JP3998491B2 - 流体封入式防振ブッシュ - Google Patents

流体封入式防振ブッシュ Download PDF

Info

Publication number
JP3998491B2
JP3998491B2 JP2002062251A JP2002062251A JP3998491B2 JP 3998491 B2 JP3998491 B2 JP 3998491B2 JP 2002062251 A JP2002062251 A JP 2002062251A JP 2002062251 A JP2002062251 A JP 2002062251A JP 3998491 B2 JP3998491 B2 JP 3998491B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluid
stopper
elastic body
rubber elastic
vibration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002062251A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003262249A (ja
Inventor
善之 森
政博 井関
達哉 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd, Toyota Motor Corp filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2002062251A priority Critical patent/JP3998491B2/ja
Publication of JP2003262249A publication Critical patent/JP2003262249A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3998491B2 publication Critical patent/JP3998491B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)
  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振ブッシュに係り、特に自動車用のサスペンションブッシュ等として好適に採用され得る、新規な構造の流体封入式防振ブッシュに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振ブッシュの一種として、径方向で互いに離隔配置されたインナ軸部材とアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、非圧縮性流体が封入された一対の流体室をインナ軸部材を挟んだ径方向で対向位置せしめて形成すると共に、それら一対の流体室を相互に連通するオリフィス通路を形成した流体封入式の防振ブッシュが、知られている。
【0003】
このような防振ブッシュは、一対の流体室が対向位置せしめられた径方向でインナ軸部材とアウタ筒部材の間に入力される振動に対して、流体室間で流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて優れた防振効果を発揮し得ることから、例えば自動車用のサスペンションブッシュやデフマウント,エンジンマウント等への適用が検討されている。
【0004】
ところで、防振ブッシュでは、一般に、その装着状態下において複数の方向に振動が入力されることとなり、それら複数の方向での防振特性が問題となる場合が多い。具体的には、例えば自動車用のサスペンションブッシュにおいて、インナ軸部材の中心軸が略車両左右方向に延びるように配設せしめた場合には、車両前後方向となる径方向と車両上下方向となる径方向との、互いに略直交する二つの径方向での防振特性が、車両乗り心地に大きな影響を与える。
【0005】
しかしながら、従来構造の防振ブッシュにおいては、一対の流体室が対向位置せしめられた径方向の入力振動に対して、それら流体室間で流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮されるものの、それと異なる径方向では、流体室間での流動流動が生ぜしめられ難いことから有効な防振効果を得ることが難しいという問題があった。そのために、例えば上述の如き自動車用のサスペンションブッシュにおいて、一対の流体室を車両前後方向に対向位置せしめた場合には、車両前後方向に入力される段差乗越時の振動等に対して有効な防振効果が発揮され得るものの、車両上下方向に入力される高周波ロードノイズ等に対しては十分な防振効果を得ることが難しいという問題があったのである。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、インナ軸部材とアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、オリフィス通路で相互に連通された複数の流体室を周方向で相互に離隔して形成した防振ブッシュにおいて、流体室が対向位置する径方向の入力振動に対して発揮される流体の流動作用に基づく防振効果を確保しつつ、それと異なる径方向での防振特性が向上された、新規な構造の流体封入式防振ブッシュを提供することにある。
【0007】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0008】
すなわち、本発明の第一の態様は、径方向で互いに離隔配置されたインナ軸部材とアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体の外周面に開口するポケット部を周方向で相互に離隔して複数形成し、それら複数のポケット部を該アウタ筒部材で流体密に覆蓋することによってそれぞれ非圧縮性流体が封入された複数の流体室を形成すると共に、それら複数の流体室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振ブッシュであって、前記複数のポケット部の少なくとも一つにおける底面の略中央にストッパ突部を突設して、前記流体室において該ストッパ突部の突出先端面を前記アウタ筒部材に対して径方向で対向位置せしめることにより前記インナ軸部材と該アウタ筒部材の径方向での相対変位量を制限するストッパ手段を構成する一方、該ストッパ突部の軸方向両側面と前記本体ゴム弾性体で形成された該ポケット部の軸方向両側壁内面との対向面間を軸方向に跨がって延びて、流体室において該ストッパ突部の軸方向両側に形成されて該流体室内を周方向に延びている凹溝を少なくとも一箇所で狭窄する弾性仕切板を該本体ゴム弾性体と一体形成したことを、特徴とする。
【0009】
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振ブッシュにおいては、複数の流体室が相互に対向位置せしめられた径方向への振動入力に際して、オリフィス通路を流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮されるのであり、それに加えて、ストッパ手段を構成するストッパ突部を巧く利用して流体室内に狭窄流路が形成されていることから、複数の流体室が対向位置する径方向と異なる方向への振動入力に際しても、本体ゴム弾性体の弾性変形に伴って一つの流体室内で狭窄流路を通じての流体流動が生ぜしめられることとなり、かかる狭窄流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果を得ることが可能となるのである。
【0010】
