JP3686456B2 - プロピレン系重合体および該重合体を用いた中空成形体 - Google Patents

プロピレン系重合体および該重合体を用いた中空成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、スウェル比が大きく、ブロー成形など溶融粘弾性の必要とされる成形に適し、かつリサイクル時にもその成形性を低下させることのない、いわゆるリサイクル成形性を備え、かつ剛性と耐衝撃性を兼ね備えたプロピレン系重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレン系重合体は、他のポリオレフィンに比較して透明性、剛性、表面光沢性、耐熱性に優れており利用価値は大きい。しかしながら、溶融張力が小さいために中空成形、シート成形、ラミネート成形等に劣っていた。
特に、中空成形分野においては、溶融パリソンの垂れが大きい為に、大型の中空成形ができない、あるいは、スウェル比が小さいために肉厚のコントロールが難しく肉厚が不均一になる等の問題があった。
【0003】
これらの欠点を改良する方法として高圧法低密度ポリエチレンを添加する方法等が知られている。しかし、この方法ではポリプロピレンの本来の透明性、剛性、耐熱性を損なうことになり、十分な改良とは言えない。
また、多段重合によって分子量分布を広げることで、溶融張力を改良する方法も提案されている(特開昭55−118906、特開昭58−219207、特開昭63−317505)。しかし、プロピレン系重合体の場合には、まだ十分成形性を改善するには至っていないし、これらは、超高分子量成分が成形機内の剪断によって切断しやすくリサイクル成形時には本来の溶融張力やスウェル比を失ってしまうことについて言及していない。
また、特開昭62−121704では高エネルギー線を照射することで長鎖分岐を生じさせ、粘弾性を付与する技術が開示されている。また、特表平5−506875には、長鎖分岐の量の目安となる平衡コンプライアンスの大きなポリプロピレンで成形された発泡シートが提案されているが、これら長鎖分岐を数多く持つポリプロピレンは劣化が激しく、成形リサイクル性に欠ける。また、中空成形においては、ポリプロピレンの最大の特徴である光沢性を損なう。
また、高い溶融張力を得ようと放射線照射量を大きくすると、ゲルが発生し易く、成形体の外観を損ねる等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前記従来技術における問題点を解決し、熱劣化を受けにくくリサイクル成形性に優れ、溶融張力が十分に大きく、溶融垂れ性の改善された中空成形、シート成形、ラミネート成形に適したプロピレン系重合体、およびこれらプロピレン系重合体を用いたドローダウン性、表面光沢、肉厚分布、剛性に優れた中空成形体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の溶融粘弾性特性をもったポリプロピレン系重合体が、上記課題を解決するのに重要であることを見いだし本発明に至った。
即ち、本発明の課題は210℃周波数10-2rad/秒における損失弾性率(G”0.01)が5×102 Pa 以上、かつ210℃周波数10rad/秒における複素粘性率(|η* 10 |)が9×103 Pa ・S以下、かつ平衡コンプライアンス(Jeo)が10-4cm2/dyne以下であるプロピレン系重合体によって解決することができる。
【0006】
以下、本発明について詳細を説明する。
本プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体のほかに、エチレンあるいは炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる一種または複数のモノマーを共重合した、いわゆるランダムポリプロピレンが挙げられる。
プロピレンと共重合する他のα−オレフィンとしてはエチレン、また炭素数4以上のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられるが、好ましいのは、エチレン、1−ブテンであり、特に好ましいのはエチレンである。
また、これら重合体製造の後にさらに重合反応器を設け逐次的にエチレン−プロピレン共重合体等のエラストマー成分を重合したいわゆるブロックコポリマーをも意味する。
さらにプロピレン単独重合体、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーの混合物でも良い。
【0007】
一般に低周波数における損失弾性率G”は重合体中の長時間緩和成分の量の尺度として用いられるが、本発明におけるプロピレン系重合体の210℃の周波数10-2rad/秒におけるG”(以下G”0.01と呼ぶ)は5×102 Pa以上、望ましくは10×102 Pa以上である。すなわち、この範囲を満足する重合体は、ブロー成形、シート成形におけるドローダウンが小さく、大きなスウェル比を有し、また得られた成形体の肉厚分布は均一である。
【0008】
また本発明のプロピレン系重合体は、210℃の周波数10rad/秒における複素粘性率|η* 10 |が9×103 Pa・S以下である。
この範囲を満足するプロピレン系重合体は、成形時に樹脂に加えられる剪断を受けても、高分子量成分の切断が起こりにくく、結果として溶融張力の低下を防ぐことができる。特にリサイクル成形時に元の張力を再現することができる。また、肌荒れ等外観を損なうことがない。
ここで本発明におけるG”0.01および周波数10rad/秒における複素粘性率|η* 10 |はメカニカルスペクトロメーターを用い、平行板形の回転型レオメーターにより210℃、歪み量10%で測定した値である。
【0009】
ここで本特許におけるG”0.01および|η* 10 |は以下の方法により求められた値である。試料を直径25mm、厚さ2mmの円盤状に圧縮成形したのち、Rheometrics Mechanical Spectrometer(RMS-800)の直径25mmの平行板に装着する。210℃に昇温して試料が溶融したのち平行板の間隔を1.5mmに挟める。はみ出した樹脂を掻き取ったのち、210℃、歪み量10%で、周波数0.01rad/秒および10rad/秒にてそれぞれ損失弾性率と複素粘性率を測定し、得られた値をG”0.01および|η* 10 |とする。
本発明のプロピレン系重合体は、実質的に長鎖分岐を持たない線状プロピレン系重合体である。すなわち、長鎖分岐の尺度を表す平衡コンプライアンスが10-4cm2/dyne以下である。ここで言う平衡コンプライアンスJeoは以下の測定をもって得られる値である。樹脂ペレットをシート状に圧縮成形し、これから試料を直径25mmの円形ダイで打ち抜く。Rheometrics Mechanical Spectrometer(RMS-800)を用い、1.4mmの間隔を置いて配置された直径25mmの平行板を使用して210±1℃で、1000dyn/cm2 の一定応力を加えたときのクリープを300秒間測定した。クリープコンプライアンスJ(t) は、
J(t) =τ(t) /σ=Jeo+(t/η0
(式中、τは歪、σは応力、Jeoは平衡コンプライアンス、η0 は無剪断粘度)によって与えられる。この式に従って、Jeoは時間プロットに対するJ(t) の切片として得られる。
この平衡コンプライアンスが10-4cm2/dyne以上である長鎖分岐を多数有するプロピレン系重合体は、熱劣化を受け易く、成形リサイクル時には本来のMFR,溶融張力を失ってしまう。すなわち本発明のプロピレン系重合体は、熱劣化を受けにくく、リサイクル成形に耐えうる。
【0010】
本発明のプロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合、またはプロピレンと他のα−オレフィンを共重合してなる、MFRが0.1〜500g/10分のプロピレン系重合体(A)とプロピレン単独重合、またはプロピレンと他のα−オレフィンを共重合してなる、MLMFRが1.0g/10分以下のプロピレン系重合体(B)からなる重合体が望ましい。ここでいうMFR,MLMFRはJIS7210に従い、230℃にてそれぞれ荷重2.16kg,10kgでのメルトフローレートを意味する。
プロピレン系重合体(A)のMFRは、重合反応器排出後の仕上げ工程での混練または成形時の混練においてプロピレン系重合体(A)と(B)が良好に分散し、得られる成形体の外観を良好にするために、500g/10分以下が好ましく、また成形時の押出しに必要な流れ性を確保し、剪断による劣化を防ぐためには0.1g/10分以上が望ましい。さらに望ましいプロピレン系重合体(A)のMFRは1〜300g/10分である。
