JP3633345B2 - 床仕上方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は含水の被塗面、特にコンクリート面への塗り床材の仕上方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、建築物、工場、倉庫等の屋内床面を、塗り床材によって塗装し、意匠性の向上や防塵性、ノンスリップ性、耐薬品性等の機能を付与することが行われている。このような床面は、一般にコンクリート製であり、含水していることが多い、特にデッキプレート上のコンクリートスラブ面は、コンクリート打設時の水分や、その後に生じた湿気が、コンクリート硬化後においても逃げ場を失い、デッキプレートとコンクリートとの境界付近に残存しているため、スラブ表面における含水率が低いような場合においても、内部は比較的高い含水率となっていることがある。
【0003】
このようなコンクリート床面に、塗り床材を塗装する場合は、一般に含水下地における塗膜形成に優れ、さらに密着性も良好な下塗りを塗装した後に、前述のような機能を有する上塗りを施している。このような下塗りとしては、湿硬形ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系が主であり、コンクリート表面を非常に強固にし、またシール性にも非常に優れたものである。しかしながら、前述のような含水下地においては、経時的に水分を押さえきれず、塗膜に膨れや剥離を生じる場合があった。また、下塗り材と上塗り材とを機能分化しているため、塗装工程が増加し、工期短縮に逆行するものであった。
【0004】
これに対して、下塗り材を省略して、上塗り材のみによって工期の短縮を図ろうとする考えのものが存在するが、含水下地の場合には上記と同様に、逃げ場を失った水分が、上塗り塗膜とコンクリート表面との境界に局在化して、上塗り塗膜の膨れや剥離につながる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、上塗りのみの塗装によって、含水下地であっても、意匠性の向上や防塵性、ノンスリップ性、耐薬品性等の機能を付与することができ、工期短縮となる塗装方法を見出すことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明者らは、特定の官能基を有する樹脂を使用して、水蒸気透過度と顔料容積濃度(以下、「PVC」という。)を規定する方法を見出し本発明を完成した。
【0007】
すなわち、
1.(A)樹脂固形分中の加水分解性シリル基が、SiO2 換算にて1.0〜6.0重量%である重量平均分子量10000〜60000のアクリルシリコン樹脂、(B)硬化剤または硬化触媒、(C)顔料、(D)溶剤を含有し、形成される塗膜のJIS K 5400 8.17による水蒸気透過度が40〜200g/m2 ・24h、顔料容積濃度が5〜30%となる塗料組成物を、被塗面に直接塗装することを特徴とする床仕上方法。
2.さらに(E)シランカップリング剤を含有することを特徴とする1.に記載の床仕上方法。
である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる(A)成分は、樹脂固形分中の加水分解性シリル基が、SiO2換算にて1.0〜6.0重量%の重合体であれば特に限定されるものではない。また、加水分解性シリル基を含有する化合物やその縮合物で、最終的に樹脂と結合してバインダーとして寄与するものを包含する。
【0009】
このような(A)成分としては、一般に塗り床材として使用されるエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂に、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシランや、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤を単独または縮合物として配合したものや、一般にアクリルシリコン樹脂として認識されている、一般式
【0010】
【化1】
で表される加水分解性シリル基を含有するアクリル共重合体(以下、「アクリルシリコン樹脂」という。)を使用することができる。 この場合に加水分解性シリル基は、重合体主鎖の末端または側鎖に含まれていてもよく、双方に含まれていても良い。
【0011】
これら加水分解性シリル基含有重合体の中でも、アクリルシリコン樹脂は、耐久性等の塗膜物性に優れている為に好適に用いられる。
このようなアクリルシリコン樹脂の重量平均分子量は、10000〜60000であり、化1で表される加水分解性シリル基が、一分子中に10個〜50個程度存在している場合に、SiO2換算にておおよそ1.0〜6.0重量%の値を示す。
【0012】
前述のアルコキシシランやシランカップリング剤を配合する場合、および、アクリルシリコン樹脂の場合において、加水分解性シリル基がSiO2換算にて1.0重量%より少ないと、本発明の塗料組成物によって形成される塗膜の水蒸気透過度が、本発明で規定する範囲を下回ることになる。これは、加水分解性シリル基が、塗膜形成時に加水分解縮合により架橋反応を生じ、この架橋間距離と架橋の塗膜中における分布率によって、水蒸気透過度を適切に調整するからである。また、この官能基と後述する顔料表面との相互作用により、顔料と樹脂との境界にミクロポーラスな状態を作り出し、この部分からの水蒸気透過効果と、顔料−樹脂間の強力な結合が、塗膜全体の耐久性をより向上させ、ひいては被塗面への密着性も向上させていると考えられる。
【0013】
尚、SiO2換算とは、アルコキシシランやシランカップリング剤、加水分解性シリル基などのSi−O結合を有する化合物を、完全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ(SiO2