特に、本態様の流体封入式防振ブッシュにおいては、流体室内に突設されてストッパ手段を構成するストッパ突部を巧く利用して流体室内に狭窄流路を形成せしめ得た点に大きな特徴がある。即ち、第一に、流体室内にストッパ突部を設けたことにより、ストッパ突部の周囲において振動入力時に流体流動が効率的に生ぜしめられる環状領域を形成せしめ得たのであり、第二に、この環状領域を周上の適当な部位で狭窄する弾性仕切板をストッパ突部とポケット部の対向面間に跨がって形成したことにより、本体ゴム弾性体の耐久性の大幅な低下を回避しつつ、狭窄流路を流動せしめられる流体の流動量を有利に確保することを可能と為し得たのである。特に、後者の第二の点に関しては、ストッパ突部を利用したことで弾性仕切板の自由長を抑えることが出来たのであり、それによって、弾性仕切板の肉厚寸法乃至は剛性を小さく抑えて、本体ゴム弾性体に及ぼされる拘束力による応力集中に起因する本体ゴム弾性体の耐久性低下を回避しつつ、流体室内の流体圧による弾性仕切板の弾性変形量を抑えて、振動入力時に狭窄流路を流動せしめられる流体流動量を効率的に確保して流体の流動作用に基づく防振効果を有利に得ることが可能となったのである。
【0011】
なお、本態様において、ストッパ突部は、少なくとも弾性仕切板の固定部位がゴム弾性体によって該弾性仕切板と一体形成されることが望ましく、より好適には、ストッパ突部における少なくとも表層部分の全体が、弾性仕切板や本体ゴム弾性体と一体形成される。また、弾性仕切板は、ストッパ突部の外周面とポケット部の周壁内面との対向面間に跨がって直線的に延びるように平板形状をもって形成されていても良いが、その他、例えば、ストッパ突部や本体ゴム弾性体との接続部位の応力集中を軽減するために、それらの接続部位だけ肉厚寸法を大きくしても良く、或いは、本体ゴム弾性体への拘束力を緩和したり弾性仕切板自体の発生応力を軽減するために、ストッパ突部の外周面とポケット部の周壁内面との対向面間に跨がって湾曲して延びる湾曲板形状をもって形成すること等も可能である。更にまた、弾性仕切板は、ストッパ突部の周囲に形成された環状領域における任意の部位に形成されるものであって、その具体的な形成部位は、防振すべき振動入力方向等を考慮して適宜に決定され得ることとなり、例えば環状領域において二つ或いは三つ以上の弾性仕切板を形成することも可能である。
【0012】
また、採用される弾性仕切板の具体的な厚さ寸法は、弾性仕切板を形成するゴム材料の種類や、入力される振動加重大きさ、ストッパ突部とポケット部の周壁内面との対向面間距離に相当する弾性仕切板の自由長の他、防振すべき振動周波数や、弾性仕切板によって流体室内に形成される狭窄流路の流路断面積などを考慮して決定されることとなり、特に限定されるものでないが、一般に、1mm〜5mmの厚さ寸法の弾性仕切板を採用することが望ましい。蓋し、弾性仕切板の厚さ寸法が1mmより小さくなると、弾性仕切板のばね特性が柔らかくなり過ぎて振動入力時に流体室に圧力変動が生ぜしめられた際に弾性仕切板の弾性変形量が大きくなり、狭窄流路を通じての弾性仕切板を挟んだ両側領域間での流体流動量が十分に確保され難くなって、狭窄流路を流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮され難くなるおそれがある。一方、弾性仕切板の厚さ寸法が5mmを超えると、弾性仕切板のばね特性が硬くなり過ぎて本体ゴム弾性体の変形時に本体ゴム弾性体を拘束することに起因して応力集中が問題となり易く、本体ゴム弾性体の耐久性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0013】
更にまた、弾性仕切板によって形成される狭窄流路の形状や大きさ,長さ等は、防振ブッシュに要求される防振特性に応じて決定されるものであって、特に限定されるものでない。例えば、ストッパ突部の周囲に形成された環状領域の周方向に延びる何れかの部位で、該環状領域の底部から環状領域の開口部(ストッパ突部の突出方向)に向かって立ち上がるようにして形成された弾性仕切板が好適に採用され得ることとなり、このような弾性仕切板においては、該弾性仕切板の上端面とアウタ筒部材の対向面間に狭窄流路が形成されることとなる。ここにおいて、狭窄流路の流路断面積を調節するために、例えば、弾性仕切板の上端面を、予め部分的にアウタ筒部材に対して当接させておいても良い。
【0014】
さらに、ストッパ突部や弾性仕切板は、少なくとも一つの流体室に形成されることによって上述の如き狭窄流路による作用効果が発揮され得るが、そのような作用効果を一層有効に得るためには、内筒金具を挟んで径方向に略対向位置せしめられた一対の流体室に対して、互いに略対称的な構造をもってそれぞれストッパ突部や弾性仕切板を形成することが望ましい。
【0015】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る流体封入式防振ブッシュであって、前記流体室における前記ストッパ突部の軸方向両側に形成されて周方向に延びている前記凹溝において、少なくとも一対の前記弾性仕切板を、該ストッパ突部を軸方向に挟んだ両側で対向位置するように形成したことを、特徴とする。このような本態様に従えば、振動入力時に流体室内に形成される流体流路が一対の弾性仕切板で一層効率的に狭窄されて、目的とする狭窄流路が有利に形成され得るのであり、また、狭窄流路の設計自由度が大きくされて、狭窄流路を流動せしめられる流体の流動作用に基づいて発揮される防振効果のチューニング自由度が一層有利に確保され得る。
【0016】
また、本発明の第三の態様は、前記第二の態様に係る流体封入式防振ブッシュであって、前記ストッパ突部の突出先端面上において、該ストッパ突部を軸方向に挟んだ両側に形成された前記一対の弾性仕切板を相互に繋ぐように延びる連続板部を突出形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、ストッパ突部の突出先端面とアウタ筒部材との径方向対向面間も連続板部で狭窄されることにより、流体室内において、一対の弾性仕切板と連続板部で協働して狭窄流路が一層効率的に形成されることとなり、狭窄流路の設計自由度、ひいては狭窄流路を流動せしめられる流体の流動作用に基づいて発揮される防振効果のチューニング自由度がより一層有利に確保され得るのである。なお、ストッパ突部に形成された連続板部は、振動加重が入力されていない初期状態でアウタ筒部材に対して当接されていても良く、それによって、ストッパ突部のアウタ筒部材に対する当接時の衝撃や打音が軽減され得る。
【0017】
また、本発明の第四の態様は、前記第二又は第三の態様に係る流体封入式防振ブッシュにおいて、前記インナ軸部材を挟んで径方向に対向位置するように前記流体室を一対形成すると共に、それら各流体室における前記ストッパ突部の軸方向両側に形成されて周方向に延びている前記凹溝において、前記弾性仕切板が、該ストッパ突部を該インナ軸部材の軸方向で挟んだ両側に位置するように少なくとも一対形成されていることを、特徴とする。このような本態様においては、一対の流体室が対向位置する径方向の入力振動に対しては、それら一対の流体室間でオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づいて有効な防振効果が発揮され得るのであり、また、かかる一対の流体室の対向方向に対して略直交する径方向の入力振動に対しては、各流体室内で狭窄流路を流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮され得ることとなる。従って、本態様に従う構造とされた流体封入式防振ブッシュでは、互いに略直交する二つの径方向で、何れも、流体の流動作用に基づく有効な防振効果を得ることが可能となるのである。
【0018】
