JP3556008B2 - ダンパーディスク組立体 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ダンパーディスク組立体、特に、分離ハブ型ダンパーディスク組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば車輌のクラッチディスクに用いられるダンパーディスク組立体は、円板状入力側プレートと、外周にフランジを一体に有する出力側ハブと、両部材が相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置された弾性部材とを備えている。入力側プレートはエンジン側フライホイールと連結可能であり、出力側ハブの中心にはトランスミッションのシャフトが挿入され係合している。さらに、従来のフランジをハブから分離するとともに、この分離されたフランジとハブとを低剛性の弾性部材で連結した分離ハブ型ダンパーディスク組立体も提供されている。この種のダンパーディスク組立体では、入力側プレートとハブとの間の相対捩じり角度が広くなり、さらに低剛性・高剛性の2段階の捩じり特性が得られる。
【0003】
また、分離ハブ型ダンパーディスク組立体は第1摩擦抵抗発生機構と第2摩擦抵抗発生機構とを備えている。第1摩擦抵抗発生機構は、入力側プレートと分離フランジとが一体回転して両者と出力側ハブとの間で相対回転が生じるときに、小さな摩擦抵抗を発生させる。また、第2摩擦抵抗発生機構は、分離フランジが出力側ハブと一体回転して両者と入力側プレートとの間で相対回転が生じるときに、大きな摩擦抵抗を発生させる。振幅の小さい捩じり振動(微小捩じり振動)がこのダンパーディスク組立体に入力されると、低剛性弾性部材が伸縮を繰り返し、第1摩擦抵抗発生機構が小さな摩擦抵抗を発生させる。この結果、微小捩じり振動が減衰される。振幅の大きい捩じり振動(大捩じり振動)がこのダンパーディスク組立体に入力されると、弾性部材が伸縮を繰り返し、第2摩擦抵抗発生機構が大きな摩擦抵抗を発生させる。この結果、大捩じり振動が効果的に減衰される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のダンパーディスク組立体では、入力側プレートの内周縁にブッシュを設けてこのブッシュをハブの外周に当接することで、入力側プレートをハブに対して位置決めしている。トランスミッションのシャフトが、このダンパーディスク組立体に対して径方向にずれたり、または傾いてミスアライメントが生ずると、ハブがシャフトに追従して入力側プレートに対して径方向にずれたり傾こうとする。しかし、ハブは入力側プレートに対して径方向に移動できないため、ハブの外周面とブッシュの内周部との間に偏荷重が生じる。そのため、捩じり振動が伝達されて入力側プレートとハブとが相対回転するときに、ブッシュとハブとの間で摩擦抵抗が発生する。このことは、微小振動がダンパーディスク組立体に入力されときに摩擦抵抗が大きくなることを意味している。この結果、微小捩じり振動がダンパーディスク組立体で吸収されずにトランスミッション側に伝達され、トランスミッション側で歯打ち音が発生しやすくなる。
【0005】
本発明の目的は、分離ハブ型のダンパーディスク組立体において、部材のミスアライメントが生じた場合にも微小捩じり振動が入力されたときに生じる摩擦抵抗を大きくしないことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のダンパーディスク組立体は、ハブと第1回転プレートと第2回転プレートと第3回転プレートと第1弾性部材と第2弾性部材と第1摩擦ワッシャと第1付勢部材と第2摩擦ワッシャとプレート部材と第3摩擦ワッシャとを備えている。ハブは、軸方向に延びるボスと、ボスから半径方向外方に延びるフランジとを有している。第1回転プレートは中心孔を有しボスの周りに配置されている。第2回転プレートは中心孔を有し、フランジを挟んで第1回転プレートと反対側でボスの周りに配置されている。第3回転プレートは中心孔を有し、ボスの周りでかつ第1及び第2回転プレート間に配置されている。第1弾性部材はハブと第3回転プレートが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置されている。第2弾性部材は、第3回転プレートと第1及び第2回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置され、第1弾性部材より剛性が高い。第1摩擦ワッシャはフランジの第2回転プレート側の面に当接しており、第2回転プレートと一体回転する。第1付勢部材は第2回転プレートに支持されながら第1摩擦ワッシャをフランジに付勢する。第2摩擦ワッシャはフランジの第1回転プレート側の面に当接している。プレート部材は第2摩擦ワッシャの第1回転プレート側に径方向に移動不能に当接し、第1回転プレートの内周縁側を向く球面または円錐台面状の第1スライド面とを有している。第3摩擦ワッシャは第1回転プレートの内周縁に固定され、第1スライド面に当接する球面または円錐台面状の第2スライド面を有している。
【0007】
また、このダンパーディスク組立体では、プレート部材は第3回転プレートの内周縁側に延びる爪部を有している。爪部は第3回転プレートがハブのフランジに接触するのを防止している。
請求項2に記載のダンパーズィスク組立体では、プレート部材の爪部は第3回転プレートの内周縁に相対回転不能に係合しており、プレート部材と第2摩擦ワッシャとは相対回転不能に係合している。
【0008】
請求項3に記載のダンパーディスク組立体では、第4摩擦ワッシャと第2付勢部材とをさらに備えている。第4摩擦ワッシャは、第2回転プレートに相対回転不能に係合するとともに第3回転プレートの第2回転プレート側の面に当接する。第2付勢部材は第2回転プレートに支持されながら第4摩擦ワッシャを第3回転プレート側に付勢する。
【0009】
請求項4に記載のダンパーディスク組立体では、第4摩擦ワッシャと第1摩擦ワッシャとは相対回転不能にかつ軸方向に移動自在に係合している。
請求項5に記載のダンパーディスク組立体は、ハブと第1回転プレートと第2回転プレートと第3回転プレートと第1弾性部材と第2弾性部材と第1摩擦ワッシャと付勢部材と第1環状部材と第2環状部材とを備えている。ハブは軸方向に延びるボスと、ボスから半径方向外方に延びるフランジとを有している。第1回転プレートは中心孔を有し、ボスの周りに配置されている。第2回転プレートは中心孔を有し、フランジを挟んで第1回転プレートと反対側でボスの周りに配置され第1回転プレートに固定されている。第3回転プレートは中心孔を有し、ボスの周りでかつ第1及び第2回転プレート間に配置されている。第1弾性部材はハブと第3回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置されている。第2弾性部材は第3回転プレートと第1及び第2回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置され、第1弾性部材より剛性が高い。第1摩擦ワッシャはフランジの第2回転プレート側の面に当接しており、第2回転プレートと一体回転する。付勢部材は第2回転プレートに支持されながら第1摩擦ワッシャをフランジに付勢する。第1環状部材はハブに対して径方向に移動不能であり、第1回転プレートの内周縁側を向く球面または円錐台面状の第1スライド面を有している。第2環状部材は第1回転プレートの内周側に固定され、第1スライド面に当接する球面または円錐台面状の第2スライド面を有している。
【0010】
第1環状部材は、第3回転プレートの内周側に位置し第3回転プレートがハブのフランジに接触するのを防止する爪部を有している。
請求項6に記載のダンパーディスク組立体は、ハブと第1回転プレートと第2回転プレートと第3回転プレートと第1弾性部材と第2弾性部材と第1環状部材と第2環状部材とを備えている。ハブは、軸方向に延びるボスと、ボスから半径方向外方に延びるフランジとを有している。第1回転プレートは中心孔を有し、ボスの周りに配置されている。第2回転プレートは中心孔を有し、フランジを挟んで第1回転プレートと反対側でボスの周りに配置され第1回転プレートに固定されている。第3回転プレートは中心孔を有し、ボスの周りでかつ第1及び第2回転プレート間に配置されている。第1弾性部材はハブと第3回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置されている。第2弾性部材は、第3回転プレートと第1及び第2回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置され、第1弾性部材より剛性が高い。第1環状部材はハブに対して径方向に移動不能であり、第1回転プレートの内周縁側を向く球面または円錐台面状の第1スライド面を有している。第2環状部材は、第1回転プレートの内周縁に固定され、第1スライド面に当接する球面または円錐台面状の第2スライド面を有している。
【0011】
第1環状部材は、第3回転プレートの内周側に位置し第3回転プレートがハブのフランジに接触するのを防止する爪部を有している。
【0012】
【作用】
請求項1に記載のダンパーディスク組立体では、トランスミッションのシャフトがダンパーディスク組立体に対して径方向にずれたり傾いてミスアライメントが生じると、ハブはシャフトに追従し、第1及び第2回転プレートに対して移動する。この移動時にプレート部材の第1スライド面が第3摩擦ワッシャの第2スライド面に対して摺動する。移動終了後は移動前と同じくプレート部材の第1スライド面が第3摩擦ワッシャの第2スライド面に当接しており、これにより第1及び第2回転プレートがハブに対して位置決めされている。プレート部材と第3摩擦ワッシャとが球面又は円錐台面状のスライド面同士で摺動するため、ハブと第1回転プレートとの間に偏荷重が生じにくい。
【0013】
