JP2000060196A - 電力変換器の制御装置 - Google Patents

電力変換器の制御装置

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JP2000060196A JP10225620A JP22562098A JP2000060196A JP 2000060196 A JP2000060196 A JP 2000060196A JP 10225620 A JP10225620 A JP 10225620A JP 22562098 A JP22562098 A JP 22562098A JP 2000060196 A JP2000060196 A JP 2000060196A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電力変換器の電圧利用率を向上させる。 【解決手段】電力変換器の制御装置に、三相の電圧指令
の内、少なくとも一相が所定値を超えた場合に、全ての
相の電圧指令を同じ比率で制限する電圧リミッタを備え
る。 【効果】三相すべての電圧指令が同じ比率で制限される
ため、電圧指令をベクトルとして捕えた場合の位相のず
れが生じなくなる。このため、過渡時における軸ずれに
よるトルク不足が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インバータ等の電
力変換器を用いて、三相交流電動機を駆動する交流電動
機駆動システム、ならびに、交流電力を直流に変換する
順変換装置に関し、特に、電圧リミッタの改良による電
圧利用率の拡大と、過渡時の制御システムの安定化に関
する。
【0002】
【従来の技術】インバータを用いて交流電動機を駆動す
る場合、近年ではベクトル制御が広く用いられている。
ベクトル制御は、交流電動機に流れる電流の大きさと位
相を制御し、指令トルクに対する電動機の発生トルクを
線形化するものである。ベクトル制御は、交流電流を磁
束成分とトルク成分に分離し、各々の成分を制御するこ
とで実現できる。これらの電流制御の結果として、イン
バータの電圧は所定の位相で出力される。この技術によ
り、交流電動機は直流電動機と同等か、それ以上の性能
が得られるようになった。
【0003】コンバータ(順変換器)においても、交流
電動機と同様に、コンバータに入力される電流の大きさ
と位相の制御が行われている。これは、交流電動機のベ
クトル制御と同等の技術であり、直流電圧の制御と同時
に電源力率1が実現できる。インバータ(コンバータ)
の出力(入力)電圧には限界があり、通常は電圧が飽和
しない領域で使用している。電圧の限界値は、変換器の
直流電圧と、変換器を構成するスイッチング素子の特性
で決定される。スイッチング素子には、最小パルス幅
(オン幅,オフ幅)を確保する必要があるため、その分
を電圧マージンとして確保しなければならない。また、
スイッチング動作の遅れによる短絡を防止するため、ア
ーム短絡防止期間を設ける必要がある。アーム短絡防止
期間は、電流歪みの原因になるため、通常は補償電圧を
加えている。この補償電圧の分も、電圧マージンとして
確保しておく必要がある。これらの電圧マージンを確保
するため、制御そのものに使用される電圧の限界値は、
直流電圧よりも数%程度低くなる。
【0004】よって、上記の限界値を超えないように、
交流側、あるいは、回転座標軸上(dq座標軸上)にお
いて電圧リミッタが挿入されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】交流電動機制御におい
ては、加速時や負荷外乱発生時に、電圧指令が大きくな
る場合がある。このため、定常状態におけるインバータ
出力の電圧値は、リミッタにかからないように低めに設
定されている。定常時のインバータ容量を大きくするに
は、定常状態の電圧値を大きくすればよいが、過渡時に
おいて電圧リミッタにかかりやすくなる。
【0006】前述したように、現在広く用いられている
ベクトル制御では、電流の大きさと位相を所定の値に制
御する必要があり、電圧がリミッタにかかるとこれらの
関係が崩れ、過渡応答の劣化やトルク抜けが生じる場合
がある。特に位相のずれは、制御上の磁束軸と、電動機
の実際の磁束軸に差が生じることになり、ベクトル制御
の原理そのものが崩れることになる。
【0007】位相ずれは、電圧リミッタが各相ごと独立
に挿入されているために生じる。例えば、一相だけが制
限値を超え、他の相がそのまま出力された場合に、三相
のバランスが変化し、位相関係が崩れてしまう。dq座
標軸上でリミッタ処理を行う場合も同様である。
【0008】これらの対策例として、文献1(特開平9
−149699 号公報)がある。これは、dq座標軸上での
電圧指令をベクトル合成し、ベクトルの位相を変えずに
大きさのみを制限するように、各々の軸の電圧指令を補
正する方式である。しかし、電圧ベクトルの制限値を一
定にしているため、dq軸上でみたインバータの出力電
圧の範囲は、制限値を半径とした円になる。
【0009】通常の電力変換器の出力電圧範囲は、dq
軸上では六角形になる。文献1の方式では、前記六角形
を内接する円が、インバータの出力電圧範囲となってお
り、使用されない部分が残ってしまう。この六角形と円
の間の部分が利用されないため、実際に電圧指令が制限
値にかかった場合には、過渡応答が遅くなる場合が生じ
る。
【0010】順変換装置においては、上記の問題に加
え、次のような問題がある。電圧形のコンバータは、各
々のスイッチング素子にそれぞれダイオードが逆並列接
続されており、すべてのスイッチング素子をオフにする
ことで、ダイオード整流器として機能する。よって、負
荷の必要とする電圧に応じて、コンバータ動作とダイオ
ード整流器動作とを切り替えて使用することができ、順
変換システムとしての効率の改善が可能である。しか
し、ダイオード整流器として動作している時の直流電圧
値は、コンバータ動作時の直流電圧値(最低値)に比べ
て低く、これらのスムーズな切り替えは難しい。これ
