JP3700360B2 - ホイールストッパ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のサイドフレームのフロントホイール寄りに設けられたストッパに係り、特に、車両の衝突時においてフロントホイールが車両のボディ側に侵入するのを規制し、乗員空間を確保するに好適なホイールストッパに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の衝突時において、タイヤがボディ側に侵入して乗員空間を減少させる問題点を解消するために従来より各種の解決手段が行われている。例えば、モノコックボディ車におけるこの解決手段として、特開平5−116647号公報及び特開平5−85414号公報が挙げられる。
【0003】
特開平5−116647号公報の「自動車車体の前部構造」は、フロントサイドメンバとこれに一体的に連結しロッカ及びフロアフレームに二股状に結合するフロアフレームと前記フロントサイドメンバ及び前記フロアフレームの双方に結合するサブフレームとを有するフレームの前部構造に係り、前記フロントサイドメンバ及びフロアフレームとの双方に被結合部を有するサスペンションアームの後方の被結合部が、前記サブフレームの前記フロントサイドメンバとの結合部から前記フロアフレームとの結合部に至る間に設けられることを特徴とするものである。サスペンションアームの被結合構造を前記のようにすることにより車両の衝突時において、サスペンションアームの後方の被結合部の部位が突っ張らないで大きく変形し、フロントホイールが大きく横方向の内方に向けて変位し、タイヤと車体側の部材との接触面積が大となり、衝撃エネルギーの吸収量が大となり、フロントホイールの車体内への侵入を規制するようにしたものである。
【0004】
一方、特開平5−85414号公報の「自動車の前部車体構造」は、車両の衝突時に前輪を左右に回動させる前輪回動手段を設け、前輪と車体側との間のクラッシュストロークを増大させて前輪の車体側への侵入を規制するようにしたものである。また、前輪の当るサイドシルの前輪側に傾斜面を形成し、前輪を積極的に外方に回動させる手段も開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記の公知技術はそれぞれタイヤの車体側への侵入規制に効果的なものであるが、これ等は前記したようにモノコックボディ車に適用されるものであり、フレーム付きのRV車には適用しにくい。すなわち、RV車の場合、モノコックボディ車のように大きなエネルギー吸収ゾーンを前部に設けることが難しい。また、RV車のフロントサスペンションまわりの構造は堅固であり、変形状態がモノコックボディ車とは異なり、前記の公知技術を適用することは難しい。
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みて創案されたものであり、フレーム付きのRV車に適用可能であり、車両の衝突時におけるフロントホイールの後退量を機械的に減少させてフロントホイールの車体側への侵入量を減少させ乗員空間を確保する簡便構造のホイールストッパを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の目的を達成するために、サスペンションアーム(12)等を介してフレーム付き車両のサイドフレーム(7)側に支持されるフロントホイール(14)の外周後面(17)近傍の前記サイドフレーム(7)の外側面から突出して固着されて、該フロントホイール(14)と該サイドフレーム(7)とが該車両の乗員空間側へ侵入することを低減するためのストッパ(1)であって、該ストッパ(1)は、車両の衝突時において前記フロントホイール(14)の外周後面(17)に当接する突出片形状を有すると共に前記フロントホイール(14)と前記サイドフレーム(7)との接触を防止する剛性を有するものから構成されることを特徴とする。更に具体的に、前記サイドフレーム(7)の前記ストッパ(1)の固着される部位の近傍には、クロスメンバ(9)及び/又はフロントマウントブラケット(8)が固着されていることを特徴とする。
【0008】
従来技術では、車両の衝突時にはフロントホイールがサイドフレームに直接衝突し、サイドフレームを大きく変形させる。これにより、フロントホイールが車体側に接近し、車両の乗員空間を狭くする結果を招いたが、本発明のストッパをサイドフレームの所定位置に設けることにより、車両の衝突時にはストッパにフロントホイールの外周後面が当り、かつストッパが高剛性に形成されるためフロントホイールとサイドフレームとの接触が防止される。これによりフロントホイールの車体側への侵入量が低減する。また、サイドフレームの前記ストッパの固着される部位近傍にクロスメンバやフロントマウントブラケットを設けることにより、ストッパまわりの剛性が更に向上し、フロントホイールの移動規制が図れる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のホイールストッパの実施の形態を図面を参照して詳述する。まず、本発明のストッパの固着されるサイドフレームの近傍及びフロントホイールの支持構造の概要構造を図2により説明する。なお、図2は車両を下方側から見た図である。サイドフレーム7にはクロスメンバ9,10,11が架設されている。クロスメンバ9の架設されているサイドフレーム7の外側にはフロントマウントブラケット8が固着されている。また、クロスメンバ10,11の部分にはサスペンションアーム12の基端側が取り付けられている。サスペンションアーム12にはナックルアーム13等を介してフロントホイール14が取り付けられている。また、サスペンションアーム12にはトルクロッド15が連結され、ナックルアーム13にはスタビライザ16等が連結される。
【0010】