)となって残る重量分にて表したものである。
【0014】
一般に、アルコキシシラン等は、水と反応して加水分解反応が起こりシラノールとなり、さらにシラノール同士やシラノールとアルコキシにより縮合反応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行うと、シリカ(SiO2
)となる。これらの反応は
【0015】
【化2】
という反応式で表されるが、この反応式をもとに残るシリカ成分の量を換算したものである。
【0016】
実際の計算は、
【数1】
の式により行った。
【0017】
化1の式中、R1
は炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基であるが、R1の炭素数が10を越えると、アルコキシシリル基の反応性が低下し、R1がアルキル基以外、例えばフェニル基、ベンジル基の場合にも反応は低下する。R1で表されるアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
【0018】
また、式中R2は、水素原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、アリール基、アラルキル基よりなる群から選ばれた1価の炭化水素基である。R2で表される炭化水素基において、アルキル基の具体例としては、R2と同様の基が挙げられ、アリール基の具体例としては、例えばフェニル基等が挙げられ、アラルキル基の具体例としては、例えばベンジル基などが挙げられる。
【0019】
アクリルシリコン樹脂は、その主鎖が実質的にアクリル共重合体鎖からなるために、塗膜の耐候性、耐薬品性、耐水性などに優れている。このようなアクリルシリコン樹脂は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、それらの誘導体などのアクリル系モノマーと、アルコキシシリル基含有モノマーとの共重合体により得ることができる。
【0020】
アクリル系モノマーには、特に限定はないが、その具体例としては、メチル(メタ)アクリルレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類とリン酸もしくはリン酸エステルとの縮合生成物であるリン酸エステル基含有ビニル系化合物、ウレタン結合やシロキサン結合を含む(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
また、前記アルコキシシリル基含有モノマーとしては、重合性二重結合を有しているということ以外特に限定はなく、その具体例としては、例えば、
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
などが挙げられ、末端にアルコキシシリル基をウレタン結合或いはシロキサン結合を介して有するアクリレートまたはメタクリレートなども含まれる。
【0024】
アクリルシリコン樹脂中には、50%を超えない範囲で、主鎖にウレタン結合やシロキサン結合により形成されたセグメントを含んでいてもよく、(メタ)アクリル誘導体以外のモノマーに由来するセグメントを含んでいてもよい。
【0025】
このモノマーは特に限定はないが、その具体例としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル系化合物、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、それらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など)、それらの酸無水物(無水マレイン酸など)、または、それらと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのジエステルまたはハーフエステルなどの不飽和カルボン酸のエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物、ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系化合物、イタコン酸ジアミド、クロトンアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドンなどのアミド基含有ビニル化合物、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他のビニル系化合物などが挙げられる。
【0026】
これらアルコキシシリル基含有モノマーの少なくとも1種以上と、ラジカル重合性モノマーの少なくとも1種を、非反応性を有する適当な溶媒中で混合し、ラジカル重合開始剤を用いて共重合させることによってアルコキシシリル基含有アクリル共重合体を得ることができる。
【0027】
ラジカル重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)ヘキシン−3,1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーベンゾエートなどのパーエステル化合物、アゾビスイソブチロニトリルおよびジメチルアゾブチレートなどのアゾ化合物、および有機過酸化物などが挙げられる。
【0028】次に(B)成分は、(A)成分中の加水分解性シリル基の反応を促進する硬化剤または硬化触媒である。このような硬化剤または硬化触媒はその配合量を適宜に決定すればよいが、極端に少量の場合には、塗膜の硬化が遅くなり、極端に多い場合には反応が促進され過ぎて、硬化が速く、塗装作業性が低下することになる。
