JP3621662B2 - 自動車用ウェザーストリップ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボディのドア開口部に沿って取付けられる自動車用ウェザーストリップに関する。
【０００２】
【従来の技術】
図３乃至図５に示すように、自動車のボディＢに沿ってウェザーストリップが取付けられている。ウェザーストリップは、ドアＤの開口部に沿って設けられたフランジＦに挿入される断面略Ｕ字形の取付基部１０と、その取付基部１０の車外側側壁１１に一体成形され、ドア閉時にドアＤに弾接する中空シール部２０とからなる。中空シール部２０はブリッジ２５によってその内部が仕切られている。なお、取付基部１０の両側壁１１，１２の内側には挿入時にフランジＦの面に摺接する突条片１５が設けられ、また車内側側壁１２には舌状のシールリップ部１６が設けられている。取付基部１０には芯金１７が埋設されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
中空シール部２０には、上述したようにブリッジ２５が設けられているが、ドア閉時には、図６に示すように、中空シール部２０の全体が形状変形するので、ブリッジ２５の機能は十分ではない。
そのため、図４に示すように、特にコーナー部Ｐにおいては、皺が発生しやすく、Ｒ追従性が悪いという問題がある。
【０００４】
また、図７及び図８に示すように、中空シール部２０内のブリッジ２５の連結位置を、中空シール２０のドアＤに対する弾接面の部位と、同じく中空シール部２０の取付基部１０の車外側側壁１１側の付け根部側の部位との間にし、剛性を向上させるとＲ追従性は改善される。
【０００５】
しかし、これらの中空シール部２０（図５及び図７で示したもの）は、全体が変形するように形状が丸形状であるため、ドア閉時のドアＤとの弾接によって、図９（ａ）で示すような荷重曲線になる。すなわち、ドア閉時の荷重が急激に上昇するので、ドア閉じ性能が悪化するといった問題が予測される。
【０００６】
そこで本発明の目的は、ドア閉じ性能を向上させるとともに、特にコーナー部においてはＲ追従性を改善するウェザーストリップを提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項１に記載の自動車用ウェザーストリップは、ボディ（Ｂ）のドア（Ｄ）開口部に沿って設けられたフランジ（Ｆ）に挿入して取付けられる断面略Ｕ字形の取付基部（１０）と、及び、取付基部（１０）の車外側側壁（１１）に一体成形され、ドア（Ｄ）閉時にドア（Ｄ）に弾接する中空シール部（３０）と、を備えたものであって、中空シール部（３０）を、取付基部（１０）の車外側側壁（１１）の、取付基部（１０）の底壁（１３）側寄り部位から外側に広がるように突設させた第一壁面（３１）と，取付基部（１０）の車外側側壁（１１）の、取付基部（１０）の車外側側壁（１１）の端部寄り部位から外側に広がるように突設させた、第一壁面（３１）よりも長さの長い第二壁面（３２）と，第二壁面（３２）の端部に一端が接続されるとともに、第二壁面（３２）とで略く字形を形成する第三壁面（３３）と，並びに、第三壁面（３３）の他端に一端が接続され、他端が第一壁面（３１）の端部に接続された、車外側に膨出する曲面状でかつ他の壁面（３１，３２，３３）よりも長さの長い第四壁面（３４）と，で構成するとともに、第一壁面（３１）と第二壁面（３２）は、取付基部（１０）の車外側側壁（１１）から外側に広がるように逆ハ字形に突設させられ、しかも、第二壁面（３２）と第四壁面（３４）との間にブリッジ（３５）を設け、そのブリッジ（３５）の一端を、第二壁面（３２）の略中間部に、そして他端を、第四壁面（３４）のドア（Ｄ）に対する弾接面の部位で、第四壁面（３４）の略中間部よりも第三壁面（３３）側に少し寄った部位に接続し、ドア（Ｄ）閉時に、中空シール部（３０）の屈曲点を、第二壁面（３２）と第三壁面（３３）との接続部位（Ｍ），第三壁面（３３）と第四壁面（３４）との接続部位（Ｎ），及び第一壁面（３１）と第四壁面（３４）との接続部位（Ｔ）にしたことを特徴とする。
【０００８】