プロピレン系重合体(B)のMLMFRは、小さい溶融垂れ、大きなスウェル比、肉厚分布の均一な成形体を製造するためには、1g/10分より大きいことが望ましい。さらに望ましくは0.5g/10分以下である。さらに望ましくは0.25g/10分以下である。
プロピレン系重合体(B)の全体にしめる割合は、G”0.01を十分に大きくし、ブロー成形、シート成形におけるドローダウン性、大きなスウェル比、肉厚分布の均一性を有する成形体を製造するために、5重量%以上が望ましく、また、|η* 10 |が9×103 Pa・Sより小さく、成形時の押出しにおいて必要な流れ性を確保し、剪断による劣化を防ぐために60重量%以下が望ましい。さらに望ましくは10〜45重量%である。
【0011】
さらに本発明では、結晶性の低下した高分子量成分を含む重合体が、また成形時の剪断下でも分子の切断が小さく、結果として溶融張力の低下が小さく、リサイクル成形時にも元の張力を再現することができ、望ましい。具体的には、オルトジクロロベンゼンを溶媒としたクロス分別クロマトグラフ(以下CFC)の測定において、分子量106 以上における溶出温度100℃以下の成分が20重量%以上であることが望ましい。さらに、望ましくは40重量%以上である。分子量が106 以上で溶出温度が100℃以上の成分では、成形時に未溶融の部分を残し、その結果、剪断による分子の切断を起こし易いし、ゲルとなって成形体の外観を損なう。溶出温度100℃以下の溶出成分が20重量%より小さいと、剪断下で分子の切断が起こり易く、結果として溶融張力の低下の原因となる。また、分子量が106 以下の成分では、ドローダウン性を改良するに十分な溶融張力が発現しない。
ここで、CFCとは、昇温分別装置と呼ばれるもので、試料をカラム内の充填剤に吸着させ、カラム温度を一定の速度で昇温しながら各温度で分別し、溶出するポリマーごとにオンラインでゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPC)で測定する装置である。この装置により、溶出温度−分子量−成分量の三次元で合成樹脂の構成分布を得ることが出来る。本発明における分子量106 以上の成分中の、溶出温度100℃以下の溶出成分の割合の計算は、得られた三次元図形において、100℃以下かつ分子量106 以上の部分の体積と分子量106 以上の部分の体積の比で与えられる。
該CFCについては、Takao Usami ら、Jounal of Applied Polymer Sience Applied Polymer Symposium Vol.52,p.145-158(1993) 、特開平5−9218号公報に詳細に述べられている。
【0012】
クロス分別クロマトグラフ(以下CFC)の測定における分子量106 以上の成分中、溶出温度100℃以下の溶出成分が20重量%以上であるプロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合、またはプロピレンと他のα−オレフィンを共重合してなる、MFRが0.1〜500g/10分のプロピレン系重合体(A)とプロピレン単独重合、またはプロピレンと他のα−オレフィンを共重合してなる、MLMFRが1.0g/10分以下のプロピレン系重合体(B)からなる重合体において、特にプロピレン系重合体(B)に一種または複数のα−オレフィンを共重合して得られるものが好適に用いられる。α−オレフィンとしてはエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられるが、好ましいのは、エチレン、1−ブテンであり、特に好ましいのはエチレンである。エチレンを用いた場合には、同一分子量調節剤濃度下の重合で、プロピレン単独の重合体よりも、より分子量の大きい重合体が得られ、よりG”0.01の大きなプロピレン重合体が得られるので望ましい。α−オレフィンの共重合量としては3〜70重量%である。望ましくは、7〜65重量%である。更に望ましくは35〜60重量%である。3重量%以下では、CFCの測定における溶出温度100℃以下の成分を十分に得られず、また70重量%以上ではプロピレン系重合体(A)との相溶性が悪くなり、溶融張力を発揮できないし、成形体の外観を損なう。
かかるプロピレン系重合体の製造方法としては、例えば、直列に配した2基以上の反応器を用いて、それぞれ分子量の異なる重合体を重合することで得られる。
重合体の製造順序としては、連続する二つの反応器を用いて、第一反応器で高分子量重合体を製造し、第二反応器で低分子量重合体を製造するのが望ましい。反応器を3つ以上用いる場合も同様である。
【0013】
さらに第一反応器に供する触媒を予め予備重合(以下、予重合と呼ぶ)し、触媒中に比較的低分子量の重合体を分散させておき、これを重合反応器に供して目的の最終重合体の大部分を重合(以下、本重合と呼ぶ)するのが望ましい。予重合は別途行っても良いし、本重合のための複数の重合反応器の前に小反応器を設け、触媒を連続的に予重合から本重合に移行する方法でもよい。
予重合によって製造する重合体のMFRは0.1〜100g/10分の範囲である。望ましくは1〜50g/10分である。
予重合によって製造する重合体の量は全重合体量の0.1重量%以上、5重量%未満が望ましい。
【0014】
本重合における前重合領域で製造される重合体のMLMFRは1.0g/10分以下、望ましくは0.5g/10分以下、更に望ましくは0.25g/10分以下である(ここでいうMLMFRはJIS7210に従い、230℃荷重10kgでのメルトフローレートを意味する。)。この値より大きいと最終的に得られる重合体の長時間緩和成分の量が少なく、前述の最低限必要なG”0.01値である5×102 Paを越えない。また、前重合領域で製造される重合体量は最終重合体量の5〜60重量%である。望ましくは15〜50重量%である。この範囲より小さいと最終的に得られる重合体の長時間緩和成分の量が少なく、前述の最低限必要なG”0.01値である5×102 Paを越えない。この範囲より大きいと最終重合体の|η* 10 |が9×103 Pa・Sを越え、成形時の押出しにおいて必要な流れ性を確保することができないし、剪断による劣化を受け易くなる。
【0015】
続く後重合領域で製造される重合体のMFRは1〜500g/10分、望ましくは10〜300g/10分以下である。この範囲より小さいと最終的に得られた重合体の平均分子量が大きくなり、|η* 10 |が9×103 Pa・Sを越え、成形時の押出しにおいて必要な流れ性を確保することができないし、剪断による劣化を受け易くなる。また、この範囲より大きいと成形時の発煙が多くなるし、前段で重合した高分子量成分との分子量差が大きくなりすぎ分散不良となり成形物の外観を損なう。後重合領域で製造される重合体は、最終重合体の40〜85重量%である。この範囲より大きいと最終的に得られる重合体の長時間緩和成分の量が少なく、前述の最低限必要なG”0.01値である5×102 Paを越えない。この範囲より小さいと最終重合体の周波数10rad/秒における複素粘性率|η* 10 |が9×103 を越え、成形時の押出しにおいて必要な流れ性を確保することができないし、剪断による劣化を受け易くなる。
【0016】
重合は気相または溶液、溶媒スラリー、プロピレンスラリーいずれの状態で行われても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲で、エラストマー成分を逐次重合することができる。すなわち、本発明の高分子量重合体、低分子量重合体の製造の後、続く重合反応器でエチレン−プロピレン、エチレン−ブテン等のエラストマー成分を重合することができる。
また、高分子量成分にα−オレフィンを15重量%以上共重合する場合には、以下の方法が望ましい。すなわち、前重合領域でMFRが0.1〜500g/10分の範囲の重合体を製造したのち、続く後重合領域でMLMFRが1.0g/10分以下、望ましくは0.25g/10分以下、更に望ましくは0.10g/10分以下、更に望ましくはHLMFRが0.1g/10分以下であるプロピレン−α−オレフィン共重合体を製造する方法である。
【0017】
α−オレフィンとしては、エチレンあるいは炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる一種または複数のモノマーを共重合した、いわゆるランダムポリプロピレンが挙げられる。プロピレンと共重合する他のα−オレフィンとしてはエチレン、また炭素数4以上のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられるが、好ましいのは、エチレン、1−ブテンであり、特に好ましいのはエチレンである。この後重合領域で行われる共重合は気相重合にて行うのが望ましい。
