JP3584679B2 - 車両走行制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両走行制御装置、特に、車両が道路網に含まれる出発地から目的地まで走行する時に効率的に当該車両を移動させることのできる車両走行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車社会の発達に伴い道路の渋滞が急増し、その解消が望まれている。
【0003】
例えば、道路施設側で対応する場合、幹線道路や高速道路等においては、通過車両台数や車両の平均速度等を検出して所定区間の道路が渋滞しているか否かの判断や、その区間を通過するためにどの位の時間を必要とするか等を算出して運転者に通知して渋滞を迂回させたり、認識された交通状況に基づいて進入路の開放や封鎖を行い意図的に渋滞等の緩和を行いながら車両走行状態の監視制御を行う交通監視システムが導入されている。
【0004】
また、特開平8−249591号公報には、環状道路において、内回り道路を使用する場合と外回り道路を使用する場合とで、どちらが短時間で目的地に到達できるかを示す経路誘導装置が開示されている。この装置によれば、所定区間を通過するのに必要な時間を検出して、その検出結果に基づいて、任意の進入路から所定時間で到達できる環状道路上の位置を提示し、運転者に渋滞のより少ない経路を選択させると共に、渋滞した経路の選択を防止することによって渋滞の増大を防止している。
【0005】
一方、各車両側で対応する場合、外部より交通情報や自車位置を入手して、ナビゲーション装置等により渋滞の少ないまたは無い道路を探索して運転者を誘導する装置も実用化され、車両を非渋滞エリアに誘導することによって渋滞の緩和を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の方法では、発生した渋滞を緩和するのみで、渋滞の発生の防止を行うことはできないという問題がある。また、従来の渋滞緩和は主として別経路の利用によって行われるため、余分な経路の走行によるエネルギ(燃料)の消費や、住宅街や細い道路の走行を強いられるため停止、発進操作の繰り返しが頻繁に行われるためにエネルギ効率(燃費)の低下等が発生するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決することを課題としてなされたものであり、渋滞の発生自体を計画的に防止すると共に、エネルギ(燃料)の利用効率を向上させることのできる車両走行制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、道路網を通行する複数の車両に対する走行制御を行う車両走行制御装置であって、道路網内の個々の車両の出発位置を認識する出発位置認識手段と、前記車両の移動目的位置を認識する目的位置認識手段と、前記道路網上で車両の所定方向の走行を所定時間許可する走行許可ベクトルを設定するベクトル設定手段と、前記道路網を構成し内部が複数の支線道路で分割された小ブロックからなり、当該小ブロック間を前記支線道路を介して前記車両が往来するブロックエリアにおいて、前記小ブロックの一辺の最小の長さを車両が通過するのに必要な時間に合わせた変更周期で前記走行許可ベクトルの向きを変更する変更手段と、を含み、前記車両の出発位置と移動目的位置と、周期的変更される走行許可ベクトルの向きに基づいて当該車両が他の交通要素と非干渉で移動目的位置に到達できる出発タイミングと走行経路と走行速度とを算出し走行計画を算出する走行計画算出手段と、前記走行計画に基づいて道路網内の複数の車両の走行指示を行う走行指示手段と、を含むことを特徴とする。
【0009】
ここで、走行開始車両が他の交通要素と非干渉で目的位置に到達できるとは、他車両や歩行者等の存在によって走行開始車両が極端な減速や停止を行うことなく出発位置から目的位置まで到達することをいう。また、走行許可ベクトルとは、例えば***路や交差点における走行可能な方向を示すと共に、所定台数の車両の走行を許容する量である。
【0010】
この構成によれば、道路網内の車両は、他の交通要素と非干渉になるように出発タイミングと走行経路と走行速度とが個々に管理され、一度走行を開始したら他の交通が原因となる極端な減速や停止を行うことなく走行を続けることができる。特に、走行許可ベクトルに基づいて走行計画を作成することによって、走行中の車両が他の交通要素と干渉することなく車両にとって不必要な極端な減速や停止を必要としない走行計画を容易に作成することができると共に、走行許可ベクトルの向きを周期的に変更することによって、任意の方向に車両の誘導をスムーズに行うことができる。その結果、渋滞の発生自体を計画的に防止できると共に、必要以上の減速や加速を必要としないため車両のエネルギ使用効率を向上させることができる。
【0014】
上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、前記装置において、さらに、走行計画算出手段は、道路網上の走行許可ベクトルの有無に応じて道路横断用歩行者信号機を制御する信号制御手段を含むことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、道路網上に走行許可ベクトルが存在しないタイミングで歩行者の道路横断を許可するので、道路横断中の歩行者によって走行中の車両が極端な減速や停止を行うことが無くなり、車両のエネルギ使用効率を向上させることができると共に、渋滞の発生を計画的に防止することができる。
【0016】
上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、前記装置において、前記車両は、前記走行計画に基づいて制御される自動運転車両であることを特徴とする。
【0017】
ここで、自動運転車両とは、例えば、車両外部の環境を認識しつつ目的地まで走行可能な無軌道の車両や、列車のように軌道上を走行し所定の乗降場所を巡回する車両である。
【0018】
この構成によれば、個々の車両の公共交通化が可能で、渋滞の発生原因の一つである車両数の増加を抑制することができる。
【0019】
上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、前記装置において、前記道路網は、支線道路を含む複数のブロックエリアと、前記ブロックエリア間を接続する幹線道路と、を含み、前記走行計画算出手段は、前記ブロックエリア毎に車両の管理を行うことを特徴とする。
【0020】
ここで、支線道路とは、例えば、市街地や所定地域内に設けられた低速走行可能な道路で、ブロックエリアとは支線道路によって往来が可能な生活エリアである。また、幹線道路とは、前記ブロックエリア間を結ぶ道路で、例えば高速走行可能道路である。
【0021】
この構成によれば、広域エリアを走行開始車両が移動する場合でも他の交通要素と非干渉になるように出発タイミングと走行経路と走行速度とがブロックエリア毎に個々に管理され、一度走行を開始したら他の交通が原因となる減速や停止を行うことなく走行を続けることができる。その結果、渋滞の発生自体を計画的に防止できると共に、必要以上の減速や加速を必要としないため車両のエネルギ使用効率を向上させることができる。
【0022】
上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、道路網を通行する複数の車両に対する走行制御を行う車両走行制御装置であって、道路網内の個々の車両の出発位置を認識する出発位置認識手段と、前記車両の移動目的位置を認識する目的位置認識手段と、走行を開始する車両の前記出発位置と移動目的位置とに基づいて、当該車両が他の交通要素と非干渉で目的位置に到達できる出発タイミングと走行経路と走行速度とを算出する走行計画算出手段と、前記走行計画に基づいて道路網内の複数の車両の走行指示を行う走行指示手段と、を含み、前記走行計画算出手段は、道路網の道路が交差して形成される格子形状の道路の格子部分の一方の道路と他方の道路との長さ比が各道路の設定走行速度の比であるとして走行計画を作成することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、交差点における自車両の合流や分流のタイミングを他車両に合わせることができるので、渋滞を発生させることなくスムーズな交通の流れを作ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0027】