第1回転プレート及び第2回転プレートにトルクが入力されると、トルクは第1及び第2回転プレートから第2弾性部材、第3回転プレート及び第1弾性部材を介してハブに伝達される。微小捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されると、第1弾性部材が第3回転プレートとハブとの間で伸縮を繰り返す。このとき第3回転プレートは、第1及び第2回転プレートと一体になってハブに対して相対回転し、第1摩擦ワッシャと第2摩擦ワッシャとがハブのフランジに対して摩擦摺動し小さな摩擦抵抗を発生する。このとき、前述したようにハブと第1及び第2回転プレートとの間で不要な摩擦抵抗が生じにくい。この結果、小摩擦抵抗の特性が維持され、微小捩じり振動を十分に減衰できる。それによりトランスミッション側での歯打ち音等の異音を減らせる。
【0014】
大捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されると、第2弾性部材が円周方向に伸縮を繰り返す。第3回転プレートは、ハブと一体になって、第1及び第2回転プレートと相対回転する。このとき、第1摩擦ワッシャとフランジとの間で摩擦抵抗が発生する。このようにして高剛性・大摩擦抵抗の特性により大捩じり振動を減衰できる。
【0015】
このダンパーディスク組立体では、プレート部材の爪部によって第3回転プレートの位置決めが行われている。すなわち、第3回転プレートがハブのフランジに接触するのが防止されており、微小捩じり振動の際に第3回転プレートとハブのフランジとの間で摩擦抵抗が生じにくい。
請求項2に記載のダンパーディスク組立体では、プレート部材と第2摩擦ワッシャとは第3回転プレートとともに一体回転する。この結果、第2摩擦ワッシャはフランジに対して摩擦摺動し、大捩じり振動時に第2摩擦ワッシャはフランジに対して摩擦摺動しない。
【0016】
請求項3に記載のダンパーディスク組立体では、大捩じり振動時に第4摩擦ワッシャが第3回転プレートに対して摩擦摺動し、全体の摩擦抵抗を大きくする。
請求項4に記載のダンパーディスク組立体では、第1摩擦ワッシャが第2回転プレートに係合する必要が無くなるため、構造が簡略になる。しかも、第1付勢部材の付勢力は第1摩擦ワッシャに作用するが第4摩擦ワッシャに作用せず、第2付勢部材の付勢力は第4摩擦ワッシャに作用するが第1摩擦ワッシャに作用しない。
【0017】
請求項5に記載のダンパーディスク組立体では、トランスミッションのシャフトが径方向にずれたり中心軸から傾いてミスアライメントが生じると、ハブはシャフトに追従し、第1及び第2回転プレートに対して移動する。この移動時に第1環状部材の第1スライド面が第2環状部材の第2スライド面に対して摺動する。移動終了後は移動前と同じく第1環状部材の第1スライド面が第2環状部材の第2スライド面に当接しており、第1及び第2回転プレートがハブに対して位置決めされている。第1及び第2環状部材が互いに球面又は円錐台面状のスライド面同士で摺動するため、ハブと第1回転プレートの間で偏荷重が生じにくい。
【0018】
第1及び第2回転プレートにトルクが入力されると、トルクは第1及び第2回転プレートから第2弾性部材、第3回転プレート及び第1弾性部材を介してハブに出力される。微小捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されると、第1弾性部材が第3回転プレートとフランジとの間で伸縮を繰り返す。このとき第3回転プレートは第1及び第2回転プレートと一体になってハブに対して相対回転し、第1摩擦ワッシャがフランジに対して摩擦摺動し所定の摩擦抵抗を発生させる。このとき、前述したようにハブと第1及び第2回転プレートとの間で不要な摩擦抵抗が生じにくい。この結果、小摩擦抵抗の特性が維持され、微小捩じり振動を十分に減衰できる。それによりトランスミッション側での歯打ち音等の異音を減らせる。
【0019】
このダンパーディスク組立体では、プレート部材の爪部によって第3回転プレートの位置決めが行われている。すなわち、第3回転プレートがハブのフランジに対して接触するのが防止されており、微小捩じり振動の際に第3回転プレートとハブのフランジとの間で摩擦抵抗が生じにくい。
請求項6に記載のダンパーディスク組立体では、トランスミッション側のシャフトが径方向にずれたり中心軸から傾いてミスアライメントが生じると、ハブはシャフトに追従し、第1及び第2回転プレートに対して移動する。この移動時に第1環状部材の第1スライド面が第2環状部材の第2スライド面に対して摺動する。移動終了後は移動前と同じく第1環状部材の第1スライド面が第2環状部材の第2スライド面に当接しており、第1及び第2回転プレートがハブに対して位置決されている。第1及び第2環状部材が互いに球面又は円錐台面状のスライド面同士で摺動するため、ハブと第1回転プレートとの間で偏荷重が生じにくい。
【0020】
第1及び第2回転プレートにトルクが入力されると、トルクは第1及び第2回転プレートから第2弾性部材、第3回転プレート及び第1弾性部材を介してハブに出力される。微小捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されると、第1弾性部材が第3回転プレートとフランジとの間で伸縮を繰り返す。このとき第3回転プレートは第1及び第2回転プレートと一体になってハブに対して相対回転する。このとき、前述したようにハブと第1及び第2回転プレートとの間で不要な摩擦抵抗が生じにくい。この結果、小摩擦抵抗の特性が維持され、微小捩じり振動を十分に減衰できる。それによりトランスミッション側での歯打ち音等の異音を減らせる。
【0021】
このダンパーディスク組立体では、プレート部材の爪部によって第3回転プレートの位置決めが行われている。すなわち、第3回転プレートがハブのフランジに対して接触するのが防止されており、微小捩じり振動の際に第3回転プレートとハブのフランジとの間で摩擦抵抗が生じにくい。
【0022】
【実施例】
図1に示す本発明の一実施例によるクラッチディスク組立体1は、図1の左側に配置されたエンジン(図示せず)からのトルクを図1の右側に配置されたトランスミッション(図示せず)に伝達及び遮断するための装置である。図1においては、O−Oがクラッチディスク組立体1の回転軸線である。図2はクラッチディスク組立体1の一部切欠き平面図を表している。ここでは、R1 側がクラッチディスク組立体1の回転方向である。
【0023】
このクラッチディスク組立体1は、主に、出力側部材としてのハブ2と、入力側部材としてのクラッチプレート3及びリテーニングプレート4と、中間部材としてのサブプレート5(分離フランジ)と、サブプレート5とハブ2との間に両者の相対回転を制限するように配置された第1コイルスプリング6と、プレート3,4とサブプレート5との間に両者の相対回転を制限するように配置された第2コイルスプリング7と、プレート3,4とハブ2との間で相対回転が生じるときに所定の摩擦抵抗を発生させる摩擦抵抗発生機構8とから構成されている。
【0024】
ハブ2は、クラッチディスク組立体1の中心に配置されており、トランスミッションのシャフト(図示せず)に連結される。ハブ2は軸方向に延びる円筒状のボス2aとボス2aの外周に一体に形成されたフランジ2bとから構成されている。フランジ2bの外周には径方向外方に延びる複数のスプライン歯2cが等間隔で形成されている。図3に示すように、フランジ2bにおいて径方向に対向する2か所には、後述する第1コイルスプリング6の両端を受けるための切欠き2dが形成されている。また、ボス2aの内周側には、トランスミッションのシャフト(図示せず)にスプライン係合するスプライン孔2eが形成されている。
【0025】
ハブ2のフランジ2bの外周には、フランジ2bとほぼ同一平面上にサブプレート5が配置されている。サブプレート5は中心孔を有する円板状のプレートである。サブプレート5は、図2から明らかなように、径方向外方に延びる4つの突出部5aを有している。各突出部5aには、円周方向に延びる窓孔5bが形成されている。サブプレート5の内周側には、ハブ2のスプライン歯2cの間に対応する部分にスプライン歯5dが形成されている。各スプライン歯2cと各スプライン歯5dとの間には円周方向に所定の隙間が確保されており、これによりハブ2とサブプレート5とが所定角度内で相対回転可能になっている。サブプレート5の内周側において、ハブ2の切欠き2dに対応する2か所には内側切欠き5eが形成されている。これらの切欠き2dと内側切欠き5e内には第1コイルスプリング6が配置されている。第1コイルスプリング6の両端にはシート部材6aが配置されており、シート部材6aは切欠き2dの側部及び内側切欠き5eの円周方向両端に当接している。なお、図2及び図3に示す自由状態では、スプライン歯2cはスプライン歯5d間でR2 側に配置されている。すなわち、ハブ2がサブプレート5に対して所定角度分R2 側に捩じれている。
【0026】
内側切欠き5eの中心には径方向外側に切欠き5fが形成されている。さらに、サブプレート5の内周側においてスプライン歯5d間の歯底部5hとスプライン歯2cとの径方向間には所定の隙間が確保されている。
サブプレート5の両側方には、クラッチプレート3及びリテーニングプレート4が配置されている。プレート3,4は、中心孔を有する概ね円板状の1対の部材であり、ハブ2のボス2aの外周側に回転自在に配置されている。クラッチプレート3及びリテーニングプレート4は外周部で当接ピン11により互いに固定されている。この当接ピン11は、サブプレート5の突出部5a間である切欠き5c内を挿通している。当接ピン11と切欠き5c端面との間には円周方向に所定の隙間が確保されているため、プレート3,4とサブプレート5とは所定角度範囲内で相対回転可能である。
【0027】
クラッチプレート3の外周には摩擦連結部10が配置されている。摩擦連結部10は、主に、円環状のクッショニングプレート12と、摩擦フェーシング13とから構成されている。クッショニングプレート12は、当接ピン11によりクラッチプレート3に固定されている環状部12aと、環状部12aの外周側に設けられた複数のクッショニング部12bとから構成されている。クッショニング部12bの両面には摩擦フェーシング13が固着されている。なお、摩擦フェーシング13の図1左側にはエンジン側のフライホイール(図示せず)が配置されており、図示しないプレッシャプレートにより摩擦フェーシング13がフライホイールに押圧されると、クラッチディスク組立体1にエンジン側のトルクが入力される。
