JP3627265B2 - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両の駆動力(トラクション)制御装置に関し、特に、エンジンの吸気通路にスロットル弁と直列に常開の第2スロットル弁を備え、駆動輪のスリップ発生時に第2スロットル弁を閉弁方向に駆動する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
濡れたアスファルト路や雪路等の滑りやすい路面では、加速時に駆動輪がスリップして、車両が十分に加速できなかったり、尻振りを起こして安定性が低下したりする。
そこで、車両の駆動力制御装置として、エンジンの出力を低減する燃料カット制御や、スロットル開度制御や、ブレーキ力により駆動輪のスリップを抑制するブレーキ制御が知られている。
【0003】
各々の制御で駆動輪のスリップを抑制できるため応答性の高い制御を行えるものの、ブレーキの圧力源としての油圧ポンプや、そのためのブレーキ配管などを設けねばならず、燃料カット制御やスロットル開度制御に比べて、コストや燃料が増加してしまうという問題がある。
また、燃料カット制御はエンジン制御用のソフトを流用できコストの増加を抑制でき、応答性の高い制御をできるが、触媒内での燃え残りガスの後燃えにより触媒の劣化が早まる問題がある。
【0004】
また、スロットル制御は、ブレーキ制御や燃料カット制御に比べ、応答性が良くないという問題がある。
このため、燃料カット制御とスロットル開度制御とを組み合わせて、初期スリップを燃料カット制御により高応答で制御し、スロットル制御としてエンジンの吸気通路にアクセルペダルと連動して開閉されるスロットル弁と直列に、DCモータ(ステップモータ)により駆動される第2スロットル弁を設けておき、駆動輪と従動輪との回転数差などに基づいてスリップの発生を検出すると、第2スロットル弁を閉じて、駆動力(エンジントルク)を低減することにより、発進性、加速性の向上及び尻振り防止による車両安定性の向上を図ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スロットル開度制御を用いた駆動力制御装置にあっても、第2スロットル弁の駆動用アクチュエータとしてDCモータを用いており、DCモータを用いることで、緻密に開度を制御できるものの、特にFF車用として発進補助を含む低速域での加速性向上のみに使用目的を限定した場合などは、それほど緻密に制御する必要はないので、DCモータを用いることでコスト高になっているという問題点があった。
【0006】
また、DCモータは、変速機構上、重量が重く、またスロットルチャンバと一体であることが一般的で、汎用性がないという問題点もあった。
そこで、前記第2スロットル弁を全開と全閉との2段階に切り換える構成として、DCモータを必要としない低コストな装置の開発が試みられた。
ところで、前記のように2段階に切り換える簡易制御の場合、第2スロットル弁の全閉位置での開度 (以下全閉開度という) は、圧雪路でスリップを抑制しつつ走行できる程度の開度例えば全開時の1/8開度程度に設定されることとなる。
【0007】
しかしながら、このようにトラクション制御時は一定の全閉開度に閉じられてしまう簡易制御では、例えば第2スロットル弁を全閉としたときのエンジン回転速度が高いときは吸気負圧が増大してエンジントルクが減少し、所定以上の高速域では負のトルク (エンジンを当該高速で回転させるに要するだけのトルクにも不足している状態) を発生してしまい、いわゆるエンジンブレーキが誘発されてしまう。
【0008】
また、同じく第2スロットル弁を全閉としたときの車速が高いときは空気抵抗による走行負荷が増大し、所定以上の高速域では走行負荷より第2スロットル弁を全閉としたときのエンジントルクによる車両の駆動力が下回り、この場合もエンジンブレーキが誘発されてしまう。このようにエンジンブレーキが誘発されると減速感を発生するし、FR車の場合はスピン、FF車の場合は操舵感の劣化、タックインを起こす可能性がでてくる。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みなされたもので、トラクション制御により車両が減速されてしまうような状況ではトラクション制御を禁止することにより、簡易型トラクション制御において走行性能を良好に維持できるようにした車両の駆動力制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため請求項1の発明に係る車両の駆動力制御装置は、
