JP3633390B2 - クリーニングブレード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機等の感光ドラム外周面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機としては、感光ドラム外周面を一様に帯電させ、ついで被複写体の複写像を介してその外周面を露光することにより、上記外周面上に静電潜像を形成し、この静電潜像に、帯電されたトナーを付着させてトナー像を形成し複写紙等に転写することにより複写を行う形式のものが一般的である。
【0003】
このような電子写真複写機では、トナー像の転写後に、感光ドラム外周面上にトナーが残留するため、上記感光ドラム外周面に、例えば図4に示すような板状保持具22に支持されたクリーニングブレード21を摺接し、残留トナーをこれで掻き落として除去することが行われている。
【0004】
上記クリーニングブレード21に用いられる弾性体としては、耐摩耗性等の力学的特性に優れるポリウレタン樹脂が賞用されている。しかしながら、このようなポリウレタン樹脂からなるクリーニングブレード21は、長期間使用していると、感光ドラムに摺接するクリーニングブレード21の先端部(感光ドラムと接触する部分)が摩耗してしまい、残留トナーの除去を良好に行えないという問題がある。
【0005】
そこで、上記クリーニングブレード21の耐摩耗性を向上させるために、ポリウレタン樹脂表面を低摩擦化させる方法として様々な試みがなされている。例えば、ポリウレタン樹脂表面をコーティングする方法(特開平4−260084号公報、特開平4−212190号公報等)や、ポリウレタン樹脂内部に潤滑剤を分散させる方法(特開平7−306616号公報、特開平5−158389号公報、特開平5−173464号公報等)等があげられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ポリウレタン樹脂表面をコーティングする方法は、初期の低摩擦化に効果はあるが、長期にわたって優れたエッジ精度が得られないため、クリーニング不良が起きるという問題がある。また、上記潤滑剤を分散させる方法は、ポリウレタン樹脂内部に潤滑剤を均一に分散・混合する工程等の新たな工程が余分に必要となって、製造効率の向上を図ることができないという問題がある。また、この時、固体潤滑剤を分散させる場合では、クリーニングブレード成形用のポリウレタン樹脂組成物の粘度が高くなってしまい、加工性が悪くなるという問題がある。他方、液体潤滑剤を分散させる場合では、上記液体潤滑剤のブリードアウト(滲み出し)により、画像に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、優れたエッジ精度を備え、かつ、低摩擦性に優れたクリーニングブレードの提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のクリーニングブレードは、ポリウレタン樹脂組成物硬化体製の板状体をカットして形成されるクリーニングブレードであって、上記カットにより形成されたクリーニングブレードの端面に、有機シロキサンの付着およびその付着後の酸素化処理によって珪素原子(Si)が4atom%以上存在しているという構成をとる。
【0009】
すなわち、本発明者らは、優れたエッジ精度を備え、かつ、低摩擦性に優れたクリーニングブレードを得るべく、鋭意研究を重ねた。その結果、上記カットにより形成されたクリーニングブレードの端面に、例えば、ディッピングにより有機シロキサンを付着させ、その後、上記クリーニングブレードの端面に酸素化処理を施すことによって、上記端面に珪素原子(Si)が4atom%以上存在させるようにすると、所期の目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
ここで酸素化処理とは、紫外線照射処理,コロナ放電処理,プラズマ放電処理,オゾン雰囲気処理等の、活性酸素を発生させ、この活性酸素を利用し化学変化等を生起させる処理のことをいう。
【0011】
また、有機シロキサンとは、メチルヒドロキシ・ポリシロキサン,メチルヒドロポリシロキサン,ポリジメチルシロキサン等のシリコーンを主成分とする有機物のことであり、そのまま使用されるか、あるいは溶剤に溶解して塗布液として使用される。ここで「主成分」とは、有機シロキサンを構成する主たる成分のことであって、組成物の特性に大きな影響を与えるもののことを意味し、全体が主成分のみからなる場合も含まれる。
【0012】
上記クリーニングブレードの端面をこのようにすることにより、エッジ精度が良好となり、かつ、低摩擦性が促進されるのであるが、その理由は必ずしも明らかではない。しかし、つぎのような理由によるものと推察される。すなわち、上記クリーニングブレードの端面(カット面)に対して、ディッピング等により有機シロキサンを付着し、その後、上記クリーニングブレードの端面に、紫外線照射等の表面改質処理(酸素化処理)を施すと、上記クリーニングブレードの端面に付着する有機シロキサンが酸化され、シリカ(SiO2 )状(ガラス調)に変化する。この際、珪素原子(Si)を4atom%以上存在させるように酸素化処理することにより、エッジ精度が良好になるとともに低摩擦性が向上するものと考えられる。
