JP3539275B2 - 蓄圧式燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄圧式燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼル式の内燃機関(エンジン)の燃料噴射装置として、蓄圧式燃料噴射装置が知られている。蓄圧式燃料噴射装置では、各気筒に連通する共通の蓄圧配管(コモンレール)が設けられ、ここに燃料ポンプによって必要な流量の高圧燃料を圧送供給することにより、コモンレールの燃料圧を所定の圧力に保持している。コモンレールに保持された高圧燃料は所定のタイミングでインジェクタにより各気筒に噴射される。従来、この種の蓄圧式燃料噴射装置に関連する先行技術としては、特開昭62−258160号公報にて開示されたものが知られている(第1従来例)。
【0003】
上記公報には、各インジェクタの燃料噴射に同期して燃料ポンプから燃料をコモンレールに圧送し補充することが、噴射量の調量精度を向上させるのに適していると指摘されている。つまり、インジェクタの燃料噴射に非同期で燃料圧送を行った場合、燃料圧送に対する燃料噴射のタイミングが気筒ごとに異なり、その結果、インジェクタに供給される燃料圧が気筒間で異なり噴射量のばらつきが大きくなって好ましくない、としている。しかしながら、燃料噴射と燃料圧送とを同期させるには、燃料ポンプを、各気筒の燃料噴射が一巡する1サイクルで気筒数に対応した回数で燃料圧送を行うように構成する必要があり、例えば燃料ポンプを気筒数の異なるエンジンに汎用的に用いることができない。
【0004】
そこで、燃料噴射と燃料圧送とが非同期であっても噴射量ばらつきを改善すべく特開平8−144826号公報にて開示された技術がある(第2従来例)。これは、各気筒ごとに実行される燃料噴射制御においてコモンレールの燃料圧を検出し、噴射時間を、全気筒共通の基本燃料噴射時間に検出燃料圧に応じた補正時間を加減して設定するようにしたもので、補正時間は検出燃料圧に対するマップ等を参照して決定される。この技術によれば、燃料噴射と燃料圧送とが非同期であってもその時々の運転状態に見合った噴射量での燃料噴射を行うことができる、としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インジェクタの経年劣化や製造公差、また燃料性状の違い等により適正な補正時間は異なり、補正時間を予め上記マップ等により固定的に与えたのでは、適正な噴射量にて燃料噴射が行われるとは限らない。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、適正な噴射量にて燃料噴射を行うことができる蓄圧式燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、内燃機関の気筒ごとに設けられて気筒内に燃料を噴射するインジェクタと、高圧に蓄圧された燃料を保持しインジェクタに供給する蓄圧配管と、各気筒の燃料噴射が一巡する間に蓄圧配管に所定の回数の燃料圧送を行う燃料ポンプと、蓄圧配管の燃料圧を検出する燃料圧検出手段と、検出された燃料圧に基づいてインジェクタの噴射時間を算出しインジェクタの燃料噴射制御を行う制御手段とを具備する蓄圧式燃料噴射装置において、上記制御手段には、今回の燃料噴射を行う気筒の、その燃料噴射における蓄圧配管の燃料圧を、順次、燃料噴射が行われる所定数の気筒であって上記今回燃料噴射を行う気筒を含む所定数の気筒を今回の所定数の気筒として、該今回の所定数の気筒の前に順次、燃料噴射が行われた上記所定数と同じ数の前回の所定数の気筒の中で、上記今回燃料噴射を行う気筒と燃料噴射順序が同一の気筒で燃料噴射が行われたときの燃料圧に基づいて予測する燃料圧予測手段を具備せしめる。上記所定数は、上記内燃機関の気筒数と同じ数、若しくは、上記内燃機関の気筒数を該気筒数と上記燃料圧送回数との公約数で除した数とする。
【0008】
蓄圧配管の燃料圧の変化パターンは、主に燃料圧送および燃料噴射のタイミングにより規定される。したがって、この変化パターンは各気筒の燃料噴射が一巡すると近似のプロファイルにて繰り返される。また、気筒数を気筒数と上記燃料圧送回数との公約数で除した数の気筒にて順次、燃料噴射が行われると、その後にも近似のプロファイルにて繰り返される。したがって、上記のごとく、検出燃料圧から、次に燃料噴射が行われる同一燃料噴射順序の気筒の燃料噴射における燃料圧を予測することで、同期、非同期にかかわらず予測された燃料圧は正確である。しかして、インジェクタの経年劣化等の影響を受けることなく、適正な噴射量にて燃料噴射を行うことができる。
【0009】
請求項2記載の発明では、上記燃料ポンプが上記燃料圧送回数が内燃機関の気筒数よりも少なく、燃料噴射と燃料圧送とが非同期となる場合には蓄圧配管の燃料圧は複雑に大きく変化するパターンとなるから、本発明は特に好適である。
【0010】
請求項3記載の発明では、上記燃料圧予測手段を、燃料噴射に先立って検出された燃料圧を上記燃料噴射順序ごとに一時記憶し、記憶された、今回の燃料噴射を行う気筒と同一燃料噴射順序の燃料圧を、今回の燃料噴射を行う気筒の燃料噴射における燃料圧予測値とするように設定する。
【0011】
蓄圧配管の燃料圧の変化パターンは実質的に上記のごとく繰り返されるとみなせるので、燃料噴射に先立って検出された燃料圧から直接に蓄圧配管の燃料圧の予測値を得ることができる。構成簡単で演算負荷の増加も招かない。
【0012】
請求項4記載の発明では、上記燃料圧予測手段には、検出された燃料圧の平均値を算出する平均算出手段と、燃料噴射に先立って検出された燃料圧と平均燃料圧との偏差に基づいて偏差予測値を算出し上記燃料噴射順序ごとに一時記憶する偏差予測値算出手段と、今回の燃料噴射を行う気筒の燃料噴射における蓄圧配管の燃料圧予測値を平均燃料圧と、上記偏差予測値算出手段により記憶された、今回の燃料噴射を行う気筒と同一燃料噴射順序の偏差予測値との加算により算出する燃料圧予測値算出手段とを具備せしめる。
【0013】
