷重入力があった際にも、フランジ部24のブラケット金具20への当接により、内外筒金具12,14の軸方向での相対変位量、ひいてはゴム弾性体16の変形量が制限されることにより、有効なフェイルセーフ機能と耐久性の向上が発揮されることとなる。
【0050】
さらに、かかるストラットマウント10には、サスペンションアームの揺動等に起因して、内筒金具12と外筒金具14の間にこじり荷重が及ぼされることとなり、かかるこじり荷重は、特に、内外筒金具12,14の中心軸を含む車両左右方向に延びる一つの平面内で、内外筒金具12,14の各中間軸を相対的に傾斜させるこじり方向におよぼされることが多い。そこにおいて、こじり平面近くでは、弾性突起42が形成されておらず、ゴム弾性体16の軸方向両端面が、ブラケット金具20(当接突部62)に対して、軸方向に離間して対向せしめられていることから、かかるこじり方向では、弾性突起42による影響が回避されて、低ばね特性が有利に確保され得るのであり、その結果、良好なる防振性能と乗り心地が実現され得ることとなる。
【0051】
以上、本発明の第一の実施形態について詳述してきたが、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0052】
例えば、第一のオリフィス通路の通路長さや通路断面積は、要求される防振特性に応じて適宜に変更されるものであり、また、第一のオリフィス通路の構造も、要求特性や大きさ,形状等に応じて、適宜に変更可能である。具体的には、例えば、図6及び図7に示されているように、中間スリーブ36に対して、第一の弾性仕切壁44を挟んだ両側に位置する各一対のポケット状凹所40aと40bの間および40cと40dの間に、それぞれ跨がって周方向に延びる凹溝66を形成し、この凹溝66を外筒金具14で覆蓋することによって、一対の第二のオリフィス通路68を形成することも可能である。
【0053】
また、一対の第二のオリフィス通路において、通路断面積と通路長さの比を相互に異ならせて、それら一対の第二のオリフィス通路に対して相互に異なるチューニングを施すことも可能であり、それによって、例えば、図8に示されているように、一方の第一のオリフィス通路による低動ばね効果域よりも高周波域に発生する***振による高動ばね化を、他方の第一のオリフィス通路による低動ばね効果によって抑えて、広い周波数域にわたる防振特性の向上を実現することも可能である。なお、図8において、破線は、一対の第二のオリフィス通路に同じチューニングを施した場合の特性図であり、実線は、一方の第二のオリフィス通路による***振を抑えるように、他方の第二のオリフィス通路のみを、僅かに高周波数域にチューニングした場合の特性図である。
【0054】
更にまた、各第二の弾性仕切壁46を挟んだ両側に位置せしめられた各分割流体室52aと52cの間および52bと52dの間に、それぞれ跨がって延びる第三のオリフィス通路を形成することも可能である。かかる第三のオリフィス通路は、第二のオリフィス通路と異なるチューニングが施されることが望ましく、それによって、例えば、車両横方向の入力振動とは異なる車両前後方向の入力振動に対して、該第三のオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果を得ることが可能となる。
【0055】
さらに、前記実施形態では、弾性突起42が、第一の弾性仕切壁44に連結されていたが、かかる弾性突起を、各分割流体室52の側壁部48,48において、第一の弾性仕切壁から隔たった位置に形成しても良い。
【0056】
また、前記実施形態では、弾性突起42が、ブラケット金具20に当接されていたが、かかる弾性突起42を、外筒金具14に一体形成された当接突部に当接させたり、ボデー22に直接当接させること等も可能である。
【0057】
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用のストラットマウントに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車用のボデーマウントやデフマウント,エンジンマウント等、各種の流体封入式筒形マウントに対して、その要求特性に応じて、何れも、適宜に適用され得るものである。
【0058】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0059】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、分割流体室の軸方向両側壁部における膨出変形が弾性突起によって抑制されることにより、第一のオリフィス通路を通じての流体の流動作用に基づく防振効果が向上されて、軸直角方向の防振性能が向上される。しかも、かかる弾性突起は、軸部材から外周側に外れて形成位置せしめられていることから、弾性突起による軸方向ばねの著しい高剛性化が回避されて、軸方向の防振性能が有利に確保され得ると共に、軸直角方向の振動入力時における弾性突起の擦れ変位が軽減されて、優れた耐久性が実現される。更に、かかる弾性突起が、軸部材から外周側に外れて形成位置せしめられていることに加えて、第二の弾性仕切壁にかからないように周方向に分断されて形成されていることから、第二の弾性仕切壁が延びる径方向平面上でのこじり方向では、弾性突起による高ばね化が回避され得、かかるこじり方向で優れた防振性能が発揮され得るのである。
【0060】
それ故、本発明に従えば、全体として、互いに直交する径方向での相異なる防振特性を容易に設定することが出来ると共に、軸方向およびこじり方向での優れた防振特性を実現せしめつつ、軸直角方向の入力振動に対して発揮される流体の流動作用に基づく防振効果の更なる向上を、容易に且つ優れた耐久性をもって達成することが出来るのであり、以て、全体として総合性能に優れた流体封入式筒形マウントが有利に実現され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての自動車用ストラットマウントを示す横断面図である。
