JP3612745B2 - 車両用運動特性制御装置 - Google Patents

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  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば加速スリップ時のトラクション制御などの、車輪に付与する制動トルク及び駆動トルクを制御あるいは制動トルクのみを制御することによって車両の運動特性を向上させる車両用運動特性制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、例えば高圧のブレーキ油を吐出するポンプから車輪のホイールシリンダへのブレーキ油の給排を行って車輪に付与する制動トルクを制御すると共に、内燃機関への吸入空気量を制御するためのスロットルの開度を調整するなどして車輪に付与する駆動トルクを制御することによって、加速スリップ時のトラクション制御を行なう装置が知られている。このトラクション制御について図10を参照して説明する。図10(A)は常温時において良好な制御がなされた場合のスロットル開度、車速及びホイーリシリンダ(以下W/Cとも記す)のブレーキ油圧の概略変化を示すタイムチャートである。
【0003】
この例はメインスロットルとサブスロットルを有する2弁式の場合であり、アクセルを踏み込むと、全閉状態であったメインスロットルが開き、駆動輪速度が上昇する。そして、駆動輪速度が所定の加速スリップを判定するためのしきい値を超えると、全開状態であったサブスロットルを閉じ始める。一方、駆動輪のW/Cの油圧を増圧し始める。このように、駆動トルクと制動トルクを制御することによって加速スリップを低減させようとするものである。
【0004】
そして、この制動トルク制御に関して言えば、特にポンプ駆動のみでW/Cへの油圧供給を行なう場合には、スリップ低減制御時におけるブレーキ圧の増圧勾配がポンプの供給能力に左右されることになるのであるが、低温のためにポンプの吐出能力が悪化し、吐出油量が不足するため所望の増圧勾配が得られず、スリップ初期の過大なスリップが抑えられない場合が生じる。
【0005】
この低温時におけるポンプの吐出能力の悪化原因としては、ブレーキ油の粘性抵抗が増大が挙げられる。つまり、常温時と同じ増圧時間だけ増圧モードにしても低温時における実際のブレーキ油の増圧量は小さくなる。図10(B)には、その低温時の場合を示したもので、車速及びW/C油圧のタイムチャート中には比較のために常温時の場合を破線で示してある。これから判るように、サブスロットルを常温時と同じように閉じても、W/C油圧の特に初期の増圧勾配が小さくなって制動性能が低下してしまい、駆動輪速度が上昇し、結果としてスリップの収束性が悪化してしまうのである。
【0006】
また、ポンプの吐出能力の悪化原因としては、上述のブレーキ油の粘性抵抗の増大だけでなく、例えばポンプをバッテリで駆動させている場合には、低温のためにバッテリ電圧が低下するとやはり吐出能力が悪化してしまう。
このように、常温時と同様の制動トルク制御を実行しても、現実にW/C油圧が所定の高圧値に到達するまでの遅れ時間内に駆動輪の加速スリップは過大となり、加速スリップ制御の所期の目的を達成することができない。特に、坂路発進時には初期の加速スリップを小さく抑えなければ良好な発進、加速性能を得ることができず、また、旋回加速時にも車両安定性が失われ大きな問題となる。
【0007】
そこで、本発明では、ブレーキ油の粘性抵抗の増大あるいはポンプの吐出能力の低下を原因とする制動系制御性能の低下を、駆動トルクを制御する側において補償することと、制動トルクを制御する側自身における制御内容を補正することとを基本的な技術思想として提案する。
【0008】
一方、それらの内で駆動トルクを制御することに関して、例えば特開平3−202647号には、加速スリップの発生を予測して、予めスロットルの開度を加速スリップの抑制に適した初期開度に設定することによって、良好な加速性能を実現しようとするいわゆるスタンバイ制御を行なう加速スリップ制御装置が開示されている。
【0009】
これは、加速スリップが観測された時点からスロットル開度を目標値に一致させる動作を開始しても、現実にスロットル開度が目標値に一致するまでの遅れ時間内に駆動輪の加速スリップは過大となり、加速スリップ制御の所期の目的を達成することができなくなるのを防止するためのものである。その制御内容は、アクセルにより現在の走行路に対して過度の加速スリップが発生するほどのスロットル開度が指令されたとき、前回の加速スリップ制御時に学習した最適加速スリップ率を得る推定スロットル開度にまでスロットルの開度が調整される。すなわち、アクセルの操作量が加速スリップの発生が予測される基準値よりも大きくなった場合に、現実に加速スリップが発生した後に実行される加速スリップのフィードバック制御に先立って、前回の加速スリップ制御時に学習した最適と推定されるスロットル開度(スタンバイ開度)に直ちにスロットルを制御し、スロットルの駆動に要する遅れ時間を補償しようとするものである。そして、上記基準値は車両の加速状態に基づいて更新されるため、低μ路から高μ路に移った場合でも、基準値が車両の最新の走行路面の情報を反映したものとなるのである。
【0010】
しかしながら、上記スタンバイ制御では、走行前のスタンバイ開度は決定されていない。つまり、イグニションスイッチをオンした直後は上記のスタンバイ制御を実行することはできなかった。また、走行前のスタンバイ開度として例えば前回走行時の高μ路におけるスタンバイ開度をそのまま設定することも可能であるが、その場合でも、イグニションスイッチをオンした直後の状態としてはエンジンその他がまだ暖まっておらず、ブレーキ油も低温のままであるため、やはり上述したように、低温のためにポンプの吐出能力が悪化し、吐出油量が不足するため好適なトラクション制御を行うことができない。なお、上記スタンバイ制御についてさらに言えば、前回の加速スリップ制御時に学習した最適と推定されるスロットル開度(スタンバイ開度)にスロットルを制御する場合というのは、一旦走行した後の状態であるため、実際上にもエンジン等が暖まっており、ブレーキ油が低温のままであることは考えにくい。したがって、路面μ等の車外環境が同じであっても、ブレーキ油が低温であること等から常温時と同様のトラクション制御が実現されないのである。
【0011】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、トラクション制御などの、車輪に付与する制動トルク及び駆動トルクあるいは制動トルクのみを制御することによって車両の運動特性を向上させる車両用運動特性制御装置において、例えば低温等の理由でブレーキ油の粘性抵抗が増大し、あるいはポンプの吐出能力が低下して制動系制御性能が低下しても、正常時と同様の制御性能を得ることができるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、