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至は第四の何れかの態様に係る流体封入式防振ブッシュにおいて、前記本体ゴム弾性体の外周面に中間スリーブを加硫接着すると共に、該中間スリーブに窓部を設けて該窓部を通じて前記ポケット部を開口せしめて、前記アウタ筒部材を該中間スリーブに外嵌固定して該窓部を流体密に覆蓋することにより前記流体室を形成する一方、該中間スリーブの該窓部を周方向に跨いで該アウタ筒部材の内周面に沿って延びるオリフィス部材を配設して、該オリフィス部材により前記オリフィス通路を形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、中間スリーブを採用したことによってポケット部のアウタ筒部材による覆蓋部位等におけるシール性を容易に且つ安定して得ることが出来るのであり、また、アウタ筒部材の内周面に沿って延びるオリフィス部材を採用したことにより、オリフィス通路の長さや断面積等の変更設定によるチューニング自由度が大きく確保され得る。
【0019】
なお、このようなオリフィス部材を採用する場合に、流体室に突設されたストッパ突部の突出先端面は、アウタ筒部材に対して、オリフィス部材を挟んで対向位置せしめられることとなり、オリフィス部材を介してアウタ筒部材に間接的に当接することによって、インナ軸部材とアウタ筒部材の径方向の相対変位量が制限されることとなる。
【0020】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0021】
先ず、図1〜3には、本発明に従う流体封入式防振ブッシュの一実施形態としての流体封入式トーコレクトブッシュ10が示されている。このトーコレクトブッシュ10は、インナ軸部材としての内筒金具12とアウタ筒部材としての外筒金具14が、互いに径方向に離隔して配されていると共に、それら内外筒金具12,14間に本体ゴム弾性体16が介装されて、両金具12,14が弾性的に連結された構造を有している。
【0022】
より詳細には、内筒金具12は、厚肉小径の円筒形状を有しており、軸方向一方(図1中の左方)の端部近くに剛性の固定プレート18が固着されている。この固定プレート18は、中央部分に形成された装着孔20において内筒金具12に外嵌されて溶着されており、内筒金具12を挟んで径方向両側にそれぞれ略扇形に広がる上下の拘束板部22,24を形成している。なお、上側拘束板部22は、軸方向外方に向かって傾斜して突出する湾曲板形状とされている一方、下側拘束板24は、軸直角方向に広がって突出する平板形状とされている。
【0023】
また、内筒金具12の軸方向中間部分には、径方向外方に突出する上下一対のストッパ部26,28が、径方向で対向位置して一体形成されている。これら上下のストッパ部26,28は、それぞれ、径方向外方に突出する略矩形ブロック形状とされている。また、上下各ストッパ部26,28の幅寸法(図3中の左右方向の寸法)は、内筒金具12の外径寸法と略同じとされていると共に、各ストッパ部26,28の軸方向寸法は、内筒金具12の軸方向寸法よりも十分に小さくされている。更にまた、上下のストッパ部26,28の突出高さは、互いに異なっており、何れのストッパ部26,28も、後述するポケット部(50,52)の開口部までは至らない高さとされていると共に、一方の下側ストッパ部28の突出高さが、他方の上側ストッパ部26に比して、後述するオリフィス金具(76)の略厚さ寸法分だけ小さくされている。
【0024】
さらに、内筒金具12の外周側には、中間スリーブとしての薄肉の略大径円筒形状を有する金属スリーブ30が径方向に所定距離を隔てて、且つ、略同一中心軸上に配設されている。この金属スリーブ30の軸方向長さは、内筒金具12の軸方向長さよりも小さくされており、内筒金具12の軸方向両端部が、金属スリーブ30から軸方向外方に突出せしめられている。
【0025】
また、金属スリーブ30の軸方向中央部分には、周溝32が形成されている。この周溝32は、金属スリーブ30の外周面に開口した凹溝形状とされており、略一定の断面積で金属スリーブ30の全周に亘って形成されている。また、周溝32の軸方向両側に位置せしめられた金属スリーブ30の軸方向両端部分は、それぞれ、大径の円筒形状を有する嵌着筒部34,34とされている。
【0026】
更にまた、金属スリーブ30の軸方向中央部分には、窓部としての上下一対の開口窓36,38が径方向一方向に対向位置して形成されている。これら上下の開口窓36,38は、それぞれ、矩形状を有しており、金属スリーブ30を貫通して形成されている。また、各開口窓36,38は、その周方向寸法と軸方向寸法の何れも、内筒金具12に突設された上下のストッパ部26,28より大きくされており、特に軸方向寸法は周溝32の幅寸法より大きくされていることによって、開口窓36,38の軸方向両端縁部が嵌着筒部34,34まで達している。そして、これら上下一対の開口窓36,38は、上下一対のストッパ部26,28の突出方向外方に位置せしめられている。
【0027】
また、金属スリーブ30の軸方向一方(図1中の左方)の開口周縁部には、径方向外方に突出して周方向に連続して延びるフランジ状部40が一体形成されている。そして、このフランジ状部40の周上の一部分(図1,2中の上側部分)が、軸方向に傾斜して径方向斜め外方に延び出す傾斜板部42とされている一方、周上の他の部分(図1,2中の下側部分)が、軸直角方向に広がって径方向に延び出す平板部44とされている。そして、傾斜板部42が、内筒金具12に突設された固定プレート18の上側拘束板部22に対して斜め軸方向に離隔し、略平行な対向面をもって対向位置せしめられていると共に、平板部44が、固定プレート18の下側拘束板部24に対して軸方向に離隔し、略平行な対向面をもって対向位置せしめられている。なお、固定プレート18には上下拘束板部22,24間に段差部46が形成されており、上側拘束板部22と傾斜板部42の対向面間距離よりも下側拘束板部24と平板部44の対向面間距離の方が大きく設定されている。
【0028】
さらに、内筒金具12と金属スリーブ30の径方向対向面間には、本体ゴム弾性体16が配設されている。かかる本体ゴム弾性体16は、全体として厚肉円筒形状を有しており、内筒金具12と金属スリーブ30の径方向対向面間の略全体に亘って介在せしめられている。そして、本体ゴム弾性体16の外周面が金属スリーブ30の内周面に加硫接着されていると共に、本体ゴム弾性体16の内周面が内筒金具12の外周面に加硫接着されていることにより、図4〜7に示されているように、本体ゴム弾性体16が、それら内筒金具12と金属スリーブ30を有する一体加硫成形品46として形成されている。なお、本体ゴム弾性体16の加硫成形後、必要に応じて金属スリーブ30に八方絞り等の縮径加工が施されて、本体ゴム弾性体16に対して、加硫に伴う引張応力の解消や予圧縮が施される。
【0029】
さらに、本体ゴム弾性体16は、内筒金具12に固設された固定プレート18の上下拘束板部22,24と、金属スリーブ30に形成されたフランジ状部40の傾斜板部42および平板部44の各対向面間にも延び出している。そして、それら固定プレート18とフランジ状部40の対向面間に本体ゴム弾性体16が充填されることにより、本体ゴム弾性体において軸方向荷重に際して圧縮変形せしめられる領域が形成されて軸方向のばね剛性の向上が図られている。また、上側拘束板部22と傾斜板部42の対向面間に本体ゴム弾性体16が充填されることによってトーコレクト部48が形成されており、このトーコレクト部48の分力作用に基づいて、内外筒金具12,14間への軸方向荷重の入力時に内外筒金具12,14をこじり方向に相対変位せしめて自動車のコーナリング特性をアンダーステア傾向に調節するトーコレクト機能が発揮されるようになっている。なお、トーコレクト部48を形成する本体ゴム弾性体16には、上側拘束板部22と傾斜板部42の対向面間の略中央部分に広がる中間板49が埋設状態で固着されており、トーコレクト部48におけるばね特性やトーコレクト機能が調節されている。
【0030】
