JP3540144B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子を収容するハウジングとハウジングへの端子の完全挿入を検知するフロントホルダとを組み合わせた構造のコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
図12〜図14は、ハウジングへの端子の挿入を検知するため、特開平9−251874号公報に記載された構造の従来のコネクタを示す。このコネクタは、ハウジング1と、端子挿入検知部材(以下、検知部材)2とによって構成されている。
【0003】
ハウジング1には、複数の端子収容室3が形成されており、それぞれの端子収容室3内に端子(不図示)が挿入される)。また、ハウジング1の左右の側壁には、上下一対のガイドリブ8が長さ方向に形成されていると共に、このガイドリブ8には仮係止突起6及び本係止突起7が形成されている。仮係止突起6は検知部材2を仮係止位置に固定するものであり、本係止突起7は本係止位置に固定するものである。なお、それぞれの端子収容室3内には、端子に係止して端子の抜け止めを行う係止腕(不図示)が設けられている。
【0004】
一方、検知部材2は、ハウジング1のそれぞれの端子収容室3と対応する検知板9を有している。各検知板9は検知部材2をハウジング1に固定する際に、端子収容室3への端子4の完全挿入を検知するものである。
【0005】
検知部材2の左右両側には、枠体状に成形された係止アーム10が形成されており、この係止アーム10にはハウジング1の仮係止突起6及び本係止突起7にそれぞれ係止される係止凸部12,13が設けられている。係止アーム10はハウジング1の側面に形成されているスリット11内を貫通することにより、この貫通によって検知部材2が仮係止位置及び本係止位置に固定される。
【0006】
図13は検知部材2が仮係止位置に固定された状態を示し、係止アーム10がハウジング1の側面に沿ってスライドしながらスリット11を貫通する。そしてスリット11を貫通した係止アーム10の係止凸部12が仮係止突起6に係止されることにより検知部材2が固定される。
【0007】
図14は、仮係止位置から本係止位置に検知部材2を移動させた状態を示し、係止凸部13が本係止突起7に係止されることにより、検知部材2が本係止位置に固定されている。この本係止位置への移動に際し、端子が不完全挿入の場合には、係止腕が浮き上がっているため、検知板9が係止腕に衝合し、このため検知部材2のそれ以上の移動ができない。これにより端子の不完全挿入を検知することができる。また、本係止位置において、検知板9は係止腕の下に潜り込んで係止腕を持ち上げるため、係止腕が端子に確実に係止するように作用する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のコネクタでは、検知部材2が仮係止位置から本係止位置に移動する際及びその逆に移動する際に、過大な応力が作用すると、係止アーム10が外方に撓むことがあり、外方への撓みによって係止アーム10が塑性変形したり破損する。そして、この塑性変形や破損より検知部材2の確実な固定ができなくなる問題を有している。また、このため係止アーム10の撓みを防止する部材をハウジング1に追加する場合には、ハウジング1が複雑な構造となり、製造が難しくなるばかりでなく、ハウジングが大型化及び重量化する新たな問題が発生する。
【0009】
そこで、本発明は、新たな部材を追加することなく、簡単な構造で係止アームの外方への撓みを防止することが可能なコネクタを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ハウジングの前面側に対して仮係止位置から本係止位置にフロントホルダをスライドさせることにより、フロントホルダの検知板がハウジングに形成した端子収容室への端子の完全挿入を検知するコネクタであって、前記ハウジングの外壁に閉ループ状の係止枠を形成し、前記フロントホルダに、前記係止枠とハウジングの外壁との間を通過すると共に、係止枠に覆われた状態で係止枠に係止されてフロントホルダを本係止位置に固定する係止アームを形成し、前記フロントホルダに設けられ前記複数の検知板を連結し前記ハウジングの外壁を摺動する摺動アームに前記係止アームを一体的に形成したことを特徴とする。
【0011】
この発明では、フロントホルダを本係止位置にスライドさせることにより、係止アームはハウジングの外壁と係止枠との間を通過して係止枠に係止される。この係止状態では、係止アームが係止枠に覆われているため、過大な応力が作用しても外方へ撓んで変形することがない。これにより、新たな部材を追加することなく外方への撓みを防止した状態で係止アームを係止することができる。
また、この発明では、摺動アームが複数の検知板を連結することにより、強度の大きな摺動アームとなっている。係止アームはこの摺動アームに一体的に形成されているため、係止アームに対しても強度が付与されており、係止アームの撓みをさらに確実に防止することができる。
また、ハウジングの外壁に沿って摺動アームを摺動させることにより、係止アームがハウジングの係止枠に係止される。このため、係止アームを係止させるための作業が良好となる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明であって、前記ハウジングは前記端子に係止して端子の抜け止めを行う係止腕が設けられており、前記検知板は前記フロントホルダの本係止位置で前記係止腕をの撓みを防止することを特徴とする。
【0013】
この発明では、フロントホルダが本係止位置のとき、検知板が係止腕の撓みを防止するため、係止腕が端子との係止状態から逃げることがない。このため、端子を確実に係止することができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項2記載の発明であって、前記ハウジングの外壁に、前記摺動アームが当接して仮係止位置からのフロントホルダの抜け止めを行う当接部を形成したことを特徴とする。
【0018】
