JP3582198B2 - 音響再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるカラオケ装置として使用して好適な、音楽信号と音声信号とを再生する音響再生装置に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスクの如き情報信号記録媒体の再生により、または、通信手段により送信された信号(MIDIデータ)の受信により得られる音楽情報を音楽信号として出力して再生するとともに、マイクロホン装置を介して入力される歌唱音声を音声信号として出力して再生する音響再生装置が提案されている。
【0003】
この音響再生装置においては、上記音楽信号に基づく音楽と上記音声信号に基づく歌唱とが同時に再生されるので、いわゆるカラオケ装置として使用される。これら音楽と歌唱とは、電気的にミキシングされて再生されることとしてもよく、また、それぞれが並列的に再生されることとしてもよい。
【0004】
そして、このようにカラオケ装置として使用される音響再生装置においては、上記歌唱音声の音程と当該楽曲の本来の音程との差異に基づいて該歌唱を評価するいわゆる採点機能を有するものが提案されている。
【0005】
この採点機能を作動させた場合においては、一の楽曲の再生終了後に、その楽曲の再生中における上記歌唱音声の音程と当該楽曲本来の音程との差異に基づく点数が表示される。この点数は、例えば、100点を満点として、0乃至100の数値として表示される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のように採点機能を有するカラオケ装置として使用される音響再生装置においては、上記歌唱に対する評価結果を得るには、この評価結果が良い場合(すなわち、上記点数が多い場合)であっても悪い場合(すなわち、上記点数が少ない場合)であっても、一律に、一の楽曲の再生終了後に所定の時間を要することとなる。
【0007】
ところが、上記歌唱の評価が、上記採点機能による評価結果を待つまでもなく明かに悪い場合や、該歌唱が楽曲の途中で中止されてしまった場合等には、その楽曲を最後まで再生し、さらに、この再生の終了後の所定の時間を該歌唱の評価に費やすことは、時間の無駄であるという指摘が多くなされている。
【0008】
そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであり、いわゆる採点機能を有するカラオケ装置として使用される音響再生装置であって、マイクロホン装置を介して入力された歌唱の評価が該採点機能による評価結果を待つまでもなく明かに悪い場合や該歌唱が楽曲の途中で中止されてしまった場合等に、その楽曲を最後まで再生し、さらに、この再生の終了後の所定の時間を該歌唱の評価のために費やすという時間の無駄が解消され、迅速に次の楽曲の再生が行えるようになされた音響再生装置の提供という課題を解決しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明に係る音響再生装置は、音楽信号出力手段と、音程検出手段と、制御手段とを備える音響再生装置であって、音楽信号出力手段は、理想音程情報を含む音楽情報の再生を行い、音程検出手段は、マイクロホンから入力される歌唱情報の再生を行い、制御手段は、次の第1−3の処理を行うものであり、第1の処理は、再生される理想音程情報の示す一つの音がその開始から所定時間までの場合は第1の係数(α2)を、一つの音の所定時間経過後からその終了までは第1の係数よりも小さい第2の係数(α1)を採用し、第2の処理は、理想音程情報と歌唱音程情報の差分に第1の処理で採用した係数に乗算して照合情報を算出し、第3の処理は、第2の処理で算出した照合情報を積算して積算値を算出するようになされたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0016】
本発明に係る音響再生装置は、図1及び図2に示すように、音楽信号出力手段となる再生部1を内蔵して構成されたコントローラ30を有する。このコントローラ30には、制御手段となる第1の信号処理ユニット(CPU(1))21が内蔵されている。この第1の信号処理ユニット21には、メモリ20が接続されている。
【0017】
そして、このコントローラ30には、音楽情報ソースとなるディスクチェンジャ35、または、受信装置40が接続される。
【0018】
上記ディスクチェンジャ35は、複数の光ディスクの如き情報信号記録媒体となるディスクを収納しており、これらディスクを再生するためのスピンドルモータや光ヘッドを有して構成されている。このディスクチェンジャ35は、上記複数のディスクを選択的に再生して、上記コントローラ30に対して音楽情報を出力する。
【0019】
上記受信装置40は、電話回線、ISDN回線等の公衆回線により送信される音楽情報(MIDIデータ)を入力端子40を介して受信し、上記コントローラ30に対して音楽情報を出力する。
【0020】
上記コントローラ30は、上記ディスクチェンジャ35、または、上記受信装置40より楽曲単位の音楽情報及び画像情報を供給され、これら音楽情報及び画像情報に応じた音響信号及び画像信号をアンプ31に対して出力する。なお、以下の説明においては、上記コントローラ30の構成としては、主に上記ディスクチェンジャ35より上記音楽情報を供給されるものとして説明する。