図1には、本実施形態の車両走行制御装置10及び制御の対象である車両(不図示)に搭載する車載装置12,14の構成ブロック図が示されている。また、図2には、本実施形態の車両走行制御装置10を適用可能な複数のブロックエリア16から成る都市構造18の全体構成が一例として示されている。さらに、図3には、前記ブロックエリア16の詳細が示されている。図2に示すように、ブロックエリア16は任意の数の集団を形成し、各ブロックエリア16は高速走行が可能な幹線道路20で接続されている。この幹線道路20は例えば高速道路や国道等である。図2は、ブロックエリア16が円形状に配置されたものと、直線状に配置されたものとを結合した例を示している。また、各ブロックエリア16は、図3に示すように、内部が複数の支線道路22によって分割された小ブロック24によって構成されている。前記支線道路22は例えば格子状に配置された低速走行用の道路である。本実施形態の制御対象である車両は、この小ブロック24間を往来することになる。なお、車両の移動は同一のブロックエリア16内部で行われる場合と、離れた2つのブロックエリア16間で行われる場合がある。
【0028】
前記小ブロック24は、図4に示すように中央部にオフィスや住宅等の利用空間24aを形成し、その周囲に歩道24bを形成し、さらにその周囲に車両26が小ブロック24に発着するための停車帯24cを形成している。小ブロック24に発着する車両26aは、支線道路22から前記停車帯24cに進入することによって利用者の乗車または降車を可能にしている。また、隣接する小ブロック24間には横断歩道24dが形成され、歩行者は小ブロック24間を往来することができる。
【0029】
また、図3に示すように、ブロックエリア16間を接続する幹線道路20から当該ブロックエリア16に進入する入口には、幹線道路20と支線道路22との走行速度の整合を行うための減速車線20aが設けられている。同様に、ブロックエリア16から退去する出口には、加速車線20bが設けられている。つまり、支線道路22を含むブロックエリア16の周囲には、幹線道路20が設けられ、車両26は幹線道路20を介して異なるブロックエリア16間を往来することができる。
【0030】
本実施形態の特徴的事項は、前記ブロックエリア16毎に、当該ブロックエリア16内の全車両の出発タイミングと走行経路と走行速度を一括的に管理して、走行を開始した車両が他の交通と干渉すること無く目的位置に到達させる制御を行う車両走行制御装置が配置されているところである。
【0031】
図3に示すように、本実施形態の場合、各エリアブロック16には少なくとも一つの管制塔28が配設され、当該管制塔の中に車両走行制御装置10が配置されている。なお、図3の場合、ブロックエリア16に接続された幹線道路20の入口部分に管制塔28が配設されているが、この位置は任意であり、また複数の管制塔によって管制作業を行うようにしてもよい。
【0032】
前記管制塔28に配置されている車両走行制御装置10(以下、単に制御装置10という)は図1に示すように、管制(制御)対象である車両と交信を行うための第1通信機30と他の管制塔(他のブロックエリアの管制塔28Aや同一ブロックエリア内の他の管制塔)と交信を行うための第2通信機32を有している。また、制御装置10は前記第1通信機30を介して車両から当該車両の出発地と移動の目的地を入手する出発地・目的地認識部34を有している。この出発地・目的地認識部34は認識した目的地が自己のブロックエリア内であるか他ブロックエリア内であるかを識別し、目的地が自己のブロックエリア内、つまり、車両移動がブロックエリア内で行われる場合、車両の出発タイミングと走行経路と走行速度を算出する走行計画算出部36に制御対象になっている車両の出発地と目的地を供給する。走行計画算出部36は、ブロックエリア内の車両の走行スケジュールを記憶したスケジュールデータベース(D/B)38を参照しつつ、該当車両が他の交通要素と非干渉、具体的には、他の車両や歩行者等の存在によって減速や停止、加速を生じることなく目的位置に到達できる出発タイミングと走行経路と走行速度を算出して、前記走行スケジュールの更新を行う。同時に、走行指示部40に算出結果を供給し、第1通信機30を介して、出発地と目的地を送信してきた該当車両に出発タイミングと走行経路と走行速度を送信する。
【0033】
一方、出発地・目的地認識部34が認識した目的地が他のブロックエリア内である場合には、第2通信機32を介して、制御対象の車両の出発地と目的地の情報を目的地の存在するブロックエリアの管制塔28Aに送信する。送信を受けた管制塔28Aには前記制御装置10と同様な構成の車両走行制御装置が配置され、該当ブロックエリアで他のブロックエリアからの車両の受け入れが可能であるかを検討し、第2通信手段32を介して入場の可否を問い合わせてきた管制塔28に返送する。返送を受けた管制塔28の走行計画算出部36は前述と同様に、出発タイミングと走行経路と走行速度を算出して、前記走行スケジュールの更新を行う。同時に、走行指示部40に算出結果を供給し、第1通信機30を介して、出発地と目的地を送信してきた該当車両に出発タイミングと走行経路と走行速度を送信する。なお、図1においては、図面の簡略化のため他のブロックエリアの管制塔28Aの制御部10aの構成は一部省略しスケジューラとして示している。
【0034】
また、図1には制御対象である車両に搭載される車載装置12,14の構成ブロック図が示されてる。車載装置12はナビゲーション装置を利用した例で、利用者が目的地入力部42から移動の目的地を入力すると、車載通信機44を介して前述した制御装置10の第1通信機30に目的地を送信する。この時の目的地入力は、例えば車載ディスプレイ上に表示された地図上のポイントを指し示すようにしてもよいし、キーボード等により具体的な名称を入力するようにしてもよい。同様に、出発地の入力を出発地入力部46から行う。この出発地も目的地と同様に車載通信機44を介して前述した制御装置10の第1通信機30に送信される。なお、出発地は車両の現在位置であるため、GPS衛星等を利用して車両の絶対位置を検出して、その情報を直接車載通信機44を介して前述した制御装置10の第1通信機30に送信してもよい。
【0035】
制御装置10は車両の出発地と目的地を取得すると、前述したように走行計画を算出し、第1通信機30から車載通信機44に走行計画を送信する。車載装置12では走行計画をナビゲーション表示部48に表示して、利用者に出発タイミングと走行経路と走行速度を提示する。
【0036】
一方、車載装置14は自動運転車両に適用する例で、例えば、車両外部の環境を認識しつつ目的地まで走行可能な無軌道の車両や、列車のように軌道上を走行し所定の乗降場所を巡回する車両に搭載される。車載装置14の場合も目的地と出発地は車載装置12と同様に車載通信機44から制御装置10の第1通信機30に送信される。そして、車載通信機44が前記第1通信機30を介して走行計画を受信すると、その情報が自動運転コントローラ50に供給され、車両の自動運転が実施される。
【0037】
続いて、車両の走行計画の算出処理を具体例を用いて説明する。本実施形態では図5(a)に示すように、自己のブロックエリアから他のブロックエリアに移動する場合と、図5(b)に示すように、他のブロックエリアから自己のブロックエリアに移動する場合と、図5(c)に示すように、自己のブロックエリア内で移動を行う場合を説明する。
【0038】
前記走行計画算出部36(図1参照)は、その内部に、図6に矢印(→)で示すような道路網上で所定台数の車両に対して、所定方向への走行を所定時間許可する走行許可ベクトル52を設定するベクトル設定手段を含んでいる。この走行許可ベクトル52は支線道路22の交差点における車両の直進及び右折または左折の許可と車両の存在しうる範囲とタイミングを示している。つまり、走行許可ベクトル52が存在しているタイミングのみに車両の走行が可能になる。また、前記走行計画算出部36は走行許可ベクトル52の方向を図6に示すように周期的に変更する変更手段を有している。図6に示す例では、タイミング1〜タイミング4の4種類のタイミングで走行許可ベクトル52の方向及び存在位置が順次変化している。なお、支線道路22を巡航走行する場合、基準速度(例えば、10km/h)が提示され、基準速度で支線道路22を走行した場合、一つの小ブロック24の一辺を通過するのに30秒必要な場合には、前記タイミング1〜タイミング4の各変更周期は30秒になる。また、小ブロック24の一辺の長さが異なる場合には、最小の長さに合わせて変更周期が決定される。従って、走行許可ベクトル52に基づいて走行計画を作成することによって、走行中の車両の不必要な減速や停止を容易に防止することができる。また、走行許可ベクトル52の向きを周期的に変更することによって、任意の方向に車両の誘導をスムーズに行うことができる。
【0039】
