JP3674323B2 - 電力変換器の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ等の電力変換器を用いて、三相交流電動機を駆動する交流電動機駆動システム、ならびに、交流電力を直流に変換する順変換装置に関し、特に、電圧リミッタの改良による電圧利用率の拡大と、過渡時の制御システムの安定化に関する。
【0002】
【従来の技術】
インバータを用いて交流電動機を駆動する場合、近年ではベクトル制御が広く用いられている。ベクトル制御は、交流電動機に流れる電流の大きさと位相を制御し、指令トルクに対する電動機の発生トルクを線形化するものである。ベクトル制御は、交流電流を磁束成分とトルク成分に分離し、各々の成分を制御することで実現できる。これらの電流制御の結果として、インバータの電圧は所定の位相で出力される。この技術により、交流電動機は直流電動機と同等か、それ以上の性能が得られるようになった。
【0003】
コンバータ(順変換器)においても、交流電動機と同様に、コンバータに入力される電流の大きさと位相の制御が行われている。これは、交流電動機のベクトル制御と同等の技術であり、直流電圧の制御と同時に電源力率1が実現できる。
インバータ(コンバータ)の出力(入力)電圧には限界があり、通常は電圧が飽和しない領域で使用している。電圧の限界値は、変換器の直流電圧と、変換器を構成するスイッチング素子の特性で決定される。スイッチング素子には、最小パルス幅(オン幅,オフ幅)を確保する必要があるため、その分を電圧マージンとして確保しなければならない。また、スイッチング動作の遅れによる短絡を防止するため、アーム短絡防止期間を設ける必要がある。アーム短絡防止期間は、電流歪みの原因になるため、通常は補償電圧を加えている。この補償電圧の分も、電圧マージンとして確保しておく必要がある。これらの電圧マージンを確保するため、制御そのものに使用される電圧の限界値は、直流電圧よりも数%程度低くなる。
【0004】
よって、上記の限界値を超えないように、交流側、あるいは、回転座標軸上 (dq座標軸上)において電圧リミッタが挿入されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
交流電動機制御においては、加速時や負荷外乱発生時に、電圧指令が大きくなる場合がある。このため、定常状態におけるインバータ出力の電圧値は、リミッタにかからないように低めに設定されている。定常時のインバータ容量を大きくするには、定常状態の電圧値を大きくすればよいが、過渡時において電圧リミッタにかかりやすくなる。
【0006】
前述したように、現在広く用いられているベクトル制御では、電流の大きさと位相を所定の値に制御する必要があり、電圧がリミッタにかかるとこれらの関係が崩れ、過渡応答の劣化やトルク抜けが生じる場合がある。特に位相のずれは、制御上の磁束軸と、電動機の実際の磁束軸に差が生じることになり、ベクトル制御の原理そのものが崩れることになる。
【0007】
位相ずれは、電圧リミッタが各相ごと独立に挿入されているために生じる。例えば、一相だけが制限値を超え、他の相がそのまま出力された場合に、三相のバランスが変化し、位相関係が崩れてしまう。dq座標軸上でリミッタ処理を行う場合も同様である。
【0008】
これらの対策例として、文献1(特開平9−149699 号公報)がある。これは、dq座標軸上での電圧指令をベクトル合成し、ベクトルの位相を変えずに大きさのみを制限するように、各々の軸の電圧指令を補正する方式である。しかし、電圧ベクトルの制限値を一定にしているため、dq軸上でみたインバータの出力電圧の範囲は、制限値を半径とした円になる。
【0009】
通常の電力変換器の出力電圧範囲は、dq軸上では六角形になる。文献1の方式では、前記六角形を内接する円が、インバータの出力電圧範囲となっており、使用されない部分が残ってしまう。この六角形と円の間の部分が利用されないため、実際に電圧指令が制限値にかかった場合には、過渡応答が遅くなる場合が生じる。
【0010】
順変換装置においては、上記の問題に加え、次のような問題がある。電圧形のコンバータは、各々のスイッチング素子にそれぞれダイオードが逆並列接続されており、すべてのスイッチング素子をオフにすることで、ダイオード整流器として機能する。よって、負荷の必要とする電圧に応じて、コンバータ動作とダイオード整流器動作とを切り替えて使用することができ、順変換システムとしての効率の改善が可能である。しかし、ダイオード整流器として動作している時の直流電圧値は、コンバータ動作時の直流電圧値(最低値)に比べて低く、これらのスムーズな切り替えは難しい。これは、前述した電圧の制限値が、直流電圧値よりも数%少なくなるために生じる。よって、単純にコンバータ動作とダイオード整流器動作の切り替えを行うと、切り替えショックに伴う過大電流が発生し、スイッチング素子を破壊する場合がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による電力変換器の制御装置においては、交流電圧指令を制限する場合に、少なくとも一つの相が制限値を超えた時点で、他の相すべての電圧指令を同時に制限する。制限する割合を各相とも等しくすれば、電圧の位相は変化することなく、振幅のみが抑制される。これにより、位相ずれが抑制され、トルク抜けや過大電流が発生することを抑制できる。さらに、出力電圧範囲は変換器の最大限まで拡大する。
【0012】
また、最終的な交流電圧指令の制限値は、電圧指令の位相により定式化されるため、これらの定式化されたテーブル(あるいは演算式)を用いて、交流電圧指令を制限(リミット処理)しても全く等しい効果が得られる。
【0013】