また、本体ゴム弾性体16の軸方向中央部分には、固定プレート18の上下拘束板部22,24が突出する径方向(図4中の上下方向)で内筒金具12を挟んだ両側において、一対のポケット部50,52が形成されており、それぞれ、本体ゴム弾性体16の外周面に開口せしめられている。そして、これら一対のポケット部50,52は、それぞれ、金属スリーブ30における一対の開口窓36,38を通じて、金属スリーブ30の外周面に開口せしめられている。
【0031】
ここにおいて、各ポケット部50,52は、それぞれ、ストッパ部26,28の外周面形状よりも一回り大きな略矩形状の内周面形状をもって、殆ど内筒金具12まで達する深さで形成されている。そして、各ポケット部50,52の底部中央には、ストッパ部26,28が、開口部までは達しない高さで突出位置せしめられている。また、これら上下のストッパ部26,28の表面には、本体ゴム弾性体16と一体形成されたゴム層が略全面に亘って被着されており、特に各ストッパ部26,28の突出先端面のゴム層厚さが大きくされて緩衝ゴム54,56が形成されている。即ち、本実施形態では、緩衝ゴム54,56で被覆されたストッパ部26,28によって、ポケット部50,52の底面中央から突出するストッパ突部が形成されているのである。
【0032】
そして、上下のポケット部50,52には、その中央部分にストッパ部26,28が突設されていることにより、ストッパ部26,28の外周囲を取り囲むようにして延びる環状の凹溝58,60が形成されている。また、上下のポケット部50,52には、それぞれ、平板形状で底面から立ち上がる一対の弾性仕切板62,62と64,64が形成されている。これら一対の弾性仕切板62,62と64,64は、何れも、ケット部50,52において、周方向中央部分でストッパ部26,28を挟んで軸方向に対向位置する両側で、ストッパ部26,28の周囲に形成された凹溝58,60をそれぞれ仕切るようにして形成されている。なお、各弾性仕切板62,62と64,64のポケット部50,52内での突出高さは、何れも、ストッパ部26,28の緩衝ゴム54,56を含む突出高さよりも所定量だけ小さく設定されている。
【0033】
また、ストッパ部26,28の突出先端面には、それぞれ、周方向中央部分を軸方向に直線的に延びる連続板部66,68が突設されており、緩衝ゴム64,66と一体形成されている。なお、連続板部66,68は、何れも、長さ方向(内筒金具12の軸方向)で突出高さが滑らかな山形に変化しており、中央部分において最も突出高さが大きくされている。特に、上側ポケット部50に形成された連続板部66は、最大突出点が金属スリーブ30の外径寸法に達する程の突出高さとされている。また一方、下側ポケット部52に形成された連続板部68は、最大突出点が金属スリーブ30の外径寸法よりも後述するオリフィス金具(76)の厚さ寸法だけ小さくされた点まで達する程の突出高さとされている。
【0034】
そして、かかる連続板部66,68によって、ストッパ部26,28を軸方向に挟んで両側に形成された各一対の弾性仕切板62,62および64,64が相互に繋がれて、全体として、各ポケット部50,52において周方向中央部分を軸方向の全長に亘って直線的に延びるように、一対の弾性仕切板62,62と連続板部66および一対の弾性仕切板64,64と連続板部68が、それぞれ形成されている。
【0035】
また、金属スリーブ30に形成された周溝32のうち、上下一対のポケット部50,52間に跨がって周方向に延びる部分には、それぞれ本体ゴム弾性体16と一体形成された充填ゴム70,70が充填されている。また、周溝32に充填された充填ゴム70,70には、下側ポケット部52の周方向両端縁部から周方向で上側ポケット部54までは至らない長さで延びる嵌合凹部72,72が形成されている。更にまた、一方の充填ゴム70には、嵌合凹部72の周方向端部から上側ポケット部54にまで延びる連通凹溝74が、周溝32の幅方向中央部分を直線的に延びるように形成されている。
【0036】
さらに、図8に示されているように、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品46には、オリフィス部材としてのオリフィス金具76が外周面上に組み付けられていると共に、図1〜3に示されているように、このオリフィス金具76の外周面上に、更に、外筒金具14が組み付けられて、金属スリーブ30に対して外嵌状態で組み付けられている。
【0037】
オリフィス金具76は、図1,3,8に示されているように、略半円筒形状を有している。そして、かかるオリフィス金具76は、一体加硫成形品76の径方向一方(図1,3中の下方)から組み付けられており、金属スリーブ30における下側開口窓38(下側ポケット部52の開口部)を周方向に跨いで配設されている。また、オリフィス金具76は、その周方向両端部分が嵌合凹部72,72に嵌め込まれて、周方向および軸方向に位置決め固定されていると共に、周方向中間部分が軸方向両側に突出しており、これらの突出部分が金属スリーブ30の下側開口窓38における軸方向両端縁部の各周方向中央部分に対して嵌合されて、軸方向に位置決めされている。
【0038】
また、オリフィス金具76には、外周面上に周溝78が形成されている。この周溝78は、オリフィス金具76の軸方向略中央部分を、周方向一方の端部近くから他方の端縁部に至るまで連続して周方向に直線的に延びている。そして、周溝78の周方向一方の端部(行き止まり端)には、底壁部を貫通してオリフィス金具76の内周面に開口する連通孔80が形成されており、この連通孔80を通じて、周溝78の一方の端部が下側ポケット部52に開口,連通されている。また、周溝78の周方向他方の端部は、オリフィス金具76の一方の周方向端面に開口せしめられて、一体加硫成形品46の充填ゴム70に形成された連通凹溝74に接続されており、この連通凹溝74を通じて、上側ポケット部50に連通せしめられている。
【0039】
また一方、外筒金具14は、薄肉の大径円筒形状を有しており、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品46に対して、オリフィス金具76の組付け後に外挿された後、八方絞り等で縮径されることにより、金属スリーブ30とオリフィス金具76の外周面に嵌着固定されている。また、オリフィス金具76は、外筒金具14により、金属スリーブ30に対して固定されている。なお、外筒金具14の内周面には、略全面に亘って、薄肉のシールゴム82が加硫接着されており、このシールゴム82によって、金属スリーブ30と外筒金具14の嵌着面間およびオリフィス金具76と外筒金具14の嵌着面間が、それぞれ、流体密にシールされている。
【0040】
そして、本体ゴム弾性体46の一体加硫成形品46に対して、オリフィス金具76と外筒金具14が組み付けられることにより、上下のポケット部50,52の開口部が、それぞれ流体密に覆蓋されている。これにより、上側ポケット部50において、壁部の一部が本体ゴム弾性体46で構成された第一の流体室84が形成されていると共に、下側ポケット部52において、壁部の一部が本体ゴム弾性体46で構成された第二の流体室86が形成されている。さらに、これら第一及び第二の流体室84,86には、それぞれ、非圧縮性流体が封入されている。かかる非圧縮性流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が採用されるが、後述する流体の共振作用に基づく防振効果を有利に得るために、本実施形態では、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。なお、第一及び第二の流体室84,86への非圧縮性流体の封入は、例えば、本体ゴム弾性体46の一体加硫成形品46に対する外筒金具14の組付けを非圧縮性流体中で行うことによって有利に為され得る。また、金属スリーブ30と外筒金具14の嵌着面間は、シールゴム82が挟圧されてシールされており、第一及び第二の流体室84,86の外部空間に対する流体密性が確保されている。