エンジンの吸気通路に配設され、全開位置と所定開度の全閉位置との2段階に切換制御されるスロットル弁と、
車両の駆動輪のスリップ状態を検出するスリップ状態検出手段と、
検出されたスリップ状態に応じて前記スロットル弁を全閉位置に制御して車両の駆動力を減少させる駆動力減少制御手段と、
前記スロットル弁を全閉位置に制御した場合にエンジン出力トルクが当該エンジン回転速度を維持するのに必要なトルクと釣り合うときの回転速度を設定し、スリップ発生時のエンジン回転速度が、前記設定された回転速度より大きいときを、高い走行負荷状態と検出する走行負荷検出手段と、
前記走行負荷検出手段により前記高い走行負荷状態が検出されたときには、前記駆動力減少制御手段の作動を禁止する駆動力減少制御禁止手段と、
を含んで構成したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明に係る車両の駆動力制御装置は、
エンジンの吸気通路に配設され、全開位置と所定開度の全閉位置との2段階に切換制御されるスロットル弁と、
車両の駆動輪のスリップ状態を検出するスリップ状態検出手段と、
検出されたスリップ状態に応じて前記スロットル弁を全閉位置に制御して車両の駆動力を減少させる駆動力減少制御手段と、
車速によって求められる走行抵抗が前記スロットル弁を全閉位置に制御した場合に発生する車両の駆動力と釣り合うときの車速を設定し、スリップ発生時の車速が、前記設定された車速より大きいときを、高い走行負荷状態と検出する走行負荷検出手段と、
前記走行負荷検出手段により前記高い走行負荷状態が検出されたときには、前記駆動力減少制御手段の作動を禁止する駆動力減少制御禁止手段と、
を含んで構成したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明に係る車両の駆動力制御装置では、
前記駆動力減少制御手段は、スロットル弁の駆動用アクチュエータとして、負圧作動室に導入される負圧の有無に応じたダイアフラムの変位により前記スロットル弁を全開位置と所定開度の全閉位置とに駆動する負圧ダイアフラム装置を備えていることを特徴とする。
【0014】
【作用】
請求項1の発明に係る車両の駆動力制御装置によれば、
前記スリップ状態検出手段が、駆動力減少制御手段を作動させる程度以上の駆動輪のスリップの発生を検出した場合でも、スリップ発生時のエンジン回転速度が、スロットル弁を全閉位置に制御した場合にエンジン出力トルクが当該エンジン回転速度を維持するのに必要なトルクと釣り合うときの回転速度より大きい高走行負荷状態を検出した場合には、駆動力減少制御禁止手段によって駆動力減少制御手段の作動が禁止されることにより、エンジンブレーキの発生が防止されて車両の減速を防止できる。
また、請求項2の発明に係る車両の駆動力制御装置によれば、
前記スリップ状態検出手段が、駆動力減少制御手段を作動させる程度以上の駆動輪のスリップの発生を検出した場合でも、スリップ発生時の車速が、車速によって求められる走行抵抗が前記スロットル弁を全閉位置に制御した場合に発生する車両の駆動力と釣り合うときの車速より大きい高走行負荷状態を検出した場合には、駆動力減少制御禁止手段によって駆動力減少制御手段の作動が禁止されることにより、エンジンブレーキの発生が防止されて車両の減速を防止できる。
【0015】
また、請求項3の発明に係る車両の駆動力制御装置によれば、スロットル弁の駆動用アクチュエータとして、スロットル弁を全開位置と所定開度の全閉位置とに駆動する負圧ダイアフラム装置を用いることにより、最も簡易で信頼性が高く、コスト面でも有利である。
【0018】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は車両全体のシステム図、図2は第2スロットル弁の駆動装置のシステム図である。