図5(a)〜(c)に戻って、車両の目的地毎に走行計画算出手段の処理動作を図1及び図7のフローチャートを用いて説明する。初めに図5(a),(b)に基づいて自己のブロックエリア16から他のブロックエリア16に移動する場合を示す。なお、本実施形態の場合、ナビゲーション装置を搭載した車載装置12の走行制御を例に取って説明する。まず、車載装置12は、車載通信機44を介して出発地(自車位置)54及び移動の目的地56を自車が存在するブロックエリア16の管制塔28の制御装置10に出発データとして送信する。なお、この送信タイミングは、車両の利用者が出発希望時刻直前に行ってもよいし、予め出発希望時刻を含んだ出発データを例えば1時間前等に送信するようにしてもよい。制御部10が出発データを受信すると(S100)、出発地・目的地認識部34は、目的地56が自己のブロックエリア内部に存在するか否かの判断を行う(S101)。
【0040】
図5(a)のように車両が自己のブロックエリア16を出て他のブロックエリア16へ移動する場合、その情報を走行計画算出部36が取得し、当該走行計画算出部36は目的地56を含むブロックエリアの入口(減速車線20a;図3参照)に到達する到着予定時刻を算出する(S102)。ブロックエリア内の移動経路は任意であるが、例えば、図5(a)の場合上方向を北とすると、西向きに移動した後北上する方法と、先に北上した後西向きに移動して出口(加速車線20b)に向かう方法等がある。前者の場合、図6のタイミング3で移動を開始すれば、タイミング3→4→1→2→3・・・の順に走行許可ベクトル52を順に渡っていけば出口まで車両を誘導することができる。この時、走行計画算出部36は、出発データを受信したタイミング、または出発希望時間からタイミング3までの出発待ち時間を取得できる。また、出発地54から出口までの経路、距離、走行速度(例えば10km/h)に基づいて出口に到達するために必要な必要時間が算出できる。さらに、加速車線20bにおける速度や加速車線20bの長さ、目的地56が存在する他のブロックエリアまでの距離と走行速度(例えば100km/h)から出発地54を含むブロックエリアから目的地56を含むブロックエリアまで移動するための必要時間が算出可能である。従って、走行計画算出部36は目的のブロックエリア入口の到着予定時刻が算出できる。
【0041】
続いて、走行計画算出部36は第2通信機32を介して目的地56を含むブロックエリアの管制塔28Aに到着予定時刻を通信する(S103)。管制塔28Aでは、受信した到着予定時刻に車両の受け入れが可能であるか否かを判断して、その結果を走行指示部40及び第2通信機32を介して前記制御部10の第2通信機32に返送する。そして、制御部10の走行計画算出部36は到着予定時刻に目的のブロックエリアの入場が許可されるか否かを認識する(S104)。すなわち、管制塔28Aに含まれる走行計画算出部は自己のブロックエリアの入口である減速車線20a(図3参照)に同じ時間帯の到着予定時刻に他の車両の進入が重なり当該減速車線20aの許容量をオーバーするか否かをスケジュールD/B38を参照して判断する。同じ時刻帯に許容量に余裕があれば、減速車線20aに進入可能である。そして、車両は減速車線20aの終端部分で直進または左折することによってブロックエリア内に進入することができる。すなわち、管制塔28Aは、何時であれば車両の受入が可能であるか(受入可能タイミング)を認識しているため、当該管制塔28Aの走行計画算出部は、進入可否の結果と共に何時であれば車両の受け入れが可能であるかを制御部10に送信することになる。
【0042】
(S104)において、到着予定時刻に目的ブロックエリアへの入場が許可されない場合、走行計画算出部36は管制塔28Aから受け取った受入可能タイミングを認識する(S105)。そして、受入可能タイミングに到達可能な出発タイミングの選定を行う(S106)。つまり、初回に到着予定時間を算出した時に使用したタイミング以降の同一タイミング(本実施形態ではタイミング3)でも車両の出発は可能なので、走行計画算出部36は、取得した受入可能タイミングと次以降のタイミング3との一致する時刻、すなわち出発タイミングの選定を行う。
【0043】
また、(S104)において、到着予定時刻に目的ブロックエリアへの入場が許可された場合、走行計画算出部36は前記到着予定時刻算出に使用した出発タイミング(本実施形態の場合はタイミング3)になったか否かの判断を行う(S107)。そして、所定のタイミングになったら、制御装置10の走行指示部40は第1通信機30を介して車載装置12に出発指示指令を送信する(S108)。一方、出発タイミングになっていない場合、走行指示部40は第1通信機30を介して車載装置12に出発待機状態である旨を送信し(S109)、出発タイミングになるのを待つ。なお、出発待機を示す時に、出発許可時刻を合わせて提示してもよい。また、(S104)で入場許可が出た時点で、出発許可時刻を車載装置12に提示するようにしてもよい。
【0044】
次に、ブロックエリア16内における車両の移動方法を説明する。例えば、図6におけるタイミング3で出発許可の出た車両は、所定の出発タイミングになったら出発するが、この出発は、車両が自己のブロックエリア16から他のブロックエリア16に向かうため出口に移動する場合、タイミング3の走行許可ベクトル52に存在する車両の流れの最後尾に合流するタイミングで出発指示が出される。格子状のブロックエリア16内において、経路変更は、ある走行許可ベクトル52から方向の異なる走行許可ベクトル52に車両が渡ることによって行われる。従って、向きの異なる走行許可ベクトル52が接触しているタイミング(図6の場合、タイミング2、タイミング4)で行われる。このベクトル間の渡りをスムーズに行うためには、経路変更を行う場合、ベクトル内に存在する車両集団の先頭に位置する車両から順次向きの異なる走行許可ベクトル52に移動していく。ここで、ブロックエリア16の出口に向かうためには、ブロックエリア16の最外周まで曲がる必要が無いため、他のブロックエリア16に移動する車両は前記車両集団の最後尾に初めから合流することになる。なお、制御部10は自己のブロックエリア16内の車両の動きを全て認識しているためタイミング3における車両の最後尾を正確に認識可能で、出発指示を出すことができる。
【0045】
図5(b)に示すように、目的地56を含むブロックエリア16に進入が許可され、減速道路20aに進入が完了した車両の走行制御は目的地56を含むブロックエリア16の管制塔28Aの制御部に引き渡される。車両の制御を引き継いだ制御部は車両が自己のブロックエリア16の支線道路22に入るタイミングに応じて、直進するか左折するかを決定する。つまり、支線道路22に入るタイミングがタイミング1,2の場合は直進を指示し、タイミング3,4の場合には左折を指示する。その後は、図6に示すタイミング1〜4に従って目的地56までの車両の誘導を行う。
【0046】
また、(S106)で次の出発タイミングが選定された場合には、選定した出発タイミングに成ったか否かの判断が(S107)で行われ、出発指示(S108)または出発待機指示(S109)が出される。なお、(S104)で最初に算出した到着予定時刻に入場が許可されない場合に、高速道路等を走行中に走行速度を加減速することによって、入場可能時刻にタイミングを合わせることが可能であるが、走行中の速度を一定に保つことを優先し、出発タイミングを選定することが望ましい。このように、走行中の速度を一定にすることにより、渋滞の発生自体を防止できると共に、車両のエネルギ使用効率を向上させることができる。
【0047】
一方、図7の(S101)において、図5(c)に示すように車両の出発地54と目的地56とが同一のブロックエリア16にある場合、すなわち、自己ブロックエリア16内での移動である場合、図6に示すタイミング1で出発すれば、走行許可ベクトル52の先頭に合流することができる。前述したように先頭に位置する車両から順次向きの異なる走行許可ベクトル52に移動していくため、先に曲がる車両が車両集団の先頭に合流する必要がある。なお、方向の異なる走行許可ベクトル52に移動した車両は移動先の走行許可ベクトルの最後尾に順次合流していくことになる。従って、出発地から車両が出発する時に、当該車両より先に経路変更を行う車両が、合流しようとする車両集団に存在する場合には、先に曲がる車両の後ろに後から曲がる車両が合流することになる。
【0048】
例えば、図5(c)の上方向を北とすると、車両が出発地54から目的地56に移動する場合、単純な移動経路の例として、西に進んだ後南下する経路と、まず南下して西に進む経路とがある。前者の場合、図6のタイミング1で西進の集団の先頭で出発し、タイミング4で左折して、西進集団の先頭から南下集団の最後尾に合流する。また、後者の場合は、タイミング1で南下集団の先頭で出発し、タイミング2で右折して、南下集団の先頭から西進集団の最後尾に合流すれば、スムーズにブロックエリア内を移動することができる。
【0049】