【0041】
さらに、オリフィス金具76に形成された周溝78も、外筒金具14で流体密に覆蓋されており、以て、第一及び第二の流体室84,86を相互に連通するオリフィス通路88が形成されている。なお、オリフィス金具76の外周面は、シールゴム82を介して外筒金具14に流体密に圧接されており、それによって、オリフィス金具76の外周面と外筒金具14の隙間を通じての第一の流体室84と第二の流体室86の短絡が防止されている。
【0042】
また、オリフィス通路88は、トーコレクトブッシュ10に要求される防振特性に応じてチューニングされている。即ち、かかるオリフィス通路88は、第一及び第二の流体室84,86の壁ばね剛性や封入された非圧縮性流体の密度等を考慮しつつ、通路長さや通路断面積が適当に設定されることにより、内部を通じて一対の流体室84,86間で流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、防振を目的とする振動に対して有効に発揮されるようにチューニングされている。具体的には、例えば、オリフィス通路88は、その内部を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、14〜16Hzの周波数域の振動に相当するハーシュネス(ブルブル感)振動に対して高減衰化による防振効果が発揮されるようにチューニングされる。
【0043】
更にまた、第一の流体室84では、内筒金具12に突設されたストッパ部26の突出先端面が所定距離を隔てて外筒金具14の内周面に対して直接的に径方向で対向位置せしめられていると共に、第二の流体室86では、内筒金具12に突設されたストッパ部26の突出先端面が所定距離を隔ててオリフィス金具76の内周面に対して径方向で対向位置せしめられている。要するに、第二の流体室86において、ストッパ部26は、オリフィス金具76を介して、外筒金具14に対して間接的に対向位置せしめられている。そして、内外筒金具12,14間に、一対の流体室84,86が対向位置する径方向の大きな荷重が入力された際、これら第一及び第二の流体室84,86において、緩衝ゴム54,56を備えたストッパ部26,28が外筒金具14に対して直接乃至は間接に当接されることにより、内筒金具12と外筒金具14の軸直角方向での相対的変位量が緩衝的に制限されるようになっている。なお、ストッパ部26,28の突出先端面を構成する緩衝ゴム54,56の略全面に亘って、シボ突起等の凹凸を設けることにより、ストッパ部26,28が外筒金具14やオリフィス金具76に当接する際の異音の発生を抑えるようにしても良い。また、このことから明らかなように、本実施形態では、緩衝ゴム54,56を備えたストッパ部26,28を含んでストッパ手段が構成されている。
【0044】
さらに、第一及び第二の流体室84,86においては、内筒金具12側の中央にストッパ部26,28が突出形成されていることにより、ストッパ部26,28の外周を取り囲むようにして各流体室84,86の外周部分を周方向に環状に延びる環状領域90,92が形成されている。また、これらの環状領域90,92には、ストッパ部26,28を挟んだ軸方向両側に弾性仕切板62,62および64,64が対向位置せしめられており、かかる弾性仕切板62,62および64,64が、環状領域90,92内で堰を成すような状態で設けられている。これにより、環状領域90,92が、ストッパ部26,28の軸方向両側を周方向に延びる部分の周方向中央部分において、弾性仕切板62,62および64,64で略仕切られ、或いは狭窄されている。
【0045】
なお、第一及び第二の流体室84,86において、弾性仕切板62,62および64,64は、外筒金具14やオリフィス金具76にまでは達しない高さで形成されている。一方、第一及び第二の流体室84,86において、一対の弾性仕切板62,62間に形成された連続板部66と、一対の弾性仕切板64,64間に形成された連続板部68は、何れも、最も突出した中央部分が外筒金具14またはオリフィス金具76に対して当接せしめられている。
【0046】
すなわち、第一及び第二の流体室84,86は、それぞれ、周方向の中央部分において、一対の弾性仕切板62,62と連続板部66、または一対の弾性仕切板64,64と連続板部68によって狭窄されているのである。そして、かかる狭窄部分において、各流体室84,86において、周方向両側を相互に連通せしめる狭窄流路94,96が形成されている。
【0047】
而して、このような構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュ10は、例えば、トーションビーム式サスペンション機構に対して、その左右両側のトレーリングアームの装着孔に対して外筒金具を圧入固定する一方、内筒金具を、ロツド等を介してボデーに固定することにより自動車に装着される。また、その装着に際しては、図1中の上下方向が車両の前後方向となり、同図中の紙面に垂直な方向が車両の上下方向となり、更に同図中の左右方向が車両の左右方向となるように位置合わせされる。
【0048】
そして、かかる装着状態下、トーコレクトブッシュ10においては、車両前後方向となる径方向(図1及び図3中の上下方向)に振動が入力されて本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられることにより、第一の流体室84と第二の流体室86の間に相対的な圧力変化が生ぜしめられて、それら両流体室84,86間で、オリフィス通路88を通じての流体流動が惹起されることとなる。その結果、オリフィス通路88を流動せしめられる流体の共振作用に基づく高減衰効果が発揮されて、段差乗越え後に発生するブルブル感振動に対して、優れた防振性能を得ることが可能となり、以て、車両の乗心地の向上が図られ得るのである。
【0049】
一方、車両上下方向となる径方向(図1中の紙面に垂直な方向であって、図3中の左右方向)に振動が入力されると、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて内外筒金具12,14が軸直角方向に相対変位せしめられることに伴い、各流体室84,86内では、ストッパ部26,28が変位せしめられることとなり、その結果、ストッパ部26,28の周囲に形成された環状領域90,92をはじめとして各流体室84,86においてブッシュ周方向で積極的な流体流動が生ぜしめられる。そして、このようにして流体室84,86に生ぜしめられる流体流動は、弾性仕切板62,62および64,64を挟んだ周方向両側間での狭窄流路94,96を通じての流体流動として生ぜしめられるのであり、その結果、狭窄流路94,96を流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が発揮され得るのである。
【0050】
従って、狭窄流路94,96の流路断面積や流路長さを適当に調節して、狭窄流路94,96を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、例えば路面凹凸に起因するこもり音等の高周波振動等に対して低動ばね作用に基づく良好な防振効果を得ることが出来るのであり、それによって、車両乗り心地の更なる向上が実現可能となるのである。
【0051】
また、上述の如きオリフィス通路88や狭窄流路94,96を流動せしめられる流体の流動作用に基づいて発揮される防振効果は、振動等の動的荷重に対して高減衰効果や低動ばね効果等として発揮されるものであって、車両コーナリング時にトーコレクトブッシュ10に及ぼされる横力等の略静的な荷重に対するばね特性に関しては、本体ゴム弾性体16のばね特性が支配的となることから、車両の走行安定性や操縦安定性に対して問題となる悪影響を及ぼすようなこともないのである。
【0052】