【0013】
本発明によれば、上記酸素化処理によって、クリーニングブレードの端面のみが改質されるため、機械的強度や弾性圧接性等といったポリウレタンエラストマーが有する特性は損なわれず、クリーニング性能も低下しない。また、本発明のクリーニングブレードでは、上記端面における有機シロキサンは、上記酸素化処理によって有機シロキサンおよびポリウレタンの極性が増すことにより密着性を発揮すると考えられるため、元来、得ることが困難であった、有機シロキサンとポリウレタン樹脂組成物硬化体との密着性を充分に得ることができる。また、上記酸素化処理によって短時間の処理で効果を得ることができる。そのため、製造効率の向上効果も得られるようになる。
【0014】
本発明においては、クリーニングブレードの端面に珪素原子(Si)が4atom%以上存在することが重要である。ここで、珪素原子(Si)が4atom%以上存在するとは、クリーニングブレードの端面に存在する全原子(対象元素:3 Li〜98Cf)に占める珪素原子(Si)の割合が4atom%以上であることをいい、これは、X線光電子分光法〔ESCA〕により上記表面を分析することにより導出される値が4atom%以上のことをいう。
【0015】
特に、上記端面の酸素原子数(O)と炭素原子数(C)との比(O/C)が、クリーニングブレード内部のO/C比に対し、1.15倍以上に設定すると、摩擦係数をより低下することができる。ここでの数値も、上記ESCA元素分析により導出される値である。ここで、クリーニングブレード内部の「内部」とは、クリーニングブレード表面の下の、酸素化処理を受けていない部分のことをいう。
【0016】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明のクリーニングブレード1は、例えば、図1に示すように、ポリウレタン樹脂組成物硬化体4からなり、板状保持具2に支持されて、その使用に供されるものであり、上記クリーニングブレード1の端面3には、先に述べたような処理がなされている。
【0018】
上記クリーニングブレード1におけるポリウレタン樹脂組成物硬化体4の形成材料としては、ポリイソシアネートおよびポリオールを含有するポリウレタン樹脂組成物が用いられる。
【0019】
上記ポリイソシアネートとしては、特に限定するものではなく、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、3,3′−ビトリレン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートウレチジンジオン(2,4−TDIの二量体)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添加MDI)、カルボジイミド変性MDI、オルトトルイジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル等のジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート等のトリイソシアネート、ポリメリックMDI等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、耐摩耗性の観点から、MDIが好ましい。
【0020】
上記ポリイソシアネートとともに用いられるポリオールとしては、ポリエステルジオール、ポリエステルトリオール等のポリエステルポリオールや、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のポリエーテルポリオール等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、このポリオールの数平均分子量(Mn、以下単に「分子量」という)は、1500〜3000の範囲に設定されていることが好ましい。より好ましくは、1500〜2500の範囲である。すなわち、上記分子量が1500未満であると、得られるクリーニングブレード1の物性が低下する傾向がみられ、逆に上記分子量が3000を超えると、作業性が悪くなる傾向がみられるからである。なお、この分子量は、ポリオールの水酸基価(mgKOH/g)に基づいて下記の数式(1)により算出されたものである。
【0021】
【数1】
【0022】
上記ポリエステルポリオールとしては、多塩基性有機酸とポリオールとから製造され、水酸基を末端基とする、ヒドロキシルポリエステルポリオールが好ましい。
【0023】
