JP3563380B2 - 合成樹脂製チャック付の袋体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、開口部に雌雄咬合型のチャックを備え、かつ両サイドにV字状に折り込んだ横ガゼットが接着された合成樹脂製チャック付の袋体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
雌雄咬合型のチャックを袋体の開口部の内側に設け、両サイドにV字状に折り込んだ横ガゼットを接着した合成樹脂製チャック付の袋体は、例えば特開平5−97151号で公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公知の横ガゼットを有する合成樹脂製チャック付の袋体は、横ガゼットの上端縁をチャックより下方に位置する長さ寸法とし、この横ガゼットの上端の開放端縁を端縁に沿って接着シールした構造であり、袋体の開口部を全幅に渡って開口幅が大きく得られる利点がある。
【0004】
しかしながら、この大きな開口は袋体の開口部と、その近傍に限定されているものであり、すなわち、袋体の開口部を開口したときには、袋体のチャックより上方の開口部は大きな開口面積が得られるが、この開口面積の中に前記両側の横ガゼットの上端縁が突出して位置されるので、これが内容物の出し入れの際の内容物が干渉して円滑な内容物の出し入れを阻害する。この干渉を避けるために前記従来例には横ガゼットの上端縁を狭くすることが提案されているが、この方法によると内容物の収容容積の減少が避けられない。
【0005】
本発明の目的は、袋体の開口部は全幅に渡って開口幅が大きく得られ、かつ内容物の大きな収容容積が得られる横ガゼットを備えた合成樹脂製チャック付の袋体において、横ガゼットの上端縁が内容物の出し入れの際に内容物が干渉することなく、横ガゼットのない通常のチャック付き平袋と同様に円滑な出し入れを可能としたことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の構成は、内面に熱接着性樹脂層を有する表裏2枚の胴部フィルムの袋体の開口部の内側に雌雄咬合型チャックが設けられ、前記袋体の両サイドに、内側面が前記胴部フィルムの内側面と熱接着性を有する樹脂フィルムで、外側面を内にしてV字状に折り込まれた横ガゼットを、その上端縁が前記チャックより下方に位置する長さ寸法で接着し、この横ガゼットの上端縁は前記表裏2枚の胴部フィルムの何れか一方の内側面に寄せて、前記胴部フィルム内側面および横ガゼットの内側面と熱接着性を有し、かつ一方の片面と他方の片面とが融点の高低差を有する熱接着性の樹脂フィルムの複層で形成されているシールテープで、前記チャックと横ガゼットの上端縁間を含む横ガゼットの上端縁乃至その周辺を被覆接着したものである。
【0007】
【発明の実施の態様】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1及び図2は本発明の実施例を示すものであり、1は表胴部フィルム1a及び裏胴部フィルム1bの2枚のフィルムによって形成された袋体、2は開口部、3は前記開口部2に沿って設けられたチャック、7は前記チャック3の上方でチャック3と平行に線付した切り裂き予定線6と対応するよう開口部2の両側(又は片側)に刻設した開封用のノッチである。尚この開封用のノッチ7は必ず刻設するものではなく、前記切り裂き予定線6の一端部に鋏のマークと「ここからお切り下さい」の説明印刷を施してもよい。また勿論切り裂きや切断を必要としない開放状態であってもよい。
【0008】
4はフィルムをV字状に折り込んだ横ガゼットであり、袋体1の両サイド5に接着されている。この横ガゼット4は、その折り込み稜線4aが袋体1のサイド5の線と平行であり、横ガゼット4の上端縁4bを前記チャック3より下方に位置する長さ寸法とし、この横ガゼット4の上端縁4bを図1で示すように、表胴部フィルム1a側の内側面にのみに接着4cした構造である。そして、この実施例においては、前記横ガゼット4の上端縁4bを表胴部フィルム1a側の内側面にのみに接着4cするについて、前記胴部フィルム内側面及び横ガゼットの内側面と熱接着性を有するシールテープ8で寄せて前記チャック3と横ガゼット4の上端縁4b間を含む横ガゼット4の上端縁4b乃至その周辺を被覆接着したことを特徴としている。このシールテープ8は図1で示すようにサイド5を含む袋体1の全幅L2に渡る一連テープでもよいし、図8で示すように横ガゼット4の上端縁4bの部分とその周辺のみを被覆接着する短いテープでもよい。尚、裏胴部フィルム1b側の内側面にのみに接着してもよく、要するに、表裏2枚の胴部フィルム1a,1bの何れか一方の片側のみに寄せて接着することである。