【0029】硬化触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物、リン酸、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノデシルホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェートなどのリン酸エステル、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、グリシジルメタクリレート、グリシドール、アクリルグリシジルエーテル、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、エポキシ化合物とリン酸および/またはモノ酸性リン酸エステルとの付加反応物、マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イタコン酸、クエン酸、コハク酸、フタル酸、トリメット酸、ピロメット酸、これらの酸無水物、p−トルエンスルホン酸などの酸性化合物が挙げられる。
【0030】
また、これらの酸性触媒とアミンとの混合物または反応物も含まれる。例えば、ヘキシルアミン、N.N−ジメチルドデシルアミン、ドデシルアミンなどのアミン類が挙げられるが、有機スズ化合物が好ましく、特に塗膜形成初期における塗膜表面の親水性化に優れることからマレート系有機スズ化合物がより好ましく用いられる。
【0031】
尚、(A)成分として、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の反応硬化形の合成樹脂を使用する場合には、それらの樹脂の硬化剤を適宜配合する必要がある。
【0032】
次に(C)成分として用いられる顔料は、塗膜を着色し、塗膜物性を調整するための着色顔料と体質顔料から構成される。このような着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(ベンガラ)、クロム酸鉛(モリブデートオレンジ)、黄鉛、黄色酸化鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機顔料が使用できる。
【0033】
また、体質顔料としては、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土等を使用することが可能である。特に、艶消し塗膜を形成する場合には、ホワイトカーボン、珪藻土を使用することが最適である。なお、これらの無機物質を塗料に添加する際に、粉体表面をカップリング剤で処理したり、塗料にカップリング剤を添加することは好ましい手段である。
【0034】
次に(D)成分の溶剤としては、(A)成分および(B)成分を溶解するか、溶解しなくとも混合時に沈澱を生じない溶剤であれば特に限定されることはなく、一般の塗料で使用される脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類、エステルエーテル類を使用することができる。
【0035】本発明における塗料組成物から形成される塗膜は、JISK 5400 8.17による水蒸気透過度が50〜200g/m2・24h、顔料容積濃度(以下「PVC」ともいう。)が5〜30%である。このような水蒸気透過度およびPVCの場合に、含水下地に対して下塗りを塗装することなく塗膜を形成した場合にも、塗膜の膨れや剥離がなく、意匠性の向上、防塵性、ノンスリップ性、耐薬品性、耐水性等の効果を発揮するものである。これは本発明における塗膜を形成する樹脂成分が、アルコキシシリル基の加水分解縮合によって硬化し、形成されるシロキサン結合が、水蒸気の透過に適当でありながら、水分子を透過し難い結合距離を有するとともに、本発明で規定したPVCの範囲において、顔料の充填効果によって、含水コンクリート下地への強固な結合と各種の塗膜物性が向上したものであると推察される。
【0036】
本発明における塗料組成物においては、前述のように(A)成分としてアクリルシリコン樹脂を使用することが好ましいが、含水下地との密着性をさらに向上させるために、各種の(E)シランカップリング剤を併用しても良い。また、既存塗膜の面に本発明の塗料組成物を塗付する場合には、(E)シランカップリング剤を併用することにより、既存塗膜の種類を選ばずに優れた密着性を得ることが可能となる。このような(E)成分としては、前述のものが使用可能であるが、この場合においても、加水分解性シリル基の含有量は、アクリルシリコン樹脂とシランカップリング剤を併せて、SiO2換算にて1.0〜6.0重量%でなければならない。
【0037】
また、本発明における塗料組成物には、組成物の長期保存安定性の面から(F)脱水剤および/またはアルキルアルコールを添加することができる。
脱水剤の具体例としては、例えばオルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、メチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどの加水分解性エステル化合物が挙げられる。その他、アルキルアルコールとしては、例えばメタノール、エタノールのような低分子量アルコールが挙げられる。
【0038】
これら、(F)成分は、(A)成分中に添加しておくのが好ましいが、(A)成分の重合に際し、重合前または重合後、或いは重合時に添加できる。
なお、脱水剤とアルキルアルコールを併用すれば、組成物の保存安定性に顕著な効果が見られる。
【0039】
本発明における塗料組成物には、さらに通常塗料に配合することが可能な各種添加剤を、本発明の効果に影響しない程度に配合することが可能である。このような添加剤としては、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、増粘剤、流動調整剤、乾燥調整剤等があげられる。
【0040】
本発明の床仕上方法においては、塗料組成物を、ローラー塗り、刷毛塗りによって塗装するものである。
【0041】