用いられる触媒としては、従来プロピレン重合に用いられる触媒を制限なく供することができる。すなわち、チタン化合物と有機アルミニウムの組合せからなるいわゆるチーグラー・ナッタ触媒、メタロセン化合物と助触媒成分からなるいわゆるメタロセン触媒がある。
【0018】
具体的なチーグラー触媒としては次に記載する様な三塩化チタン系固体触媒成分と有機アルミニウムとの組合せが挙げられる。
三塩化チタン固体触媒成分としては、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物または水素または金属により還元して得られる三塩化チタンを主成分とするものであるが、より具体的には、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元して得られる還元固体、もしくは、これを電子供与性化合物とともに共粉砕して得られる。還元に用いられる有機アルミニウム化合物としては、一般式RnAlXm(Rはアルキル基、Xはハロゲン、n,mは整数でn+m=3)で示されるものである。特にトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、モノアルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムセスキハライドなどが好ましい。
【0019】
より具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリドなどがあげられる。特にトリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリドまたはこれらの混合物が望ましい。
【0020】
電子供与性化合物としては、エーテル類、チオエーテル類、チオール類、有機リン酸エステル類、アミン類、ケトン類、カルボン酸エステル類が用いられる。具体的には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジノルマルブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジ−2−エチルヘキシルエーテル、ジ−2−エチルヘプチルエーテル、アリルエチルエーテル、アリルブチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール、フェネトール、クロルアニソール、ブロムアニソール、ジメトキシベンゼン、ジエチルチオエーテル、ジ−n−プロピルチオエーテル、ジシクロヘキシルチオエーテル、ジノルマルブチルチオエーテル、ジイソブチルチオエーテル、ジイソアミルチオエーテル、ジ−2−エチルヘキシルチオエーテル、ジ−2−エチルヘプチルチオエーテル、アリルエチルチオエーテル、アリルブチルチオエーテル、ジフェニルチオエーテル、トリフェニルフォスフィン、トリエチルフォスファイト、トリブチルフォスファイト、トリ−n−ブチルフォスフィン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、アニリン、ジメチルアニリン、蟻酸ブチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソブチル、琥珀酸ジイソブチル、グルタル酸ジエチル、グルタル酸ジブチル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸メチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジイソブチル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジイソブチル、酒石酸ジブチル、安息香酸エチル、安息香酸メチル、p−トルイル酸メチル、p−t−ブチル安息香酸エチル、p−アニス酸エチル、ケイ皮酸エチル、フタル酸モノメチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジアリル、フタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジイソブチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、ナフテン酸ジエチル、ナフテン酸ジブチル、ピロメリット酸テトラメチル、ピロメリット酸テトラブチル、ピロメリット酸テトラエチル等が用いられる。特に、エーテル類、エステル類が好ましい。さらに好ましくは、炭素数4〜16のエーテル、環状エステルである。
【0021】
得られた三塩化チタン組成物は、さらに四塩化チタンで処理することができる。
重合時、必要に応じて用いられる電子供与性化合物を用いてもよく、これは固体触媒成分の製造の際に使用された電子供与性化合物(D)より選択することが出来るが、好ましくは、Si−O−C結合を有するケイ素化合物類、芳香族カルボン酸エステルである。
【0022】
チーグラー・ナッタ触媒の次の例として、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体チタン触媒成分と、有機アルミニウム化合物と電子供与体触媒成分とからなるものが挙げられる。この固体チタン触媒成分は下記のようなマグネシウム化合物、チタン化合物、および電子供与体を接触させることにより調製される。
【0023】
チタン化合物としては、例えばTi(OR)n4-n (Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、0<n<4)で示される4価のチタン化合物をあげることができる。
具体的には、TiCl4 、TiBr4 、TiI4 等のテトラハロゲン化チタン、Ti(OCH3 )Cl3 、Ti(OC25 )Cl3 、Ti(n−OC49 )Cl3 、Ti(iso −OC49 )Cl3 、Ti(OCH3 )Br3 、Ti(OC25 )Br3 、Ti(n−OC49 )Br3 等のトリハロゲン化アルコキシチタン、Ti(OCH32 Cl2 、Ti(OC252 Cl2 、Ti(n−OC492 Cl2 、Ti(OCH32 Br2 、Ti(OC252 Br2 、Ti(n−OC492 Br2 等のジハロゲン化ジアルコキシチタン、Ti(OCH33 Cl、Ti(OC253 Cl、Ti(n−OC493 Cl、Ti(OCH33 Br、Ti(OC253 Br、Ti(n−OC493 Br等のモノハロゲン化トリアルコキシチタン、Ti(OCH34 、Ti(OC254 、Ti(n−OC494 、Ti(iso −OC494 等のテトラアルコキシチタン等を挙げることができる。これらの中で、ハロゲン含有チタン化合物、特にテトラハロゲン化チタンが好ましい。これらチタン化合物は単独で用いても良いし、2種類以上を併用してもよい。さらにこれらのチタン化合物は炭化水素化合物あるいはハロゲン化炭化水素化合物等で希釈されていても良い。
【0024】
本発明において固体チタン触媒成分の調製に用いられるマグネシウム化合物の種類としては、還元性を有するマグネシウム化合物および還元性を有さないマグネシウム化合物を挙げることができる。
ここで還元性を有するマグネシウム化合物としては、マグネシウム−炭素結合、あるいはマグネシウム−水素結合を有するマグネシウム化合物を挙げることができる。このような化合物の具体例としてはジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジペンチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチルマグネシウムクロライド、プロピルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ペンチルマグネシウムクロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムエトキシド、ブチルマグネシウムエトキシド、エチルブチルマグネシウム等を挙げることができる。これらの化合物は単独で用いることも可能であるが、2種以上を併用することも可能であり、また後述の有機アルミニウム化合物と錯化合物を形成していても良い。
非還元性のマグネシウム化合物としては塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム、エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウムやステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム等のマグネシウム塩が挙げられる。