【0009】
また、この実施例では製造上の容易化の点で次のような複層フィルムによって構成されている。すなわち、表裏胴部フィルム1a,1bは図3で示すように、外側フィルム10aと内側フィルム10bとによる複層構成となっており、また横ガゼット4は図5、図6及び図7で示すように外側フィルム11aと内側フィルム11bとによる複層構成となっている。
【0010】
そして内側を構成する胴部フィルムの前記内側フィルム10bと横ガゼットの前記内側フィルム11bとが、10bと10b夫々または10bと11bの相互に熱接着性が良好な樹脂層、例えば低密度ポリエチレン(以下LDPEと略称する)、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体(以下EVAと略称する)によって形成され、一方外側を構成する胴部フィルムの外側フィルム10aと横ガゼットの外側フィルム11aは、前記内側を構成するフィルムを熱接着するのと同一条件下では熱接着しないような、例えば、ポリエステル(以下PETと略称する)、ポリアミド、紙、アルミ箔その他から耐熱性、防気性、遮光性、保香性、機械的強度などの所望の性能を包装袋に付与するため選定した単層または複層の資材により形成される。
【0011】
特にシールテープ8は図4及び図5で示すように、その一方の片面8aは熱接着性を有し融点の高い例えば直鎖状低密度ポリエチレン(以下LLDPEと略称する)で、他方の片面8bは前記一方の片面8a側より融点が低く、かつ前記横ガゼット4の内側フィルム11bと表胴部フィルム1aの内側フィルム10bと熱接着性が良好な例えばEVAまたはLDPEとの複層で構成される。
【0012】
上記の表裏胴部フィルム1a,1b、横ガゼット4及びシールテープ8の複層構成によって、各熱接着を必要とする部位では熱接着性が良好なフィルム同士が融合接着され、熱接着をしてはいけない部位ではその条件下では接着しないようになっている。
【0013】
すなわち、図3で示すように、袋体1のサイド5は内側フィルム10bの熱接着性が良好なフィルム同士で融合接着され、図5で示すように、横ガゼット4とシールテープ8端とが介装された袋体1のサイド5では、表胴部フィルム1a側は表胴部フィルム1aの内側フィルム10b、横ガゼット4の内側フィルム11bの熱接着性を有するフィルム同士で融合接着される。
【0014】
また、裏胴部フィルム1b側は、裏胴部フィルム1bの内側フィルム10bとシールテープ8の一方の片面8aとが融合接着され、シールテープ8の他方の片面8bと横ガゼット4の内側フィルム11b及び表胴部フィルム1aの内側フィルム10bとが融合接着されて、横ガゼット4の外側フィルム11aの対接部分は非接着となる。
【0015】
さらに図1で示すように、横ガゼット4の上端縁4bを接着した側の表胴部フィルム1aと対接する横ガゼットフィルムを、横ガゼット4の上端縁4bから袋体1の両サイド5に向かって表胴部フィルム1aに斜め接着4dしてもよいが、斜め接着4dは図6で示すように、横ガゼット4の内側フィルム11bが表胴部フィルム1a側の内側フィルム10bに融合接着される。
【0016】
図2は図1の本発明の実施例の構造による袋体1が内容物によって膨満し、横ガゼット4が拡開してその機能を果たしている状態を示す。この場合、横ガゼット4の上部を被覆接着するシールテープ8によって横ガゼット4の上端縁4bの表胴部フィルム1a側の内側面への接着強度を確保し、かつ前記斜め接着4dによりシールテープ8による固定部分への応力集中を緩和する。また、この斜め接着4dにより、表胴部フィルム1aと横ガゼット4の上端縁4bとの三角コーナー隙間が潰され、内容物、特に粉体等の取り出しに際し、三角コーナー隙間に侵入して取り出しが阻害されることを防止する。