この発明では、当接部が仮係止位置からのフロントホルダの抜け止めを行うため、フロントホが引き戻されることがなく、フロントホルダを仮係止位置に安定して固定することができる。このため、フロントホルダを仮係止位置に取り付けた組み付け状態で端子をハウジングに挿でき、自動化ラインに適合させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図11を参照して説明すると、図1、図2及び図9、図10はフロントホルダ22がハウジング21に対して仮係止位置の状態を、図3、図4及び図11は本係止位置の状態である。この実施形態のコネクタは、ハウジング21とフロントホルダ22とによって構成されている。
【0020】
図5及び図6は、ハウジング21を後側及び前側から示すものであり、端子26が挿入される端子収容室23が上段5列、下段6列でそれぞれ形成された左右のブロック体24、24と、ブロック体24,24を連結する連結ブロック25とを有している。このハウジング21は左右のブロック体24,24の長さ方向に設けられた左右の外側壁部27,27及び中側壁部31,31と、左右のブロック体24,24及び連結ブロック25を後側で連設する後壁部28とを有している。この内、外側壁部27,27及び後壁部28はハウジング21の外壁を構成する。また、ハウジング21の前面側には、前壁部29が設けられており、この前壁部29には、端子収容室23のそれぞれに対応した連通孔30が開口されている。
【0021】
ブロック体24,24の端子収容室23は、それぞれのブロック体24,24を上下で仕切る中間壁部33及び左右で隣接する端子収容室23を仕切る仕切壁部32によって仕切られることにより独立しており、これにより隣接した端子収容室23に挿入された端子26の相互接触が防止されている。さらに、左右のブロック体24,24の上下面は開放されており、この開放部分34が後述するフロントホルダ22によって覆われるようになっている。
【0022】
それぞれの端子収容室23には、係止腕35が設けられる。係止腕35は後壁部28から前方側に延びており、先端部分が自由端となることにより、撓み変形が可能な弾性を有している。この係止腕35は端子収容室23に挿入された端子26に係止することにより、ハウジング21の後側への端子26の抜け止めを行うものである。
【0023】
以上に加えて、ハウジング21の後壁部28の左右の端部には、係止枠36が形成されている。係止枠36は上下方向に延びているが、その上下端部が後壁部28と一体的に連設している。これにより、係止枠36は後壁部28の外側で、後壁部28との間に貫通孔40を有した状態の閉ループを形成している。かかる貫通孔40に対しては、フロントホルダ22の係止アーム57が貫通するように移動する。
【0024】
このような係止枠36にはフロントホルダ22係止アーム57が係止し、この係止によってフロントホルダ22が本係止位置で固定される。この係止を行うため、係止枠36には係止アーム57が係止するための係止溝36aが形成されている。
【0025】
係止枠36の前方側におけるハウジング21の外側壁部27には、外側に向かって段状に高くなる当接部37が形成されている。この当接部37はフロントホルダ22を仮係止位置に固定してフロントホルダ22が仮係止位置から引き戻されることを防止するものである。
【0026】
なお、外側壁部27及び中側壁部31には、フロントホルダ22のスライドを案内するガイド溝38がそれぞれ形成されている。また、後壁部28の上下部分には、フロントホルダ22の過大変位防止板45の先端が摺動可能に挿入される挿入孔39が形成されている。
【0027】
図7及び図8は、フロントホルダ22を後側及び前側から示すものであり、水平な上壁部41及び下壁部42と、これらの上下の壁部41、42の前面側を連設する垂直な前壁部43とを有すると共に、左右の側面及び後部が開放されることにより、側面から見てコ字形に成形されている。上壁部41及び下壁部42はハウジング21のブロック体24における上下の開放部分34を覆うものであり、このため、上壁部41及び下壁部42はハウジング21の左右のブロック体24に対応するように左右に設けられている。
【0028】
フロントホルダ22をハウジング21に装着した使用状態では、フロントホルダ22の前壁部43から相手端子(図示省略)が端子収容室23に挿入される。このため、前壁部43には、ハウジング21の端子収容室23のそれぞれに対応する端子挿入孔44が開口されている。なお、図2及び図8に示すように、それぞれの端子挿入孔44との近接位置には、検知ピン挿入孔66が形成されており、この検知ピン挿入孔66には端子26の導通検査等を行う検知ピン(図示省略)が挿入される。
【0029】
上下の壁部41,42は、過大変位防止板45、検知板46及び端子押え板47が順に連設されることにより構成されている。
【0030】
過大変位防止板45はハウジング21側、すなわち最も後側に位置している。この過大変位防止板45はハウジング21の係止腕35の過大変位を防止するものである。図9はフロントホルダ22が仮係止位置に停止している状態を示し、フロントホルダ22が仮係止位置にあるとき、過大変位防止板45はハウジング21の係止腕35の外側を覆った状態となっている。この場合、過大変位防止板45は、係止腕35との間に係止腕35の撓み変形空間48を有するように係止腕35を覆っており、これにより係止腕35は外側への撓み変形が可能となっている。従って、フロントホルダ22の仮係止位置では、図9に示すように抜き治具52をハウジング21内に差し込んで係止腕35を外側に撓ませることができ、これにより係止腕35の端子26への係止を解除することができる。
【0031】
過大変位防止板45は先端側45aが自由端となっており、この先端側45aがハウジング21の後壁部28に形成した挿入孔39に摺動可能に挿入されることにより、過大変位防止板45の先端側45aが支持されるようになっている。かかる挿入孔39による過大変位防止板45の支持は、フロントホルダ22が仮係止位置にあるときから行われ、本係止位置にスライドするまで継続する。
【0032】
検知板46は過大変位防止板45と端子押え板47との間に設けられている。この実施形態において、上壁部41及び下壁部42には端子押え板47から段状に高くなるリブ49が形成されており、検知板46はこのリブ49から過大変位防止板45方向に突出することにより形成されるものである。検知板46はハウジング21の端子収容室23のそれぞれに対応して形成されるものであり、このためリブ49から複数が突出している。
【0033】