【0025】
固体チタン触媒成分の調製に用いられる電子供与体としては有機カルボン酸エステル、多価カルボン酸エステルが挙げられる。これらの例としては、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸,1,2−シクロヘキサンカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ナジック酸等の脂肪族多価カルボン酸のアルキル、アリールエステルや、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、フランジカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸のアルキル、アリールエステル等が挙げられる。
これらの具体例としては、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、メチルコハク酸ジエチル、α−メチルグルタル酸ジイソブチル、マロン酸ジエチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、フェニルマロン酸ジエチル、アリルマロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸ジエチル、ジイソブチルマロン酸ジエチル、ジ−n−ブチルマロン酸ジエチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジイソオクチル、ブチルマレイン酸ジエチル、ブチルマレイン酸ジイソブチル、β−メチルグルタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸エチルn−ブチル、フタル酸ジn−プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジn−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジn−ヘプチル、フタル酸ジデシル、フタル酸ベンジルn−ブチル、フタル酸ジフェニル、ナフタレンジカルボン酸ジエチル、ナフタレンジカルボン酸ジブチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸ジブチル等が挙げられる。
これらのうちフタル酸、マレイン酸、置換マロン酸と炭素数2以上のアルキル基からなるエステルが好ましく、特にフタル酸と炭素数2以上のアルキル基からなるエステルが好ましい。
【0026】
固体触媒成分を調製するさいに使用できる多価カルボン酸以外の電子供与体としては、後述のようなアルコール類、アミン類、アミド類、エーテル類、カルボン酸類、酸無水物類、酸ハロゲン化物類、エステル類、ケトン類、アルデヒド類、ニトリル類、ホスフィン類、スチビン類、アルシン類、アルコキシシラン類等の有機ケイ素化合物、周期律表I〜IVの金属アミド類、塩類などが挙げられる。重合に用いられる有機アルミニウム化合物は、少なくとも1つのAl−炭素結合を有する化合物である。具体的にはトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム類、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジブチルアルミニウムセスキクロリド等のアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムブロミド等のような部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド、ブチルアルミニウムジヒドリド等のような部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムエトキシド等のような部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム、(C252 Al−O−Al(C252 、(C492 Al−O−Al(C492 、(C252 Al−N(C25 )−Al(C252 、メチルアルミノキサン等のヘテロ原子により複数のアルミニウムが結合した有機アルミニウム化合物、LiAl(C254 、LiAl(C7154 等の第I族金属との錯化合物などである。これらのうちトリアルキルアルミニウムおよびヘテロ原子により複数のアルミニウムが結合した有機アルミニウム化合物が特に好ましい。
【0027】
重合に用いられる電子供与体触媒成分としてはアルコール類、フェノール類、カルボン酸類、酸無水物類、酸ハロゲン化物類、エステル類、アミド類、アルデヒド類、ケトン類、エーテル類、アミン類、ニトリル類、有機ケイ素化合物類等が挙げられる。これらのうちギ酸メチル、酢酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチルや前述のような多価カルボン酸エステル等のエステル類、ジフェニルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、メチル−t−ブチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン等の有機ケイ素化合物が特に好ましい。
特にジシクロペンチルジメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、テキシルトリメトキシシランが望ましい。
【0028】
次にメタロセン系触媒を例示する。メタロセン化合物(A)としてはシクロペンタジエニル骨格を少なくとも1個有する第IVBから第VIB族遷移金属化合物で次式で示される。
一般式(1)
(C51 mp3 S(C52 n)MeQ3ーp 及びR3 s(C51 m)MeQ’
[式中、Meは、第4b、5b、6b族金属であり、(C51m)、(C52 n )は、シクロペンタジエニルまたは、置換シクロペンタジエニルであり、各R1 、R2 は同一でも異なっていてもよく、水素、または、炭素数1から20のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたは、アリールアルキル基、アルキルシリル基、シリルアルキル基であり、もしくは、2つの隣接するR1 間またはR間で結合して環を作ってもよい。R3 は、炭素数1〜4のアルキレン基、ジアルキルゲルミレン基または、シリレン基、あるいはアルキルホスフィンまたは、アミンラジカルであって(C51 m)環2個あるいは、(C51 m)環とヘテロ原子結合する役割を持つ。Qは、アリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基、アルキルシリル基から選ばれ、1〜20の炭素原子をもつ炭化水素基またはハロゲンであり、同じでも異なってもよい、Q’は、炭素原子数1から20のアルキリデンラジカルであり、sは0または1、pは0、1または2、sはpが0のときは0、m並びにnは、sが1のとき4であり、sが0のとき5である。]
【0029】
これらと反応してイオン性の錯体を形成する化合物(C)としては、以下の一般式(2)または、一般式(3)で表わされる様なアルミノキサン類があげられる。
一般式(2)
【化1】
Figure 0003686456
一般式(3)
【化2】
Figure 0003686456
12は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基などの炭化水素基であり、好ましくは、メチル基、イソブチル基である。mは、4から100の整数であり、好ましくは6以上とりわけ10以上である。この種の化合物の製法は公知であり、例えば結晶水を有する塩類(硫酸銅水和物、硫酸アルミ水和物)の炭化水素溶媒懸濁液にトリアルキルアルミを添加して得る方法を例示することが出来る。
【0030】
また、一般式(4)で示されるアルミノキサンを用いてもよい。
一般式(4)
【化3】
Figure 0003686456
一般式(5)
【化4】
Figure 0003686456
13は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基などの炭化水素基であり、好ましくは、メチル基、イソブチル基である。また、R14はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基などの炭化水素基、あるいは塩素、臭素等のハロゲンあるいは水素、水酸基から選ばれ、R13とは異なった基を示す。また、R14は同一でも異なっていてもよい。mは通常1から100の整数であり、好ましくは3以上であり、m+nは4から100、好ましくは6以上である。一般式(4)、(5)で、