は、前述した電圧の制限値が、直流電圧値よりも数%少
なくなるために生じる。よって、単純にコンバータ動作
とダイオード整流器動作の切り替えを行うと、切り替え
ショックに伴う過大電流が発生し、スイッチング素子を
破壊する場合がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による電力変換器
の制御装置においては、交流電圧指令を制限する場合
に、少なくとも一つの相が制限値を超えた時点で、他の
相すべての電圧指令を同時に制限する。制限する割合を
各相とも等しくすれば、電圧の位相は変化することな
く、振幅のみが抑制される。これにより、位相ずれが抑
制され、トルク抜けや過大電流が発生することを抑制で
きる。さらに、出力電圧範囲は変換器の最大限まで拡大
する。
【0012】また、最終的な交流電圧指令の制限値は、
電圧指令の位相により定式化されるため、これらの定式
化されたテーブル(あるいは演算式)を用いて、交流電
圧指令を制限(リミット処理)しても全く等しい効果が
得られる。
【0013】さらに、dq座標軸上における電圧指令値
を制限する場合には、これらの電圧指令を一旦交流電圧
指令に座標変換し、所定の制限値と比較し、少なくとも
1つの相が制限値を超えた場合に、dq座標軸上の2つ
の電圧指令を等しい比率で制限すればよい。
【0014】また、最終的なdq座標上の電圧指令の制
限値は、電圧指令の位相により定式化されるため、これ
らの定式化されたテーブル(あるいは演算式)を用い
て、dq座標軸上の電圧指令を制限すればよい。
【0015】
【発明の実施の形態】図1に、本発明の第1の実施例を
示す。
【0016】図1は、PWMインバータにより三相誘導
電動機を駆動する誘導電動機駆動装置である。
【0017】図1において、1は、誘導電動機に印加さ
れる電圧指令を演算する交流電圧指令演算器、2は、イ
ンバータの出力電圧最大値を向上させるための零相電圧
を演算し、三相すべてに加算する零相加算器、3は、三
相交流電圧指令の大きさを制限値(最大値、ならびに最
小値)に従って制限するAC電圧リミッタ、4は、3の
制限値を演算する電圧制限値演算器、5は、交流電圧指
令に基づいてPWM(パルス幅変調)信号を発生するP
WM制御器、6は、PWM信号により駆動されるインバ
ータ、7は、誘導電動機に流れる電流を検出する電流検
出器、8は、インバータにより駆動される誘導電動機、
9は誘導電動機の回転速度を検出する速度検出器、11
は、誘導電動機の回転速度ωmと、回転速度指令ωrに
基づいて、誘導電動機の電流指令Idr,Iqr、なら
びに一次角周波数ω1を演算する速度制御器、12は、
ω1を積分して、位相角φを演算する積分器、13は、
位相角φに基づいて、誘導電動機の電流検出値をdq座
標軸に変換するdq座標変換器、14は、dq座標軸上
の電流検出値Id,Iqと、前記のIdr,Iqrに基づ
いて、dq座標軸上の電圧指令Vd0,Vq0を演算す
る電流制御器である。
【0018】図1におけるAC電圧リミッタ、ならびに
電圧制限値演算器の構成を、図2に示す。部品番号31
は、交流電圧指令Vu1,Vv1,Vw1と電圧制限値
演算器から出力される係数Klim を掛け算する乗算器、
32は、2つの入力信号を切り替えるスイッチであり、
制御信号Swが「1」の時に1側へ、「0」の時に0側
へ切り替えられる。41は、Vu1,Vv1,Vw1の
それぞれの絶対値を演算する絶対値演算器、42は、3
つの入力信号の中から大きさが最大のものを選択して、
出力する最大値選択器、43は、インバータの一つの相
が出力できる最大値Vmaxをセットする最大電圧設定
器、44は、Vmaxを42の出力で割り算する除算器、
45は、2つの入力信号を比較し、「+」側の値が
「−」側の値よりも大きな場合に「1」、逆の場合には
「0」を出力する比較器である。
【0019】図1の動作を簡単に説明すると以下のよう
になる。交流電圧指令演算器1は、誘導電動機8をベク
トル制御するための制御器である。誘導電動機の回転速
度指令,回転速度、ならびに誘導電動機に流れる電流値
を読み込み、それらの値に基づいて誘導電動機が必要と
する交流電圧指令(Vu0,Vv0,Vw0)を演算し
出力する。これらの交流電圧指令に基づいてインバータ
が制御され、指令な準じた電圧を誘導電動機に印加し、
ベクトル制御が実現される。ベクトル制御を精度よく実
現するためには、交流電圧指令演算器1での演算も重要
であるが、交流電圧指令から実際の印加電圧までの誤差
をできるだけ少なくすることもまた重要である。
【0020】交流電圧指令演算器1で演算される交流電
圧指令の振幅値は、定常状態では速度にほぼ比例して大
きくなるが、誘導電動機の速度指令が急変した場合、あ
るいは、誘導電動機の負荷が急変した場合等の過渡時に
おいては、振幅値が急激に増加あるいは減少する。この
時、インバータの出力できる電圧範囲を超えてしまう場
合があり、問題である。
【0021】2の零相加算器は、インバータの出力電圧
を向上させるための電圧指令補正器であり、上記の問題
を少なくする技術の一つである。近年では一般的に使用
されているものである(詳細は後述する)。3,4が、
本発明の特徴部分である電圧リミッタである。電圧が急
変し、インバータの許容値を超えた場合においても、で
きるだけベクトル制御を成立させるように、電圧値のリ
ミット処理を行う。
【0022】次に図1の動作について、詳細を説明す
る。
【0023】図1において、電流検出器7によって検出
された交流電流Iu,Iv,Iwは、dq変換器におい
て、下記の数1,数2に従って、dq座標軸上の電流I
d,Iqに変換される。
【0024】
【数1】
【0025】
【数2】
【0026】一方、速度検出器によって検出された速度
検出値ωmは、速度制御器11において速度指令値ωr
と比較され、その値に基づいて電動機に必要なトルク電
流指令が演算される。また、電動機の磁束電流指令も、
速度に応じて変化させる場合もある。通常は、トルク電
流指令をIqr、励磁電流指令をIdrとして、電流制
御器へ出力する。同時に、Iqr,Idrに基づいて、