上記多塩基性有機酸としては、特に限定するものではなく、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソセバシン酸等の飽和脂肪酸や、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸や、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族酸等のジカルボン酸があげられる。また、無水マレイン酸、無水フタル酸等の酸無水物や、テレフタル酸ジメチル等のジアルキルエステル等を用いることもできる。さらに、不飽和脂肪酸の二量化によって得られる、ダイマー酸を用いることもできる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0024】
上記多塩基性有機酸とともに用いるポリオールとしては、特に限定するものではなく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール等のジオールや、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン等のトリオールや、ソルビトール等のヘキサオール等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0025】
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、環状エーテルの開環重合または共重合によって製造されるものが好ましい。
【0026】
上記環状エーテルとしては、特に限定するものではなく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−メチルトリメチレンオキサイド、3,3′−ジメチルトリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキサミン等があげられる。
【0027】
そして、本発明において、上記ポリイソシアネートとともに用いられるポリオールとしては、上記一連のもののなかでも、耐摩耗性に優れる、ポリブチレンアジペート(PBA)が好ましい。
【0028】
本発明で用いるポリウレタン樹脂組成物には、上記ポリイソシアネートおよびポリオール以外に、鎖延長剤、発泡剤、界面活性剤、難燃剤、着色剤、充填剤、可塑剤、安定剤、離型剤、触媒等を含有させてもよい。
【0029】
上記鎖延長剤としては、従来公知のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール等の、分子量300以下のポリオールがあげられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0030】
上記触媒としては、三級アミン等のアミン系化合物、有機錫化合物等の有機金属化合物等があげられる。なかでも、アミン系化合物が好ましい。
【0031】
上記三級アミンとしては、トリエチルアミン等のトリアルキルアミンや、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン等のテトラアルキルジアミンや、ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコールや、エトキシル化アミンや、エトキシル化ジアミンや、ビス(ジエチルエタノールアミン)アジペート等のエステルアミンや、トリエチレンジアミンや、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等のシクロヘキシルアミン誘導体や、N−メチルモルホリン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−ジメチルモルホリン等のモルホリン誘導体や、N,N′−ジエチル−2−メチルピペラジン、N,N′−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルピペラジン等のピペラジン誘導体等があげられる。
【0032】
上記有機錫化合物としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)等のジアルキル錫化合物があげられる。また、2−エチルカプロン酸第1錫、オレイン酸第1錫等があげられる。
【0033】
本発明のクリーニングブレード1は、上記各材料を用い、常法に準じて製造することができる。具体的には、プレポリマー法、セミワンショット法、ワンショット法に準じて製造できる。なかでも、機械特性に優れるという観点から、プレポリマー法が好適に用いられる。
【0034】
上記プレポリマー法に準じて、本発明のクリーニングブレード1は、例えばつぎのようにして製造される。すなわち、まず、上記ポリイソシアネートおよびポリオールを準備し、両者を所定の割合で配合し、所定の反応条件で反応させてウレタンプレポリマー(主剤液)を調製する。一方、上記ポリオールと、鎖延長剤、触媒等とを準備し、これらを所定の割合で配合し、所定の条件で混合して硬化剤液を調製する。
【0035】