高圧のブレーキ油を吐出するポンプから車輪のホイールシリンダへのブレーキ油の供給及び上記ホイールシリンダからのブレーキ油の排出を切り替え制御することによって、上記車輪に付与する制動トルクを制御する制動系制御手段と、上記車輪に付与する駆動トルクを制御する駆動系制御手段と、上記ブレーキ油の粘性抵抗の増大あるいは上記ポンプの吐出能力の低下を原因とする制動系制御性能の低下状態を検出する制動系制御性能低下状態検出手段と、その制動系制御性能低下状態に応じて、上記駆動系制御手段における駆動トルク制御を補正する駆動系制御補正手段とを備え、上記制動系制御性能低下状態検出手段は、ブレーキ油温度検出手段を備え、そのブレーキ油温度検出手段によって検出したブレーキ油の温度に基づいて上記制動系制御性能低下状態を推定することを特徴とする車両用運動特性制御装置である。
【0014】
請求項記載の発明は、
請求項記載の車両用運動特性制御装置において、上記ブレーキ油温度検出手段は、エンジン冷却水温度検出手段を備え、そのエンジン冷却水温度検出手段によって検出した冷却水の温度に基づいて上記ブレーキ油温度を推定することを特徴とする車両用運動特性制御装置である。
【0015】
請求項記載の発明は、
請求項1記載の車両用運動特性制御装置において、上記車輪に加速スリップが発生したことを検出する加速スリップ検出手段を備え、該加速スリップ検出手段によって加速スリップが検出された場合には、上記制動系制御手段が上記車輪に付与する制動トルクを制御し、上記駆動系制御手段が上記車輪に付与する駆動トルクを制御することによって、車両の駆動輪に発生する加速時のスリップを所望範囲に抑制するようにしたことを特徴とする車両用運動特性制御装置である。
【0016】
請求項記載の発明は、
請求項1または記載の車両用運動特性制御装置において、上記駆動系制御手段が、内燃機関への吸入空気量を制御するためのスロットルの開度を調整することによって上記駆動トルクを制御するようにしたことを特徴とする車両用運動特性制御装置である。
【0017】
請求項記載の発明は、
請求項1または記載の車両用運動特性制御装置において、上記駆動系制御手段は、内燃機関への吸入空気量を制御するためのスロットルの開度を指令するアクセルの操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、該アクセル操作量検出手段によって検出した上記アクセル操作量に基づいて加速スリップが発生すると予測された場合に、上記内燃機関の出力を抑制するように制御するスタンバイ制御手段とを備え、上記駆動系制御補正手段が、上記制動系制御性能低下状態に応じて、上記スタンバイ制御を開始するためのアクセル操作量を補正することを特徴とする車両用運動特性制御装置である。
【0018】
請求項記載の発明は、
請求項1または記載の車両用運動特性制御装置において、上記駆動系制御補正手段は、燃料噴射量・空燃比・点火時期の少なくとも一つを変更する変更手段を備えており、上記制動系制御性能低下状態に応じて、上記燃料噴射量・空燃比・点火時期の少なくとも一つを変更することを特徴とする車両用運動特性制御装置である。
【0019】
請求項記載の発明は、
予め設定された自動変速線に基づいて変速比を自動的に切り替えていく自動変速装置を備えた車両に適用された請求項1または記載の車両用運動特性制御装置において、上記駆動系制御補正手段は、上記自動変速線を変更する変速線変更手段を備えており、上記制動系制御性能低下状態に応じて、上記変速線を、シフトアップし易いようにあるいはシフトダウンし難いように変更することを特徴とする車両用運動特性制御装置である。
【0025】
【作用及び発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、制動系制御手段が、高圧のブレーキ油を吐出するポンプから車輪のホイールシリンダへのブレーキ油の供給及びホイールシリンダからのブレーキ油の排出を切り替え制御することによって、車輪に付与する制動トルクを制御する。一方、駆動系制御手段は、車輪に付与する駆動トルクを制御する。そして、制動系制御性能低下状態検出手段が、ブレーキ油の粘性抵抗の増大あるいはポンプの吐出能力の低下を原因とする制動系制御性能の低下状態を検出し、駆動系制御補正手段が、制動系制御性能低下状態検出手段によって検出された制動系制御性能低下状態に応じて、駆動系制御手段における駆動トルク制御を補正する。
【0026】
ブレーキ油の粘性抵抗の増大あるいはポンプの吐出能力の低下によって、常温時と同じように制動系制御を行っても実際のW/Cにおけるブレーキ油圧の増圧勾配が小さくなるなどの制動系制御性能の低下が生じる場合があるが、本発明では、その低下状態に応じて駆動トルク制御を補正するため、ブレーキ油の粘性抵抗の増大やポンプの吐出能力が低下していない場合と同じような適切な駆動力制御を行うことができる。例えば、ブレーキ油圧の増圧勾配が小さくなるような場合には、車輪に付与する駆動トルクを低下させる等して制動系制御性能の低下を補償し、正常時と同様の制御性能を得ることができるようにするのである。
【0027】
この駆動力制御の一例としては、請求項4に示すように、車輪に加速スリップが発生したことを検出し、制動系制御手段によって車輪に付与する制動トルクを制御し、駆動系制御手段によって車輪に付与する駆動トルクを制御することによって、車両の駆動輪に発生する加速時のスリップを所望範囲に抑制するいわゆるトラクション制御装置が挙げられる。以下の説明では、より理解を容易にするために、適宜トラクション制御を例に挙げて説明を進めていく。
【0028】
上述したように、例えば低温時においてはブレーキ油の粘性抵抗が増大したりあるいはポンプモータの駆動源であるバッテリ電圧が低下することによって、常温時と同じ増圧時間だけホイールシリンダへブレーキ油を供給したとしても、実際のブレーキ油の増圧量は小さく、トラクション制御をしている場合にはスリップの収束性が悪化してしまう。このような制動トルクの制御性能の低下があっても、本発明の場合には、その性能低下状態に応じて、駆動トルク制御側を補正するため、ポンプの吐出能力が低下していない場合と同じような適切な駆動力制御を行うことができ、トラクション制御などの車両の運動特性を向上させるための制御において、低温時であっても常温時と同様の制御性能を得ることができる。
【0029】
上記制動系制御性能低下状態検出手段は、例えばポンプの単位時間当りの吐出量を実際に検出し、常温時の値と比較することによって制御性能の低下状態を検出することもできるが、本発明の車両用運動特性制御装置では、ブレーキ油温度検出手段を備え、そのブレーキ油温度検出手段によって検出したブレーキ油の温度に基づいて制御性能の低下状態を推定することも考えられる。この場合には、例えばブレーキ油の温度と制御性能低下状態との関係をマップ等の形式で記憶させておき、そのマップ等を参照して低下状態を推定するようにすると検出が容易である。
【0030】
そして、このブレーキ油温度検出手段は、請求項に示すようにエンジン冷却水温度検出手段を備え、それによって検出した冷却水の温度に基づいてブレーキ油温度を推定するようにすることが考えられる。冷却水温度は車両における他の制御にも多く利用されているので、データの共用化ができて好ましい。
【0031】
一方、上記駆動系制御手段としては、請求項に示すように、内燃機関への吸入空気量を制御するためのスロットルの開度を調整することによって駆動トルクを制御するようにすることが考えられる。