電動機の一次角周波数ω1を演算する。
【0027】
【数3】
【0028】上式において、r2ならびにL2は、電動
機の定数である。
【0029】電流制御器では、Idr,Iqrと、検出
値Id,Iqに基づいて、dq座標軸上の電圧指令Vd
0,Vq0が演算される。Vd0,Vq0の演算には、
通常は、PI制御(比例積分補償)が使用される。最近
では、電流応答の改善のため、非干渉補償を付加する場
合が多いが、本実施例では何れの制御方法であっても適
用できる。Vd0,Vq0は、dq逆変換器15におい
て、数4,数5に従って、三相交流電圧指令Vu0,V
v0,Vw0に変換される。
【0030】
【数4】
【0031】
【数5】
【0032】上式におけるVu0,Vv0,Vw0は、
定常状態では歪みのない正弦波になる。この交流電圧指
令値でも誘導電動機を駆動することができるが、近年で
は、零相加算器2を付加して、全ての相に共通の信号
(零相電圧)を加算し、インバータの出力電圧最大値を
向上させることがほぼ常識的になっている(参考文献
2:電気学会論文集D,109巻11号,P.809−
816,平成元年)。零相加算の詳細については後述す
る。
【0033】零相を加算された電圧指令Vu1,Vv
1,Vw1は、AC電圧リミッタにおいて最大値、なら
びに最小値が制限され、最終的にはVu2,Vv2,V
w2として出力される。各相の制限値は、電圧制限値演
算器4により演算される。
【0034】PWM制御器5では、Vu2,Vv2,V
w2の値に従い、三角波比較方式等によりPWM信号を
発生し、インバータのスイッチング素子をドライブす
る。インバータは、Vu2〜Vw2に相当する電圧を出
力し、誘導電動機を駆動する。次に電圧制限値演算器4
の動作を、図2を用いて説明する。
【0035】図2の最大電圧設定器43において、イン
バータの出力可能な最大値Vmax が設定される。Vmax
は、
【0036】
【数6】
【0037】の関係にある。上式において、Vdcはイ
ンバータの直流電圧、Mmax は、インバータの最大変調
率である(Mmaxは、0≦Mmax≦1)。Mmax は、イン
バータに使用されるスイッチングデバイスにより、0.
9〜1.0程度に設定される。
【0038】交流電圧指令と、Vmax の関係を図3に示
す。インバータの直流電圧Vdcの1/2の値が、理想
的には最大電圧になるが、スイッチング素子の最小オフ
時間を確保するため、ならびに、アーム短絡防止期間
(デッドタイム)の影響による電圧降下分を補償するた
め、VmaxはVdc/2よりも数%低めに設定される。
絶対値演算器41では、Vu1,Vv1,Vw1のそれ
ぞれの絶対値を演算し、その中から大きさが最大のもの
を選択して(これをVuvwmaxとする)、次式に示す係数
Klim を演算する。
【0039】
【数7】
【0040】Klimは、Vu1〜Vw1の少なくとも1
相が、Vmaxを超えた場合に1より小さな値になる。よ
って、Klimの値と1とを比較器45で比較し、Klim<
1の場合にSw信号を1にする(Klim>1の時は、S
w=0)。
【0041】AC電圧リミッタでは、Sw信号が「1」
となった場合に、スイッチ32を「1」側に切り替え
て、電圧指令を入力に対して一定比率に制御(制限)す
る。その場合、三相全ての電圧指令がKlim倍に制限さ
れることになる。Klimは、三相の中で最も大きな値の
相と、Vmax の比であるため、すべての相の電圧指令を
Klim倍することで、三相すべてが±Vmaxの範囲内に必
ず制限されることになる。また、三相とも共通の比率で
制限されるため、電圧指令の位相ずれは生じない。
【0042】次に、本発明の動作原理を従来方式と比較
して説明する。図4(a)の3Aが、一般的に使用され
ている従来方式の電圧リミッタの構成図である。図中の
32,43,45は、図2の同一番号のものと同じもの
である。Vu1が、Vmaxの値を超えた場合には、出力
がVmaxに制限され、−Vmax より下がった場合には−
Vmax に制限される。この電圧リミッタの入力電圧Vu
1と出力電圧Vu2の関係は、図4(b)のようになる。
仮に、図4(c)のように、三相の中で一相の交流電圧指
令が制限値を超えた場合を考えてみる。図において、V
u1がVmax を超えた期間は、Vu2は図のようにVma
x に制限される。しかし、この間Vv1とVw1は制限
されることはなく、そのまま電圧リミッタを素通りして
しまう。この関係をαβ軸上で見てみると、図5の様に
なる。αβ変換は、
【0043】
【数8】
【0044】によって定義される。図4(c)のVu1
がリミッタにかかっている期間は、Vv1,Vw1が変
化しないため、数8よりVβは変化しない。よって、図
5(a)のように、ベクトルとして電圧指令をみた場
合、位相ずれが生じることになる(図のΔθ)。
【0045】一方、本発明による電圧リミッタ方式で
は、三相すべての電圧指令を等しい比率で制限するた
め、Vα,Vβとも同時に等しい比率で制限される。結
果として、図5(b)のように、位相ずれは生じない。
よって、位相ずれによる電動機トルクの過不足がなくな
り、高応答で安定な電動機制御が実現できる。
【0046】次に、零相加算の原理と、零相加算を行っ
た場合の本実施例の動作について説明する。
【0047】図1における零相加算器2の構成を図6に
示す。21は、三相交流電圧指令Vu0,Vv0,Vw
0の値に基づいて、零相電圧V0を演算して出力する零
相発生器である。V0は三相共通の値であるため、どの
ような波形であっても線間電圧への影響は原理的に生じ
ない。何通りものV0が考えられるが、その代表例につ
いて説明する。
【0048】図7(a)が、零相加算を行う前の交流電
圧指令である。この波形を式で表わすと次のようにな
る。
【0049】
【数9】
【0050】次に、三相の電圧指令の中で、大きさが中
間である相の1/2を零相電圧とした場合の波形を図7
(b)に示す。図7(a)において、θ1の区間では、
W相が中間の大きさである。この時の零相電圧V01
は、
【0051】