【0028】
クラッチプレート3及びリテーニングプレート4には、それぞれサブプレート5の窓孔5bに対応した位置に、窓孔3a及び窓孔4aが形成されている。この窓孔3a,4a内に第2コイルスプリング7が配置されている。各窓孔3a,4aの径方向両側には軸方向外方に切り起こされた押え部3b,4bが形成されている。
【0029】
第2コイルスプリング7は合計4個であり、それぞれが大コイルスプリング7aと小コイルスプリング7bとから構成されている。第2コイルスプリング7の円周方向両端は、サブプレート5の窓孔5bの円周方向両端,クラッチプレート3の窓孔3aの円周方向両端,及びリテーニングプレート4の窓孔4aの円周方向両端に当接している。
【0030】
クラッチプレート3及びリテーニングプレート4の内周側には、摩擦抵抗発生機構8の一部(後述)が係合する孔3c,4cがそれぞれ円周方向等間隔で4つ形成されている。
図4〜図9に詳細に示した摩擦抵抗発生機構8は、クラッチプレート3の内周部とリテーニングプレート4の内周部との軸方向間でボス2aの外周側に配置されたそれぞれ環状の部材から構成されている。摩擦抵抗発生機構8を構成する部材は、第1フリクションワッシャ14と第4フリクションワッシャ15と第1コーンスプリング16と第2コーンスプリング17と第2フリクションワッシャ18とプレート部材19と第3フリクションワッシャ20である。
【0031】
第1フリクションワッシャ14は樹脂製円板状プレートである。第1フリクションワッシャ14は、一側面がハブ2のフランジ2b及びスプライン歯2cのトランスミッション側の面に当接している円板部14aと、円板部14aの内周側からトランスミッション側に突出する環状突出部14bとを有している。環状突出部14bには、環状切欠き溝14cがトランスミッション側に形成されている。また、円板部14aの外周には、径方向外方に延びる4つの突起14dが形成されている。
【0032】
第1フリクションワッシャ14とリテーニングプレート4の軸方向間には、第1コーンスプリング16が配置されている。第1コーンスプリング16は外周端がリテーニングプレート4に当接し、内周端が第1フリクションワッシャ14の環状切欠き溝14cに当接している。第1コーンスプリング16は圧縮された状態で配置されており、第1フリクションワッシャ14をハブ2のフランジ2b及びスプライン歯2cに対して付勢している。第1コーンスプリング16には、外周側に複数の切欠き16a(図2)が形成されている。この切欠き16aは、第1フリクションワッシャ14の磨耗によって第1コーンスプリング16の姿勢が変化するときに付勢力の変化を減らすために形成されている。
【0033】
第4フリクションワッシャ15は円板状の部材であり、第1フリクションワッシャ14の外周側に、第1フリクションワッシャ14が配置された平面とほぼ同一平面上にかつ同心に配置されている。第4フリクションワッシャ15は第1フリクションワッシャ14と同じ材料で形成されている。第4フリクションワッシャ15は、サブプレート5の内周端面に当接している円板部15aから主に構成されている。円板部15aの内周側のトランスミッション側端面には、円周方向に等間隔で4つの凹部15eが形成されている。この凹部15e内には、第1フリクションワッシャ14の突起14dが円周方向に相対回転不能にかつ軸方向移動可能に係合している。なお、突起14dと凹部15eの底面との間には軸方向間に所定の隙間が確保されている。さらに、円板部15aにおいて凹部15eの円周方向間にトランスミッション側に延びる4つの突起15cが形成されている。突起15cは先端がスナップ形状になっており、リテーニングプレート4に形成された孔4c内に係合している。
【0034】
第2コーンスプリング17は、第4フリクションワッシャ15とリテーニングプレート4との軸方向間に配置されている。第2コーンスプリング17には、内周側に複数の切欠き17a(図2)が形成されている。この切欠き17aは、第4フリクションワッシャ15の磨耗によって第2コーンスプリング17の姿勢が変化するときに、第2コーンスプリング17の付勢力変化を減らすために形成されている。第2コーンスプリング17は、内周端がリテーニングプレート4に当接し、外周端が第4フリクションワッシャ15の環状部15aのトランスミッション側の面に当接している。このようにして、第2コーンスプリング17は圧縮された状態で配置されており第4フリクションワッシャ15をサブプレート5のトランスミッション側の面に付勢している。このときの第2コーンスプリング17の付勢力は第1コーンスプリング16の付勢力より大きくなるように設定されている。なお、第2コーンスプリング17の切欠き17a部分は、第4フリクションワッシャ15の突起15cに対応しており、互いの干渉を避けている。
【0035】
クラッチプレート3の内周部とハブ2のフランジ2bとの間には第2フリクションワッシャ18が配置されている。第2フリクションワッシャ18は、図5及び図6に示すような環状の樹脂製部材である。第2フリクションワッシャ18は、主に、筒部18aとフランジ18bとから形成されている。筒部18aは、ボス2aの外周に当接している。また、フランジ18bは筒部18aのトランスミッション側端から延び、フランジ2bに当接している。筒部18aの外周には、円周方向に等間隔で4つの突出係合部18cが形成されている。フランジ18bのトランスミッション側面はフランジ2bに当接する摩擦面18dになっており、反対側の面は円錐台面状のテーパ面18eになっている。
【0036】
プレート部材19は板金製であり、図7及び図8から明らかなように、環状プレート部材である。このプレート部材19は、テーパ環状部19aと、テーパ環状部19aの内側から突出する筒部19bと、テーパ環状部19aの外周側から延びる4本の爪部19cから主に形成されている。環状部19aの内側テーパ面19dは第2フリクションワッシャ18のテーパ面18eに当接している。さらに環状部19aの外側テーパ面19eはクラッチプレート3の内周端側を向いている。また、筒部19bは筒部18aに当接し、突出係合部18cが嵌合している切欠き19fを有している。このようにして、第2フリクションワッシャ18とプレート部材19とは相対回転不能になっている。さらに、爪部19cの2本は、たとえば図3に示すように、サブプレート5の切欠き5f内に延びている。これにより、プレート部材19とサブプレート5とが相対回転不能になっている。なお、サブプレート5と爪部19cとの径方向間には隙間S(図3,9)が確保されている。この状態で、サブプレート5は僅かに径方向移動が可能である。また残りの2本の爪部19cは、スプライン歯2cと歯底部5hとの間に形成された空間内に延びている。
【0037】
第3フリクションワッシャ20は樹脂製であり、環状部20aと、環状部20aの内周側からエンジン側に延びる筒部20bと、内周側で円周方向に等間隔で4か所に形成された突起20cとから構成されている。環状部20aは、サブプレート5の内周側側面に当接している。筒部20bはクラッチプレート3の内周端部の内側に配置され、クラッチプレート3と相対回転不能に係合している。さらに、突起20cはクラッチプレート3に形成された孔3c内にスナップ係合している。筒部20bのトランスミッション側側面には、プレート部材19の外側テーパ面19eに当接するテーパ面20eが形成されている。このようにして、クラッチプレート3及びリテーニングプレート4がハブ2に対して位置決めされている。
【0038】
自由状態において、第3フリクションワッシャ20の筒部20bとプレート部材19の筒部19bとの間の径方向間には所定の隙間Qが確保されている。
次に、クラッチディスク組立体1の動作について説明する。
クラッチディスク組立体1を組み立てる際に、予め摩擦抵抗発生機構8の第1フリクションワッシャ14,第4フリクションワッシャ15,第1コーンスプリング16及び第2コーンスプリング17をリテーニングプレート4に組み付けてサブアッシーにしておく。この組み付け作業は第4フリクションワッシャ15の突起15cをリテーニングプレート4の孔4cに挿入するだけで簡単にできる。第4フリクションワッシャ15によって、第1フリクションワッシャ14,第1コーンスプリング16及び第2コーンスプリング17はリテーニングプレート4からの脱落を防止されている。このようにサブアッシー化すると、全体の組立前にサブアッシー状態で管理できるので作業が容易になる。また、全体の組立時にもサブアッシーであるために作業効率が大幅に向上する。なお、第3フリクションワッシャ20も、クラッチプレート3に組み付けてサブアッシーにしておく。
【0039】
このクラッチディスク組立体1に対して図1の右側からトランスミッションのシャフトを近づける。このシャフト(図示せず)はボス2aの内周側に形成されたスプライン孔2eに係合する。このとき、このシャフトが図10に示すように正しい中心軸線O−Oから僅かに傾いたとする。このようにミスアライメントが生じると、ハブ2、第2フリクションワッシャ18及びプレート部材19がシャフトに追従して移動する。このとき、プレート部材19の外側テーパ面19eが第3フリクションワッシャ20のテーパ面20eに対して摺動する。この結果、図9から図10の状態に移行する。ここではシャフトの中心線はPで表されている。図10の状態で、第3フリクションワッシャ20の筒部20bの一部はプレート部材19の筒部19bに当接している。また、サブプレート5の切欠き5fの一方はプレート部材19の爪部19bに当接している。ここでは、第3フリクションワッシャ20とプレート部材19との間には偏荷重は生じていない。
【0040】