また請求項２に記載の発明は、第二壁面（３２）と第三壁面（３３）との接続部位（Ｍ），及び、第三壁面（３３）と第四壁面（３４）との接続部位（Ｎ）の肉厚を、中空シール（３０）の他の部位に比して、薄くしたことを特徴とする。
【０００９】
さらに請求項３に記載の発明は、前記ブリッジ（３５）を、第一壁面（３１）側に向けて膨出湾曲させたことを特徴とする。
【００１０】
また請求項４に記載の発明は、前記取付基部（１０）には芯金（１７）が埋設され、その芯金（１７）を前記第二壁面（３２）の略中央付近まで延設させたことを特徴とする。
【００１１】
なお括弧内の記号は、図面および後述する発明の実施の形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【００１２】
請求項１に記載の発明によれば、ドア閉時にドアが中空シール部に弾接すると、中空シール部は、設けられた第二壁面と第三壁面との接続部位，第三壁面と第四壁面との接続部位，及び第一壁面と第四壁面との接続部位を中心に屈曲する。そして、ブリッジが第二壁面と、一番長さが長くしかも曲面状の第四壁面との間に設けてあるので、第四壁面のブリッジが設けられた部位と、第一壁面と第四壁面との接続部位との間の範囲が、中空シール部の他の部位に比して大きく外側に向けて湾曲変形させられる。このとき、第三壁面と第四壁面との接続部位は、第四壁面が湾曲変形する外側に引かれるので、略く字形を形成する第二壁面と第三壁面との接続部位は屈曲しても大きく外側（第四壁面が湾曲する外側とは逆側）に突出することはない。
その結果、図９（ｂ）で示すように圧縮量の変化に対して荷重の変動が少ないフラットな区間が生じるので、ドア閉時の荷重が急激に上昇することが抑制され、ドア閉じ性能が改善される。
【００１３】
また請求項２に記載の発明によれば、屈曲点となる、第二壁面と第三壁面との接続部位，及び、第三壁面と第四壁面との接続部位の肉厚を、中空シールの他の部位に比して、薄くしたので、屈曲が一層容易になる。
【００１４】
さらに請求項３に記載の発明によれば、ブリッジを、第一壁面側に向けて膨出湾曲させたので、第四壁面のブリッジが設けられた部位と、第一壁面と第四壁面との接続部位との間の範囲を一層大きく外側に向けて湾曲変形させることができる。
【００１５】
また請求項４に記載の発明によれば、取付基部に埋設された芯金を第二壁面の略中央付近まで延設させたので、第二壁面に連結されたブリッジの一端が強固に固定される。これにより、そのブリッジの他端に連結された第四壁面の大幅なＲ追従性の向上が図れ、皺の発生を防止することができる。
【００１６】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図１及び図２を参照して説明する。図１は、ドアＤが自動車用ウェザーストリップに弾接する前の状態，図２は弾接した後の状態の断面をそれぞれ示している。
本発明の実施の形態に係る自動車用ウェザーストリップは、従来例で示したもの（図５，図７）と同様にボディＢのドアＤ開口部に沿って設けられたフランジＦに挿入して取付けられる取付基部１０と、及び、取付基部１０の車外側側壁１１に一体成形され、ドアＤ閉時にドアＤに弾接する中空シール部３０と、を備えたものである。
【００１７】
取付基部１０は、車外側側壁１１と，車内側側壁１２と，それら両側壁１１，１２を連結する底壁１３からなる断面略Ｕ字形であり、両側壁１１，１２の内側には挿入時にフランジＦの面に摺接する突条片１５が設けられ、また車内側側壁１２には舌状のシールリップ部１６が設けられている。また取付基部１０には芯金１７が埋設されている。
【００１８】
一方、中空シール部３０は、第一壁面３１，第二壁面３２，第三壁面３３，及び第四壁面３４から構成されている。
第一壁面３１の一端は、取付基部１０の車外側側壁１１の底壁１３側寄り部位に接続され、他端が外側に広がるように設けられている。また、第二壁面３２の一端は、同じく取付基部１０の車外側側壁１１の端部寄り部位に接続され、他端が外側に広がるように設けられている。すなわち、第一壁面３１と第二壁面３２とは、略直線状であり、車外側側壁１１に対して逆ハ字形になるように突設してある。第一壁面３１の長さは、第二壁面３２の長さの略半分である。