さらに、dq座標軸上における電圧指令値を制限する場合には、これらの電圧指令を一旦交流電圧指令に座標変換し、所定の制限値と比較し、少なくとも1つの相が制限値を超えた場合に、dq座標軸上の2つの電圧指令を等しい比率で制限すればよい。
【0014】
また、最終的なdq座標上の電圧指令の制限値は、電圧指令の位相により定式化されるため、これらの定式化されたテーブル(あるいは演算式)を用いて、 dq座標軸上の電圧指令を制限すればよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の第1の実施例を示す。
【0016】
図1は、PWMインバータにより三相誘導電動機を駆動する誘導電動機駆動装置である。
【0017】
図1において、1は、誘導電動機に印加される電圧指令を演算する交流電圧指令演算器、2は、インバータの出力電圧最大値を向上させるための零相電圧を演算し、三相すべてに加算する零相加算器、3は、三相交流電圧指令の大きさを制限値(最大値、ならびに最小値)に従って制限するAC電圧リミッタ、4は、3の制限値を演算する電圧制限値演算器、5は、交流電圧指令に基づいてPWM (パルス幅変調)信号を発生するPWM制御器、6は、PWM信号により駆動されるインバータ、7は、誘導電動機に流れる電流を検出する電流検出器、8は、インバータにより駆動される誘導電動機、9は誘導電動機の回転速度を検出する速度検出器、11は、誘導電動機の回転速度ωmと、回転速度指令ωrに基づいて、誘導電動機の電流指令Idr,Iqr、ならびに一次角周波数ω1を演算する速度制御器、12は、ω1を積分して、位相角φを演算する積分器、13は、位相角φに基づいて、誘導電動機の電流検出値をdq座標軸に変換するdq座標変換器、14は、dq座標軸上の電流検出値Id,Iqと、前記のIdr,Iqrに基づいて、dq座標軸上の電圧指令Vd0,Vq0を演算する電流制御器である。
【0018】
図1におけるAC電圧リミッタ、ならびに電圧制限値演算器の構成を、図2に示す。部品番号31は、交流電圧指令Vu1,Vv1,Vw1と電圧制限値演算器から出力される係数Klim を掛け算する乗算器、32は、2つの入力信号を切り替えるスイッチであり、制御信号Swが「1」の時に1側へ、「0」の時に0側へ切り替えられる。41は、Vu1,Vv1,Vw1のそれぞれの絶対値を演算する絶対値演算器、42は、3つの入力信号の中から大きさが最大のものを選択して、出力する最大値選択器、43は、インバータの一つの相が出力できる最大値Vmaxをセットする最大電圧設定器、44は、Vmaxを42の出力で割り算する除算器、45は、2つの入力信号を比較し、「+」側の値が「−」側の値よりも大きな場合に「1」、逆の場合には「0」を出力する比較器である。
【0019】
図1の動作を簡単に説明すると以下のようになる。交流電圧指令演算器1は、誘導電動機8をベクトル制御するための制御器である。誘導電動機の回転速度指令,回転速度、ならびに誘導電動機に流れる電流値を読み込み、それらの値に基づいて誘導電動機が必要とする交流電圧指令(Vu0,Vv0,Vw0)を演算し出力する。これらの交流電圧指令に基づいてインバータが制御され、指令な準じた電圧を誘導電動機に印加し、ベクトル制御が実現される。ベクトル制御を精度よく実現するためには、交流電圧指令演算器1での演算も重要であるが、交流電圧指令から実際の印加電圧までの誤差をできるだけ少なくすることもまた重要である。
【0020】
交流電圧指令演算器1で演算される交流電圧指令の振幅値は、定常状態では速度にほぼ比例して大きくなるが、誘導電動機の速度指令が急変した場合、あるいは、誘導電動機の負荷が急変した場合等の過渡時においては、振幅値が急激に増加あるいは減少する。この時、インバータの出力できる電圧範囲を超えてしまう場合があり、問題である。
【0021】
2の零相加算器は、インバータの出力電圧を向上させるための電圧指令補正器であり、上記の問題を少なくする技術の一つである。近年では一般的に使用されているものである(詳細は後述する)。3,4が、本発明の特徴部分である電圧リミッタである。電圧が急変し、インバータの許容値を超えた場合においても、できるだけベクトル制御を成立させるように、電圧値のリミット処理を行う。
【0022】
次に図1の動作について、詳細を説明する。
【0023】
図1において、電流検出器7によって検出された交流電流Iu,Iv,Iwは、dq変換器において、下記の数1,数2に従って、dq座標軸上の電流Id,Iqに変換される。
【0024】
【数1】
Figure 0003674323
【0025】
【数2】
Figure 0003674323
【0026】
一方、速度検出器によって検出された速度検出値ωmは、速度制御器11において速度指令値ωrと比較され、その値に基づいて電動機に必要なトルク電流指令が演算される。また、電動機の磁束電流指令も、速度に応じて変化させる場合もある。通常は、トルク電流指令をIqr、励磁電流指令をIdrとして、電流制御器へ出力する。同時に、Iqr,Idrに基づいて、電動機の一次角周波数ω1を演算する。
【0027】
【数3】
Figure 0003674323
【0028】
上式において、r2ならびにL2は、電動機の定数である。
【0029】
電流制御器では、Idr,Iqrと、検出値Id,Iqに基づいて、dq座標軸上の電圧指令Vd0,Vq0が演算される。Vd0,Vq0の演算には、通常は、PI制御(比例積分補償)が使用される。最近では、電流応答の改善のため、非干渉補償を付加する場合が多いが、本実施例では何れの制御方法であっても適用できる。Vd0,Vq0は、dq逆変換器15において、数4,数5に従って、三相交流電圧指令Vu0,Vv0,Vw0に変換される。
【0030】
【数4】
Figure 0003674323
【0031】
【数5】
Figure 0003674323