また、請求項に示すように、アクセル操作量検出手段によって内燃機関への吸入空気量を制御するためのスロットルの開度を指令するアクセルの操作量を検出し、その検出したアクセル操作量に基づいて加速スリップが発生すると予測された場合には、スタンバイ制御手段が内燃機関の出力を抑制するように制御し、さらに駆動系制御補正手段が、制動系制御性能低下状態に応じてそのスタンバイ制御を開始するためのアクセル操作量を補正するようにしてもよい。
【0032】
内燃機関の出力を抑制するものとしては、スロットル開度を制御したり、フーエルカットしたりすること等が考えられる。例えば、制動系制御性能低下状態が所定値を超えた場合には、スロットル開度を、路面μが0.1程度の低めの値の場合に対応する所定開度に強制的に補正する等して、正常時と同様の制御性能を得るようにすることができる。特に、制動系制御性能低下状態が所定値を超える場合には外気温も相当低くて低μ路になっている可能性も高いので、このように強制的に路面μが低い場合に相当する開度に設定することは効果的である。
【0033】
このスタンバイ開度の制御に一例について図10(C)を参照して具体的に説明する。低温時には、図10(B)に示したように、駆動輪速度が所定のしきい値を超えた時点でサブスロットルを常温時と同じように閉じても、ブレーキ油の粘性抵抗の増大等の理由によりW/C油圧の特に初期の増圧勾配が小さくなって駆動輪速度が上昇してしまい、結果としてスリップの収束性が悪化してしまっていた。
【0034】
これに対して、本発明によれば、図10(C)に示すように、メインスロットルの開度が所定のスタンバイ開始開度になったらサブスロットルを駆動させ、例えば路面μが0.1相当の状態において加速スリップの抑制に適したスロットル開度に設定することで、過度の加速スリップの発生を未然に防止することができるのである。
【0035】
そして、制動系制御性能の低下状態に応じて、このスタンバイ開度の開始基準であるスタンバイ開始開度を変更することによって、例えばより低温になって制動系の制御性能が低下している場合には、スタンバイ開始開度を小さくして、より早期にスタンバイ制御が開始されるようにすることができるのである。
【0036】
また、請求項に示すように、駆動系制御補正手段が燃料噴射量・空燃比・点火時期の少なくとも一つを変更する変更手段を備えており、制動系制御性能低下状態に応じて、燃料噴射量・空燃比・点火時期の少なくとも一つを変更するようにしてもよい。燃料噴射量の場合であれば燃料カットしたり、空燃比であればリーンにしたり、点火時期であれば遅角側に制御したりすることが考えられる。もちろん、これら3つ共変更するようにしてもよい。
【0037】
さらに、請求項に示すように、予め設定された自動変速線に基づいて変速比を自動的に切り替えていく自動変速装置を備えた車両に適用された請求項1または記載の車両用運動特性制御装置にあっては、駆動系制御補正手段が自動変速線を変更する変速線変更手段を備えており、制動系制御性能低下状態に応じて、変速線を、シフトアップし易いようにあるいはシフトダウンし難いように変更することが考えられる。具体例としては、制動系制御性能低下状態が所定値を超えたら、常時2速発進にするといったことである。
【0044】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面に基づき説明する。
まず、図1は本発明の運動特性制御装置を加速スリップ制御装置として実現した場合の車両の制御系全体の構成を表わす概略構成図である。なお、本実施例はフロントエンジン・リヤドライブ(FR)方式の車両に適用したものである。
【0045】
この加速スリップ制御装置は、自動変速機2、ディファレンシャルギア4を介して内燃機関6からの駆動トルクが伝達される左右後輪の駆動輪RR,RLの回転速度を検出する電磁ピックアップ式の駆動輪速度センサ11,12と、車両前部に設けられた左右従動輪FR,FLの回転速度を検出する電磁ピックアップ式の従動輪速度センサ13,14と、内燃機関6の回転速度,吸入空気量,冷却水温等の運転状態を検出するセンサ群15と、自動変速機2のシフトポジションを検出するシフトポジションセンサ17とを車両の駆動力伝達系に備えている。
【0046】
また、内燃機関6の出力トルクを制御する吸気系には、アクセルペダル20と連動したメインスロットル22の開度を検出するメインスロットルポジションセンサ24と、ステップモータ等からなるサブスロットルアクチュエータ26により駆動されるサブスロットル28の開度を検出するサブスロットルポジションセンサ30とが用意されている。
【0047】
上記各センサからの検出信号は電子制御回路40に入力され、ここで各センサの検出信号に基づいて左右駆動輪RR,RLに与える制動トルク及び駆動トルクの大きさが決定され、その決定にしたがった制御信号をブレーキ制御装置50及び前述したサブスロットルアクチュエータ26へ出力する。サブスロットルアクチュエータ26を用いてサブスロットル28を開閉することにより内燃機関6の出力トルクを抑制して加速スリップを制御することができる。
【0048】
また、電子制御回路40は図示しない燃料噴射弁等に対して燃料噴射指令を送出して燃料噴射量を制御したり、その他にも空燃比や点火時期等を制御することができるようにされている。
ここで、ブレーキ制御装置50とは、各駆動輪RR,RLに設けられた通常のブレーキ装置を左右独立に駆動制御するものである。次に、図2に基づいて、このブレーキ制御装置50の詳細な構成につき説明する。
【0049】
ブレーキ制御装置50は、電子制御回路40から出力される制御実行信号SO 及び左右駆動輪RL,RRそれぞれの制御信号BL ,BR の3種の信号を入力し、これらの信号に基づいて左右駆動輪RL,RRに設けられた通常の油圧ブレーキ装置50−1,50−2を駆動するものである。この油圧ブレーキ装置50−1,50−2は、通常状態において運転者のブレーキ操作により得られる作動油圧により駆動されるが、電子制御回路40からの各種制御信号に応じてこの油圧ブレーキ装置50−1,50−2を駆動するためにポンプ52によりリザーバ54に蓄えられた油を汲み出し、油圧源を構成する。そして、この油圧源の油圧から各油圧ブレーキ装置50−1,50−2の作動油圧が作り出されている。
【0050】
このようにブレーキ装置50−1,50−2を駆動する2系統の油圧源が存在するが、通常状態においては運転者のブレーキペダル操作による油圧源が利用される。すなわち、運転者のブレーキペダル操作によるマスタシリンダMCからのブレーキ油は、油圧管路切替弁58及び左油圧制御弁50RL、油圧管路切替弁58及び右油圧制御弁50RRを経由する油路にて各ブレーキ装置50−1,50−2へ供給される。
【0051】
ここで、油圧管路切替弁58とは、油圧ブレーキ装置50−1,50−2の駆動に利用する油圧源をマスタシリンダMCからの油圧源あるいはポンプ52を中心とした油圧源に切り替える2位置弁であり、通常はマスタシリンダMCからの油圧を各油圧ブレーキ装置50−1,50−2に供給できる位置で安定している。そして、電子制御回路40から制御実行信号SO が2位置弁駆動回路60に入力されると、その入力される期間にわたって上記安定した位置から切り替わり、ポンプ52からの油圧によって油圧ブレーキ装置50−1,50−2が駆動できる位置へ制御される。
【0052】