そして、上記主剤液および硬化剤液を所定の割合で配合・混合することによってポリウレタン樹脂組成物溶液をつくる。つぎに、図2(A)に示すように、クリーニングブレード成形用金型5の内周面5aに離型剤をスプレーで吹き付け、これに、クリーニングブレード1との接着処理(接着剤の塗布)を表面に施した板状保持具2を装着する。その状態で、上記ポリウレタン樹脂組成物溶液を金型5内に注入し、反応硬化させる。そして、得られたポリウレタン樹脂組成物硬化体4を、上記金型5から取り出し、図2(B)に示すように、破線Xの位置でカットし、2つのクリーニングブレードを得る。このカットにより形成されたクリーニングブレードの端面(カット面)に対して、後記の有機シロキサンの塗布および酸素化処理を行うことにより、図1に示すような、珪素原子(Si)が特定の割合で存在する端面3を有するクリーニングブレード1を得ることができる。なお、上記クリーニングブレード1は板状保持具2と一体成形されている。
【0036】
上記クリーニングブレード成形用金型5は、上記ポリウレタン樹脂組成物溶液を注入する前に、予備加熱されていることが望ましい。すなわち、上記金型5が予備加熱されることによって、成形性が向上するからである。そして、上記クリーニングブレード成形用金型5の内周面5aには、上記のように、予め、離型剤が塗布されていることが望ましいが必須ではない。なお、上記離型剤は、特に限定されるものではなく、シリコーン系離型剤等の、従来公知のものでよい。
【0037】
そして、上記ポリイソシアネートおよびポリオールを用いたウレタンプレポリマー(主剤液)の調製は、特に制限するものではなく、例えば、つぎのようにして調製される。すなわち、まず上記ポリイソシアネートとポリオールとを配合して混合し、反応させることにより、ウレタンプレポリマーを得る。このとき、上記ウレタンプレポリマーは、下記の数式(2)で算出されるNCO%の値が、4〜20重量%の範囲になるように設定することが好ましい。すなわち、NCO%の値が4重量%未満であると、ウレタンプレポリマーの粘度が充分に低下せず、成形型への注入が困難となるおそれがある。逆に、20重量%を超えると、硬化反応が不均一となって、得られるウレタンゴムの物性が悪くなるという不都合を生じるからである。
【0038】
【数2】
【0039】
上記の方法により調製されたウレタンプレポリマー(主剤液)と上記硬化剤液が配合された液状組成物(ポリウレタン樹脂組成物)のNCOインデックス(NCO基/OH基)は、100〜140の範囲に設定されていることが好ましい。すなわち、上記NCOインデックス(NCO基/OH基)が100未満であると、充分な架橋密度が得られずに耐摩耗性の向上がみられないからである。逆に、上記NCOインデックス(NCO基/OH基)が140を超えると、クリーニングブレードの硬度が高くなりすぎ、感光ドラムを損傷させてしまい、画像不良を生じる傾向がみられるからである。
【0040】
図2(B)に示すように破線Xの位置でカットすることにより形成された端面を有するクリーニングブレードに対して、上記端面に塗布される有機シロキサンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、メチルヒドロキシ・ポリシロキサン,メチルヒドロポリシロキサン,ポリジメチルシロキサン等を主成分とするものがあげられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。なかでも、酸素化処理後の低摩擦化等を良好に図ることができる点から、ポリジメチルシロキサンを主成分とする有機シロキサンが好ましい。
【0041】
上記有機シロキサンは、通常、液状であり、そのまま使用されるか、溶剤に溶解して塗布液として使用される。上記溶剤としては、例えば、メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール等のアルコール類,メチルエチルケトン,トルエン,パラフィン系炭化水素等の炭化水素類,テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、塩化メチレン等の塩素系溶剤があげられる。
【0042】
なお、上記クリーニングブレードの端面に有機シロキサンを塗布する方法は特に限定されず、ディッピングのほかに、スプレー塗布等により付着させるようにしてもよい。
【0043】
上記クリーニングブレードの端面(カット面)に対して、有機シロキサンを付着させた後、上記クリーニングブレードの端面に、酸素化処理が施される。上記酸素化処理としては、紫外線照射処理,コロナ放電処理,プラズマ放電処理,オゾン雰囲気処理のうちの一つが施される。上記紫外線照射処理としては、例えば、紫外線照射装置(UB031−2A/BM、アイグラフィックス社製)を用い、距離300mmにて、紫外線を1,000mW・min/秒の積算光量を照射することにより行われる。上記コロナ放電処理としては、例えば、高周波電源装置(AGI−020S、春日電機社製)を用い、0.25kWの出力により、コロナ放電を発生させ、電極との距離3mm、角度15度にて60秒間放電することにより行われる。また、上記プラズマ放電処理としては、例えば、プラズマジェット処理装置(PJ−1、春日電機社製)を用い、距離50mm、20mm/秒で移動させる放電処理を20回繰り返しすることにより行われる。また、上記オゾン雰囲気処理としては、例えば、UVCオゾンエージングテスター(PPHM UVC−D、東洋精機製作所社製)を用い、オゾン濃度50pphm、温度40℃の雰囲気下で、24時間処理をすることにより行われる。
