JP3541181B2 - 簡便な核酸分析のためのシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は簡便な核酸分析のためのシステムに関する。
【従来の技術】
核酸分析の既知のシステムにおいては、検出すべきアナライトを精製または単離するために、最初に核酸を結合させる。結合は、高感度の検出のために必要とされる量のサンプル、結合バッファーその他を保持するために、通常数cmの比較的大容量の容器中で実施する。診断分野では、サンプル1 ml中 1〜10アナライトの検出限界を達成しなければならないので、高感度の診断方法のためには、これに相当する大量のサンプル、したがって大きな反応容積が必要である。より小さいサンプル容積では、低感度の方法となり、また、実際には陽性のサンプルから選択された部分に、検出すべきアナライトが存在しない場合が生じ得る危険性があるため、偽陰性の診断結果に至りかねない。
【0002】
しかし、他方において、検出に必要とされる単離したDNAアナライトの核酸増幅は、十分に高い増幅効率を達成するためには、できるだけ小さい容器中で実施すべきである。この矛盾の結果、通常、精製のために固定化された核酸を結合スペースから溶出させて、結合スペースとは異なる増幅スペース内に移動させなければならない。複数チャンバーシステムを使用する核酸分析のための装置は、例えば、以下の特許文献に記載されている;
Figure 0003541181
しかし、これらの装置は単離した核酸を1つの容器から別の容器に移動させる必要があり、これには、余分な測定と、検出すべきアナライトの一部もしくは全部を喪失するリスク、または移送中にサンプルが汚染されるリスクが関与する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、既知の方法の欠点を克服し、また、特に高感度で、分析のための技術的な複雑性および所要時間が減少する、核酸分析の方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は以下の発明を包含する。
(1)以下の工程:
(a)結合スペース内で核酸を固定化して不純物を分離することによって核酸を精製する工程、
(b)固定化した核酸を溶出させる工程、
(c)精製した核酸を増幅スペース内で増幅する工程、および
(d)増幅産物を検出スペース内で検出する工程
を含み、ここで、該増幅スペースが該結合スペースの少なくとも一部を含む、サンプル中の核酸を検出する方法。
(2)前記検出スペースが前記増幅スペースの少なくとも一部、または/および前記結合スペースの少なくとも一部を含む、(1)に記載の方法。
(3)核酸の精製、精製した核酸の増幅、および増幅産物の検出を同一の反応スペース内で実施する、(1)または(2)に記載の方法。
(4)生物学的サンプル中の病原体を検出するための、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の方法の使用。
(5)(a)核酸を固定化して不純物を分離することによって核酸を精製するための結合スペース、
(b)核酸を増幅するための増幅スペース、
(c)核酸を検出するための検出スペース、および、必要に応じて
(d)サンプルまたは/および試薬用の保存スペースまたは/および供給ライン、
を含み、ここで、該増幅スペースが該結合スペースの少なくとも一部を含む、特に(1)〜(3)のいずれか1つに記載の方法によって、サンプル中の核酸を検出するための装置。
(6)前記検出スペースが前記増幅スペースまたは/および前記結合スペースの少なくとも一部を含む、(5)に記載の装置。
(7)核酸が含まれているマトリックスおよび溶解用試薬を含有する溶解混合物をキャピラリースペースを通して移動させ、この間にマトリックスを崩壊させてこの中に含まれる核酸を放出させる、核酸を含有するマトリックスの溶解方法。
(8)微生物がポリスチレンの表面に結合し、その他のサンプル成分が分離されるような条件下で、微生物を含有するサンプルをポリスチレン表面と接触させ、該微生物から核酸を単離する、微生物から核酸を単離する方法。
(9)加熱可能な金属層に囲まれている、核酸を増幅するためのキャピラリー反応容器。
【0005】
【発明の実施の形態】
上記の目的は、本発明にしたがって、以下の工程:
(a)結合スペース内で核酸を固定化して不純物を分離することによって核酸を精製する工程、
(b)固定化した核酸を溶出させる工程、
(c)精製した核酸を増幅スペース内で増幅する工程、および
(d)増幅産物を検出スペース内で検出する工程
を含み、ここで、該増幅スペースが該結合スペースの少なくとも一部を含むことを特徴とする、サンプル中の核酸を検出する方法によって達成される。
【0006】
増幅が結合スペースの少なくとも一部の中で実施されるという事実により、技術的な複雑性および所要時間の点に関して、核酸分析を相当程度改良することが可能である。本発明によって、固定化および増幅のために同一のスペースまたはスペースの一部を使用することが可能であり、固定化のため、必要に応じてその他の試薬と混合したサンプルを少なくとも1回、好ましくは数回、結合スペースを通過させる。