【化5】
Figure 0003686456
ブロック的に結合したものであっても、規則的あるいは不規則的にランダムに結合したものであっても良い。このようなアルミノキサンの製法は、前述した一般式のアルミノキサンと同様であり、1種類のトリアルキルアルミニウムの代わりに、2種以上のトリアルキルアルミニウムを用いるか、1種類以上のトリアルキルアルミニウムと1種類以上のジアルキルアルミニウムモノハライドなどを用いれば良い。また、アルミノキサンの有機溶媒に対する溶解性の違いによって限定されるものではない。
【0031】
このほか化合物(C)として、一般式(6)に示される様な非配位性アニオン含有化合物があげられる。
一般式(6)
(M21234(n-m)-・C(n-m)+
(式中、M2 は、周期律表中V族からXV族から選ばれる金属、X1 ,X2 ,X3 ,X4 は、それぞれ水素原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基、有機メタロイド基または、ハロゲン原子を示す。Cは、カルボニウム、アンモニウム等のカウンターカチオンを示す。mは、M2 の原子価で1〜7の整数、nは、2〜8の整数である。)
具体的にこれらの化合物を例示すると、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(3,5トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリチルトリ(ペンタフルオロフェニル)メチルホウ素などを例示することができる。好ましくは、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジメチルアニリニウム塩かあるいは、トリチルカルボニウム塩である。
成分(B)および成分(C)の使用量は任意であるが、成分(C)にアルミノキサン類を用いた場合、該成分(C)中のアルミニウムと成分(B)中の遷移金属との原子比は0.01〜100,000であり、好ましくは0.1〜30,000である。また成分(C)に非配位性アニオン含有化合物を用いた場合、成分(C)中の周期律表中第V族からXV族から選ばれる金属と成分(B)中の遷移金属の原子比は0.001〜1,000が一般的であり、好ましくは0.01〜100の範囲が好ましい。
【0032】
また、本発明のプロピレン系重合体の別の製造方法としては、MLMFRが1.0g/10分以下、望ましくは0.5g/10分以下、更に望ましくは0.25g/10分以下であるプロピレン系重合体(B)とMFRが1〜500g/10分、望ましくは10〜300g/10分以下であるプロピレン系重合体(A)を押出機を用いて溶融混練する方法も可能である。
溶融混練は公知の溶融混練方法が用いられる。例えば、一軸押出機、二軸押出機、これらとギヤポンプを組み合わせた押出機、ブラベンダー、バンバリーミキサー等を用いて、ポリプロピレンの融点以上の温度にて10秒〜30分程度溶融混練する。溶融混練によりプロピレン系重合体(B)をプロピレン系重合体(A)に分散させることが肝要であり、そのためには樹脂の温度が、プロピレン系重合体(B)の融点より60℃以上高い温度、望ましくは80℃以上高い温度となる条件下で混練することが望ましい。
【0033】
次に本発明の提供する中空成形体を説明する。本発明の中空成形体は、MFRが0.05〜10g/10分の範囲であり、210℃周波数10-2rad/秒における損失弾性率(G”0.01)が5×102 Pa 以上であり、かつ周波数10rad/秒における複素粘性率(|η* 10 |)が9×103 Pa・S以下であり、かつ平衡コンプライアンスが10-4cm2 /dyne 以下であり、MFRと溶融張力(MT)が次の式の関係にあるプロピレン系重合体が好適である。
logMT>−0.70×logMFR+0.60
上式を満たすプロピレン系重合体は、中空成形時におけるドローダウン性に優れる。
【0034】
中空成形品の成形方法としては、一般に行われる種々の方法を採用でき、例えば本発明のプロピレン系重合体を、溶融可塑化し、ダイヘッドからスクリュー回転、プランジャー押圧、アキュミュレーター等によりパリソンを押し出し、続いてボトル形状を付与すべく、凹型を備えた分割金型を閉じてパリソンを挟持し、加圧流体をパリソン内に圧入して拡張させる方法や、または、有底パリソンを射出成形によって成形し、これを金型内に装着して予備ブローし、延伸温度調製後に延伸ブローする方法などがある。成形に際して2台以上の押し出し機を用いて一方に本発明のプロピレン系重合体、他方に異なる樹脂を供与して、それぞれの押し出し機からダイヘッドに供給することにより、2層以上からなる成形体をつくることも可能である。
【0035】
本発明に関するプロピレン系重合体組成物には、該組成物の特性を損なわない範囲で各種の添加剤、配合剤、充填剤等を使用することができる。これらを具体的に示せば、酸化防止剤(耐熱安定剤)、紫外線吸収剤(光安定剤)、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、滑剤(スリップ剤、アンチブロッキング剤)、ガラスフィラー等の無機充填剤、有機充填剤、補強剤、着色剤(染料、顔料)、香料等が挙げられる。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。なお実施例における測定方法および使用した触媒等は以下の通りである。
平衡コンプライアンスJeo:
以下の測定をもって得られる値である。樹脂ペレットをシート状に圧縮成形し、これから試料を直径25mmの円形ダイで打ち抜く。Rheometrics Mechanical Spectrometer(RMS-800)を用い、1.4mmの間隔を置いて配置された25mmの平行板を使用して210±1℃で、1000dyn/cm2 の一定応力を加えたときのクリープを300秒間測定した。クリープコンプライアンスJ(t) は、
J(t) =τ(t) /σ=Jeo+(t/η0
(式中、τは歪、σは応力、Jeoは平衡コンプライアンス、η0 は無せん断粘度)によって与えられる。この式に従って、Jeoは時間プロットに対するJ(t) の切片として得られる。
複素粘性率|η* 10 |および損失弾性率G”0.01
試料を直径25mm、厚さ2mmの円盤状に圧縮成形したのち、Rheometrics 社製Rheometrics Mechanical Spectrometer(RMS-800)の直径25mmの平行板に装着する。
210℃に昇温して試料が溶融したのち平行板の間隔を1.5mmに挟める。はみ出した樹脂を掻き取ったのち、210℃、歪み量10%で、周波数0.01rad/秒および10rad/秒にてそれぞれ損失弾性率と複素粘性率を測定し、得られた値をG”0.01および|η* 10 |とする。
【0037】
クロス分別クロマトグラフ
装置 :油化電子(株)製T−150型クロス分別クロマトグラフ
試料溶液:ポリマーをオルトジクロロベンゼンに濃度が0.4重量%になるように調製し、温度140〜160℃でポリマーを溶解する。
CFCカラム:4.6mmφ×150mm
充填剤:ガラスビーズ
カラム温度分布:±0.1℃以内
CFC温度:140℃
GPCカラム:SHODEX UT806M,807
検出部:赤外吸光検出法(MIRAN−1A)
溶媒:オルトジクロロベンゼン(BHT0.1重量部)
流量:1.0(ml/分)
注入量:0.5ml
昇温速度:1(℃/分)
測定方法:ポリマー溶液をCFCに導入し、次に、降温速度140℃/分で、0℃まで降温し充填剤に吸着させ、降温後30分間保持する。次に上記降温速度で140℃まで昇温し溶出曲線を得た。
【0038】
MFR:
JIS K7210(荷重2.16kg 230℃)に従い測定した。
MLMFR:
JIS K7210(荷重10.0kg 230℃)に従い測定した。
メルトテンション(以下MTと言う):
東洋精機(株)社製のメルトテンションテスターII型を用い、測定温度230℃、押出速度15mm/分、引き取り速度6.3m/分、オリフィス径2.095mm、L/D=3.8の条件で樹脂ストランドを引っ張った時にかかる荷重(g)を表す。
また、MFRとMTとの関係が
log(MT)>−0.70×log(MFR)+0.60 ‥‥(1)式
を満足するかをも判定した。
リサイクル性指数 r:
15mm押出機にて、樹脂温230℃、100rpmにて混練して得たペレットを再度同条件で混練を行い、一回目と二回目のペレットのMTの比
r=MT(二回目)/MT(一回目)
をリサイクル性指数とした。すなわち小さいほど劣化を受けにくく、リサイクル成形性にすぐれる。
スウェル比(以下SR):
東洋精機(株)社製のメルトテンションテスターII型を用い、測定温度230℃、押出速度15mm/分、L/D=3.8でオリフィス径2.095mmの条件で樹脂を押し出し、長さ5cmのストランドを得る。静置放冷後、下端から1cmの部位の直径を測定し、下式によりスウェル比を算出する。
【数1】
Figure 0003686456
【0039】
簡易ドローダウン性指数 T30:
キャピラリーレオメータを用い、190℃にて、L/D=8.0mm/2.095mmのダイスから50mmのストランドをピストン降下速度30mm/秒で押し出し、押し出し終了時からストランドが30%伸びるまでの時間を計測した。この秒数をT30とし、簡易ドローダウン性指数とした。すなわち大きいほどドローダウン性に優れる。
中空成形時のドローダウン性:
パリソンのドローダウン性をW60/W12(60cmパリソンの重量を12cmパリソンの重量で割った値)で評価した。
中空成形体の外観:
○=厚みムラなく、且つ、表面の肌荒れ、斑点がない。
×=厚みムラがあるか、または、表面の肌荒れ、斑点がある。
【0040】
固体触媒成分(A)の製造:
市販の三塩化チタン共晶体(TiCl3 ・1/3AlCl3 )50グラムとγ−ブチルラクトン5グラムを共分粉砕したのち、トルエン100mlを加えて、70℃にて1時間撹拌した。冷却後、沈澱をトルエン、ヘキサンで洗浄して固体触媒を得た。
【0041】
固体触媒成分(B)の製造:
温度計、撹拌機を備えた200mlの三ツ口フラスコを十分窒素置換した後、ジエトキシマグネシウム1.11g(9.74mmol)およびトルエン10mlとジ−n−ブチルフタレート0.46ml(1.73mmol)を仕込み、70℃で2時間反応した。その後室温まで冷却し、四塩化チタン50mlを滴下ロートより1時間で全量が入るように滴下する。滴下収量後、110℃まで昇温し110℃で2時間反応を行なった。反応終了後、室温まで冷却し、上澄みを抜いた後、四塩化チタン100mlを添加し更に110℃で2時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、200mlのn−ヘキサンで数回洗浄後50〜60℃で20〜30分の減圧乾燥を行い固体触媒を得た。
【0042】
上記触媒を用いて下記の重合を実施した。また、本重合での一段、二段の重合量比は、各段の重合と同じ条件で実施した参照重合i)、ii)の活性と重合時間から見積もった。
参考例1
予重合:
十分窒素置換した200mlの三ツ口フラスコに、固体触媒(A)420mg、ヘプタン40ml,ジエチルアルミニウムクロライド6ミリモルを仕込み、プロピレンに少量の水素を混合したガスを吹き込み、50℃で2時間反応させた。室温まで降温したのち、ヘキサンで沈澱を洗浄し、減圧乾燥して予重合物を得た(以下、予重合触媒と呼ぶ)。予重合触媒の重量は9.0gであった。予重合触媒中のポリマーのMFRは17.0g/10分であった。
【0043】
参照重合i)
予重合触媒1.5g、ジエチルアルミニウムクロライド2ミリモル、乾燥ヘキサン5ml、プロピレン8モルを1.5リットルオートクレーブに仕込み、70℃1時間重合を行った。総重量63gの重合体を得た。得られた重合体の脱灰後のMLMFRは0.9g/10分であった。
【0044】
参照重合ii)
予重合触媒1.5g、ジエチルアルミニウムクロライド2ミリモル、乾燥ヘキサン5ml、プロピレン8モルをオートクレーブに仕込んだのち、オートクレーブ圧が10kg/cm2 上昇するだけ水素を張り込んだ。しかるのち70℃1時間重合を行った。総重量144gの重合体を得た。得られた重合体の脱灰後のMFRは425g/10分であった。
【0045】
二段重合
予重合触媒1.5g、ジエチルアルミニウムクロライド2ミリモル、乾燥ヘキサン5ml、プロピレン8モルをオートクレーブに仕込み、参照重合i)の条件で40分重合したのち、水素を添加して参照重合ii) の条件で20分重合を行った。得られた88.5gの重合体の重合量比は参照重合i)、ii) の活性から予重合物1.7重量%、一段目重合体45.8重量%、二段目重合体52.5重量%と見積もられた。得られた重合体は脱灰した後、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を0.08重量%、イルガノックス1010(商品名;日本チバガイギー社製)を0.05重量%、ステアリン酸カルシウム0.1重量%を配合して、15mm押し出し機により230℃で混練を行った。MFRは1.0g/10分、MTは12g,|η* 10 |は7×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは2.4×10-5cm2 /dyn、G”0.01は30.0×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たした。リサイクル性指数rは0.90、簡易ドローダウン性指数T30は300以上といずれも高い値を示した。
【0046】
参考例2
二段重合において一段と二段の重合時間をそれぞれ20分、40分に変えた以外は参考例1と同様に行った。
MFRは3.8g/10分、MTは3.0g、|η* 10 |は2.1×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは9.0×10-5cm2 /dyn、G”0.01は5.4×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たした。リサイクル性指数rは0.93、簡易ドローダウン性指数T30は250といずれも高い値を示した。
【0047】
参考例3
予重合:
十分窒素置換した200mlの三ツ口フラスコに、固体触媒(B)60mg、ヘプタン40ml,トリエチルアルミニウム2.4ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.36ミリモルを仕込み、プロピレンに少量の水素を混合したガスを吹き込み、50℃で2時間反応させた。室温まで降温したのち、ヘキサンで沈澱を洗浄し、減圧乾燥して予重合触媒を得た。予重合触媒の重量は12.0gであった。予重合触媒中のポリマーのMFRは2.0g/10分であった。
【0048】
参照重合i)
予重合触媒2.0g、トリエチルアルミニウム1.2ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.18ミリモル、乾燥ヘキサン5ml、プロピレン8モルを1.5リットルオートクレーブに仕込み、70℃1時間重合を行った。総重量102gのポリマーを得た。得られた重合体のMLMFRは0.20g/10分であった。
【0049】
参照重合ii)
予重合触媒2.0g、トリエチルアルミニウム1.2ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.18ミリモル、乾燥ヘキサン5ml、プロピレン8モルを1.5リットルオートクレーブに仕込んだのち、オートクレーブ圧が10kg/cm2 上昇するだけ水素を張り込んだ。しかるのち70℃30分重合を行った。総重量147gのポリマーを得た。得られた重合体のMFRは99g/10分であった。
【0050】
二段重合
予重合触媒2.0g、トリエチルアルミニウム1.2ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.18ミリモル、乾燥ヘキサン5ml、プロピレン8モルを1.5リットルオートクレーブに仕込み、参照重合i)の条件で30分重合したのち、水素を添加して参照重合ii)の条件で30分重合を行った。重合量比は参照重合i)、ii)の活性から予重合物1.0重量%、一段目重合体25.3重量%、二段目重合体73.7重量%と見積もられた。得られた125gの重合体は、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を0.08重量%、イルガノックス1010(商品名;日本チバガイギー社製)を0.05重量%、ステアリン酸カルシウム0.1重量%を配合して、15mm押し出し機により230℃で混練を行った。MFRは4.1g/10分、MTは2.5g,|η* 10 |は2.1×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは8.0×10-5cm2 /dyn、G”0.01は6.0×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たした。