FF車において横置きに配置されるエンジン1の吸気装置2には、アクセルペダルに連動して開閉されるスロットル弁3の上流側に、常開の第2スロットル弁4が設けられ、また、各気筒毎に燃料噴射弁31が設けられている。
【0019】
一方、左右の前輪(駆動輪)にそれぞれ車輪速センサ5A,5Bが設けられると共に、左右の後輪(従動輪)にそれぞれ車輪速センサ6A,6Bが設けられ、これらの信号はトラクションコントロールユニット7に入力されている。尚、従動輪の車輪速センサ6A,6Bによって検出される車輪速は、車速検出信号として用いることができる。この場合、車輪速センサ6A,6Bのいずれかの信号を車速信号としてもよいが、より正確には2つの車輪速センサ6A,6Bで検出された車輪速の平均値を車速信号とすることが好ましい。
【0020】
トラクションコントロールユニット7は、駆動輪と従動輪との車輪速差に基づいてスリップの発生を検出し、スリップ発生時に、駆動力低減要求信号を発生する。駆動力低減要求信号の1つは、第2スロットル弁4の駆動装置(詳しくは後述する三方電磁弁21)に送られ、これにより第2スロットル弁4が閉弁方向に駆動される。また、駆動力低減要求信号の他のものは、エンジンコントロールモジュール8に送られ、要求低減駆動力に見合った気筒数の燃料カットなどの制御が行われる。また、エンジン回転速度を検出する回転速度センサ32が設けられ、該エンジン回転速度信号は、前記エンジンコントロールモジュール8に送られて各種エンジン制御に使用されると共に、エンジンコントロールモジュール8からトラクションコントロールユニット7にも送られ、後述するように前記第2スロットル弁4閉時にエンジンが負トルクを発生するか否かの判断に使用される。
【0021】
次に第2スロットル弁4の駆動装置について説明する。
第2スロットル弁4は、吸気通路を構成する樹脂製のチャンバ10の中心より偏心した位置に弁軸11を有するバタフライ式の弁で、弁軸11に固定したレバー12の操作により開閉される。このレバー12に対しては、その揺動範囲を規制するようにストッパ13,14が設けられており、これらにより、第2のスロットル弁4が、全開位置と、1/8開度程度の全閉位置とをとるようになっている。
【0022】
第2スロットル弁4のレバー12には負圧ダイアフラム装置15のダイアフラム16に連結された出力ロッド17が連結されている。
負圧ダイアフラム装置15は、ダイアフラム16により画成される負圧作動室18と、負圧作動室18に収納されてダイアフラム16を付勢するスプリング19とを備え、負圧作動室18への負圧の導入によりダイアフラム16が図で右方に変位して第2スロットル弁4を全閉位置に駆動し、負圧作動室18への大気の導入によりダイアフラム16が図で左方に変位して第2スロットル弁4を全開位置に復帰させる。
【0023】
負圧ダイアフラム装置15の負圧作動室18への連通路20には、負圧又は大気圧を選択的に導入する三方電磁弁21が接続されている。
三方電磁弁21は、OFF状態では、負圧側ポートP1 を閉じて、大気圧側ポートP2 を開き、ON状態では、逆に、大気圧側ポートP2 を閉じて、負圧側ポートP1 を開くようになっている。
【0024】
三方電磁弁21の負圧側ポートP1 は、負圧導入通路22により負圧タンク23に接続され、この負圧タンク23はチェック弁24を介して吸気マニホールド(吸気通路2のスロットル弁3下流)に接続されている。
三方電磁弁21の大気圧側ポートP2 は、大気圧導入通路25により大気に開放されているが、大気圧導入通路25には動作時間規定手段の1つであるオリフィス26が設けられている。
【0025】
このように第2スロットル弁4を全開と全閉との2段階に切り換える駆動装置として負圧ダイアフラム装置を用いることで、従来のDCモータに比較して大幅なコスト低減を図れる。また、負圧ダイアフラム装置の他、例えば一定量ストロークするソレノイドアクチュエータによって構成してもよく、このものでもDCモータに比較してコスト低減を図れる。
【0026】
次に第2スロットル弁4とその駆動装置とからなる駆動力減少制御手段の基本的な動作を説明する。
通常運転時は、三方電磁弁21はOFF状態であり、負圧側ポートP1を閉じて、大気圧側ポートP2を開いている。よって、負圧ダイアフラム装置15の負圧作動室18には大気圧が導入されており、スプリング19によりダイアフラム16を図1で左方に変位させて、第2スロットル弁4を全開位置に保持している。ここでいう全開位置とは、エンジン要求空気量を確保し得る開度である。