【0007】
核酸分析のためのシステムは必ず以下の工程の1つまたはいくつかを含む:サンプルの調製、増幅、検出および評価。
工程(a)における核酸の精製の前に必要に応じて実施することができるサンプルの調製は、核酸を含有するサンプルの溶解を含むことができる。試験するサンプルが細胞または/および細胞成分を含有する場合に、こうした溶解を実施するのが好ましい。細胞は、例えば溶解用試薬、特にカオトロピック試薬または溶解酵素を添加することによって、溶解することができる。特に好ましい実施形態においては、カオトロピック試薬を二重プランジャーシリンジに入れる。サンプルをそのシリンジ中に吸引し、その後、シリンジ開口部を、例えばバルブまたはタップによって閉鎖する。核酸を含有するサンプルおよびカオトロピック試薬を、二重プランジャーシリンジの第2プランジャーの振盪動作によって激しく混合する。所望ならば、好ましくは30℃〜70℃の温度まで混合物を加熱することによって、溶解を実施することができる。溶解は、特に核酸を含有するサンプルに剪断力を加えることによって達成される。
【0008】
サンプルの調製には、その後の検出の障害となるかもしれないサンプル中の成分を分離するために、精製工程も含まれる。核酸は本発明にしたがって結合スペース内で、核酸を固定化して不純物から分離することによって精製される。核酸は、結合スペース内で、例えば共有結合または吸着的結合によって固定化することができる。さらに、ハイブリダイゼーションプローブまたはアビジン/ビオチン若しくは特異的抗体などの高アフィニティー結合対の結合パートナーを使用する、配列特異的結合などの高アフィニティー相互作用によって、核酸を結合させることも可能である。核酸は、好ましくは吸着的結合によって、例えばガラス表面に固定化する。核酸の表面への結合は、イソプロパノール、カオトロピック塩などの好適な結合試薬の添加によって、補助することができる。
【0009】
結合は、好ましくは結合スペースの内側表面で発生させるが、結合スペース中に導入した充填物または吸着床などの配置物に核酸を結合させることも可能である。
微生物などの細胞を含有するサンプルを分析することを意図する場合は、最初に特異的抗体、および特に表面抗原に対して特異的な抗体によるか、あるいは結合スペースの表面への非特異的吸着的結合によって、細胞、例えば感染性生物を捕捉または単離するのが有利である。したがって、感染性生物などの微生物を特異的に結合させるために、例えば結合スペース内に適切な抗体を固定化することができる。クラミジアなどの細胞を表面、好ましくはポリスチレン製の表面に吸着結合させて、この様式によって精製することができることが示された。その後、例えば増幅反応中の熱処理によって実施することができる、細胞の溶解の後、核酸自体を検出することができる。
【0010】
結合スペースとして、少なくとも部分的なキャピラリースペースが特に好ましく使用される。好ましい実施形態において、核酸または細胞を、ガラスおよび特にケイ酸ホウ素またはポリスチレンで構成されるキャピラリーの内側表面に固定化する。しかし、キャピラリースペースは、例えば2枚のカバープレートの間の隙間からなる構造とすることもできる。キャピラリースペースの間隔または直径は、好ましくは≧0.05 mm、特に好ましくは≧0.5 mm、および最も好ましくは≧0.9 mmであり、かつ好ましくは≦5 mm、特に好ましくは≦2 mm、および最も好ましくは≦1.1 mmである。結合スペースのごく一部のみ、および特に全結合容積の≧10%、好ましくは≧20%をキャピラリースペースの形態としてもよいが、全結合スペースの大部分、好ましくは結合スペースの総容積の≧80%、および特に≧90%がキャピラリースペースの形態であるのが好ましい。
【0011】
固定化のために、キャピラリーを、例えば上記の二重プランジャーシリンジの上に取り付けて、核酸を含有するサンプルまたは溶解後に取得した混合物を少なくとも1回、好ましくは少なくとも5回、さらに好ましくは少なくとも10回、そして最も好ましくは少なくとも20回、このキャピラリーを通過させる。サンプルまたは溶解した混合物の結合スペースの反復させた通過によって、固定化された核酸の収量の有利な増加、したがって方法全体の感度の上昇が可能になる。
核酸を含有するサンプルに対する結合スペースの容積比率は、好ましくは少なくとも10:1、特に好ましくは少なくとも20:1である。
【0012】
サンプルに対して大きな比率の結合スペースが有利である。なぜならば、結合において高感度とするのに必要な大量のサンプルが可能になると同時に、その後の核酸の増幅に必要とされるような方法を小さなスペース、特にキャピラリースペースで実施することが可能になるからである。先行技術には共通するが、結合スペースがサンプルで満たされておらず、サンプルを少なくとも1回、好ましくは数回その結合スペースを通過させるならば、結合スペースの容積に対して高比率のサンプル容積を獲得することができる。
【0013】