【数10】
【0052】となる。次の90°から120°の区間で
はV相が中間相となる。このように、60°毎に零相電
圧の関数が変化して行く。V01を加算すると、それぞ
れの電圧指令は図7(b)のようになり、正弦波のピー
ク付近が下がった波形になる。この零相加算により、イ
ンバータの出力電圧最大値は、約1.15倍(2/√3
倍)に増加する(参考文献2:電気学会論文集D,10
9巻11号,P.809−816,平成元年)。尚、こ
の「1.15倍 」という値は、電圧指令のピーク値がV
max に一致する時点での比率(波形が歪まない条件での
出力電圧最大値の比率)である。
【0053】図7(c)は、三相の電圧指令の中で、絶
対値の最も大きなものと、Vdc/2、あるいは−Vd
c/2との差を取り、その値を零相電圧として各相に加
算したものである。図7のθ2の期間においては、
【0054】
【数11】
【0055】が零相電圧になる。図7(c)からわかる
ように、この零相加算を行うと、交流電圧指令の最大
値,最小値が±Vmax を超えて±Vdc/2の値に継続
的に張り付いている期間が生じる。電圧指令が±Vdc
/2となる期間は、その相のスイッチング動作を行わな
いことを意味している。よって、数11の零相加算を行
うと、スイッチング回数が1/3減少する。また、この
方式においても、図7(a)の正弦波に比べて、インバー
タの出力電圧は約1.15倍(2/√3倍)に増加する
(参考文献2:電気学会論文集D,109巻11号,
P.809−816,平成元年)。図7(c)のよう
に、三相の内2つの相のみがスイッチングする方式を
「二相スイッチング」と呼ぶ。零相加算の方式として
は、大きく別けて図7(b)のような三相スイッチング
になるものと、同図(c)のような二相スイッチングに
なるものに分類できる。
【0056】図1に示した電圧リミッタ方式は、図7
(b)に示す零相加算方式(三相スイッチング方式)に
はそのまま適用できる。三相の電圧指令の中で、2つの
相が同時にVmaxと−Vmaxを超えることになるが、問題
はない。
【0057】図7(c)のような二相スイッチング方式
の場合は工夫が必要である。
【0058】図8に、二相スイッチング方式を考慮した
場合の実施例を示す。図1と比べると、零相加算器2と
AC電圧リミッタ3の処理が入れ替わっている。電圧制
限値演算器4Bでは、Vmax がK0倍されている。
【0059】Vu0〜Vw0は、純粋な正弦波である。
よって、零相加算の前に予めリミッタ処理を施してしま
うと、零相加算による出力電圧の向上効果が得られなく
なる。そこで、零相加算を考慮し、Vmaxの値を大きく
(K0倍)設定しておく。K0を、
【0060】
【数12】
【0061】とすれば、零相加算の効果を活かし、位相
ずれをなくすリミッタが実現できる。また、この図8の
方式は、図7(b)の零相加算に対しても、そのまま適
用できる。
【0062】次に、線間電圧を使って、交流電圧指令を
制限する方法を示す。これまでの実施例では、各相電圧
の絶対値を演算し、その中から最大のものを選択し、係
数Klim を演算していたが、線間電圧を使用しても同じ
効果が得られる。図9に、その電圧制限値演算器4Cの
構成を示す。図の42〜46は、図2における同一の番
号のものと同じものである。47は、3つの入力から一
番小さな電圧を選択し、出力する最小値選択器である。
この出力と、最大値選択器42の出力の差を取ること
で、線間電圧の最大値VLmax が得られる。線間電圧
が、インバータの直流電圧と一致する条件が、インバー
タ出力電圧の最大値であるから、VLmaxを1/2し、
Vmaxとの比を計算することでKlimが求められる。
【0063】尚、係数K0は、零相加算を行う場合はK
0=1とし、行わない場合はK0=√3/2に設定す
る。これにより、図1,図8と同様に、位相を変えずに
電圧指令を制限することができるようになる。
【0064】次に、交流電圧指令の位相情報のみを使用
して、交流電圧指令を制限する実施例を説明する。図1
0にその構成図を示す。
【0065】図10において、10は、Vd0,Vq0
とdq座標軸の位相φから、交流電圧指令の位相θを演
算する電圧位相演算器、4Dは、θの値のみに依存して
決定される各相の出力最大値、ならびに最小値を演算す
る電圧制限値演算器、3Dは、各相の最大値ならびに最
小値に基づいて、電圧指令を制限するAC電圧リミッタ
である。他の符号は、図1の発明における同一符号のも
のと同じものである。次に、図11を用いて、図10の
実施例の動作原理について説明する。図11において、
電圧位相演算器10では、Vd0,Vq0の値を用い
て、
【0066】
【数13】
【0067】が演算され、さらに、
【0068】
【数14】 θ=φ+δdq …(数14) として、電圧位相θを計算する。電圧制限値演算器4D
では、θで定まる各相の上限値(Vumax〜Vwmax)と
下限値(Vumin〜Vwmin)を出力する。AC電圧リミ
ッタでは、これらの制限値と電圧指令を各相毎に比較
し、指令値が上限値を超えた場合には上限値に、下限値
を下回った場合は下限値に切り替えて出力する。本実施
例においては、図2の実施例のように、すべての相をK
lim 倍に制限するような処理は行わず、図4(a)の従
来例におけるVmax(−Vmax)の値を、位相θの値に応
じて変化させることに相当する。
【0069】次に、これらの制限値とθの関係について
説明する。
【0070】図12(a)は、図1、あるいは図8の実
施例において、一部の区間で交流電圧指令が過大になっ
た場合のリミッタ処理後の波形である。この時、零相加
算は数10のもの(図7(b))を使用している。交流
電圧指令の振幅をさらに大きくしていくと、最終的に
は、図12(b)のようになる。これ以上、振幅を増や
しても、リミット後の波形は図12(b)のままであ
る。
【0071】三相交流の場合、位相θが定まると、三相
電圧の瞬時値の比率は一義的に定まる。よって、AC電
圧リミッタにより電圧指令値を制限したとしても、すべ
ての相を等しい比率で制限する限り、リミット後の最終
