JP3689881B2 - 格納可能な折り畳みシート - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば車輌用の座席シートとして用いて好適な不使用時に邪魔になることのない格納可能な折り畳みシートに関する。
【０００２】
【従来の技術】
図９は、従来の格納可能な折り畳みシートの構成を示す斜視図である。図において、１，２は例えば車の窓、３は車の室内側壁、４は折り畳み可能な座席のシートクション、５は同様にシートバック、６はシートクション４の底面に収納可能に取り付けられている脚部、７は折り畳み可能な座席のシートクション４の一部と車の室内側壁３とを連結した連結部である。この連結部７は折り畳み可能な座席全体を矢印Ｕ方向へ回動させることが可能な構造を有している。８はホイールハウス部である。
【０００３】
次に動作について説明する。
この格納可能な折り畳みシートは、不使用時にはシートバック５を矢印Ｄ方向へ倒し、シートバック５をシートクション４上へ折り畳む。さらに、この状態の座席シート全体を矢印Ｕ方向へ回転させ持ち上げることで、座席シート全体はホイールハウス部８上部の車の室内側壁３へ押し付けられた状態で格納される。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
従来の格納可能な折り畳みシートは以上のように構成されていたので、座席シートが格納されるホイールハウス部８上部の室内側壁３の上方に窓が構成されている場合には、格納された前記座席シートの一部が前記窓の一部を覆うことになり視界の妨げとなり、また車内の美観を損ねるなどの課題があった。
また、座席シートは車の室内側壁３上にむき出しの状態で固定され格納されているので、車内を移動する者にとって障害物となる可能性があり、特に走行中の車内では車の揺れにより体を打ち付けることがあるなどの課題があった。
【０００５】
本発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、本発明の目的は窓を覆って視界の妨げとならず、また車内の美観を損ねることがなく、さらに安全性を確保できる格納可能な折り畳みシートを提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る格納可能な折り畳みシートは、シートクッションとシートバックとが一体化される折り畳み可能な構造を有したシートと、支持部により一端がデッキサイドへ回動可能に取り付けられ、前記シートを回転可能に支持した状態で前記デッキサイドへ連結し、折り畳まれていない状態の前記シートを前記デッキサイドと平行に配置可能にする連結シャフトと、該連結シャフトの回動により前記デッキサイド側へ移動した折り畳まれた前記シートを、直立した状態で前記デッキサイド内で格納するシート格納部とを備えていることを特徴とする。
【０００７】
また、本発明に係る格納可能な折り畳みシートは、連結シャフトが、デッキサイド内に設けられた支持部の垂直方向に配置された回転軸により前記デッキサイドへ回動可能に取り付けられた一端と、他端付近に形成されＬ字状に床面側へ屈曲した屈曲部と、シートクッションの底面付近で当該シートクッションを回転可能に支持して、折り畳まれていない状態のシートを前記デッキサイドと平行に配置可能にする構造とを有していることを特徴とする。
【０００８】
また、本発明に係る格納可能な折り畳みシートは、連結シャフトの回動によりシート格納部から取り出した直立した状態のシートを前記連結シャフトに対し回転させてシートクッションを水平にしたときの前記シートの自重や前記シートへの荷重を支える支持機構を備えていることを特徴とする。
【０００９】
また、本発明に係る格納可能な折り畳みシートは、連結シャフトの回動によりシート格納部から取り出したシートを床面上の所定の位置で固定するための固定機構を備えていることを特徴とする。
【００１０】
また、本発明に係る格納可能な折り畳みシートは、固定機構が、連結シャフトの屈曲部の先端に設けられたブラケットおよび当該ブラケットを固定する床面上の所定の位置に設けられたブラケット固定部であることを特徴とする。
【００１１】
また、本発明に係る格納可能な折り畳みシートは、シート格納部の開口部を覆うカバー部材を備えていることを特徴とする。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態例を図について説明する。