摩擦フェーシング13がエンジン側のフライホイール(図示せず)に押し付けられると、エンジン側のフライホイールのトルクがクラッチプレート3及びリテーニングプレート4に入力される。このトルクは、第2コイルスプリング7、サブプレート5、第1コイルスプリング6を介してハブ2に伝達され、さらにトランスミッション側のシャフトに出力される。
【0041】
エンジン側のフライホイール(図示せず)からクラッチディスク組立体1に微小捩じり振動が伝達されると、プレート3,4及びサブプレート5とハブ2との間で相対回転が生じる。このとき、第1コイルスプリング6が円周方向に伸縮を繰り返し、第1フリクションワッシャ14及び第2フリクションワッシャ18がハブ2のフランジ2b及びスプライン歯2cに対して摩擦摺動する。このときの低剛性・小摩擦抵抗の特性によって微小捩じり振動が効果的に減衰される。なお、このときにたとえミスアライメントがあったとしても、プレート部材19と第3フリクションワッシャ20の間で偏荷重が生じないために、プレート部材19と第3フリクションワッシャ20との間で摩擦抵抗が発生しにくい。また、サブプレート5はプレート部材19の爪部19cによって位置決めされているために、サブプレート5がフランジ2bに接触して不要な摩擦抵抗を発生させにくい。以上のようにして、第1段目の特性においては摩擦抵抗を充分に小さくできる。
【0042】
クラッチディスク組立体1に大捩じり振動が伝達されると、第1コイルスプリング6が圧縮されてサブプレート5とハブ2とが一体回転し、これらとプレート3,4との間で相対回転が生じる。このとき、第2コイルスプリング7が伸縮を繰り返し、第1フリクションワッシャ14がハブ2のフランジ2bと摺動し、第4フリクションワッシャ15がサブプレート5の内周側側面に摺動し、さらに第3フリクションワッシャ20がプレート部材19及びサブプレート5に摩擦摺動する。このときの高剛性・大摩擦抵抗の特性により、大捩じり振動を効果的に減衰する。
【0043】
以上のように、捩じり振動の種類によって適切な特性を得られるので、クラッチディスク組立体1は捩じり振動を効果的に減衰可能である。
〔変形例〕
前記実施例では、プレート部材19と第3フリクションワッシャ20との当接面をそれぞれ円錐台面状のテーパ面にしたが、これは球面状にしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
請求項1に記載のダンパーディスク組立体では、トランスミッションのシャフトにミスアライメントが生じても、ハブが位置決めした状態で第1及び第2回転プレートに対して移動する。この結果、ハブと第1回転プレートとの間で偏荷重が生じにくい。
【0045】
微小捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されて第3回転プレートが第1及び第2回転プレートと一体になってハブに対して相対回転するとき、第1摩擦ワッシャと第2摩擦ワッシャとがハブのフランジに対して摩擦摺動する。このとき、前述したようにハブと第1及び第2回転プレートとの間で不要な摩擦抵抗が生じにくい。この結果、小摩擦抵抗の特性が維持され、微小捩じり振動を十分に減衰できる。それによりトランスミッション側での歯打ち音等の異音を減らせる。
【0046】
請求項2に記載のダンパーディスク組立体では、プレート部材の爪部によって第3回転プレートの位置決めが行われている。すなわち、第3回転プレートがハブのフランジに対して接触するのが防止されており、微小捩じり振動の際に第3回転プレートとハブのフランジとの間で摩擦抵抗が生じにくい。
請求項3に記載のダンパーディスク組立体では、プレート部材と第2摩擦ワッシャとは第3回転プレートとともに一体回転する。この結果、第2摩擦ワッシャはフランジに対して摩擦摺動し、大捩じり振動時に第2摩擦ワッシャはフランジに対して摩擦摺動しない。
【0047】
請求項4に記載のダンパーディスク組立体では、大捩じり振動時に第4摩擦ワッシャが第3回転プレートに対して摩擦摺動し、全体の摩擦抵抗を大きくする。請求項5に記載のダンパーディスク組立体では、第1摩擦ワッシャが第2回転プレートに係合する必要が無くなるため、構造が簡略になる。しかも、第1付勢部材の付勢力は第1摩擦ワッシャに作用するが第4摩擦ワッシャに作用せず、第2付勢部材の付勢力は第4摩擦ワッシャに作用するが第1摩擦ワッシャに作用しない。
【0048】
請求項6に記載のダンパーディスク組立体では、トランスミッションのシャフトにミスアライメントが生じても、ハブが位置決めした状態で第1及び第2回転プレートに対して移動する。この結果、ハブが第1回転プレートに対して偏荷重を発生させない状態を維持する。
微小捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されて第3回転プレートが第1及び第2回転プレートと一体になってハブに対して相対回転するとき、第1摩擦ワッシャがハブのフランジに対して摩擦摺動する。このとき、前述したようにハブと第1及び第2回転プレートとの間で不要な摩擦抵抗が生じにくい。この結果、小摩擦抵抗の特性が維持され、微小捩じり振動を十分に減衰できる。それによりトランスミッション側での歯打ち音等の異音を減らせる。
【0049】
請求項7に記載のダンパーディスク組立体では、プレート部材の爪部によって第3回転プレートの位置決めが行われている。すなわち、第3回転プレートがハブのフランジに対して接触するのが防止されており、微小捩じり振動の際に第3回転プレートとハブのフランジとの間で摩擦抵抗が生じにくい。
請求項8に記載のダンパーディスク組立体では、トランスミッションのシャフトにミスアライメントが生じても、ハブが位置決めした状態で第1及び第2回転プレートに対して移動する。この結果、ハブと第1回転プレートとの間で偏荷重が生じにくい。
【0050】
微小捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されて第3回転プレートが第1及び第2回転プレートと一体になってハブに対して相対回転するとき、前述したようにハブと第1及び第2回転プレートとの間で不要な摩擦抵抗が生じにくい。この結果、小摩擦抵抗の特性が維持され、微小捩じり振動を十分に減衰できる。それによりトランスミッション側での歯打ち音等の異音を減らせる。
【0051】
請求項9に記載のダンパーディスク組立体では、プレート部材の爪部によって第3回転プレートの位置決めが行われている。すなわち、第3回転プレートがハブのフランジに対して接触するのが防止されており、微小捩じり振動の際に第3回転プレートとハブのフランジとの間で摩擦抵抗が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるクラッチディスク組立体の縦断面概略図。
【図2】一部が切り欠かれた図1におけるII矢視図。
【図3】ハブ及び分離フランジの係合を示す平面図。
【図4】図1の一部省略分解図。
【図5】第2フリクションワッシャの平面図。
【図6】図5のVI−VI断面図。
【図7】プレート部材の平面図。
【図8】図7のVIII−VIII断面図。
【図9】図1の部分拡大図。
【図10】ミスアライメントが生じたときにおける図9に相当する図。
【符号の説明】
1 クラッチディスク組立体
2 ハブ
3 クラッチプレート
4 リテーニングプレート
5 サブプレート
6 第1コイルスプリング
7 第2コイルスプリング
8 摩擦抵抗発生機構
18 第2フリクションワッシャ
19 プレート部材
20 第3フリクションワッシャ
【産業上の利用分野】
本発明は、ダンパーディスク組立体、特に、分離ハブ型ダンパーディスク組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば車輌のクラッチディスクに用いられるダンパーディスク組立体は、円板状入力側プレートと、外周にフランジを一体に有する出力側ハブと、両部材が相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置された弾性部材とを備えている。入力側プレートはエンジン側フライホイールと連結可能であり、出力側ハブの中心にはトランスミッションのシャフトが挿入され係合している。さらに、従来のフランジをハブから分離するとともに、この分離されたフランジとハブとを低剛性の弾性部材で連結した分離ハブ型ダンパーディスク組立体も提供されている。この種のダンパーディスク組立体では、入力側プレートとハブとの間の相対捩じり角度が広くなり、さらに低剛性・高剛性の2段階の捩じり特性が得られる。
【0003】
また、分離ハブ型ダンパーディスク組立体は第1摩擦抵抗発生機構と第2摩擦抵抗発生機構とを備えている。第1摩擦抵抗発生機構は、入力側プレートと分離フランジとが一体回転して両者と出力側ハブとの間で相対回転が生じるときに、小さな摩擦抵抗を発生させる。また、第2摩擦抵抗発生機構は、分離フランジが出力側ハブと一体回転して両者と入力側プレートとの間で相対回転が生じるときに、大きな摩擦抵抗を発生させる。振幅の小さい捩じり振動(微小捩じり振動)がこのダンパーディスク組立体に入力されると、低剛性弾性部材が伸縮を繰り返し、第1摩擦抵抗発生機構が小さな摩擦抵抗を発生させる。この結果、微小捩じり振動が減衰される。振幅の大きい捩じり振動(大捩じり振動)がこのダンパーディスク組立体に入力されると、弾性部材が伸縮を繰り返し、第2摩擦抵抗発生機構が大きな摩擦抵抗を発生させる。この結果、大捩じり振動が効果的に減衰される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のダンパーディスク組立体では、入力側プレートの内周縁にブッシュを設けてこのブッシュをハブの外周に当接することで、入力側プレートをハブに対して位置決めしている。トランスミッションのシャフトが、このダンパーディスク組立体に対して径方向にずれたり、または傾いてミスアライメントが生ずると、ハブがシャフトに追従して入力側プレートに対して径方向にずれたり傾こうとする。しかし、ハブは入力側プレートに対して径方向に移動できないため、ハブの外周面とブッシュの内周部との間に偏荷重が生じる。そのため、捩じり振動が伝達されて入力側プレートとハブとが相対回転するときに、ブッシュとハブとの間で摩擦抵抗が発生する。このことは、微小振動がダンパーディスク組立体に入力されときに摩擦抵抗が大きくなることを意味している。この結果、微小捩じり振動がダンパーディスク組立体で吸収されずにトランスミッション側に伝達され、トランスミッション側で歯打ち音が発生しやすくなる。