燃料圧予測値を燃料圧平均値と偏差予測値とから得るようにすることで、特定の気筒においてノイズ等が重畳した場合にもその影響を抑えることができる。
【0014】
請求項5記載の発明では、上記平均算出手段は、平均燃料圧を、燃料圧が検出されるごとに算出、更新するように設定する。
【0015】
高い頻度で平均燃料圧を更新することで、蓄圧配管の燃料圧が変化する内燃機関の過渡状態において、ノイズ等の外乱に対して安定性を保持しつつ燃料圧予測値の高い応答性および追従性を得ることができる。
【0016】
請求項6記載の発明では、上記偏差予測値算出手段は、偏差予測値を、検出燃料圧と平均燃料圧との偏差と前回の偏差予測値との重み付き平均により算出、更新するように設定する。
【0017】
さらにノイズ等の外乱に対する安定性を高めることができる。
【0018】
請求項7記載の発明では、上記燃料圧予測手段は、燃料噴射に先立って検出された燃料圧の、燃料噴射順序が当該気筒よりも所定の順序だけ前の気筒の燃料噴射における燃料圧からの変化に基づいて上記当該気筒と同一燃料噴射順序の気筒の変化予測値を算出し上記燃料噴射順序ごとに一時記憶する変化予測値算出手段と、今回の燃料噴射を行う気筒の燃料噴射における燃料圧予測値を、上記変化予測値算出手段に記憶された、今回の燃料噴射を行う気筒と同一燃料噴射順序の変化予測値と、上記今回の燃料噴射を行う気筒よりも燃料噴射順序が上記所定の順序だけ前の気筒における検出燃料圧との加算により算出する燃料圧予測値算出手段とを具備せしめる。
【0019】
燃料圧予測値を、一時記憶された変化予測値とともに新しく、今回の燃料噴射を行う気筒よりも燃料噴射順序が上記所定の順序だけ前の気筒における検出燃料圧に基づいて算出するようにすることで、内燃機関が過渡状態にあっても応答性よく精度の高い燃料圧予測値を得ることができる。
【0020】
請求項8記載の発明では、上記制御手段には、内燃機関の運転状態が急変状態にあるか否かを検出する機関状態検出手段と、内燃機関が急変状態にあると判定されると上記燃料圧予測手段の作動を禁止する禁止手段とを具備せしめる。
【0021】
内燃機関の過渡状態においては、燃料噴射量は、インジェクタの経年劣化等に起因する誤差に増して追従遅れによる誤差が相対的に大きくなるが、急変状態においては上記燃料圧予測は禁止されるので、上記追従遅れを防止することができる。
【0022】
請求項9記載の発明では、上記機関状態検出手段は、燃料噴射に先立って検出された燃料圧と燃料圧予測値との差が予め定めた所定値を越えると急変状態と判定するように設定する。請求項10記載の発明では、上記機関状態検出手段は、上記燃料ポンプの燃料圧送制御における目標燃料圧の前気筒の目標燃料圧からの変化が予め定めた所定値を越えると急変状態と判定するように設定する。
【0023】
これらの構成では、急変状態か否かを、燃料噴射制御に用いられるパラメータに基づいて判断できるので、実質的に新たな構成の付加は不要であり、演算負荷も小さくて済む。
【0024】
請求項11記載の発明では、上記禁止手段を、内燃機関が急変状態から復帰後の一定時間は上記燃料圧予測手段の作動禁止を保持するように設定する。
【0025】
急変状態から復帰後にも燃料圧予測が禁止されるようにすることで、燃料圧予測再開時における燃料圧の予測精度を確保することができ、燃料噴***度の悪化を未然に防止することができる。
【0026】
請求項12記載の発明では、上記制御手段は、燃料圧検出手段による燃料圧の検出をインジェクタの噴射直前に行うように設定する。
【0027】
燃料噴射タイミングにおける燃料圧をより正確に得られるようにすることで、燃料噴***度をさらに高めることができる。
【0028】
請求項13記載の発明では、上記制御手段は、燃料圧の検出をインジェクタの駆動指令の出力に対応して行う割り込み処理にて行うように設定する。
【0029】
燃料圧の検出時期を時間やクランク角度等により管理することなく簡単に燃料圧の取り込みを行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に本発明の第1実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置の構成を示す。図において、エンジン1には各気筒に対応する複数のインジェクタ2が配設され、これらインジェクタ2は各気筒共通の蓄圧配管であるコモンレール3に接続されている。インジェクタ2からエンジン1の各気筒への燃料の噴射は、噴射制御用電磁弁21のON/OFFにより制御され、電磁弁21が開弁している間、コモンレール3内の燃料がインジェクタ2によりエンジン1に噴射される。なお、以下の説明においてエンジン1は6気筒として説明する。
【0031】
コモンレール3を連続的に燃料噴射圧に相当する高い所定圧の燃料により蓄圧せしめる手段として、コモンレール3に燃料ポンプである高圧供給ポンプ4が接続される。高圧供給ポンプ4は、複数のプランジャバレル41を備え、これに電磁弁43を介して図略のフィードポンプから低圧燃料が吸入されるようになっている。吸入された燃料は、各プランジャバレル41に摺動自在に挿置されたプランジャ42が、クランクシャフト101から伝達されるエンジン動力でその1/2の回転数で回転するカム45により上下往復動することで、電磁弁43が閉じられた時に吐出弁44を経てコモンレール3に圧送供給される。高圧供給ポンプ4は通常、エンジン1の1サイクルに対し、すなわち各気筒の燃料噴射が一巡する間に気筒数に対応した数の燃料圧送が行われるようにプランジャバレル41を備えているが、本実施形態では6気筒ディーゼル機関に、4気筒ディーゼル機関用に設計され1サイクルに対し4回燃料圧送を行う高圧供給ポンプであるとして説明する。
【0032】