的な波形も一義的に定まることになる。この関係を定式
化すれば、位相から制限値が求められることになる。図
12の波形のθ1の区間においては、U相の上限値はV
max 、V相の下限値は−Vmax となり、中間相のW相の
みが複雑な関数になる。
【0072】W相の制限値は以下のようになる。
【0073】θ1の区間(30°≦θ≦90°)において
は、零相加算により、指令値Vw1は、
【0074】
【数15】
【0075】となる。また、U相は、
【0076】
【数16】
【0077】である。この期間では、U相とW相が同時
にVmaxと−Vmaxに到達する。一方を代表して、U相で
係数Klimを計算すると、
【0078】
【数17】
【0079】となる。これに数15を掛けたものが、W
相の制限値である。上限値Vwmax は、
【0080】
【数18】
【0081】下限値Vwmin は、
【0082】
【数19】
【0083】となる。よって、Vp(振幅)には全く依
存せず、θのみの関数であることがわかる。
【0084】ここで、数18(数19)を一般化し、
【0085】
【数20】
【0086】として、各位相区間における各相の制限値
を計算すると、図13のようになる。図13からわかる
ように、電圧位相が定まると、各相ともVmaxかVminの
何れか一方のみが規定されるが、残りの制限値は規定さ
れない(定義不要)。
【0087】この図13の関係を、電圧制限値演算器4
Dにテーブルとして保存し、与えられたθに対して各制
限値を出力すればよい。
【0088】尚、本実施例の場合、すべての相が必ず同
時にリミットされることになるので、図11における比
較器45は、一つの相だけに備え、出力を各相共通とす
ることができる。
【0089】以上、本発明の実施例として、交流電圧指
令に対してリミット処理を行う手法を説明した。前述し
たように、図1、ならびに図8の実施例を用いて、電圧
指令の振幅を増加させていくと、最終的には図12
(b)の波形となる。よって、図1、ならび図8の実施
例は、図10のものと効果は等しい。
【0090】図12(b)の波形の状態で誘導電動機を
駆動すると、波形の歪みは大きくなるが、インバータの
出力電圧最大値は平均的に大きくなる。また、この時の
位相ずれは生じていない。よって、過渡時等、一時的に
大きな電圧が必要な場合に、本発明は極めて有効であ
る。
【0091】従来方式(図4)において電圧指令の振幅
を増加させていくと、振幅の増加に伴って、中間相(図
12のθ1の区間ではW相に相当)の値が変化し続け、
最終的には中間相の値もVmaxか−Vmaxに張り付く形に
なる。この場合にも、インバータの出力電圧最大値は大
きくはなるものの、位相ずれは最大で±30°に達す
る。よって、軸ずれが発生し、過渡応答が劣化する。
【0092】次に本発明の他の実施例について、図14
を用いて説明する。
【0093】図14において、1Eは、誘導電動機に印
加される電圧指令を演算する電圧指令演算器、3Eは、
電圧指令Vd0,Vq0の大きさを制限するDC電圧リ
ミッタ、4Eは、電圧位相θに基づいて、Vd0,Vq
0の制限値を演算する電圧制限値演算器、15Eは、d
q座標軸上の電圧指令をαβ軸上の電圧指令に変換する
dq−αβ座標変換器、5Eは、αβ軸上の電圧指令に
基づいて、PWM信号を発生させるPWM制御器であ
る。他の符号は、図1、ならびに図10の実施例の同一
符号のものと同じものである。
【0094】本実施例では、電圧指令を三相交流に座標
変換していない点に特徴がある。その代り、電圧指令の
リミッタ処理を、dq軸上の電圧指令に対して行う。こ
の際、電圧位相θにより、電圧制限値を変化させてい
る。また、PWM制御器5Eにおいては、αβ軸の電圧
指令に基づいて、直接PWM信号を作成している。この
ようなPWM制御は、空間ベクトル方式と呼ばれてお
り、インバータの出力電圧を二軸の空間に表現して、パ
ルスの出力時間を計算するものである。詳細は後述す
る。
【0095】図15に、DC電圧リミッタ3E、ならび
に電圧制限値演算器4Eの構成を示す。図の43Eは、
dq軸上の電圧制限値の設定器、48は、ルート演算
器、49は、θに対して所定の関数を発生させる関数発
生器である。他の部品は、これまでの実施形態における
同一の符号のものと同じものである。
【0096】次に、本発明の動作原理を説明する。電圧
制限値設定器43Eの値Vdqlimitは、
【0097】
【数21】
【0098】のように設定する。この値は、線間電圧の
最大値をVdc・Mmax として(つまり数9において、
Vp=Vdc・Mmax/√3 として)電圧をdq変換し
た時の、dq座標上におけるベクトルの大きさに相当す
る。すなわち、正弦波を出力するための最大値に一致す
る。
【0099】VdqlimitとKvを掛け算し、電圧制限値
Vlimitを得ている。Kvは、電圧位相θの関数になっ
ており、その関数を図16に示す。Kvの値は60°周
期で変化する。
【0100】一方、Vd0とVq0は、それぞれ二乗さ
れた後に加算され、ルート演算器48によりベクトルの
大きさ(|V|)が出力される。電圧を制限する係数K
limは、|V|とVlimitの比から求められる。
【0101】DC電圧リミッタ3Eの処理は、AC電圧
リミッタと同様に、dqそれぞれの電圧指令を、Klim
が1より小となった場合にKlim倍して制限する。
【0102】次に本実施例の動作原理を説明するが、ま
ず初めに二軸上でのインバータの出力電圧表現について
説明する。
【0103】図17は、三相フルブリッジ形の電圧形イ
ンバータの構成図である。図において、U〜W相の各相
のスイッチング素子は、上側か下側の必ずどちらか一方
のみがオンしている。仮に、U相は上側(Sup)がオ
ン、V相,W相は下側(SvnとSwn)がオンしてい
るものとすると、各相電圧Vui〜Vwiは、
【0104】
【数22】
【0105】となる。これを数8に従い、αβ軸上の電
圧にすると、
【0106】
【数23】
【0107】となる。数23をベクトルV1として、α