【0005】
本発明の目的は、分離ハブ型のダンパーディスク組立体において、部材のミスアライメントが生じた場合にも微小捩じり振動が入力されたときに生じる摩擦抵抗を大きくしないことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のダンパーディスク組立体は、ハブと第1回転プレートと第2回転プレートと第3回転プレートと第1弾性部材と第2弾性部材と第1摩擦ワッシャと第1付勢部材と第2摩擦ワッシャとプレート部材と第3摩擦ワッシャとを備えている。ハブは、軸方向に延びるボスと、ボスから半径方向外方に延びるフランジとを有している。第1回転プレートは中心孔を有しボスの周りに配置されている。第2回転プレートは中心孔を有し、フランジを挟んで第1回転プレートと反対側でボスの周りに配置されている。第3回転プレートは中心孔を有し、ボスの周りでかつ第1及び第2回転プレート間に配置されている。第1弾性部材はハブと第3回転プレートが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置されている。第2弾性部材は、第3回転プレートと第1及び第2回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置され、第1弾性部材より剛性が高い。第1摩擦ワッシャはフランジの第2回転プレート側の面に当接しており、第2回転プレートと一体回転する。第1付勢部材は第2回転プレートに支持されながら第1摩擦ワッシャをフランジに付勢する。第2摩擦ワッシャはフランジの第1回転プレート側の面に当接している。プレート部材は第2摩擦ワッシャの第1回転プレート側に径方向に移動不能に当接し、第1回転プレートの内周縁側を向く球面または円錐台面状の第1スライド面とを有している。第3摩擦ワッシャは第1回転プレートの内周縁に固定され、第1スライド面に当接する球面または円錐台面状の第2スライド面を有している。
【0007】
また、このダンパーディスク組立体では、プレート部材は第3回転プレートの内周縁側に延びる爪部を有している。爪部は第3回転プレートがハブのフランジに接触するのを防止している。
請求項2に記載のダンパーズィスク組立体では、プレート部材の爪部は第3回転プレートの内周縁に相対回転不能に係合しており、プレート部材と第2摩擦ワッシャとは相対回転不能に係合している。
【0008】
請求項3に記載のダンパーディスク組立体では、第4摩擦ワッシャと第2付勢部材とをさらに備えている。第4摩擦ワッシャは、第2回転プレートに相対回転不能に係合するとともに第3回転プレートの第2回転プレート側の面に当接する。第2付勢部材は第2回転プレートに支持されながら第4摩擦ワッシャを第3回転プレート側に付勢する。
【0009】
請求項4に記載のダンパーディスク組立体では、第4摩擦ワッシャと第1摩擦ワッシャとは相対回転不能にかつ軸方向に移動自在に係合している。
請求項5に記載のダンパーディスク組立体は、ハブと第1回転プレートと第2回転プレートと第3回転プレートと第1弾性部材と第2弾性部材と第1摩擦ワッシャと付勢部材と第1環状部材と第2環状部材とを備えている。ハブは軸方向に延びるボスと、ボスから半径方向外方に延びるフランジとを有している。第1回転プレートは中心孔を有し、ボスの周りに配置されている。第2回転プレートは中心孔を有し、フランジを挟んで第1回転プレートと反対側でボスの周りに配置され第1回転プレートに固定されている。第3回転プレートは中心孔を有し、ボスの周りでかつ第1及び第2回転プレート間に配置されている。第1弾性部材はハブと第3回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置されている。第2弾性部材は第3回転プレートと第1及び第2回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置され、第1弾性部材より剛性が高い。第1摩擦ワッシャはフランジの第2回転プレート側の面に当接しており、第2回転プレートと一体回転する。付勢部材は第2回転プレートに支持されながら第1摩擦ワッシャをフランジに付勢する。第1環状部材はハブに対して径方向に移動不能であり、第1回転プレートの内周縁側を向く球面または円錐台面状の第1スライド面を有している。第2環状部材は第1回転プレートの内周側に固定され、第1スライド面に当接する球面または円錐台面状の第2スライド面を有している。
【0010】
第1環状部材は、第3回転プレートの内周側に位置し第3回転プレートがハブのフランジに接触するのを防止する爪部を有している。
請求項6に記載のダンパーディスク組立体は、ハブと第1回転プレートと第2回転プレートと第3回転プレートと第1弾性部材と第2弾性部材と第1環状部材と第2環状部材とを備えている。ハブは、軸方向に延びるボスと、ボスから半径方向外方に延びるフランジとを有している。第1回転プレートは中心孔を有し、ボスの周りに配置されている。第2回転プレートは中心孔を有し、フランジを挟んで第1回転プレートと反対側でボスの周りに配置され第1回転プレートに固定されている。第3回転プレートは中心孔を有し、ボスの周りでかつ第1及び第2回転プレート間に配置されている。第1弾性部材はハブと第3回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置されている。第2弾性部材は、第3回転プレートと第1及び第2回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置され、第1弾性部材より剛性が高い。第1環状部材はハブに対して径方向に移動不能であり、第1回転プレートの内周縁側を向く球面または円錐台面状の第1スライド面を有している。第2環状部材は、第1回転プレートの内周縁に固定され、第1スライド面に当接する球面または円錐台面状の第2スライド面を有している。
【0011】
第1環状部材は、第3回転プレートの内周側に位置し第3回転プレートがハブのフランジに接触するのを防止する爪部を有している。
【0012】
【作用】
請求項1に記載のダンパーディスク組立体では、トランスミッションのシャフトがダンパーディスク組立体に対して径方向にずれたり傾いてミスアライメントが生じると、ハブはシャフトに追従し、第1及び第2回転プレートに対して移動する。この移動時にプレート部材の第1スライド面が第3摩擦ワッシャの第2スライド面に対して摺動する。移動終了後は移動前と同じくプレート部材の第1スライド面が第3摩擦ワッシャの第2スライド面に当接しており、これにより第1及び第2回転プレートがハブに対して位置決めされている。プレート部材と第3摩擦ワッシャとが球面又は円錐台面状のスライド面同士で摺動するため、ハブと第1回転プレートとの間に偏荷重が生じにくい。
【0013】
第1回転プレート及び第2回転プレートにトルクが入力されると、トルクは第1及び第2回転プレートから第2弾性部材、第3回転プレート及び第1弾性部材を介してハブに伝達される。微小捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されると、第1弾性部材が第3回転プレートとハブとの間で伸縮を繰り返す。このとき第3回転プレートは、第1及び第2回転プレートと一体になってハブに対して相対回転し、第1摩擦ワッシャと第2摩擦ワッシャとがハブのフランジに対して摩擦摺動し小さな摩擦抵抗を発生する。このとき、前述したようにハブと第1及び第2回転プレートとの間で不要な摩擦抵抗が生じにくい。この結果、小摩擦抵抗の特性が維持され、微小捩じり振動を十分に減衰できる。それによりトランスミッション側での歯打ち音等の異音を減らせる。
【0014】
大捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されると、第2弾性部材が円周方向に伸縮を繰り返す。第3回転プレートは、ハブと一体になって、第1及び第2回転プレートと相対回転する。このとき、第1摩擦ワッシャとフランジとの間で摩擦抵抗が発生する。このようにして高剛性・大摩擦抵抗の特性により大捩じり振動を減衰できる。
【0015】
このダンパーディスク組立体では、プレート部材の爪部によって第3回転プレートの位置決めが行われている。すなわち、第3回転プレートがハブのフランジに接触するのが防止されており、微小捩じり振動の際に第3回転プレートとハブのフランジとの間で摩擦抵抗が生じにくい。
請求項2に記載のダンパーディスク組立体では、プレート部材と第2摩擦ワッシャとは第3回転プレートとともに一体回転する。この結果、第2摩擦ワッシャはフランジに対して摩擦摺動し、大捩じり振動時に第2摩擦ワッシャはフランジに対して摩擦摺動しない。
【0016】
請求項3に記載のダンパーディスク組立体では、大捩じり振動時に第4摩擦ワッシャが第3回転プレートに対して摩擦摺動し、全体の摩擦抵抗を大きくする。
請求項4に記載のダンパーディスク組立体では、第1摩擦ワッシャが第2回転プレートに係合する必要が無くなるため、構造が簡略になる。しかも、第1付勢部材の付勢力は第1摩擦ワッシャに作用するが第4摩擦ワッシャに作用せず、第2付勢部材の付勢力は第4摩擦ワッシャに作用するが第1摩擦ワッシャに作用しない。
【0017】
請求項5に記載のダンパーディスク組立体では、トランスミッションのシャフトが径方向にずれたり中心軸から傾いてミスアライメントが生じると、ハブはシャフトに追従し、第1及び第2回転プレートに対して移動する。この移動時に第1環状部材の第1スライド面が第2環状部材の第2スライド面に対して摺動する。移動終了後は移動前と同じく第1環状部材の第1スライド面が第2環状部材の第2スライド面に当接しており、第1及び第2回転プレートがハブに対して位置決めされている。第1及び第2環状部材が互いに球面又は円錐台面状のスライド面同士で摺動するため、ハブと第1回転プレートの間で偏荷重が生じにくい。