【0021】
上記アンプ31は、送られた音響信号を増幅してスピーカ33,33により再生するとともに、送られた画像信号に基づく映像をTV(テレビジョン)モニタ32により表示する。このTVモニタ32は、上記第1の信号処理ユニット21に制御されて動作する表示手段ともなるものである。
【0022】
また、上記コントローラ30には、マイクロホン入力手段を構成するマイクロホン装置34が接続される。このマイクロホン入力手段は、上記マイクロホン装置34を介して歌唱音声を供給され、図2に示すように、この歌唱音声に応じた音声信号を、上記コントローラ30内のマイクアンプ23及びA/D変換器3を介して、該コントローラ30内の音程検出部4及びミキシング部(ミュージック・ヴォーカルミキシング)5に対して出力する。
【0023】
さらに、上記コントローラ30には、サービス用端末装置37が接続される。このサービス用端末装置37は、入力キー38及び表示部を有して構成され、内蔵の充電式電池により電源供給されて動作する。このサービス用端末装置37の充電式電池は、サービス用端末充電器36により充電される。そして、このサービス用端末装置37は、上記入力キー38を介して入力される種々の情報を、上記サービス用端末充電器36を介して、上記コントローラ30に対して出力する。
【0024】
また、このサービス用端末装置37には、上記第1の信号処理ユニット21に制御されて歌唱者ごとに対応された個人情報を記憶する記憶手段となる個人情報カード39が装着される。この個人情報カード39は、いわゆるICカードの如く、記憶素子を有して構成されている。
【0025】
この個人情報カード39に記憶される個人情報の内容としては、以下の〔表1〕に示すように、当該歌唱者が得意とする得意曲の曲名を記録した得意曲リスト((PP−M0))及びこの得意曲に関連するデータ((PP−M1)乃至(PP−M5))、該歌唱者の氏名や生年月日等((PP−MP1))、歌唱可能な音域((PP−MP2))、好きな音楽ジャンル((PP−MP3))、過去に歌唱した曲目とそれらについての採点結果を記録した得点リスト((PP−MP4))、採点結果の最高点及び最低点に関するデータ((PP−MP5))、及び、プリペイド残高((PP−MP6))等である。
【0026】
なお、上記得意曲に関連するデータ((PP−M1)乃至(PP−M5))は、後述するように、上記得意曲リスト((PP−M0))を基に、上記音楽情報より得ることができる。
【0027】
【表1】
【0028】
上記得意曲リスト((PP−M0))は、後述するように、上記得点リスト((PP−MP4))の内容に応じて、上記第1の信号処理ユニット21により更新されるとともに、歌唱者の操作によって、所望の曲名を書き込むこともできる。
【0029】
上記プリペイド残高は、上記再生部1による上記音楽信号の出力の、歌唱者ごとに対応された出力可能量に相当する計数情報である。したがって、上記個人情報カード39は、上記プリペイド残高を記憶していることにより、出力可能量記憶手段ともなっている。
【0030】
すなわち、このプリペイド残高は、この音響再生装置の使用が有料である場合において、この音響再生装置の使用料金を支払うことにより、支払い料金額に応じて加算される。この使用料金は、使用時間あたりの単価を基準として所望の使用時間分が支払われることとしてもよく、また、1曲あたりの単価を基準として所望の曲数分が支払われることとしてもよい。そして、このプリペイド残高は、上記再生部1による上記音楽信号の出力に伴って、時間ごとに、あるいは、楽曲単位で、上記第1の信号処理ユニット21により、減算される。このプリペイド残高が0になったときには、この音響再生装置の使用が不可能となる。すなわち、上記プリペイド残高が0であるときには、上記第1の信号処理ユニット21は、上記再生部1を動作させない。
【0031】
上記コントローラ30においては、上記ディスクチェンジャ35、または、上記受信装置40より供給された音楽情報は、RFアンプ10を介して、上記再生部1に送られる。この再生部1においては、上記音楽情報は、EFMデコーダ11に送られる。このEFMデコーダ11においては、上記音楽情報のEFM復調及びエラー訂正処理等がなされる。
【0032】
上記EFMデコーダ11を経た音楽情報は、CD−ROMデコーダ12に送られ、いわゆるCD−ROM方式のデコード処理を施される。このCD−ROMデコーダ12によりデコード処理された信号のうちのオーディオデータは、MPEGオーディオ(AUDIO)デコーダ14に送られる。また、上記CD−ROMデコーダ12によりデコード処理された信号のうちのビデオデータは、MPEGビデオ(VIDEO)デコーダ13に送られる。
【0033】
また、上記EFMデコーダ11からは、上記音楽情報より読み出された再生時刻情報(SUB−CODE)が出力され、第2の信号処理ユニット(CPU(2))15に送られる。この第2の信号処理ユニット15は、この再生部1内の上記各デコーダ12,13,14を制御する。
【0034】