検知板46は過大変位防止板45と一体的に形成されるが、図9に示すように、検知板46は過大変位防止板45よりもハウジング21の係止腕35方向に突出している。すなわち、検知板46は過大変位防止板45に対して段差50を有して係止腕35側に突出しており、この段差50によって端子26が端子収容室23に完全に挿入されているか否かを検知する。この検知は検知板46が係止腕35に衝合するか否かによって行う。
【0034】
検知板46と過大変位防止板45との間には、開口窓部51が形成されており、開口窓部51から抜き治具52を差し込むことが可能となっている。また、検知板46における開口窓部51に臨む面には、係止腕35方向に傾斜して抜き治具52を案内するテーパ面53が形成されている。
【0035】
端子押え板47は、検知板46よりもさらに低くなるようにハウジング21内へ突出している。また、端子押え板47のハウジング21側の面には、押え突起54がそれぞれの端子収容室23と対応して形成されており、この押え突起54が端子26を端子収容室23に、すなわち中間壁部33(図5参照)に押さえ付けるように作用する。これにより端子26をがたつくことなく固定することができる。
【0036】
また、上下の壁部41、42における端子押え板47の両側には、ガイドリブ60が形成されると共に、ハウジング21には、ガイドリブ60が摺動可能に挿入されるガイド溝38が形成されている。また、ガイドリブ60の先端側は端子押え板47より離れる方向に傾斜し、ガイド溝38にラップしている。このため、ガイドリブ60がガイド溝38を摺動することでフロントホルダ22とハウジング21とのがつきがなくなる。この結果、端子26と端子押え板47に必要以上のクリアランス(雌雄の端子が良好に接触可能となる必要なクリアランス)が生じることがなく、端子26の先端が挿入孔39から露出することがない。
【0037】
上下の壁部41,42における過大変位防止板45は、摺動アーム55によって連結されていると共に、左右方向で隣接している過大変位防止板45は連結アーム56によって連結されている。摺動アーム55はハウジング21の外側壁部27を摺動するものであり、過大変位防止板45を連結することにより、個々独立した摺動アームに比べ摺動アーム自体に強度が付与されている。これと共に、摺動アーム55により上下及び左右方向で連結されている過大変位防止板45及びこの過大変位防止板45に一体的に連設されている検知板46も強度が向上している。
【0038】
摺動アーム55における中間部分には、係止アーム57が一体的に形成されている。係止アーム57は、側面から見て台形々状となっており、その上底部分57aがハウジング21側に位置している。この上底部分57aには、ハウジング21の係止枠36に係止する係止突起58が突出している。係止突起58はフロントホルダ22が本係止位置にスライドしたときに係止枠36の係止溝36aに係止するものであり、この係止によってフロントホルダ22を本係止位置に固定することができる。
【0039】
一方、係止アーム57の下底部分57bはハウジング21の外側壁部27に形成した当接部37に当接するストッパ部57bとなっている。このストッパ部57bの当接部37への当接によってフロントホルダ22が仮係止位置から引き戻されることを防止する。
【0040】
このような係止アーム57は、過大変位防止板45を連結することによって強度が付与されている摺動アーム55に一体的に形成されている。従って、係止アーム57自体にも強度が付与されており、過度の応力が作用しても撓み変形しにくい構造となっている。
【0041】
上下及び左右のそれぞれの端子押え板47には、ガイドリブ60が形成されており、それぞれのガイドリブ60がハウジング21のガイド溝38を摺動することにより、フロントホルダ22のスライドが安定するようになっている。また、上壁部41及び下壁部42におけるハウジング21側の面には、ハウジング21側の仕切壁部32に対応した仕切り板部59が立設されており、これにより、仕切壁部32と共に端子収容室23を仕切っている。
【0042】
端子26は、導電性金属板を打ち抜きプレス加工することによって成形されている。この端子26は図9に示すように、接触部61、接続部62及び加締め部63を長さ方向に沿って備えている。接触部61は相手端子が挿入されて接触することにより相手端子との電気的な導通を行う。接続部62は被覆電線64の芯線65に加締められることにより、被覆電線64との接続を行い、加締め部63は被覆電線64に加締められることにより、被覆電線64との固定を行う。この実施形態において、上述した係止腕35は接触部61の後側に係止するものである。
【0043】
次に、この実施形態の組付けを説明する。フロントホルダ22の摺動アーム55にハウジング21の外側壁部27を挿入した後、フロントホルダ22を後側にスライドさせる。このときフロントホルダ22のガイドリブ60がハウジング21のガイド溝38を摺動するため、安定したスライドを行うことができる。そして、このスライドによって図1,図2及び図9、図10に示すように、ハウジング21に対してフロントホルダ22を仮係止位置に組み付ける。
【0044】
この仮係止位置では、図1及び図2に示すように、係止アーム57のストッパ部57bがハウジング21の外側壁部27に形成した当接部37に当接している。この当接によってフロントホルダ22が仮係止位置から引き戻されることがなくなり、フロントホルダ22は安定してハウジング21に組み付けられる。
【0045】
この仮係止位置では、係止アーム57がハウジング21の外側に位置しているが、ハウジング21の当接部37が段状に高くなっており、この当接部37よりも相対的に低くなっている外側壁部27に係止アーム57が位置している。従って、外側への突出量が少なく、応力が作用しにくいため、応力によって撓み変形することがない。しかも、上述したように過大変位防止板45を連結している摺動アーム55に一体的に形成されることによって係止アーム57に強度が付与されているため、過度の応力が作用しても、撓み変形することがない。
【0046】
以上のようなフロントホルダ22に仮係止位置では、被覆電線64に接続されている端子26を後側から端子収容室23に挿入する。
【0047】