【0027】
一方、トラクションコントロールユニット7は、前輪側の車輪速センサ5A,5Bにより検出される車輪速と、後輪側の車輪速センサ6A,6Bにより検出される車輪速との差を算出し、この差が所定値を超えると、スリップ発生と判断して、駆動力低減要求信号を出力する。
この信号により、三方電磁弁21がOFF状態からON状態になり、三方電磁弁21において、大気圧側ポートP2を閉じて、負圧側ポートP1を開く。よって、負圧ダイアフラム装置15の負圧作動室18には負圧が導入され、スプリング19の付勢力に抗してダイアフラム16を図1で右方に変位させて、第2スロットル弁4を1/8開度程度の全閉位置に駆動する。
【0028】
全閉位置での開度を1/8開度程度とすることで、スリップを抑制する上で必要な小開度に制限すると共に、エンストを防止する。
また、このときの全開位置から全閉位置までの動作時間(図3のt1)は、ダイアフラム16の有効受圧面積、負圧導入通路22の通路径などにより、低μ路でのスリップをも早期に押さえることを可能にするために、0.2秒以下という極めて短い時間に設定する。
【0029】
このような第2スロットル弁4の閉動作により駆動力が低減されて、スリップ率が低下すると、トラクションコントロールユニット7からの駆動力低減要求信号が解除される。
この信号解除により、三方電磁弁21がON状態からOFF状態になり、三方電磁弁21において、負圧側ポートP1を閉じて、大気圧側ポートP2を開く。よって、負圧ダイアフラム装置15の負圧作動室18には大気圧が導入され、スプリング19によりダイアフラム16を図1で左方に変位させて、第2スロットル弁4を全開位置に復帰させる。
【0030】
このときの全閉位置から全開位置までの動作時間(図3のt2)は、負圧導入通路22の通路抵抗に比し、大気導入通路25側にオリフィス26を設けて、通路抵抗を大きくすることにより、全開位置から全閉位置までの動作時間の10倍以上である、2〜7秒に設定する。これは、低μ路での再スリップの急激な発生を防止すると共に、スリップ抑制後に適度な加速性を得られる時間に設定する。
【0031】
また、本実施例において、何らかの原因で負圧が消失した場合は、負圧ダイアフラム装置16の負圧作動室18内は大気圧となるが、このとき、第2スロットル弁4は全開位置をとる。従って、かかる故障時にも走行が可能となる。
更に、負圧ダイアフラム装置15の出力ロッド17の欠損等により、第2スロットル弁4が自由になった場合は、この第2スロットル弁4の弁軸11が吸気通路の中心から偏心して設けられていて、弁軸11を挟んで左右の弁体部分の受圧面積に差があるので、第2スロットル弁4が閉じようとしても、第2スロットル弁4の上・下流の圧力差(下流側が負圧)により、第2スロットル弁4に開弁方向のモーメントが作用する。よって、かかる故障時にも第2スロットル弁4を開弁させて、走行が可能となる。
【0032】
次に、走行状況に応じて実行される具体的な制御(トラクション制御)について図4のフローチャートに従って説明する。
ステップ(図ではSと記す。以下同様)1では、前記したように前輪と後輪との車輪速の差からトラクション制御を行うべき所定レベル以上のスリップを発生しているか否かを判定する。スリップが発生していないと判定されたときはステップ8で第2スロットル弁4を全開に維持してこのルーチンを終了する。
【0033】
スリップの発生が検出されると、ステップ2へ進み、回転速度センサ32によって検出されたエンジン回転速度Nが、設定回転速度N0以下であるか否かを判定する。
ここで、前記設定回転速度N0は、既述したように第2スロットル弁4の全閉開度(例えば1/8開度)に維持した場合にエンジン回転速度の増大によって吸気負圧が増大してエンジントルクが減少していく、該エンジントルクが当該エンジン回転速度を維持するのに必要なトルクと釣り合うときの回転速度に設定され、従って、該設定回転速度N0より高速では回転の維持に必要なトルクが不足して負のトルクが発生することになる(図5参照)。
【0034】