ブロックエリア16内には、多数の利用空間24aが存在し(図4参照)、歩行者の交通もある。前述したように支線道路22には歩行者等が横断するための横断歩道24dが設けられている。前記走行計画算出部36は、道路網上の走行許可ベクトル52の有無に応じて、道路横断用歩行者信号機を制御する信号制御手段を有している。この信号制御手段は走行許可ベクトル52が道路網上に存在しないタイミングで歩行者の横断を許可するように信号機を制御する。その結果、道路横断中の歩行者によって走行中の車両が極端な減速や停止を行うことが無くなり、車両のエネルギ使用効率を向上させることができると共に、渋滞の発生を計画的に防止することができる。
前述した図3〜図6等に示すブロックエリア16は同一形状の小ブロック24が規則正しく配置されている例を示しているが、実際の都市構造では、様々な制約があり、ブロックエリアやそれを構成する小ブロックの大きさや形状は様々である。図8には形状や大きさの異なる小ブロック58a,b,c,d,e・・・で構成されたブロックエリア60を示している。前記小ブロック58a,58b等は図3や図4に示す小ブロック24と同様に、利用空間、歩道、停車帯、横断歩道等を含んでいると共に、図9に示すように、走行許可ベクトルが設定可能であり、図6と同様に所定の周期で走行許可ベクトルの方向が変更される。前記走行許可ベクトルの方向の変更周期は小ブロック58a,58b等のうち最小の一辺を基本単位とし、当該基本単位を所定速度(例えば、10km/h)で通過するために必要な時間で決定される。例えば、基本単位を通過するために30秒必要な場合には、変更周期も30秒である。また、走行許可ベクトルの長さは、基本単位に存在可能な走行許可ベクトルの長さで統一される。さらに、各小ブロックにおいて、その一辺の長さが基本単位の整数倍で構成される区画を通過する車両の速度は一定(例えば、10km/h)であるが、整数倍でない区画を車両が通過する場合、速度調整が適宜行われ、次の交差点で他の方向からの交通との合流が一致するように制御される。このような都市構造においても車両の出発タイミング等は、図7のフローチャートに示す手順で決定され、管制塔の制御部から各車両に走行経路や走行速度と共に出発タイミングの指示が出される。また、ブロックエリア内に存在する横断歩道用信号機の制御も前述した例と同様に行われる。
【0050】
図10(a)〜(c)には、基準走行速度の異なる道路が交差する場合、例えば、高速道路62と一般道路64とが平面で交差する平面交差エリア66が存在する場合の構成が示されている。前記平面交差エリア66は、高速道路62に対して一般道路64が略直角に交わる格子形状で構成され、格子の縦横比が高速道路62と一般道路64との速度比に設定されている。例えば、高速道路62と一般道路64が形成する格子部分の長さの縦横比が5:1の場合、高速道路62の設定走行速度は100km/hであり、一般道路64の設定走行速度は20km図10(a)〜(c)には、基準走行速度の異なる道路の交差する場合、例えば、高速道路62と一般道路64とが平面で交差する平面交差エリア66が存在する場合の構成が示されている。前記平面交差エリア66は、高速道路62に対して一般道路64が略直角に交わる格子形状で構成され、格子の縦横比が高速道路62と一般道路64との速度比に設定されている。例えば、高速道路62と一般道路64が形成する格子部分の長さの縦横比が5:1の場合、高速道路62の設置走行速度は100km/hであり、一般道路64の設定走行速度は20km/hになる。
【0051】
図10(b)は、交通の流れを示したもので、実線矢印で示す流れが、20km/hの道路から100km/hの道路に移る場合の交通の流れで、破線矢印で示した流れが、100km/hの道路から20km/hの道路に移る場合の交通の流れである。
【0052】
また、図10(c)には、図6や図9等に示した走行許可ベクトルのタイミン/hになる。
【0053】
なお、以上説明した実施形態では、走行許可ベクトルの切り換えを4つのタイミングパターンで行う例を示したが、タイミングパターン数は任意であり、パタる。
【0054】
このように、平面交差エリア66を構成する格子の縦横比と交差する道路の速度比とを一致させることによって、走行許可ベクトルを順次切り換える場合でも、各格子間での車両の移動のタイミングが同期して、スムーズな走行制御を行うことができる。
【0055】
なお、以上説明した実施形態では、走行許可ベクトルの切り替えを4つのタイミングパターンで行う例を示したが、タイミングパターン数は任意であり、パターン数を増やせば、より待ち時間の少ない効率的な走行制御を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態では、ナビゲーション装置を有する車両の走行制御を例にとって説明したが、自動走行可能な軌道車両や無軌道車両でも同様の効果を得ることができると共に、公共車両に本実施形態を適用すれば、ユーザが目的に応じて所望の車両を呼び出し利用することが可能で、目的地に到着後は他のユーザが利用することも可能である。さらに、自動走行車両に本実施形態を適用する場合、車両の少ない地域や利用頻度の高い地域に空車両を集中的に移動させることによって効率的な交通システムを容易に構築することができる。また、利用者は、出発可能時刻を予め認識することが可能なので、有効な時間利用を行うことができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、道路網内の車両は、他の交通要素と非干渉になるように出発タイミングと走行経路と走行速度とが個々に管理され、一度走行を開始したら他車両が原因となる極端な減速や停止を行うことなく走行を続けることができるので、渋滞の発生自体を計画的に防止できる。また、必要以上の減速や加速を必要としないため車両のエネルギ使用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置を適用可能な都市構造を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置を適用可能な都市構造を構成するブロックエリアを説明する説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置を適用可能なブロックエリアを構成する小ブロックの構造を説明する説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置の制御により出発地から目的地まで移動する場合の移動例を説明する説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置の制御による走行許可ベクトルの存在タイミングを説明する説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置の制御を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置を適用可能な他の都市構造を示す説明図である。
【図9】図8に示す都市構造に適用する走行許可ベクトルの存在タイミングを説明する説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置を適用可能な平面交差エリアの構成を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 車両走行制御装置、12,14 車載装置、28 管制塔、30 第1通信機、32 第2通信機、34 出発地・目的地認識部、36 走行計画算出部、38 スケジュールデータベース、40 走行指示部、42 目的地入力部、44 車載通信機、46 出発地入力部、48 ナビゲーション表示部、50
自動運転コントローラ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両走行制御装置、特に、車両が道路網に含まれる出発地から目的地まで走行する時に効率的に当該車両を移動させることのできる車両走行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車社会の発達に伴い道路の渋滞が急増し、その解消が望まれている。
【0003】
例えば、道路施設側で対応する場合、幹線道路や高速道路等においては、通過車両台数や車両の平均速度等を検出して所定区間の道路が渋滞しているか否かの判断や、その区間を通過するためにどの位の時間を必要とするか等を算出して運転者に通知して渋滞を迂回させたり、認識された交通状況に基づいて進入路の開放や封鎖を行い意図的に渋滞等の緩和を行いながら車両走行状態の監視制御を行う交通監視システムが導入されている。
【0004】
また、特開平8−249591号公報には、環状道路において、内回り道路を使用する場合と外回り道路を使用する場合とで、どちらが短時間で目的地に到達できるかを示す経路誘導装置が開示されている。この装置によれば、所定区間を通過するのに必要な時間を検出して、その検出結果に基づいて、任意の進入路から所定時間で到達できる環状道路上の位置を提示し、運転者に渋滞のより少ない経路を選択させると共に、渋滞した経路の選択を防止することによって渋滞の増大を防止している。