また、インジェクタ2および高圧供給ポンプ4を制御する制御手段として電子制御ユニット(以下、ECU)5を備えている。ECU5はCPU等を有する一般的なハード構成のもので、これに各種センサからの信号が入力している。かかるセンサとして、例えば気筒No.を検出するクランク角センサ81、アクセルペダル7の踏み込み量を検出するアクセル開度センサ82を備えている。また、コモンレール3には、コモンレール3内の燃料圧(以下、コモンレール圧)を検出する圧力センサ(コモンレール圧センサ)83が配設されている。また、ECU5および高圧供給ポンプ4の電磁弁43の給電用のバッテリ6には電源電圧(+B)が入力している。ECU5は、これらの情報に基づき最適の噴射時期、噴射時間を決定して噴射制御用電磁弁21に制御信号を出力するとともに、高圧供給ポンプ4の電磁弁43に制御信号を出力し燃料圧送量を制御する。
【0033】
次に上記ECU5内のCPUで実行される処理手順を図2、図3、図4、図5により説明する。なお、図2のフローチャートは、クランク角センサ81からの出力信号に基づく各気筒のインジェクタ2の燃料噴射タイミング時すなわち6気筒ディーゼル機関では120°CA(クランクアングル)毎にCPUにて実行される。なお4気筒ディーゼル機関では180°CA(クランクアングル)毎に実行される。
【0034】
《燃料噴射制御メインルーチン》
図2は燃料噴射制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【0035】
まず、ステップS101で運転状態に基づく負荷ACCPを読み込み、ステップS102で機関回転数NEを読み込む。続くステップS103では、ステップS101で読み込まれた負荷ACCPおよびステップS102で読み込まれた機関回転数NEから指令噴射量QFINを算出し、ステップS104では、上記指令噴射量QFINおよび機関回転数NEから指令噴射タイミングTFINを算出し、ステップS105では、上記指令噴射量QFINおよび機関回転数NEから指令コモンレール圧PFINを算出する。
【0036】
そして、ステップS106では、これらの算出された情報等に基づいてインジェクタ2に対して後述のインジェクタ制御処理を実行する。
【0037】
ステップS107では、コモンレール圧力制御処理を実行する。圧力センサ83からのコモンレール圧信号Pcに基づいて、実際のコモンレール圧(実コモンレール圧)がステップS105で算出された指令コモンレール圧力PFINとなるように高圧供給ポンプ4内の電磁弁43に対するON/OFF制御を実行する。コモンレール圧を上昇するには、カム45によりプランジャ42が最下点に達した時点から早めに電磁弁43をONして閉じることで達成される。逆に、コモンレール圧を下降するには、カム45によりプランジャ42は最下点に達した時点から遅らせ電磁弁43をONして閉じることで達成される。コモンレール圧力制御処理の後、本メインルーチンを終了する。
【0038】
《インジェクタ制御サブルーチン》
図3は図2のステップS106のインジェクタ制御処理を示すフローチャートである。
【0039】
ステップS201では、ステップS103で算出された指令噴射量QFINを読み込む。ステップS202では、RAMの所定領域に保存されている実コモンレール圧NPCを読み込む。
【0040】
ここで、ステップS2O2で読み込まれる実コモンレール圧NPCの取り込みは、本インジェクタ制御サブルーチンとは別に、燃料噴射に先立ち、図4に示すようにエンジン上死点(TDC)の所定クランク角度前のクランク角センサ割り込み処理ルーチン(例えばBTDC30°CA割り込み)にて実施される。すなわち、先ずコモンレール圧センサ83の出力信号のA/D変換を開始し(ステップS301)、それが終了すると(ステップS302)、その結果をRAMの上記所定領域に保存する(ステップS303)。
【0041】
なお、実コモンレール圧NPCの取り込みは、インジェクタ2の駆動直前に行うのがインジェクタ2への供給燃料圧を最も反映するので望ましい。また、実コモンレール圧NPCの取り込みはクランク角センサ割り込みで行うのではなく、インジェクタ2への駆動指令出力に応じて取り込み開始指令を発生するOCR(アウトプットコンペアレジスタ)割り込みにて行うのもよく、実コモンレール圧の取り込み時期を時間やクランク角度により管理する必要がなく簡単である。
【0042】
ステップS202に続くステップS203では気筒NO.を読み込み、ステップS204に進む。ステップS204は燃料圧予測手段としての手順で、次回の自気筒の燃料噴射におけるコモンレール圧の予測を行うとともに、次気筒におけるコモンレール圧の予測値NPCFを読み込む。ステップS204で実行される処理の詳細については後述する。
【0043】
ステップS205では、ステップS201で読み込まれた指令噴射量QFINとステップS204で読み込まれたコモンレール圧予測値NPCFとをパラメータとするマップから噴射パルスTQを算出する。
【0044】
ステップS206では、インジェクタ2の燃料噴射を所望のタイミングで行うため、インジェクタ駆動処理としてステップS104で算出された指令噴射タイミングTFINとステップS205で算出された噴射パルスTQとに対応してインジェクタ2の電磁弁21を開弁するタイミングと閉弁するタイミングとをECU5内のタイマーにセットする。セットされたタイミングにてインジェクタ2が駆動され燃料噴射が行われる。
【0045】
《気筒別コモンレール圧予測サブルーチン》
図5はコモンレール圧予測のサブルーチンである。本サブルーチンはインジェクタ制御サブルーチンの実施ごとにコールされるため、インジェクタ制御サブルーチンと同様、6気筒ディーゼル機関では120°CAごとに実行される。なお、4気筒ディーゼル機関では180°CA毎に実行される。
【0046】
先ず、ステップS401ではコモンレール圧予測値として、RAMの所定領域に気筒別に保存されている実コモンレール圧NPCk+1 を読み込む。なおkは気筒番号であり、k+1は次に噴射する気筒(次気筒)を示し、燃料噴射順に1から所定数である6まで順序付けしてある。次気筒のコモンレール圧を読み込むのは、前述したようにインジェクタ制御上の制約により1つ前の気筒の燃料噴射制御でECU5内のタイマーにインジェクタ2の開閉タイミングをセットする必要があるからである。
【0047】
