JP3618970B2 - 貼付剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスター剤やパップ剤として知られている溶剤型アクリル系の粘着剤を用いた、人体への安全性、薬物の光安定性、薬物の吸収性に優れた貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、簡便な薬物の経皮投与手段として、基材上に薬物を含有してなる粘着剤層を形成したプラスター剤やパップ剤等の医療用貼付剤が広く用いられている。また、医療用貼付剤としては、薬物を含有していない粘着剤層をシートやテープ等の柔軟な基材の少なくとも片面に形成し、絆創膏等として用いられるものもある。
これら医療用貼付剤に使用する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等が用いられている。なかでも、アクリル系粘着剤は、耐熱性、耐久性及び耐水性等の種々の性能において優れており、粘着力等の要求される物性を種々のアクリル系モノマーの組み合わせでコントロールできることから広く使用されている。
【0003】
一般的な医療用貼付剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物共重合体を溶液重合やエマルジョン重合によって重合し、その重合溶液に薬剤や添加剤等を混合した後、溶媒を乾燥、除去することにより製造される。
このような医療用貼付剤に適用される薬物や添加剤の中には、医療用貼付剤中で酸化されやすく、分解、着色しやすいものがある。これらの酸化は、製剤性能の低下や、分解物の吸収による皮膚刺激の発生等の問題を生じる。また、着色は、製剤の外観を著しく損なうものである。
【0004】
このような問題を解決するために、特公平5−310569号公報には、粘着剤層に低分子量体の抗酸化剤を添加し、カプトプリルの安定性を改善する技術が開示されている。しかし、粘着剤層に低分子量の抗酸化剤を添加した場合、抗酸化剤自体が経皮吸収される等の問題があった。
【0005】
また、医療用貼付剤には、高い経皮吸収を発現させるために、経皮吸収促進剤の添加が広く行われている。特に、脂肪酸及びそのエステル、アミノ基を有する化合物は、吸収促進効果が高く、例えば、特開平8−113533号公報には、オレイン酸を経皮吸収促進剤として含有する貼付剤が、特開平5−148145号公報には、オレイン酸エチルを経皮吸収促進剤として含有する貼付剤が、特開平8−225448号公報には、クロタミトンを経皮吸収促進剤として含有する貼付剤が、特開平7−300418号公報には、ラウリン酸ジエタノールアミドを経皮吸収促進剤として含有する貼付剤が開示されている。
【0006】
しかしながら、不飽和脂肪酸及びそのエステル、アミノ基を有する化合物及びアミド結合を有する化合物は、光により劣化又は分解することにより、製剤が黄色に変色したり、薬物の安定性の低下、薬物の放出性の低下等の問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、薬物の光安定性に優れ、かつ、抗酸化剤が経皮吸収されない粘着剤を用いて、人体への安全性を確保しつつ、薬物の光安定性、薬物の吸収性に優れた貼付剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の貼付剤は、支持体の片面に、粘着剤と薬物とを含有する粘着剤層を設けてなる貼付剤であって、
上記粘着剤が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能であって反応性官能基を有するモノマーとからなり、抗酸化作用を持つ化合物を側鎖に結合させてなる共重合体であって、且つ、抗酸化作用を有するものからなることを特徴とする。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸及びアクリル酸を含むものをいう。
【0012】
本発明で用いられる上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル残基としては特に限定されず、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併用して用いてもよい。
【0013】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、上記アルキル残基を少なくとも1種有するものであれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の炭素数2〜18のアルキル基からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併用して用いてもよい。アルキル基の炭素数が1であったり、18を超えると、得られる粘着剤の粘着力が充分でなくなることがある。なかでも、アルキル基の炭素数が2〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられ、このようなものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。