この端子26の挿入の後、フロントホルダ22をさらに後側にスライドさせて係止アーム57をハウジング21の係止枠36に形成した係止溝36aに係止させる。この係止によってフロントホルダ22は図3及び図4に示すように、本係止位置に固定される。このスライドは左右の係止アーム57を外側壁部27に押えながら行って本係止位置とするため、作業性が良好となっている。
【0048】
かかるフロンホルダ22のスライドでは、ガイドリブ60及びガイド溝38の案内によって摺動アーム55がハウジング21の外側壁部27を摺動する。このとき、係止アーム57はハウジング21の外側壁部27との間で閉ループを形成している係止枠36の下側をスライドする。すなわち、係止アーム57は係止枠36及びハウジング21の外側壁部27の間を通過しながら貫通孔40を貫通するように移動する。
【0049】
フロントホルダ22が本係止位置に固定された状態では、係止アーム57は図3及び図4に示すように、係止突起58を除く全体が係止枠36に覆われた状態となっている。すなわち、係止アーム57は不必要に露出しておらず、係止アーム57に応力が作用することがない。このため、係止アーム57は応力によって撓み変形することがなく、撓むことによる塑性変形や破損がなく、フロントホルダ22を本係止位置に確実に固定することができ、信頼性のあるコネクタとすることができる。
【0050】
このようにフロントホルダ22が本係止位置に固定された状態では、図11に示すように、ハウジング21の連通孔30とフロントホルダ22の端子挿入孔44とが連通するため、相手端子(図示省略)が端子収容室23に進入することができ、相手端子と端子26との接続が可能となる。
【0051】
なお、本係止位置へのスライドにおいて、端子26が完全挿入されている場合は、係止腕35が端子26の接触部61の後側に係止して外側に変位することがないため、検知板46が円滑に係止腕35をスライドする。この検知板46は段差を有して係止腕35方向に突出しているため、図11に示すように、検知板46が係止腕35の撓み変形空間を塞ぐ。又その底面が係止腕35を外側から押さえつけるようにしてもよい。このため、係止腕35が端子26との係止状態から逃げることができず、端子26を端子収容室23内に確実に固定することができる。
【0052】
これに対し、端子26が半挿入などの不完全挿入状態の場合には、係止腕35が端子26の接触部61と良好に係止することができないため、係止腕35が外側に変位する。この状態では、段差50を有して係止腕35側に突出している検知板46が係止腕35に衝合するため、フロントホルダ22のスライドができなくなる。これにより端子26の不完全挿入を検知することができる。
【0053】
一方、以上の状態から端子26をコネクタから取り出す場合には、係止枠36と係止アーム57との係止状態を解除して、フロントホルダ22を仮係止位置まで復帰スライドさせる。この仮係止位置では、図9に示すように、過大変位防止板45が撓み変形空間48を有して係止腕35を外側から覆っているため、抜き治具52を開口窓部51から差し込んで係止腕35を外側に撓ませることができ、この撓みによって係止腕35を端子26との係止状態から離脱させることができる。これにより、端子26をハウジング21から引き出すことができる。
【0054】
このとき、過大変位防止板45は係止腕35を覆うことによって係止腕35の過大変位を防止する。このため、係止腕35に過度の応力が作用しても係止腕35が過度に撓むことがなく、係止腕35が塑性変形や破損することがない。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、フロントホルダを本係止位置にスライドさせる際に、係止アームはハウジングの外壁と係止枠との間を通過するため、係止アームが係止枠に覆われた状態となる。従って、過大な応力が作用しても外方へ撓んで変形することがなく、新たな部材を追加しないでも、係止アームの外方への撓みを防止することができ、構造が簡単になる。
また、複数の検知板を連結した強度の大きな摺動アームに係止アームが一体的に形成されているため、係止アーム自体も強度が付与されており、係止アームの撓みを確実に防止することができる。
【0056】
請求項2の発明によれば、フロントホルダの本係止位置で、検知板が係止腕を押さえるため、係止腕が端子との係止状態から逃げることがなく、端子を確実に係止することができる。
【0058】
請求項3の発明によれば、当接部が仮係止位置からのフロントホルダの抜け止めを行うため、フロントホルダが引き戻されることがなく、フロントホルダを仮係止位置に安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるフロントホルダの仮係止状態を後側から見た斜視図である。
【図2】フロントホルダの仮係止状態を前側から見た斜視図である。
【図3】フロントホルダの本係止状態を後側から見た斜視図である。
【図4】フロントホルダの本係止状態を前側から見た斜視図である。
【図5】ハウジングを後側から見た斜視図である。
【図6】ハウジングを前側から見た斜視図である。
【図7】フロントホルダを後側から見た斜視図である。
【図8】フロントホルダを前側から見た斜視図である。
【図9】フロントホルダの仮係止状態を示す縦断面図である。
【図10】フロントホルダの仮係止状態を示す部分破断平面図である。
【図11】フロントホルダの本係止状態を示す縦断面図である。
【図12】従来のコネクタを示す分解斜視図である。
【図13】従来のコネクタの仮係止状態の斜視図である。
【図14】従来のコネクタの本係止状態の斜視図である。
【符号の説明】
21 ハウジング
22 フロントホルダ
23 端子収容室
26 端子
27 外側壁部
35 係止腕
36 係止枠
36a 係止溝
45 過大変位防止板
46 検知板
55 摺動アーム
57 係止アーム
57b ストッパ部
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子を収容するハウジングとハウジングへの端子の完全挿入を検知するフロントホルダとを組み合わせた構造のコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
図12〜図14は、ハウジングへの端子の挿入を検知するため、特開平9−251874号公報に記載された構造の従来のコネクタを示す。このコネクタは、ハウジング1と、端子挿入検知部材(以下、検知部材)2とによって構成されている。