上記MPEGビデオデコーダ13では、いわゆるMPEG方式により圧縮処理されているビデオデータに対してデコード(伸長)処理が行われ、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各原色信号が得られる。これら原色信号は、3チャンネルD/A変換器(3CHD/A)16に送られてアナログ信号に変換され、上記TVモニタ32とともに上記表示手段となる表示部9を構成するOSD(オン・スクリーン・ディスプレイ)表示回路18を経て、NTSCエンコーダ19に送られる。このNTSCエンコーダ19では、上記各原色信号がいわゆるNTSC方式のコンポジットビデオ信号である画像信号となされ、映像出力端子を介して、該TVモニタ32に対して出力される。
【0035】
上記OSD表示回路18は、上記第1の信号処理ユニット21の制御により、上記TVモニタ32上に、種々の文字や記号による表示を行う。
【0036】
また、上記MPEGオーディオデコーダ14では、いわゆるMPEG方式により圧縮処理されているオーディオデータに対してデコード(伸長)処理が行われ、デジタルオーディオ信号である音楽信号が得られる。この音楽信号は、ミュージック用音程変換部2を構成するキーコントロール回路17に送られる。
【0037】
このキーコントロール回路17は、上記第2の信号処理ユニット15を介して入力されるキーコントロール信号及びスピードコントロール信号に応じてキー変換処理及びスピード変換処理を行い、この音楽信号を上記ミキシング部5に送る。上記キーコントロール信号及び上記スピードコントロール信号は、上記コントローラ30の前面部や上記マイクロホン装置34に設けられた操作部に対する手動操作に応じて、上記第2の信号処理ユニット15に入力される。
【0038】
このミキシング部5において、上記音楽信号は、イコライザ17により周波数特性処理をなされた後、アンプを介してミキサ回路28に送られる。
【0039】
なお、上記コントローラ30が上記受信装置40より上記音楽情報を供給されるものである場合には、上記再生部1は、上記各デコーダ11,12,13,14に代えて、MIDIインターフェイス、MIDI音源ユニット及び画像信号処理回路を有するものとして構成される。すなわち、この場合には、上記受信装置40により受信された音楽情報が上記MIDIインターフェイスを介してMIDI音源ユニットに供給されることにより、このMIDI音源ユニットが、上記音楽信号を出力する。また、上記受信装置40により受信された音楽情報は、上記画像信号処理回路により、上記画像信号に変換されて出力される。
【0040】
一方、上記マイクロホン装置34より出力された上記歌唱音声に応じた信号は、上記マイクアンプ23により増幅され、上記A/D変換器3によりデジタル信号である音声信号に変換されて、上記ミキシング部5及び上記音程検出部4に送られる。
【0041】
上記ミキシング部5において、上記音声信号は、イコライザ25により周波数特性処理をなされ、さらに、残響処理回路26により残響音の処理(リバーブ処理)をなされて、アンプを介して、上記ミキサ回路28に送られる。
【0042】
上記ミキサ回路28においては、上記音声信号と上記音楽信号とがミキシングされ、D/A変換器6に送られる。このD/A変換器6は、送られたデジタル信号をアナログ信号である音響信号に変換して、音響出力端子を介して、上記アンプ31に対して出力する。
【0043】
そして、上記音程検出部4においては、音程検出回路24が、供給された音声信号に基づき、この音声信号に対応する音声の音程を検出する。この音程検出回路24による検出結果は、歌唱音程情報(歌唱者の音程情報)Pitとして、上記第1の信号処理ユニット21に送られる。
【0044】
また、上記第2の信号処理ユニット15は、基準歌唱情報入力手段となる理想音程情報入力手段として機能する。すなわち、この第2の信号処理ユニット15は、上記再生時刻情報を上記第1の信号処理ユニット21に送るとともに、上記再生部1より出力されている音楽信号に対応する基準歌唱情報となる理想音程情報Prtを上記音楽情報より読み出して上記第1の信号処理ユニット21に送る。すなわち、上記音楽情報ソースは、基準歌唱情報ソースともなっている。
【0045】
なお、上記基準歌唱情報としては、歌唱を構成する各音の音程のみならず、音の長さや強さまで含んだ情報が考えられるが、この実施の形態においては、該基準歌唱情報として音程情報のみを考えている。
【0046】
そして、上記第1の信号処理ユニット21は、照合情報発生手段となる音程差情報発生手段として機能し、上記メモリ20とともに採点値算出部7を構成する。すなわち、この第1の信号処理ユニット21は、上記再生部1からの音楽信号の出力中に、上記音声信号に対応する歌唱音程情報Pitの音程と上記理想音程情報Prtとを照合し、この照合の結果に応じた照合情報である音程差情報ΔPtを発生するとともに、この音程差情報ΔPtの積算値に基づいて、該再生部1及び効果音発生部8を制御する。
【0047】
上記音程差情報ΔPtは、上記歌唱音程情報Pitと上記理想音程情報Prtとの差に所定の計数αを乗じることにより得られる。この音程差情報ΔPtは、楽曲の進行中において、各音毎に、逐時的に発生される。すなわち、この音程差情報ΔPtは、以下の(第1式)によって求められる。