また、左右輪に設けられた油圧制御弁50RL,50RRは、油圧管路切替弁58を介して伝達されるポンプ52からの油圧を用いて、各油圧ブレーキ装置50−1,50−2の制動力を増減調整するために設けられた3位置弁で、増圧モードa、減圧モードb、保持モードcを有する。
【0053】
増圧モードaとは、油圧管路切替弁58と油圧ブレーキ装置50−1,50−2とを連通するモードであり、運転者のブレーキ操作量に応じた制動トルクを発生させる通常時及びスリップ制御により制動トルクを増加させる制動時に対応する。
【0054】
減圧モードbとは、油圧ブレーキ装置50−1,50−2と低圧管路とを連通してブレーキ油圧を減少させるモードである。電子制御回路40からの制御実行信号SO を受けて作動する2位置弁駆動回路62により、2位置弁63はそれまで遮断していた低圧管路とリザーバ54とを連通する。このため減圧モードbでは、油圧ブレーキ装置50−1,50−2の作動油は低圧管路及び2位置弁63を経てリザーバ54へ還流され、ブレーキ油圧が減少する。
【0055】
また、保持モードcとは、上記した各種の油路と油圧ブレーキ装置50−1,50−2とを遮断して、ブレーキ油圧を保持するモードである。
このような各種モードを実現する油圧制御弁50RL,50RRは、油圧管路切替弁58がポンプ52側に切り替えられるスリップ制御期間中にわたって3位置弁駆動回路64RL,64RRによって電子制御回路40からの制御信号BL,BRに応じて駆動制御される。
【0056】
3位置弁駆動回路64RL,64RRは、電子制御回路40から制御実行信号SO が出力され続ける期間にわたって起動され、同様に電子制御回路40から出力される制御信号BL,BRに応じて油圧制御弁50RL,50RRを駆動制御する。本実施例では、制御信号BL,BRに応じて設定される増圧または減圧デューティ比Dにより油圧ブレーキ装置50−1,50−2のブレーキ油圧を増減制御する。すなわち、電子制御回路40からの制御信号BL,BRに応じて一定時間T当りにブレーキ油圧を増圧又は減圧する時間t(t=D・T)を求め、その値に応じて、ブレーキ油圧増圧時には油圧制御弁50RL,50RRをモードa−c間でデューティ制御し、ブレーキ油圧減圧時には、油圧制御弁50RL,50RRをモードb−c間でデューティ制御して、各油圧ブレーキ装置50−1,50−2のブレーキ油圧を制御する。
【0057】
このように、電子制御回路40からの各種制御信号により油圧ブレーキ装置50−1,50−2のブレーキ油圧が増減制御されるが、このブレーキ油圧制御の制御精度を向上させるために、各油圧ブレーキ装置50−1,50−2のブレーキ油圧は駆動輪ブレーキ油圧センサ66,68により検出され、その検出結果は電子制御回路40へフィードバックされている。
【0058】
次に、本実施例の電子制御回路40を中心とした電気系統を、図3に基づいて説明する。
前述した駆動輪速度センサ11,12や内燃機関6の運転状態を検出するためのセンサ群15をはじめ駆動輪ブレーキ油圧センサ66,68等の各種センサ検出信号は電子制御回路40へ入力され、これらの情報に基づきサブスロットルアクチュエータ26及びブレーキ制御装置50へ出力する各種の制御信号あるいは燃料噴射量・空燃比・点火時期の制御信号が決定される。電子制御回路40は、このような複雑な情報処理を実行するために論理演算回路により構成され、論理演算を行うCPU41、各種センサの入力インターフェイスとなるI/Oポート42、センサ群15から入力されたエンジン回転数に対応するパルス数を計測するカウンタ43、演算結果等を一時的に記憶するためのRAM44、後述する演算プログラムや制御データを記憶しているROM45、サブスロットルアクチュエータ26及びブレーキ制御装置50へ制御信号を出力するI/Oポート46を備えている。
【0059】
次に、以上のごとく構成される実施例の加速スリップ制御装置の作動について説明する。まず、加速スリップ制御の概略を説明する。
例えば低μ路でのドライバの急激なアクセル操作によって、駆動輪RR,RLに加速スリップが発生すると、電子制御回路40からの指令によって、駆動系の制御と制動系の制御が行われる。駆動系の制御は、内燃機関6の出力トルクを抑制するためのものであり、例えばサブスロットル28を閉じたり、燃料噴射量の減量あるいは点火時期の遅角指令を出力したりする。
【0060】
一方、制動系の制御は、ポンプ52を作動させると共に、左右輪に設けられた油圧制御弁50RL,50RRに制御信号BL,BRを送って、各油圧ブレーキ装置50−1,50−2の制動力を増減調整する。具体的には、増圧モードa、減圧モードb、保持モードcの3状態に適宜切り替えて、加速スリップを抑制する。
【0061】
ここで、上述したように、低温時においてはブレーキ油の粘性抵抗が増大したりあるいはポンプ52を作動させるモータの駆動源であるバッテリ電圧が低下すること等によって、常温時と同じ時間だけ増圧モードaにしていたとしても、実際のブレーキ油の増圧量は小さくて所望の制動トルクが付与されず、加速スリップの抑制性能が相対的に低下してしまう。
【0062】
そこで、このような制動トルクの制御性能の低下があった場合に、その性能低下状態に応じて駆動トルク制御側を補正することで補償するのが第1の実施例である。
以下、その駆動トルク制御側での補正にかかる作動について、図4〜図8を参照して説明する。図4は、電子制御回路40のROM45に記憶された制御プログラムにしたがって作動する制動系制御低下量検出処理であり、本処理は、例えば5ms毎に実行される。
【0063】
図4に示すように、最初にステップ110でブレーキ油の温度推定を行う。本実施例では、直接ブレーキ油の温度を測定するのではなく、センサ群15から得た内燃機関6の冷却水温に基づいてブレーキ油温度を推定するようにしている。冷却水温は車両における他の制御にも多く利用されているので、データの共用化の点で好ましい。
そして、ステップ120では、この推定したブレーキ油温度に基づき制動系制御低下量χを算出して本処理を一旦終了する。この制動系制御低下量χの算出については、例えば制動系の油圧配管長の違い等によって車両毎に特性が異なるので、その車両に応じたブレーキ油温度と制動系制御低下量χとの特性マップ等を記憶しておき、その特性マップを参照して算出すること等が考えられる。この特性マップは、ブレーキ油温度が低いほど制動系制御低下量χが大きくなるように設定されている。
【0064】
そして、この算出された制動系制御低下量χに基づいて以下に示す駆動系制御補正処理(図5)を実行する。
本処理は、例えば5ms毎に実行される処理で、図5に示すように、最初にステップ210で現在駆動系あるいは制動系の制御中であるか否かを判断する。そして、制御中でない場合(ステップ210:NO)には、ステップ220にて、上記図4の処理で算出された制動系制御低下量χが第1の判定値χ1よりも大きいか否かを判断し、χ>χ1の場合にはステップ230へ移行してスタンバイ制御定数の変更処理を行なう。このスタンバイ制御定数の変更処理については後で詳述するとして、説明を先に進める。
【0065】
ステップ220で否定判断の場合、すなわちχ≦χ1の場合にはステップ230は実行せず、ステップ240へ移行して制動系制御低下量χが第2の判定値χ2よりも大きいか否かを判断し、χ>χ2の場合にはステップ250へ移行して変速特性を変更する。この変速特性の変更処理は、自動変速装置における変速パターンを変更する処理である。
【0066】