図１は、本発明の第１の実施の形態の格納可能な折り畳みシートを示す斜視図である。図において、１１はデッキサイド、１２はデッキサイド１１のシート格納部１１ａへ折り畳まれて直立した状態で格納された折り畳みシートである。この折り畳みシート１２は、シートバックとシートクッションとが折畳み可能な構造を有している。１３は折り畳みシート１２の底面に構成された支持板である。この支持板１３は、折り畳みシート１２の底面に対し必要に応じて直角に取り付けることの出来る折畳み可能な構造を有している。１４は一端が回転ヒンジによりデッキサイド１１へ回動可能に取り付けられ、前記シートクッションを回転可能に支持した状態で前記折り畳みシート１２を前記デッキサイド１１へ連結し、シートクッションとシートバックが折り畳まれていない状態の折り畳みシート１２をデッキサイド１１と平行に配置可能にする連結シャフトである。この連結シャフト１４は他端部付近がＬ字状に床面側へ屈曲した構造を有している。１５は前記回転ヒンジを構成するデッキサイド１１内に設けられた支持アーム、１６は前記支持アーム１５の間に垂直に設けられ連結シャフト１４の一端を回動可能にデッキサイド１１に取り付ける回転軸である。１７はホイールハウス部、１８と１９はピン挿入部、２０は連結シャフト１４の他端先端部に構成されたブラケットを固定する床面２２上の所定の位置に設けられたブラケット固定部、２１は床面２２上に設けられた前記支持板１３の一部と係合するロックアンカーである。２３はデッキサイド１１に構成された前記シート格納部１１ａを覆うカバー部材である。
【００１３】
図２は、前記ブラケット固定部２０の断面構造を示す説明図であり、１４ａは連結シャフト１４の他端先端部、１４ｂは連結シャフト１４の他端先端部１４ａに設けられたブラケットである。
【００１４】
次に動作について説明する。
この格納可能な折り畳みシートは、不使用時には通常、図１に示す形態でデッキサイド１１のシート格納部１１ａ内に格納されている。この状態では折り畳みシート１２の支持板１３が取り付けられている面とデッキサイド１１の面とは略同一レベルとなり、格納された折り畳みシート１２がデッキサイド１１の表面から突出することはない。
【００１５】
折り畳みシート１２を座席として使用する際には、折り畳みシート１２をシート格納部１１ａから引き出して使用するが、直立した状態で引き出された折り畳みシート１２は前記回転軸を中心にした円弧上を移動し、図３に示す矢印Ｖ方向へ引き出される。このとき連結シャフト１４の他端先端部１４ａは床面２２上を摺動し、そのブラケット１４ｂがブラケット固定部２０と図３に示すように係合し、引き出された折り畳みシート１２は床面２２上の所定位置に固定される。
図３に示す状態から、折り畳みシート１２のシートバック１２ａを矢印Ｗ方向へ倒して図４に示す形態にすることで、床面２２上に位置するシートバック１２ａの上に後向に着座する形態の座席として構成することが出来る。この際、ピン挿入部１８へ折り畳みシート１２の図示していない挿入ピンを差し込んで折り畳みシート１２をデッキサイド１１へ固定することで、連結シャフト１４を中心に折り畳みシート１２がＸ方向へ回転するのを防ぎ、折り畳みシート１２を安全に使用することが可能となる。
【００１６】
一方、図３に示す状態から、折り畳みシート１２のシートクッション１２ｂを矢印Ｘ方向へ連結シャフト１４を中心にして回転させることで、折り畳みシート１２は図５に示す状態になる。このとき、折り畳みシート１２のシートクッション１２ｂの裏面に構成されている支持板１３を前記裏面に対し直角に立ち上げる。この結果、支持板１３の一部がロックアンカー２１と係合し、支持板１３は床面２２に垂設された状態で固定される。この支持板１３は、折り畳みシート１２の自重や折り畳みシート１２へ着座する人の荷重を支えるだけの強度を備えている。
【００１７】
そして、さらにシートバック１２ａを矢印Ｙ方向へ回転させ引き起こす。図６は、この状態を示す斜視図であり、サイドデッキ１１に平行な状態で床面２２上に固定された座席が構成される。
【００１８】
以上のように本実施の形態によれば、折り畳みシート１２は折畳まれた状態でサイドデッキ１１に構成されたシート格納部１１ａへ格納され、このとき折り畳みシート１２とサイドデッキ１１との面は略同一レベルとなって、格納された折り畳みシート１２がサイドデッキ１１の表面から突出することがないので、窓を覆って視界の妨げとなたったり、車内の美観を損ねることがなく、さらに安全性が確保される。
【００１９】
図７は、本発明の第２の実施の形態による格納可能な折り畳みシートの構成を示す斜視図、図８は本発明の第３の実施の形態による格納可能な折り畳みシートの構成を示す斜視図である。図７，図８において図１，図２と同一の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
これら第２の実施の形態および第３の実施の形態では、連結シャフト３１，３２は折り畳みシート１２のシートクッション１２ｂの裏面上にシートクッション１２ｂの回転を可能にする状態で配置されている。