【0003】
ハウジング1には、複数の端子収容室3が形成されており、それぞれの端子収容室3内に端子(不図示)が挿入される)。また、ハウジング1の左右の側壁には、上下一対のガイドリブ8が長さ方向に形成されていると共に、このガイドリブ8には仮係止突起6及び本係止突起7が形成されている。仮係止突起6は検知部材2を仮係止位置に固定するものであり、本係止突起7は本係止位置に固定するものである。なお、それぞれの端子収容室3内には、端子に係止して端子の抜け止めを行う係止腕(不図示)が設けられている。
【0004】
一方、検知部材2は、ハウジング1のそれぞれの端子収容室3と対応する検知板9を有している。各検知板9は検知部材2をハウジング1に固定する際に、端子収容室3への端子4の完全挿入を検知するものである。
【0005】
検知部材2の左右両側には、枠体状に成形された係止アーム10が形成されており、この係止アーム10にはハウジング1の仮係止突起6及び本係止突起7にそれぞれ係止される係止凸部12,13が設けられている。係止アーム10はハウジング1の側面に形成されているスリット11内を貫通することにより、この貫通によって検知部材2が仮係止位置及び本係止位置に固定される。
【0006】
図13は検知部材2が仮係止位置に固定された状態を示し、係止アーム10がハウジング1の側面に沿ってスライドしながらスリット11を貫通する。そしてスリット11を貫通した係止アーム10の係止凸部12が仮係止突起6に係止されることにより検知部材2が固定される。
【0007】
図14は、仮係止位置から本係止位置に検知部材2を移動させた状態を示し、係止凸部13が本係止突起7に係止されることにより、検知部材2が本係止位置に固定されている。この本係止位置への移動に際し、端子が不完全挿入の場合には、係止腕が浮き上がっているため、検知板9が係止腕に衝合し、このため検知部材2のそれ以上の移動ができない。これにより端子の不完全挿入を検知することができる。また、本係止位置において、検知板9は係止腕の下に潜り込んで係止腕を持ち上げるため、係止腕が端子に確実に係止するように作用する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のコネクタでは、検知部材2が仮係止位置から本係止位置に移動する際及びその逆に移動する際に、過大な応力が作用すると、係止アーム10が外方に撓むことがあり、外方への撓みによって係止アーム10が塑性変形したり破損する。そして、この塑性変形や破損より検知部材2の確実な固定ができなくなる問題を有している。また、このため係止アーム10の撓みを防止する部材をハウジング1に追加する場合には、ハウジング1が複雑な構造となり、製造が難しくなるばかりでなく、ハウジングが大型化及び重量化する新たな問題が発生する。
【0009】
そこで、本発明は、新たな部材を追加することなく、簡単な構造で係止アームの外方への撓みを防止することが可能なコネクタを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ハウジングの前面側に対して仮係止位置から本係止位置にフロントホルダをスライドさせることにより、フロントホルダの検知板がハウジングに形成した端子収容室への端子の完全挿入を検知するコネクタであって、前記ハウジングの外壁に閉ループ状の係止枠を形成し、前記フロントホルダに、前記係止枠とハウジングの外壁との間を通過すると共に、係止枠に覆われた状態で係止枠に係止されてフロントホルダを本係止位置に固定する係止アームを形成し、前記フロントホルダに設けられ前記複数の検知板を連結し前記ハウジングの外壁を摺動する摺動アームに前記係止アームを一体的に形成したことを特徴とする。
【0011】
この発明では、フロントホルダを本係止位置にスライドさせることにより、係止アームはハウジングの外壁と係止枠との間を通過して係止枠に係止される。この係止状態では、係止アームが係止枠に覆われているため、過大な応力が作用しても外方へ撓んで変形することがない。これにより、新たな部材を追加することなく外方への撓みを防止した状態で係止アームを係止することができる。
また、この発明では、摺動アームが複数の検知板を連結することにより、強度の大きな摺動アームとなっている。係止アームはこの摺動アームに一体的に形成されているため、係止アームに対しても強度が付与されており、係止アームの撓みをさらに確実に防止することができる。
また、ハウジングの外壁に沿って摺動アームを摺動させることにより、係止アームがハウジングの係止枠に係止される。このため、係止アームを係止させるための作業が良好となる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明であって、前記ハウジングは前記端子に係止して端子の抜け止めを行う係止腕が設けられており、前記検知板は前記フロントホルダの本係止位置で前記係止腕をの撓みを防止することを特徴とする。
【0013】
この発明では、フロントホルダが本係止位置のとき、検知板が係止腕の撓みを防止するため、係止腕が端子との係止状態から逃げることがない。このため、端子を確実に係止することができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項2記載の発明であって、前記ハウジングの外壁に、前記摺動アームが当接して仮係止位置からのフロントホルダの抜け止めを行う当接部を形成したことを特徴とする。
【0018】
この発明では、当接部が仮係止位置からのフロントホルダの抜け止めを行うため、フロントホが引き戻されることがなく、フロントホルダを仮係止位置に安定して固定することができる。このため、フロントホルダを仮係止位置に取り付けた組み付け状態で端子をハウジングに挿でき、自動化ラインに適合させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図11を参照して説明すると、図1、図2及び図9、図10はフロントホルダ22がハウジング21に対して仮係止位置の状態を、図3、図4及び図11は本係止位置の状態である。この実施形態のコネクタは、ハウジング21とフロントホルダ22とによって構成されている。
【0020】