さらに好ましい実施形態において、上記のキャピラリー上に取り付けたパッキング、例えばカートリッジ内のガラスフリースの表面に、核酸を結合させる。この実施形態において、核酸を含有するサンプルまたは溶解混合物を少なくとも1回このパッキング中を通過させ、この間に核酸がパッキング内を流れるにつれてガラスフリースの表面に結合する。
【0014】
核酸の固定化後またはそれと同時にサンプル中に存在する不純物が分離され、これにより、核酸の選択的かつ感度のよい検出が可能となる。不純物は、例えば、核酸が固定化された結合スペースを洗浄バッファーで処理または洗浄することによって分離することができる。洗浄バッファーは、好ましくは結合スペース内を少なくとも1回、ゆっくり通過させ、そして好ましくは70〜80容積%のエタノールを含有する。
【0015】
洗浄バッファーを除去するために、例えば結合スペースを約80℃に加熱すると同時に、空気または不活性ガスを結合スペース内に通して乾燥させることによって、さらに精製を行うことができる。残存する洗浄バッファーは除去した方がよい。特に、アルコール残留物は、次に行う増幅を阻害または妨害し得るので、除去した方がよい。
【0016】
工程(a)の最後には、核酸は、好ましくは乾燥した形態で、結合スペース内で固定化されているが、好ましくはガラス表面に吸着的に結合されている。
増幅の準備をするため、固定化された核酸を工程(b)で溶出させる。溶出は当業者に知られた好適な溶出溶液を使用して実施することができる。例えば、低塩含有量の試薬混合物によって、核酸をガラス表面から引き離すことができる。溶出のために、増幅に必要な試薬の全部をすでに含有している溶液を使用するのが特に好ましい。好ましい実施形態において、結合スペース、特にキャピラリー中にマスターミックスを引き入れることによって、核酸を表面、特にガラスまたはポリスチレン表面から引き離す。この場合、溶出は、特に、固定化された核酸の表面からの引き離しとして理解されるもので、これによって固定化された核酸が結合スペースから除去されるのではない。例えば、サンプル調製工程において、ポリスチレンへの吸着的結合によって感染性生物を精製する場合は、増幅の開始前はこれらを溶解しないのが好ましい。したがって、サンプル調製工程では、非溶解性バッファーを必要とする。
【0017】
その後、工程(c)において、精製した核酸を増幅スペース内で増幅する。本発明においては、増幅スペースが結合スペースの少なくとも一部を含んでいるので、溶出させた核酸を移動させたり移送する必要はなく、したがってこれに伴う収量の損失を回避することができる。好ましくは、増幅をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって実施する。この増幅方法の利点は、普遍的に使用することができる点、ならびに高特異性かつ高感度である点である。もちろん、当業者に知られたその他の増幅方法、例えば、isoCR、LCR、Champ、SDA、Qβレプリカーゼ、NASBA3SR、CPT、TMA 、rRNAハイブリダイゼーション、またはbDNA法などを使用することも可能である。アナライトおよびその他の全般的な条件次第によって、各場合にとって最も有利な増幅方法は、当業者が容易に決定することができる。
【0018】
恒温化が可能な増幅スペースを使用するのが好ましい。増幅スペースを加熱可能な金属層で囲むのが特に有利であることが証明されている。なぜならば、これによって迅速な加熱、したがって短い加熱サイクルが可能になるからである。
【0019】
ポリメラーゼ連鎖反応を使用する好ましい実施形態において、結合スペース、特にキャピラリーの下の末端部を第1ストッパーで最初に閉鎖する。その後、キャピラリーを上記の二重プランジャーシリンジから取り外し、第2ストッパーで閉鎖することができる。その後、結合スペースは同時に増幅スペースとして利用される。
【0020】
増幅スペースとして加熱可能な金属層を持つキャピラリーを使用する場合、キャピラリー、またはキャピラリーの導電性の外側被覆部に電流を導くことによって、キャピラリーを加熱する。温度係数および電気抵抗を基礎として、所望の温度を容易に誘導および制御することができる。増幅スペースの冷却は、例えば外気を吹き込むことによって促進することができる。ただし、増幅スペースとしてキャピラリーを使用する場合は、低量である結果、加熱電流を切った後、いずれにしろ急速な冷却率が得られる。加熱可能な金属層に囲まれたキャピラリーの本発明にしたがった好ましい使用によって、高い加熱および冷却率のため、25秒未満の92℃、55℃、72℃の熱サイクルが可能になる。
【0021】
サンプル中に存在する核酸を検出するため、本発明にしたがって、増幅中に形成された産物を検出する。この検出は既知の方法によって実施することができる。この検出は、好ましくは蛍光によってオンラインで実施する。
特に好ましい実施形態において、検出スペースは増幅スペースの少なくとも一部または/および結合スペースの少なくとも一部を含む。この検出方法の全工程、すなわち核酸の精製、精製した核酸の増幅および増幅産物の検出を同一の反応スペース、特に1本のキャピラリー内で実施する場合が、方法の簡易性の点で特に有利である。
【0022】