しかも、狭窄流路94,96を形成する弾性仕切板62,64は、ゴム弾性体からなる薄板形状をもって形成されていることから、特別な部品を必要とすることなく本体ゴム弾性体16と容易に一体形成され得ることに加えて、その弾性変形が比較的容易に許容されることにより、本体ゴム弾性体16との接続部位における応力集中が軽減乃至は回避され得て、本体ゴム弾性体16のばね特性や耐久性への悪影響が問題となるようなこともない。
【0053】
加えて、かかる弾性仕切板62,64は、ストッパ部26,28を利用して、ストッパ部26,28と本体ゴム弾性体16との対向面間に跨がって形成されることから、その有効自由長が小さく抑えられ得るのであり、それ故、例えばストッパ部26,28を設けないで流体室84,86の軸方向両側壁部間に跨がって弾性仕切板を形成する場合に比して、最大撓み量が有利に抑えられることとなる。
【0054】
従って、弾性仕切板62,64の肉厚寸法を小さくして本体ゴム弾性体16に及ぼされる拘束力を抑えつつ、振動入力時に流体室84,86に惹起される流体圧の作用に起因する弾性仕切板62,64の撓み量を抑えることが出来るのであり、その結果、各流体室84,86において弾性仕切板62,64を挟んだ周方向両側に生ぜしめられる相対的な圧力変動が、弾性仕切板62,64の撓みによって吸収されてしまうことが避けられて、狭窄流路94,96を通じての流体流動量が有利に確保されて、かかる流体流動に基づく防振効果がより有効に且つ安定して発揮され得るのである。
【0055】
以上、本発明の一実施形態としてのトーコレクトブッシュ10について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様で実施され得るものである。また、そのような実施態様は、一々列挙しないが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること、言うまでもない。
【0056】
例えば、インナ軸部材とアウタ筒部材は、装着状態下に及ぼされる静的荷重等を考慮して、装着前の非荷重入力状態下で軸直角方向で偏心位置せしめられていても良い。
【0057】
また、トーコレクト部48において軸方向と軸直角方向の入力荷重に対して分力作用を発揮する上側拘束板部22と傾斜板部42の各傾斜面の形状や大きさ等は、要求特性に応じて適宜に変更,設定されるものであって、何等、限定されるものではない。
【0058】
更にまた、そのようなトーコレクト部48は、本発明において必須のものでなく、例えば固定プレート18を有しない内筒金具12と、フランジ状部40を有しない外筒金具14を用い、それら内外筒金具12,14の径方向対向面間に本体ゴム弾性体16を介在せしめた、トーコレクト機能を発揮しない一般の流体封入式のサスペンションブッシュやデフマウント,エンジンマウント等に対しても、本発明が、適用可能であることは、言うまでもない。
【0059】
また、オリフィス通路を、オリフィス部材を採用することなく、金属スリーブ30と外筒金具14の間に直接に形成したり、或いは、外筒金具14の内周面に沿って周方向の全周に亘って延びる環状のオリフィス部材を採用して周方向に一層長いオリフィス通路を形成することも可能である。
【0060】
さらに、トーコレクトブッシュに対して本発明を適用するに際しても、例えばトーコレクト部48を構成するゴム弾性体を、本体ゴム弾性体16と別体加硫成形して形成することも可能であり、それによって、例えば本体ゴム弾性体16とトーコレクト部48のゴム弾性体を異なる材質とすることができる。
【0061】
また、入力される振動の方向に応じて、一対の流体室が対向位置する径方向を適宜に設定したり、或いは3つ以上の流体室を形成することも可能である。更にまた、入力される振動の方向に応じて、環状領域90,92の周方向で3つ以上、或いは2対以上の弾性仕切板62,64を形成しても良い。具体的には、例えば軸方向の入力振動に対して流体の流動作用に基づく防振効果を得ることを目的として、流体室84,86の環状領域90,92において、ストッパ部26,28を軸方向に挟んだ両側に位置する部分に弾性仕切板を形成することも可能である。
【0062】
加えて、流体室84,86に形成される弾性仕切板62,64は、例示の如き平板形状のものに限定されるものではない。具体的には、例えば、図9に示されているように、ストッパ部28と本体ゴム弾性体16の対向面間で湾曲して延びる湾曲板形状の弾性仕切板100,100を採用することも可能であり、或いは図10に示されているように、厚さ寸法が変化せしめられた形状の弾性仕切板102,102等を採用することも可能である。特に、図9に示された弾性仕切板100,100においては、振動入力時における内外筒金具12,14の相対変位量が大きくなった場合にも、予め弾性仕切板100に設定された弛みによって容易に追従し得て、本体ゴム弾性体16に及ぼされる集中応力の更なる低減が図られ得る。また、図10に示された弾性仕切板102,102においては、応力集中が発生し易いストッパ部28や本体ゴム弾性体16への固定部位の応力が軽減されて耐久性の更なる向上が図られ得るのである。
【0063】
また、流体室84,86において、弾性仕切板62,64をストッパ部26,28を挟んで一対形成することなく、ストッパ部26,28の一方の側だけに一つの弾性仕切板62,64だけを形成しても良い。更にまた、複数の流体室84,86のうちの全てにおいて弾性仕切板62,64を設けて狭窄流路94,96を形成する必要もない。即ち、弾性仕切板を形成する流体室や、一つの流体室内に形成する弾性仕切板の数等も、要求される防振特性等を考慮して適宜に設定され得るものであることが、理解されるべきである。
【0064】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式防振ブッシュにあっては、複数の流体室間でオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が発揮される振動の入力方向とは異なる径方向においても、流体室内で弾性仕切板によって形成された狭窄流路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が発揮され得るのであり、それ故、特別な部材の追加を必要とすることもなく、複数の方向に入力される振動に対して、それぞれ、流体の流動作用に基づく防振効果を有利に得ることが可能となって、防振性能の向上が図られ得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのトーコレクトブッシュの縦断面図であって、図2のI−I断面に相当する図である。
【図2】図1における左側面図である。
【図3】図1におけるIII −III 断面図である。
【図4】図1に示されたトーコレクトブッシュを構成する一体加硫成形品の縦断面図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【図6】図4における底面図である。
【図7】図4に示された一体加硫成形品の側面図であって、図3における右側面に対応する図である。
【図8】図4に示された一体加硫成形品にオリフィス金具を組み付けた組付体を示す底面図である。
【図9】図1に示されたトーコレクトブッシュにおいて採用され得る弾性仕切板の別の態様を例示する、図6に相当する説明図である。
【図10】図1に示されたトーコレクトブッシュにおいて採用され得る弾性仕切板の更に別の態様を例示する、図6に相当する説明図である。
【符号の説明】
10 トーコレクトブッシュ
12 内筒金具
14 外筒金具
16 本体ゴム弾性体
26 上側ストッパ部
28 下側ストッパ部
50 上側ポケット部
52 下側ポケット部
62,64 弾性仕切板
66,68 連続板部
84 第一の流体室
86 第二の流体室
88 オリフィス通路
90,92 環状領域
94,96 狭窄流路