ステップS402では、ステップS202で読み込まれた実コモンレール圧NPCを保存する(NPCk 保存)。これは次回の当該気筒(気筒番号k)のインジェクタ2の噴射パルスTQの算出に供される気筒別コモンレール圧予測値となる。
【0048】
図6は、気筒No.(#1,#2,#3,・・・)ごとの噴射タイミングに対応するコモンレール圧および高圧供給ポンプからの高圧燃料の圧送量(ポンプ圧送量)の関係を示すタイミングチャートであり、本実施形態における高圧供給ポンプを本来の4気筒ディーゼル機関に付設した場合を併せて示している。
【0049】
高圧供給ポンプは上記の4気筒ディーゼル機関用に設計されたものであり、そのポンプ圧送は4気筒ディーゼル機関の噴射タイミング(180°CA毎)に同期しているが、本実施形態の6気筒ディーゼル機関の噴射タイミング(120°CA毎)には同期していない。
【0050】
6気筒ディーゼル機関において、高圧供給ポンプによるポンプ圧送中に同期して噴射される#1気筒、#4気筒とそれ以外のときに噴射される#2気筒、#3気筒、#5気筒、#6気筒とでは噴射時のコモンレール圧が異なっている。このため、取り込まれたコモンレール圧により次気筒におけるインジェクタ制御を実行したのでは(図6中の4気筒ディーゼル機関のタイムチャート参照)、噴射時の実コモンレール圧が噴射パルスの算出に用いるコモンレール圧と一致しないため所望の噴射量が得られず、結果として噴射量にばらつきが生じてしまうこととなる。上記第2従来例のようにコモンレール圧に応じて気筒別に噴射時間を補正するのもインジェクタの系年変化や製造公差等の要因で適正な噴射量が与えられる訳ではない。
【0051】
図6より知られるように、6気筒ディーゼル機関では燃料噴射と燃料圧送とが非同期のため、1サイクルの間にコモンレール圧は大きく変化しているが、1サイクルはごく短い時間なので、現サイクルと次のサイクルとでコモンレール圧の変化プロファイルは近似している。したがって、同一気筒においては、コモンレール圧は今回燃料噴射を行う気筒と燃料噴射順序が同一の気筒で燃料噴射順序が行われたときの燃料圧である1つ前のサイクルにおけるコモンレール圧と実質的に等しいとみなせる。したがって、検出されたコモンレール圧を、次に噴射される同一気筒の燃料噴射におけるコモンレール圧として予測することにより、インジェクタ2の製造公差や経年劣化、また使用される燃料の性状の違い、そして燃料噴射と燃料圧送との同期・非同期によらず気筒ごとの噴射量精度を確保できるようになる。しかも検出コモンレール圧を気筒別に一時記憶するだけでよいので、上記第2従来例のように噴射パルスの気筒ごとの補正などでECUの演算負荷を増加させることもない。
【0052】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置について説明する。第1実施形態において、ECU5で実行される制御のうち、燃料圧予測手段としての作動手順であるコモンレール圧予測サブルーチンを別の設定に代えたものである。第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0053】
図7に本実施形態におけるコモンレール圧予測サブルーチンの手順を示す。ステップS501では気筒群No.が読み込まれる。ここで、気筒群No.は、燃料噴射を行う各気筒を3つに燃料噴射順に1から3まで順序付けしたもので、図8に示すように各気筒群には、1サイクルの前半に燃料噴射が行われる気筒と後半に燃料噴射が行われる気筒との2つの気筒が所属する。前掲の図6より知られるように、6気筒ディーゼル機関に4気筒ディーゼル機関用の高圧供給ポンプを付設した場合、エンジン1サイクルの前半と後半とでコモンレール圧は実質的に同じ変化パターンを繰り返す。すなわち、コモンレール圧は各気筒群が一巡し同一気筒群に属する気筒の燃料噴射時におけるコモンレール圧と実質的に等しく、コモンレール圧の変化パターンの周期はエンジン1サイクルの1/2と短い。
【0054】
ステップS502では、次気筒におけるコモンレール圧予測値NPCFとして気筒群別に記憶されている今回燃料噴射を行う気筒と燃料噴射順序が同一の気筒で燃料噴射順序が行われたときの燃料圧である実コモンレール圧NPCj+1 (j:気筒群番号)を読み込む。
【0055】
ステップS503では、ステップS202で読み込まれた実コモンレール圧NPCを記憶する(NPCj 記憶)。これは次回の当該気筒群(j)の気筒の燃料噴射におけるコモンレール圧の予測値となる。
【0056】
このように、コモンレール圧の予測値が、第1実施形態では各気筒で燃料噴射が一巡する720°CAごとに更新されるのに対し、本実施形態ではその1/2の360°CAごとに更新される。つまり、コモンレール圧予測値の更新周期が第1実施形態よりも短くなって1サイクルあたりのコモンレール圧予測回数が増え、予測の応答性や精度を高めることができる。これによりさらに精度の高い燃料噴射制御を行うことができる。
【0057】
なお、コモンレール圧の変化パターンの1サイクルあたりの繰り返し回数は、一般的には、気筒数と、各気筒で燃料噴射が一巡する間すなわち1サイクルあたりの燃料圧送回数との公約数に対応する回数となる。したがって、所定数である気筒群の数は、気筒数を上記回数で除した数に設定することができる。
【0058】
(第3実施形態)
本発明の第3の実施形態になるコモンレール式燃料噴射装置について説明する。第1実施形態において、ECU5で実行される制御のうち、燃料圧予測手段としての作動手順であるコモンレール圧予測サブルーチンを別の設定に代えたものである。第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0059】
図9に本実施形態におけるコモンレール圧予測サブルーチンの手順を示す。
【0060】
ステップS601は平均算出手段としての手順で、全気筒におけるコモンレール圧の平均(全気筒平均コモンレール圧)PMALLi を式(1)により更新する。ここで、nはなまし定数である。nは2のべき乗とするのが望ましい。2のべき乗とすることで、ECU5での演算が容易になるからである。また、iは今回の燃料噴射制御において算出されたことを示し、i−1は前回の燃料噴射制御において算出されたことを示す。