【0005】
一方、各車両側で対応する場合、外部より交通情報や自車位置を入手して、ナビゲーション装置等により渋滞の少ないまたは無い道路を探索して運転者を誘導する装置も実用化され、車両を非渋滞エリアに誘導することによって渋滞の緩和を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の方法では、発生した渋滞を緩和するのみで、渋滞の発生の防止を行うことはできないという問題がある。また、従来の渋滞緩和は主として別経路の利用によって行われるため、余分な経路の走行によるエネルギ(燃料)の消費や、住宅街や細い道路の走行を強いられるため停止、発進操作の繰り返しが頻繁に行われるためにエネルギ効率(燃費)の低下等が発生するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決することを課題としてなされたものであり、渋滞の発生自体を計画的に防止すると共に、エネルギ(燃料)の利用効率を向上させることのできる車両走行制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、道路網を通行する複数の車両に対する走行制御を行う車両走行制御装置であって、道路網内の個々の車両の出発位置を認識する出発位置認識手段と、前記車両の移動目的位置を認識する目的位置認識手段と、前記道路網上で車両の所定方向の走行を所定時間許可する走行許可ベクトルを設定するベクトル設定手段と、前記道路網を構成し内部が複数の支線道路で分割された小ブロックからなり、当該小ブロック間を前記支線道路を介して前記車両が往来するブロックエリアにおいて、前記小ブロックの一辺の最小の長さを車両が通過するのに必要な時間に合わせた変更周期で前記走行許可ベクトルの向きを変更する変更手段と、を含み、前記車両の出発位置と移動目的位置と、周期的変更される走行許可ベクトルの向きに基づいて当該車両が他の交通要素と非干渉で移動目的位置に到達できる出発タイミングと走行経路と走行速度とを算出し走行計画を算出する走行計画算出手段と、前記走行計画に基づいて道路網内の複数の車両の走行指示を行う走行指示手段と、を含むことを特徴とする。
【0009】
ここで、走行開始車両が他の交通要素と非干渉で目的位置に到達できるとは、他車両や歩行者等の存在によって走行開始車両が極端な減速や停止を行うことなく出発位置から目的位置まで到達することをいう。また、走行許可ベクトルとは、例えば***路や交差点における走行可能な方向を示すと共に、所定台数の車両の走行を許容する量である。
【0010】
この構成によれば、道路網内の車両は、他の交通要素と非干渉になるように出発タイミングと走行経路と走行速度とが個々に管理され、一度走行を開始したら他の交通が原因となる極端な減速や停止を行うことなく走行を続けることができる。特に、走行許可ベクトルに基づいて走行計画を作成することによって、走行中の車両が他の交通要素と干渉することなく車両にとって不必要な極端な減速や停止を必要としない走行計画を容易に作成することができると共に、走行許可ベクトルの向きを周期的に変更することによって、任意の方向に車両の誘導をスムーズに行うことができる。その結果、渋滞の発生自体を計画的に防止できると共に、必要以上の減速や加速を必要としないため車両のエネルギ使用効率を向上させることができる。
【0014】
上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、前記装置において、さらに、走行計画算出手段は、道路網上の走行許可ベクトルの有無に応じて道路横断用歩行者信号機を制御する信号制御手段を含むことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、道路網上に走行許可ベクトルが存在しないタイミングで歩行者の道路横断を許可するので、道路横断中の歩行者によって走行中の車両が極端な減速や停止を行うことが無くなり、車両のエネルギ使用効率を向上させることができると共に、渋滞の発生を計画的に防止することができる。
【0016】
上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、前記装置において、前記車両は、前記走行計画に基づいて制御される自動運転車両であることを特徴とする。
【0017】
ここで、自動運転車両とは、例えば、車両外部の環境を認識しつつ目的地まで走行可能な無軌道の車両や、列車のように軌道上を走行し所定の乗降場所を巡回する車両である。
【0018】
この構成によれば、個々の車両の公共交通化が可能で、渋滞の発生原因の一つである車両数の増加を抑制することができる。
【0019】
上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、前記装置において、前記道路網は、支線道路を含む複数のブロックエリアと、前記ブロックエリア間を接続する幹線道路と、を含み、前記走行計画算出手段は、前記ブロックエリア毎に車両の管理を行うことを特徴とする。
【0020】
ここで、支線道路とは、例えば、市街地や所定地域内に設けられた低速走行可能な道路で、ブロックエリアとは支線道路によって往来が可能な生活エリアである。また、幹線道路とは、前記ブロックエリア間を結ぶ道路で、例えば高速走行可能道路である。
【0021】
この構成によれば、広域エリアを走行開始車両が移動する場合でも他の交通要素と非干渉になるように出発タイミングと走行経路と走行速度とがブロックエリア毎に個々に管理され、一度走行を開始したら他の交通が原因となる減速や停止を行うことなく走行を続けることができる。その結果、渋滞の発生自体を計画的に防止できると共に、必要以上の減速や加速を必要としないため車両のエネルギ使用効率を向上させることができる。
【0022】
上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、道路網を通行する複数の車両に対する走行制御を行う車両走行制御装置であって、道路網内の個々の車両の出発位置を認識する出発位置認識手段と、前記車両の移動目的位置を認識する目的位置認識手段と、走行を開始する車両の前記出発位置と移動目的位置とに基づいて、当該車両が他の交通要素と非干渉で目的位置に到達できる出発タイミングと走行経路と走行速度とを算出する走行計画算出手段と、前記走行計画に基づいて道路網内の複数の車両の走行指示を行う走行指示手段と、を含み、前記走行計画算出手段は、道路網の道路が交差して形成される格子形状の道路の格子部分の一方の道路と他方の道路との長さ比が各道路の設定走行速度の比であるとして走行計画を作成することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、交差点における自車両の合流や分流のタイミングを他車両に合わせることができるので、渋滞を発生させることなくスムーズな交通の流れを作ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0027】
図1には、本実施形態の車両走行制御装置10及び制御の対象である車両(不図示)に搭載する車載装置12,14の構成ブロック図が示されている。また、図2には、本実施形態の車両走行制御装置10を適用可能な複数のブロックエリア16から成る都市構造18の全体構成が一例として示されている。さらに、図3には、前記ブロックエリア16の詳細が示されている。図2に示すように、ブロックエリア16は任意の数の集団を形成し、各ブロックエリア16は高速走行が可能な幹線道路20で接続されている。この幹線道路20は例えば高速道路や国道等である。図2は、ブロックエリア16が円形状に配置されたものと、直線状に配置されたものとを結合した例を示している。また、各ブロックエリア16は、図3に示すように、内部が複数の支線道路22によって分割された小ブロック24によって構成されている。前記支線道路22は例えば格子状に配置された低速走行用の道路である。本実施形態の制御対象である車両は、この小ブロック24間を往来することになる。なお、車両の移動は同一のブロックエリア16内部で行われる場合と、離れた2つのブロックエリア16間で行われる場合がある。
【0028】
前記小ブロック24は、図4に示すように中央部にオフィスや住宅等の利用空間24aを形成し、その周囲に歩道24bを形成し、さらにその周囲に車両26が小ブロック24に発着するための停車帯24cを形成している。小ブロック24に発着する車両26aは、支線道路22から前記停車帯24cに進入することによって利用者の乗車または降車を可能にしている。また、隣接する小ブロック24間には横断歩道24dが形成され、歩行者は小ブロック24間を往来することができる。
【0029】
