JP3552172B2 - 成形基板の導体接続方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、合成樹脂材の成形加工品に回路導体を一体的に形成して成る成形基板の回路導体と、電線あるいは他の基板の回路導体等とを電気的に接続する成形基板の導体接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器の発達に伴いその配線構造の多様化、高機能化が進み、配線および部品配置の高密度化、軽量化、小型化等を図るため、部品および配線板等を収容する匡体と一体的に回路形成ができるいわゆる成形基板の利用が配慮されている。成形基板の製法としては、たとえば、特開昭63−128181号公報に開示されている、プラスチック成形品の製法の提案もなされている。
【0003】
このプラスチック成形品の製法は、図8に示すように、プラスチックの一次成形を行って、回路部分を突条aで形成した一次成形基板bを成形し、この一次成形基板bの全体に対し、無電解メッキ用の触媒処理を施す。次に、図9に示すように、突条aを残すようにして一次成形基板bを合成樹脂材で被覆する二次成形を行い、触媒処理の施された回路部分cを露出させた二次成形基板dを形成する。そして、二次成形基板dに対して、無電解メッキを施すことにより、図10に示すように、触媒処理の施された回路部分(突条)cにメッキ銅を析出させて回路eを形成するようにしている。
【0004】
このようにして形成された成形基板の回路と、他の成形基板の回路とを接続しようとする場合は、一般の回路基板、たとえばプリント回路板などと同様に端子やコネクタを介在させて接続を行ったり、回路部分にスルーホールを設けて、ピン等を介して半田付けする方法が考えられているのみである。
【0005】
しかしながら、端子やコネクタを介在させて接続を行ったり、スルーホールを設けて半田付けを行うのであれば、全体の部品点数や、作業工程が増加し、複雑な工程を経て小型化、軽量化を図った成形基板の利点が減殺されてしまう問題点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、端子やコネクタ等の別部品を使用することなく、成形基板の回路導体と、電線あるいは他の基板の回路導体等とを電気的に接続することのできる成形基板の導体接続方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を達成するため、本発明の請求項1記載の成形基板の導体接続方法は、成形基板を構成する回路導体の所定の位置に、該成形基板を貫通する接続用孔を有する導体接続部を凹設し、該導体接続部は、円筒状凹面を有する凹陥部として形成され、該凹陥部の周壁と、該回路導体とを一体的に導通させた後に、該凹陥部に別の導体を配置し、該接続用孔を通じて半田付けまたは溶接を行うことにより、該成形基板の回路導体と、該別の導体とを接続することを特徴とする。
前記導体接続部に金属メッキ処理を施して、該導体接続部の前記周壁と、前記回路導体とを一体的に導通させることが好ましい(請求項2)。
【0008】
前記成形基板の一端に電線抑止板を開閉自在に設け、前記導体接続部に載置した電線を、該電線抑止板で挟持して接続を行うようするとさらに好適である(請求項3)。
【0011】
【作用】
本発明によれば、成形基板の回路導体に導体接続部を形成しているため、直接、導体接続部と電線などの他の導体とを半田付けあるいは溶接することにより、端子や、コネクタを介在させることなく接続することができる。
すなわち、請求項1に記載した発明の導体接続部の構造は、成形基板の一面に凹陥部を形成し、該凹陥部の底面から成形基板の他面に開口する接続用孔を有するため、半田付け、あるいは溶接が容易かつ確実に実施できる。
とくに、請求項2に記載したように、導体接続部の全面に金属メッキを施すことにより、半田付け、あるいは溶接を行う際に、成形基板の素材である合成樹脂材を過熱することなく接続が可能となる。溶接を行う場合は、金属メッキ層を厚く形成して溶融金属の量を多くすると好結果が得られる。
【0013】
【実施例】
図1は、請求項1に記載した発明の実施例に係わる成形基板1を構成する回路導体2と、他の導体としての電線3とを接続する工程を示す斜視図である。
成形基板1は、合成樹脂材のいわゆる2ショット法による成形加工によって形成されたもので、その表面1aには複数の回路導体2が所定の回路パターンに従って形成され、端部には導体接続部4が形成されている。導体接続部4を形成した成形基板1の一方の縁部1bには、電線抑止板5が可撓ヒンジ6を介して開閉自在に設けられている。
【0014】
導体接続部4は、図2に示すように、電線3と密着するように円筒状凹面で形成された凹陥部7から成り、凹陥部7の底部には成形基板1を貫通し、成形基板1の裏面1cに拡開した接続用孔8が開設されている。凹陥部7および接続用孔8の周壁には、金属メッキ層9が施され、回路導体2と導通している。
成形基板1に回路導体2および導体接続部4を形成する方法としては、次のような作製方法を用いた。
【0015】
すなわち、合成樹脂材の一次成形加工により、回路導体2および導体接続部4を形成する部分を突条に形成し、この突条を無電解メッキ用触媒処理した後、二次成形加工を行って、突条以外の部分を合成樹脂材で被覆し、次いで無電解メッキ処理を施すことによって前記突条の部分に金属を析出させ、回路導体2と導体接続部4とを金属メッキ層によって導通させている。
【0016】
電線抑止板5には、導体接続部4の凹陥部7に対応して電線挟持部10が凹設されており、図3に示すように、電線抑止板5を閉じて導体接続部4に載置した電線3を、電線挟持部10で押圧して挟持するようにしている。
電線抑止板5の自由端部には、2本の係止爪11が付設されており、電線抑止板5を完全に閉じた状態で、成形基板1の端部を把持して固定するようにしている。
【0017】