PMALLi ={(n−1)×PMALLi-1 +NPC}/n・・・(1)
【0061】
ステップS602は、燃料圧予測値算出手段としての手順で、次気筒におけるコモンレール圧偏差の予測値として気筒別コモンレール圧偏差DPMk+1 を読み込み、気筒別コモンレール圧予測値NPCFを式(2)により算出する。
NPCF=PMALLi +DPMk+1 ・・・(2)
【0062】
続くステップS603は偏差予測値算出手段としての手順で、気筒別コモンレール圧偏差DPMk が、実コモンレール圧NPCと全気筒平均コモンレール圧PMALLi との偏差に基づいて式(3)により更新される。
Figure 0003539275
【0063】
本実施形態では、図10より知られるように、各気筒のコモンレール圧予測値として、第1実施形態のようにコモンレール圧センサから取り込まれたコモンレール圧を直接使うのではなく、実コモンレール圧と全気筒平均コモンレール圧との偏差であるコモンレール圧偏差とから得るようになっている。したがって、運転状態が変動した場合や特定の気筒においてノイズ等が重畳した場合にもその影響を抑えることができ、コモンレール圧予測の応答性を確保しつつ、ノイズ等の外乱に対してスタビリティをも確保することができる。
【0064】
また、コモンレール圧偏差を、実コモンレール圧と全気筒平均コモンレール圧との偏差(NPC−PMALLi )と前回の気筒別コモンレール圧偏差DPMk(i-1)とを用いた重み付き平均により算出することすることにより、さらにノイズ等の外乱に対する安定性を高めることができる。
【0065】
なお、全気筒平均コモンレール圧は燃料噴射制御毎に順次、更新しているが、サイクルごとに更新するのでもよい。但し、図11に示すように、毎燃料噴射更新の場合の方が実コモンレール圧に良好に追随できるから望ましい。
【0066】
(第4実施形態)
本発明の第4の実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置について説明する。第1実施形態において、ECU5で実行される制御のうち、燃料圧予測手段としての作動手順であるコモンレール圧予測サブルーチンを別の設定に代えたものである。第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
図12に本実施形態におけるコモンレール圧予測サブルーチンの手順を示す。
【0068】
ステップS701では、上記RAMの所定領域に保存された前気筒コモンレール圧差DPk+1 を読み込む。前気筒コモンレール圧差DPk+1 は、次気筒(k+1)におけるコモンレール圧の前気筒(k)のコモンレール圧からの変化である。その予測については後述する。
【0069】
ステップS702は燃料圧予測値算出手段としての手順で、ステップS202で読み込まれたコモンレール圧NPCと上記前気筒コモンレール圧差DPk+1 とに基づいて、気筒別コモンレール圧予測値NPCFを式(4)により算出する。
NPCF=NPC+DPk+1 ・・・(4)
【0070】
ステップS703は変化予測値算出手段としての作動で、上記コモンレール圧NPCと前気筒(k−1)における実コモンレール圧NPCOとに基づいて、前気筒コモンレール圧差DPk(i)を式(5)により算出、更新し、RAMの上記所定領域に保存する。これは、次サイクルにおける当該気筒(k)のコモンレール圧の、前気筒(k−1)のコモンレール圧からの変化の予測値となる。
DPk(i)=NPC−NPCO・・・(5)
【0071】
ステップS704では、ステップS202で読み込まれた実コモンレール圧NPCにより前気筒実コモンレール圧NPCOを更新する。これは次気筒(k+1)のインジェクタ制御におけるステップS703にて用いられる。ステップS704実行後、本サブルーチンを終了する。
【0072】
本実施形態では、図13に示すように、コモンレール圧予測値を、気筒別に一時記憶された前気筒コモンレール圧差DPk+1 に加え、新たに読み込まれた実コモンレール圧NPCに基づいて算出するようにすることで、エンジンが過渡状態にありコモンレール圧が全体的に増減する場合でも応答性よく精度の高いコモンレール圧予測値を得ることができる。
【0073】
しかも、コモンレール圧変化の予測値である前気筒コモンレール圧差DPk は、式(5)より知られるように、所定の順序だけ前の気筒である前気筒における実コモンレール圧NPCOからの変化であり、コモンレール圧予測値を得るに際しては、式(4)より知られるように前気筒コモンレール圧差DPk+1 に前気筒における実コモンレール圧NPCを加算している。したがって、コモンレール圧予測値には、最新の実コモンレール圧が反映していることになり、特に応答性はよい。勿論、前気筒コモンレール圧差を、前々気筒を所定の順序だけ前の気筒として算出してもよく、この場合は、コモンレール圧予測値を、上記前気筒コモンレール圧差に前々気筒の実コモンレール圧を加算して求める。
【0074】
(第5実施形態)
本発明の第5の実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置について説明する。第1実施形態において、ECU5で実行される制御のうち、インジェクタ制御サブルーチンを別の設定に代えたものである。第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0075】
図14に本実施形態におけるインジェクタ制御サブルーチンの手順を示す。本インジェクタ制御サブルーチンは、実質的に基本的な手順が第1実施形態(図3)と同じで、気筒別コモンレール圧予測処理(ステップS204)の次に、コモンレール圧予測反映禁止判定サブルーチン(ステップS204A)を行うようにしたものであり、図15に、このコモンレール圧予測反映禁止判定サブルーチンを示す。
【0076】