【００１９】
第三壁面３３の一端は、第二壁面３２の端部に接続され、他端が内側に延び、第一壁面３１に略平行になるように設けられている。すなわち、第三壁面３３は、第二壁面３２に対して略直角に延びるもので、第二壁面３２とで略く字形を形成している。第三壁面３３の長さは第二壁面３２と同様である。
第四壁面３４の一端は、第三壁面３３の他端に接続され、他端が第一壁面３１の端部に接続されている。第四壁面３４は、車外側、すなわちドアＤに弾接する側に向けて膨出する曲面状をしている。また第四壁面３４の長さは他の壁面３１，３２，３３よりも長い。第四壁面３４がドアＤに弾接する面とされる。
【００２０】
第二壁面３２と第四壁面３４との間にはブリッジ３５を設けてある。ブリッジ３５の一端は、これに限定されるものではないが、第二壁面３２の略中間部に、そして他端は、第四壁面３４の略中間部よりも第三壁面３３側に少し寄った部位に接続されている。しかもブリッジ３５は、第一壁面３１側に向けて膨出湾曲している。さらに、第二壁面３２と第三壁面３３との接続部位Ｍ，第三壁面３３と第四壁面３４との接続部位Ｎ，及び第一壁面３１と第四壁面３４との接続部位Ｔが、ドアＤ閉時に中空シール部３０の屈曲点になるように、それぞれ接続部位Ｍ，Ｎ，Ｔを角にするとともに、接続部位Ｍ，Ｎの肉厚を、中空シール部３０の他の部位に比して薄くしてある。
【００２１】
これによって、第四壁面３４のブリッジ３５が設けられた部位と、第一壁面３１と第四壁面３４との接続部位Ｔとの間の範囲Ｌは、中空シール部３０の他の部位に比して大きく外側に向けて湾曲変形させられる。つまり、第一壁面３１，第二壁面３２はほとんどその位置は変化せず、第三壁面３３は接続部位Ｍを中心に折れ曲がるだけで、第四壁面３４だけが大きく、フランジＦの先端が延びる方向に略平行に外側に変形する。
その結果、図９（ｂ）で示すように圧縮量の変化に対して荷重の変動が少ないフラットな区間が生じるような荷重曲線になるので、ドア閉時の荷重が急激に上昇することが抑制され、ドア閉じ性能が改善される。
なお芯金１７は、第二壁面３２の略中央付近までその先端が延設され、剛性を保持している。また、スポンジゴムからなる第三壁面３３，第四壁面３４，ブリッジ３５に対して、第一壁面３１及び第二壁面３２を取付基部１０と同様にソリッドゴムとしているので剛性が強く変形しにくい。
【００２２】
このように中空シール部３０はその全体がほぼ均一に弾性変形するものではなく、大きく変形する部位Ｌは限られるため、特にコーナー部においては、大幅なＲ追従性の向上が図れ、皺の発生を防止することができる。
【００２３】
【発明の効果】
以上のとおり請求項１に記載の発明によれば、第二壁面と第三壁面との接続部位，第三壁面と第四壁面との接続部位，及び第一壁面と第四壁面との接続部位を屈曲点にし、しかもブリッジを第二壁面と一番長さの長い第四壁面との間に設けることにより、荷重曲線として変動が少ないフラットな区間を得ることができるので、ドア閉時の荷重が急激に上昇することが抑制され、ドア閉じ性能が改善される。
【００２４】
また請求項２に記載の発明によれば、屈曲点となる、第二壁面と第三壁面との接続部位，及び、第三壁面と第四壁面との接続部位の肉厚を、中空シールの他の部位に比して、薄くしたので、屈曲が一層容易になる。
【００２５】
さらに請求項３に記載の発明によれば、ブリッジを、第一壁面側に向けて膨出湾曲させたので、第四壁面のブリッジが設けられた部位と、第一壁面と第四壁面との接続部位との間の範囲を一層大きく外側に向けて湾曲変形させることができる。
【００２６】
また請求項４に記載の発明によれば、取付基部に埋設された芯金を第二壁面の略中央付近まで延設させたので、第二壁面に連結されたブリッジの一端が強固に固定される。これにより、そのブリッジの他端に連結された第四壁面の大幅なＲ追従性の向上が図れ、皺の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態に係るウェザーストリップを示す拡大断面図であり、図４のＡ−Ａ線拡大断面図に相当する図である。