したがって、結合および増幅スペースとして使用する、ストッパーで閉鎖することができるキャピラリーの、上記のような好ましい実施形態において、励起光線をストッパー内の光学的ウインドウを通して通過させ、同一のストッパーまたは反対側のストッパー上のウインドウを通して出てくる光を測定することによって、蛍光検出を実施することができる。同様の手法において、吸光度の変化を使用して検出することもできる。
【0023】
次に、励起光および蛍光の強度を相互に相殺して、1シグナルを取得する。定性的検出およびアナライトの濃度の定量的測定のために、増幅サイクルの番号に対するシグナル強度のプロットを使用することができる。これによって、例えばシグナルの強度があらかじめ設定した閾値に最初になったときのサイクルの番号を比較することによって、予備的な診断の判定が可能になる。
【0024】
この試験は、所定の量の内部標準物質ならびに併用するプローブおよび標識の添加によってさらに改良することができるが、この場合、増幅について、試験用試薬または/およびサンプル中に存在する不純物によって生じ得る妨害をモニターすることができる。この場合、内部対照およびアナライトを、この分析および対照を同時に実施することができるように、2種の波長で検出するのが好ましい。
【0025】
さらに、この方法は、増幅スペースの加熱中の温度動力学値をあらかじめ測定した標準値と比較することによって制御することができ、これによって増幅スペースおよび特にキャピラリーの充填度合いを推定することが可能である。増幅中に増幅スペースから液体がなくなると、加熱動力学値の変化がもたらされ、あらかじめ定めておいた許容限界を超えた場合にエラーメッセージがもたらされる。
【0026】
この方法をさらに簡素化するために、全工程を好ましくは1つの閉鎖された装置、すなわち必要な反応スペースおよび試薬のすべてを含む統合装置中で実施する。
本発明に従う方法は、治療の時点(point of care)(PoC)の試験のために殊に好適である。なぜならば、標準的な実験室用の方法に匹敵する性能の他に、精巧な器具がない簡単な操作、低製造コスト、および複雑でない分析が可能だからである。サンプルの調製とその後の増幅を統合することによって、ピペット採取の工程およびそれに伴う汚染の問題が排除される。
【0027】
本発明に従う方法は生物学的サンプル中の病原体を検出するのに特に好適である。これによって、病原菌、例えばクラミジアその他の簡単で迅速な検出が可能になる。
本発明は、(a)核酸を固定化して不純物を分離することによって核酸を精製するための結合スペース、
(b)核酸を増幅するための増幅スペース、
(c)核酸を検出するための検出スペース、および、必要に応じて
(d)サンプルまたは/および試薬用の保存スペースまたは/および供給ライン、
を含み、ここで、該増幅スペースが該結合スペースの少なくとも一部を含むことを特徴とする、特に上記の方法による、サンプル中の核酸を検出するための装置に関する。
【0028】
本発明に従う装置は統合システムである。検出スペースは好ましくは増幅スペースまたは/および結合スペースの少なくとも一部をも含む。結合スペースおよび/または増幅スペースは少なくとも部分的にキャピラリースペースの形態とすることができ、その結果、上記の利点が得られる。
【0029】
サンプル中の核酸の検出のための前提条件は、凝塊中に閉じこめられるかまたは結合した核酸が分析可能になるように、最初に放出されなければならない点である。この目的のため、細胞壁を破壊してこれらの細胞内に含まれる核酸を放出するために、細胞を例えば溶解酵素で処理する。しかし、こうした溶解には非常に時間がかかる。
【0030】
WO95/18851は高分子構造体のサイズを低下させるための方法を記載し、その方法では剪断によりサイズ低下を容易にするためにサンプルを多孔質の層を通過させる。しかしこの方法の問題は、所望のアナライトもまた、少なくとも部分的には孔内に残るので全体としての検出方法の感度が低下することにある。
【0031】
従って、他の目的は、核酸を短時間にかつ収率の損失なしに放出させ得る、核酸を含有する凝塊を溶解する方法を提供することであった。
この目的は、本発明による、核酸を含有するマトリックスまたは核酸を含む凝塊を溶解する方法によって達成される。該方法は、核酸を含有するマトリックスと溶解用試薬を含んでなる溶解混合物を、マトリックスを破壊して含有される核酸を放出するキャピラリースペースを通して移動させることを特徴とする。
【0032】
サンプルを短時間で溶解するためには、核酸を含有するマトリックスを溶解するのに高い剪断力が必要である。本発明による方法においては、高い剪断力は、キャピラリースペースを使いかつサンプルを移動させることにより、例えば核酸を含有するマトリックスの溶解を容易にするキャピラリースペースを通してサンプルを通過または輸送することにより得られる。
【0033】
溶解は核酸を含有するマトリックスの、あらゆる破壊またはサイズの低下と理解され、溶解によりマトリックス中に封入されているかまたはマトリックスと結合している核酸が放出される。破壊は好ましくは溶解である。核酸を含有するマトリックスは好ましくは細胞および/または細胞画分である。しかし、封入された核酸または結合した形の核酸を含有するミセルなどの他の構造体を溶解することができる。