【図2】図1に示されたストラットマウントの側面図である。
【図3】図1における III−III 断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV断面図である。
【図5】図1に示されたストラットマウントの装着状態を示す、図1におけるV−V断面に対応する縦断面説明図である。
【図6】本発明の別の実施形態としての自動車用ストラットマウントを示す横断面図である。
【図7】図6における VII−VII 断面図である。
【図8】本発明の別の実施形態としての自動車用ストラットマウントにおける動ばね定数の周波数特性を測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 ストラットマウント
12 内筒金具
14 外筒金具
16 ゴム弾性体
20 ブラケット金具
24 フランジ部
26 拘束ブロック
42 弾性突起
44 第一の弾性仕切壁
46 第二の弾性仕切壁
52 分割流体室
54 第一のオリフィス通路
62 当接突部

Claims (9)

  1. 防振連結される一方の部材に取り付けられる軸部材の径方向外方に離間して、防振連結される他方の部材に取り付けられる外筒部材を配設せしめて、それら軸部材と外筒部材をゴム弾性体で連結すると共に、軸方向両側の壁部が該ゴム弾性体で形成されて、それら軸部材と外筒部材の間を周方向に延びる流体室を形成し、かかる流体室を、該軸部材から該外筒部材に向かって径方向両側に延びる一対の第一の弾性仕切壁と、該軸部材から該外筒部材に向かって該一対の第一の弾性仕切壁に対して直交する径方向両側に延びる一対の第二の弾性仕切壁とによって仕切って、それぞれ非圧縮性流体が封入された4つの分割流体室を形成すると共に、前記一対の第一の弾性仕切壁を挟んだ両側に位置せしめられた各二つの分割流体室をそれぞれ相互に連通する一対の第一のオリフィス通路を設けた流体封入式筒形マウントにおいて、
    前記ゴム弾性体で形成された前記各分割流体室における軸方向両側壁部に、それぞれ軸方向外方に向かって突出して周方向に延びる弾性突起を、軸方向の投影で、前記軸部材から外周側に外れた位置で、且つ前記一対の第二の弾性仕切壁にかからないように形成し、前記防振連結される部材間への装着状態下で、それら各弾性突起の突出先端面が、前記外筒部材が取り付けられる側の部材に対して当接されるようにしたことを特徴とする流体封入式筒形マウント。
  2. 前記一対の第一の弾性仕切壁を、前記第二の弾性仕切壁よりも、周方向で小さな厚さ寸法とした請求項1に記載の流体封入式筒形マウント。
  3. 前記軸部材の少なくとも一方の軸方向端部において、外周面上に突出するフランジ状部を一体形成し、該フランジ状部を、前記ゴム弾性体で形成された前記流体室の軸方向壁部に固着せしめると共に、前記弾性突起を、軸方向の投影で、該フランジ状部から外周側に外れた位置に形成した請求項1又は2に記載の流体封入式筒形マウント。
  4. 前記一対の第一の弾性仕切壁および前記一対の第二の弾性仕切壁の少なくとも一方において、前記軸部材と前記外筒部材の少なくとも一方の側から他方の側に向かって径方向に突出する硬質の拘束突部を設けた請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式筒形マウント。
  5. 前記弾性突起を、前記各第一の弾性仕切壁を跨いで、該第一の弾性仕切壁を挟んだ周方向両側に位置せしめられる各二つの前記分割流体室の壁部間に亘って周方向に連続するように、一対形成した請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式筒形マウント。
  6. 防振連結される前記他方の部材に取り付けられる筒状のブラケットを用い、該ブラケットの筒状部に前記外筒部材を内嵌固定する一方、該ブラケットの軸方向両側開口部から径方向内方に広がる環状の当接突部を一体形成せしめて、該当接突部に対して前記弾性突起の突出先端面を当接させた請求項1乃至5の何れかに記載の流体封入式筒形マウント。
  7. 前記一対の第一のオリフィス通路の一方を、他方のオリフィス通路を流動せしめられる流体の***振作用が生ぜしめられる周波数域で、流体の共振作用に基づく低動ばね効果が発揮されるようにチューニングした請求項1乃至6の何れかに記載の流体封入式筒形マウント。
  8. 前記一対の第二の弾性仕切壁を挟んだ両側に位置せしめられた各二つの分割流体室をそれぞれ相互に連通する一対の第二のオリフィス通路を設けた請求項1乃至7の何れかに記載の流体封入式筒形マウント。
  9. 前記軸部材に対して、自動車のショックアブソーバのピストンロッドを固着すると共に、前記外筒部材に対して筒状のブラケットを外嵌固定せしめて、該外筒部材を該ブラケットを介して自動車のボデー側に固定することにより、それら軸部材および外筒部材の軸方向が自動車の略上下方向とされると共に、前記一対の第一の弾性仕切壁と前記一対の第二の弾性仕切壁が自動車の前後方向と左右方向に延びる状態で自動車に装着せしめる一方、該ブラケットの軸方向両側開口部から径方向内方に広がって一体形成された環状の当接突部を、前記弾性突起の突出先端面に当接せしめると共に、前記軸部材の軸方向上側の端部に、外周面上に突出するフランジ状部を一体形成して、前記ゴム弾性体で形成された前記流体室の軸方向壁部に固着せしめると共に、該フランジ状部を前記ブラケットの軸方向上側開口部に一体形成された当接突部に対して軸方向で離間して対向位置せしめ、且つ軸方向の投影において、前記弾性突起を該フランジ状部から外周側に外れた位置に設けた請求項1乃至8の何れかに記載の流体封入式筒形マウント。
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