【0017】
そこで、横ガゼット4の上端縁4bはチャック3の下方に位置しているため、袋体1の開口部2は、その全幅に渡って大きく開口する。しかも、横ガゼット4の上端縁4bを図1、図2で示すように、表胴部フィルム1a側の内側面にのみに接着4cしているため、横ガゼット4の上端縁4bは接着されている表胴部フィルム1a側の内面側に偏って表胴部フィルム1a側の内側面と平行に位置し、横ガゼットのない通常のチャック付き平袋と同様の開口状態となり、内容物が横ガゼット4の上端縁4bに干渉することなく円滑な出し入れが得られる。
【0018】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、横ガゼットの上端縁を袋体の開口部のチャック下方位置で止め置き、横ガゼット上端縁を表裏2枚の胴部フィルムの何れか一方の内側面に寄せて胴部フィルム内側面および横ガゼットの内側面と熱接着性を有し、かつ一方の片面と他方の片面とが融点の高低差を有する熱接着性の樹脂フィルムの複層で形成されているシールテープによって横ガゼットの上部を被覆接着した構成であるから、横ガゼットはその上端縁において片側の胴部フィルムの内面のみに接着強度を確保して接着された形態となり、袋体の開口部を開口した時には、開口部は全幅に渡って開口幅が得られると共に、横ガゼットの上端縁が内容物の出し入れの際に内容物が干渉することなく、横ガゼットのない通常のチャック付き平袋と同様に円滑な出し入れができ、しかも内容物の大きな収容容積が得られる。また、シールテープは前記胴部フィルム内側面および横ガゼットの内側面と熱接着性を有し、かつ一方の片面と他方の片面とが融点の高低差を有する熱接着性の樹脂フィルムの複層で形成されているため、熱接着を必要とする部位では熱接着性が良好なフィルム同士が融合接着され、熱接着をしてはいけない部位ではその条件下では非接着となる。従って、シールテープを胴部フィルム内側面および横ガゼットの内側面とに熱接着する製造工程が簡単かつ容易とすることができ生産性が向上されコスト低減が得られる。尚、前述したように横ガゼットの上端縁が内容物の出し入れの際に内容物が干渉することがないから、横ガゼットの折り込み幅を比較的大きめに調節して、収容容積をさらに増やすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明袋体の実施例を示し一部破断正面図
【図2】図1の袋体の膨満状態の斜視図
【図3】図1のB−B線拡大断面図
【図4】図1のC−C線拡大断面図
【図5】図1のD−D線拡大断面図
【図6】図1のE−E線拡大断面図
【図7】図1のF−F線拡大断面図
【図8】図1の袋体の変形例を示す正面図
【符号の説明】
1 袋体
1a 表胴部フィルム
1b 裏胴部フィルム
2 開口部
3 チャック
4 横ガゼット
4a 稜線
4b 上端縁
4c 接着
4d 斜め接着
8 シールテープ
8a 融点の高いLLDPEの片面
8b 融点が低いEVAの片面
10a PETの外側フィルム(胴部フイルム)
10b LDPEの内側フィルム(胴部フイルム)
11a PETの外側フィルム(横ガゼット)
11b LDPEの内側フィルム(横ガゼット)
Claims (1)
- 内面に熱接着性樹脂層を有する表裏2枚の胴部フィルムの袋体の開口部の内側に雌雄咬合型チャックが設けられ、前記袋体の両サイドに、内側面が前記胴部フィルムの内側面と熱接着性を有する樹脂フィルムで、外側面を内にしてV字状に折り込まれた横ガゼットを、その上端縁が前記チャックより下方に位置する長さ寸法で接着し、この横ガゼットの上端縁は前記表裏2枚の胴部フィルムの何れか一方の内側面に寄せて、前記胴部フィルム内側面および横ガゼットの内側面と熱接着性を有し、かつ一方の片面と他方の片面とが融点の高低差を有する熱接着性の樹脂フィルムの複層で形成されているシールテープで、前記チャックと横ガゼットの上端縁間を含む横ガゼットの上端縁乃至その周辺を被覆接着したことを特徴とする合成樹脂製チャック付の袋体。
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