β空間に図示すると、図18のようになる。同様に、
【0108】
【数24】
【0109】とすると、
【0110】
【数25】
【0111】となる。このようにして空間ベクトルを計
算すると、インバータの出力できる電圧は、図18に示
す8つのベクトル(内、零ベクトルが二つ)になる。
【0112】PWM信号を作成するには、電圧指令も空
間ベクトルで表現する。図18に示すように、電圧指令
のベクトルVrが、V0(零ベクトル)、V1,V2で
囲まれる三角形の空間内部にあるものとする。この場
合、微小時間T内において、ベクトルV0,V1,V2
をそれぞれt0,t1,t2時間だけ出力し、近似的に
Vrを出力する。電圧指令と、各ベクトルの出力時間の
関係は、
【0113】
【数26】 Vr=t1・V1+t2・V2+t0・V0 …(数26)
【0114】
【数27】 T=t1+t2+t0 …(数27)
の二つであり、この2式より、t0〜t2が求められ
る。つまり、空間ベクトルでPWM制御を行う場合は、
電圧指令を空間ベクトルで表現し、それを近似するため
のインバータのベクトルを選択し、それぞれの出力時間
を演算して、最終的にPWMパルスへ変換する。
【0115】次に、空間ベクトルでインバータを制御す
る場合の出力電圧範囲を考察してみる。電圧指令が正弦
波である場合、Vrは、円を描いて一定速度(角周波数
速度)で回転する。よって、インバータの出力電圧を正
弦波に限定するのであれば、インバータの出力電圧範囲
は図18に示す円の内側になる。この円内に電圧ベクト
ルを制限すると、従来技術(特開平9−149699 号)の方
式になる。本実施例においても、図15における関数発
生器49の出力Kvを、常に「1」とすると参考文献1
と同等になる。
【0116】本実施例においては、インバータの出力電
圧を最大に利用し、高応答化を実現するため、Kvをθ
に応じて1以上に可変させている。出力電圧を正弦波に
限定しなければ、インバータの出力電圧範囲は、図18
に示す六角形の内側になる。すなわち、正弦波に限定し
た場合の出力範囲よりも、広い範囲の電圧が出力可能で
ある。この六角形の領域すべてを利用するため、Kvの
値をθに応じて可変としている。
【0117】次に、θとKvの関係を図19を用いて説
明する。図において、出力し得る最大のベクトルの大き
さをxとする。図19の関係より、
【0118】
【数28】 y=xcos(30°−θ) …(数28) となる。よって、
【0119】
【数29】
【0120】となる。ここで、yは正弦波出力範囲の最
大値に一致するので、y=Vdqlimitである。よって、
【0121】
【数30】
【0122】となる。ただし、上式は、0≦θ≦60°
の範囲で成立する。他のθの区間でも同様にKvの値を
求めることができる。結果として、図16に示す関数と
なる。以上、図14の実施例により、dq座標軸上にお
いて、インバータ出力電圧を最大限に利用し、かつ、ベ
クトル位相を変化させずに指令値を制限することができ
るようになる。
【0123】次にdq座標軸上の電圧指令を制限する他
の実施例について説明する。
【0124】図20における電圧制限値演算器4Fが、
本実施例の特徴である。この電圧制限値演算器4Fを、
図14における電圧制限値演算器4Eの代りに適用し、
さらに図14の電圧位相演算器を排除して使用する。他
は図14と同じである。
【0125】次に、本実施例の動作原理について説明す
る。図20において、電圧制限値演算器4Fでは、電圧
指令Vd0,Vq0を入力し、dq座標軸位相φで一旦
三相交流電圧に座標変換する。その後、図9の実施例と
同様に、線間電圧の最大値を計算し、その値の1/2と
Vmaxの値から係数Klimを演算する。前述したように、
線間電圧とインバータの直流電圧が一致した場合が、イ
ンバータの最大出力範囲になるため(図18の六角形に
相当)、この演算により、出力電圧範囲は最大限まで活
用され、かつ、電圧位相は変化しないことになる。本発
明は、図14の発明と等価になるが、ルート演算が不要
であるため、演算時間が短くて済むようになる。
【0126】次に本発明による順変換装置の実施例につ
いて、図21を用いて説明する。
【0127】図21において、1Gは、コンバータ6G
(順変換装置)の入力電圧指令を演算する電圧指令演算
器、8Gは、三相交流電源、9Gは、三相交流電源の電
源位相を検出する位相検出器、50は、コンバータ6G
の出力電圧を平滑する平滑コンデンサ、51は、コンバ
ータ6Gの出力電圧Vdcの電圧を検出する電圧検出
器、52は、コンバータに接続された負荷装置、17
は、コンバータ出力電圧指令Vdcrと、検出値Vdc
の値から、コンバータの入力電流指令を演算する電圧制
御器である。その他の部品は、これまでの実施例におけ
る部品と同一のものである。
【0128】コンバータの制御においては、交流電源の
位相φを検出し、電源電圧と同位相の電流成分をIq、
90°位相のずれた成分をIdとして、入力電流の制御
を行う。この時、Id=0となるように制御すること
で、常に電源力率1が達成できる。また、直流電圧Vd
cの制御は、Iqを用いて行うようにする。Iqrに
は、負荷装置52が必要とする電流をフィードフォワー
ドして加える場合もある。本実施例においても、電圧制
限値演算器4、並びにAC電圧リミッタ3を付加するこ
とで、コンバータの入力電圧を最大限に利用することが
できるようになる。これまで説明したインバータの制御
に関する各実施例が、そのまま適用できる。
【0129】現在広く用いられているコンバータの構成
を、図22に示す。仮に、PWM制御器の出力であるP
WMパルスをすべてオフして、コンバータを構成するす
べてのスイッチング素子のゲート信号をオフしたとす
る。すると、入力電流は、各スイッチング素子に逆並列
に接続されたフリーホイールダイオードを介して流れる
ことになり、ダイオード整流器として動作する。
【0130】ダイオード整流器は、コンバータのように
スイッチング動作が伴わないために、効率が非常によ
い。負荷装置の消費電力が大きくなると、入力電流波形