【0032】
上式におけるVu0,Vv0,Vw0は、定常状態では歪みのない正弦波になる。この交流電圧指令値でも誘導電動機を駆動することができるが、近年では、零相加算器2を付加して、全ての相に共通の信号(零相電圧)を加算し、インバータの出力電圧最大値を向上させることがほぼ常識的になっている(参考文献2:電気学会論文集D,109巻11号,P.809−816,平成元年)。零相加算の詳細については後述する。
【0033】
零相を加算された電圧指令Vu1,Vv1,Vw1は、AC電圧リミッタにおいて最大値、ならびに最小値が制限され、最終的にはVu2,Vv2,Vw2として出力される。各相の制限値は、電圧制限値演算器4により演算される。
【0034】
PWM制御器5では、Vu2,Vv2,Vw2の値に従い、三角波比較方式等によりPWM信号を発生し、インバータのスイッチング素子をドライブする。インバータは、Vu2〜Vw2に相当する電圧を出力し、誘導電動機を駆動する。
次に電圧制限値演算器4の動作を、図2を用いて説明する。
【0035】
図2の最大電圧設定器43において、インバータの出力可能な最大値Vmax が設定される。Vmax は、
【0036】
【数6】
Figure 0003674323
【0037】
の関係にある。上式において、Vdcはインバータの直流電圧、Mmax は、インバータの最大変調率である(Mmaxは、0≦Mmax≦1)。Mmax は、インバータに使用されるスイッチングデバイスにより、0.9〜1.0程度に設定される。
【0038】
交流電圧指令と、Vmax の関係を図3に示す。インバータの直流電圧Vdcの1/2の値が、理想的には最大電圧になるが、スイッチング素子の最小オフ時間を確保するため、ならびに、アーム短絡防止期間(デッドタイム)の影響による電圧降下分を補償するため、VmaxはVdc/2よりも数%低めに設定される。
絶対値演算器41では、Vu1,Vv1,Vw1のそれぞれの絶対値を演算し、その中から大きさが最大のものを選択して(これをVuvwmaxとする)、次式に示す係数Klim を演算する。
【0039】
【数7】
Figure 0003674323
【0040】
Klimは、Vu1〜Vw1の少なくとも1相が、Vmaxを超えた場合に1より小さな値になる。よって、Klimの値と1とを比較器45で比較し、Klim<1の場合にSw信号を1にする(Klim>1の時は、Sw=0)。
【0041】
AC電圧リミッタでは、Sw信号が「1」となった場合に、スイッチ32を 「1」側に切り替えて、電圧指令を入力に対して一定比率に制御(制限)する。その場合、三相全ての電圧指令がKlim倍に制限されることになる。Klimは、三相の中で最も大きな値の相と、Vmax の比であるため、すべての相の電圧指令をKlim倍することで、三相すべてが±Vmaxの範囲内に必ず制限されることになる。また、三相とも共通の比率で制限されるため、電圧指令の位相ずれは生じない。
【0042】
次に、本発明の動作原理を従来方式と比較して説明する。図4(a)の3Aが、一般的に使用されている従来方式の電圧リミッタの構成図である。図中の32,43,45は、図2の同一番号のものと同じものである。Vu1が、Vmaxの値を超えた場合には、出力がVmaxに制限され、−Vmax より下がった場合には−Vmax に制限される。この電圧リミッタの入力電圧Vu1と出力電圧Vu2の関係は、図4(b)のようになる。仮に、図4(c)のように、三相の中で一相の交流電圧指令が制限値を超えた場合を考えてみる。図において、Vu1がVmax を超えた期間は、Vu2は図のようにVmax に制限される。しかし、この間Vv1とVw1は制限されることはなく、そのまま電圧リミッタを素通りしてしまう。この関係をαβ軸上で見てみると、図5の様になる。αβ変換は、
【0043】
【数8】
Figure 0003674323
【0044】
によって定義される。図4(c)のVu1がリミッタにかかっている期間は、
Vv1,Vw1が変化しないため、数8よりVβは変化しない。よって、図5 (a)のように、ベクトルとして電圧指令をみた場合、位相ずれが生じることになる(図のΔθ)。
【0045】
一方、本発明による電圧リミッタ方式では、三相すべての電圧指令を等しい比率で制限するため、Vα,Vβとも同時に等しい比率で制限される。結果として、図5(b)のように、位相ずれは生じない。よって、位相ずれによる電動機トルクの過不足がなくなり、高応答で安定な電動機制御が実現できる。
【0046】
次に、零相加算の原理と、零相加算を行った場合の本実施例の動作について説明する。
【0047】
図1における零相加算器2の構成を図6に示す。21は、三相交流電圧指令 Vu0,Vv0,Vw0の値に基づいて、零相電圧V0を演算して出力する零相発生器である。V0は三相共通の値であるため、どのような波形であっても線間電圧への影響は原理的に生じない。何通りものV0が考えられるが、その代表例について説明する。
【0048】
図7(a)が、零相加算を行う前の交流電圧指令である。この波形を式で表わすと次のようになる。
【0049】
【数9】
Figure 0003674323
【0050】
次に、三相の電圧指令の中で、大きさが中間である相の1/2を零相電圧とした場合の波形を図7(b)に示す。図7(a)において、θ1の区間では、W相が中間の大きさである。この時の零相電圧V01は、
【0051】
【数10】
Figure 0003674323
【0052】