図5及び図6は、ハウジング21を後側及び前側から示すものであり、端子26が挿入される端子収容室23が上段5列、下段6列でそれぞれ形成された左右のブロック体24、24と、ブロック体24,24を連結する連結ブロック25とを有している。このハウジング21は左右のブロック体24,24の長さ方向に設けられた左右の外側壁部27,27及び中側壁部31,31と、左右のブロック体24,24及び連結ブロック25を後側で連設する後壁部28とを有している。この内、外側壁部27,27及び後壁部28はハウジング21の外壁を構成する。また、ハウジング21の前面側には、前壁部29が設けられており、この前壁部29には、端子収容室23のそれぞれに対応した連通孔30が開口されている。
【0021】
ブロック体24,24の端子収容室23は、それぞれのブロック体24,24を上下で仕切る中間壁部33及び左右で隣接する端子収容室23を仕切る仕切壁部32によって仕切られることにより独立しており、これにより隣接した端子収容室23に挿入された端子26の相互接触が防止されている。さらに、左右のブロック体24,24の上下面は開放されており、この開放部分34が後述するフロントホルダ22によって覆われるようになっている。
【0022】
それぞれの端子収容室23には、係止腕35が設けられる。係止腕35は後壁部28から前方側に延びており、先端部分が自由端となることにより、撓み変形が可能な弾性を有している。この係止腕35は端子収容室23に挿入された端子26に係止することにより、ハウジング21の後側への端子26の抜け止めを行うものである。
【0023】
以上に加えて、ハウジング21の後壁部28の左右の端部には、係止枠36が形成されている。係止枠36は上下方向に延びているが、その上下端部が後壁部28と一体的に連設している。これにより、係止枠36は後壁部28の外側で、後壁部28との間に貫通孔40を有した状態の閉ループを形成している。かかる貫通孔40に対しては、フロントホルダ22の係止アーム57が貫通するように移動する。
【0024】
このような係止枠36にはフロントホルダ22係止アーム57が係止し、この係止によってフロントホルダ22が本係止位置で固定される。この係止を行うため、係止枠36には係止アーム57が係止するための係止溝36aが形成されている。
【0025】
係止枠36の前方側におけるハウジング21の外側壁部27には、外側に向かって段状に高くなる当接部37が形成されている。この当接部37はフロントホルダ22を仮係止位置に固定してフロントホルダ22が仮係止位置から引き戻されることを防止するものである。
【0026】
なお、外側壁部27及び中側壁部31には、フロントホルダ22のスライドを案内するガイド溝38がそれぞれ形成されている。また、後壁部28の上下部分には、フロントホルダ22の過大変位防止板45の先端が摺動可能に挿入される挿入孔39が形成されている。
【0027】
図7及び図8は、フロントホルダ22を後側及び前側から示すものであり、水平な上壁部41及び下壁部42と、これらの上下の壁部41、42の前面側を連設する垂直な前壁部43とを有すると共に、左右の側面及び後部が開放されることにより、側面から見てコ字形に成形されている。上壁部41及び下壁部42はハウジング21のブロック体24における上下の開放部分34を覆うものであり、このため、上壁部41及び下壁部42はハウジング21の左右のブロック体24に対応するように左右に設けられている。
【0028】
フロントホルダ22をハウジング21に装着した使用状態では、フロントホルダ22の前壁部43から相手端子(図示省略)が端子収容室23に挿入される。このため、前壁部43には、ハウジング21の端子収容室23のそれぞれに対応する端子挿入孔44が開口されている。なお、図2及び図8に示すように、それぞれの端子挿入孔44との近接位置には、検知ピン挿入孔66が形成されており、この検知ピン挿入孔66には端子26の導通検査等を行う検知ピン(図示省略)が挿入される。
【0029】
上下の壁部41,42は、過大変位防止板45、検知板46及び端子押え板47が順に連設されることにより構成されている。
【0030】
過大変位防止板45はハウジング21側、すなわち最も後側に位置している。この過大変位防止板45はハウジング21の係止腕35の過大変位を防止するものである。図9はフロントホルダ22が仮係止位置に停止している状態を示し、フロントホルダ22が仮係止位置にあるとき、過大変位防止板45はハウジング21の係止腕35の外側を覆った状態となっている。この場合、過大変位防止板45は、係止腕35との間に係止腕35の撓み変形空間48を有するように係止腕35を覆っており、これにより係止腕35は外側への撓み変形が可能となっている。従って、フロントホルダ22の仮係止位置では、図9に示すように抜き治具52をハウジング21内に差し込んで係止腕35を外側に撓ませることができ、これにより係止腕35の端子26への係止を解除することができる。
【0031】
過大変位防止板45は先端側45aが自由端となっており、この先端側45aがハウジング21の後壁部28に形成した挿入孔39に摺動可能に挿入されることにより、過大変位防止板45の先端側45aが支持されるようになっている。かかる挿入孔39による過大変位防止板45の支持は、フロントホルダ22が仮係止位置にあるときから行われ、本係止位置にスライドするまで継続する。
【0032】
検知板46は過大変位防止板45と端子押え板47との間に設けられている。この実施形態において、上壁部41及び下壁部42には端子押え板47から段状に高くなるリブ49が形成されており、検知板46はこのリブ49から過大変位防止板45方向に突出することにより形成されるものである。検知板46はハウジング21の端子収容室23のそれぞれに対応して形成されるものであり、このためリブ49から複数が突出している。
【0033】
検知板46は過大変位防止板45と一体的に形成されるが、図9に示すように、検知板46は過大変位防止板45よりもハウジング21の係止腕35方向に突出している。すなわち、検知板46は過大変位防止板45に対して段差50を有して係止腕35側に突出しており、この段差50によって端子26が端子収容室23に完全に挿入されているか否かを検知する。この検知は検知板46が係止腕35に衝合するか否かによって行う。
【0034】
検知板46と過大変位防止板45との間には、開口窓部51が形成されており、開口窓部51から抜き治具52を差し込むことが可能となっている。また、検知板46における開口窓部51に臨む面には、係止腕35方向に傾斜して抜き治具52を案内するテーパ面53が形成されている。