のひずみが大きくなり、力率も悪くなるが、軽負荷状態
であれば問題はない。
【0131】よって、負荷装置の消費電力に応じて、ダ
イオード整流器と、コンバータ動作とを切り替えれば、
総合的に効率の良い順変換システムが実現できる。
【0132】しかし、実際にダイオード整流器動作から
コンバータ動作へ切り替えると、従来のコンバータで
は、図23(a)に示すような突入電流が発生する。こ
れは、ダイオード整流器の出力電圧が、コンバータの出
力電圧の最低値よりも低く、図のようにΔVの差がある
ことに問題がある。図22の構成のコンバータは昇圧形
の変換器であるため、コンバータ入力電圧と、出力直流
電圧との関係は反比例になる。つまり、直流電圧を最小
にするには、コンバータ入力電圧を最大にする必要があ
る。しかし、従来のコンバータでは、入力電圧範囲が図
18の円内であったため、電圧マージンを考慮すると、
最大電圧を得ることは困難であった。
【0133】しかし、本発明による順変換装置において
は、コンバータの入力電圧範囲を図18の六角形にまで
拡大することができるので、入力電圧の平均値を増加す
ることができ、図23(b)のように、Vdcをスムー
ズに立ち上げることが可能になる。よって、切り替わり
に伴う突入電流も少なくなる。
【0134】尚、上記の実施例におけるインバータ、お
よびコンバータは、三相フルブリッジのものを使用した
が、3レベル変換器や、その他の多重変換器についても
同様に適用できる。
【0135】また、電動機駆動システムとして誘導電動
機の例を説明したが、同期電動機等、他のすべての交流
電動機に対しても適用可能である。
【0136】
【発明の効果】本発明によれば、インバータの出力電圧
を最大限にまで活用し、かつ、電圧位相の誤差を零に制
御することができるようになる。
【0137】本発明をコンバータ(順変換装置)に適用
した場合、コンバータの出力電圧範囲が拡大し、順変換
システムとして、装置の高効率化が実現できるようにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である交流電動機駆動装置の
構成図。
【図2】AC電圧リミッタと電圧制限値演算器の構成
図。
【図3】交流電圧指令と電圧制限値との関係を示す図。
【図4】従来の電圧リミッタの構成図。
【図5】従来方式と本発明による方式の効果を示す図。
【図6】零相加算器の構成図。
【図7】零相加算の原理を示す図。
【図8】本発明の一実施例である交流電動機駆動装置の
構成図。
【図9】電圧制限値演算器の構成図。
【図10】本発明の一実施例である交流電動機駆動装置
の構成図。
【図11】電圧位相演算器,電圧制限値演算器とAC電
圧リミッタの構成図。
【図12】図10の実施例の動作原理を説明する図。
【図13】位相θに対する電圧制限値を示す図。
【図14】本発明の一実施例である交流電動機駆動装置
の構成図。
【図15】電圧制限値演算器とDC電圧リミッタの構成
図。
【図16】図14の実施例において使用される関数を表
わす図。
【図17】三相フルブリッジ電圧形インバータの主回路
構成図。
【図18】インバータの出力電圧、ならびに電圧指令の
空間ベクトル表示を示す図。
【図19】図14の実施例の原理を示す図。
【図20】DC電圧リミッタと電圧制限値演算器の構成
図。
【図21】本発明の一実施例である順変換装置の構成
図。
【図22】三相フルブリッジ電圧形コンバータの主回路
構成図。
【図23】従来方式と本発明によるコンバータの動作を
示す図。
【符号の説明】
1…交流電圧指令演算器、2…零相加算器、3…AC電
圧リミッタ、4…電圧制限値演算器、5…PWM制御
器、6…インバータ、7…電流検出器、8…誘導電動
機、9…速度検出器、11…速度制御器、12…積分
器、13…dq座標変換器、14…電流制御器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲高▼橋 潤一 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 秋田 佳稔 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 5H576 BB02 BB10 CC01 CC05 DD02 DD04 DD05 EE01 EE11 EE16 GG02 GG04 HB02 JJ05 JJ22 JJ24 JJ28 LL01 LL22 LL24 LL30 LL39

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電力変換器と、該電力変換器の交流側の電
    圧指令を発生させる交流電圧指令発生器と、前記交流電
    圧指令値を制限する交流電圧リミッタと、該交流電圧リ
    ミッタの出力に基づいて、PWMパルスを発生し、前記
    電力変換器を制御するPWM制御器と、を備え、 前記交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、あるいは
    線間電圧が、予め設定した所定値を超えた場合に、すべ
    ての相の交流電圧指令を同一比率で制限して、前記交流
    電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴とする電
    力変換器の制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記交流電圧指令の電圧位相を計算、あるいは検出する
    手段を備え、前記交流電圧指令の少なくとも一つの相電
    圧、あるいは線間電圧が、予め設定した所定値を超えた
    場合に、前記電圧位相により定義される関数に基づい
    て、前記交流電圧リミッタの出力値を変化させることを
    特徴とする電力変換器の制御装置。
  3. 【請求項3】電力変換器と、三相交流に同期して回転す
    る回転座標軸(dq座標)上において、前記電力変換器
    の交流側の電圧指令を発生するdq電圧指令発生器と、