【0034】
本発明によれば、核酸の放出を容易にするために溶解用試薬を使う。溶解酵素および/またはカオトロピック物質を含有する溶解用試薬を使うのが好ましい。溶解用試薬は基本的に核酸を含有する凝塊を溶解または攻撃する能力を有しなければならない。
【0035】
ガラスキャピラリーおよび/またはポリスチレンキャピラリーそして特にホウ素珪酸塩で被覆したキャピラリーを、キャピラリースペースとして使うのが好ましい。これは、溶解を容易にする高い剪断力を発生することに加えて、上記のように放出された核酸の固定化およびさらなる処理またはプロセシングのために該スペースを使うことができる利点を有する。キャピラリースペースはまた、キャピラリー孔を備えたプランジャーまたは容器壁とプランジャーの間の間隙であってもよい。サンプルは、迅速な溶解を達成するために好ましくは数回、特に5回以上、そして特に好ましくは10回以上、キャピラリースペースを通過させる。この場合、溶解混合物とキャピラリースペースとの容積比は好ましくは10:1以上、特に好ましくは20:1以上である。サンプルを、キャピラリースペースを通過させる場合には、大きなサンプル容積を使うことができその結果高感度が得られ、またキャピラリースペースを小さく保つことができ、それにより全体配置について、特に続いての増幅についての利点が得られる。
【0036】
本発明の更なる様態は、核酸を微生物から単離する方法に関する。該方法は、微生物がポリスチレン表面と結合し他のサンプル成分は分離され、そして核酸が微生物から単離される条件のもとで、微生物を含有するサンプルをポリスチレン表面と接触させることを特徴とする。驚くべきことに、ポリスチレン表面は核酸分析のためのサンプル調製用に適当であり優れていることを見出した。ポリスチレン表面を有する容器を核酸分析のサンプル調製用に使うことにより、高度に統合された(integrated)装置を提供することができる。ポリスチレンは、容易な機械加工性、軽い重量および薄い壁厚での機械的安定性のような、今まで固定化用に使われていたガラス表面を凌ぐ多数の長所をもつ。
【0037】
ポリスチレン表面としては、例えばポリスチレン被覆またはポリスチレン製の結合スペースの内壁が適当であり、そしてまた小さいポリスチレン球またはポリスチレンビーズ等を使うことも可能である。好ましくはポリスチレンキャピラリーを使う。収率を増加するために、また結合スペースを出来る限り小さく保つために、サンプルは、ポリスチレン表面上を数回通過させてもよい。
【0038】
上記のように、核酸試験法の開発における主な目標は、装置の大きさおよび/または所要時間を減少させることである。増幅を行うために必要な加熱および冷却サイクルにはかなりの時間が必要であり、それ故に時間を短縮する方法を提供することが有利である。
従って、本発明の更なる様態は、様々な温度の工程を含んでなる核酸の増幅のための方法に関するものであり、該方法は増幅を加熱可能な金属層により囲まれたスペースで実施することを特徴とする。好ましくは増幅スペースの全表面を囲む加熱可能な金属層を使うことにより、短い加熱時間を達成することができる。その後、冷却を通常の方法、例えば空気を吹き込むかまたは他の冷却技術を使って加速することができる。しかし、増幅は好ましくはキャピラリースペース内で行う。このようなキャピラリースペースは体積が小さいので、加熱および冷却速度は更に上昇し得る。加熱可能な金属層により、好ましくは全表面を覆う金属層により囲まれたガラスおよび/またはポリスチレンキャピラリーを使うことが好ましい。
本発明はまた、加熱可能な金属層により囲まれた核酸の増幅を行うためのキャピラリー反応容器に関する。
【0039】
核酸分析を改善するために、上述した本発明の様態は単独または組合わせのいずれでも使うことができる。また上記の改善は、全体プロセスを自動化できる点が特に有利である。簡単かつ迅速な核酸分析は、特に、より広範かつ複雑な試験を更に行うべきかどうかの情報を得るための、制御分析のために使うことができる。該方法はまた、複数サンプルの同時試験にも適当である。
本発明を更に、添付した図および以下の実施例により説明するが、図1〜7は本発明による方法の好ましい手順を示す。
【0040】
【実施例】
1.本発明による方法を行うための二重プランジャーシリンジ
二重プランジャーシリンジは本質的に通常のポリプロピレン製使い捨てシリンジに対応する。該シリンジはシリンジ本体と出口の間にバルブまたは停止タップをもつ。二重プランジャーは、混合プランジャー用のプッシュロッドが主プランジャーの内側で作動するように設計する。
【0041】
主プランジャーは2つのシール場所をその下端に有する。一方はシリンジに対するシール、そして他方は混合プランジャーのプッシュロッドに対するシールである。主プランジャーはプッシュシリンダーにより動かし、該プッシュシリンダーはシリンジ本体を越えて突出し、上端は安定して保持されて、手動で、あるいは装置の構成物により動かすことできるように設計する。