【0044】
このようにして得られた本発明のクリーニングブレードの端面には珪素原子(Si)が4atom%以上存在している。より好ましくは5〜15atom%の範囲である。すなわち、珪素原子(Si)が4atom%未満であると、本発明の効果が得られないからである。
【0045】
そして、上記酸素化処理によって形成された端面の酸素原子数(O)と炭素原子数(C)との比(O/C)が、クリーニングブレード内部のO/C比に対し、1.15倍以上に設定すると、摩擦係数をより下げることができる。より好ましくは1.2〜3.5倍の範囲である。
【0046】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0047】
【実施例1】
〔ウレタンプレポリマー(主剤液)の合成〕
あらかじめ、80℃にて1時間真空脱泡したPBA(N4010、Mn:2000、日本ポリウレタン工業社製)100部に対し、MDI(ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業社製)44部を添加し、窒素雰囲気下で、80℃にて3時間反応させ、NCO%:7.3重量%となるNCO末端プレポリマーを得た。
【0048】
〔硬化剤液の調製〕
1.4.−ブタンジオールおよびトリメチロールプロパンとの混合物(重量比で60/40)100部に対して、触媒としてトリエチレンジアミン(DABCO、三共エアプロダクツ社製)を0.1部添加し、80℃にて1時間真空脱水することで、硬化剤液を調製した。
【0049】
〔ポリウレタン樹脂組成物溶液の調製〕
上記ウレタンプレポリマー(主剤液)を70℃にて30分間真空脱泡させたところに、上記硬化剤液をNCOインデックスが110となるように加え、減圧下、攪拌羽根で60秒間混合することによりポリウレタン樹脂組成物溶液を調製した。
【0050】
〔ディッピング液(浸漬液)の調製〕
一方、ディッピング液として、ポリジメチルシロキサン〔SH200オイル(500mm2 /s,25℃)、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製〕を炭化水素系溶液(IPソルベント1620、出光石油化学社製)に0.1重量%の濃度になるよう溶解し調製した。
【0051】
〔クリーニングブレードの成形〕
そして、図2(A)に示すように、140℃に予備加熱されたクリーニングブレード成形用金型5の内周面5aに離型剤をスプレーで吹き付けたうえで、クリーニングブレードとの接着処理(接着剤の塗布)を表面に施した板状保持具2を、上記金型5に装着する。ついで、上記ポリウレタン樹脂組成物溶液を金型5内に注入し、140℃で30分間反応させることで硬化させ、硬化体4を得た。そして、図2(B)に示すように、上記硬化体4を、脱型後に破線Xの位置でカットした後、100℃×10時間の二次キュアを行い、2つのクリーニングブレード(厚み2mm×長手方向240mm×幅方向10mm)を得た。
【0052】
〔ディッピング液への浸漬および酸素化処理〕
上記ディッピング液に、上記クリーニングブレードの端面(カット面)3を浸漬し、その後風乾させた。つぎに、上記端面に対して酸素化処理を施した。上記酸素化処理は、以下に示す条件のコロナ処理で行った。
<コロナ処理>
高周波電源装置(AGI−020S、春日電機社製)を用い、0.25kWの出力により、コロナ放電を発生させ、電極との距離3mm、角度15度にて60秒間コロナ処理を行った。
【0053】
【実施例2】
上記酸素化処理を、以下に示す条件のプラズマ放電処理で行う以外は実施例1と同様にして、クリーニングブレードを作製した。
<プラズマ放電処理>
プラズマジェット処理装置(PJ−1、春日電機社製)を用い、距離50mm、20mm/秒で移動させる処理を20回繰り返した。
【0054】
【実施例3】
上記酸素化処理を、以下に示す条件のオゾン雰囲気処理で行う以外は実施例1と同様にして、クリーニングブレードを作製した。
<オゾン雰囲気処理>
UVCオゾンエージングテスター(PPHM UVC−D、東洋精機製作所社製)を用い、オゾン濃度50pphm、温度40℃の雰囲気下で、24時間処理を行った。
【0055】
【実施例4】
上記酸素化処理を、以下に示す条件の紫外線照射処理で行う以外は実施例1と同様にして、クリーニングブレードを作製した。
<紫外線照射処理>
紫外線照射装置(UB031−2A/BM、アイグラフィックス社製)を用い、距離300mmにて、紫外線を1,000mW・min/秒の積算光量を照射した。
【0056】
【比較例1】
上記ディッピング液への浸漬処理を行わず、かつ、端面3に対する酸素化処理も行わない以外は、実施例1と同様にして、クリーニングブレードを作製した。
【0057】
【比較例2】
上記ディッピング液への浸漬処理を行わない以外は実施例1と同様にして、クリーニングブレードを作製した。なお、端面3に対する酸素化処理は、実施例1と同条件のコロナ処理によって施された。
【0058】
【比較例3】