【0018】
第1及び第2回転プレートにトルクが入力されると、トルクは第1及び第2回転プレートから第2弾性部材、第3回転プレート及び第1弾性部材を介してハブに出力される。微小捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されると、第1弾性部材が第3回転プレートとフランジとの間で伸縮を繰り返す。このとき第3回転プレートは第1及び第2回転プレートと一体になってハブに対して相対回転し、第1摩擦ワッシャがフランジに対して摩擦摺動し所定の摩擦抵抗を発生させる。このとき、前述したようにハブと第1及び第2回転プレートとの間で不要な摩擦抵抗が生じにくい。この結果、小摩擦抵抗の特性が維持され、微小捩じり振動を十分に減衰できる。それによりトランスミッション側での歯打ち音等の異音を減らせる。
【0019】
このダンパーディスク組立体では、プレート部材の爪部によって第3回転プレートの位置決めが行われている。すなわち、第3回転プレートがハブのフランジに対して接触するのが防止されており、微小捩じり振動の際に第3回転プレートとハブのフランジとの間で摩擦抵抗が生じにくい。
請求項6に記載のダンパーディスク組立体では、トランスミッション側のシャフトが径方向にずれたり中心軸から傾いてミスアライメントが生じると、ハブはシャフトに追従し、第1及び第2回転プレートに対して移動する。この移動時に第1環状部材の第1スライド面が第2環状部材の第2スライド面に対して摺動する。移動終了後は移動前と同じく第1環状部材の第1スライド面が第2環状部材の第2スライド面に当接しており、第1及び第2回転プレートがハブに対して位置決されている。第1及び第2環状部材が互いに球面又は円錐台面状のスライド面同士で摺動するため、ハブと第1回転プレートとの間で偏荷重が生じにくい。
【0020】
第1及び第2回転プレートにトルクが入力されると、トルクは第1及び第2回転プレートから第2弾性部材、第3回転プレート及び第1弾性部材を介してハブに出力される。微小捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されると、第1弾性部材が第3回転プレートとフランジとの間で伸縮を繰り返す。このとき第3回転プレートは第1及び第2回転プレートと一体になってハブに対して相対回転する。このとき、前述したようにハブと第1及び第2回転プレートとの間で不要な摩擦抵抗が生じにくい。この結果、小摩擦抵抗の特性が維持され、微小捩じり振動を十分に減衰できる。それによりトランスミッション側での歯打ち音等の異音を減らせる。
【0021】
このダンパーディスク組立体では、プレート部材の爪部によって第3回転プレートの位置決めが行われている。すなわち、第3回転プレートがハブのフランジに対して接触するのが防止されており、微小捩じり振動の際に第3回転プレートとハブのフランジとの間で摩擦抵抗が生じにくい。
【0022】
【実施例】
図1に示す本発明の一実施例によるクラッチディスク組立体1は、図1の左側に配置されたエンジン(図示せず)からのトルクを図1の右側に配置されたトランスミッション(図示せず)に伝達及び遮断するための装置である。図1においては、O−Oがクラッチディスク組立体1の回転軸線である。図2はクラッチディスク組立体1の一部切欠き平面図を表している。ここでは、R1 側がクラッチディスク組立体1の回転方向である。
【0023】
このクラッチディスク組立体1は、主に、出力側部材としてのハブ2と、入力側部材としてのクラッチプレート3及びリテーニングプレート4と、中間部材としてのサブプレート5(分離フランジ)と、サブプレート5とハブ2との間に両者の相対回転を制限するように配置された第1コイルスプリング6と、プレート3,4とサブプレート5との間に両者の相対回転を制限するように配置された第2コイルスプリング7と、プレート3,4とハブ2との間で相対回転が生じるときに所定の摩擦抵抗を発生させる摩擦抵抗発生機構8とから構成されている。
【0024】
ハブ2は、クラッチディスク組立体1の中心に配置されており、トランスミッションのシャフト(図示せず)に連結される。ハブ2は軸方向に延びる円筒状のボス2aとボス2aの外周に一体に形成されたフランジ2bとから構成されている。フランジ2bの外周には径方向外方に延びる複数のスプライン歯2cが等間隔で形成されている。図3に示すように、フランジ2bにおいて径方向に対向する2か所には、後述する第1コイルスプリング6の両端を受けるための切欠き2dが形成されている。また、ボス2aの内周側には、トランスミッションのシャフト(図示せず)にスプライン係合するスプライン孔2eが形成されている。
【0025】
ハブ2のフランジ2bの外周には、フランジ2bとほぼ同一平面上にサブプレート5が配置されている。サブプレート5は中心孔を有する円板状のプレートである。サブプレート5は、図2から明らかなように、径方向外方に延びる4つの突出部5aを有している。各突出部5aには、円周方向に延びる窓孔5bが形成されている。サブプレート5の内周側には、ハブ2のスプライン歯2cの間に対応する部分にスプライン歯5dが形成されている。各スプライン歯2cと各スプライン歯5dとの間には円周方向に所定の隙間が確保されており、これによりハブ2とサブプレート5とが所定角度内で相対回転可能になっている。サブプレート5の内周側において、ハブ2の切欠き2dに対応する2か所には内側切欠き5eが形成されている。これらの切欠き2dと内側切欠き5e内には第1コイルスプリング6が配置されている。第1コイルスプリング6の両端にはシート部材6aが配置されており、シート部材6aは切欠き2dの側部及び内側切欠き5eの円周方向両端に当接している。なお、図2及び図3に示す自由状態では、スプライン歯2cはスプライン歯5d間でR2 側に配置されている。すなわち、ハブ2がサブプレート5に対して所定角度分R2 側に捩じれている。
【0026】
内側切欠き5eの中心には径方向外側に切欠き5fが形成されている。さらに、サブプレート5の内周側においてスプライン歯5d間の歯底部5hとスプライン歯2cとの径方向間には所定の隙間が確保されている。
サブプレート5の両側方には、クラッチプレート3及びリテーニングプレート4が配置されている。プレート3,4は、中心孔を有する概ね円板状の1対の部材であり、ハブ2のボス2aの外周側に回転自在に配置されている。クラッチプレート3及びリテーニングプレート4は外周部で当接ピン11により互いに固定されている。この当接ピン11は、サブプレート5の突出部5a間である切欠き5c内を挿通している。当接ピン11と切欠き5c端面との間には円周方向に所定の隙間が確保されているため、プレート3,4とサブプレート5とは所定角度範囲内で相対回転可能である。
【0027】
クラッチプレート3の外周には摩擦連結部10が配置されている。摩擦連結部10は、主に、円環状のクッショニングプレート12と、摩擦フェーシング13とから構成されている。クッショニングプレート12は、当接ピン11によりクラッチプレート3に固定されている環状部12aと、環状部12aの外周側に設けられた複数のクッショニング部12bとから構成されている。クッショニング部12bの両面には摩擦フェーシング13が固着されている。なお、摩擦フェーシング13の図1左側にはエンジン側のフライホイール(図示せず)が配置されており、図示しないプレッシャプレートにより摩擦フェーシング13がフライホイールに押圧されると、クラッチディスク組立体1にエンジン側のトルクが入力される。
【0028】
クラッチプレート3及びリテーニングプレート4には、それぞれサブプレート5の窓孔5bに対応した位置に、窓孔3a及び窓孔4aが形成されている。この窓孔3a,4a内に第2コイルスプリング7が配置されている。各窓孔3a,4aの径方向両側には軸方向外方に切り起こされた押え部3b,4bが形成されている。
【0029】
第2コイルスプリング7は合計4個であり、それぞれが大コイルスプリング7aと小コイルスプリング7bとから構成されている。第2コイルスプリング7の円周方向両端は、サブプレート5の窓孔5bの円周方向両端,クラッチプレート3の窓孔3aの円周方向両端,及びリテーニングプレート4の窓孔4aの円周方向両端に当接している。
【0030】
クラッチプレート3及びリテーニングプレート4の内周側には、摩擦抵抗発生機構8の一部(後述)が係合する孔3c,4cがそれぞれ円周方向等間隔で4つ形成されている。
図4〜図9に詳細に示した摩擦抵抗発生機構8は、クラッチプレート3の内周部とリテーニングプレート4の内周部との軸方向間でボス2aの外周側に配置されたそれぞれ環状の部材から構成されている。摩擦抵抗発生機構8を構成する部材は、第1フリクションワッシャ14と第4フリクションワッシャ15と第1コーンスプリング16と第2コーンスプリング17と第2フリクションワッシャ18とプレート部材19と第3フリクションワッシャ20である。
【0031】
第1フリクションワッシャ14は樹脂製円板状プレートである。第1フリクションワッシャ14は、一側面がハブ2のフランジ2b及びスプライン歯2cのトランスミッション側の面に当接している円板部14aと、円板部14aの内周側からトランスミッション側に突出する環状突出部14bとを有している。環状突出部14bには、環状切欠き溝14cがトランスミッション側に形成されている。また、円板部14aの外周には、径方向外方に延びる4つの突起14dが形成されている。
【0032】
第1フリクションワッシャ14とリテーニングプレート4の軸方向間には、第1コーンスプリング16が配置されている。第1コーンスプリング16は外周端がリテーニングプレート4に当接し、内周端が第1フリクションワッシャ14の環状切欠き溝14cに当接している。第1コーンスプリング16は圧縮された状態で配置されており、第1フリクションワッシャ14をハブ2のフランジ2b及びスプライン歯2cに対して付勢している。第1コーンスプリング16には、外周側に複数の切欠き16a(図2)が形成されている。この切欠き16aは、第1フリクションワッシャ14の磨耗によって第1コーンスプリング16の姿勢が変化するときに付勢力の変化を減らすために形成されている。