リサイクル性指数rは0.78、簡易ドローダウン性指数T30は230といずれも高い値を示した。
【0051】
参考例4
使用する外部ドナーをジシクロペンタジエンからテキシルトリメトキシシランに、二段重合の重合時間を一段目30分、二段目40分と変更した他は、参考例3と同様に行った。
二段重合で得られた重合体のMFRは0.7g/10分、MTは6.5g,|η* 10 |は4.0×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは5.1×10-5cm2 /dyn、G”0.01は22.0×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たした。
リサイクル性指数rは0.80、簡易ドローダウン性指数T30は300以上といずれも高い値を示した。
【0052】
(実施例5)
予重合:
参考例3と同様にして行った。
参照重合i)
予重合触媒2.0g、トリエチルアルミニウム1.2ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.18ミリモル、乾燥ヘキサン5ml、プロピレン8モルを1.5リットルオートクレーブに仕込み、さらにオートクレーブ圧が0.5kg/cm2 だけ上昇するように水素を張り込んだ。70℃1時間重合を行った。総重量145gのポリマーを得た。得られた重合体のMFRは4.0g/10分であった。
【0053】
参照重合ii)
プロピレン8モル、予重合触媒2.0g、トリエチルアルミニウム1.2ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.18ミリモル、乾燥ヘキサン5mlを仕込み、50℃30分間重合を行った。その間、オートクレーブ圧が30kg/cm2 を維持するようにエチレンを供給し続けた。最終的に135gのポリマーを得た。得られた重合体のMLMFRは0.02g/10分であった。NMRによりエチレン共重合量を調べると51.0重量%であった。
【0054】
二段重合
予重合触媒2.0g、トリエチルアルミニウム1.2ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.18ミリモル、乾燥ヘキサン5ml、プロピレン8モルを1.5リットルオートクレーブに仕込み、参照重合i)の条件で60分重合したのち、未反応のプロピレンと水素を全量排出したのち、新たにプロピレンを仕込み、参照重合ii)の条件で16分重合を行って177gの重合体を得た。重合量比は参照重合i)、ii)の活性から予重合物1.1重量%、一段目重合体79.1重量%、二段目重合体19.8重量%と見積もられた。
CFCの測定を行った結果、分子量106 以上の成分における溶出温度100℃以下の成分は57重量%であった。
BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を0.08重量%、イルガノックス1010(商品名;日本チバガイギー社製)を0.05重量%、ステアリン酸カルシウム0.1重量%を配合して、15mm押し出し機により230℃で混練を行った。MFRは0.4g/10分、MTは8.0g,|η* 10 |は7.0×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは5.0×10-5cm2 /dyn、G”0.01は15.0×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たした。
リサイクル性指数rは0.98、簡易ドローダウン性指数T30は300以上といずれも高い値を示した。
スウェル比も145%と極めて大きな値を示した。
【0055】
(実施例6)
予重合:
参考例3と同様にして行った。
参照重合i)
プロピレン8モルを1.5リットルオートクレーブに仕込み、70℃にてオートクレーブ圧が0.5kg/cm2 だけ上昇するようにエチレンを張り込んだのち、予重合触媒2.0g、トリエチルアルミニウム1.2ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.18ミリモル、乾燥ヘキサン5mlをオートクレーブ内に追添し、重合を開始した。重合の間、オートクレーブの圧力は一定に保つべくエチレンを供給し続けた。30分間の重合の結果、総重量152gのポリマーを得た。得られた重合体のMLMFRは0.05g/10分であった。
また、NMRによりエチレン共重合量を調べると7.0重量%であった。
【0056】
参照重合ii)
予重合触媒2.0g、トリエチルアルミニウム1.2ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.18ミリモル、乾燥ヘキサン5ml、プロピレン8モルを1.5リットルオートクレーブに仕込んだのち、オートクレーブ圧が10kg/cm2 上昇するだけ水素を張り込んだ。しかるのち70℃30分重合を行った。総重量147gのポリマーを得た。得られた重合体のMFRは99g/10分であった。
【0057】
二段重合:
予重合触媒2.0g、トリエチルアルミニウム1.2ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.18ミリモル、乾燥ヘキサン5ml、プロピレン8モルを1.5リットルオートクレーブに仕込み、参照重合i)の条件で10分重合したのち、未反応のプロピレンとエチレンと水素を全量排出したのち、新たにプロピレンを仕込み、参照重合ii)の条件で30分重合を行って178gの重合体を得た。重合量比は参照重合i)、ii)の活性から予重合物1.1重量%、一段目重合体25.3重量%、二段目重合体73.6重量%と見積もられた。
CFCの測定を行った結果、分子量106 以上の成分における溶出温度100℃以下の成分は41重量%であった。
BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を0.08重量%、イルガノックス1010(商品名;日本チバガイギー社製)を0.05重量%、ステアリン酸カルシウム0.1重量%を配合して、15mm押し出し機により230℃で混練を行った。MFRは0.3g/10分、MTは9.2g,|η* 10 |は8.8×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは5.0×10-5cm2 /dyn、G”0.01は25.0×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たした。
リサイクル性指数rは0.97、簡易ドローダウン性指数T30は300以上といずれも高い値を示した。
スウェル比も95%と極めて大きな値を示した。
【0058】
参考例7
二段重合において、予重合触媒の量を1.0g、一段目の重合時間を120分、二段目の重合時間を5分にそれぞれ変更した以外は、実施例5と同様にして行った。
得られた重合体量は150gであった。
参照重合i)、ii)の活性から予重合物0.7重量%、一段目重合体92.0重量%、二段目重合体7.3重量%と見積もられた。
CFCの測定を行った結果、分子量106 以上の成分における溶出温度100℃以下の成分は50重量%であった。
実施例5と同様のペレタイズを実施して得られたペレットのMFRは2.1g/10分、MTは2.8g、|η* 10 |は2.5×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは7.0×10-5cm2 /dyn、G”0.01は10.0×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たした。
リサイクル性指数rは0.98、簡易ドローダウン性指数T30は250といずれも高い値を示した。
スウェル比も110%と極めて大きな値を示した。
参考例8
比較例2における参照重合ii)と同様の重合によって重合体Aを得た。MFRは4.0g/10分であった。参考例3における参照重合i)と同様の重合によって重合体Bを得た。MLMFRは0.19g/10分であった。重合体A160g、重合体B40g、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を0.16g、イルガノックス1010(商品名;日本チバガイギー社製)を0.1g、ステアリン酸カルシウム0.2gを配合して、15mm押し出し機により、樹脂温度230℃にて混練を行った。