【0014】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルには、粘着剤の製造に際し、必要とする粘着物性に応じて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合される他のモノマーを用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合されるモノマーとしては、従来より用いられているモノマーであれば特に限定されず、例えば、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ジアセトンアクリルアミド、アクリロニトリル、ジメチルアクリルアミド、エチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン等が挙げられる。これらモノマーの使用量の最大限度は、通常、上記モノマー組成物全体の40モル%である。
【0015】
また、他のモノマーとして、ビニル基、アリル基等のラジカル重合性の官能基を1分子中に2個以上有する多官能性モノマーを用いると、より高重合度の共重合体が得られ、凝集性の優れた粘着剤を得ることができる。
【0016】
上記多官能性モノマーとしては特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】
上記多官能性モノマーの添加量は、通常、共重合体全体の0.1重量%以下である。多官能性モノマーの添加量が0.1重量%を超えると、反応時の重合度の調整が困難になり、反応液がゲル化しやすくなる。また、ゲル化することなく共重合体溶液が得られた場合であっても、長時間安定に溶液状態を保つことが困難となる。従って、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル100モルに対して、上記多官能性モノマーは、0.001〜0.1モル、好ましくは、0.003〜0.07モルである。
【0018】
本発明において、上記共重合反応は、通常の溶液重合で行われ、常圧又は加圧下の不活性ガス雰囲気下、反応温度は、50〜120℃で行われる。反応温度が50℃未満であると、反応性が小さくなり、重合に長時間を要し、生産性が低下することがあり、反応温度が120℃を超えると、重合の反応性が大きくなり、重合反応の制御が困難な場合がある。なお、重合温度は一定温度として反応を行っても、上記好ましい温度範囲内において、適当な時間ごとに温度を変更して反応を行ってもよい。
【0022】
本発明で用いられる抗酸化作用を持つ化合物としては特に限定されず、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−エチルフェノール)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、エピガロカテキン、4,4′−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
【0023】
上記抗酸化作用を持つ化合物の配合量は、共重合体の0.01〜15重量%が好ましい。0.01重量%未満であると、所望の効果が得られず、15重量%を超えると、粘着剤の粘着性が低下し、貼付中に剥がれを起こし、充分な治療効果が得られなくなる。
【0024】
上記抗酸化作用を持つ化合物は、上記の共重合体の側鎖に結合される。この結合には通常の化学反応を用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマーと、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと共重合可能であって、反応性官能基を有するモノマーとを共重合し、得られた共重合体の上記反応性官能基に上記抗酸化作用を持つ化合物を結合させる方法等が挙げられる。
【0025】
上記反応性官能基としては特に限定されず、例えば、カルボニル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基等が挙げられる。これらを有する、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0026】
本発明において、上記共重合反応では、具体的には、重合反応器内に上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー組成物と上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと共重合可能であって、上記反応性官能基を有するモノマーを供給する。この場合、モノマー組成物を構成している各モノマーは、それぞれ所定量を一括でも、適宜適当な比率で分割して供給してもどちらでもよい。
更に、重合開始剤を添加して重合反応を進行させる。この場合、重合開始剤についても、所定量を一括して反応器に供給してもよく、分割して供給してもよい。