【図２】図１のウェザーストリップの形状が変形する様子を示す拡大断面図である。
【図３】車体の外観側面図である。
【図４】図３のＸ部に取付けられるウェザーストリップを示す拡大斜視図である。
【図５】従来例に係るウェザーストリップを示す拡大断面図であり、図４のＡ−Ａ線拡大断面図に相当する図である。
【図６】図５のウェザーストリップの形状が変形する様子を示す拡大断面図である。
【図７】従来例に係るもう一つのウェザーストリップを示す拡大断面図であり、図４のＡ−Ａ線拡大断面図に相当する図である。
【図８】図のウェザーストリップの形状が変形する様子を示す拡大断面図である。
【図９】ドア閉時の荷重曲線を示すグラフであり、（ａ）は図７で示した従来例の場合を示し、（ｂ）は本発明の実施形態に係るウェザーストリップの場合を示す。
【符号の説明】
１０ 取付基部
１１ 車外側側壁
１２ 車内側側壁
１３ 底壁
１５ 突条片
１６ シールリップ部
１７ 芯金
２０ 中空シール部
２５ ブリッジ
３０ 中空シール部
３１ 第一壁面
３２ 第二壁面
３３ 第三壁面
３４ 第四壁面
３５ ブリッジ
Ｂ ボディ
Ｄ ドア
Ｆ フランジ
Ｌ 範囲
Ｍ 第二壁面３２と第三壁面３３との接続部位
Ｎ 第三壁面３３と第四壁面３４との接続部位
Ｐ コーナー部
Ｔ 第一壁面３１と第四壁面３４との接続部位

Claims (4)

1. ボディ（Ｂ）のドア（Ｄ）開口部に沿って設けられたフランジ（Ｆ）に挿入して取付けられる断面略Ｕ字形の取付基部（１０）と、及び、該取付基部（１０）の車外側側壁（１１）に一体成形され、ドア（Ｄ）閉時にドア（Ｄ）に弾接する中空シール部（３０）と、を備えた自動車用ウェザーストリップであって、
   前記中空シール部（３０）を、
   前記取付基部（１０）の車外側側壁（１１）の、取付基部（１０）の底壁（１３）側寄り部位から外側に広がるように突設させた第一壁面（３１）と，
   前記取付基部（１０）の車外側側壁（１１）の、取付基部（１０）の車外側側壁（１１）の端部寄り部位から外側に広がるように突設させた、前記第一壁面（３１）よりも長さの長い第二壁面（３２）と，
   該第二壁面（３２）の端部に一端が接続されるとともに、第二壁面（３２）とで略く字形を形成する第三壁面（３３）と，
   並びに、該第三壁面（３３）の他端に一端が接続され、他端が前記第一壁面（３１）の端部に接続された、車外側に膨出する曲面状でかつ他の壁面（３１，３２，３３）よりも長さの長い第四壁面（３４）と，で構成するとともに、
   前記第一壁面（３１）と前記第二壁面（３２）は、前記取付基部（１０）の車外側側壁（１１）から外側に広がるように逆ハ字形に突設させられ、
   しかも、前記第二壁面（３２）と第四壁面（３４）との間にブリッジ（３５）を設け、そのブリッジ（３５）の一端を、第二壁面（３２）の略中間部に、そして他端を、第四壁面（３４）のドア（Ｄ）に対する弾接面の部位で、第四壁面（３４）の略中間部よりも第三壁面（３３）側に少し寄った部位に接続し、
   ドア（Ｄ）閉時に、中空シール部（３０）の屈曲点を、第二壁面（３２）と第三壁面（３３）との接続部位（Ｍ），第三壁面（３３）と第四壁面（３４）との接続部位（Ｎ），及び第一壁面（３１）と第四壁面（３４）との接続部位（Ｔ）にしたことを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
2. 前記第二壁面（３２）と第三壁面（３３）との接続部位（Ｍ），及び、第三壁面（３３）と第四壁面（３４）との接続部位（Ｎ）の肉厚を、前記中空シール（３０）の他の部位に比して、薄くしたことを特徴とする請求項１に記載の自動車用ウェザーストリップ。
3. 前記ブリッジ（３５）を、前記第一壁面（３１）側に向けて膨出湾曲させたことを特徴とする請求項１又は２に記載の自動車用ウェザーストリップ。
4. 前記取付基部（１０）には芯金（１７）が埋設され、その芯金（１７）を前記第二壁面（３２）の略中央付近まで延設させたことを特徴とする請求項１乃至３のうちいずれか一つに記載の自動車用ウェザーストリップ。

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