となる。次の90°から120°の区間ではV相が中間相となる。このように、60°毎に零相電圧の関数が変化して行く。V01を加算すると、それぞれの電圧指令は図7(b)のようになり、正弦波のピーク付近が下がった波形になる。この零相加算により、インバータの出力電圧最大値は、約1.15倍(2/√3 倍)に増加する(参考文献2:電気学会論文集D,109巻11号,P.809−816,平成元年)。尚、この「1.15倍 」という値は、電圧指令のピーク値がVmax に一致する時点での比率(波形が歪まない条件での出力電圧最大値の比率)である。
【0053】
図7(c)は、三相の電圧指令の中で、絶対値の最も大きなものと、Vdc/2、あるいは−Vdc/2との差を取り、その値を零相電圧として各相に加算したものである。図7のθ2の期間においては、
【0054】
【数11】
Figure 0003674323
【0055】
が零相電圧になる。図7(c)からわかるように、この零相加算を行うと、交流電圧指令の最大値,最小値が±Vmax を超えて±Vdc/2の値に継続的に張り付いている期間が生じる。電圧指令が±Vdc/2となる期間は、その相のスイッチング動作を行わないことを意味している。よって、数11の零相加算を行うと、スイッチング回数が1/3減少する。また、この方式においても、図7(a)の正弦波に比べて、インバータの出力電圧は約1.15倍(2/√3倍)に増加する(参考文献2:電気学会論文集D,109巻11号,P.809−816,平成元年)。図7(c)のように、三相の内2つの相のみがスイッチングする方式を「二相スイッチング」と呼ぶ。零相加算の方式としては、大きく別けて図7 (b)のような三相スイッチングになるものと、同図(c)のような二相スイッチングになるものに分類できる。
【0056】
図1に示した電圧リミッタ方式は、図7(b)に示す零相加算方式(三相スイッチング方式)にはそのまま適用できる。三相の電圧指令の中で、2つの相が同時にVmaxと−Vmaxを超えることになるが、問題はない。
【0057】
図7(c)のような二相スイッチング方式の場合は工夫が必要である。
【0058】
図8に、二相スイッチング方式を考慮した場合の実施例を示す。図1と比べると、零相加算器2とAC電圧リミッタ3の処理が入れ替わっている。電圧制限値演算器4Bでは、Vmax がK0倍されている。
【0059】
Vu0〜Vw0は、純粋な正弦波である。よって、零相加算の前に予めリミッタ処理を施してしまうと、零相加算による出力電圧の向上効果が得られなくなる。そこで、零相加算を考慮し、Vmaxの値を大きく(K0倍)設定しておく。K0を、
【0060】
【数12】
Figure 0003674323
【0061】
とすれば、零相加算の効果を活かし、位相ずれをなくすリミッタが実現できる。また、この図8の方式は、図7(b)の零相加算に対しても、そのまま適用できる。
【0062】
次に、線間電圧を使って、交流電圧指令を制限する方法を示す。これまでの実施例では、各相電圧の絶対値を演算し、その中から最大のものを選択し、係数 Klim を演算していたが、線間電圧を使用しても同じ効果が得られる。図9に、その電圧制限値演算器4Cの構成を示す。図の42〜46は、図2における同一の番号のものと同じものである。47は、3つの入力から一番小さな電圧を選択し、出力する最小値選択器である。この出力と、最大値選択器42の出力の差を取ることで、線間電圧の最大値VLmax が得られる。線間電圧が、インバータの直流電圧と一致する条件が、インバータ出力電圧の最大値であるから、VLmax を1/2し、Vmaxとの比を計算することでKlimが求められる。
【0063】
尚、係数K0は、零相加算を行う場合はK0=1とし、行わない場合はK0=√3/2に設定する。これにより、図1,図8と同様に、位相を変えずに電圧指令を制限することができるようになる。
【0064】
次に、交流電圧指令の位相情報のみを使用して、交流電圧指令を制限する実施例を説明する。図10にその構成図を示す。
【0065】
図10において、10は、Vd0,Vq0とdq座標軸の位相φから、交流電圧指令の位相θを演算する電圧位相演算器、4Dは、θの値のみに依存して決定される各相の出力最大値、ならびに最小値を演算する電圧制限値演算器、3Dは、各相の最大値ならびに最小値に基づいて、電圧指令を制限するAC電圧リミッタである。他の符号は、図1の発明における同一符号のものと同じものである。
次に、図11を用いて、図10の実施例の動作原理について説明する。図11において、電圧位相演算器10では、Vd0,Vq0の値を用いて、
【0066】
【数13】
Figure 0003674323
【0067】
が演算され、さらに、
【0068】
【数14】
θ=φ+δdq …(数14)
として、電圧位相θを計算する。電圧制限値演算器4Dでは、θで定まる各相の上限値(Vumax〜Vwmax)と下限値(Vumin〜Vwmin)を出力する。AC電圧リミッタでは、これらの制限値と電圧指令を各相毎に比較し、指令値が上限値を超えた場合には上限値に、下限値を下回った場合は下限値に切り替えて出力する。本実施例においては、図2の実施例のように、すべての相をKlim 倍に制限するような処理は行わず、図4(a)の従来例におけるVmax(−Vmax)の値を、位相θの値に応じて変化させることに相当する。
【0069】
次に、これらの制限値とθの関係について説明する。
【0070】
図12(a)は、図1、あるいは図8の実施例において、一部の区間で交流電圧指令が過大になった場合のリミッタ処理後の波形である。この時、零相加算は数10のもの(図7(b))を使用している。交流電圧指令の振幅をさらに大きくしていくと、最終的には、図12(b)のようになる。これ以上、振幅を増やしても、リミット後の波形は図12(b)のままである。
【0071】
三相交流の場合、位相θが定まると、三相電圧の瞬時値の比率は一義的に定まる。よって、AC電圧リミッタにより電圧指令値を制限したとしても、すべての相を等しい比率で制限する限り、リミット後の最終的な波形も一義的に定まることになる。この関係を定式化すれば、位相から制限値が求められることになる。