上記重合終了後に、重合反応器に上記抗酸化作用を持つ化合物を加えて、上記反応性官能基と反応させる。反応終了後、必要に応じて、未反応物を精製除去することにより、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能であって反応性官能基を有するモノマーとからなり、抗酸化作用を持つ化合物を側鎖に結合させてなる共重合体であって、且つ、抗酸化作用を有するものからなる粘着剤を得ることができる。
【0027】
上記重合における溶媒としては特に限定されず、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併用して用いてもよい。
上記重合開始剤としては特に限定されず、通常の熱ラジカル開始剤が用いられる。例えば、パーオキシカーボネート、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等の有機過酸化物;2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソ酪酸ジメチル等のアゾ化合物等が挙げられる。これらは重合温度に応じて適宜選択され、単独でも2種以上併用して用いてもよい。
上記重合開始剤の添加量は、共重合体を構成するモノマー100重量部に対して、0.0001〜5重量部が好ましい。
【0028】
上記粘着剤には、必要に応じて、珪酸、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機充填剤;高級脂肪酸エステル等の可塑化剤;エステルガム等の粘着付与剤が薬学的許容範囲内で添加されてもよい。
【0029】
上記粘着剤は、医療用粘着剤として、例えば、貼付剤等の医療用途に用いることができる。
【0030】
本発明は、支持体の片面に、上記粘着剤と薬物とを含有する粘着剤層を有する貼付剤である。
【0031】
上記支持体としては、従来より貼付剤として使用されている材料からなるものであれば特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、エチレンビニルアセテート、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−エチレン共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−エチレン共重合体、シリコン樹脂、ポリフッ化エチレン、ポリエステル、ポリウレタン、紙、植物繊維等が挙げられる。これらの素材は、単層のシートやフィルムとして、2枚以上の積層体として、又は、織布や不織布として用いられ、上記支持体の厚みは、10μm〜1mmが好ましい。
【0032】
上記粘着剤層は、上記支持体の片面に、展延して層を形成する。上記粘着剤層の厚みは、薄すぎると薬物の皮膚吸収量及び粘着力が不足し、厚すぎると貼付剤の柔軟性が不足し、皮膚に違和感が生じるので、20〜200μmの範囲が好ましい。
【0033】
上記粘着剤層中に含有される薬物としては特に限定されず、薬理効果を期待しうる物質であれば使用することができるが、血液中に移行することにより作用するものであるか又は投与部位局所に作用するものであることが好ましい。このようなものとしては、例えば、催眠鎮静剤、抗不安剤、解熱鎮痛消炎剤、抗パーキンソン剤、精神神経用剤、中枢神経用剤、局所麻酔剤、骨格筋弛緩剤、自律神経用剤、鎮痙剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、血管拡張剤、高脂血症剤、動脈硬化用剤、鎮咳去痰剤、気管支拡張剤、抗アレルギー剤、蛋白同化ステロイド剤、副腎皮質ホルモン剤、男性ホルモン剤、女性ホルモン剤、泌尿生殖器用剤、創傷保護剤、鎮痛・鎮痒・消炎剤、皮膚軟化剤、ビタミン剤、中毒解毒剤、痛風治療剤、酵素剤、糖尿病用剤、抗悪性腫瘍剤、抗ヒスタミン剤、抗生物質、麻薬、サイトカイン様物質等が挙げられる。
【0034】
上記薬物は、例えば、粘着剤溶液中に薬物の有機溶媒溶液又は分散液として添加される。上記有機溶媒としては、例えば、エタノール、酢酸エチル等が挙げられる。上記薬物の粘着剤溶液中の濃度は、用いる薬物の種類、粘着剤の種類によって異なるが、通常は、0.01〜15重量%が好ましい。0.01重量%未満であると、充分な薬物吸収性が得られず、15重量%を超えると、薬物が粘着剤中に溶けきらず、貼付剤表面に析出するため、良好な使用感を極めて損なう。より好ましくは、0.05〜10重量%である。
【0035】
本発明の貼付剤に用いられる薬物は、光に不安定性を有するものを使用することができる。
上記光に不安定性を有する薬物としては、分子内にアミノ基、アミド基、アミンオキシド基、ジアゾ基、ニトロ基のうち少なくとも1種を有するか、又は、ステロイド骨格を有しているもの等が挙げられる。
【0036】