Claims (5)

  1. 径方向で互いに離隔配置されたインナ軸部材とアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体の外周面に開口するポケット部を周方向で相互に離隔して複数形成し、それら複数のポケット部を該アウタ筒部材で流体密に覆蓋することによってそれぞれ非圧縮性流体が封入された複数の流体室を形成すると共に、それら複数の流体室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振ブッシュであって、
    前記複数のポケット部の少なくとも一つにおける底面の略中央にストッパ突部を突設して、前記流体室において該ストッパ突部の突出先端面を前記アウタ筒部材に対して径方向で対向位置せしめることにより前記インナ軸部材と該アウタ筒部材の径方向での相対変位量を制限するストッパ手段を構成する一方、該ストッパ突部の軸方向両側面と前記本体ゴム弾性体で形成された該ポケット部の軸方向両側壁内面との対向面間を軸方向に跨がって延びて、流体室において該ストッパ突部の軸方向両側に形成されて該流体室内を周方向に延びている凹溝を少なくとも一箇所で狭窄する弾性仕切板を該本体ゴム弾性体と一体形成したことを特徴とする流体封入式防振ブッシュ。
  2. 前記流体室における前記ストッパ突部の軸方向両側に形成されて周方向に延びている前記凹溝において、少なくとも一対の前記弾性仕切板を、該ストッパ突部を軸方向に挟んだ両側で対向位置するように形成した請求項1に記載の流体封入式防振ブッシュ。
  3. 前記ストッパ突部の突出先端面上において、該ストッパ突部を軸方向に挟んだ両側に形成された前記一対の弾性仕切板を相互に繋ぐように延びる連続板部を突出形成した請求項2に記載の流体封入式防振ブッシュ。
  4. 前記インナ軸部材を挟んで径方向に対向位置するように前記流体室を一対形成すると共に、それら各流体室における前記ストッパ突部の軸方向両側に形成されて周方向に延びている前記凹溝において、前記弾性仕切板が、該ストッパ突部を該インナ軸部材の軸方向で挟んだ両側に位置するように少なくとも一対形成されている請求項2又は3に記載の流体封入式防振ブッシュ。
  5. 前記本体ゴム弾性体の外周面に中間スリーブを加硫接着すると共に、該中間スリーブに窓部を設けて該窓部を通じて前記ポケット部を開口せしめて、前記アウタ筒部材を該中間スリーブに外嵌固定して該窓部を流体密に覆蓋することにより前記流体室を形成する一方、該中間スリーブの該窓部を周方向に跨いで該アウタ筒部材の内周面に沿って延びるオリフィス部材を配設して、該オリフィス部材により前記オリフィス通路を形成した請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式防振ブッシュ。
JP2002062251A 2002-03-07 2002-03-07 流体封入式防振ブッシュ Expired - Fee Related JP3998491B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002062251A JP3998491B2 (ja) 2002-03-07 2002-03-07 流体封入式防振ブッシュ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002062251A JP3998491B2 (ja) 2002-03-07 2002-03-07 流体封入式防振ブッシュ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003262249A JP2003262249A (ja) 2003-09-19
JP3998491B2 true JP3998491B2 (ja) 2007-10-24