図12の波形のθ1の区間においては、U相の上限値はVmax 、V相の下限値は−Vmax となり、中間相のW相のみが複雑な関数になる。
【0072】
W相の制限値は以下のようになる。
【0073】
θ1の区間(30°≦θ≦90°)においては、零相加算により、指令値Vw1は、
【0074】
【数15】
Figure 0003674323
【0075】
となる。また、U相は、
【0076】
【数16】
Figure 0003674323
【0077】
である。この期間では、U相とW相が同時にVmaxと−Vmaxに到達する。一方を代表して、U相で係数Klimを計算すると、
【0078】
【数17】
Figure 0003674323
【0079】
となる。これに数15を掛けたものが、W相の制限値である。上限値Vwmax は、
【0080】
【数18】
Figure 0003674323
【0081】
下限値Vwmin は、
【0082】
【数19】
Figure 0003674323
【0083】
となる。よって、Vp(振幅)には全く依存せず、θのみの関数であることがわかる。
【0084】
ここで、数18(数19)を一般化し、
【0085】
【数20】
Figure 0003674323
【0086】
として、各位相区間における各相の制限値を計算すると、図13のようになる。図13からわかるように、電圧位相が定まると、各相ともVmaxかVminの何れか一方のみが規定されるが、残りの制限値は規定されない(定義不要)。
【0087】
この図13の関係を、電圧制限値演算器4Dにテーブルとして保存し、与えられたθに対して各制限値を出力すればよい。
【0088】
尚、本実施例の場合、すべての相が必ず同時にリミットされることになるので、図11における比較器45は、一つの相だけに備え、出力を各相共通とすることができる。
【0089】
以上、本発明の実施例として、交流電圧指令に対してリミット処理を行う手法を説明した。前述したように、図1、ならびに図8の実施例を用いて、電圧指令の振幅を増加させていくと、最終的には図12(b)の波形となる。よって、図1、ならび図8の実施例は、図10のものと効果は等しい。
【0090】
図12(b)の波形の状態で誘導電動機を駆動すると、波形の歪みは大きくなるが、インバータの出力電圧最大値は平均的に大きくなる。また、この時の位相ずれは生じていない。よって、過渡時等、一時的に大きな電圧が必要な場合に、本発明は極めて有効である。
【0091】
従来方式(図4)において電圧指令の振幅を増加させていくと、振幅の増加に伴って、中間相(図12のθ1の区間ではW相に相当)の値が変化し続け、最終的には中間相の値もVmaxか−Vmaxに張り付く形になる。この場合にも、インバータの出力電圧最大値は大きくはなるものの、位相ずれは最大で±30°に達する。よって、軸ずれが発生し、過渡応答が劣化する。
【0092】
次に本発明の他の実施例について、図14を用いて説明する。
【0093】
図14において、1Eは、誘導電動機に印加される電圧指令を演算する電圧指令演算器、3Eは、電圧指令Vd0,Vq0の大きさを制限するDC電圧リミッタ、4Eは、電圧位相θに基づいて、Vd0,Vq0の制限値を演算する電圧制限値演算器、15Eは、dq座標軸上の電圧指令をαβ軸上の電圧指令に変換するdq−αβ座標変換器、5Eは、αβ軸上の電圧指令に基づいて、PWM信号を発生させるPWM制御器である。他の符号は、図1、ならびに図10の実施例の同一符号のものと同じものである。
【0094】
本実施例では、電圧指令を三相交流に座標変換していない点に特徴がある。その代り、電圧指令のリミッタ処理を、dq軸上の電圧指令に対して行う。この際、電圧位相θにより、電圧制限値を変化させている。また、PWM制御器5Eにおいては、αβ軸の電圧指令に基づいて、直接PWM信号を作成している。このようなPWM制御は、空間ベクトル方式と呼ばれており、インバータの出力電圧を二軸の空間に表現して、パルスの出力時間を計算するものである。詳細は後述する。
【0095】
図15に、DC電圧リミッタ3E、ならびに電圧制限値演算器4Eの構成を示す。図の43Eは、dq軸上の電圧制限値の設定器、48は、ルート演算器、 49は、θに対して所定の関数を発生させる関数発生器である。他の部品は、これまでの実施形態における同一の符号のものと同じものである。
【0096】
次に、本発明の動作原理を説明する。電圧制限値設定器43Eの値Vdqlimit は、
【0097】
【数21】
Figure 0003674323
【0098】
のように設定する。この値は、線間電圧の最大値をVdc・Mmax として(つまり数9において、Vp=Vdc・Mmax/√3 として)電圧をdq変換した時の、dq座標上におけるベクトルの大きさに相当する。すなわち、正弦波を出力するための最大値に一致する。
【0099】
VdqlimitとKvを掛け算し、電圧制限値Vlimitを得ている。Kvは、電圧位相θの関数になっており、その関数を図16に示す。Kvの値は60°周期で変化する。
【0100】
一方、Vd0とVq0は、それぞれ二乗された後に加算され、ルート演算器 48によりベクトルの大きさ(|V|)が出力される。電圧を制限する係数
Klimは、|V|とVlimitの比から求められる。
【0101】
DC電圧リミッタ3Eの処理は、AC電圧リミッタと同様に、dqそれぞれの電圧指令を、Klimが1より小となった場合にKlim倍して制限する。
【0102】
次に本実施例の動作原理を説明するが、まず初めに二軸上でのインバータの出力電圧表現について説明する。
【0103】