上記分子内にアミノ基、アミド基、アミンオキシド基、ジアゾ基及びニトロ基のうち少なくとも1種を有するか、又は、ステロイド骨格を有している薬物としては特に限定されず、例えば、催眠鎮静剤・抗不安剤としては、メダゼパム、チオペンタールナトリウム、ドロペリドール等;解熱鎮痛消炎剤としては、アセトアミノフェン、メフェナム酸、スルピリン、エピリゾール、インドメタシン等;抗パーキンソン剤としては、塩酸ビペリデン、レボドパ、メシル酸ブロモクリプチン等;精神神経用剤としては、塩酸クロミプラミン、クロチアゼパム等;局所麻酔剤としては、塩酸リドカイン等;骨格筋弛緩剤としては、ダントロレンナトリウム等;自律神経用剤としては、メチル硫酸ネオスチグミン、臭化ジスチグミン、臭化ピリドスチグミン等;鎮痙剤としては、硫酸アトロピン、塩酸パパベリン等;強心剤としては、アミノフィリン、塩酸エチレフリン等;不整脈用剤としては、塩酸プロプラノロール、塩酸ブフェトロール、塩酸オクスプレノロール等;利尿剤としては、トリクロルメチアジド、アセタゾラミド、ブメタニド、フロセミド等;血圧降下剤としては、レセルピン、メチルドパ、酢酸グアナベンズ、ニソルジピン等;血管収縮剤としては、塩酸フェニレフリン等;血管拡張剤としては、塩酸ジルチアゼム、ニフェジピン、硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、硫酸バメタン等;動脈硬化用剤としては、ニセルゴリン等;鎮咳去痰剤としては、塩酸ブロムヘキシン、ノスカピン、ヒベンズ酸チペピジン等;気管支拡張剤・抗アレルギー剤としては、硫酸テルブタリン、硫酸サルブタモール、塩酸エフェドリン、塩酸プロカテロール、塩酸イソプロテレノール、硫酸オルシプレナリン等;副賢皮質ホルモン剤としては、エピネフリン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン等;男性・女性ホルモン剤としては、酢酸クロルマジノン、ノルエチステロン等;泌尿生殖器用剤としては、マレイン酸メチルエルゴメトリン等;創傷保護剤としては、アクリノール、塩化ベンゼトニウム等;鎮痛・鎮痒・消炎剤としては、ジフェンヒドラミン、クロタミトン等;ビタミン剤としては、ビタミンA、ビタミンC、パルミチン酸レチノール等;痛風治療剤としては、コルヒチン等;抗悪性腫瘍剤としては、メルファラン、シクロホスファミド、チオテパ、メルカプトプリン等;抗ヒスタミン剤としては、マレイン酸クロルフェニラミン、プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ホモクロルシクリジン等;抗生物質としては、セファクロル、テトラサイクリン等;麻薬としては塩酸モルヒネ、リン酸コデイン等が挙げられる。
【0037】
本発明の貼付剤は、支持体の片面に設けられた粘着剤層中に経皮吸収促進剤を含有してもよい。
【0038】
上記経皮吸収促進剤としては、光に不安定性を有するものを使用することができる。
上記経皮吸収促進剤としては、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、分子内にアミノ基を有する化合物、及び、分子内にアミド結合を有する化合物等が用いられる。これらは単独でも2種以上併用して用いてもよい。
【0039】
上記不飽和脂肪酸としては特に限定されず、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
上記不飽和脂肪酸エステルとしては特に限定されず、例えば、上記不飽和脂肪酸とメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、セチルアルコール等の脂肪族アルコール;プロピレンアルコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価高アルコール;ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテルとのエステル等が挙げられる。
【0040】
上記分子内にアミノ基を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、テトラデシルアミン、オレイルアミン等の一級アルキルアミン;ジオレイルアミン等の二級アルキルアミン;ドデシルジメチルアミン等の三級アルキルアミン;ポリオキシエチレン(5)ステアリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のエタノールアミン等が挙げられる。
【0041】
上記分子内にアミド結合を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸アミド、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸ジエタノールアミド、クロタミトン等の脂肪酸若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸と一級アミン又は二級アミンとのアミド化合物;ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド等のアミドアミン等が挙げられる。
【0042】
また、上記経皮吸収促進剤としては、一価又は多価のアルコール、一価又は多価の有機酸、脂肪酸エステル、界面活性剤等であってもよい。これらは単独でも2種以上併用して用いてもよい。