また、図3に示すように、ブロックエリア16間を接続する幹線道路20から当該ブロックエリア16に進入する入口には、幹線道路20と支線道路22との走行速度の整合を行うための減速車線20aが設けられている。同様に、ブロックエリア16から退去する出口には、加速車線20bが設けられている。つまり、支線道路22を含むブロックエリア16の周囲には、幹線道路20が設けられ、車両26は幹線道路20を介して異なるブロックエリア16間を往来することができる。
【0030】
本実施形態の特徴的事項は、前記ブロックエリア16毎に、当該ブロックエリア16内の全車両の出発タイミングと走行経路と走行速度を一括的に管理して、走行を開始した車両が他の交通と干渉すること無く目的位置に到達させる制御を行う車両走行制御装置が配置されているところである。
【0031】
図3に示すように、本実施形態の場合、各エリアブロック16には少なくとも一つの管制塔28が配設され、当該管制塔の中に車両走行制御装置10が配置されている。なお、図3の場合、ブロックエリア16に接続された幹線道路20の入口部分に管制塔28が配設されているが、この位置は任意であり、また複数の管制塔によって管制作業を行うようにしてもよい。
【0032】
前記管制塔28に配置されている車両走行制御装置10(以下、単に制御装置10という)は図1に示すように、管制(制御)対象である車両と交信を行うための第1通信機30と他の管制塔(他のブロックエリアの管制塔28Aや同一ブロックエリア内の他の管制塔)と交信を行うための第2通信機32を有している。また、制御装置10は前記第1通信機30を介して車両から当該車両の出発地と移動の目的地を入手する出発地・目的地認識部34を有している。この出発地・目的地認識部34は認識した目的地が自己のブロックエリア内であるか他ブロックエリア内であるかを識別し、目的地が自己のブロックエリア内、つまり、車両移動がブロックエリア内で行われる場合、車両の出発タイミングと走行経路と走行速度を算出する走行計画算出部36に制御対象になっている車両の出発地と目的地を供給する。走行計画算出部36は、ブロックエリア内の車両の走行スケジュールを記憶したスケジュールデータベース(D/B)38を参照しつつ、該当車両が他の交通要素と非干渉、具体的には、他の車両や歩行者等の存在によって減速や停止、加速を生じることなく目的位置に到達できる出発タイミングと走行経路と走行速度を算出して、前記走行スケジュールの更新を行う。同時に、走行指示部40に算出結果を供給し、第1通信機30を介して、出発地と目的地を送信してきた該当車両に出発タイミングと走行経路と走行速度を送信する。
【0033】
一方、出発地・目的地認識部34が認識した目的地が他のブロックエリア内である場合には、第2通信機32を介して、制御対象の車両の出発地と目的地の情報を目的地の存在するブロックエリアの管制塔28Aに送信する。送信を受けた管制塔28Aには前記制御装置10と同様な構成の車両走行制御装置が配置され、該当ブロックエリアで他のブロックエリアからの車両の受け入れが可能であるかを検討し、第2通信手段32を介して入場の可否を問い合わせてきた管制塔28に返送する。返送を受けた管制塔28の走行計画算出部36は前述と同様に、出発タイミングと走行経路と走行速度を算出して、前記走行スケジュールの更新を行う。同時に、走行指示部40に算出結果を供給し、第1通信機30を介して、出発地と目的地を送信してきた該当車両に出発タイミングと走行経路と走行速度を送信する。なお、図1においては、図面の簡略化のため他のブロックエリアの管制塔28Aの制御部10aの構成は一部省略しスケジューラとして示している。
【0034】
また、図1には制御対象である車両に搭載される車載装置12,14の構成ブロック図が示されてる。車載装置12はナビゲーション装置を利用した例で、利用者が目的地入力部42から移動の目的地を入力すると、車載通信機44を介して前述した制御装置10の第1通信機30に目的地を送信する。この時の目的地入力は、例えば車載ディスプレイ上に表示された地図上のポイントを指し示すようにしてもよいし、キーボード等により具体的な名称を入力するようにしてもよい。同様に、出発地の入力を出発地入力部46から行う。この出発地も目的地と同様に車載通信機44を介して前述した制御装置10の第1通信機30に送信される。なお、出発地は車両の現在位置であるため、GPS衛星等を利用して車両の絶対位置を検出して、その情報を直接車載通信機44を介して前述した制御装置10の第1通信機30に送信してもよい。
【0035】
制御装置10は車両の出発地と目的地を取得すると、前述したように走行計画を算出し、第1通信機30から車載通信機44に走行計画を送信する。車載装置12では走行計画をナビゲーション表示部48に表示して、利用者に出発タイミングと走行経路と走行速度を提示する。
【0036】
一方、車載装置14は自動運転車両に適用する例で、例えば、車両外部の環境を認識しつつ目的地まで走行可能な無軌道の車両や、列車のように軌道上を走行し所定の乗降場所を巡回する車両に搭載される。車載装置14の場合も目的地と出発地は車載装置12と同様に車載通信機44から制御装置10の第1通信機30に送信される。そして、車載通信機44が前記第1通信機30を介して走行計画を受信すると、その情報が自動運転コントローラ50に供給され、車両の自動運転が実施される。
【0037】
続いて、車両の走行計画の算出処理を具体例を用いて説明する。本実施形態では図5(a)に示すように、自己のブロックエリアから他のブロックエリアに移動する場合と、図5(b)に示すように、他のブロックエリアから自己のブロックエリアに移動する場合と、図5(c)に示すように、自己のブロックエリア内で移動を行う場合を説明する。
【0038】
前記走行計画算出部36(図1参照)は、その内部に、図6に矢印(→)で示すような道路網上で所定台数の車両に対して、所定方向への走行を所定時間許可する走行許可ベクトル52を設定するベクトル設定手段を含んでいる。この走行許可ベクトル52は支線道路22の交差点における車両の直進及び右折または左折の許可と車両の存在しうる範囲とタイミングを示している。つまり、走行許可ベクトル52が存在しているタイミングのみに車両の走行が可能になる。また、前記走行計画算出部36は走行許可ベクトル52の方向を図6に示すように周期的に変更する変更手段を有している。図6に示す例では、タイミング1〜タイミング4の4種類のタイミングで走行許可ベクトル52の方向及び存在位置が順次変化している。なお、支線道路22を巡航走行する場合、基準速度(例えば、10km/h)が提示され、基準速度で支線道路22を走行した場合、一つの小ブロック24の一辺を通過するのに30秒必要な場合には、前記タイミング1〜タイミング4の各変更周期は30秒になる。また、小ブロック24の一辺の長さが異なる場合には、最小の長さに合わせて変更周期が決定される。従って、走行許可ベクトル52に基づいて走行計画を作成することによって、走行中の車両の不必要な減速や停止を容易に防止することができる。また、走行許可ベクトル52の向きを周期的に変更することによって、任意の方向に車両の誘導をスムーズに行うことができる。
【0039】
図5(a)〜(c)に戻って、車両の目的地毎に走行計画算出手段の処理動作を図1及び図7のフローチャートを用いて説明する。初めに図5(a),(b)に基づいて自己のブロックエリア16から他のブロックエリア16に移動する場合を示す。なお、本実施形態の場合、ナビゲーション装置を搭載した車載装置12の走行制御を例に取って説明する。まず、車載装置12は、車載通信機44を介して出発地(自車位置)54及び移動の目的地56を自車が存在するブロックエリア16の管制塔28の制御装置10に出発データとして送信する。なお、この送信タイミングは、車両の利用者が出発希望時刻直前に行ってもよいし、予め出発希望時刻を含んだ出発データを例えば1時間前等に送信するようにしてもよい。制御部10が出発データを受信すると(S100)、出発地・目的地認識部34は、目的地56が自己のブロックエリア内部に存在するか否かの判断を行う(S101)。
【0040】
図5(a)のように車両が自己のブロックエリア16を出て他のブロックエリア16へ移動する場合、その情報を走行計画算出部36が取得し、当該走行計画算出部36は目的地56を含むブロックエリアの入口(減速車線20a;図3参照)に到達する到着予定時刻を算出する(S102)。ブロックエリア内の移動経路は任意であるが、例えば、図5(a)の場合上方向を北とすると、西向きに移動した後北上する方法と、先に北上した後西向きに移動して出口(加速車線20b)に向かう方法等がある。前者の場合、図6のタイミング3で移動を開始すれば、タイミング3→4→1→2→3・・・の順に走行許可ベクトル52を順に渡っていけば出口まで車両を誘導することができる。この時、走行計画算出部36は、出発データを受信したタイミング、または出発希望時間からタイミング3までの出発待ち時間を取得できる。また、出発地54から出口までの経路、距離、走行速度(例えば10km/h)に基づいて出口に到達するために必要な必要時間が算出できる。さらに、加速車線20bにおける速度や加速車線20bの長さ、目的地56が存在する他のブロックエリアまでの距離と走行速度(例えば100km/h)から出発地54を含むブロックエリアから目的地56を含むブロックエリアまで移動するための必要時間が算出可能である。従って、走行計画算出部36は目的のブロックエリア入口の到着予定時刻が算出できる。