【0042】
混合プランジャーの下端はシリンジの壁と小さいギャップを形成する。混合プランジャーのプッシュロッドは主プランジャーの底部を通り抜け、さらに主プランジャーのどの位置においても主プランジャーのプッシュシリンダーから突出する。その上端は、安定して保持されて、手動で、あるいは装置の構成物により動かすことができるように設計する。
停止タップは手動または自動のいずれでも操作することができ、両方の位置(開/閉)を採択した状態を持続できる。
シリンジの液に対する開口部は通常の円錐形状である。円錐は使い捨てピペットチップおよび増幅キャピラリーを受け入れるのに適当であり有利である。
【0043】
2.2つの分離したシリンジをもつ本発明による方法の実施
上記の二重プランジャーシリンジの代わりに、分離したシリンジ、例えば2つのポリプロピレン製の使い捨てシリンジをプラスチック三叉タップを経由して接続することも可能である。試薬またはサンプルを吸引するために使い捨てピペットチップを三叉タップと円錐を用いる手段により接続する。その後、シリンジプランジャーを引いて、液をシリンジの1つに取りこむ。液を更に同じシリンジ中に吸入することもできる。混合には、三叉タップを2つのシリンジを連結するように設定し、取りこんだサンプルまたは試薬が流出するのを防止する。2つのシリンジプランジャーの交互操作により液をフォーセットキー(forcet key)の孔を通して1つのシリンジから他のシリンジへ加圧し、こうして高い剪断力のもとでこれを混合させる。
【0044】
3.増幅混合物の容積制御
正確な増幅容積で増幅キャピラリー中に吸上げるために、シリンジのプランジャーの1つを二重プランジャーの構成とする。該二重プランジャーは、中央に非常に小さいプランジャー(例えば、増幅キャピラリーの内径に対応する直径をもつ金属またはプラスチックワイヤ製のプランジャー)を保持するようにする。これにより、増幅キャピラリー中への正確な液の吸入が可能になり、マスターミックスの不慮の吸引および廃水容器への流出を防止する。
【0045】
4.増幅キャピラリー
好ましくは、増幅キャピラリーは約1 mmの内径を有し、内表面はガラス表面を有する。ガラス表面は平滑であってもまたは粗面であってもまたは表面を拡大するための構造を成していてもよい。キャピラリー自身は金属、ガラスまたはプラスチックで作ることができ、壁はできるだけ薄くなるように作る。外表面は導電性材料、好ましくは金属で作る。導電性材料は正または負の温度係数をもつ電気抵抗を有する。キャピラリーと装置との間の電気的接触を形成する目的で、キャピラリーの両端に高導電度と低接触抵抗を有する層がある。電圧をかけると、電流が流れて導電性の層を(およびその結果としてキャピラリーを)加熱する。電流は温度に依存するので、こうして温度を測定することもできる。
【0046】
好ましくは、増幅キャピラリーは、プラスチック、特に光学的に透明な材料で作られた閉鎖ストッパーを備える。ポリカーボネートおよびポリプロピレンが特に好ましい。閉鎖ストッパーは、好ましくは、ストッパーがキャピラリーの内部スペース中に突出しかつその外側は外部ケーシングにより囲まれるように設計する。光はキャピラリーに面する側から外へまたは内に照射することができる。この目的のために、窓またはレンズのような光学エレメントを閉鎖ストッパー内に組み込むことができる。導電性材料(ワイヤなど)をストッパーの外部ケーシングの壁内に更に組込み、ストッパーがキャピラリーを押したときに電気的接触を作ることができる。
【0047】
5.結合層としてガラスフリースを含有するシリンジ(シリンジフロントフィルター)
カオトロピック溶解後に核酸をガラスフリース表面に結合させるために、ガラスフリースをシリンジフロントフィルターに組みこんだ。ガラスフリースを増幅スペースに直接挿入することは、増幅反応、例えばPCR反応中にガラスフリース材料による阻害の可能性があるので不都合である。クラミジア(1%)を含有する250μlの細胞培養上清をカオトロピック溶解により溶解した。核酸を結合させるため、使い捨てシリンジを用いて溶解物をガラスフリース上に通過させた。高純度プラスミド単離キット(Boehringer Mannheim カタログ番号1754777)の対応する溶液を溶解、洗浄および溶出バッファーとして使った。実験に使ったガラスフリースの組成は高純度単離キットのフィルターチューブのガラスフリースと同一であった。続いて、洗浄バッファーで洗浄し、空気で乾燥した。アルコール残留物を洗浄バッファーからできるだけ完全に除去するように注意しなければならない。その後、核酸を溶出させ、PCR増幅およびゲル検出を行った。核酸は、増幅に必要な全ての試薬を含有するマスター溶液を用いて溶出するのが好ましかった。フリースを通過させることによりPCR反応中の増幅損失を生じることを見出したが(105 CTプラスミド)、ガラスフリース材料の高い結合容量および高い結合速度はその損失を補償するものである。
【0048】
PCR プロトコル