この変速特性の変更の具体例を挙げると、予め設定された自動変速線に基づいて変速比を自動的に切り替えていく自動変速装置において、その自動変速線を変更することができるようにされている場合に、制動系制御性能低下量χに応じて、アップシフト用の変速線であればシフトアップし易いように、あるいはダウンシフト用の変速線であればシフトダウンし難いように変更する。これによって、例えば2速発進等も実現される。このように、低温時にはシフトアップし易いようにすることで、同じアクセル操作量でも例えば1段上に自動的にシフトアップすることで、車輪に付与される駆動トルクが抑制されるので、制動トルクの制御性能の低下を補償することができる。
【0067】
ステップ240で否定判断の場合、すなわちχ≦χ2の場合にはステップ250は実行せず、そのまま一旦本処理を終了する。
一方、ステップ210で肯定判断、すなわち現在制御中である場合には、ステップ260へ移行して、制動系制御低下量χが第3の判定値χ3よりも大きいか否かを判断し、χ>χ3の場合にはステップ270へ移行してEFI制御量の変更を行なう。そして、ステップ260で否定判断の場合、すなわちχ≦χ3の場合にはステップ270の処理は実行せず、ステップ280へ移行して制動系制御低下量χが第4の判定値χ4よりも大きいか否かを判断し、χ>χ4の場合にはステップ290へ移行して駆動系TRC制御量の変更処理を実行する。そして、ステップ280で否定判断の場合、すなわちχ≦χ4の場合にはステップ290の処理は実行せず、ステップ240へ移行する。
【0068】
このように、ステップ230でのスタンバイ制御定数の変更処理は駆動系あるいは制動系の制御が実行されていない場合にのみ実行され、ステップ270でのEFI制御量の変更処理及びステップ290での駆動系TRC制御量の変更処理は、駆動系あるいは制動系の制御中のみ実行される。また、S250での変速特性の変更処理は常時(駆動系あるいは制動系の制御中であるか否かを問わず)実行される。
【0069】
ここで、ステップ270でのEFI制御量の変更について説明する。EFI制御は、内燃機関6への燃料噴射量・空燃比・点火時期の少なくとも一つを変更するものである。上述したように制動性能の低下を駆動系で補償するのが目的であるため、例えば燃料噴射量の場合であれば燃料カットしたり、空燃比であればリーン側に制御したり、点火時期であれば遅角側に制御したりすることが考えられる。もちろん、これらの内の2つあるいは3つ共変更するようにしてもよい。
【0070】
なお、ステップ290での駆動系TRC制御量の変更処理については、説明を保留してあったステップ230でのスタンバイ制御定数の変更処理と共に、以下の図6〜8を参照して説明する加速スリップ制御の中で適宜加えていくこととする。
【0071】
図6,7は、例えば5ms毎に実行される加速スリップ制御処理を示すフローチャートであり、処理が開始されると、各種フラグの初期設定等の初期化が実行される(ステップ300)。そして、従動輪速度センサ13,14、駆動輪速度センサ11,12の検出信号を入力・処理することで、以下の処理に際して必要となる車両速度Vcr、駆動輪速度Vmw、車両加速度αcr及び車両速度Vcrに対する制御開始速度Vst等を演算する(ステップ310)。また、現在の車両の運転状態を把握するため、センサ群15、各スロットルポジションセンサ24,30、シフトポジションセンサ17より検出信号を入力する(ステップ320)。
【0072】
次に、加速スリップを抑制するためにサブスロットル28の開度をフィードバック制御することによる加速スリップ制御が実行中であるか否かを、後述のごとく加速スリップ制御実行中にセットされるフラグFact がセット状態「1」であるかを確認することで判定する(ステップ330)。加速スリップ制御が未だ実行されていないときは、現時点において加速スリップ制御開始条件が成立しているか否か、例えば現在の駆動輪速度Vmwが制御開始速度Vstを上回っているか否かを判断し(ステップ340)、今回新たに条件が成立している場合にはフラグFact を「1」にセットし(ステップ350)、後述するもう1つの加速スリップ制御のモードであるスタンバイ制御を終了/禁止して(ステップ360)、加速スリップ制御の初期処理(ステップ370)を実行して再度ステップ310へと戻る。
【0073】
ここで、加速スリップ制御の初期処理とは、サブスロットル28のフィードバック制御の初期に実行されるもので、初期開度θstの設定、及びその初期開度θstへの駆動を行なう。この初期開度θstは、内燃機関6の等トルク曲線に従って、変速比及び内燃機関6の回転速度に基づいて決定される。
【0074】
本実施例では、過去に加速スリップ制御を実行した場合には、その際に加速スリップを適正値に制御する内燃機関6の駆動トルクより、この駆動トルクに対応する等トルク曲線が選択される。そして、この選択された等トルク曲線に従って、変速比及び回転速度に基づいて初期開度θstが設定される。一方、最初の制御の場合には、初期開度θstとして所定値が設定される。
【0075】
そして、この初期開度θstは、上記図5のステップ290での駆動系TRC制御量の変更対象の一つであり、制動系制御低下量χが第3の判定値χ3より大きい場合には、制動系制御低下量χに応じて補正される。具体的には、初期開度θstがさらに全閉側になるよう補正する。
【0076】
また、この初期処理では、駆動輪目標速度Vspも設定される。この駆動輪目標速度Vspとは、公知のごとく従動輪速度センサ13,14の検出平均値から算出される車両速度Vcrに所定のスリップ率を加味して算出される。
図8のt3 〜t4 の期間は、加速スリップ制御の初期処理による制御結果を示している。図8に示す時刻t3 にて駆動輪速度Vmwが制御開始速度Vstを上回って加速スリップ制御の開始条件が成立したとすると、条件成立と同時にサブスロットル28の開度は初期開度θstまで急激に絞られ、内燃機関6の出力トルクが低減し、駆動輪速度Vmwは目標値Vspに向けて下降を始める。なお、サブスロットル28の開度を初期開度θstまで絞る場合にも、上記制動系制御低下量χに応じて補正することも考えられる。具体的には、より急激に全閉側に絞って緩やかに初期開度θstまで上げたりすること等がある。
【0077】
この図8から明らかなように、本実施例の加速スリップ制御によれば、通常のフィードバック制御による加速スリップ制御が実行される以前にサブスロットル28の開度は初期開度θst近傍にまで絞られている。すなわち、サブスロットル28の開度を、瞬時に目標とする初期開度θstとすることができる。
【0078】
次に、この様にサブスロットル28の開度を予め絞る処理(以下、スタンバイ処理及びバックアップ処理という)につき、説明する。
フラグFact がリセット状態「0」であり、かつ、未だに加速スリップ制御条件が成立していないときにはステップ340にて否定的に判定され、処理はステップ400以降へと移行する
まず、ステップ400では、後述するスタンバイ処理が既に実行中であるか否かをフラグFsbの状態より判断する。そして、フラグFsbがリセット状態であると判定されたときは、今回スタンバイ処理を実行する条件が成立しているか否かを判断し(ステップ410)、条件不成立であればステップ470へ移行する。
【0079】