混練によって得られた重合体のMFRは0.45g/10分、MTは7.5g,|η* 10 |は8.5×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは5.5×10-5cm2 /dyn、G”0.01は17.0×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たした。
リサイクル性指数rは0.78、簡易ドローダウン性指数T30は200といずれも高い値を示した。
【0059】
(比較例1)
二段重合における一、二段の重合時間をそれぞれ50分、7.5分に変更した他は参考例3と同様に行った。
二段重合で得られた重合体の重合量比は参照重合i)、ii)の活性から予重合物1.6重量%、一段目重合体68.5重量%、二段目重合体29.9重量%と見積もられた。得られた重合体のMFRは0.15g/10分、MTは16.0g,|η* 10 |は9.7×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは2.1×10-5cm2 /dyn、G”0.01は31.0×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たしたが、リサイクル性指数rは0.71とやや悪かった。
【0060】
(比較例2)
二段重合における一、二段の重合時間をそれぞれ5分、80分に変更し、二段目の水素を0.5kg/cm2 に変更した他は参考例3と同様に行った。
60分間の参照重合ii)によって145gの重合体が得られ、MFRは4.0g/10分であった。
二段重合で得られた重合体の重合量比は参照重合i)、ii)の活性から予重合物1.0重量%、一段目重合体4.1重量%、二段目重合体94.9重量%と見積もられた。
二段重合で得られた重合体のMFRは3.0g/10分、MTは1.8g,|η* 10 |は2.6×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは9.6×10-5cm2 /dyn、G”0.01は1.8×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たさなかった。
簡易ドローダウン性指数T30も150と小さかった。
【0061】
(比較例3)
二段重合における一、二段の重合時間をそれぞれ25分、35分に変更し、一段目の水素を0.05kg/cm2 、二段目の水素を0.15kg/cm2 に変更した他は参考例3と同様に行った。
二段重合で得られた重合体のMFRは1.1g/10分、MTは3.0g,|η* 10 |は4.2×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは8.0×10-5cm2 /dyn、G”0.01は3.2×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たさなかった。
簡易ドローダウン性指数T30も160と小さかった。
【0062】
(比較例4)
昭和電工(株)社製のMFRが0.5g/10分のポリプロピレンに電子線を5Mrad照射した。得られたポリマーのMFRは4.1g/10分、MTは18g,|η* 10 |は0.99×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは33.0×10-5cm2 /dyn、G”0.01は1.1×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たしたが、リサイクル性指数rは0.51と非常に悪かった。
【0063】
(比較例5)
プロピレン単独重合体に無水マレイン酸をグラフト変性させた変性ポリプロピレン(PP1)を製造した。得られた変性ポリプロピレン(PP1)は、MFR2.5g/10分、無水マレイン酸に由来する単位が0.23重量%であった。上記変性ポリプロピレン30重量部、MFRが3.0g/10分のホモポリプロピレン70重量部、反応性化合物としてトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(大日本インキ化学工業製エピクロン725エポキシ等量141)0.21重量部(エポキシ基/無水マレイン酸=3.0)、BHT0.1重量部、タルク(平均粒径約2.0μm)1.0重量部を混合した。混合にあたっては、6成分をヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、37mmφの同方向二軸押出機を用いて、220℃で溶融混練りしペレット化した。
混合物のMFRは1.5g/10分、MTは14g、|η* 10 |は2.9×103 Pa・S、平衡コンプライアンスは29.6×10-5cm2 /dyn、G”0.01は2.6×102 Paであった。MFRとMTの関係は(1)式を満たしたが、リサイクル性指数rは0.65と悪かった。
【0064】
参考例9
参考例3と同様に予重合を行った触媒を、二基のループ型反応器を直列に配した連続重合装置に供し、二段重合を行った。
一/二段重合量比ならびにそれぞれのMLMFR,MFRは表2に示す通りである。
得られたサンプルを、参考例1と同様の添加剤を処方したのち、40mm単軸押出機にてペレタイズした。しかるのち以下の成形を行った。
[中空成形]
500ml丸瓶をモダン社製50mmφ中空成形機を用い、回転数10rpm、230℃にて成形を行った。成形は特に問題なく実施できた。W60/W12は4.8と高かった。得られたボトルの外観は良好であった。
【0065】
参考例10,11,12
表2に示す様に予重合の条件を変えた触媒を連続二段重合に供した他は参考例9と同様に行った。
得られたいずれの樹脂も、MFR,MTの関係は(1)式を満たした。
また、リサイクル性指数rは0.77〜0.84といずれも高い値を示した。
これらを参考例9と同様に中空成形に供した。
[中空成形]
参考例9と同様に中空成形を試みた。いずれの樹脂も、特に問題無く成形でき、W60/W12は4.4〜4.8と大きかったが、得られたボトルは肌が荒れ、斑点もみられ、外観にやや問題があった。
【0066】
(比較例6、7)
一/二段重合量比ならびにそれぞれのMLMFR,MFRを比較例2、3に近いものにした以外は参考例9と同様に連続二段重合を行ったのち、ペレタイズを行った。いずれの樹脂もMFR,MTの関係が(1)式を満たさなかった。
これらを参考例9と同様に中空成形に供した。
[中空成形]
参考例9と同様に中空成形を試みた。特に問題無く成形できたが、W60/W12は、ともに4.1とやや小さかった。得られたボトルの外観に問題は無かった。
【0067】
【表1】
Figure 0003686456
【0068】
【表2】
Figure 0003686456
【0069】
【表3】
Figure 0003686456
【0070】
【発明の効果】
本発明により、溶融張力に優れ、従来ブロー、シート、ラミネート成形といった溶融張力の必要とされる成形に適し、かつリサイクル成形時にも本来の溶融張力が低下しないプロピレン系重合体を提供できる。
また、本発明によるプロピレン系重合体は、特にブロー成形に好適に使用できる。

Claims (3)

  1. 210℃周波数10-2rad/秒における損失弾性率(G”0.01)が5×102Pa以上、かつ210℃周波数10rad/秒における複素粘性率(|η* 10|)が9×103Pa・S以下、かつ平衡コンプライアンス(Jeo)が10-4cm2/dyne以下であるプロピレン系重合体であって、
    プロピレン単独重合体である、MFRが0.1〜500g/10分のプロピレン系重合体(A)と、
    プロピレンとエチレンを共重合してなる、MLMFRが1.0g/10分以下のプロピレン系重合体(B)からなり、
    全体における(B)の占める割合が19.8〜25.3重量%であり、
    クロス分別クロマトグラフ(以下CFC)の測定において、分子量106以上の成分中、オルトジクロロベンゼンを溶媒として溶出温度100℃以下の溶出成分が20重量%以上である
    ことを特徴とする、プロピレン系重合体。
  2. プロピレン系重合体(B)が、エチレンを3〜70重量%共重合してなるエチレン−プロピレン共重合体である請求項1に記載のプロピレン系重合体。
  3. MFRが0.01〜10g/10分の範囲である、請求項1又は2に記載のプロピレン系重合体を成形した中空成形体。
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