ステップS801は機関状態検出手段としての手順で、ステップS105で算出された今回の指令コモンレール圧PFINと前回の指令コモンレール圧PFINOの差が予め定めた所定値α(例えば5MPa)以内か否かを判断し、この差が所定値αを越えていればエンジンは急変状態にあると判定してステップS802に進む。
【0077】
ステップS802は禁止手段としての手順で、コモンレール圧予測値NPCFを、ステップS202で読み込まれた実コモンレール圧NPCにより書き換え、ステップS803で前回の指令コモンレール圧PFINOを今回の指令コモンレール圧PFINにより更新する。
【0078】
なお、ステップS801で今回の指令コモンレール圧PFINと前回の指令コモンレール圧PFINOの差が所定値α以下であればステップS802をスキップしてステップS803に進みコモンレール圧予測を許容する。
【0079】
このように、エンジンは急変状態にあれば噴射パルスTQの算出は実コモンレール圧NPCにより行われ、実質的にコモンレール圧予測は禁止され、予測値は燃料噴射パルスの算出(ステップS205)に反映されない。
【0080】
エンジンの過渡状態においては、燃料噴射量は、インジェクタ2の経年劣化等に起因する誤差に増して追従遅れによる誤差が相対的に大きくなるが、本実施形態では、急変状態においてはコモンレール圧予測は禁止されるので、上記追従遅れを防止することができる。一方、急変状態とみなせない範囲においては上記のごとくコモンレール圧予測を実行するので、エンジンの運転状態によらず良好な燃料噴射制御を実現することができる。
【0081】
しかも、急変状態か否かを燃料噴射制御に用いられるパラメータに基づいて判断できるので、実質的に新たな構成の付加は不要であり、演算負荷も小さくて済む。
【0082】
(第6実施形態)
本発明の第6の実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置について説明する。第5実施形態において、ECU5で実行される制御のうち、コモンレール圧予測反映禁止判定サブルーチンを別の設定に代えたものである。第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0083】
図16に本実施形態におけるコモンレール圧予測反映禁止判定サブルーチンの手順を示す。
【0084】
ステップS901は機関状態検出手段としての手順で、ステップS202で読み込まれた実コモンレール圧NPCと予測コモンレール圧NPCF(図14ステップS204)との差が予め定めた所定値α以内か否かを判断し、この差が所定値αを越えていれば、エンジンは急変状態にあると判定してステップS902に進む。
【0085】
ステップS902は禁止手段としての手順で、コモンレール圧予測値NPCFを上記実コモンレール圧NPCにより書き換える。
【0086】
なお、ステップS901で上記実コモンレール圧NPCと予測コモンレール圧NPCFとの差が所定値α以下であればステップS902をスキップして本サブルーチンを終了する。
【0087】
このように、本実施形態の構成によっても、エンジンが急変状態にあれば噴射パルスTQの算出は実コモンレール圧NPCにより行われ、実質的にコモンレール圧予測は禁止され、予測値は燃料噴射パルスの算出(ステップS205)に反映されない。したがって、エンジンの運転状態によらず良好な燃料噴射制御を実現することができる。
【0088】
しかも、急変状態か否かを燃料噴射制御に用いられるパラメータに基づいて判断できるので、実質的に新たな構成の付加は不要であり、演算負荷も小さくて済む。
【0089】
(第7実施形態)
本発明の第7の実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置について説明する。第5実施形態において、ECU5で実行される制御のうち、コモンレール圧予測反映禁止判定サブルーチンを別の設定に代えたものである。第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0090】
図17に本実施形態におけるコモンレール圧予測反映禁止判定サブルーチンの手順を示す。
【0091】
ステップS1001は機関状態検出手段としての手順で、ステップS105で算出された今回の指令コモンレール圧PFINと前回の指令コモンレール圧PFINOの差が予め定めた所定値α(例えば5MPa)以内か否かを判断し、この差が所定値αを越えていれば、エンジンは急変状態にあると判定してステップS1002に進む。
【0092】
ステップS1002では反映禁止フラグXSTPを「1」にセットする。反映禁止フラグXSTPは、「1」のときはコモンレール圧予測(ステップS204)の結果の噴射パルス算出(ステップS205)への反映禁止を意味し、「0」のときは上記コモンレール圧予測結果の反映許容を意味する。
【0093】
ステップS1003は禁止手段としての手順で、コモンレール圧予測値NPCFをステップS202で読み込まれた実コモンレール圧NPCに書き換え、ステップS1004で前回の指令コモンレール圧PFINOを今回の目標コモンレール圧PFINにより更新する。
【0094】
ステップS1001で今回の指令コモンレール圧PFINと前回の指令コモンレール圧PFINOの差が所定値α以下であればステップS1005に進み反映禁止フラグXSTPが「0」であるか否かを判断し、反映禁止フラグXSTPが「0」すなわち反映許容であればステップS1006に進む。
【0095】
ステップS1006では反映解除カウンタTDLYを「0」にリセットし上記ステップS1004に進む。この反映解除カウンタTDLYは、図18に示す10msec割り込みルーチンにより10msecごとに1ずつインクリメントされる(ステップS1101)カウンタである。
【0096】
ステップS1005で反映禁止フラグXSTPが「1」すなわち反映禁止であればステップS1007に進む。ステップS1007では反映解除カウンタTDLYが予め設定した所定カウント値γ(例えば25(250msecに相当))を越えているか否かを判断し、越えていなければステップS1009に進む。ステップS1007,S1009は、上記ステップS1003とともに禁止手段としての手順で、ステップS1003と同様にコモンレール圧予測値NPCFを実コモンレール圧NPCに書き換えて実質的に予測反映を禁止し、ステップS1004に進む。