【0041】
続いて、走行計画算出部36は第2通信機32を介して目的地56を含むブロックエリアの管制塔28Aに到着予定時刻を通信する(S103)。管制塔28Aでは、受信した到着予定時刻に車両の受け入れが可能であるか否かを判断して、その結果を走行指示部40及び第2通信機32を介して前記制御部10の第2通信機32に返送する。そして、制御部10の走行計画算出部36は到着予定時刻に目的のブロックエリアの入場が許可されるか否かを認識する(S104)。すなわち、管制塔28Aに含まれる走行計画算出部は自己のブロックエリアの入口である減速車線20a(図3参照)に同じ時間帯の到着予定時刻に他の車両の進入が重なり当該減速車線20aの許容量をオーバーするか否かをスケジュールD/B38を参照して判断する。同じ時刻帯に許容量に余裕があれば、減速車線20aに進入可能である。そして、車両は減速車線20aの終端部分で直進または左折することによってブロックエリア内に進入することができる。すなわち、管制塔28Aは、何時であれば車両の受入が可能であるか(受入可能タイミング)を認識しているため、当該管制塔28Aの走行計画算出部は、進入可否の結果と共に何時であれば車両の受け入れが可能であるかを制御部10に送信することになる。
【0042】
(S104)において、到着予定時刻に目的ブロックエリアへの入場が許可されない場合、走行計画算出部36は管制塔28Aから受け取った受入可能タイミングを認識する(S105)。そして、受入可能タイミングに到達可能な出発タイミングの選定を行う(S106)。つまり、初回に到着予定時間を算出した時に使用したタイミング以降の同一タイミング(本実施形態ではタイミング3)でも車両の出発は可能なので、走行計画算出部36は、取得した受入可能タイミングと次以降のタイミング3との一致する時刻、すなわち出発タイミングの選定を行う。
【0043】
また、(S104)において、到着予定時刻に目的ブロックエリアへの入場が許可された場合、走行計画算出部36は前記到着予定時刻算出に使用した出発タイミング(本実施形態の場合はタイミング3)になったか否かの判断を行う(S107)。そして、所定のタイミングになったら、制御装置10の走行指示部40は第1通信機30を介して車載装置12に出発指示指令を送信する(S108)。一方、出発タイミングになっていない場合、走行指示部40は第1通信機30を介して車載装置12に出発待機状態である旨を送信し(S109)、出発タイミングになるのを待つ。なお、出発待機を示す時に、出発許可時刻を合わせて提示してもよい。また、(S104)で入場許可が出た時点で、出発許可時刻を車載装置12に提示するようにしてもよい。
【0044】
次に、ブロックエリア16内における車両の移動方法を説明する。例えば、図6におけるタイミング3で出発許可の出た車両は、所定の出発タイミングになったら出発するが、この出発は、車両が自己のブロックエリア16から他のブロックエリア16に向かうため出口に移動する場合、タイミング3の走行許可ベクトル52に存在する車両の流れの最後尾に合流するタイミングで出発指示が出される。格子状のブロックエリア16内において、経路変更は、ある走行許可ベクトル52から方向の異なる走行許可ベクトル52に車両が渡ることによって行われる。従って、向きの異なる走行許可ベクトル52が接触しているタイミング(図6の場合、タイミング2、タイミング4)で行われる。このベクトル間の渡りをスムーズに行うためには、経路変更を行う場合、ベクトル内に存在する車両集団の先頭に位置する車両から順次向きの異なる走行許可ベクトル52に移動していく。ここで、ブロックエリア16の出口に向かうためには、ブロックエリア16の最外周まで曲がる必要が無いため、他のブロックエリア16に移動する車両は前記車両集団の最後尾に初めから合流することになる。なお、制御部10は自己のブロックエリア16内の車両の動きを全て認識しているためタイミング3における車両の最後尾を正確に認識可能で、出発指示を出すことができる。
【0045】
図5(b)に示すように、目的地56を含むブロックエリア16に進入が許可され、減速道路20aに進入が完了した車両の走行制御は目的地56を含むブロックエリア16の管制塔28Aの制御部に引き渡される。車両の制御を引き継いだ制御部は車両が自己のブロックエリア16の支線道路22に入るタイミングに応じて、直進するか左折するかを決定する。つまり、支線道路22に入るタイミングがタイミング1,2の場合は直進を指示し、タイミング3,4の場合には左折を指示する。その後は、図6に示すタイミング1〜4に従って目的地56までの車両の誘導を行う。
【0046】
また、(S106)で次の出発タイミングが選定された場合には、選定した出発タイミングに成ったか否かの判断が(S107)で行われ、出発指示(S108)または出発待機指示(S109)が出される。なお、(S104)で最初に算出した到着予定時刻に入場が許可されない場合に、高速道路等を走行中に走行速度を加減速することによって、入場可能時刻にタイミングを合わせることが可能であるが、走行中の速度を一定に保つことを優先し、出発タイミングを選定することが望ましい。このように、走行中の速度を一定にすることにより、渋滞の発生自体を防止できると共に、車両のエネルギ使用効率を向上させることができる。
【0047】
一方、図7の(S101)において、図5(c)に示すように車両の出発地54と目的地56とが同一のブロックエリア16にある場合、すなわち、自己ブロックエリア16内での移動である場合、図6に示すタイミング1で出発すれば、走行許可ベクトル52の先頭に合流することができる。前述したように先頭に位置する車両から順次向きの異なる走行許可ベクトル52に移動していくため、先に曲がる車両が車両集団の先頭に合流する必要がある。なお、方向の異なる走行許可ベクトル52に移動した車両は移動先の走行許可ベクトルの最後尾に順次合流していくことになる。従って、出発地から車両が出発する時に、当該車両より先に経路変更を行う車両が、合流しようとする車両集団に存在する場合には、先に曲がる車両の後ろに後から曲がる車両が合流することになる。
【0048】
例えば、図5(c)の上方向を北とすると、車両が出発地54から目的地56に移動する場合、単純な移動経路の例として、西に進んだ後南下する経路と、まず南下して西に進む経路とがある。前者の場合、図6のタイミング1で西進の集団の先頭で出発し、タイミング4で左折して、西進集団の先頭から南下集団の最後尾に合流する。また、後者の場合は、タイミング1で南下集団の先頭で出発し、タイミング2で右折して、南下集団の先頭から西進集団の最後尾に合流すれば、スムーズにブロックエリア内を移動することができる。
【0049】
ブロックエリア16内には、多数の利用空間24aが存在し(図4参照)、歩行者の交通もある。前述したように支線道路22には歩行者等が横断するための横断歩道24dが設けられている。前記走行計画算出部36は、道路網上の走行許可ベクトル52の有無に応じて、道路横断用歩行者信号機を制御する信号制御手段を有している。この信号制御手段は走行許可ベクトル52が道路網上に存在しないタイミングで歩行者の横断を許可するように信号機を制御する。その結果、道路横断中の歩行者によって走行中の車両が極端な減速や停止を行うことが無くなり、車両のエネルギ使用効率を向上させることができると共に、渋滞の発生を計画的に防止することができる。
前述した図3〜図6等に示すブロックエリア16は同一形状の小ブロック24が規則正しく配置されている例を示しているが、実際の都市構造では、様々な制約があり、ブロックエリアやそれを構成する小ブロックの大きさや形状は様々である。図8には形状や大きさの異なる小ブロック58a,b,c,d,e・・・で構成されたブロックエリア60を示している。前記小ブロック58a,58b等は図3や図4に示す小ブロック24と同様に、利用空間、歩道、停車帯、横断歩道等を含んでいると共に、図9に示すように、走行許可ベクトルが設定可能であり、図6と同様に所定の周期で走行許可ベクトルの方向が変更される。前記走行許可ベクトルの方向の変更周期は小ブロック58a,58b等のうち最小の一辺を基本単位とし、当該基本単位を所定速度(例えば、10km/h)で通過するために必要な時間で決定される。例えば、基本単位を通過するために30秒必要な場合には、変更周期も30秒である。また、走行許可ベクトルの長さは、基本単位に存在可能な走行許可ベクトルの長さで統一される。さらに、各小ブロックにおいて、その一辺の長さが基本単位の整数倍で構成される区画を通過する車両の速度は一定(例えば、10km/h)であるが、整数倍でない区画を車両が通過する場合、速度調整が適宜行われ、次の交差点で他の方向からの交通との合流が一致するように制御される。このような都市構造においても車両の出発タイミング等は、図7のフローチャートに示す手順で決定され、管制塔の制御部から各車両に走行経路や走行速度と共に出発タイミングの指示が出される。また、ブロックエリア内に存在する横断歩道用信号機の制御も前述した例と同様に行われる。
