JPS6036522Y2 - 自動車の車体前部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車の車体前部構造、特に車体フロア前縁部
と車体フロア両側縁部との連結部分の構造に関する。

一般に自動車においては第１図に示すように、車体フロ
アａ両側縁部に閉断面構造のサイドシルｂ、 ｂを固設
し、剛性の向上を図るとともに、正面衝突時等には、該
サイドシルｂ、 ｂに衝突荷重Ｆを分担させて客室の変
形を小さくするように構成しており、また、衝突時、タ
イヤＣ，ｃが後退した際、タイヤＣ，Ｃがサイドシルｂ
、 ｂ前端に当接し衝突荷重Ｆを緩和し、またそれ以上
のタイヤの後退を防止して客室の変形を小さくするよう
に構成している（たとえば実開昭５２−４６４１４号公
報）。

しかしながら、このような構造では正面衝突時、エンジ
ンｄの後退により、エンジンｄが車体フロアａ前縁に衝
突して第１図の一点鎖線で示すように車体フロアａを後
方に押圧変形するため、該変形によりサイドシルｂ、
ｂが内方へ引き込まれるように変形してしまい、サイド
ツルｂ。

ｂによる衝突荷重の緩和が期待できなくなる。

特に、第１図に示すように、車体フロアａ前縁部にフロ
ントサスペンションのロアアームｅ、ｅヲ支承するため
のロアアーム支承メンバーｆ、ｆを固設した構造では、
該ロアアーム支承メンバーｆ。

ｆにエンジンｄが衝突するため、サイドシルｂ。

ｂの内方変形は一層大きくなり、サイドシルｂ、ｂの機
能を充分に発揮できなくなる不具合を生じる。

本考案はサイドシルの内助がりを防止てし該サイドシル
に衝撃荷重を確実に分担でき、客室の変形が少ない自動
車の車体前部構造を提供することを主目的とする。

本考案は、車体フロア前縁部の左右両側端部にサイドシ
ルの前端部を結合し、車体フロア前縁部の両側部近傍で
あって上記サイドシルより車体内側部分と、上記両サイ
ドシル前部とを各々前部に対し後部が外方に向かい傾斜
しているロッド部材で連結するとともに、該ロッド部材
の両端部を該ロッド部材が車体に対しほぼ水平面内で回
動可能になるよう支承していることを特徴とするもので
ある。

以下、本発明の実施例を図面に沿って説明する。

第２図乃至第５図において、１は車体フロア２の前縁部
に固着され、閉断面構造を形成するダツシュロアメンバ
ーで、その中央の直線部１ａと、前部に対し後部が外方
に向って傾斜した左右傾斜部１ｂ、ｌｂとからなる。

３，３は車体フロア２前縁部の左右両側端部に前端部が
結合されたサイドシルで、それらの前部が、ダツシュロ
アメンバー１の左右端部（左右傾斜部１ｂ、ｌｂ）に固
着されている。

サイドシル３は、サイドシルインナー３ａとサイドシル
アウタ−３ｂとで構成され、両者にて断面略矩形の閉断
面を形成している。

ダツシュロアメンバー１の直線部１ａは、サイドシル３
，３前端部よりもさらに前方に位置し、傾斜部１ｂ、ｌ
ｂとの結合部分から前方にロアアーム支承メンバー４，
４がそれぞれ前方に突出している。

５は剛性の高いロッド部材（コンプレッションロッド）
で、その一端部は車体フロア２前縁部の両側部近傍であ
って上記サイドシル３より車体内側部分であるロアアー
ム支承メンバー４の膨出部４ａ後部に、その他端部はサ
イドシルインナ−３ａ前部に、それぞれボルト６．６に
てほぼ水平面内で回動可能になるように連結されている
。

また、ロッド部材５，５は、取付けられた状態で、ダツ
シュロアメンバー１の傾斜部１ｂ、ｌｂの下側に位置し
、すなわち前部に対して後部が外方に向かい傾斜したよ
うに位置している。

ロッド部材５は、若干傾斜したロッド本体５ａの両端部
に連設された板状取付部５ｂ、５ｂそれぞれに円筒状の
スペーサ５ｃ、５ｃが溶着されてなる。

ロッド本体５ａが若干傾斜しているのは、サイドシル３
下面がロアアーム支承メンバ−４下面より若干下方に位
置しているからである。

７はエンジンルームの両側壁を構成するホイールエプロ
ンで、その下部に外側方が開口した断面コ字状のフロン
トサイドフレーム８が車体前後方向に接合されて閉断面
を形成している。