【0035】
端子押え板47は、検知板46よりもさらに低くなるようにハウジング21内へ突出している。また、端子押え板47のハウジング21側の面には、押え突起54がそれぞれの端子収容室23と対応して形成されており、この押え突起54が端子26を端子収容室23に、すなわち中間壁部33(図5参照)に押さえ付けるように作用する。これにより端子26をがたつくことなく固定することができる。
【0036】
また、上下の壁部41、42における端子押え板47の両側には、ガイドリブ60が形成されると共に、ハウジング21には、ガイドリブ60が摺動可能に挿入されるガイド溝38が形成されている。また、ガイドリブ60の先端側は端子押え板47より離れる方向に傾斜し、ガイド溝38にラップしている。このため、ガイドリブ60がガイド溝38を摺動することでフロントホルダ22とハウジング21とのがつきがなくなる。この結果、端子26と端子押え板47に必要以上のクリアランス(雌雄の端子が良好に接触可能となる必要なクリアランス)が生じることがなく、端子26の先端が挿入孔39から露出することがない。
【0037】
上下の壁部41,42における過大変位防止板45は、摺動アーム55によって連結されていると共に、左右方向で隣接している過大変位防止板45は連結アーム56によって連結されている。摺動アーム55はハウジング21の外側壁部27を摺動するものであり、過大変位防止板45を連結することにより、個々独立した摺動アームに比べ摺動アーム自体に強度が付与されている。これと共に、摺動アーム55により上下及び左右方向で連結されている過大変位防止板45及びこの過大変位防止板45に一体的に連設されている検知板46も強度が向上している。
【0038】
摺動アーム55における中間部分には、係止アーム57が一体的に形成されている。係止アーム57は、側面から見て台形々状となっており、その上底部分57aがハウジング21側に位置している。この上底部分57aには、ハウジング21の係止枠36に係止する係止突起58が突出している。係止突起58はフロントホルダ22が本係止位置にスライドしたときに係止枠36の係止溝36aに係止するものであり、この係止によってフロントホルダ22を本係止位置に固定することができる。
【0039】
一方、係止アーム57の下底部分57bはハウジング21の外側壁部27に形成した当接部37に当接するストッパ部57bとなっている。このストッパ部57bの当接部37への当接によってフロントホルダ22が仮係止位置から引き戻されることを防止する。
【0040】
このような係止アーム57は、過大変位防止板45を連結することによって強度が付与されている摺動アーム55に一体的に形成されている。従って、係止アーム57自体にも強度が付与されており、過度の応力が作用しても撓み変形しにくい構造となっている。
【0041】
上下及び左右のそれぞれの端子押え板47には、ガイドリブ60が形成されており、それぞれのガイドリブ60がハウジング21のガイド溝38を摺動することにより、フロントホルダ22のスライドが安定するようになっている。また、上壁部41及び下壁部42におけるハウジング21側の面には、ハウジング21側の仕切壁部32に対応した仕切り板部59が立設されており、これにより、仕切壁部32と共に端子収容室23を仕切っている。
【0042】
端子26は、導電性金属板を打ち抜きプレス加工することによって成形されている。この端子26は図9に示すように、接触部61、接続部62及び加締め部63を長さ方向に沿って備えている。接触部61は相手端子が挿入されて接触することにより相手端子との電気的な導通を行う。接続部62は被覆電線64の芯線65に加締められることにより、被覆電線64との接続を行い、加締め部63は被覆電線64に加締められることにより、被覆電線64との固定を行う。この実施形態において、上述した係止腕35は接触部61の後側に係止するものである。
【0043】
次に、この実施形態の組付けを説明する。フロントホルダ22の摺動アーム55にハウジング21の外側壁部27を挿入した後、フロントホルダ22を後側にスライドさせる。このときフロントホルダ22のガイドリブ60がハウジング21のガイド溝38を摺動するため、安定したスライドを行うことができる。そして、このスライドによって図1,図2及び図9、図10に示すように、ハウジング21に対してフロントホルダ22を仮係止位置に組み付ける。
【0044】
この仮係止位置では、図1及び図2に示すように、係止アーム57のストッパ部57bがハウジング21の外側壁部27に形成した当接部37に当接している。この当接によってフロントホルダ22が仮係止位置から引き戻されることがなくなり、フロントホルダ22は安定してハウジング21に組み付けられる。
【0045】
この仮係止位置では、係止アーム57がハウジング21の外側に位置しているが、ハウジング21の当接部37が段状に高くなっており、この当接部37よりも相対的に低くなっている外側壁部27に係止アーム57が位置している。従って、外側への突出量が少なく、応力が作用しにくいため、応力によって撓み変形することがない。しかも、上述したように過大変位防止板45を連結している摺動アーム55に一体的に形成されることによって係止アーム57に強度が付与されているため、過度の応力が作用しても、撓み変形することがない。
【0046】
以上のようなフロントホルダ22に仮係止位置では、被覆電線64に接続されている端子26を後側から端子収容室23に挿入する。
【0047】
この端子26の挿入の後、フロントホルダ22をさらに後側にスライドさせて係止アーム57をハウジング21の係止枠36に形成した係止溝36aに係止させる。この係止によってフロントホルダ22は図3及び図4に示すように、本係止位置に固定される。このスライドは左右の係止アーム57を外側壁部27に押えながら行って本係止位置とするため、作業性が良好となっている。
【0048】
かかるフロンホルダ22のスライドでは、ガイドリブ60及びガイド溝38の案内によって摺動アーム55がハウジング21の外側壁部27を摺動する。このとき、係止アーム57はハウジング21の外側壁部27との間で閉ループを形成している係止枠36の下側をスライドする。すなわち、係止アーム57は係止枠36及びハウジング21の外側壁部27の間を通過しながら貫通孔40を貫通するように移動する。