上記一価又は多価のアルコールとしては、炭素数8〜14の一価アルコール及び多価アルコールが用いられる。上記一価アルコールの炭素数が7以下であると、揮発性が高く、炭素数が15以上になると、吸収促進効果が低下する。このようなものとしては、例えば、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、セチルアルコール等が挙げられる。
上記多価アルコールとしては特に限定されず、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン等が挙げられる。
【0043】
上記一価又は多価の有機酸としては、炭素数8〜20のモノカルボン酸、炭素数2〜8のジカルボン酸又はその塩、炭素数3〜8のヒドロキシジカルボン酸又はその塩が使用できる。
上記モノカルボン酸は、炭素数が7以下になると酸性が強く、人体には適用できなくなり、炭素数が21以上になると吸収促進効果が低下するため、炭素数8〜20のものが用いられる。このようなものとしては、例えば、カプリン酸、ノナン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。
上記ジカルボン酸は、炭素数が9以上になると吸収効果が低下するので、炭素数2〜8のものが用いられる。このようなものとしては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸等の飽和脂肪族直鎖ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられ、上記ジカルボン酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等が挙げられる。
上記ヒドロキシジカルボン酸は、炭素数が9以上になると吸収促進効果が低下するので、炭素数が3〜8のものが用いられる。このようなものとしては、例えば、リンゴ酸、酒石酸及びこれらジカルボン酸の塩等が挙げられ、上記ヒドロキシジカルボン酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等が挙げられる。
【0044】
上記脂肪酸エステルとしては、炭素数10〜18の脂肪酸と炭素数1〜18の脂肪族一価アルコールとのエステルが用いられる。
上記脂肪酸エステルは、炭素数が10以下になると揮発しやすくなり、37以上になると吸収促進効果が低下するので、炭素数10〜36のものが用いられる。
上記炭素数10〜18の脂肪酸としては特に限定されず、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、カプリン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸;セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
上記炭素数1〜18の脂肪族一価アルコールとしては特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、セチルアルコール等の脂肪族飽和アルコール等が挙げられる。
【0045】
上記界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が用いられる。
上記ノニオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート等のソルビタンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0046】
上記アニオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基からなる群より選択される少なくとも1種を分子内に有するもの等が挙げられる。
上記カルボン酸基を有するものとしては特に限定されず、例えば、脂肪酸石鹸、エーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合物等のカルボン酸塩等が挙げられる。
上記スルホン酸基を有するものとしては特に限定されず、例えば、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸、エステルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等が挙げられる。
【0047】
上記硫酸エステル基を有するものとしては特に限定されず、例えば、硫酸化油、エステル硫酸塩、エーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アミド硫酸塩等が挙げられる。
上記リン酸エステル基を有するものとしては特に限定されず、例えば、アルキルリン酸塩、アミドリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルリン酸塩等が挙げられる。
【0048】
上記カチオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、脂肪酸アミン類、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