【0033】
第4フリクションワッシャ15は円板状の部材であり、第1フリクションワッシャ14の外周側に、第1フリクションワッシャ14が配置された平面とほぼ同一平面上にかつ同心に配置されている。第4フリクションワッシャ15は第1フリクションワッシャ14と同じ材料で形成されている。第4フリクションワッシャ15は、サブプレート5の内周端面に当接している円板部15aから主に構成されている。円板部15aの内周側のトランスミッション側端面には、円周方向に等間隔で4つの凹部15eが形成されている。この凹部15e内には、第1フリクションワッシャ14の突起14dが円周方向に相対回転不能にかつ軸方向移動可能に係合している。なお、突起14dと凹部15eの底面との間には軸方向間に所定の隙間が確保されている。さらに、円板部15aにおいて凹部15eの円周方向間にトランスミッション側に延びる4つの突起15cが形成されている。突起15cは先端がスナップ形状になっており、リテーニングプレート4に形成された孔4c内に係合している。
【0034】
第2コーンスプリング17は、第4フリクションワッシャ15とリテーニングプレート4との軸方向間に配置されている。第2コーンスプリング17には、内周側に複数の切欠き17a(図2)が形成されている。この切欠き17aは、第4フリクションワッシャ15の磨耗によって第2コーンスプリング17の姿勢が変化するときに、第2コーンスプリング17の付勢力変化を減らすために形成されている。第2コーンスプリング17は、内周端がリテーニングプレート4に当接し、外周端が第4フリクションワッシャ15の環状部15aのトランスミッション側の面に当接している。このようにして、第2コーンスプリング17は圧縮された状態で配置されており第4フリクションワッシャ15をサブプレート5のトランスミッション側の面に付勢している。このときの第2コーンスプリング17の付勢力は第1コーンスプリング16の付勢力より大きくなるように設定されている。なお、第2コーンスプリング17の切欠き17a部分は、第4フリクションワッシャ15の突起15cに対応しており、互いの干渉を避けている。
【0035】
クラッチプレート3の内周部とハブ2のフランジ2bとの間には第2フリクションワッシャ18が配置されている。第2フリクションワッシャ18は、図5及び図6に示すような環状の樹脂製部材である。第2フリクションワッシャ18は、主に、筒部18aとフランジ18bとから形成されている。筒部18aは、ボス2aの外周に当接している。また、フランジ18bは筒部18aのトランスミッション側端から延び、フランジ2bに当接している。筒部18aの外周には、円周方向に等間隔で4つの突出係合部18cが形成されている。フランジ18bのトランスミッション側面はフランジ2bに当接する摩擦面18dになっており、反対側の面は円錐台面状のテーパ面18eになっている。
【0036】
プレート部材19は板金製であり、図7及び図8から明らかなように、環状プレート部材である。このプレート部材19は、テーパ環状部19aと、テーパ環状部19aの内側から突出する筒部19bと、テーパ環状部19aの外周側から延びる4本の爪部19cから主に形成されている。環状部19aの内側テーパ面19dは第2フリクションワッシャ18のテーパ面18eに当接している。さらに環状部19aの外側テーパ面19eはクラッチプレート3の内周端側を向いている。また、筒部19bは筒部18aに当接し、突出係合部18cが嵌合している切欠き19fを有している。このようにして、第2フリクションワッシャ18とプレート部材19とは相対回転不能になっている。さらに、爪部19cの2本は、たとえば図3に示すように、サブプレート5の切欠き5f内に延びている。これにより、プレート部材19とサブプレート5とが相対回転不能になっている。なお、サブプレート5と爪部19cとの径方向間には隙間S(図3,9)が確保されている。この状態で、サブプレート5は僅かに径方向移動が可能である。また残りの2本の爪部19cは、スプライン歯2cと歯底部5hとの間に形成された空間内に延びている。
【0037】
第3フリクションワッシャ20は樹脂製であり、環状部20aと、環状部20aの内周側からエンジン側に延びる筒部20bと、内周側で円周方向に等間隔で4か所に形成された突起20cとから構成されている。環状部20aは、サブプレート5の内周側側面に当接している。筒部20bはクラッチプレート3の内周端部の内側に配置され、クラッチプレート3と相対回転不能に係合している。さらに、突起20cはクラッチプレート3に形成された孔3c内にスナップ係合している。筒部20bのトランスミッション側側面には、プレート部材19の外側テーパ面19eに当接するテーパ面20eが形成されている。このようにして、クラッチプレート3及びリテーニングプレート4がハブ2に対して位置決めされている。
【0038】
自由状態において、第3フリクションワッシャ20の筒部20bとプレート部材19の筒部19bとの間の径方向間には所定の隙間Qが確保されている。
次に、クラッチディスク組立体1の動作について説明する。
クラッチディスク組立体1を組み立てる際に、予め摩擦抵抗発生機構8の第1フリクションワッシャ14,第4フリクションワッシャ15,第1コーンスプリング16及び第2コーンスプリング17をリテーニングプレート4に組み付けてサブアッシーにしておく。この組み付け作業は第4フリクションワッシャ15の突起15cをリテーニングプレート4の孔4cに挿入するだけで簡単にできる。第4フリクションワッシャ15によって、第1フリクションワッシャ14,第1コーンスプリング16及び第2コーンスプリング17はリテーニングプレート4からの脱落を防止されている。このようにサブアッシー化すると、全体の組立前にサブアッシー状態で管理できるので作業が容易になる。また、全体の組立時にもサブアッシーであるために作業効率が大幅に向上する。なお、第3フリクションワッシャ20も、クラッチプレート3に組み付けてサブアッシーにしておく。
【0039】
このクラッチディスク組立体1に対して図1の右側からトランスミッションのシャフトを近づける。このシャフト(図示せず)はボス2aの内周側に形成されたスプライン孔2eに係合する。このとき、このシャフトが図10に示すように正しい中心軸線O−Oから僅かに傾いたとする。このようにミスアライメントが生じると、ハブ2、第2フリクションワッシャ18及びプレート部材19がシャフトに追従して移動する。このとき、プレート部材19の外側テーパ面19eが第3フリクションワッシャ20のテーパ面20eに対して摺動する。この結果、図9から図10の状態に移行する。ここではシャフトの中心線はPで表されている。図10の状態で、第3フリクションワッシャ20の筒部20bの一部はプレート部材19の筒部19bに当接している。また、サブプレート5の切欠き5fの一方はプレート部材19の爪部19bに当接している。ここでは、第3フリクションワッシャ20とプレート部材19との間には偏荷重は生じていない。
【0040】
摩擦フェーシング13がエンジン側のフライホイール(図示せず)に押し付けられると、エンジン側のフライホイールのトルクがクラッチプレート3及びリテーニングプレート4に入力される。このトルクは、第2コイルスプリング7、サブプレート5、第1コイルスプリング6を介してハブ2に伝達され、さらにトランスミッション側のシャフトに出力される。
【0041】
エンジン側のフライホイール(図示せず)からクラッチディスク組立体1に微小捩じり振動が伝達されると、プレート3,4及びサブプレート5とハブ2との間で相対回転が生じる。このとき、第1コイルスプリング6が円周方向に伸縮を繰り返し、第1フリクションワッシャ14及び第2フリクションワッシャ18がハブ2のフランジ2b及びスプライン歯2cに対して摩擦摺動する。このときの低剛性・小摩擦抵抗の特性によって微小捩じり振動が効果的に減衰される。なお、このときにたとえミスアライメントがあったとしても、プレート部材19と第3フリクションワッシャ20の間で偏荷重が生じないために、プレート部材19と第3フリクションワッシャ20との間で摩擦抵抗が発生しにくい。また、サブプレート5はプレート部材19の爪部19cによって位置決めされているために、サブプレート5がフランジ2bに接触して不要な摩擦抵抗を発生させにくい。以上のようにして、第1段目の特性においては摩擦抵抗を充分に小さくできる。
【0042】
クラッチディスク組立体1に大捩じり振動が伝達されると、第1コイルスプリング6が圧縮されてサブプレート5とハブ2とが一体回転し、これらとプレート3,4との間で相対回転が生じる。このとき、第2コイルスプリング7が伸縮を繰り返し、第1フリクションワッシャ14がハブ2のフランジ2bと摺動し、第4フリクションワッシャ15がサブプレート5の内周側側面に摺動し、さらに第3フリクションワッシャ20がプレート部材19及びサブプレート5に摩擦摺動する。このときの高剛性・大摩擦抵抗の特性により、大捩じり振動を効果的に減衰する。
【0043】
以上のように、捩じり振動の種類によって適切な特性を得られるので、クラッチディスク組立体1は捩じり振動を効果的に減衰可能である。
〔変形例〕
前記実施例では、プレート部材19と第3フリクションワッシャ20との当接面をそれぞれ円錐台面状のテーパ面にしたが、これは球面状にしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
請求項1に記載のダンパーディスク組立体では、トランスミッションのシャフトにミスアライメントが生じても、ハブが位置決めした状態で第1及び第2回転プレートに対して移動する。この結果、ハブと第1回転プレートとの間で偏荷重が生じにくい。
【0045】