【0048】
ΔPt=α|Pit−Prt| ・・・(第1式)
そして、上記音程差情報ΔPtに基づく採点値Gの算出は、1曲の楽曲について、満点をGtとし、以下の(第2式)によって求められる。
【0049】
G=Gt−ΣΔPt ・・・(第2式)
すなわち、楽曲開始時の採点値を満点であるGt(0)とし、該楽曲の終了前の任意の時点nでの採点値をGt(n)とすると、以下の(第3式)が成立する。ここで、ΔPt(n)は、上記時点nでの音程差情報である。
【0050】
Gt(n)=Gt(n−1)−ΔPt(n) ・・・(第3式)
したがって、上記(第3式)による算出を、楽曲の開始より終了まで繰り返し行うことにより、該楽曲についての最終的な採点値Gが算出される。
【0051】
なお、上記採点値Gは、例えば、100を乗ずる等のように定数を掛けることにより、上記満点Gtが100点となるようにすると、点数として理解し易い数値とすることができる。
【0052】
上記効果音発生部8は、上記表示部9及び上記TVモニタ32とともに上記表示手段となるものであって、効果音発生回路22を有し、上記第1の信号処理ユニット21の制御に従って、種々の効果音信号を発生し、上記ミキシング部5に送る。このミキシング部5においては、上記効果音信号は、アンプを介して上記ミキサ回路28に送られる。このミキサ回路28においては、上記効果音信号は、上記音声信号及び上記音楽信号にミキシングされ、D/A変換器6に送られる。このD/A変換器6は、上記効果音信号がミキシングされたデジタル信号をアナログ信号である上記音響信号に変換して、上記音響出力端子を介して、上記アンプ31に対して出力する。
【0053】
また、上記第1の信号処理ユニット21には、上記個人情報カード39が接続される個人情報メモリ部42が接続されている。この個人情報メモリ部42は、上記個人情報カード39に記憶されていたデータを読み出して上記第1の信号処理ユニット21に接続された上記メモリ20に転送してこのデータを蓄えさせるとともに、該第1の信号処理ユニット21の制御により変更されたデータを該個人情報カード39に記憶させる。
【0054】
そして、上記ディスクチェンジャ35により再生されるディスクは、例えば、いわゆる「ビデオCD」と称されるディスクにおいては、図8において(a)で示すように、ディスク最内周側にリードインエリア101が設けられている。このリードインエリア101には、TOCデータが記録されている。このTOCデータは、このディスクにおける各トラックの開始位置やトラック数、演奏時間等を記録したものである。
【0055】
また、上記ディスクにおいては、上記リードインエリア101の内周側に、トラックデータが第1のトラック(トラック#1)102、第2のトラック(トラック#2)103、第3のトラック(トラック#3)104乃至第nのトラック(トラック#n)105として記録されている。
【0056】
そして、このディスクにおいては、上記各トラックの外周側に、リードアウトエリア106が設けられている。
【0057】
このディスクにおいて、上記第1のトラック101は、図8中において(B)で示すように、上記音楽情報及び上記画像情報の記録のために用いられておらず、データトラックとして使用されている。このデータトラックには、PVD(基本ボリューム記述子)107、カラオケベーシックインフォメーションエリア108、ビデオCDインフォメーションエリア109、セグメントプレイアイテムエリア110、及び、その他のファイル(例えば、CD−Iアプリケーションプログラム等の記録用)111が設けられている。
【0058】
このディスクにおいて、上記カラオケベーシックインフォメーションエリア108には、上記第2のトラック103乃至上記第nのトラック105に収録されている各楽曲に対応して該各楽曲に関連するデータ(KARINFO.CC)(例えば、演奏者名、作曲者名、アレンジャ名(編曲者名)、リリース年月日、歌唱パートの音域、曲調、テンポ、楽曲のジャンル等)が記録されている。
【0059】
これら各楽曲に関連するデータは、図8中において(c)で示すように、第1乃至第NのシーケンスアイテムテーブルSIT1乃至SITNとして記録されている。上記各シーケンスアイテムテーブルは、1つのシーケンスアイテムテーブルが楽曲の1曲に相当している。
【0060】
また、これらシーケンスアイテムテーブルには、上記各楽曲についての理想音程情報Prtが記録されている。この理想音程情報Prtは、当該楽曲における歌唱の本来の音程を示すものである。この理想音程情報Prtは、例えば12バイトで形成され1つの音を表現する音程データブロックの一部として構成されている。
【0061】
上記音程データブロックにおいては、図6に示すように、まず、2バイトで、音程(ノートナンバ)を示す上記理想音程情報Prtが表現される。この音程とは、例えば、C0乃至G#7(C0、C#0、D0、D#0、E0、F0、F#0、G0・・・G7、G#7)というように、いわゆる音階に対応する値である。
【0062】
そして、この音程データブロックにおいては、上記理想音程情報Prtに続くバイトにより、該理想音程情報Prtにより表現される音程の音(N1,N2,N3・・・)が継続する相対時間(t)が表現される。