成形基板1の導体接続部4と電線3とを接続するには、図3に示した状態で、接続用孔8から溶融半田を流し込んで電線3と導体接続部4とを接続するか、または、接続用孔8からレーザ光を照射して電線3と金属メッキ層9とを溶接して接続を行う。
【0018】
図4は、参考として記載した一実施例に係わる成形基板12と成形基板13との、それぞれの回路導体相互を接続する工程を示す説明図である。
成形基板12には、複数の回路導体14が並行に形成されており、その端部に図5に示すような、すり鉢状の導体接続部15が設けられている。導体接続部15の底部には、接続用孔16が成形基板12を貫通して開設され、導体接続部15の周壁には、金属メッキ層17が形成されている。成形基板12の両縁には、成形基板13を把持して固定するための係止爪18が付設されている。
【0019】
成形基板13には、成形基板12の回路導体14に対応して複数の回路導体19が並設されている。
回路導体14と回路導体19とを接続するには、成形基板12と成形基板13とを導体接続部15の位置で重ね合わせて係止爪18で両者を係止した後、図5の矢印に示す方向から溶融半田を流し込んで半田付けを行うか、あるいはレーザ光を照射して金属メッキ層17と回路導体19とを溶接して行う。
上記実施例においては、成形基板12の回路導体14と接続される回路導体19は、成形基板13に形成されたものであるが、これに限らず、通常の絶縁基板に配設されるブスバーなどの金属板から成る回路導体であってもよい。
【0020】
図6は、参考として記載した他の実施例に係わる成形基板20の回路導体と成形基板21の回路導体とを接続する工程を示す説明図である。
成形基板20には、複数の回路導体22が並行に形成されており、その端部には、図7に示すように、成形基板20を貫通する円錐台状の導体接続孔23が設けられている。導体接続孔23は、回路導体22が形成された面の径が小さく、その反対側の面の径が大きくなるように形成され、周壁には、金属メッキ層24が形成されている。
【0021】
成形基板21には、複数の回路導体25が形成されており、成形基板20の導体接続孔23に嵌入する円錐台状の接続用突部26が設けられている。接続用突部26の周壁には金属メッキ層27が形成されている。また、成形基板21の両縁には、成形基板20を把持して固定するための係止爪28が付設されている。
【0022】
回路導体22と回路導体25とを接続するには、導体接続孔23に接続用突部26を嵌入し、成形基板21の係止爪28で成形基板20を挟持して固定した後、図7の矢印に示す方向から溶融半田を流し込んで半田付けを行うか、あるいはレーザ光を照射して金属メッキ層24、27相互を溶接して行う。
【0023】
上記の図6に示す実施例においては、成形基板20と成形基板21の回路導体相互を接続する場合を示したが、導体接続孔を設ける回路導体は、成形基板に形成された回路導体に限定されるものではなく、通常の絶縁基板に配設されるブスバーなどの金属板から成る回路導体であってもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、成形基板の回路導体に導体接続部を形成しているため、直接、導体接続部と電線などの他の導体とを半田付けあるいは溶接することができ、接続のための端子や、コネクタを介在させる必要がなくなる。そのため、部品点数の削減による軽量化、小型化が達成されると共に製造コストも低減される。
また、一括して接続することが容易となるため、接続工程の生産性が著しく向上し、接続部が強化されると共に簡素化されるため、信頼性の高い接続が可能となるなどの多大な利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載した発明の実施例に係わる成形基板を構成する回路導体と、電線とを接続する工程を示す斜視図である。
【図2】図1の回路導体と導体接続部の長手方向の断面図である。
【図3】図1の導体接続部に電線を載置した状態を示す横断面図である。
【図4】参考として記載した一実施例に係わる成形基板の回路と他の成形基板の回路導体とを接続する工程を示す説明図である。
【図5】図4の導体接続部の横断面図である。
【図6】参考として記載した他の実施例に係わる成形基板の接続用突部および別の成形基板に形成した導体接続孔を示す斜視図である。
【図7】図6の接続用突部と導体接続孔を示す横断面図である。
【図8】従来の成形基板の製造工程を示す説明図である。
【図9】図8の次の工程を示す説明図である。
【図10】図8の二次成形基板にメッキ処理を行って回路を形成した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 成形基板
2 回路導体
3 電線
4 導体接続部
5 電線抑止板
7 凹陥部
8 接続用孔
12 成形基板
13 成形基板
15 導体接続部
19 回路導体
20 成形基板
21 成形基板
22 回路導体
23 導体接続孔
24 金属メッキ層
25 回路導体
26 接続用突部
27 金属メッキ層
Claims (3)
- 成形基板を構成する回路導体の所定の位置に、該成形基板を貫通する接続用孔を有する導体接続部を凹設し、該導体接続部は、円筒状凹面を有する凹陥部として形成され、該凹陥部の周壁と、該回路導体とを一体的に導通させた後に、該凹陥部に別の導体を配置し、該接続用孔を通じて半田付けまたは溶接を行うことにより、該成形基板の回路導体と、該別の導体とを接続することを特徴とする成形基板の導体接続方法。
- 前記導体接続部に金属メッキ処理を施して、該導体接続部の前記周壁と、前記回路導体とを一体的に導通させたことを特徴とする請求項1記載の成形基板の導体接続方法。
- 前記成形基板の一端に電線抑止板を開閉自在に設け、前記導体接続部に載置した電線を、該電線抑止板で挟持して接続を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の成形基板の導体接続方法。
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