ステップ410では、アクセルペダル20の操作量を示すメインスロットル22の開度θmnがスタンバイ開始開度θsbを越えたときに、スタンバイ処理を実行する条件が成立していると判断する。このスタンバイ開始開度θsbは、メインスロットル22の操作によって、その後に過大な加速スリップが発生する可能性が高いと思われる値である。すなわち、実際に加速スリップが発生する以前に、加速スリップが発生する可能性を判断するために設定される。
【0080】
このスタンバイ開始開度θsbも、上述の初期開度θstと同様に、過去に加速スリップ制御を実行した場合には、その際に加速スリップを適正値に制御する内燃機関6の駆動トルクを基準として更新され、一方、最初の制御の場合には、スタンバイ開始開度θsbとして所定値が設定される。
【0081】
そして、このスタンバイ開始開度θsbは、上記図5のステップ230でのスタンバイ制御定数変更の対象の一つであり、制動系制御低下量χが第1の判定値χ1より大きい場合には、制動系制御低下量χに応じて補正される。具体的には、スタンバイ開始開度θsbがさらに全閉側に近くなるよう補正する。つまり、χ>χ1の場合には、低温等の理由で制動系制御性能が常温時に比べて低下しているので、より早期にサブスロットル28を全閉側に駆動させ始めることによって、過大なスリップの発生を未然に抑制しようとするものである。
【0082】
図7に戻り、ステップ410において現在のメインスロットル22の開度に基づきこのスタンバイ処理条件が成立していると判定されたときには、直ちにスタンバイ処理を実行し(ステップ420)、スタンバイ処理モードに移行した旨を記憶するためのフラグFsbを「1」にセットして(ステップ430)、前記ステップ310へと戻る。ここで、スタンバイ処理とは、全開状態にあるサブスロットル28の開度をスタンバイ開度θssにまで最高速にて閉じる制御である。
【0083】
また、このスタンバイ開度θssとは、過去に加速スリップ制御を実行した場合には、前述のスタンバイ処理開始条件となるメインスロットル22の開度θsbが学習されるとき同様に学習され、一方、最初の制御の場合には、やはりスタンバイ開度θssとして所定値が設定されるもので、過度の加速スリップが発生しないように内燃機関6の出力を抑制するために必要となるサブスロットル28の開度である。
【0084】
そして、このスタンバイ開度θssも、上記図5のステップ230でのスタンバイ制御定数変更の対象の一つであり、制動系制御低下量χが第1の判定値χ1より大きい場合には、制動系制御低下量χに応じて補正される。具体的には、スタンバイ開始開度θssがさらに全閉側に近くなるよう補正する。つまり、χ>χ1の場合には、低温等の理由で制動系制御性能が常温時に比べて低下しているので、サブスロットル28をより全閉側に駆動させることによって、過大なスリップの発生を未然に抑制しようとするものである。
【0085】
このスタンバイ処理の開始による各スロットル開度の変化は、図8に示す時刻t1 〜t2 の期間に示されている。すなわち、メインスロットル22の開度がスタンバイ開始開度θsbを上回ったとき(時刻t1 )、直ちにサブスロットル28がスタンバイ開度θssにまで絞られる(時刻t2 )。このスタンバイ開始開度θsb及びスタンバイ開度θssを制動系制御低下量χに応じて補正することによって、出力トルクを抑制し、低温等の理由で制動性能が低下した場合に駆動系で補償することができる。
【0086】
スタンバイ処理が実行中となってフラグFsbがセット状態「1」となり、かつ、未だ加速スリップ制御条件が成立しないとき(図7中の時刻t2 〜t3 )には、ステップ400から分岐してステップ450以降のバックアップ処理が実行される。なお、バックアップ処理とは、スタンバイ処理によりスタンバイ開度θssにまで絞られたサブスロットル28を徐々に開制御し、車両の失速感を回避するための処理である。
【0087】
バックアップ処理においては、初めにステップ450でサブスロットル28の開度がスタンバイ開度θssとなっているか否か、すなわちスタンバイ処理を完了したか否かを判断する。そして、未だにスタンバイ処理が完了していないときはステップ310へと戻る。
【0088】
一方、スタンバイ処理が完了しているときには、その旨を記憶するためにフラグFsbをリセットし(ステップ460)、後述のごとくバックアップ処理の完了時にセットされるフラグFbcの状態よりバックアップが完了したか否かを判断する(ステップ470)。バックアップ処理が完了以前であるときは、バックアップ処理により徐々に開制御されるサブスロットル28が既に全開状態なったか否かを判断し(ステップ480)、全開状態であるときはバックアップ処理が完了したとして前記フラグFbcを「1」にセットして(ステップ490)、前記ステップ310へと戻る。また、未だに全開状態にまで達していないときには、次式により算出したサブスロットル28の目標開度θspとなるように、またはその算出した目標開度θspがメインスロットル22の開度θmn以上であるときには最高速で全開となるようにサブスロットル28を駆動するバックアップ処理を実行して(ステップ500)、前記ステップ310へ戻る。
【0089】
このバックアップ処理(ステップ300)による挙動の一例は、図8の時刻t2 〜時刻t3 に示されている。また、図8においては前述のごとく時刻t3 において加速スリップ制御条件が成立するため、このバックアップ処理(ステップ500)によりサブスロットル28の開度が全開にまで至ることはない。すなわち、この場合にはステップ490の処理が実行されることはなく、フラグFbcはリセット状態を維持する。
【0090】
次に、図8に示す状態と異なり、バックアップ処理(ステップ500)によりサブスロットル28の開度が全開状態となった場合につき説明する。この場合にはステップ480の判断処理により肯定的に判定され、前記ステップ490が選択的に実行されフラグFbcがセットされる。従って、次回のステップ470の判断処理において肯定的に判定されてステップ510へと移行し、上述したスタンバイ処理及びバックアップ処理(ステップ410〜ステップ500)が次回実行されることを禁止する処理が実行される。すなわち、この場合は、スタンバイ処理及びバックアップ処理によるサブスロットル28の閉制御が現実の路面・走行状態に対して過度に実行されていることを意味しており、車両の加速特性を損ねる可能性がある。このため、現在の路面・走行状態に適したスタンバイ開始の開度θsb、スタンバイ開度θss等が新たに学習されるまでスタンバイ処理及びバックアップ処理が実行されるのを禁止するのである。この禁止処理は、例えばフラグFsbをセット状態「1」とし、見かけ上スタンバイ処理が実行中であるとすることで達成される。
【0091】
上述のごとくスタンバイ処理及びバックアップ処理は、適宜学習されるスタンバイ開始の開度θsb、スタンバイ開度θss等に基づきフィードバック制御による加速スリップ制御に先立って実行される。また、これらの学習値が過度に内燃機関6の出力を低減させるとき、その処理は学習値が更新されるまで禁止される。
【0092】
次に、各種の学習値の学習処理について説明する。