したがって、ステップ2でN>N0 と判定されたときは、前記のように第2スロットル弁4を全閉開度に閉じると負のトルクが発生してエンジンブレーキが生じることとなるので、これを防止すべくステップ8へ進んで第2スロットル弁4を全開に維持してこのルーチンを終了する。
ステップ2でN≦N0 と判定されたときは、第2スロットル弁4を閉じてもエンジン回転速度N自体を原因としたエンジンブレーキは発生しないため、トラクション制御を行う余地があると判断してステップ3へ進む。
【0035】
ステップ3では、変速機のギア比NTに応じてギア比NT毎に設定された設定車速Voを入力する。ここで、ギア比NTはギア比センサを設けて検出してもよいが、自動変速機等ではスロットル開度と車速等で変速パターンに従って変速が行われるので、これらスロットル開度と車速等の組み合わせによって検出することもできる。そして、前記設定車速Voは、車速の増大によって増大する走行負荷(詳細には車速に二乗に比例する空気抵抗と車両重量と転がり摩擦係数との積により予め求められている転がり抵抗との和として算出される)と、前記第2スロットル弁4を全閉位置に閉じたときのエンジンの出力トルクとギア比NTとにより求められる車両の駆動力とが釣り合うときの車速に設定されている。したがって、該設定車速Voより高車速では車両の駆動力が走行負荷を下回ってエンジンブレーキを生じることになる(図6参照)。
【0036】
そこで、ステップ4では、前記車輪速センサ6A,6Bのいずれかで検出された車輪速、若しくはこれら車輪速検出値の平均値として算出される車速Vが、前記設定車速V0 以下であるか否かを判定する。
そして、ステップ4でV>V0 と判定されたときには、前記したように第2スロットル弁4を全閉位置まで閉じるとエンジンブレーキを生じることとなるから、ステップ8へ進んで第2スロットル弁4を全開に維持してこのルーチンを終了する。
【0037】
このように、前記各条件では駆動力減少制御手段の作動を禁止したことによりエンジンブレーキが誘発されることなく車両の減速感の発生が防止され、FR車におけるスピン,FF車における操舵感劣化,タックインの発生を防止でき、良好な走行性能を維持できる。
以上ステップ2の判定又はステップ4の判定でステップ8に進んで第2スロットル弁4を全開に維持する機能が、駆動力減少制御禁止手段を構成する。
【0038】
ステップ4でV≦V0 と判定されたときには、第2スロットル弁4を閉じてもエンジンブレーキを発生することなく、現在の車速以上を維持できる状態であるので、ステップ5へ進み、三方電磁弁21をONとして第2スロットル弁4を全閉とする。即ち、前記第2スロットル弁4及びその駆動装置と該ステップ4の機能とが駆動力減少制御手段を構成する。
【0039】
さらにステップ6, ステップ7へ進み、スリップ状態に応じてスロットル開度制御より応答性の高い燃料カットを行う気筒数を制御する第2の駆動力減少制御を行う。
具体的には、最適な走行が行えるスリップの目標値を設定し、ステップ6で検出されたスリップとの偏差εに応じて要求燃料カット量CをPID制御によって算出し、ステップ7で該算出値に見合った気筒数の燃料カットを行う。前記要求燃料カット量Cは次式により演算される。
【0040】
C=kP ・ε+kI ・∫εdt+kD ・ dε/dt , (kP , kI , kD はP分, I分, D分のゲイン)
このようにして、スリップが発生すると、燃料カットにより高応答で駆動力を低減でき、その後第2スロットル弁4が閉じられることで燃料カットの制御分担が減少し、排気温度の高温化を防止して触媒劣化を防止できる。そして、第2スロットル弁が開けられる時、その速度は比較的遅いため、再スリップの急な発生を防止できると共に、燃料カット気筒数を制御することで、スリップを目標値近傍に維持しつつ最適な駆動力で走行することができるのである。
【0041】
【発明の効果】
以上説明してきたように請求項1の発明によれば、スリップ発生時のエンジン回転速度が、スロットル弁を全閉位置に制御した場合にエンジン出力トルクが当該エンジン回転速度を維持するのに必要なトルクと釣り合うときの回転速度より大きい高走行負荷状態を検出した場合には、駆動力減少制御手段の作動が禁止される構成としたため、負のエンジントルクの発生によるエンジンブレーキの発生が防止されて車両の減速を防止できる。