    前記dq座標軸上の電圧指令の値を制限するdq電圧リ
    ミッタと、該dq電圧リミッタの出力に基づいて、PW
    Mパルスを発生し、前記電力変換器を制御するPWM制
    御器と、を備え、 前記電圧指令を交流電圧指令に座標変換し(dq逆変換
    し)、該交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、ある
    いは線間電圧が、予め設定した所定値を超えた場合に、
    dq軸上の2つの電圧指令の値を同一比率で制限して、
    前記dq電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴
    とする電力変換器の制御装置。
  4. 【請求項4】請求項3において、 前記dq座標軸上の電圧指令、ならびに前記dq座標軸
    の位相に基づいて交流側の電圧位相を計算、あるいは検
    出する手段を備え、前記dq軸上電圧指令のベクトル和
    を演算し、その大きさが、予め設定した所定値を超えた
    場合に、前記電圧位相により定義される関数に基づい
    て、前記dq電圧リミッタの出力値を変化させることを
    特徴とする電力変換器の制御装置。
  5. 【請求項5】請求項4において、 前記電圧リミッタにおける関数が、電圧位相θ=0〜6
    0°の区間に対して、下記式で定義される関数であり、
    他の区間は下記式を60°毎に繰り返す関数であること
    を特徴とする電力変換器の制御装置。 【数31】
  6. 【請求項6】直流を三相交流に変換する電力変換器と、
    該電力変換器によって駆動される交流電動機と、前記交
    流電動機の回転速度を検出、あるいは推定する手段と、
    速度指令と、前記速度の検出値あるいは推定値に基づい
    て、前記交流電動機の三相交流電圧指令を発生する交流
    電圧指令発生器と、前記交流電圧指令の値を制限する交
    流電圧リミッタと、該交流電圧リミッタにより制限され
    た電圧指令に基づいてPWMパルスを発生し、前記電力
    変換器を制御するPWM制御器と、を備え、 前記交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、あるいは
    線間電圧が予め設定した所定値を超えた場合に、すべて
    の相の交流電圧指令を同一比率で制限して、前記交流電
    圧リミッタの出力値を変化させることを特徴とする交流
    電動機システム。
  7. 【請求項7】直流を三相交流に変換する電力変換器と、
    該電力変換器によって駆動される交流電動機と、前記交
    流電動機の回転速度を検出、あるいは推定する手段と、
    回転座標軸(dq座標軸)上において、前記速度指令
    と、前記速度の検出値あるいは推定値に基づいて、前記
    交流電動機の交流側の電圧指令を発生するdq電圧指令
    発生器と、前記電圧指令の値を制限するdq電圧リミッ
    タと、該dq電圧リミッタにより制限された電圧指令に
    基づいてPWMパルスを発生し、前記電力変換器を制御
    するPWM制御器と、を備え、 前記電圧指令を交流電圧指令に座標変換し(dq逆変換
    し)、該交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、ある
    いは線間電圧が、予め設定した所定値を超えた場合に、
    dq軸上の2つの電圧指令の値を同一比率で制限して、
    前記電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴とす
    る交流電動機システム。
  8. 【請求項8】三相交流を直流に変換する電力変換器と、
    前記電力変換器の直流電圧を検出する電圧検出器と、直
    流電圧指令と、前記直流電圧に基づいて、三相交流電圧
    指令を演算する電圧指令演算器と、前記交流電圧指令の
    値を制限する交流電圧リミッタと、該交流電圧リミッタ
    により制限された電圧指令に基づいてPWMパルスを発
    生し、前記電力変換器を制御するPWM制御器と、を備
    え、 前記交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、あるいは
    線間電圧が、予め設定した所定値を超えた場合に、すべ
    ての相の交流電圧指令を同一比率で制限して、前記交流
    電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴とする順
    変換装置。
  9. 【請求項9】三相交流を直流に変換する電力変換器と、
    前記電力変換器の直流電圧を検出する電圧検出器と、回
    転座標軸(dq座標軸)上において、直流電圧指令と、
    前記直流電圧に基づいて、前記電力変換器の交流側の電
    圧指令を発生する電圧指令発生器と、前記電圧指令の値
    を制限するdq電圧リミッタと、該dq電圧リミッタに
    より制限された電圧指令に基づいてPWMパルスを発生
    し、前記電力変換器を制御するPWM制御器と、を備
    え、 前記電圧指令を交流電圧指令に座標変換し(dq逆変換
    し)、該交流電圧指令の少なくとも一つの相電圧、ある
    いは線間電圧が、予め設定した所定値を超えた場合に、
    dq軸上の2つの電圧指令の値を同一比率で制限して、
    前記dq電圧リミッタの出力値を変化させることを特徴
    とする順変換装置。
  10. 【請求項10】請求項8あるいは9において、負荷装置
    の消費電力が所定値以下の場合、あるいは該負荷装置の
    必要とする入力電圧が所定値以下である場合に、前記P
    WM制御器の出力であるPWMパルスをオフし、前記電
    力変換器をダイオード整流器として駆動することを特徴
    とする順変換装置。
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