【0050】
図10(a)〜(c)には、基準走行速度の異なる道路が交差する場合、例えば、高速道路62と一般道路64とが平面で交差する平面交差エリア66が存在する場合の構成が示されている。前記平面交差エリア66は、高速道路62に対して一般道路64が略直角に交わる格子形状で構成され、格子の縦横比が高速道路62と一般道路64との速度比に設定されている。例えば、高速道路62と一般道路64が形成する格子部分の長さの縦横比が5:1の場合、高速道路62の設定走行速度は100km/hであり、一般道路64の設定走行速度は20km図10(a)〜(c)には、基準走行速度の異なる道路の交差する場合、例えば、高速道路62と一般道路64とが平面で交差する平面交差エリア66が存在する場合の構成が示されている。前記平面交差エリア66は、高速道路62に対して一般道路64が略直角に交わる格子形状で構成され、格子の縦横比が高速道路62と一般道路64との速度比に設定されている。例えば、高速道路62と一般道路64が形成する格子部分の長さの縦横比が5:1の場合、高速道路62の設置走行速度は100km/hであり、一般道路64の設定走行速度は20km/hになる。
【0051】
図10(b)は、交通の流れを示したもので、実線矢印で示す流れが、20km/hの道路から100km/hの道路に移る場合の交通の流れで、破線矢印で示した流れが、100km/hの道路から20km/hの道路に移る場合の交通の流れである。
【0052】
また、図10(c)には、図6や図9等に示した走行許可ベクトルのタイミン/hになる。
【0053】
なお、以上説明した実施形態では、走行許可ベクトルの切り換えを4つのタイミングパターンで行う例を示したが、タイミングパターン数は任意であり、パタる。
【0054】
このように、平面交差エリア66を構成する格子の縦横比と交差する道路の速度比とを一致させることによって、走行許可ベクトルを順次切り換える場合でも、各格子間での車両の移動のタイミングが同期して、スムーズな走行制御を行うことができる。
【0055】
なお、以上説明した実施形態では、走行許可ベクトルの切り替えを4つのタイミングパターンで行う例を示したが、タイミングパターン数は任意であり、パターン数を増やせば、より待ち時間の少ない効率的な走行制御を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態では、ナビゲーション装置を有する車両の走行制御を例にとって説明したが、自動走行可能な軌道車両や無軌道車両でも同様の効果を得ることができると共に、公共車両に本実施形態を適用すれば、ユーザが目的に応じて所望の車両を呼び出し利用することが可能で、目的地に到着後は他のユーザが利用することも可能である。さらに、自動走行車両に本実施形態を適用する場合、車両の少ない地域や利用頻度の高い地域に空車両を集中的に移動させることによって効率的な交通システムを容易に構築することができる。また、利用者は、出発可能時刻を予め認識することが可能なので、有効な時間利用を行うことができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、道路網内の車両は、他の交通要素と非干渉になるように出発タイミングと走行経路と走行速度とが個々に管理され、一度走行を開始したら他車両が原因となる極端な減速や停止を行うことなく走行を続けることができるので、渋滞の発生自体を計画的に防止できる。また、必要以上の減速や加速を必要としないため車両のエネルギ使用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置を適用可能な都市構造を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置を適用可能な都市構造を構成するブロックエリアを説明する説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置を適用可能なブロックエリアを構成する小ブロックの構造を説明する説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置の制御により出発地から目的地まで移動する場合の移動例を説明する説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置の制御による走行許可ベクトルの存在タイミングを説明する説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置の制御を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置を適用可能な他の都市構造を示す説明図である。
【図9】図8に示す都市構造に適用する走行許可ベクトルの存在タイミングを説明する説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係る車両走行制御装置を適用可能な平面交差エリアの構成を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 車両走行制御装置、12,14 車載装置、28 管制塔、30 第1通信機、32 第2通信機、34 出発地・目的地認識部、36 走行計画算出部、38 スケジュールデータベース、40 走行指示部、42 目的地入力部、44 車載通信機、46 出発地入力部、48 ナビゲーション表示部、50
自動運転コントローラ。
Claims (5)
- 道路網を通行する複数の車両に対する走行制御を行う車両走行制御装置であって、
道路網内の個々の車両の出発位置を認識する出発位置認識手段と、
前記車両の移動目的位置を認識する目的位置認識手段と、
前記道路網上で車両の所定方向の走行を所定時間許可する走行許可ベクトルを設定するベクトル設定手段と、前記道路網を構成し内部が複数の支線道路で分割された小ブロックからなり、当該小ブロック間を前記支線道路を介して前記車両が往来するブロックエリアにおいて、前記小ブロックの一辺の最小の長さを車両が通過するのに必要な時間に合わせた変更周期で前記走行許可ベクトルの向きを変更する変更手段と、を含み、前記車両の出発位置と移動目的位置と、周期的変更される走行許可ベクトルの向きに基づいて当該車両が他の交通要素と非干渉で移動目的位置に到達できる出発タイミングと走行経路と走行速度とを算出し走行計画を算出する走行計画算出手段と、
前記走行計画に基づいて道路網内の複数の車両の走行指示を行う走行指示手段と、
を含むことを特徴とする車両走行制御装置。 - 請求項1記載の装置において、
さらに、前記走行計画算出手段は、
道路網上の走行許可ベクトルの有無に応じて道路横断用歩行者信号機を制御する信号制御手段を含むことを特徴とする車両走行制御装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記車両は、
前記走行計画に基づいて制御される自動運転車両であることを特徴とする車両走行制御装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記道路網は、
支線道路を含む複数のブロックエリアと、
前記ブロックエリア間を接続する幹線道路と、
を含み、
前記走行計画算出手段は、前記ブロックエリア毎に車両の管理を行うことを特徴とする車両走行制御装置。 - 道路網を通行する複数の車両に対する走行制御を行う車両走行制御装置であって、
道路網内の個々の車両の出発位置を認識する出発位置認識手段と、
前記車両の移動目的位置を認識する目的位置認識手段と、
走行を開始する車両の前記出発位置と移動目的位置とに基づいて、当該車両が他の交通要素と非干渉で目的位置に到達できる出発タイミングと走行経路と走行速度とを算出する走行計画算出手段と、
前記走行計画に基づいて道路網内の複数の車両の走行指示を行う走行指示手段と、
を含み、
前記走行計画算出手段は、道路網の道路が交差して形成される格子形状の道路の格子部分の一方の道路と他方の道路との長さ比が各道路の設定走行速度の比であるとして走行計画を作成することを特徴とする車両走行制御装置。
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