図17は、三相フルブリッジ形の電圧形インバータの構成図である。図において、U〜W相の各相のスイッチング素子は、上側か下側の必ずどちらか一方のみがオンしている。仮に、U相は上側(Sup)がオン、V相,W相は下側(SvnとSwn)がオンしているものとすると、各相電圧Vui〜Vwiは、
【0104】
【数22】
Figure 0003674323
【0105】
となる。これを数8に従い、αβ軸上の電圧にすると、
【0106】
【数23】
Figure 0003674323
【0107】
となる。数23をベクトルV1として、αβ空間に図示すると、図18のようになる。同様に、
【0108】
【数24】
Figure 0003674323
【0109】
とすると、
【0110】
【数25】
Figure 0003674323
【0111】
となる。このようにして空間ベクトルを計算すると、インバータの出力できる電圧は、図18に示す8つのベクトル(内、零ベクトルが二つ)になる。
【0112】
PWM信号を作成するには、電圧指令も空間ベクトルで表現する。図18に示すように、電圧指令のベクトルVrが、V0(零ベクトル)、V1,V2で囲まれる三角形の空間内部にあるものとする。この場合、微小時間T内において、ベクトルV0,V1,V2をそれぞれt0,t1,t2時間だけ出力し、近似的にVrを出力する。電圧指令と、各ベクトルの出力時間の関係は、
【0113】
【数26】
Vr=t1・V1+t2・V2+t0・V0 …(数26)
【0114】
【数27】
T=t1+t2+t0 …(数27)
の二つであり、この2式より、t0〜t2が求められる。つまり、空間ベクトルでPWM制御を行う場合は、電圧指令を空間ベクトルで表現し、それを近似するためのインバータのベクトルを選択し、それぞれの出力時間を演算して、最終的にPWMパルスへ変換する。
【0115】
次に、空間ベクトルでインバータを制御する場合の出力電圧範囲を考察してみる。電圧指令が正弦波である場合、Vrは、円を描いて一定速度(角周波数速度)で回転する。よって、インバータの出力電圧を正弦波に限定するのであれば、インバータの出力電圧範囲は図18に示す円の内側になる。この円内に電圧ベクトルを制限すると、従来技術(特開平9−149699 号)の方式になる。本実施例においても、図15における関数発生器49の出力Kvを、常に「1」とすると参考文献1と同等になる。
【0116】
本実施例においては、インバータの出力電圧を最大に利用し、高応答化を実現するため、Kvをθに応じて1以上に可変させている。出力電圧を正弦波に限定しなければ、インバータの出力電圧範囲は、図18に示す六角形の内側になる。すなわち、正弦波に限定した場合の出力範囲よりも、広い範囲の電圧が出力可能である。この六角形の領域すべてを利用するため、Kvの値をθに応じて可変としている。
【0117】
次に、θとKvの関係を図19を用いて説明する。図において、出力し得る最大のベクトルの大きさをxとする。図19の関係より、
【0118】
【数28】
y=xcos(30°−θ) …(数28)
となる。よって、
【0119】
【数29】
Figure 0003674323
【0120】
となる。ここで、yは正弦波出力範囲の最大値に一致するので、y=Vdqlimit である。よって、
【0121】
【数30】
Figure 0003674323
【0122】
となる。ただし、上式は、0≦θ≦60°の範囲で成立する。他のθの区間でも同様にKvの値を求めることができる。結果として、図16に示す関数となる。
以上、図14の実施例により、dq座標軸上において、インバータ出力電圧を最大限に利用し、かつ、ベクトル位相を変化させずに指令値を制限することができるようになる。
【0123】
次にdq座標軸上の電圧指令を制限する他の実施例について説明する。
【0124】
図20における電圧制限値演算器4Fが、本実施例の特徴である。この電圧制限値演算器4Fを、図14における電圧制限値演算器4Eの代りに適用し、さらに図14の電圧位相演算器を排除して使用する。他は図14と同じである。
【0125】
次に、本実施例の動作原理について説明する。図20において、電圧制限値演算器4Fでは、電圧指令Vd0,Vq0を入力し、dq座標軸位相φで一旦三相交流電圧に座標変換する。その後、図9の実施例と同様に、線間電圧の最大値を計算し、その値の1/2とVmaxの値から係数Klimを演算する。前述したように、線間電圧とインバータの直流電圧が一致した場合が、インバータの最大出力範囲になるため(図18の六角形に相当)、この演算により、出力電圧範囲は最大限まで活用され、かつ、電圧位相は変化しないことになる。本発明は、図14の発明と等価になるが、ルート演算が不要であるため、演算時間が短くて済むようになる。
【0126】
次に本発明による順変換装置の実施例について、図21を用いて説明する。
【0127】
図21において、1Gは、コンバータ6G(順変換装置)の入力電圧指令を演算する電圧指令演算器、8Gは、三相交流電源、9Gは、三相交流電源の電源位相を検出する位相検出器、50は、コンバータ6Gの出力電圧を平滑する平滑コンデンサ、51は、コンバータ6Gの出力電圧Vdcの電圧を検出する電圧検出器、52は、コンバータに接続された負荷装置、17は、コンバータ出力電圧指令Vdcrと、検出値Vdcの値から、コンバータの入力電流指令を演算する電圧制御器である。その他の部品は、これまでの実施例における部品と同一のものである。
【0128】
コンバータの制御においては、交流電源の位相φを検出し、電源電圧と同位相の電流成分をIq、90°位相のずれた成分をIdとして、入力電流の制御を行う。この時、Id=0となるように制御することで、常に電源力率1が達成できる。また、直流電圧Vdcの制御は、Iqを用いて行うようにする。Iqrには、負荷装置52が必要とする電流をフィードフォワードして加える場合もある。本実施例においても、電圧制限値演算器4、並びにAC電圧リミッタ3を付加することで、コンバータの入力電圧を最大限に利用することができるようになる。これまで説明したインバータの制御に関する各実施例が、そのまま適用できる。