【0049】
上記両性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボキシベタイン;N−ラウリル−N,N−ジエタノールアミンオキシド等のアルキルアミンオキシド;スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
【0050】
上記経皮吸収促進剤の含有量は、粘着剤や他の基剤成分により左右されるが、少量になると薬剤の経皮吸収促進効果が得られず、多くなると結晶の析出、ブリードアウトが起こり、貼付感を著しく損なうため、粘着剤層中、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは、1〜15重量%である。
【0051】
【実施例】
以下に本発明の実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0052】
実施例1〜5
撹拌機、温度調節機、窒素ガス導入管、還流冷却管、加熱及び冷却ジャケットにより構成された重合反応器を用いた。
まず、重合反応器に窒素ガスをパージし、反応器内に残存する空気を排出した。さらに、表1に示した所定量のモノマー及び酢酸エチル100gを吸引供給した。次に、窒素ガスを流入しながら、30rpmで攪拌しながら重合器内を60℃に維持した。
開始剤溶液としてラウロイルパーオキサイド1.0gを全量30mLになるように酢酸エチルに溶解させ調製し、逐次、少量ずつ添加し、30時間重合した。重合終了後、表1記載の抗酸化作用を持つ化合物を所定量加え、15時間煮沸還流し、反応させた後、未反応物を精製除去した。この際、未反応物の量を測定し、反応した抗酸化作用を持つ化合物の結合量を計算した。次に、固形分濃度が30重量%になるように酢酸エチルを投入し、混合し、粘着剤A〜Eの溶液を取り出した。
【0053】
比較例1
表1に示した所定量のモノマー及び酢酸エチル150gを投入し、実施例1と同様、重合を実施した。抗酸化作用を持つ化合物の結合量を計算した。重合終了後、固形分濃度が30重量%になるように酢酸エチルを投入し、混合し、粘着剤Fの溶液を取り出した。
【0054】
比較例2
表1に示した所定量のモノマー及び酢酸エチル150gを投入し、実施例1と同様、重合を実施した。重合終了後、エピガロカテキン60gを加え、30時間煮沸還流し、反応させた後、未反応物を精製除去した。この際、未反応物の量を測定し、反応した抗酸化作用を持つ化合物の結合量を計算した。次に、固形分濃度が30重量%になるように酢酸エチルを投入し、混合し、粘着剤Gの溶液を取り出した。
【0055】
比較例3
表1に示した所定量のモノマー及び酢酸エチル150gを投入し、実施例1と同様、重合を実施した。抗酸化作用を持つ化合物の結合量を計算した。重合終了後、固形分濃度が30重量%になるように酢酸エチルを投入し、混合し、粘着剤Hの溶液を取り出した。
【0056】
比較例4
表1に示した所定量のモノマー及び酢酸エチル150gを投入し、実施例1と同様、重合を実施した。重合終了後、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン60gを加え、15時間煮沸還流し、反応させた後、未反応物を精製除去した。この際、未反応物の量を測定し、反応した抗酸化作用を持つ化合物の結合量を計算した。次に、固形分濃度が30重量%になるように酢酸エチルを投入し、混合し、粘着剤Iの溶液を取り出した。
【0057】
なお、表1中のEHAは、アクリル酸2−エチルヘキシル、EAは、アクリル酸エチル、OAは、アクリル酸オクチル、VPは、N−ビニルピロリドン、EHMAは、メタクリル酸2−エチルヘキシル、DMは、メタクリル酸ドデシル、HDAは、1,6−ヘキサンジオールジアクリル酸エステル、GMAは、メタアクリル酸グリシジル、MAは、無水マレイン酸、AAは、アクリル酸、TMEBは、1,1,3−トリス(2−メチル−4−エチルフェノール)ブタン(ヨシノックス930、吉富製薬社製)、4HPPは、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(トミノックスTT、吉富製薬社製)、EGCは、エピガロカテキン(三井農林社製)を表す。
【0058】
【表1】
【0059】
実施例6〜10及び比較例5〜8
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られた粘着剤溶液に固形分(酢酸エチルを乾燥させた後の重合物の重量)が25重量%となるように酢酸エチルを添加し、攪拌混合した。
上記のようにして混合された溶液を、シリコンで表面処理された厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが60μmとなるように塗布し、乾燥し、PET(22μm)/エチレンビニルアセテート(22μm)積層フィルムを張り合わせ、貼付剤を調製した。
得られた貼付剤を用いて下記の方法により粘着力を測定し、結果を表2に示した。また、粘着剤A〜Iの抗酸化作用を持つ化合物の結合量を併せて示した。
【0060】
粘着力評価