オリゴヌクレオチドCP24:5'GGGATTCCTGTAACAACAAGTCAGG-3'(pCTT1の位置195〜219)およびCP27:5'CCTCTTCCCCAGAACAATAAGAACAC-3'(pCTT1の位置401〜376)を、場合によっては5'ビオチニル化型または5'ジゴキシゲニル化型にして、増幅のためのプライマーとして使った。
【0049】
反応容積は100μl(4mM MgCl2、0.1mMの各dNTP、300mMのプライマーCP24およびCP27、2.5 U Taqポリメラーゼ、2 U UNG(ウラシルDNAグリコシラーゼ)およびテンプレートを含むPCRバッファー(Roche Diagnostics カタログ番号1600753))であった。
反応手順は次の通りであった:
- 37℃で10分間、95℃で5分間、60℃で1分間
- 95℃で30秒間および60℃で60秒間(34サイクル)
- 72℃で10分間
- 50℃で保温
6.結合相としてガラスキャピラリーを用いるシリンジ
ガラスキャピラリー内で、例えばシリンジと組み合わせてサンプルを調製することの重要な利点は、簡単な手動での操作および続いての増幅との簡単な統合にある。サンプル調製に使われ核酸が結合したキャピラリーは、マスターミックスを充填した後、直接増幅に使うことができる。従って、サンプル調製スペースはまた増幅スペースでもある。ガラスキャピラリーの使用により、迅速な増幅ならびにオンライン検出が可能になり、このようにして核酸試験のための高度に統合された全体的解決策が実現する。
【0050】
サンプル材料は、好ましくは、数回ガラスキャピラリーを通して、例えばペリスタリティックポンプを用いて約20分間のインキュベーション時間で通過させる。しかし、サンプルを含有する溶液を、手動で操作するシリンジを使ってわずか1分間のインキュベーション時間でキャピラリーを通過させて、なお十分な試験感度を得ることも可能である。この場合、固定化した核酸を直接マスターミックス溶液を使って溶出させ、溶出工程を別に行うことなく増幅段階(例えばPCR)を実施できることが特に有利である。
【0051】
7.結合相としてポリスチレンキャピラリーを用いるシリンジ
微生物はポリスチレンと水培地中で結合しうることを見出した。例えばクラミジアは20分間のインキュベーション工程でポリスチレン使い捨て接種用ループと結合し、直接、PCR反応混合物中に移すことができる。従って、高度に統合されたクラミジア核酸試験用装置を作製するために、ポリスチレンキャピラリーを使い捨てシリンジと組み合わせて使用した。クラミジアを含有するサンプルに対して1分間のインキュベーション時間で、希釈培地(H2O、PBSまたは尿)に依存して、0.1〜0.01%細胞培養上清の間の感度を達成することが可能であった。
【0052】
ポリスチレンキャピラリーを調製するために、標準ポリスチレン反応容器(Sarstedt)を加熱後に引抜いてキャピラリーを作製し、使い捨てシリンジと組み合わせて使った。ポリスチレンキャピラリーは核酸のサンプルを調製するために非常に適していることが明らかになった。このようなサンプル調製を用いると、続いてのPCR反応と検出において、300μlの0.01%細胞培養上清さえも明瞭なポジティブとして検出することが可能であった。従って、ポリスチレンキャピラリーを使って通常の実験室法に匹敵する感度を達成した。
【0053】
8.ガラスキャピラリーを用いるサンプル調製
長さ3cmの5μl Modulohmキャピラリー(ホウ素珪酸ガラス)をガラスキャピラリーとして使った。250μlサンプル+50μlプロテイナーゼK(20mg/ml)および250μlの溶解用試薬(5.4 M GuSCN、20% Triton X-100、1% DTT、10mM Tris HCl、pH 6)を手早くボルテックス攪拌した後10分間70℃でインキュベートし、続いて5分間室温まで放冷した。シリンジ(10ml、Becton Dickinson)を短いプラスチックチューブによりガラスキャピラリーと接続した。溶解物をシリンジ中に吸い込み、2分間にわたり定常的に移動させてシリンジから放出した。この時間内に、核酸はキャピラリーと結合した。その後、シリンジを使い、800μlの洗浄バッファー(20mM NaCl、10mM Tris HCl、pH 7.5、70容積%エタノール)をキャピラリーを通して2分間すすぎ、続いて、空気を1分間吸引してキャピラリーを乾燥させた。その後、第2のシリンジ(1ml;Becton Dickinson Co.)を使い、100μlの溶出バッファー(10mM Tris HCl pH8.5)をキャピラリー内に吸引した。PCR反応を上記5.に記載の条件下で実施した。検出は、pCTT1(SriprakashおよびMacavoy, Plasmid 8 (1987), 205-214)の位置354〜374に対応する検出プローブ(トラコーマ病原体(Chlamydia trachomatis)プラスミドpCTT [C. thrachomatis塩基1〜7496]由来の5'-GTCTCTCATCGAGACAAAGTG-3')を用い、標準的な方法を使って実施した。
【0054】
9.ポリスチレンキャピラリーを用いるサンプル調製