また、請求項2の発明によれば、スリップ発生時の車速が、車速によって求められる走行抵抗が前記スロットル弁を全閉位置に制御した場合に発生する車両の駆動力と釣り合うときの車速より大きい高走行負荷状態を検出した場合には、駆動力減少制御手段の作動が禁止される構成としたため、負のエンジントルクの発生によるエンジンブレーキの発生が防止されて車両の減速を防止できる。
【0042】
また、請求項3の発明によれば、駆動力減少制御手段の駆動源としてダイアフラム装置を用いることにより、最も簡易で信頼性が高く、低コストな装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一自動変速機を示す車両全体のシステム図。
【図2】 同上実施例における第2スロットル弁の駆動装置のシステム図。
【図3】 動作時間特性を示す図。
【図4】 同上実施例の駆動力制御の例を示すフローチャート。
【図5】 前記第2スロットル弁全閉時のエンジン回転速度とエンジントルクとの関係を示す線図。
【図6】 車速に対する走行抵抗と第2スロットル弁全閉時の車両の駆動力との関係を示す線図。
【図7】車速に対する走行抵抗と第2スロットル弁全閉時の車両の駆動力との関係を示す線図。
【符号の説明】
1 エンジン
2 吸気通路
3 スロットル弁
4 第2スロットル弁
5A,5B 車輪速センサ
6A,6B 車輪速センサ
7 トラクションコントロールユニット
8 エンジンコントロールモジュール
10 チャンバ
15 負圧ダイアフラム装置
31 燃料噴射弁
32 回転速度センサ
Claims (3)
- エンジンの吸気通路に配設され、全開位置と所定開度の全閉位置との2段階に切換制御されるスロットル弁と、
車両の駆動輪のスリップ状態を検出するスリップ状態検出手段と、
検出されたスリップ状態に応じて前記スロットル弁を全閉位置に制御して車両の駆動力を減少させる駆動力減少制御手段と、
前記スロットル弁を全閉位置に制御した場合にエンジン出力トルクが当該エンジン回転速度を維持するのに必要なトルクと釣り合うときの回転速度を設定し、スリップ発生時のエンジン回転速度が、前記設定された回転速度より大きいときを、高い走行負荷状態と検出する走行負荷検出手段と、
前記走行負荷検出手段により前記高い走行負荷状態が検出されたときには、前記駆動力減少制御手段の作動を禁止する駆動力減少制御禁止手段と、
を含んで構成したことを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - エンジンの吸気通路に配設され、全開位置と所定開度の全閉位置との2段階に切換制御されるスロットル弁と、
車両の駆動輪のスリップ状態を検出するスリップ状態検出手段と、
検出されたスリップ状態に応じて前記スロットル弁を全閉位置に制御して車両の駆動力を減少させる駆動力減少制御手段と、
車速によって求められる走行抵抗が前記スロットル弁を全閉位置に制御した場合に発生する車両の駆動力と釣り合うときの車速を設定し、スリップ発生時の車速が、前記設定された車速より大きいときを、高い走行負荷状態と検出する走行負荷検出手段と、
前記走行負荷検出手段により前記高い走行負荷状態が検出されたときには、前記駆動力減少制御手段の作動を禁止する駆動力減少制御禁止手段と、
を含んで構成したことを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 前記駆動力減少制御手段は、前記スロットル弁の駆動用アクチュエータとして、負圧作動室に導入される負圧の有無に応じたダイアフラムの変位により前記スロットル弁を全開位置と所定開度の全閉位置とに駆動する負圧ダイアフラム装置を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の駆動力制御装置。
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JP29841094A JP3627265B2 (ja) | 1994-12-01 | 1994-12-01 | 車両の駆動力制御装置 |
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