得られた貼付剤を12×250mmに切断し、予め37℃の恒温器に30分間放置した25×125×5mmのフェノール樹脂板に、一端を合わせて貼り付け、直ちに850gのゴムローラーを約300mm/minの速度で一往復する。これを37℃の恒温槽に30分間静置させた後、フェノール樹脂板に貼り付したサンプルの自由端を180°折り返し、試験板の先端から25mm剥がした後、レオメーターを用い、サンプルの自由端は上部に、試験板は下部に留め金で堅くはさみ、300mm/minの速度で連続して引き剥がし、約20mmの間隔で4回の荷重を測定した。なお、粘着力は100g・f/cm2 以上が望ましい。
【0061】
【表2】
【0062】
実施例11〜15及び比較例9、10
粘着剤溶液A〜F及びHにクロタミトンの酢酸エチル溶液を、固形分(酢酸エチルを乾燥させた後の重合物とクロタミトンの重量和)が25重量%となるように、且つ、固形分中の濃度が3重量%になるように添加し、攪拌混合した。
上記のようにして混合された溶液を、シリコンで表面処理された厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルム上に、乾燥後の厚みが60μmとなるように塗布し、乾燥し、PET(22μm)/エチレンビニルアセテート(22μm)積層フィルムを貼り合わせ、貼付剤を調製した。
得られた貼付剤を用いて、抗酸化剤の移行の有無と安定性の評価、薬物安定性評価を下記の方法により行い、結果を表3に示した。いずれの抗酸化作用を有する置換基も抽出液中には検出されなかった。従って、本発明の貼付剤は安定であり、かつ、皮膚への抗酸化剤の移行のない安全なものといえる。
【0063】
安定性・安全性評価
得られた貼付剤を30cm2 に切り取り、ポリエチレン透明包材に閉塞した後、水銀ランプ(300、360、400及び440nmの輝線スペクトルのもの)で照度60000lx照射下、25℃で保存した。
また、アルミニウム包材で閉塞したものを、60℃で保存した。14日後に取り出し、光劣化サンプル及び苛酷サンプルをメタノール50mlに24時間浸漬させ、抽出液中の抗酸化モノマー及び抗酸化作用を有する置換基をUV検出器により確認した。
【0064】
薬物安定性評価
得られた貼付剤を10cm2 に切り取り、アルミニウム/ポリエチレン包材に閉塞した後、60℃で保存した。また、初期サンプルとして、アルミニウム/ポリエチレン包材に閉塞したものを、25℃で保存した。14日後に取り出し、初期サンプル及び劣化サンプルの中の薬物含量をHPLC法で測定し安定性を評価した。
【0065】
【表3】
【0066】
実施例16〜20及び比較例11〜14
表4に示した粘着剤溶液に、薬物の酢酸エチル溶液を、固形分(酢酸エチルを乾燥させた後の重合物と薬物との重量和)が25重量%となるように、かつ、薬物の固形分中の濃度が、表4に示された濃度になるように加え、攪拌混合した。
上記のようにして混合された溶液を、シリコンで表面処理された厚さ75μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚みが60μmとなるように塗布し、乾燥し、PET(22μm)/エチレンビニルアセテート(22μm)積層フィルムを張り合わせ、貼付剤を調製した。
得られた貼付剤を用いて粘着力、薬物安定性の評価、抗酸化剤の移行の有無と安定性の評価を同様にして行い、皮膚透過性の評価を実施例17及び比較例11により得られた貼付剤を用いて下記の方法により行った。結果を表5及び表6に示した。いずれの抗酸化作用を有する置換基も抽出液中には検出されなかった。従って、本発明の貼付剤は安定であり、かつ、皮膚への抗酸化剤の移行のない安全なものといえる。
【0067】
in vitro皮膚透過性評価:
得られた貼付剤を10cm2 に切り取り、60℃で保存した。初期サンプルとしてアルミニウム/ポリエチレン包材で閉塞したものを25℃で保存した。14日後に取り出し、図1に示した拡散セル1によって、薬剤の皮膚透過試験を行った。拡散セル1は有底円筒状のレセプター槽2と、レセプター槽2の上に配置された有底円筒状のドナー槽3より形成されている。ドナー槽3の底壁中央部には開口部4が設けられており、底壁は周囲方向に延設され、フランジ5が設けられている。レセプター槽2の上部にはフランジ6が設けられ、側壁には側方に突出したサンプリング口7が取り付けられている。フランジ5とフランジ6とが対抗して重ね合わされて、ドナー槽3とレセプター槽2が気密かつ同心状に積み重ねられている。また、レセプター槽2内部にはマグネット攪拌子9が入れてある。
【0068】
ヘアレスマウス(雄、6週齢)を頸椎脱臼により層殺した後、直ちに背部皮膚を摘出し、皮下脂肪と筋層を除去して、約5×5cmの皮膚片8を得た。得られた皮膚片8を拡散セル1のフランジ5とフランジ6の間に装着し、ドナー槽3の開口部4を皮膚片8で完全に閉じた。貼付剤を3.14cm2 の円形に切断し、粘着性基剤層が皮膚片8に接するように皮膚片8の中央部に貼付した。