上記各学習値は、フィードバック制御による加速スリップ制御の実行中に学習更新される。すなわち、加速スリップ制御の開始条件が成立してフラグFact がセット状態「1」とされた(ステップ350)後には、処理はステップ600へと移行してサブスロットル28の開度をフィードバック制御する一般の加速スリップ制御が実行される。この加速スリップ制御によるサブスロットル28の開度制御は、公知のごとく変速比、駆動輪速度Vmw、スリップ率等の現在の運転状態及び路面状態を反映したものである。
【0093】
そこで、この加速スリップ制御(ステップ600)の後には、現在の運転状態がブレーキ操作等の外乱要因が無く、路面と内燃機関6の出力との関係のみによって決定される学習許可状態であるか否かを判断し(ステップ610)、学習許可状態であるときには上記各学習値を学習する(ステップ620)と共に、スタンバイ処理及びバックアップ処理が禁止状態にあるときにはこれを解除する(ステップ630)。
【0094】
例えば、加速スリップ制御により現在の走行路が低μ路であると判断されるときには、スタンバイ開始の開度θsb及びスタンバイ開度θssがより小さく学習更新され、加速スリップ制御に先だって実行されるスタンバイ処理及びバックアップ処理により内燃機関6の出力を低く抑制するように学習更新される。
【0095】
ステップ630の処理の後あるいは学習許可状態でないときは、加速スリップ制御の終了条件が成立しているか否かを判断し(ステップ640)、条件成立ならばサブスロットル28の開度を全開にして(ステップ650)、条件未成立ならば何等の処理を実行せず前記ステップ310へと戻る。
【0096】
この加速スリップ制御実行による挙動の一例は、図8の時刻t4 以降に示されている。すなわち、この場合には駆動輪目標速度Vcpに現実の駆動輪速度Vmwが一致するように、サブスロットル28の開度θsnがフィードバック制御される。また、この加速スリップ制御実行中に学習許可状態が成立すると、その時のサブスロットル28の開度θsn等の運転状態に基づき各学習値の学習更新が実行される。
【0097】
以上のごとく構成され、作動する実施例の加速スリップ制御装置によれば、次のような効果が明らかである。
上述したように、例えば低温時においてはブレーキ油の粘性抵抗が増大したりあるいはポンプ52を作動させるモータの駆動源であるバッテリ電圧が低下すること等によって、常温時と同じ時間だけ増圧モードaにしていたとしても、実際のブレーキ油の増圧量は小さくて所望の制動トルクが付与されず、加速スリップの抑制性能が相対的に低下してしまう。そこで、このような制動トルクの制御性能の低下があった場合に、その性能低下量に応じて駆動トルク制御側を補正することによって、制動トルクの制御性能が低下していない場合と同じような適切な駆動力制御を行うことができ、トラクション制御などの車両の運動特性を向上させるための制御において、低温時であっても常温時と同様の制御性能を得ることができる。
【0098】
その駆動力制御の方法として、上記実施例は、図5のステップ230におけるスタンバイ制御定数の変更処理、同じくステップ250における変速特性の変更処理、ステップ270におけるEFI制御量の変更処理、ステップ290における駆動系TRC制御量の変更処理を行なうことを示した。これらは、いずれも制動系の制御性能が低下していないときに比べて、駆動トルクが小さくなるように制御定数や制御量等を変更することで、結果として駆動輪RL,RRに過大なスリップが発生しないようにしている。
【0099】
ところで、上記スタンバイ制御定数の変更処理を行なうのは、制動系制御低下量χが第1の判定値χ1より大きい場合、変速特性の変更処理は第2の判定値χ2より大きい場合、EFI制御量の変更処理は第3の判定値χ3より大きい場合、駆動系TRC制御量の変更処理は第4の判定値χ4より大きい場合である。
【0100】
これら第1〜4の判定値χ1〜χ4の大小関係について補足説明しておく。スタンバイ制御定数の変更処理は駆動系あるいは制動系の制御が実行されていない場合にのみ実行され、EFI制御量の変更処理及び駆動系TRC制御量の変更処理は、駆動系あるいは制動系の制御中のみ実行され、また、変速特性の変更処理は駆動系あるいは制動系の制御中であるか否かを問わず常時実行されることは既に述べた。
【0101】
したがって、駆動系あるいは制動系の制御が実行されていない場合には、スタンバイ制御定数の変更処理と変速特性の変更処理が実行されるのであるが、第1の判定値χ1よりも第4の判定値χ4を大きく設定し、より低温の場合に変速特性の変更処理が実行されるようにすることが考えられる。これは、変速特性の変更処理によって例えば2速発進させるようにした場合には、そのことによる駆動トルクの低下度合は相対的に大きいため、χ1<χ≦χ4である場合にはスタンバイ制御定数の変更処理だけ実行し、χ>χ4となって初めて変速特性の変更処理も加えて実行するようにすることが好ましい。
【0102】
同様に、駆動系あるいは制動系の制御が実行されている場合には、EFI制御量の変更処理及び駆動系TRC制御量の変更処理と変速特性の変更処理が実行されるのであるが、第2及び第3の判定値χ2,χ3よりも第4の判定値χ4を大きく設定し、より低温の場合に変速特性の変更処理が実行されるようにすることが考えられる。理由は上記の通りである。なお、第2の判定値χ2及び第3の判定値χ3については、例えば同じ値に設定してもよいし、大小の区別を付けてもよい。
【0103】
以上が、制動トルクの制御性能の低下があった場合に、その性能低下状態に応じて駆動トルク制御側を補正することで補償する第1の実施例である。続いて、その性能低下状態に応じて制動トルク制御側自体の制御内容を補正することで、性能低下を補償しようとする第2の実施例について説明する。
【0104】
ここでは、運転者による制動時以外にも車輪のホイールシリンダにブレーキ油を付与して制動トルクを発生させて加速スリップを抑制しようとする、いわゆるブレーキTRC制御への適用例に基づいて説明する。
上記図4の処理によって算出された制動系制御低下量χに基づいて、例えば以下に示す制動系制御補正処理(図9)を実行する。
【0105】
本処理は、例えば5ms毎に実行される処理で、図9に示すように、最初にステップ710にて、上記図4の処理で算出された制動系制御低下量χが第5の判定値χ5よりも大きいか否かを判断し、否定判断、すなわちχ≦χ5の場合にはステップ720へ移行してブレーキTRCの制御開始速度Vwrn を第1演算値w1にセットし、一方、肯定判断、すなわちχ>χ5の場合にはステップ730へ移行してブレーキTRCの制御開始速度Vwrn を第2演算値w2にセットする。これら2つの演算値w1,w2は、車体速度に所定の係数を乗算したりして得る値であり、両者の関係はw1>w2である。
【0106】
なお、ブレーキTRC制御自体は、駆動輪速度が上記制御開始速度Vwrn より大きくなったときに開始するようにされている。さらに詳しく言えば、実際には他の条件によって定まる係数kを乗算してkVwrn を制御開始速度とする。
このように、図9の処理の場合には、ブレーキTRCの制御開始速度Vwrn を性能低下に応じて2段階に切り替えるものであり、これによって制動系の性能低下がある場合(ステップ710:YES)には、ステップ730にて制御開始速度Vwrn を第2演算値w2にセットすることで、ブレーキTRCの制御開始タイミングを早めることができ、正常時と同様の制御性能を得ることができるようにすることができる。なお、制御開始速度KVwrn は段階的に切り替えるだけでなく、制動系制御低下量χに応じて連続的に変更するようにしてもよい。