９は車体フロア２下部に車体前後方向に延びるフロアサ
イドフレームで、上方が開口した断面コ字状に形成され
、車体フロア２への接合によって車体フロア２の両側方
下部に前後方向の閉断面を構成している。

フロアサイドフレーム９の前端部には、ロアアーム支承
メンバー４が連設されている。

ロアアーム支承メンバー４には、サスペンション（図示
省略）のフォーク状のロアアーム１０の内方端が揺動自
在に二点支承されている。

すなわち、ロアアーム支承メンバー４の前端部にロアア
ーム１０の前側基端部１０ａが支承されるとともに、ロ
アアーム支承メンバー４の前後下面に設けられた支承部
材１１にてロアアーム１０の後側基端部１０ｂが支承さ
れている。

１２はエンジン、１３はタイヤハウス、１４はヒンジピ
ラー、１５はタイヤである。

次に、上記構造の自動車が正面衝突した場合について、
第２図に基づいて考えると、先ず、衝撃力Ｆの作用によ
り、エンジン１２が後退し、ロアアーム支承メンバー４
，４を介してダツシュロアメンバー１を後方に押圧する
。

すると、ダツシュロアメンバー１は、その直線部１ａの
両端部に集中荷重がかかったような形になる。

ロッド部材５．５は、剛性が高く、その両端部は水平面
内で回動可能に取付けられているから、前記集中荷重に
より傾斜部１ｂ、ｌｂは、ロッド部材５，５とともに該
ロッド部材５，５とサイドシル３，３との連結部分Ａ、
Ａを中心として回動する。

したがってダツシュロアメンバー１の後退によるサイド
シル３の内方への引き込み力にロッド部材５が拮抗する
構造となりサイドシル３の内的がりを防止し、サイドシ
ル３はほぼ衝突前の形状に保たれることになる。

したがって衝突荷重はサイドシル３．３に確実に分担さ
れ客室の変形を最小限に抑えることができるとともに、
タイヤ１５の後退時にはサイドシル３前端にタイヤ１５
が衝突し、タイヤ１５の後退を防止し、かつタイヤ１５
の弾性力により荷重を緩衝させることができる。

本考案は、上記のように、車体フロア前縁部の両側部近
傍であってサイドシルより車体内側部分と、サイドシル
前部との間をロッド部材で、該口ラド部材の前部に対し
後部が外方に向かい傾斜するように、かつその両端部が
それぞれ車体に対しほぼ水平面内で回動できるように連
結したため、正面衝突時などの場合において、サイドシ
ル前部の円曲がりが防止され、エンジン後退による荷重
が両サイドシルに確実に分担されて緩衝されるから、客
室の変形量が少なく、乗員の安全性、保護が向上すると
いう実用上優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自動車の車体前部の概略平面図、第２図
は本考案の実施例の同概略平面図、第３図はロッド部材
の側面図、第４図は車体前部の要部斜視図、第５図は同
要部底面図である。 １・・・・・・ダツシュロアメンバー、１ａ・・・・・
・直線部、１ｂ・・・・・・傾斜部、２・・・・・・車
体フロア、３・・・・・・サイドシル、４・・・・・・
ロアアーム支承メンバー、４ａ・・・・・・膨出部、５
・・・・・田ツド部材、５ａ・・・・・・ロッド本体、
５ｂ・・・・・・板状取付部、５ｃ・・・・・・スペー
サ、６・・・・・・ボルト、７・・・・・・ホイールエ
プロン、８・・・・・・フロントサイドフレーム、９・
・・・・・フロアサイドフレーム、１０・・・・・中ア
アーム、１０ａ・・・・・・前側基端部、１０ｂ・・・
・・・後側基端部、１１・・・・・・支承部材、１２・
・・・・・エンジン、１３・・・・・・タイヤハウス、
１４・・・・・・ヒンジピラー １５・・・・・・タイ
ヤ。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）車体フロア前縁部の左右両側端部にサイドシルの
   前端部を結合腰車体フロア前縁部の両側部近傍であって
   上記サイドシルより車体内側部分と、上記両サイドシル
   前部とを各々前部に対し後部が外方に向かい傾斜してい
   るロッド部材で連結するとともに、該ロッド部材の両端
   部を該ロッド部材が車体に対しほぼ水平面内で回動可能
   になるよう支承していることを特徴とする自動車の車体
   前部構造。
2. （２）ロッド部材の前端部は、車体フロア前縁部の両側
   部近傍に配設されるサスペンションのロアアーム支承メ
   ンバーに連結されている実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の自動車の車体前部構造。