【0049】
フロントホルダ22が本係止位置に固定された状態では、係止アーム57は図3及び図4に示すように、係止突起58を除く全体が係止枠36に覆われた状態となっている。すなわち、係止アーム57は不必要に露出しておらず、係止アーム57に応力が作用することがない。このため、係止アーム57は応力によって撓み変形することがなく、撓むことによる塑性変形や破損がなく、フロントホルダ22を本係止位置に確実に固定することができ、信頼性のあるコネクタとすることができる。
【0050】
このようにフロントホルダ22が本係止位置に固定された状態では、図11に示すように、ハウジング21の連通孔30とフロントホルダ22の端子挿入孔44とが連通するため、相手端子(図示省略)が端子収容室23に進入することができ、相手端子と端子26との接続が可能となる。
【0051】
なお、本係止位置へのスライドにおいて、端子26が完全挿入されている場合は、係止腕35が端子26の接触部61の後側に係止して外側に変位することがないため、検知板46が円滑に係止腕35をスライドする。この検知板46は段差を有して係止腕35方向に突出しているため、図11に示すように、検知板46が係止腕35の撓み変形空間を塞ぐ。又その底面が係止腕35を外側から押さえつけるようにしてもよい。このため、係止腕35が端子26との係止状態から逃げることができず、端子26を端子収容室23内に確実に固定することができる。
【0052】
これに対し、端子26が半挿入などの不完全挿入状態の場合には、係止腕35が端子26の接触部61と良好に係止することができないため、係止腕35が外側に変位する。この状態では、段差50を有して係止腕35側に突出している検知板46が係止腕35に衝合するため、フロントホルダ22のスライドができなくなる。これにより端子26の不完全挿入を検知することができる。
【0053】
一方、以上の状態から端子26をコネクタから取り出す場合には、係止枠36と係止アーム57との係止状態を解除して、フロントホルダ22を仮係止位置まで復帰スライドさせる。この仮係止位置では、図9に示すように、過大変位防止板45が撓み変形空間48を有して係止腕35を外側から覆っているため、抜き治具52を開口窓部51から差し込んで係止腕35を外側に撓ませることができ、この撓みによって係止腕35を端子26との係止状態から離脱させることができる。これにより、端子26をハウジング21から引き出すことができる。
【0054】
このとき、過大変位防止板45は係止腕35を覆うことによって係止腕35の過大変位を防止する。このため、係止腕35に過度の応力が作用しても係止腕35が過度に撓むことがなく、係止腕35が塑性変形や破損することがない。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、フロントホルダを本係止位置にスライドさせる際に、係止アームはハウジングの外壁と係止枠との間を通過するため、係止アームが係止枠に覆われた状態となる。従って、過大な応力が作用しても外方へ撓んで変形することがなく、新たな部材を追加しないでも、係止アームの外方への撓みを防止することができ、構造が簡単になる。
また、複数の検知板を連結した強度の大きな摺動アームに係止アームが一体的に形成されているため、係止アーム自体も強度が付与されており、係止アームの撓みを確実に防止することができる。
【0056】
請求項2の発明によれば、フロントホルダの本係止位置で、検知板が係止腕を押さえるため、係止腕が端子との係止状態から逃げることがなく、端子を確実に係止することができる。
【0058】
請求項3の発明によれば、当接部が仮係止位置からのフロントホルダの抜け止めを行うため、フロントホルダが引き戻されることがなく、フロントホルダを仮係止位置に安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるフロントホルダの仮係止状態を後側から見た斜視図である。
【図2】フロントホルダの仮係止状態を前側から見た斜視図である。
【図3】フロントホルダの本係止状態を後側から見た斜視図である。
【図4】フロントホルダの本係止状態を前側から見た斜視図である。
【図5】ハウジングを後側から見た斜視図である。
【図6】ハウジングを前側から見た斜視図である。
【図7】フロントホルダを後側から見た斜視図である。
【図8】フロントホルダを前側から見た斜視図である。
【図9】フロントホルダの仮係止状態を示す縦断面図である。
【図10】フロントホルダの仮係止状態を示す部分破断平面図である。
【図11】フロントホルダの本係止状態を示す縦断面図である。
【図12】従来のコネクタを示す分解斜視図である。
【図13】従来のコネクタの仮係止状態の斜視図である。
【図14】従来のコネクタの本係止状態の斜視図である。
【符号の説明】
21 ハウジング
22 フロントホルダ
23 端子収容室
26 端子
27 外側壁部
35 係止腕
36 係止枠
36a 係止溝
45 過大変位防止板
46 検知板
55 摺動アーム
57 係止アーム
57b ストッパ部
Claims (3)
- ハウジングの前面側に対して仮係止位置から本係止位置にフロントホルダをスライドさせることにより、フロントホルダの検知板がハウジングに形成した端子収容室への端子の完全挿入を検知するコネクタであって、
前記ハウジングの外壁に閉ループ状の係止枠を形成し、前記フロントホルダに、前記係止枠とハウジングの外壁との間を通過すると共に、係止枠に覆われた状態で係止枠に係止されてフロントホルダを本係止位置に固定する係止アームを形成し、前記フロントホルダに設けられ前記複数の検知板を連結し前記ハウジングの外壁を摺動する摺動アームに前記係止アームを一体的に形成したことを特徴とするコネクタ。 - 請求項1記載の発明であって、前記ハウジングは前記端子に係止して端子の抜け止めを行う係止腕が設けられており、前記検知板は前記フロントホルダの本係止位置で前記係止腕の撓みを防止することを特徴とするコネク。
- 請求項2記載の発明であって、前記ハウジングの外壁に、前記摺動アームが当接して仮係止位置からのフロントホルダの抜け止めを行う当接部を形成したことを特徴とするコネクタ。
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