レセプター槽2にはレセプター液を満たし、37℃に保持された恒温槽内に設置し、マグネット攪拌装置によりマグネット攪拌子9を回転させ攪拌した。試験開始後5、18、24時間にサンプリング口7よりレセプター液1mLを採取し、採取したレセプター液中の薬剤含量を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。レセプター液採取に際しては、採取後、新鮮なレセプター液1mLを補充した。また、試験は3回行い、平均値を計算した。
【0069】
なお、レセプター液は、NaH2 PO4 が5×10−4mol/L、Na2 HPO4 が2×10−4mol/L、NaClが1.5×10−1mol/mL及びゲンタマイシンが10ppm溶解された水溶液に、1N−NaOH水溶液を添加して、pH7.2に調製した緩衝液を用いた。
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
実施例21〜26及び比較例15〜19
表7に示した粘着剤溶液に、薬物及び経皮吸収促進剤の酢酸エチル溶液又は分散液を、固形分(酢酸エチルを乾燥させた後の重合物と薬物と経皮吸収促進剤との重量和)が25%となるように、かつ、薬物及び経皮吸収促進剤の固形分中の濃度が、表7に示された濃度になるように加え、攪拌混合した。
上記のようにして混合された溶液を、シリコンで表面処理された厚さ75μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚みが60μmとなるように塗布し、乾燥し、PET(22μm)/エチレンビニルアセテート(22μm)積層フィルムを張り合わせ、貼付剤を調製した。
得られた貼付剤を用いて粘着力、薬物安定性の評価、抗酸化剤の移行の有無と安定性の評価を上記と同様にして行い、皮膚透過性の評価を実施例23、26及び比較例15、19により得られた貼付剤を用いて行った。結果を表8及び表9に示した。いずれの抗酸化作用を有する置換基も抽出液中には検出されなかった。従って、本発明の貼付剤は安定であり、かつ、皮膚への抗酸化剤の移行のない安全なものといえる。
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【0076】
【表9】
【0077】
評価結果から明らかなように、粘着剤中に抗酸化作用を持つ化合物が15重量%以上結合した粘着剤を用いた貼付剤は、粘着力が100g・f/cm2 未満となり、充分な貼付性が得られず、粘着剤中に抗酸化作用を持つ化合物が結合していない粘着剤を用いた貼付剤は、粘着剤中に抗酸化作用を持つ化合物が0.01〜15重量%結合している粘着剤を用いた貼付剤と比較して、経皮吸収促進剤含量及び薬物含量の明らかな低下が認められた。
また、薬物の皮膚透過量は、光による促進剤含量低下に伴い低下した。
【0078】
【発明の効果】
本発明の貼付剤は上述の構成からなり、薬物の光安定性に優れ、かつ、抗酸化剤が経皮吸収されない粘着剤を使用しているので、人体への安全性を確保しつつ、薬物の光安定性、薬物の吸収性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】皮膚透過性試験に用いた拡散セルの斜視図である。
【図2】塩酸プロカテロールの皮膚透過量を示す図である。
【図3】メチルテストステロンの皮膚透過量を示す図である。
【図4】塩酸プロカテロールの皮膚透過量を示す図である。
【符号の説明】
1 拡散セル
2 レセプター槽
3 ドナー槽
4 開口部
5 フランジ
6 フランジ
7 サンプリング口
8 皮膚片
9 マグネット攪拌子
Claims (7)
- 支持体の片面に、粘着剤と薬物とを含有する粘着剤層を設けてなる貼付剤であって、
上記粘着剤が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能であって反応性官能基を有するモノマーとからなり、抗酸化作用を持つ化合物を側鎖に結合させてなる共重合体であって、且つ、抗酸化作用を有するものからなることを特徴とする貼付剤。 - 支持体の片面に、請求項1記載の粘着剤と薬物と経皮吸収促進剤とを含有する粘着剤層を設けてなることを特徴とする貼付剤。
- 前記薬物は、光に不安定性を有するものである請求項1又は2記載の貼付剤。
- 前記薬物は、分子内にアミノ基、アミド基、アミンオキシド基、ジアゾ基及びニトロ基のうち少なくとも1種を有するか、又は、ステロイド骨格を有するものである請求項3記載の貼付剤。
- 前記経皮吸収促進剤は、光に不安定性を有するものである請求項2、3又は4記載の貼付剤。
- 前記経皮吸収促進剤は、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、分子内にアミノ基を有する化合物、及び、分子内にアミド結合を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項5記載の貼付剤。
- 前記経皮吸収促進剤は、一価又は多価のアルコール、一価又は多価の有機酸、脂肪酸エステル、及び、界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種である請求項2、3又は4記載の貼付剤。
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