図4は本発明のストッパ1を設けない場合における前記のサイドフレームまわりの概要構造を示すものであり、図5はこの場合の車両の衝突時における主要部の変形状態を示した図である。図4に示すように、通常時においてはフロントホイール14とサイドフレーム7及びフロントマウントブラケット8等とはかなり離れた位置にある。車両の衝突時には、フロントホイール14は後方に押されながらサイドフレーム7側にその外周後面17が接近する方向に回動する。フロントホイール14の後方にはこの動きを阻害する部材がないため、フロントホイール14は図5に示すようにサイドフレーム7及びフロントマウントブラケット8に当接するまで後方にストロークし(ストロークaで示す)、更にサイドフレーム7等を押圧し、図示のように変形させる。従って、フロントホイール14の外周後面17は車両の内側に侵入する。このため、車室内にフロントホイール14等が侵入し乗員空間を狭くする問題点が生ずる。
【0011】
図1は本発明におけるストッパ1の詳細構造を示すものである。図1及び図2に示すように、ストッパ1はフロントマウントブラケット8の近傍の前方に配置され、サイドフレーム7の外側面から突出し、その外側面に固着されて配置される。なお、この位置は車両の衝突時においてフロントホイール14の外周後面17が当接する場所に相当する。
【0012】
図1に示すように、ストッパ1は、略L字枠体形状に折曲成形されたストッパ本体2と、この内外部に固着された補強部材3,4,5,6等とからなる。ストッパ本体2はその基端部をサイドフレーム7の外側面に溶着して固定され、前記したように突出して配置される。そして、補強部材3等により補強されたストッパ1は、このストッパ1にフロントホイール14の衝突時の大きな押圧力が作用した場合でもフロントホイール14がサイドフレーム7の外側面に接触しない程度の剛性を有するものとなる。
【0013】
図2に示すように、通常時にはストッパ1とフロントホイール14との間には適宜の間隔があり、ストッパ1は、フロントホイール14との関係ではフロントホイール14の外周後面17に一番近い位置に配置される。また、前記したように、ストッパ1の近傍にはフロントマウントブラケット8が固着され、その近傍のサイドフレーム7はクロスメンバ9により補強されている。
【0014】
図3は図2の構造の衝突時における変化を示すものである。フロントホイール14はサイドフレーム7側に外周後面17を近接させる方向に回動しながら後退する。その結果、フロントホイール14の外周後面17がストッパ1の突出端に当り、それ以上の後退を拘束される。ストッパ1は前記したしたように高剛性のものからなり、フロントホイール14は図示のようにストロークb<<aだけ移動するに過ぎない。
【0015】
フロントホイール14がストッパ1に衝突すると共に図3に示すようにサイドフレーム7やこれに連結するクロスメンバ10やサスペンションアーム12も変形するが、これ等はストッパ1よりも前の部分の変形であり、ストッパ1のない図5の場合のようにクロスメンバ9の連結位置までサイドフレーム7等が変形することはない。従って、サイドフレーム7等の車両の乗員空間側への侵入量は大巾に低減される。
【0016】
一方、ストッパ1の近傍には前記したようにフロントマウントブラケット8やクロスメンバ9が配設され、これ等がストッパ1を補強するため、ストッパ1まわりの総合剛性をより一層向上させることができ、フロントホイール14の移動量をより減少させることができる。
【0017】
【発明の効果】
1)本発明の請求項1に記載のホイールストッパによれば、ストッパによりフロントホイールの移動が規制され、これに伴ってサイドフレーム等の車室側への侵入量が低減し、乗員空間の減少を防止することができる。
2)本発明の請求項2に記載のホイールストッパによれば、ストッパの近傍にフロントマウントブラケットやクロスメンバ等の補強部材を配設することにより、ストッパまわりの総合剛性が向上し、サイドフレーム等の変形をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホイールストッパの詳細構造を示す斜視図。
【図2】本発明のストッパが配設されるサイドフレームやフロントホイールまわりの概要構造を示す平面図。
【図3】本発明における衝撃力作用時におけるフロントホイールの移動やサイドフレーム等の変形状態を示す平面図。
【図4】従来の前部のフレームまわりの構造の概要を示す平面図。
【図5】従来のフレームまわりの衝撃力作用時におけるフロントホイールの移動やサイドフレーム等の変形を示す平面図。
【符号の説明】
1 ストッパ
2 ストッパ本体
3 補強部材
4 補強部材
5 補強部材
6 補強部材
7 サイドフレーム
8 フロントマウントブラケット
9 クロスメンバ
10 クロスメンバ
11 クロスメンバ
12 サスペンションアーム
13 ナックルアーム
14 フロントホイール
15 トルクロッド
16 スタビライザ
17 外周後面
Claims (2)
- サスペンションアーム(12)等を介してフレーム付き車両のサイドフレーム(7)側に支持されるフロントホイール(14)の外周後面(17)近傍の前記サイドフレーム(7)の外側面から突出して固着されて、該フロントホイール(14)と該サイドフレーム(7)とが該車両の乗員空間側へ侵入することを低減するためのストッパ(1)であって、該ストッパ(1)は、車両の衝突時において前記フロントホイール(14)の外周後面(17)に当接する突出片形状を有すると共に前記フロントホイール(14)と前記サイドフレーム(7)との接触を防止する剛性を有するものから構成されることを特徴とするホイールストッパ。
- 前記サイドフレームの前記ストッパの固着される部位の近傍には、クロスメンバ及び/又はフロントマウントブラッケトが固着されるものである請求項1に記載のホイールストッパ。
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