【0097】
ステップS1007で反映解除カウンタTDLYが所定カウント値γを越えるとステップS1008に進み反映禁止フラグXSTPを「0」すなわち反映許容にセットし、実質的に予測反映を禁止する上記ステップS1009は行わずにステップS1004に進む。
【0098】
加速時や減速時のように、ある定常状態から、過渡期を経て目標コモンレール圧の異なる別の定常状態へ移行する場合を考え、本コモンレール圧予測反映禁止判定サブルーチンの特徴を説明する。まず、定常状態では指令コモンレール圧PFINが急変することはなく、ステップS1001からステップS1005,S1006という手順が実行され、ステップS204にて予測されたコモンレール圧がステップS205の燃料噴射パルスTQの算出に反映される。
【0099】
その後、加減速の開始により指令コモンレール圧PFINが急変するとステップS1001からステップS1002,S1003が実行され、目標コモンレール圧PFINが大きく変化する過渡期の間、コモンレール圧予測が実質的に禁止されてコモンレール圧予測値が燃料噴射パルスの算出(ステップS205)に反映されない。これにより、第5、第6実施形態と同様に上記追従遅れによる精度不良を回避することができる。
【0100】
そして指令コモンレール圧PFINが収束し別の定常状態に移行するとステップS1001からステップS1005に進むが、上記過渡期においてコモンレール圧予測が禁止されている(反映禁止フラグXSTP=1ステップS1002)からステップS1005からステップS1007に進み、γにて規定される所定時間が経過するまでは過渡期同様にコモンレール圧予測が実質的に禁止されてコモンレール圧予測値が燃料噴射パルスの算出(ステップS205)に反映されない。これにより、過渡期脱出後におけるコモンレール圧の予測精度を確保することができ、燃料噴***度の悪化を未然に防止することができる。
【0101】
そして指令コモンレール圧PFINが再び急変することなく上記所定時間が経過するとステップS1007からステップS1008に進み、コモンレール圧予測値が反映された制御が行われる。
【0102】
なお、ステップS1008で反映禁止フラグXSTPを「0」としているので、以降は、過渡期に入る前の定常状態と同様にステップS1001,S1005,S1006が実行される。
【0103】
なお、上記第3〜第7実施形態の構成は、気筒群ごとにコモンレール圧を予測する第2実施形態の構成に適用することができる。
【0104】
また、本発明は、4気筒ディーゼル機関用に設計された高圧供給ポンプを6気筒ディーゼル機関に付設した場合のように燃料噴射と燃料圧送とが非同期となる構成の装置に適用したとき特に優れた作用効果を得るものであるが、燃料噴射と燃料圧送とが同期する構成の装置に適用してもなんら問題がないのは勿論であり、汎用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置を適用したディーゼル機関の構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置のECUにおいて実行される燃料噴射制御を示す第1のフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置のECUにおいて実行される燃料噴射制御を示す第2のフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置のECUにおいて実行される燃料噴射制御を示す第3のフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置のECUにおいて実行される燃料噴射制御を示す第4のフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置の作動を示すタイムチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置のECUにおいて実行される燃料噴射制御を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置の作動を説明する図である。
【図9】本発明の第3実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置のECUにおいて実行される燃料噴射制御を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置の作動を示す第1のタイムチャートである。
【図11】本発明の第3実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置の作動を示す第2のタイムチャートである。
【図12】本発明の第4実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置のECUにおいて実行される燃料噴射制御を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第4実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置の作動を示すタイムチャートである。
【図14】本発明の第5実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置のECUにおいて実行される燃料噴射制御を示す第1のフローチャートである。
【図15】本発明の第5実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置のECUにおいて実行される燃料噴射制御を示す第2のフローチャートである。