【0129】
現在広く用いられているコンバータの構成を、図22に示す。仮に、PWM制御器の出力であるPWMパルスをすべてオフして、コンバータを構成するすべてのスイッチング素子のゲート信号をオフしたとする。すると、入力電流は、各スイッチング素子に逆並列に接続されたフリーホイールダイオードを介して流れることになり、ダイオード整流器として動作する。
【0130】
ダイオード整流器は、コンバータのようにスイッチング動作が伴わないために、効率が非常によい。負荷装置の消費電力が大きくなると、入力電流波形のひずみが大きくなり、力率も悪くなるが、軽負荷状態であれば問題はない。
【0131】
よって、負荷装置の消費電力に応じて、ダイオード整流器と、コンバータ動作とを切り替えれば、総合的に効率の良い順変換システムが実現できる。
【0132】
しかし、実際にダイオード整流器動作からコンバータ動作へ切り替えると、従来のコンバータでは、図23(a)に示すような突入電流が発生する。これは、ダイオード整流器の出力電圧が、コンバータの出力電圧の最低値よりも低く、図のようにΔVの差があることに問題がある。図22の構成のコンバータは昇圧形の変換器であるため、コンバータ入力電圧と、出力直流電圧との関係は反比例になる。つまり、直流電圧を最小にするには、コンバータ入力電圧を最大にする必要がある。しかし、従来のコンバータでは、入力電圧範囲が図18の円内であったため、電圧マージンを考慮すると、最大電圧を得ることは困難であった。
【0133】
しかし、本発明による順変換装置においては、コンバータの入力電圧範囲を図18の六角形にまで拡大することができるので、入力電圧の平均値を増加することができ、図23(b)のように、Vdcをスムーズに立ち上げることが可能になる。よって、切り替わりに伴う突入電流も少なくなる。
【0134】
尚、上記の実施例におけるインバータ、およびコンバータは、三相フルブリッジのものを使用したが、3レベル変換器や、その他の多重変換器についても同様に適用できる。
【0135】
また、電動機駆動システムとして誘導電動機の例を説明したが、同期電動機等、他のすべての交流電動機に対しても適用可能である。
【0136】
【発明の効果】
本発明によれば、インバータの出力電圧を最大限にまで活用し、かつ、電圧位相の誤差を零に制御することができるようになる。
【0137】
本発明をコンバータ(順変換装置)に適用した場合、コンバータの出力電圧範囲が拡大し、順変換システムとして、装置の高効率化が実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である交流電動機駆動装置の構成図。
【図2】AC電圧リミッタと電圧制限値演算器の構成図。
【図3】交流電圧指令と電圧制限値との関係を示す図。
【図4】従来の電圧リミッタの構成図。
【図5】従来方式と本発明による方式の効果を示す図。
【図6】零相加算器の構成図。
【図7】零相加算の原理を示す図。
【図8】本発明の一実施例である交流電動機駆動装置の構成図。
【図9】電圧制限値演算器の構成図。
【図10】本発明の一実施例である交流電動機駆動装置の構成図。
【図11】電圧位相演算器,電圧制限値演算器とAC電圧リミッタの構成図。
【図12】図10の実施例の動作原理を説明する図。
【図13】位相θに対する電圧制限値を示す図。
【図14】本発明の一実施例である交流電動機駆動装置の構成図。
【図15】電圧制限値演算器とDC電圧リミッタの構成図。
【図16】図14の実施例において使用される関数を表わす図。
【図17】三相フルブリッジ電圧形インバータの主回路構成図。
【図18】インバータの出力電圧、ならびに電圧指令の空間ベクトル表示を示す図。
【図19】図14の実施例の原理を示す図。
【図20】DC電圧リミッタと電圧制限値演算器の構成図。
【図21】本発明の一実施例である順変換装置の構成図。
【図22】三相フルブリッジ電圧形コンバータの主回路構成図。
【図23】従来方式と本発明によるコンバータの動作を示す図。
【符号の説明】
1…交流電圧指令演算器、2…零相加算器、3…AC電圧リミッタ、4…電圧制限値演算器、5…PWM制御器、6…インバータ、7…電流検出器、8…誘導電動機、9…速度検出器、11…速度制御器、12…積分器、13…dq座標変換器、14…電流制御器。

Claims (10)

  1. 電力変換器の交流側の電圧指令を発生させる交流電圧指令発生器と、交流電圧指令値を制限する交流電圧リミッタと、該交流電圧リミッタの出力に基づいて、PWMパルスを発生し、前記電力変換器を制御するPWM制御器と、を備え、
    前記交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、あるいは線間電圧が、予め設定した所定値を超えた場合に、すべての相の交流電圧指令を同一比率で制限して、前記交流電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴とする電力変換器の制御装置。
  2. 請求項1において、
    前記交流電圧指令の電圧位相を計算、あるいは検出する手段を備え、前記交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、あるいは線間電圧が、予め設定した所定値を超えた場合に、前記電圧位相により定義される関数に基づいて、前記交流電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴とする電力変換器の制御装置。