【0063】
上記第2乃至第nのトラック103,104乃至105においては、オーディオセクタに対する上記音楽情報の記録とビデオセクタに対する上記画像情報の記録とが、時分割的になされている。これらビデオセクタとオーディオセクタとは、平均すると、約6:1の割合で配置されている。
【0064】
上記ビデオセクタには、MPEG方式で圧縮エンコードされた、Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャと称される画像情報(ビデオデータ)が記録されている。また、上記オーディオセクタには、MPEG方式で圧縮エンコードされた、音楽情報(オーディオデータ)が記録されている。
【0065】
なお、上記「ビデオCD」では、トラック数は、最大で99である。したがって、この「ビデオCD」では、最大98のシーケンスが記録可能である。シーケンスとは、動画の連続した1つの区切りであり、カラオケ用ディスクにおいては、1曲(1トラック)が1シーケンスとなる。
【0066】
上述のように構成された本発明に係る音響再生装置においては、上記第1の信号処理ユニット21が後述する所定の動作を実行することにより、採点機能、得意曲の自動登録機能、及び、上級者の優遇措置機能が実現される。
【0067】
この音響再生装置における採点機能は、上記第1の信号処理ユニット21が、上記音程差情報の積算値(ΣΔPt)に基づいて、上記再生部1による音楽信号の出力中(音楽信号の再生中)に、この再生部1を制御することにより実現される。また、上記第1の信号処理ユニット21は、上記音程差情報の積算値(ΣΔPt)に応じて、上記OSD表示回路18及び上記効果音発生回路22により、異なる表示を行う。
【0068】
さらに、この音響再生装置においては、上記第1の信号処理ユニット21は、上記音程差情報の積算値(ΣΔPt)に応じて、上記再生部1による音楽信号の出力を続行するか否かを決定するとともに、該音楽信号の出力を終了することとしたときには、該音楽信号の出力の終了に伴って、上記OSD表示回路18及び上記効果音発生回路22により、該音程差情報の積算値(ΣΔPt)に応じた異なる表示を行う。
【0069】
そして、上記得意曲の自動登録機能は、上記第1の信号処理ユニット21が、上記再生部1による一の楽曲についての音楽信号の出力の終了後に、上記音程差情報の積算値(ΣΔPt)が所定値以下であるときに、当該楽曲に関するデータを上記個人情報カード39により記憶することにより実現される。
【0070】
さらに、上記上級者の優遇措置機能は、上記第1の信号処理ユニット21が、上記再生部1による一の楽曲についての音楽信号の出力の終了後に、音程差情報の積算値(ΣΔPt)が所定値以下であるときに、当該楽曲についての上記プリペイドの減算を中止することにより、または、該プリペイド残高の加算を行うことにより実現される。
【0071】
すなわち、上記第1の信号処理ユニット21は、図3及び図4に示すように、この音響再生装置が作動されると、ステップst1において動作を開始し、ステップst2に進む。
【0072】
この第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst2においては、上記再生部1による上記音楽信号の出力(上記音楽信号の再生)が開始されているか否かを判別する。上記再生部1による上記音楽信号の出力が開始されていればステップst3に進み、該音楽信号の出力が開始されていなければ、このステップst2に留まる。
【0073】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst3においては、差分計算タイマ(タイマ(1))の初期化を行い、ステップst4に進む。この差分計算タイマは、上記理想音程情報Prtと上記歌唱音程情報Pitとの差分を検出する処理の周期を規定するものであり、上記第1の信号処理ユニット21の内部に設定されるものである。
【0074】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst4においては、歌唱者の持ち点Gtを初期化し、P0として(Gt=P0)、ステップst5に進む。この音響再生装置では、減点法による採点を行うため、P0は、満点であり、例えば、100点である。
【0075】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst5においては、上記理想音程情報Prtの初期値を参照して、ステップst6に進む。この第1の信号処理ユニット21は、上記第2の信号処理ユニット15を介して、上記ディスクのカラオケベーシックインフォメーションエリア108に記録された各楽曲に関連するデータ(KARINFO.CC)等より、上記理想音程情報Prtを得ている。
【0076】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst6においては、理想音程タイマを初期化して、ステップst7に進む。この理想音程タイマは、上記第1の信号処理ユニット21の内部に設定されるものであり、この第1の信号処理ユニット21の動作に拘らず、初期化後において順算式に加算処理を行う。