【図16】本発明の第6実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置のECUにおいて実行される燃料噴射制御を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第7実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置のECUにおいて実行される燃料噴射制御を示す第1のフローチャートである。
【図18】本発明の第7実施形態になる蓄圧式燃料噴射装置のECUにおいて実行される燃料噴射制御を示す第2のフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2 インジェクタ
3 コモンレール(蓄圧配管)
4 高圧供給ポンプ(燃料ポンプ)
5 電子制御ユニット(制御手段、燃料圧予測手段、平均算出手段、偏差予測値算出手段、燃料圧予測値算出手段、変化予測値算出手段、機関状態検出手段、禁止手段)
83 コモンレール圧センサ(燃料圧検出手段)

Claims (13)

  1. 内燃機関の気筒ごとに設けられて気筒内に燃料を噴射するインジェクタと、高圧に蓄圧された燃料を保持しインジェクタに供給する蓄圧配管と、各気筒の燃料噴射が一巡する間に蓄圧配管に所定の回数の燃料圧送を行う燃料ポンプと、蓄圧配管の燃料圧を検出する燃料圧検出手段と、検出された燃料圧に基づいてインジェクタの噴射時間を算出しインジェクタの燃料噴射制御を行う制御手段とを具備する蓄圧式燃料噴射装置において、上記制御手段には、今回の燃料噴射を行う気筒の、その燃料噴射における蓄圧配管の燃料圧を、順次、燃料噴射が行われる所定数の気筒であって上記今回燃料噴射を行う気筒を含む所定数の気筒を今回の所定数の気筒として、該今回の所定数の気筒の前に順次、燃料噴射が行われた上記所定数と同じ数の前回の所定数の気筒の中で、上記今回燃料噴射を行う気筒と燃料噴射順序が同一の気筒で燃料噴射が行われたときの燃料圧に基づいて予測する燃料圧予測手段を具備せしめ、上記所定数は、上記内燃機関の気筒数と同じ数、若しくは、上記内燃機関の気筒数を該気筒数と上記燃料圧送回数との公約数で除した数としたことを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。
  2. 請求項1記載の蓄圧式燃料噴射装置において、上記燃料ポンプが上記燃料圧送回数が内燃機関の気筒数よりも少ない蓄圧式燃料噴射装置。
  3. 請求項1または2いずれか記載の蓄圧式燃料噴射装置において、上記燃料圧予測手段を、燃料噴射に先立って検出された燃料圧を上記燃料噴射順序ごとに一時記憶し、記憶された、今回の燃料噴射を行う気筒と同一燃料噴射順序の燃料圧を、今回の燃料噴射を行う気筒の燃料噴射における燃料圧予測値とするように設定した蓄圧式燃料噴射装置。
  4. 請求項1または2いずれか記載の蓄圧式燃料噴射装置において、上記燃料圧予測手段には、検出された燃料圧の平均値を算出する平均算出手段と、燃料噴射に先立って検出された燃料圧と平均燃料圧との偏差に基づいて偏差予測値を算出し上記燃料噴射順序ごとに一時記憶する偏差予測値算出手段と、今回の燃料噴射を行う気筒の燃料噴射における蓄圧配管の燃料圧予測値を平均燃料圧と、上記偏差予測値算出手段により記憶された、今回の燃料噴射を行う気筒と同一燃料噴射順序の偏差予測値との加算により算出する燃料圧予測値算出手段とを具備せしめた蓄圧式燃料噴射装置。
  5. 請求項4記載の蓄圧式燃料噴射装置において、上記平均算出手段は、平均燃料圧を、燃料圧が検出されるごとに算出、更新するように設定した蓄圧式燃料噴射装置。
  6. 請求項4または5いずれか記載の蓄圧式燃料噴射装置において、上記偏差予測値算出手段は、偏差予測値を、検出燃料圧と平均燃料圧との偏差と前回の偏差予測値との重み付き平均により算出、更新するように設定した蓄圧式燃料噴射装置。
  7. 請求項1または2いずれか記載の蓄圧式燃料噴射装置において、上記燃料圧予測手段は、燃料噴射に先立って検出された燃料圧の、燃料噴射順序が当該気筒よりも所定の順序だけ前の気筒の燃料噴射における燃料圧からの変化に基づいて上記当該気筒と同一燃料噴射順序の気筒の変化予測値を算出し上記燃料噴射順序ごとに一時記憶する変化予測値算出手段と、今回の燃料噴射を行う気筒の燃料噴射における燃料圧予測値を、上記変化予測値算出手段に記憶された、今回の燃料噴射を行う気筒と同一燃料噴射順序の変化予測値と、上記今回の燃料噴射を行う気筒よりも燃料噴射順序が上記所定の順序だけ前の気筒における検出燃料圧との加算により算出する燃料圧予測値算出手段とを具備せしめた蓄圧式燃料噴射装置。
  8. 請求項1ないし7いずれか記載の蓄圧式燃料噴射装置において、上記制御手段には、内燃機関の運転状態が急変状態にあるか否かを検出する機関状態検出手段と、内燃機関が急変状態にあると判定されると上記燃料圧予測手段の作動を禁止する禁止手段とを具備せしめた蓄圧式燃料噴射装置。
  9. 請求項8記載の蓄圧式燃料噴射装置において、上記機関状態検出手段は、燃料噴射に先立って検出された燃料圧と燃料圧予測値との差が予め定めた所定値を越えると急変状態と判定するように設定した蓄圧式燃料噴射装置。
  10. 請求項8記載の蓄圧式燃料噴射装置において、上記機関状態検出手段は、上記燃料ポンプの燃料圧送制御における目標燃料圧の前気筒の目標燃料圧からの変化が予め定めた所定値を越えると急変状態と判定するように設定した蓄圧式燃料噴射装置。
  11. 請求項8ないし10いずれか記載の蓄圧式燃料噴射装置において、上記禁止手段を、内燃機関が急変状態から復帰後の一定時間は上記燃料圧予測手段の作動禁止を保持するように設定した蓄圧式燃料噴射装置。
  12. 請求項1ないし11いずれか記載の蓄圧式燃料噴射装置において、上記制御手段は、燃料圧検出手段による燃料圧の検出をインジェクタの噴射直前に行うように設定した蓄圧式燃料噴射装置。
  13. 請求項1ないし12いずれか記載の蓄圧式燃料噴射装置において、上記制御手段は、燃料圧の検出をインジェクタの駆動指令の出力に対応して行う割り込み処理にて行うように設定した蓄圧式燃料噴射装置。
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