【0107】
本実施例は、制動系制御性能の低下状態に応じて制動トルク制御自身を補正して、正常時と同様の制御性能を得ることができるようにするものであるが、その補正に関しては、上述のように、ブレーキTRC制御自体を通常より早く実行するようにしても良いし、また、特に低温時等にはポンプの吐出性能が低下するので、ポンプだけを早めに駆動しておいて、本来のホイールシリンダへのブレーキ油の給排は制動系制御性能の低下状態の非検出時と同時期に開始するようにしても構わない。もちろん、両者を併用しても構わない。
【0108】
また、制動系制御性能の低下状態の検出時に、非検出時に比較してポンプの駆動終了時期を遅らせる方向に補正すれば、制動系制御の終了時の再スリップ発生時において油圧勾配の円滑な立ち上がりを補償することができる。
さらに、適用例としてはブレーキTRCだけでなく、車両に制動とトルクを付与することにより、車両の走行安定性を向上させるもの等にも適用可能である。また、上記実施例では、制動系のみのシステムとすることも可能であるが、駆動系の制御と併用することももちろん可能である。
【0109】
以上本発明はこの様な実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。例えば、上記第1の実施例ではメインスロットル22に対してサブスロットル28を設け、このサブスロットル28を開閉制御する、いわゆる2弁式の場合を示しているが、エンジンの吸気系に唯一のリンクレス・スロットルを設け、アクセル操作に応じて全閉から駆動させる構成の場合には、上記第1の実施例において、例えば制動系制御低下量χに応じて、その非線形度合を強くすることが考えられる。具体的には、常温時と比べて、アクセル操作量に対してスロットル開度が小さくなるように変更するのである。また、アクセル操作量とスロットル開度との関係を示すマップを低温時用も用意しておき、それを使用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の運動特性制御装置を加速スリップ制御装置として実現した場合の車両の制御系全体の構成を表わす概略構成図である。
【図2】実施例のブレーキ制御装置の油圧系統を中心とした構成説明図である。
【図3】実施例の電気系統の構成説明図である。
【図4】実施例の制動系制御低下量検出処理を示すフローチャートである。
【図5】実施例の駆動系制御補正処理を示すフローチャートである。
【図6】実施例の加速スリップ制御処理を示すフローチャートである。
【図7】実施例の加速スリップ制御処理を示すフローチャートである。
【図8】実施例のスタンバイ制御を含む加速スリップ制御を示すタイムチャートである。
【図9】実施例の制動系制御補正処理を示すフローチャートである。
【図10】従来技術等を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
2…自動変速機 6…内燃機関
11…駆動輪速度センサ 13…従動輪速度センサ
15…センサ群 17…シフトポジションセンサ
20…アクセルペダル 22…メインスロットル
24…メインスロットルポジションセンサ
26…サブスロットルアクチュエータ
28…サブスロットル 30…サブスロットルポジションセンサ
40…電子制御回路 50…ブレーキ制御装置
50−1,50−2…油圧ブレーキ装置
50RL,50RR…油圧制御弁
52…ポンプ MC…マスタシリンダ
FL,FR…従動輪 RL,RR…駆動輪

Claims (7)

  1. 高圧のブレーキ油を吐出するポンプから車輪のホイールシリンダへのブレーキ油の供給及び上記ホイールシリンダからのブレーキ油の排出を切り替え制御することによって、上記車輪に付与する制動トルクを制御する制動系制御手段と、
    上記車輪に付与する駆動トルクを制御する駆動系制御手段と、
    上記ブレーキ油の粘性抵抗の増大あるいは上記ポンプの吐出能力の低下を原因とする制動系制御性能の低下状態を検出する制動系制御性能低下状態検出手段と、
    その制動系制御性能低下状態に応じて、上記駆動系制御手段における駆動トルク制御を補正する駆動系制御補正手段と、
    を備え、
    上記制動系制御性能低下状態検出手段は、ブレーキ油温度検出手段を備え、そのブレーキ油温度検出手段によって検出したブレーキ油の温度に基づいて上記制動系制御性能低下状態を推定することを特徴とする車両用運動特性制御装置。
  2. 請求項1記載の車両用運動特性制御装置において、
    上記ブレーキ油温度検出手段は、エンジン冷却水温度検出手段を備え、そのエンジン冷却水温度検出手段によって検出した冷却水の温度に基づいて上記ブレーキ油温度を推定することを特徴とする車両用運動特性制御装置。
  3. 請求項1記載の車両用運動特性制御装置において、
    上記車輪に加速スリップが発生したことを検出する加速スリップ検出手段を備え、
    該加速スリップ検出手段によって加速スリップが検出された場合には、上記制動系制御手段が上記車輪に付与する制動トルクを制御し、上記駆動系制御手段が上記車輪に付与する駆動トルクを制御することによって、車両の駆動輪に発生する加速時のスリップを所望範囲に抑制するようにしたことを特徴とする車両用運動特性制御装置。
  4. 請求項1または3記載の車両用運動特性制御装置において、
    上記駆動系制御手段が、内燃機関への吸入空気量を制御するためのスロットルの開度を調整することによって上記駆動トルクを制御するようにしたことを特徴とする車両用運動特性制御装置。
  5. 請求項1または3記載の車両用運動特性制御装置において、
    上記駆動系制御手段は、
    内燃機関への吸入空気量を制御するためのスロットルの開度を指令するアクセルの操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
    該アクセル操作量検出手段によって検出した上記アクセル操作量に基づいて加速スリップが発生すると予測された場合に、上記内燃機関の出力を抑制するように制御するスタンバイ制御手段とを備え、
    上記駆動系制御補正手段が、上記制動系制御性能低下状態に応じて、上記スタンバイ制御を開始するためのアクセル操作量を補正することを特徴とする車両用運動特性制御装置。
  6. 請求項1または3記載の車両用運動特性制御装置において、
    上記駆動系制御補正手段は、燃料噴射量・空燃比・点火時期の少なくとも一つを変更する変更手段を備えており、上記制動系制御性能低下状態に応じて、上記燃料噴射量・空燃比・点火時期の少なくとも一つを変更することを特徴とする車両用運動特性制御装置。
  7. 予め設定された自動変速線に基づいて変速比を自動的に切り替えていく自動変速装置を備えた車両に適用された請求項1または3記載の車両用運動特性制御装置において、
    上記駆動系制御補正手段は、上記自動変速線を変更する変速線変更手段を備えており、上記制動系制御性能低下状態に応じて、上記変速線を、シフトアップし易いようにあるいはシフトダウンし難いように変更することを特徴とする車両用運動特性制御装置。
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