本発明では、前述した塗料組成物を含水コンクリート面に直接塗装して床を仕上げるものであるが、含水コンクリート面の含水率が10%を超える場合には、下地コンクリート面が10%以下の含水率となるまで乾燥養生期間をおいた後に、本発明の床仕上方法を実施するのが望ましい。
【0042】
【実施例】
本発明の効果を確認するために、表1の原料を使用して、表2の配合によって各塗料組成物を製造し、以下の試験を行った。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
(試験方法)
*耐膨れ性試験
3%、7%、10%の含水率にそれぞれ調整した大きさ70×70×20mmの標準モルタル板の裏面および側面をエポキシ樹脂にて完全にシールした後、残った表面に、各塗料組成物を塗付量250g/m2にて塗付し、20℃、相対湿度65%において7日間養生後、50℃で乾燥させ、塗膜の状態変化を目視にて観察した。このとき膨れが見られないものを○、膨れがやや見られるものを△、非常に膨れが見られるものを×として評価した。結果を表3に示した。
【0046】
*温冷繰り返し試験*
3%の含水率に調整した大きさ70×70×20mmの標準モルタル板に、各塗料組成物を塗付量250g/m2にて塗付し、20℃、相対湿度65%において7日間養生したものを試験体とした。この試験体をJIS
A 6909「建築用仕上塗材」6.11「温冷繰り返し試験」に準拠して、20±2℃の水中に18時間浸漬した後、直ちに−20±3℃の恒温器中で3時間冷却し、次いで50±3℃の別の恒温器中で3時間加温し、この24時間を1サイクルとする操作を10回繰り返した後、試験室に2時間静置し、塗膜の剥れ、ひび割れ及び膨れの有無を目視にて観察した。このとき塗膜表面の状態に異常がないものを○、やや変化の見られるものを△、大きな変化の見られるものを×として評価した。結果を表3に示した。
【0047】
*耐薬品性
温冷繰り返し試験と同様にして作製した試験体を使用して、その塗膜面に、大豆油、潤滑油、95%エタノール、2%苛性ソーダ、5%酢酸、5%塩酸、セメントペーストをそれぞれ約2ml滴下し、円形に広がることを確認して時計皿で覆い、48時間放置した後、表面を拭き取る。乾燥後、その部分の色、光沢の変化及び膨れの有無を確認する。このとき特に変化が見られないものを○、塗膜にやや変化が見られるものを△、非常に変化が見られるものを×として評価した。結果を表3に示した。
【0048】
【表3】
【0049】
(実施例1)
本発明で規定する物性値範囲に入る塗膜を形成する塗料組成物であり、含水下地に対して、直接塗装を行っているにも関わらず、塗膜の膨れ等の欠陥は全く生じなかった。特に、アクリルシリコン樹脂であるため、耐薬品性においても非常に優れた結果を示した。
【0050】
(実施例2)
本発明で規定する物性値範囲に入る塗膜を形成する塗料組成物であり、含水下地に対して、直接塗装を行っているにも関わらず、塗膜の膨れ等の欠陥は全く生じなかった。耐薬品性においては、95%エタノール、5%酢酸、5%塩酸において若干の変化を生じたが、塗り床材としての実用性を満たすものであった。
【0051】
(実施例3)
本発明で規定する物性値範囲に入る塗膜を形成する塗料組成物であり、含水下地に対して、直接塗装を行っているにも関わらず、塗膜の膨れ等の欠陥は全く生じなかった。耐薬品性においては、5%酢酸において若干の変化を生じたが、塗り床材としての実用性を満たすものであった。
【0052】
(比較例1)
本発明において規定する加水分解性シリル基の、SiO2換算量が6.0%を超える重合体を使用しているため、形成される塗膜が非常に硬質であり、温冷繰り返し試験において割れを生じてしまった。
【0053】
(比較例2)
本発明において規定する加水分解性シリル基が、全く含有されていない重合体を使用しているため、水蒸気透過性が極端に低くなり、含水下地から生じる水蒸気の影響で塗膜に膨れを生じてしまった。また、温冷繰り返しにおいても膨れや部分的な割れを生じてしまった。また、加水分解性シリル基の架橋効果が得られないため、塗膜の耐薬品性も低下し、95%エタノール、2%苛性ソーダ、5%酢酸、5%塩酸において塗膜に変化を生じてしまった。
【0054】
(比較例3)
本発明において規定するPVCの範囲を超えているため、加水分解性シリル基が、全く含有されていない重合体を使用しているにも関わらず、水蒸気透過性は比較的高くなった。しかしながら、塗膜が脆いため温冷繰り返し試験において割れを生じてしまった。また、塗膜の耐薬品性も低下し、2%苛性ソーダ、5%酢酸、5%塩酸において塗膜に変化を生じてしまった。
【0055】
(比較例4)
本発明において規定する加水分解性シリル基が、全く含有されていない重合体を使用しているため、水蒸気透過性が極端に低くなり、含水下地から生じる水蒸気の影響で塗膜に膨れを生じてしまった。
【0056】
【発明の効果】
本発明は、上塗りのみの塗装のため工期短縮となり、彩色による意匠性の向上や耐薬品性を始めとする塗膜の各種機能を発揮することができ、含水下地であっても、経時的に膨れや割れの生じない、優れた床仕上方法である。
Claims (2)
- (A)樹脂固形分中の加水分解性シリル基が、SiO2 換算にて1.0〜6.0重量%である重量平均分子量10000〜60000のアクリルシリコン樹脂、(B)硬化剤または硬化触媒、(C)顔料、(D)溶剤を含有し、形成される塗膜のJIS K 5400 8.17による水蒸気透過度が40〜200g/m2 ・24h、顔料容積濃度が5〜30%となる塗料組成物を、被塗面に直接塗装することを特徴とする床仕上方法。
- さらに(E)シランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の床仕上方法。
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