  3. 三相交流に同期して回転する回転座標軸(dq座標)上において、電力変換器の交流側の電圧指令を発生するdq電圧指令発生器と、前記dq座標軸上の電圧指令の値を制限するdq電圧リミッタと、該dq電圧リミッタの出力に基づいて、PWMパルスを発生し、前記電力変換器を制御するPWM制御器と、を備え、
    前記電圧指令を交流電圧指令に座標変換し(dq逆変換し)、該交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、あるいは線間電圧が、予め設定した所定値を超えた場合に、dq軸上の2つの電圧指令の値を同一比率で制限して、前記dq電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴とする電力変換器の制御装置。
  4. 請求項3において、
    前記dq座標軸上の電圧指令、ならびに前記dq座標軸の位相に基づいて交流側の電圧位相を計算、あるいは検出する手段を備え、前記dq軸上電圧指令のベクトル和を演算し、その大きさが、予め設定した所定値を超えた場合に、前記電圧位相により定義される関数に基づいて、前記dq電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴とする電力変換器の制御装置。
  5. 請求項4において、
    前記電圧リミッタにおける関数が、電圧位相θ=0〜60°の区間に対して、下記式で定義される関数であり、他の区間は下記式を60°毎に繰り返す関数であることを特徴とする電力変換器の制御装置。
    Figure 0003674323
  6. 直流を三相交流に変換する電力変換器と、該電力変換器によって駆動される交流電動機と、前記交流電動機の回転速度を検出、あるいは推定する手段と、速度指令と、前記速度の検出値あるいは推定値に基づいて、前記交流電動機の三相交流電圧指令を発生する交流電圧指令発生器と、前記交流電圧指令の値を制限する交流電圧リミッタと、該交流電圧リミッタにより制限された電圧指令に基づいてPWMパルスを発生し、前記電力変換器を制御するPWM制御器と、を備え、
    前記交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、あるいは線間電圧が予め設定した所定値を超えた場合に、すべての相の交流電圧指令を同一比率で制限して、前記交流電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴とする交流電動機システム。
  7. 直流を三相交流に変換する電力変換器と、該電力変換器によって駆動される交流電動機と、前記交流電動機の回転速度を検出、あるいは推定する手段と、回転座標軸(dq座標軸)上において、前記速度指令と、前記速度の検出値あるいは推定値に基づいて、前記交流電動機の交流側の電圧指令を発生するdq電圧指令発生器と、前記電圧指令の値を制限するdq電圧リミッタと、該dq電圧リミッタにより制限された電圧指令に基づいてPWMパルスを発生し、前記電力変換器を制御するPWM制御器と、を備え、
    前記電圧指令を交流電圧指令に座標変換し(dq逆変換し)、該交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、あるいは線間電圧が、予め設定した所定値を超えた場合に、dq軸上の2つの電圧指令の値を同一比率で制限して、前記電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴とする交流電動機システム。
  8. 三相交流を直流に変換する電力変換器と、前記電力変換器の直流電圧を検出する電圧検出器と、直流電圧指令と、前記直流電圧に基づいて、三相交流電圧指令を演算する電圧指令演算器と、前記交流電圧指令の値を制限する交流電圧リミッタと、該交流電圧リミッタにより制限された電圧指令に基づいてPWMパルスを発生し、前記電力変換器を制御するPWM制御器と、を備え、
    前記交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、あるいは線間電圧が、予め設定した所定値を超えた場合に、すべての相の交流電圧指令を同一比率で制限して、前記交流電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴とする順変換装置。
  9. 三相交流を直流に変換する電力変換器と、前記電力変換器の直流電圧を検出する電圧検出器と、回転座標軸(dq座標軸)上において、直流電圧指令と、前記直流電圧に基づいて、前記電力変換器の交流側の電圧指令を発生する電圧指令発生器と、前記電圧指令の値を制限するdq電圧リミッタと、該dq電圧リミッタにより制限された電圧指令に基づいてPWMパルスを発生し、前記電力変換器を制御するPWM制御器と、を備え、
    前記電圧指令を交流電圧指令に座標変換し(dq逆変換し)、該交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、あるいは線間電圧が、予め設定した所定値を超えた場合に、dq軸上の2つの電圧指令の値を同一比率で制限して、前記dq電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴とする順変換装置。
  10. 請求項8あるいは9において、負荷装置の消費電力が所定値以下の場合、あるいは該負荷装置の必要とする入力電圧が所定値以下である場合に、前記PWM制御器の出力であるPWMパルスをオフし、前記電力変換器をダイオード整流器として駆動することを特徴とする順変換装置。
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