【0077】
上記理想音程情報Prtが含まれる音程データブロックは、上述したように、該理想音程情報(ノート・ナンバ)Prt及び次の理想音程情報Prtが有効になるまでの相対時間情報を1組とした時系列情報である。上記理想音程タイマは、この第1の信号処理ユニット21の動作が上記音程データブロックの相対時間情報に相当するものとなるように、設定されるものである。
【0078】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst7においては、係数選択用タイマ(タイマ(2))を初期化して、ステップst8に進む。この係数選択用タイマは、上記第1の信号処理ユニット21の内部に設定されるものであり、この第1の信号処理ユニット21の動作に拘らず、初期化後において順算式に加算処理を行う。
【0079】
上記理想音程情報Prtが変化したとき、すなわち、旋律が進行して音程の異なる音に移行したときには、歌唱者の音程に不確かさが増す。この音響再生装置においては、このような音程移行時の音程の不確かさの採点評価に対する影響を緩和するために、音程差(|Pit−Prt|)を減点値である音程差情報ΔPtに変換するための係数値αを、上記係数選択用タイマを用いて、2種の係数値α1,α2より選択して用いている。すなわち、この音響再生装置においては、図6に示すように、任意の一の音(N1,N2,N3・・・)の開始時より上記係数選択用タイマが設定する所定時間経過前においては、係数値α1よりも小さい係数値α2が用いられる。そして、この音響再生装置においては、任意の一の音(N1,N2,N3・・・)の開始時より上記係数選択用タイマが設定する所定時間経過後においては、上記係数値α2よりも大きな係数値α1が用いられる。
【0080】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst8においては、上記音楽信号の再生が終了しているか否かを判別する。上記音楽信号の再生が終了されていれば、(図3及び図4中の(A)を介して)図4のステップst23に進み、該音楽信号の再生が終了されていなければ、ステップst9に進む。
【0081】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst9においては、上記差分計算タイマ(タイマ(1))がオーバーフローしたか否かを判別する。上記差分計算タイマがオーバーフローしていれば、ステップst10に進み、該差分計算タイマがオーバーフローしていなければ、上記ステップst8に戻る。
【0082】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst10においては、上記差分計算タイマを初期化して、ステップst11に進む。
【0083】
ところで、上記第1の信号処理ユニット21は、上記音程データブロックで示される各音(N1,N2,N3・・・)の開始時(すなわち、上記理想音程情報Prtの変化点)において、図7に示すように、割り込み処理を実行する。
【0084】
この割り込み処理においては、上記第1の信号処理ユニット21は、ステップst36において割り込み処理が開始されると、ステップst37に進んで、上記理想音程情報Prtを入力して、ステップst38に進む。このステップst38においては、上記理想音程タイマを初期化して、ステップst39に進む。このステップst39においては、上記係数選択用タイマを初期化して、ステップst40に進み、この割り込み処理を終了する。
【0085】
そして、上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst11においては、上記係数選択用タイマがオーバーフローしているか否かを判別する。上記係数選択用タイマがオーバーフローしていれば、ステップst12に進み、該係数選択用タイマがオーバーフローしていなければ、ステップst13に進む。
【0086】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst12においては、上記係数値αとしてα1を設定し、ステップst14に進む。また、上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst13においては、上記係数値αとしてα2を設定し、上記ステップst14に進む。
【0087】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst14においては、上記音程差情報(減点分)ΔPtを算出し、ステップst15に進む。この算出は、上述したように、上記(第1式)(ΔPt=α|Pit−Prt|)によりなされる。ここで用いられる係数値αは、α2、または、α1であり、α2≦α1となっている。また、このとき、ビブラート等の歌唱表現のための歌唱者の意図的な音程変動の採点評価への影響を軽減するため、差分値(|Pit−Prt|)に対して、いわゆる丸め処理を行う。