微小捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されて第3回転プレートが第1及び第2回転プレートと一体になってハブに対して相対回転するとき、第1摩擦ワッシャと第2摩擦ワッシャとがハブのフランジに対して摩擦摺動する。このとき、前述したようにハブと第1及び第2回転プレートとの間で不要な摩擦抵抗が生じにくい。この結果、小摩擦抵抗の特性が維持され、微小捩じり振動を十分に減衰できる。それによりトランスミッション側での歯打ち音等の異音を減らせる。
【0046】
請求項2に記載のダンパーディスク組立体では、プレート部材の爪部によって第3回転プレートの位置決めが行われている。すなわち、第3回転プレートがハブのフランジに対して接触するのが防止されており、微小捩じり振動の際に第3回転プレートとハブのフランジとの間で摩擦抵抗が生じにくい。
請求項3に記載のダンパーディスク組立体では、プレート部材と第2摩擦ワッシャとは第3回転プレートとともに一体回転する。この結果、第2摩擦ワッシャはフランジに対して摩擦摺動し、大捩じり振動時に第2摩擦ワッシャはフランジに対して摩擦摺動しない。
【0047】
請求項4に記載のダンパーディスク組立体では、大捩じり振動時に第4摩擦ワッシャが第3回転プレートに対して摩擦摺動し、全体の摩擦抵抗を大きくする。請求項5に記載のダンパーディスク組立体では、第1摩擦ワッシャが第2回転プレートに係合する必要が無くなるため、構造が簡略になる。しかも、第1付勢部材の付勢力は第1摩擦ワッシャに作用するが第4摩擦ワッシャに作用せず、第2付勢部材の付勢力は第4摩擦ワッシャに作用するが第1摩擦ワッシャに作用しない。
【0048】
請求項6に記載のダンパーディスク組立体では、トランスミッションのシャフトにミスアライメントが生じても、ハブが位置決めした状態で第1及び第2回転プレートに対して移動する。この結果、ハブが第1回転プレートに対して偏荷重を発生させない状態を維持する。
微小捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されて第3回転プレートが第1及び第2回転プレートと一体になってハブに対して相対回転するとき、第1摩擦ワッシャがハブのフランジに対して摩擦摺動する。このとき、前述したようにハブと第1及び第2回転プレートとの間で不要な摩擦抵抗が生じにくい。この結果、小摩擦抵抗の特性が維持され、微小捩じり振動を十分に減衰できる。それによりトランスミッション側での歯打ち音等の異音を減らせる。
【0049】
請求項7に記載のダンパーディスク組立体では、プレート部材の爪部によって第3回転プレートの位置決めが行われている。すなわち、第3回転プレートがハブのフランジに対して接触するのが防止されており、微小捩じり振動の際に第3回転プレートとハブのフランジとの間で摩擦抵抗が生じにくい。
請求項8に記載のダンパーディスク組立体では、トランスミッションのシャフトにミスアライメントが生じても、ハブが位置決めした状態で第1及び第2回転プレートに対して移動する。この結果、ハブと第1回転プレートとの間で偏荷重が生じにくい。
【0050】
微小捩じり振動が第1及び第2回転プレートに伝達されて第3回転プレートが第1及び第2回転プレートと一体になってハブに対して相対回転するとき、前述したようにハブと第1及び第2回転プレートとの間で不要な摩擦抵抗が生じにくい。この結果、小摩擦抵抗の特性が維持され、微小捩じり振動を十分に減衰できる。それによりトランスミッション側での歯打ち音等の異音を減らせる。
【0051】
請求項9に記載のダンパーディスク組立体では、プレート部材の爪部によって第3回転プレートの位置決めが行われている。すなわち、第3回転プレートがハブのフランジに対して接触するのが防止されており、微小捩じり振動の際に第3回転プレートとハブのフランジとの間で摩擦抵抗が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるクラッチディスク組立体の縦断面概略図。
【図2】一部が切り欠かれた図1におけるII矢視図。
【図3】ハブ及び分離フランジの係合を示す平面図。
【図4】図1の一部省略分解図。
【図5】第2フリクションワッシャの平面図。
【図6】図5のVI−VI断面図。
【図7】プレート部材の平面図。
【図8】図7のVIII−VIII断面図。
【図9】図1の部分拡大図。
【図10】ミスアライメントが生じたときにおける図9に相当する図。
【符号の説明】
1 クラッチディスク組立体
2 ハブ
3 クラッチプレート
4 リテーニングプレート
5 サブプレート
6 第1コイルスプリング
7 第2コイルスプリング
8 摩擦抵抗発生機構
18 第2フリクションワッシャ
19 プレート部材
20 第3フリクションワッシャ
Claims (6)
- 軸方向に延びるボスと前記ボスから半径方向外方に延びるフランジとを有するハブと、
中心孔を有し前記ボスの回りに配置された第1回転プレートと、
中心孔を有し、前記フランジを挟んで前記第1回転プレートと反対側で前記ボスの回りに配置され、前記第1回転プレートに固定された第2回転プレートと、
中心孔を有し前記ボスの回りでかつ前記第1及び第2回転プレート間に配置された第3回転プレートと、
前記ハブと前記第3回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置された第1弾性部材と、
前記第3回転プレートと前記第1及び第2回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置され、前記第1弾性部材より剛性の高い第2弾性部材と、
前記フランジの前記第2回転プレート側の面に当接しており、前記第2回転プレートと一体回転する第1摩擦ワッシャと、
前記第2回転プレートに支持されながら前記第1摩擦ワッシャを前記フランジに付勢する第1付勢部材と、
前記フランジの前記第1回転プレート側の面に当接しかつ前記ボスに対して径方向に移動不能に当接している第2摩擦ワッシャと、
前記第2摩擦ワッシャの前記第1回転プレート側に径方向に移動不能に当接し、前記第1回転プレートの内周縁側を向く球面又は円錐台面状の第1スライド面とを有するプレート部材と、
前記第1回転プレートの内周縁に固定され、前記第1スライド面に当接する球面又は円錐台面状の第2スライド面を有している第3摩擦ワッシャとを備え、
前記プレート部材は、前記第3回転プレートの内周側に位置し前記第3回転プレートが前記ハブの前記フランジに接触するのを防止する爪部を有している、
ダンパーディスク組立体。 - 前記プレート部材の爪部は前記第3回転プレートの内周縁に相対回転不能に係合しており、
前記プレート部材と前記第2摩擦ワッシャとは相対回転不能に係合している、請求項1に記載のダンパーディスク組立体。 - 前記第2回転プレートに相対回転不能に係合するとともに前記第3回転プレートの前記第2回転プレート側の面に当接する第4摩擦ワッシャと、
前記第2回転プレートに支持されながら前記第4摩擦ワッシャを前記第3回転プレート側に付勢する第2付勢部材とをさらに備えている、請求項1または2に記載のダンパーディスク組立体。 - 前記第4摩擦ワッシャと前記第1摩擦ワッシャとは相対回転不能にかつ軸方向に移動自在に係合している、請求項3に記載のダンパーディスク組立体。
- 軸方向に延びるボスと、前記ボスから半径方向外方に延びるフランジとを有するハブと、
中心孔を有し前記ボスの回りに配置された第1回転プレートと、
中心孔を有し、前記フランジを挟んで前記第1回転プレートと反対側で前記ボスの回りに配置され、前記第1回転プレートに固定された第2回転プレートと、
中心孔を有し前記ボスの回りでかつ前記第1及び第2回転プレート間に配置された第3回転プレートと、
前記ハブと前記第3回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置された第1弾性部材と、
前記第3回転プレートと前記第1及び第2回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置され、前記第1弾性部材より剛性の高い第2弾性部材と、
前記フランジの前記第2回転プレート側の面に当接しており、前記第2回転プレートと一体回転する第1摩擦ワッシャと、
前記第2回転プレートに支持されながら前記第1摩擦ワッシャを前記フランジに付勢する付勢部材と、
前記ハブに対して径方向に移動不能であり、前記第1回転プレートの内周縁側を向く球面又は円錐台面状の第1スライド面を有する第1環状部材と、
前記第1回転プレートの内周縁に固定され、前記第1スライド面に当接する球面又は円錐台形面状の第2スライド面を有している第2環状部材とを備え、
前記第1環状部材は、前記第3回転プレートの内周側に位置し前記第3回転プレートが前記ハブの前記フランジに接触するのを防止する爪部を有している、
ダンパーディスク組立体。 - 軸方向に延びるボスと、前記ボスから半径方向外方に延びるフランジとを有するハブと、
中心孔を有し前記ボスの回りに配置された第1回転プレートと、
中心孔を有し、前記フランジを挟んで前記第1回転プレートと反対側で前記ボスの回りに配置され、前記第1回転プレートに固定された第2回転プレートと、
中心孔を有し前記ボスの回りでかつ前記第1及び第2回転プレート間に配置された第3回転プレートと、
前記ハブと前記第3回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置された第1弾性部材と、
前記第3回転プレートと前記第1及び第2回転プレートとが相対回転するとその間で円周方向に圧縮されるように配置され、前記第1弾性部材より剛性の高い第2弾性部材と、
前記ハブに対して径方向に移動不能であり、前記第1回転プレートの内周縁側を向く球面又は円錐台面状の第1スライド面を有する第1環状部材と、
前記第1回転プレートの内周縁に固定され、前記第1スライド面に当接する球面又は円錐台面状の第2スライド面を有している第2環状部材と備え、
前記第1環状部材は、前記第3回転プレートの内周側に位置し前記第3回転プレートが前記ハブの前記フランジに接触するのを防止する爪部を有している、
ダンパーディスク組立体。
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