ポリスチレン容器(Sarsted)を加熱ランプにより加熱し、引抜いて、1〜2mmの直径をもつキャピラリーを作製した。冷却後、長さ3cmの切片を分離した。シリンジ(10ml、Becton Dickinson)を、短いプラスチックチューブを介してポリスチレンキャピラリーと連結した。その後、サンプルを、シリンジを使いキャピラリーを通してすすいだ。続いて、800μlの洗浄バッファーを、シリンジを使いキャピラリーを通して吸引し、そしてキャピラリーを、空気を1分間吸引して乾燥させた。その直後、PCR反応を使う増幅および検出プローブを用いるハイブリダイゼーションの方法による検出を、上記8.に記載の通り、ポリスチレンキャピラリーをそのまま使うかまたは該キャピラリーを切断してPCR反応容器中に移して行った。
【配列表】
Figure 0003541181
Figure 0003541181
【配列表フリーテキスト】
配列番号1及び2:プライマー
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、細胞を含有するサンプルを吸上げるシリンジ配置を示し、左シリンジ内にカオトロピック剤が挿入され、ニードルプランジャーを備えた右の2重室シリンジ内に乾燥プロテイナーゼKが挿入されている。サンプルは保存容器から右シリンジのプランジャーを操作して吸入される。
【図2】図2は、サンプルと既に挿入されている試薬との混合および核酸を含有する凝塊の溶解を示す。このために、シリンジのプランジャーを交互に操作し、混合物をシリンジ間のキャピラリースペースを通してスライドさせることによって溶解を容易にした。
【図3】図3は、放出した核酸のキャピラリー内壁との結合を示す。このために、サンプルを1回(好ましくは数回)加圧して、キャピラリーを通してサンプル容器中に戻し、場合によっては再び吸入する。
【図4】図4は、洗浄バッファーを1回吸引することによってキャピラリーの内壁上に固定化された核酸の洗浄を示す。
【図5】図5は、徐々に空気を吸入することによる、洗浄した固定化核酸の乾燥を示す。
【図6】図6は、マスターミックスのキャピラリー中への吸引を示し、マスターミックスはその際、固定化された核酸を溶出しかつ同時に続いての増幅のために必要な全ての必要な試薬を含有する。
【図7】図7は、増幅および増幅産物の検出を示す。このために、キャピラリーを窓を有するストッパーで閉鎖する。増幅を行った後、図示した光学系を通して輝光により検出が行われる(蛍光検出を使用して、など)。

Claims (7)

  1. 以下の工程:
    (a)結合スペース内で核酸を固定化して不純物を分離することによって核酸を精製する工程、
    (b)固定化した核酸を溶出させる工程、
    (c)精製した核酸を増幅スペース内で増幅する工程、および
    (d)増副産物を検出スペース内で検出する工程
    を含み、ここで、該増幅スペースが該結合スペースの少なくとも一部を含み、該検出スペースが該増幅スペースの少なくとも一部および/または該結合スペースの少なくとも一部を含む、サンプル中の核酸を検出する方法。
  2. 核酸の精製、精製した核酸の増幅、および増副産物の検出を同一の反応スペース内で実施する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記結合スペースがキャピラリースペースであり、前記(a)核酸を精製する工程の前に、核酸が含まれているサンプルおよび溶解用試薬を含有する溶解混合物を前記キャピラリースペースを通過させてサンプルを溶解し、サンプルに含まれる核酸を放出させる工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記(a)核酸を精製する工程において、前記結合スペースの表面がポリスチレンからなり、微生物が前記ポリスチレンの表面に結合し、その他のサンプル成分が分離され、核酸が微生物から単離されるような条件下で、微生物を含有するサンプルを前記ポリスチレン表面と接触させ、該微生物から核酸を単離する、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 生物学的サンプル中の病原体を検出するための、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法の使用。
  6. (a)核酸を固定化して不純物を分離することによって核酸を精製するための結合スペース、
    (b)核酸を増幅するための増幅スペース、
    (c)核酸を検出するための検出スペース、および、必要に応じて
    (d)サンプルまたは/および試薬用の保存スペースまたは/および供給ライン、
    を含み、ここで、該増幅スペースが該結合スペースの少なくとも一部を含み、該検出スペースが該増幅スペースおよび/または該結合スペースの少なくとも一部を含む、特に請求項1〜のいずれか1項に記載の方法によって、サンプル中の核酸を検出するための装置。
  7. 前記増幅スペースが加熱可能な金属層に囲まれている、請求項に記載の装置。
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