【0088】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst15においては、持ち点をGtを計算し、ステップst16に進む。この計算は、上述したように、上記(第3式)(Gt(n)=Gt(n−1)−ΔPt(n))によってなされる。
【0089】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst16においては、上記持ち点Gtが、所定の警告得点、例えば60点を下回っているか否かを判別する。上記持ち点Gtが上記警告得点を下回っていれば、ステップst17に進み、該持ち点Gtが該警告得点を下回っていなければ、ステップst18に進む。
【0090】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst17においては、上記効果音発生部8及び上記表示部9を制御して、持ち点Gtが減少していることを警告する表示である「表示B」を行い、ステップst18に進む。この「表示B」の例としては、「がんばって歌いましょう」等が挙げられる。
【0091】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst18においては、上記持ち点Gtが、所定の中止得点、例えば、50点を下回っているか否かを判別する。上記持ち点Gtが上記中止得点を下回っていれば、ステップst19に進み、該持ち点Gtが該中止得点を下回っていなければ、上記ステップst8に戻る。
【0092】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst19においては、上記再生部1の第2の信号処理ユニット15を制御して、上記音楽信号の出力を中止させ、ステップst20に進む。このステップst20では、上記第1の信号処理ユニット21は、上記ミキシング部5を制御して、上記音楽信号及び上記音声信号のボリュームを徐々に下げて消滅させるフェードアウト処理を行い、ステップst21に進む。
【0093】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst21においては、上記表示部9を制御して、持ち点Gtの減少により音楽再生が中止されたことを示す表示である「表示C」を行い、ステップst22に進む。この「表示C」の例としては、「残念でした。また挑戦してねっ」等が挙げられる。
【0094】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst22においては、上記効果音発生部8を制御して、持ち点Gtの減少により音楽再生が中止されたことを示す効果音である「効果音B」を発生させ、(図3及び図4中の(B)を経て)図4に示すステップst30に進む。この「効果音B」の例としては、「カンッ」(鐘の音)等が挙げられる。
【0095】
そして、上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst23においては、上記音楽信号の再生の終了後における持ち点Gt、すなわち、採点結果が所定の優良得点、例えば、80点より良いか否かを判別する。上記採点結果が上記優良得点よりも良ければ、ステップst24に進み、該採点結果が該優良得点よりも良くなければ、上記ステップst30に進む。
【0096】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst24においては、上記表示部9を制御して、上記持ち点Gtが上記優良得点を上回った状態で楽曲が終了したことを示す「表示A」を行い、ステップst25に進む。この「表示A」の例としては、「おめでとう」等が挙げられる。
【0097】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst25においては、上記効果音発生部8を制御して、上記持ち点Gtが上記優良得点を上回った状態で楽曲が終了したことを示す「効果音A」を発生させ、ステップst26に進む。この「効果音A」の例としては、「パッパラパッパーッ」(ファンファーレ音)等が挙げられる。
【0098】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst26においては、上記個人情報メモリ部42を介して上記個人情報カード39より個人情報を入力し、この個人情報より得点リスト((PP−MP4))を検索して入力し、ステップst27に進む。この得点リストには、過去に一定値以上の高得点を得た楽曲の曲名及び得点が記憶されている。
【0099】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst27においては、上記採点結果が上記得点リスト((PP−MP4))中の得点のいずれかよりも上回るか否かを判別し、上回る場合には、この得点リスト中の最下位の曲名を削除し、この得点リストに採点の終了した新たな曲名を加え、ステップst28に進む。また、このステップst27においては、上記第1の信号処理ユニット21は、上記得点リスト((PP−MP4))の内容に応じて、上記得意曲リスト((PP−M0))の内容を更新し、上記個人情報カード39に記録する。
【0100】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst28においては、上記採点結果が所定の優遇得点、例えば、90点より良いか否かを判別する。上記採点結果が上記優遇得点よりも良ければ、ステップst29に進み、該採点結果が該優遇得点よりも良くなければ、上記ステップst30に進む。
【0101】
上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst29においては、上記プリペイド残高に対して、所定の値を加算するか、または、このプリペイド残高をそのままに維持して、(図4及び図3中の(C)を介して)図3の上記ステップst2に戻る。
【0102】
また、上記第1の信号処理ユニット21は、上記ステップst30においては、上記プリペイド残高より、上記音楽信号の再生の継続時間、または、楽曲数に応じた所定の値を減算し、(図4及び図3中の(C)を介して)図3の上記ステップst2に戻る。
【0103】
なお、この音響再生装置における上記第1の信号処理ユニット21の動作においては、上記図7により示した上述の割り込み処理に代えて、図5に示す以下の如き割り込み処理が随時的に行われることとしてもよい。
【0104】
この割り込み処理においては、上記信号処理ユニット21は、ステップst31において割り込み処理が開始されると、ステップst32に進んで、上記理想音程情報Prtが変化点であるか否かを判別する。上記理想音程情報Prtが変化点であれば、ステップst33に進み、該理想音程情報Prtが変化点でなければ、ステップst34に進む。そして、上記信号処理ユニット21は、上記ステップst33においては、上記係数選択用タイマを初期化して、ステップst35に進み、この割り込み処理を終了する。また、上記信号処理ユニット21は、上記ステップst34においては、上記係数選択用タイマに1を加算して、上記ステップst35に進み、この割り込み処理を終了する(この場合においては、上記係数選択用タイマは、上記第1の信号処理ユニット21の動作に依って加算処理されるものと想定している)。
【0105】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係る音響再生装置においては、制御手段が照合情報の積算値に基づき、音楽信号出力手段による音楽信号の出力中にこの音楽信号出力手段を制御することにより、表示手段によって、該照合情報の積算値に応じた異なる表示が行われる。
【0106】
また、この音響再生装置においては、上記制御手段は、上記照合情報の積算値に応じて、上記音楽信号出力手段による音楽信号の出力を続行するか否かを決定する。
【0107】
すなわち、本発明は、いわゆる採点機能を有するカラオケ装置として使用される音響再生装置であって、マイクロホン装置を介して入力された歌唱の評価が該採点機能による評価結果を待つまでもなく明かに悪い場合や該歌唱が楽曲の途中で中止されてしまった場合等に、歌唱中において逐時的に評価結果を表示させることができるとともに、この評価結果に応じて自動的に楽曲の再生が中止されるので、その楽曲を最後まで再生し、さらに、この再生の終了後の所定の時間を該歌唱の評価のために費やすという時間の無駄が解消され、迅速に次の楽曲の再生が行えるようになされた音響再生装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る音響再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記音響再生装置のコントローラの構成を示すブロック図である。
【図3】上記音響再生装置の動作を示す流れ図である。
【図4】上記音響再生装置の動作を示す上記図3に続く流れ図である。
【図5】上記音響再生装置における理想音程情報の変化点を検出する割り込み処理を示す流れ図である。
【図6】理想音程情報を含む音程データブロックの構成を示すタイムチャートである。
【図7】上記音響再生装置における理想音程情報を入力する割り込み処理を示す流れ図である。
【図8】上記音響再生装置において使用されるディスクの信号記録フォーマットを示すブロック図である。
【符号の説明】
1 再生部,9 表示部,15 第2の信号処理ユニット,21 第1の信号処理ユニット,30 コントローラ,32 TVモニタ,34 マイクロホン装置,35 ディスクチェンジャ,39 個人情報カード,40 受信機
Claims (1)
- 音楽信号出力手段と、音程検出手段と、制御手段とを備える音響再生装置であって、
音楽信号出力手段は、理想音程情報を含む音楽情報の再生を行い、
音程検出手段は、マイクロホンから入力される歌唱情報の再生を行い、
制御手段は、次の第1−3の処理を行うものであり、
第1の処理は、再生される理想音程情報の示す一つの音がその開始から所定時間までの場合は第1の係数を、一つの音の所定時間経過後からその終了までは第1の係数よりも小さい第2の係数を採用し、
第2の処理は、理想音程情報と歌唱音程情報の差分に第1の処理で採用した係数に乗算して照合情報を算出し、
第3の処理は、第2の処理で算出した照合情報を積算して積算値を算出する
音響再生装置。
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