端面3に対する酸素化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてクリーニングブレードを作製した。
【0059】
このようにして得られた各クリーニングブレードについて、下記の基準で測定・評価し、その結果を後記の表1に示した。
【0060】
〔珪素原子量(Si)およびO/C比〕
得られた各クリーニングブレードの端面およびクリーニングブレード内部に対し、ESCAシステム(PHI5600システム、アルバックファイ社製)を用いて、以下の測定条件により、酸素原子,炭素原子,窒素原子および珪素原子の割合を測定し、珪素原子量(Si)およびO/C比を算出した。すなわち、Alモノクロメータ(14kV、150W)を使用してX線を照射し、電子中和銃により帯電補正を行いながら、測定領域:φ800μm、光電子取り出し角:45deg、解像度187.85passenergy、0.8eV/step、20time/stepの条件で測定を行った。
【0061】
〔摩擦係数〕
図3に示す装置を用いて、摩擦係数を測定した。すなわち、得られた各クリーニングブレードの先端部をウレタンチップ11として切り出し(厚み2mm×長手方向10mm×幅方向10mm)、一方の端部(各クリーニングブレードの端面であったところと反対の部位)に板状保持材12を接着したうえで、他方の先端角部(各クリーニングブレードの端面であった部位)を平滑なPET製板状体16の表面に圧接し、上記PET製板状体16を矢印Y方向(ドクター方向)に一定速度で走行させて、このときに生ずる摩擦係数を測定した。
【0062】
〔クリーニングブレードの摩耗量・エッジ直線性評価〕
得られたクリーニングブレードを市販のA4レーザービームプリンタ内に装着し、30,000枚の画出し評価を行った後の、ブレードエッジ部の摩耗量およびエッジ直線性を評価した。上記摩耗量は、走査型電子顕微鏡にてクリーニングブレードの先端部の摩耗状態を観察し、摩耗した部分の断面積(Uμm2 )と、先端部の単位長さ(Vμm)を測定し、下記の数式(3)により、摩耗量(Wμm3 )を算出した。
【0063】
【数3】
【0064】
また、耐久前後のエッジ直線性の変化は顕微鏡による目視で判定し、変化が見られなかったものを○、変化が見られたものを×としてあらわした。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
上記表1〜表2の結果から、実施例品はいずれも摩耗量が少なく、優れた耐摩耗性を備えるクリーニングブレードであることがわかる。しかも、これらは、使用によってエッジ直線性が損なわれることがほとんどなく、低摩擦性も実現されている。これに対して比較例品は、摩耗が激しくエッジ直線性も損なわれやすく、摩擦係数も比較的高くなっていて、実施例品よりも性能が劣っている。
【0068】
【発明の効果】
以上のように、本発明のクリーニングブレードは、ポリウレタン樹脂組成物硬化体製の板状体をカットして形成され、上記カットにより形成されたクリーニングブレードの端面に、有機シロキサンの付着およびその付着後の酸素化処理により、有機シロキサンの密着性を上げた形にして、珪素原子(Si)を4atom%以上存在させている。そして、上記付着後の酸素化処理により、クリーニングブレード端面の有機シロキサンがシリカ状に変化しているため、エッジ精度が良好となり、かつ、低摩擦性が向上する。特に、上記端面の酸素原子数(O)と炭素原子数(C)との比(O/C)が、クリーニングブレード内部のO/C比に対し、1.15倍以上に設定したときには、摩擦係数をより下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクリーニングブレードの一例を示す縦断面図である。
【図2】(A)は、クリーニングブレード成形用金型に、2個の板状保持具を取り付けた状態の縦断面図であり、(B)は、上記金型によって形成された2組の板状保持具付きクリーニングブレードの縦断面図である。
【図3】クリーニングブレードの摩擦係数の測定装置の構成図である。
【図4】従来のクリーニングブレードの一例を示す部分破断構成である。
【符号の説明】
1 クリーニングブレード
2 板状保持具
3 端面
4 ポリウレタン樹脂組成物硬化体
Claims (3)
- ポリウレタン樹脂組成物硬化体製の板状体をカットして形成されるクリーニングブレードであって、上記カットにより形成されたクリーニングブレードの端面に、有機シロキサンの付着およびその付着後の酸素化処理によって珪素原子(Si)が4atom%以上存在していることを特徴とするクリーニングブレード。
- 上記端面の酸素原子数(O)と炭素原子数(C)との比(O/C)が、クリーニングブレード内部のO/C比に対し、1.15倍以上に設定されている請求項1記載のクリーニングブレード。
- 上記端面に施される酸素化処理が、紫外線照射処理,コロナ放電処理,プラズマ処理およびオゾン雰囲気処理のいずれかである請求項1または2記載のクリーニングブレード。
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