図７に示す第２の実施の形態では、連結シャフト３１が折り畳みシート１２のシートクッション１２ｂの裏面の前方に偏らせて配置され、支持板１３はシートクッション１２ｂの裏面の後方に配置されている。
また、図８に示す第３の実施の形態では、連結シャフト３２は２ヵ所の屈曲部を有し、折り畳みシート１２のシートクッション１２ｂの裏面でサイドデッキ１１ａに対し平行に配置されている。
【００２０】
これらの実施の形態では、折り畳みシート１２の「使用状態」時の着座位置（シートクッション高さ、シート前後、左右位置）と「格納状態」時の格納位置をねらい通りの設定位置に近づける効果がある。
【００２１】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、座席として使用しない場合には折り畳んでデッキサイド内へ格納することが出来、必要に応じて前記デッキサイドから引き出して座席として使用できるため、折り畳まれて格納された折り畳みシートが窓を覆うことがなくなり視界の妨げとならず、また室内の美観を損ねることもなくなり、さらにむき出しで突出した状態で格納されないので体を打ち付けたりする危険性がなく安全性を確保できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の第１の実施の形態による格納可能な折り畳みシートの構成を示す斜視図である。
【図２】この発明の第１の実施の形態による格納可能な折り畳みシートのブラケット固定部の断面構造を示す説明図である。
【図３】この発明の第１の実施の形態による折り畳みシートをシート格納部から引き出したときの構成を示す斜視図である。
【図４】この発明の第１の実施の形態による後向に着座する形態の座席の形態を示す斜視図である。
【図５】この発明の第１の実施の形態による折り畳みシートをシート格納部から引き出したときの構成を示す斜視図である。
【図６】この発明の第１の実施の形態による折り畳みシートをシート格納部から引き出したときの構成を示す斜視図である。
【図７】この発明の第２の実施の形態による格納可能な折り畳みシートの構成を示す斜視図である。
【図８】この発明の第３の実施の形態による格納可能な折り畳みシートの構成を示す斜視図である。
【図９】従来の格納可能な折り畳みシートを示す斜視図である。
【符号の説明】
１１ サイドデッキ
１１ａ シート格納部
１２ 折り畳みシート
１２ａ シートバック
１２ｂ シートクッション
１３ 支持板
１４，３１，３２ 連結シャフト
１４ａ 連結シャフトの他端先端部
１４ｂ ブラケット
２０ ブラケット固定部

Claims (6)

1. シートクッションとシートバックとが一体化される折り畳み可能な構造を有したシートと、
   支持部により一端がデッキサイドへ回動可能に取り付けられ、前記シートを回転可能に支持した状態で前記デッキサイドへ連結し、折り畳まれていない状態の前記シートを前記デッキサイドと平行に配置可能にする連結シャフトと、
   該連結シャフトの回動により前記デッキサイド側へ移動した折り畳まれた前記シートを、直立した状態で前記デッキサイド内で格納するシート格納部とを備えた格納可能な折り畳みシート。
2. 前記連結シャフトは、前記デッキサイド内に設けられた支持部の垂直方向に配置された回転軸により前記デッキサイドへ回動可能に取り付けられた一端と、他端付近に形成されＬ字状に床面側へ屈曲した屈曲部と、前記シートクッションの底面付近で当該シートクッションを回転可能に支持して、折り畳まれていない状態の前記シートを前記デッキサイドと平行に配置可能にする構造とを有していることを特徴とする請求項１記載の格納可能な折り畳みシート。
3. 前記連結シャフトの回動によりシート格納部から取り出した直立した状態の前記シートを前記連結シャフトに対し回転させて前記シートクッションを水平にしたときの前記シートの自重や前記シートへの荷重を支える支持機構を備えていることを特徴とする請求項２記載の格納可能な折り畳みシート。
4. 前記連結シャフトの回動によりシート格納部から取り出した前記シートを床面上の所定の位置で固定するための固定機構を備えていることを特徴とする請求項３記載の格納可能な折り畳みシート。
5. 前記固定機構は、前記連結シャフトの前記屈曲部の先端に設けられたブラケットおよび当該ブラケットを固定する床面上の前記所定の位置に設けられたブラケット固定部であることを特徴とする請求項４記載の格納可能な折り畳みシート。
6. 前記シート格納部の開口部を覆うカバー部材を備えていることを特徴とする請求項５記載の格納可能な折り畳みシート。

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