Family

ID=29196113

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002062251A Expired - Fee Related JP3998491B2 (ja) 2002-03-07 2002-03-07 流体封入式防振ブッシュ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3998491B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5806877B2 (ja) * 2011-08-09 2015-11-10 住友理工株式会社 防振ブッシュ
US11548340B2 (en) 2018-12-20 2023-01-10 Prospira Corporation Toe correction bushing and rear suspension device

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003262249A (ja) 2003-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3477920B2 (ja) 流体封入式防振支持体
US7866639B2 (en) Fluid-filled cylindrical vibration-damping device
JP4871890B2 (ja) 流体封入式筒形防振装置
JP5783858B2 (ja) 流体封入式筒形防振装置
JP4238892B2 (ja) 流体封入式筒型防振装置
JP5933984B2 (ja) 防振装置
JP6889585B2 (ja) 流体封入式筒形防振装置
JP2006064119A (ja) 流体封入式防振装置
JP2012092875A (ja) 流体封入式筒形防振装置
JP4367324B2 (ja) 流体封入式筒型防振組付体
JP3998491B2 (ja) 流体封入式防振ブッシュ
JP4124973B2 (ja) 流体封入式トーコレクトブッシュおよびそれを用いたサスペンション機構
JP2008190653A (ja) サスペンション用の流体封入式コンプライアンスブッシュ
JP3705715B2 (ja) 流体封入式筒形マウント
JP2008111558A (ja) 流体封入式トーコレクトブッシュおよびそれを用いたサスペンション機構
JP5907777B2 (ja) 流体封入式筒形防振装置
JPS61109934A (ja) Ff車用エンジンマウント
JP4697459B2 (ja) 流体封入式筒型防振装置
JPH11141595A (ja) 防振装置
JPH0369015B2 (ja)
JPH022498B2 (ja)
JPH0523866Y2 (ja)
JP3627397B2 (ja) 流体封入式筒形マウント
JP2017172623A (ja) 流体封入式筒形防振装置
JP2827846B2 (ja) 流体封入式ブッシュ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061114

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070731

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070807

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100817

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110817

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110817

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120817

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120817

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130817

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees