JP4280350B2 - 高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置 - Google Patents

高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料ポンプから蓄圧配管に圧送供給される燃料を蓄圧配管に接続された燃料噴射弁から内燃機関に噴射供給するようにした高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置に係り、詳しくは燃料噴射の制御精度を高める上で有用な制御構造の具現に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、コモンレール等の畜圧配管を備える内燃機関にあっては、燃料ポンプから蓄圧配管に高圧燃料を圧送するとともに、同蓄圧配管に接続された燃料噴射弁から機関燃焼室内に高圧燃料を噴射するようにしている。この燃料噴射量を制御する際には、まず蓄圧配管内の燃料圧を燃料噴射圧として検出するとともに、機関運転状態に基づいて機関要求噴射量を算出する。そして、これら燃料圧と機関要求噴射量とに基づいて燃料噴射弁の開弁期間を決定するための指令値を設定し、同指令値に基づいて燃料噴射弁を駆動する。その結果、燃料噴射弁からは機関要求噴射量と等しい量の燃料が噴射されるようになる。
【0003】
ところで、上記のように燃料圧が検出されてから燃料噴射が開始されるまでの間に、例えば燃料ポンプの燃料圧送により蓄圧配管内の燃料圧が上昇するようなことがあると、上記指令値を設定したときよりも高い燃料圧に基づいて燃料噴射が実行されるようになる。従って、燃料噴射弁から実際に噴射される燃料の量は機関要求噴射量よりも多くなり、こうした実燃料噴射量と機関要求噴射量との間のずれが過大になると排気性状の悪化等の問題が顕在化することとなる。
【0004】
こうした燃料噴射制御の精度悪化を抑制する上では、燃料噴射が開始される直前に燃料圧を検出する等、燃料圧の検出から燃料噴射が開始されるまでの期間を極力短く設定するのが望ましい。しかしながら、実際には、この期間中に上記指令値等、燃料噴射弁を駆動するための制御指令値を算出する必要があることから、演算負荷等を考慮すると同期間を短く設定するにも自ずと限界がある。
【0005】
そこで従来では、例えば特開平6−93915号公報に記載されるように、機関過渡運転時に、燃料圧の前回検出値と前々回検出値との差を前回検出値に加算し、この加算値と燃料要求噴射量とに基づいて燃料噴射期間(指令値)を設定するようにしている。即ち、燃料圧の検出時から燃料噴射が開始されるまでの間の燃料圧の変化をその変化履歴に基づいて予測し、燃料噴射期間の設定の際にこの予測値を実測値に代えて用いるようにしている。その結果、燃料圧が検出されてから燃料噴射が開始されるまでの燃料圧変化を予め見越して適正な燃料噴射期間を設定することができ、機関過渡運転時においても燃料噴射量を正確に制御することができるようになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、こうした従来の燃料噴射制御では、燃料圧の変化履歴に基づいて燃料圧の検出後に生じる燃料圧変化を予測するようにしているため、例えば機関定常運転時において、燃料圧の検出値は殆ど変化せず常に略同じ値になっているものの、各検出時期の間の期間に同燃料圧が大きく変化するような場合には、もはやこの燃料圧変化を予測することはできなくなり、当然これに対処することはできない。
【0007】
即ち、図13に示すように、燃料圧の各検出タイミングt1,t3,t5において燃料圧はいずれも所定値PCRとして検出されるものの、燃料噴射が開始されるタイミングt2,t4,t6までに燃料圧が燃料ポンプの燃料圧送により所定値PCRINJにまで上昇するような場合、従来の燃料噴射制御では燃料圧変化が無いものとして判断される。その結果、燃料噴射が開始されるタイミングt2,t4,t6において燃料圧が所定値PCRINJにまで上昇しているにも拘わらず、こうした燃料圧の上昇が反映されることなく、各検出タイミングt1,t3,t5での検出値PCRに基づいて燃料噴射期間は設定されてしまうこととなる。
【0008】
従って、このような場合、従来の燃料噴射制御では、実際の燃料噴射量を機関要求噴射量と一致させる上で適正な値として燃料噴射期間を設定することはできず、燃料噴射量制御の精度低下も避けきれないものとなっていた。
【0009】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄圧配管内における燃料圧の変化を燃料噴射制御に確実に反映させて、その制御精度を向上させることのできる高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載した発明では、内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射弁が接続され燃料ポンプから燃料が圧送供給される蓄圧配管内の燃料圧を前記燃料ポンプにおける燃料の圧送行程から吸入行程に切り替わる時期に検出し、該検出燃料圧及び機関要求噴射量に基づき設定される制御指令値に基づいて前記燃料噴射弁を駆動制御する高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、前記蓄圧配管内の燃料圧を可変とする前記高圧燃料噴射系の可変要素に基づいて前記燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までの前記燃料圧の変化を推定する推定手段と、前記燃料噴射弁の実燃料噴射量を前記機関要求噴射量に一致させるべく前記制御指令値を前記推定される燃料圧変化に基づいて補正する補正手段とを備え、前記推定手段は、前記燃料ポンプの燃料圧送量及び前記燃料噴射弁に接続されたリリーフ通路を介してリークする燃料のリーク量を前記可変要素とし、前記燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までの前記燃料圧送量及び前記リーク量に基づいて前記燃料圧変化を推定するようにしている。
【0011】
上記構成によれば、燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までに高圧燃料噴射系の可変要素に応じて燃料圧が変化すれば、仮に同燃料圧の検出値が殆ど変化しない機関定常運転時であっても、その燃料圧変化を可変要素に基づいて確実に推定することができる。従って、この燃料圧変化に基づいて燃料噴射弁の制御指令値を補正することにより、この燃料圧変化に起因して燃料噴射弁の実燃料噴射量が機関要求噴射量からずれるのを抑制することができる。その結果、蓄圧配管内の燃料圧変化、特にそれが燃料圧の検出後に生じたものであれ、同燃料圧変化を燃料噴射制御に確実に反映させることができ、極めて精度の高い燃料噴射制御を実現することができるようになる。
【0012】
尚、上記制御指令値としては、燃料噴射弁の開弁期間を決定するための開弁期間指令値や同燃料噴射弁の開度を決定するための開度指令値を挙げることができる。
【0014】
特に、上記構成によれば、燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までの燃料圧送に伴う燃料圧の上昇量を確実に推定し、この上昇量に基づいて制御指令値を補正することにより、実燃料噴射量が機関要求噴射量よりも多くなるのを抑制することができる。その結果、排気性状の悪化等、機関運転状態に適さない過大な量の燃料が内燃機関に供給されることに起因する不具合の発生を回避できるようになる。
【0016】
加えて、上記構成によれば、燃料噴射弁に接続されたリリーフ通路を介して燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までにリークする燃料リークに伴う燃料圧の低下量を確実に推定し、この低下量に基づいて制御指令値を補正することにより、実燃料噴射量が機関要求噴射量よりも少なくなるのを抑制することができる。その結果、機関出力の低下等、機関運転状態に適した十分な量の燃料が内燃機関に供給されないことに起因する不具合の発生を回避できるようになる。
【0017】
また、こうした燃料噴射制御を実現するための更に具体的な構成としては、請求項に記載した発明によるように、請求項1に記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、前記制御指令値は前記燃料噴射弁の開弁期間指令値であり、前記補正手段は前記燃料圧変化に基づいて前記開弁期間指令値の補正値を算出し、該補正値に基づいて同開弁期間指令値を補正するものである、
といった構成や、請求項に記載した発明によるように、請求項1に記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、前記制御指令値は前記燃料噴射弁の開弁期間指令値であり、前記補正手段は前記検出燃料圧を前記燃料圧変化に基づき補することにより、該補正によって更新された検出燃料圧及び前記機関要求噴射量に基づき設定される前記開弁期間指令値の補正を行うものである、
といった構成を採用することができる。
【0018】
これら各構成によれば、請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、実燃料噴射量と機関要求噴射量とを一致させる上で適正な値に開弁期間指令値を補正することができ、燃料噴射弁の燃料噴射期間を極めて精度良く設定することができるようになる。
【0019】
特に、請求項に記載した発明の構成によれば、開弁期間指令値を適正な値に補正する上で、検出燃料圧を予め燃料圧変化に基づいて補正しておくだけでよく、開弁期間指令値の補正値を別途算出する必要も無いため、制御構造の簡素化を図ることができるようになる。
【0020】
請求項に記載した発明では、請求項又はに記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、前記推定手段は燃料噴射期間中の前記燃料ポンプの燃料圧送に伴う前記燃料圧の変化を同燃料噴射期間中の燃料圧送量に基づいて更に推定し、前記補正手段は前記実燃料噴射量を前記機関要求噴射量に一致させるべく前記開弁期間指令値を前記燃料噴射期間中の燃料圧変化に基づいて更に補正するものであるとしている。
【0021】
また、請求項に記載した発明では、請求項又はに記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、前記推定手段は燃料噴射期間中の前記リリーフ通路を介した燃料のリークに伴う前記燃料圧の変化を同燃料噴射期間中のリーク量に基づいて更に推定し、前記補正手段は前記実燃料噴射量を前記機関要求噴射量に一致させるべく前記開弁期間指令値を前記燃料噴射期間中の燃料圧変化に基づいて更に補正するものであるとしている。
【0022】
燃料噴射期間中に燃料ポンプから燃料が圧送されると、蓄圧配管内の燃料圧の低下が緩やかになるため、こうした燃料圧送が行われない場合と比較して燃料噴射量が増大するようになる。一方、燃料噴射期間中に蓄圧配管から燃料がリークすると、蓄圧配管内の燃料圧の低下がより急激になるため、こうした燃料リークがない場合と比較して燃料噴射量が減少するようになる。従って、燃料噴射量の制御精度を更に高める上では、燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までの燃料圧変化に加え、こうした燃料噴射期間中における燃料圧送や燃料リークによる影響を開弁期間指令値を設定する際に考慮するのが望ましい。
【0023】
請求項に記載した発明の構成によれば、請求項又はに記載した発明の作用効果に加えて、燃料噴射期間中の燃料圧送に伴う燃料圧変化に起因して実燃料噴射量が機関要求噴射量よりも多くなるのを抑制することができ、この点で、排気性状の悪化等、機関運転状態に適さない過大な量の燃料が内燃機関に供給されることに起因する不具合の発生を回避できるようになる。
【0024】
また、請求項に記載した発明の構成によれば、請求項又はに記載した発明の作用効果に加えて、燃料噴射期間中の燃料リークに伴う燃料圧変化に起因して実燃料噴射量が機関要求噴射量よりも少なくなるのを抑制することができ、この点で、機関出力の低下等、機関運転状態に適した十分な量の燃料が内燃機関に供給されないことに起因する不具合の発生を回避できるようになる。
【0025】
請求項に記載した発明では、内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射弁が接続され燃料ポンプから燃料が圧送供給される蓄圧配管内の燃料圧を前記燃料ポンプにおける燃料の圧送行程から吸入行程に切り替わる時期に検出し、該検出燃料圧及び機関要求噴射量に基づき設定される制御指令値に基づいて前記燃料噴射弁を駆動制御する高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、前記蓄圧配管内の燃料圧を可変とする前記高圧燃料噴射系の可変要素に基づいて前記燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までの前記燃料圧の変化を推定する推定手段と、前記燃料噴射弁の実燃料噴射量を前記機関要求噴射量に一致させるべく前記制御指令値を前記推定される燃料圧変化に基づいて補正する補正手段とを備え、前記高圧燃料噴射系は前記機関要求噴射量と等しい量の燃料を分割して前記燃料噴射弁から噴射するものであり、前記制御指令値は各燃料噴射での要求燃料噴射量及び前記検出燃料圧に基づき各燃料噴射毎に各別に設定され、前記推定手段は前記燃料噴射弁の燃料噴射量を前記可変要素とし、前記燃料圧の検出時から各燃料噴射のうちの特定の燃料噴射が開始される時までの前記燃料噴射量の積算値に基づいて前記燃料圧の変化を推定し、前記補正手段は前記燃料圧変化に基づいて前記特定の燃料噴射での実燃料噴射量を同特定の燃料噴射での要求燃料噴射量に一致させるべく前記特定の燃料噴射における制御指令値を補正するものであるとしている。
【0026】
上記構成によれば、燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までに高圧燃料噴射系の可変要素に応じて燃料圧が変化すれば、仮に同燃料圧の検出値が殆ど変化しない機関定常運転時であっても、その燃料圧変化を可変要素に基づいて確実に推定することができる。従って、この燃料圧変化に基づいて燃料噴射弁の制御指令値を補正することにより、この燃料圧変化に起因して燃料噴射弁の実燃料噴射量が機関要求噴射量からずれるのを抑制することができる。その結果、蓄圧配管内の燃料圧変化、特にそれが燃料圧の検出後に生じたものであれ、同燃料圧変化を燃料噴射制御に確実に反映させることができ、極めて精度の高い燃料噴射制御を実現することができるようになる。そして特に、燃料圧変化に基づいて特定の燃料噴射における制御指令値を補正することにより、この燃料圧変化に起因して特定の燃料噴射での実燃料噴射量が機関要求噴射量からずれるのを抑制することができる。その結果、機関要求噴射量を複数回に分割して噴射するようにした高圧燃料噴射系においても、極めて精度の高い燃料噴射制御を実現することができるようになる。
【0028】
また上記構成によれば、燃料圧の検出時から特定の燃料噴射が開始される時までに行われる燃料噴射に伴う燃料圧の低下量を確実に推定し、この低下量に基づいて特定の燃料噴射における制御指令値を補正することにより、実燃料噴射量が機関要求噴射量よりも少なくなるのを抑制することができる。その結果、機関出力の低下等、機関運転状態に適した十分な量の燃料が内燃機関に供給されないことに起因する不具合の発生を回避できるようになる。
【0029】
請求項に記載した発明では、内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射弁が接続され燃料ポンプから燃料が圧送供給される蓄圧配管内の燃料圧を前記燃料ポンプにおける燃料の圧送行程から吸入行程に切り替わる時期に検出し、該検出燃料圧及び機関要求噴射量に基づき設定される制御指令値に基づいて前記燃料噴射弁を駆動制御する高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、前記蓄圧配管内の燃料圧を可変とする前記高圧燃料噴射系の可変要素に基づいて前記燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までの前記燃料圧の変化を推定する推定手段と、前記燃料噴射弁の実燃料噴射量を前記機関要求噴射量に一致させるべく前記制御指令値を前記推定される燃料圧変化に基づいて補正する補正手段とを備え、前記高圧燃料噴射系は前記機関要求噴射量と等しい量の燃料を分割して前記燃料噴射弁から噴射するものであり、前記制御指令値は各燃料噴射での要求燃料噴射量及び前記検出燃料圧に基づき各燃料噴射毎に各別に設定され、前記推定手段は前記燃料ポンプの燃料圧送量を前記可変要素とし、前記燃料圧の検出時から各燃料噴射のうちの特定の燃料噴射が開始される時までの前記燃料圧送量に基づいて前記燃料圧変化を推定し、前記補正手段は前記燃料圧変化に基づいて前記特定の燃料噴射での実燃料噴射量を同特定の燃料噴射での要求燃料噴射量に一致させるべく前記特定の燃料噴射における制御指令値を補正するものであるとしている。
【0030】
上記構成によれば、燃料圧の検出時から特定の燃料噴射が開始される時までの燃料圧送に伴う燃料圧の上昇量を確実に推定し、この上昇量に基づいて特定の燃料噴射における制御指令値を補正することにより、実燃料噴射量が機関要求噴射量よりも多くなるのを抑制することができる。その結果、排気性状の悪化等、機関運転状態に適さない過大な量の燃料が内燃機関に供給されることに起因する不具合の発生を回避できるようになる。
【0031】
また、請求項に記載した発明では、内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射弁が接続され燃料ポンプから燃料が圧送供給される蓄圧配管内の燃料圧を前記燃料ポンプにおける燃料の圧送行程から吸入行程に切り替わる時期に検出し、該検出燃料圧及び機関要求噴射量に基づき設定される制御指令値に基づいて前記燃料噴射弁を駆動制御する高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、前記蓄圧配管内の燃料圧を可変とする前記高圧燃料噴射系の可変要素に基づいて前記燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までの前記燃料圧の変化を推定する推定手段と、前記燃料噴射弁の実燃料噴射量を前記機関要求噴射量に一致させるべく前記制御指令値を前記推定される燃料圧変化に基づいて補正する補正手段とを備え、前記高圧燃料噴射系は前記機関要求噴射量と等しい量の燃料を分割して前記燃料噴射弁から噴射するものであり、前記制御指令値は各燃料噴射での要求燃料噴射量及び前記検出燃料圧に基づき各燃料噴射毎に各別に設定され、前記推定手段は前記燃料噴射弁に接続されたリリーフ通路を介してリークする燃料のリーク量を前記可変要素とし、前記燃料圧の検出時から各燃料噴射のうちの特定の燃料噴射が開始される時までの前記リーク量に基づいて前記燃料圧変化を推定し、前記補正手段は前記燃料圧変化に基づいて前記特定の燃料噴射での実燃料噴射量を同特定の燃料噴射での要求燃料噴射量に一致させるべく前記特定の燃料噴射における制御指令値を補正するものであるとしている。
【0032】
上記構成によれば、燃料圧の検出時から特定の燃料噴射が開始される時までの燃料のリークに伴う燃料圧の低下量を確実に推定し、この低下量に基づいて特定の燃料噴射における制御指令値を補正することにより、実燃料噴射量が機関要求噴射量よりも少なくなるのを抑制することができる。その結果、機関出力の低下等、機関運転状態に適した十分な量の燃料が内燃機関に供給されないことに起因する不具合の発生を回避ができるようになる。
【0033】
また、こうした燃料噴射制御を実現するための更に具体的な構成としては、請求項に記載した発明によるように、請求項乃至のいずれかに記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、前記制御指令値は前記燃料噴射弁の開弁期間指令値であり、前記補正手段は前記燃料圧変化に基づいて前記特定の燃料噴射における開弁期間指令値の補正値を算出し、該補正値に基づいて同開弁期間指令値を補正するものである、
といった構成や、請求項10に記載した発明によるように、請求項乃至のいずれかに記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、前記制御指令値は前記燃料噴射弁の開弁期間指令値であり、前記補正手段は前記検出燃料圧を前記燃料圧変化に基づき補することにより、該補正によって更新された検出燃料圧及び前記機関要求噴射量に基づき設定される前記特定の燃料噴射における開弁期間指令値の補正を行うものである、
といった構成を採用することができる。
【0034】
これら各構成によれば、請求項乃至のいずれかに記載した発明の作用効果に加えて、特定の燃料噴射での実燃料噴射量と機関要求噴射量とを一致させる上で適正な値に特定の燃料噴射における開弁期間指令値を補正することができ、特定の燃料噴射における燃料噴射弁の燃料噴射期間を極めて精度良く設定することができるようになる。
【0035】
特に、請求項10に記載した発明の構成によれば、特定の燃料噴射における開弁期間指令値を適正な値に補正する上で、検出燃料圧を予め燃料圧変化に基づいて補正しておくだけでよく、同開弁期間指令値の補正値を別途算出する必要も無いため、制御構造の簡素化を図ることができるようになる。
【0036】
更に、請求項11に記載した発明では、請求項又は10に記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、前記推定手段は前記特定の燃料噴射での噴射期間中の前記燃料ポンプの燃料圧送に伴う前記燃料圧の変化を同噴射期間中の燃料圧送量に基づいて更に推定し、前記補正手段は前記実燃料噴射量を前記特定の燃料噴射での要求燃料噴射量に一致させるべく前記特定の燃料噴射における開弁期間指令値を前記噴射期間中の燃料圧変化に基づいて更に補正するものであるとしている。
【0037】
上記構成によれば、請求項又は10に記載した発明の作用効果に加えて、特定の燃料噴射での燃料噴射期間中の燃料圧送に伴って燃料圧が変化し、その燃料圧変化に起因して特定の燃料噴射での実燃料噴射量が同特定の燃料噴射での要求燃料噴射量よりも多くなるのを抑制することができ、この点で、排気性状の悪化等、機関運転状態に適さない過大な量の燃料が内燃機関に供給されることに起因する不具合の発生を回避できるようになる。
【0038】
請求項12に記載した発明では、請求項又は10に記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、前記推定手段は前記特定の燃料噴射での噴射期間中の前記燃料噴射弁に接続されたリリーフ通路を介した燃料リークに伴う前記燃料圧の変化を同噴射期間中のリーク量に基づいて更に推定し、前記補正手段は前記実燃料噴射量を前記特定の燃料噴射での要求燃料噴射量に一致させるべく前記特定の燃料噴射における開弁期間指令値を前記噴射期間中の燃料圧変化に基づいて更に補正するものであるとしている。
【0039】
上記構成によれば、請求項又は10に記載した発明の作用効果に加えて、特定の燃料噴射での燃料噴射期間中の燃料リークに伴って燃料圧が変化し、その燃料圧変化に起因して特定の燃料噴射での実燃料噴射量が同特定の燃料噴射での要求燃料噴射量よりも少なくなるのを抑制することができ、この点で、機関出力の低下等、機関運転状態に適した十分な量の燃料が内燃機関に供給されないことに起因する不具合の発生を回避できるようになる。
【0040】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明を4気筒直噴式ディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」という)の燃料噴射制御装置に適用するようにした第1の実施形態について説明する。
【0041】
図1はエンジン10及びその高圧燃料噴射系の概略構成を示している。
同図に示すように、この高圧燃料噴射系は、エンジン10の各気筒#1〜#4に対応してそれぞれ設けられたインジェクタ12、これら各インジェクタ12が接続されたコモンレール20、燃料タンク14内の燃料をコモンレール20に圧送する燃料ポンプ30、及び電子制御装置(以下、「ECU」と略記する)60を備えている。
【0042】
コモンレール20は燃料ポンプ30から圧送される高圧の燃料を所定圧力に蓄圧する機能を有するものであり、その内部の燃料圧(以下、「レール圧」という)に基づいてインジェクタ12の燃料噴射圧が決定される。このコモンレール20にはリリーフバルブ22が取り付けられており、同リリーフバルブ22はリリーフ通路21を介して燃料タンク14に接続されている。このリリーフバルブ22は、レール圧が予め定められた上限設定圧以上になると開弁し、同レール圧を低下させる。
【0043】
インジェクタ12はECU60により開閉駆動される電磁弁であり、コモンレール20から供給される燃料を各気筒#1〜#4の燃焼室(図示略)内に噴射する。各インジェクタ12はリリーフ通路21を介して燃料タンク14にも接続されている。インジェクタ12が全て閉弁状態となっている場合でも、コモンレール20から各インジェクタ12に供給される燃料の一部はインジェクタ12の内部に定常的にリークしており、このようにリークした燃料は、リリーフ通路21を通じて燃料タンク14に戻されるようになっている。
【0044】
ECU60は燃料ポンプ30の燃料圧送や、インジェクタ12の燃料噴射に係る制御を実行するものであり、各種制御プログラム、関数データ等が記憶されるメモリ64と、各種演算処理を実行するCPU62等により構成されている。
【0045】
また、このECU60にはエンジン10の運転状態やコモンレール20内の燃料状態等を検出するための各種センサが接続されており、これら各センサから検出信号がそれぞれ入力される。
【0046】
例えば、エンジン10のクランクシャフト(図示略)の近傍には回転数センサ65が、カムシャフト(図示略)の近傍には気筒判別センサ66がそれぞれ設けられている。ECU60はこれら各センサ65,66から入力される検出信号に基づいてクランクシャフトの回転速度(機関回転速度NE)と、同クランクシャフトの回転角度(クランク角CA)とをそれぞれ算出する。
【0047】
また、アクセルペダル(図示略)の近傍にはアクセルセンサ67が設けられており、同アクセルセンサ67からはアクセルペダルの踏込量(アクセル開度ACCP)に応じた検出信号が出力される。コモンレール20には燃圧センサ68が設けられており、同燃圧センサ68からはレール圧(実燃料圧PCR)に応じた検出信号が出力される。燃料ポンプ30の吐出ポート38近傍には燃温センサ69が設けられており、同燃温センサ69からは燃料の温度(燃温THF)に応じた検出信号が出力される。ECU60はこれら各センサ67〜69からの検出信号に基づいてアクセル開度ACCP、実燃料圧PCR、及び燃温THFをそれぞれ検出する。
【0048】
燃料ポンプ30は、エンジン10のクランクシャフトにより回転駆動されるドライブシャフト40、ドライブシャフト40の回転に基づいて作動するフィードポンプ31、ドライブシャフト40に形成された環状のカム42によって駆動される一対のサプライポンプ(第1のサプライポンプ50a及び第2のサプライポンプ50b)等を備えている。
【0049】
フィードポンプ31は燃料タンク14内の燃料を吸入通路24を通じて吸入ポート34から吸入するとともに、その燃料を所定のフィード圧をもって第1のサプライポンプ50a及び第2のサプライポンプ50bにそれぞれ供給する。このように吸入ポート34から吸入された燃料のうち、各サプライポンプ50a,50bのいずれにも供給されない余剰燃料は、リリーフポート36からリリーフ通路21を通じて燃料タンク14に戻される。
【0050】
第1のサプライポンプ50a及び第2のサプライポンプ50bはいずれも、いわゆるインナカム式のポンプであり、フィードポンプ31から供給される燃料をプランジャ(図示略)の往復動に基づいて更に高圧(例えば25〜180MPa)に加圧し、その加圧した燃料を吐出ポート38から吐出通路23を通じてコモンレール20に圧送する。また、こうした燃料の圧送動作は、各サプライポンプ50a,50bによって交互に且つ間欠的に行われるようになっている。
【0051】
燃料ポンプ30には、これら各サプライポンプ50a,50bの燃料圧送量を調整するための第1の調整弁70a及び第2の調整弁70bが設けられている。これら各調整弁70a,70bはいずれも電磁弁からなり、ECU60によって開閉駆動される。
【0052】
図2は、各サプライポンプ50a,50bにおける燃料の吸入・圧送タイミング、及び燃料リーク等に伴うレール圧の変化態様等を示すタイミングチャートである。
【0053】
同図に示すように、燃料ポンプ30における燃料の吸入は、クランク角CAについて位相が180°CA(CA:Crank Angle)ずれた状態で各サプライポンプ50a,50bにより交互に行われている。また、燃料ポンプ30における燃料の圧送に関しても同様に、位相が180°CAずれた状態で各サプライポンプ50a,50bにより交互に行われている。
【0054】
同図(c)に示すように、第1の調整弁70aは、第1のサプライポンプ50aの吸入行程中に開弁して燃料の吸入を開始する一方、所定の時期(クランク角CA)に閉弁してその燃料の吸入を停止する。こうして吸入された燃料の全ては吸入行程に続く圧送行程において加圧され、第1のサプライポンプ50aからコモンレール20に圧送される。この第1のサプライポンプ50aの燃料圧送量は第1の調整弁70aの閉弁時期を変更することによって調整することができる。
【0055】
例えば、同図(c),(d)に一点鎖線で示すように、第1の調整弁70aの閉弁時期(クランク角CA)を遅らせ(遅角させ)てその開弁期間を増大させると、第1のサプライポンプ50aの燃料吸入期間が長くなり、燃料吸入量が増大する結果、燃料圧送量が増加するようになる。また、このように第1の調整弁70aの閉弁時期を遅角させると、その遅角量と等しいクランク角CA分だけ第1のサプライポンプ50aの圧送開始時期(クランク角CA)が早められ(進角され)、燃料圧送期間が長くなる。
【0056】
一方、同図(c),(d)に二点鎖線で示すように、第1の調整弁70aの閉弁時期を進角させてその開弁期間を減少させると、第1のサプライポンプ50aの燃料吸入期間が短くなり、燃料吸入量が減少する結果、燃料圧送量が減少するようになる。また、このように、第1の調整弁70aの閉弁時期を進角させると、その進角量と等しいクランク角CA分だけ第1のサプライポンプ50aの圧送開始時期が遅角され、燃料圧送期間が短くなる。
【0057】
第2のサプライポンプ50bに関しても同様に、第2の調整弁70bの閉弁時期(クランク角CA)を遅角或いは進角させることにより、その燃料圧送量を変更することができ、また、その閉弁時期の遅角量或いは進角量と等しいクランク角CA分だけ第2のサプライポンプ50bの燃料圧送開始時期が進角或いは遅角される。
【0058】
尚、各サプライポンプ50a,50bにおける燃料の吸入開始時期及び圧送終了時期はいずれも常に一定の時期(クランク角CA)に設定されており、また、それら各サプライポンプ50a,50bの圧送開始時期は各調整弁70a,70bの閉弁時期に基づいて求めることができる。また、各サプライポンプ50a,50bの単位クランク角CA当たりの燃料圧送量(以下、「燃料圧送速度KQPUMP」という)は等しく、またその圧送開始時期によらず常に一定である。従って、各サプライポンプ50a,50bの燃料圧送期間に上記燃料圧送速度KQPUMPを乗ずることににより、その燃料圧送期間中における総燃料圧送量を求めることができる。
【0059】
ECU60は機関運転状態に基づいてレール圧の目標圧を設定するとともに、この目標圧と燃圧センサ68により検出される実燃料圧PCRとの差に基づいて、これらレール圧と目標圧とが一致するように、上記各調整弁70a,70bを制御する。
【0060】
例えば、実燃料圧PCRが目標圧を下回っている場合には、上記各調整弁70a,70bの閉弁時期を遅角させ、燃料圧送量を増大させることにより、レール圧を上昇させる。一方、実燃料圧PCRが目標圧を上回っている場合には、各調整弁70a,70bの閉弁時期を進角させ、燃料圧送量を減少させることにより、レール圧の上昇を抑えつつ、燃料噴射によって同レール圧を低下させる。
【0061】
こうした燃料圧制御が実行されることにより、レール圧、即ち燃料噴射圧は機関運転状態に適した圧力に制御される。
また、ECU60は機関運転状態に基づいて機関要求噴射量を算出するとともに、この機関要求噴射量とレール圧(実燃料圧PCR)とに基づいて燃料噴射期間(開弁期間)を算出し、この燃料噴射期間に基づいてインジェクタ12を開閉駆動する。
【0062】
ここで、上記燃料噴射期間を算出する際のレール圧の値、即ち燃圧センサ68によって検出される実燃料圧PCRと、燃料噴射開始時のレール圧の値とは必ずしも一致していない。
【0063】
例えば、前述したようにコモンレール20内の燃料はインジェクタ12を通じて燃料タンク14へと常にリークしているため、図2に示すように、燃料噴射開始時のレール圧PCRINJがこうした燃料リークによって実燃料圧PCRよりも低くなる場合がある。或いは、図3に示すように、燃料ポンプ30の燃料圧送期間が長くなり、燃料噴射が開始される前に燃料圧送が開始されるようになると、燃料噴射開始時のレール圧PCRINJがこの燃料圧送によって実燃料圧PCRよりも高くなる場合もある。
【0064】
本実施形態では、こうした実燃料圧PCRの検出時から燃料噴射開始時までのレール圧変化を推定し、そのレール圧変化を燃料噴射期間の算出に反映させるようにしている。
【0065】
以下、こうした燃料噴射に係る制御手順について図4〜7を参照して説明する。
図4及び図5は、燃料噴射期間の算出手順を示すフローチャートである。ECU60は、これら各フローチャートに示す一連の処理を所定のクランク角毎(180°CA毎)の割込処理として実行する。
【0066】
まず、ステップ100において、ECU60は実燃料圧PCRを検出する。この実燃料圧PCRの検出時期、即ち本ルーチンの割込時期は、図2及び図3に示すように、各サプライポンプ50a,50bの状態が吸入行程から圧送行程に切り替わる時期(クランク角CAが例えば各図に示すCA0,CA1,CA2,CA3の各角度に達する時期)に設定されている。
【0067】
ステップ200では、アクセル開度ACCP及び機関回転速度NE等に基づいて機関要求噴射量QFINを算出する。そして、ステップ300では、この機関要求噴射量QFINと実燃料圧PCRとに基づいて基本噴射期間TQFINBを算出する。機関要求噴射量QFIN及び実燃料圧PCRと基本噴射期間TQFINBとの関係は予め実験等に基づき求められ、基本噴射期間TQFINBを算出するための関数データとしてECU60のメモリ64に記憶されている。
【0068】
図6は、この関数データを関数マップとして示している。同図に示すように、基本噴射期間TQFINBは、機関要求噴射量QFINが多くなるほど、また、実燃料圧PCRが低くなるほど相対的に長い期間として算出される。
【0069】
次に、ステップ400において、ECU60は、圧力変化量DPCRを算出する。この圧力変化量DPCRは、実燃料圧PCRの検出時(図2,図3のCA0〜CA3)からインジェクタ12による燃料噴射が開始される時までの期間(クランク角間隔:図2(a)及び図3(a)参照)(以下、この期間を「レール圧変化推定期間APCR」と称する。)での燃料圧送や燃料リークに伴うレール圧の変化量である。
【0070】
図5はこの圧力変化量DPCRの算出手順を詳細に示すフローチャートである。同図に示すステップ402において、ECU60は、燃料圧送期間APUMPを算出する。この燃料圧送期間APUMP(図3(a)参照)は上記レール圧変化推定期間APCR中において燃料圧送が行われる期間(クランク角間隔)である。
【0071】
まず、ECU60は、この燃料圧送期間APUMPを算出する際に、今回の燃料圧送が開始される以前の吸入行程において設定された各調整弁70a,70bの閉弁時期に基づいて、燃料ポンプ30の圧送開始時期を算出する。例えば、今回の割込時期が図3に示すタイミングCA1であるときには、期間(CA0〜CA1)において設定された閉弁時期に基づいて圧送開始時期が算出され、同様にして、割込時期がタイミングCA2であるときには、期間(CA1〜CA2)において設定された閉弁時期に基づいて圧送開始時期が算出される。
【0072】
次に、ECU60は、この圧送開始時期と別途算出される燃料噴射開始時期とを比較し、同圧送開始時期が燃料噴射開始時期よりも遅角側の時期である場合、即ち燃料噴射が開始される以前に燃料圧送が行われない場合には、上記燃料圧送期間APUMPを「0」として算出する。一方、圧送開始時期が燃料噴射開始時期よりも進角側の時期である場合、即ち燃料噴射が開始される以前に燃料圧送が開始される場合には、燃料噴射開始時期と圧送開始時期との間の期間を燃料圧送期間APUMPとして算出する。
【0073】
こうして燃料圧送期間APUMPを算出した後、ECU60は、ステップ404において次の演算式(1)に従ってレール圧変化推定期間APCR中における燃料圧送量QPUMPを算出する。
【0074】
QPUMP=APUMP・KQPUMP ・・・(1)
APUMP:燃料圧送期間
KQPUMP:燃料圧送速度
次に、ECU60はステップ406において、燃料リーク期間TLEAKを算出する。この燃料リーク期間TLEAKは、クランク角CAをその単位とするレール圧変化推定期間APCRを時間に換算したものである。ECU60は、この燃料リーク期間TLEAKを次の演算式(2)に従って算出する。
【0075】
TLEAK=K・APCR/NE ・・・(2)
APCR:レール圧変化推定期間
NE:機関回転速度
K:換算定数
ステップ408では、上記燃料リーク期間TLEAK、実燃料圧PCR、及び燃温THFに基づいてレール圧変化推定期間APCR中における燃料リーク量QLEAKを算出する。この燃料リーク量QLEAKは、燃料リーク期間TLEAKが長くなるほど、実燃料圧PCRが高いほど、また、燃温THFが高いほど多くなる傾向がある。こうした燃料リーク期間TLEAK、実燃料圧PCR、及び燃温THFと燃料リーク量QLEAKとの関係は予め実験等によって求められ、ECU60のメモリ64に同燃料リーク量QLEAKを算出するための関数データとして記憶されている。
【0076】
次にステップ410では、実燃料圧PCR及び燃温THFに基づいて燃料の体積弾性係数Eを算出する。この体積弾性係数Eは、実燃料圧PCRが高くなるほど、また、燃温THFが低くなるほど大きくなる傾向を有している。こうした実燃料圧PCR及び燃温THFと体積弾性係数Eとの関係は予め実験等によって求められ、ECU60のメモリ64に同体積弾性係数Eを算出するための関数データとして記憶されている。
【0077】
このようにして、燃料圧送量QPUMP、燃料リーク量QLEAK、及び体積弾性係数Eをそれぞれ算出した後、ECU60は、ステップ412において、次の演算式(3)に従って圧力変化量DPCRを算出する。
【0078】
DPCR=E・(QPUMP−QLEAK)/VCR ・・・(3)
E:体積弾性係数
QPUMP:燃料圧送量
QLEAK:燃料リーク量
VCR:コモンレール20の容積
この演算式(3)から明らかなように、燃料圧送量QPUMPが燃料リーク量QLEAKよりも多い場合には、圧力変化量DPCRは正の値として算出され、逆に燃料リーク量QLEAKが燃料圧送量QPUMPよりも多い場合には、圧力変化量DPCRは負の値として算出される。
【0079】
こうして圧力変化量DPCRを算出した後、ECU60は処理を図4に示すステップ500に移行し、機関要求噴射量QFIN及び実燃料圧PCRに基づいて感度係数TQPCRを算出する。
【0080】
レール圧変化推定期間APCR中にレール圧が変化し、実燃料圧PCRと異なる圧力値になった場合、基本噴射期間TQFINBに基づいて各インジェクタ12を駆動すると、実際の燃料噴射量は機関要求噴射量QFINからずれるようになる。感度係数TQPCRは、このようにレール圧が変化する際の単位変化量(例えば1MPa)に対する燃料噴射量のずれ量を燃料噴射期間のずれ量に換算した値である。
【0081】
この感度係数TQPCRと機関要求噴射量QFIN及び実燃料圧PCRとの関係は予め実験等によって求められ、ECU60のメモリ64に同感度係数TQPCRを算出するための関数データとして記憶されている。図7はこの関数データを関数マップとして示している。同図に示すように、この感度係数TQPCRは、機関要求噴射量QFINが多くなるほど、また、実燃料圧PCRが低くなるほど相対的に大きな値として算出される。
【0082】
次に、ECU60は、ステップ600において、噴射期間補正値TQFINHを次の演算式(4)に従って算出する。
TQFINH=TQPCR・DPCR ・・・(4)
TQPCR:感度係数
DPCR:圧力変化量
この噴射期間補正値TQFINHは、上記のようなレール圧の変化に起因した実燃料噴射量と機関要求噴射量QFINとの間のずれを補償すべく基本噴射期間TQFINBを補正するための値である。
【0083】
そして、ECU60は、ステップ700において、次の演算式(5)に従って最終噴射期間TQFINを算出する。
TQFIN=TQFINB−TQFINH ・・・(5)
TQFINB:基本噴射期間
TQFINH:噴射期間補正値
こうして最終噴射期間TQFINを算出した後、ECU60は本ルーチンを一旦、終了する。
【0084】
そして、ECU60はこの最終噴射期間TQFINに基づいてインジェクタ12の駆動信号を生成し、同信号をクランク角CAが燃料噴射開始時期と一致する時期にインジェクタ12に対して出力する。その結果、インジェクタ12からは、機関要求噴射量QFINと等しい量の燃料が噴射されるようになる。
【0085】
以上説明したように、本実施形態の燃料噴射制御では、レール圧変化推定期間APCR中の圧力変化量DPCRを燃料圧送量QPUMP及び燃料リーク量QLEAKに基づいて推定し、同圧力変化量DPCRに基づく噴射期間補正値TQFINHにより補正された基本噴射期間TQFINBを最終噴射期間TQFINとして設定するようにしている。
【0086】
従って、レール圧変化推定期間APCR中に燃料圧送や燃料リークによりレール圧が変化すれば、仮に同レール圧の検出値(実燃料圧PCR)が殆ど変化しない機関定常運転時であっても、その変化量(圧力変化量DPCR)を燃料圧送量QPUMP及び燃料リーク量QLEAKに基づいて正確に推定することができる。そして、この圧力変化量DPCRに基づいて実際の燃料噴射量が機関要求噴射量QFINからずれるのを抑制する上で適正な値として最終噴射期間TQFINを極めて精度良く設定することができるようになる。
【0087】
(1)その結果、本実施形態によれば、レール圧の変化、特にそれが実燃料圧PCRの検出後に生じたものであれ、同レール圧変化を燃料噴射制御に確実に反映させることができ、極めて精度の高い燃料噴射制御を実現することができるようになる。
【0088】
(2)特に、圧力変化量DPCRを推定するに際し、燃料圧送量QPUMP及び燃料リーク量QLEAKをそれぞれ参照するようにしているため、燃料圧送に伴うレール圧の上昇分及び燃料リークに伴うレール圧の低下分のいずれをも圧力変化量DPCRの推定に反映させることができる。従って、こうしたレール圧の上昇によって実際の燃料噴射量が機関要求噴射量QFINよりも多くなったり、逆にレール圧の低下によって実際の燃料噴射量が機関要求噴射量QFINよりも少なくなったりするのを抑制することができるようになる。
【0089】
その結果、排気性状の悪化等、機関運転状態に適さない過大な量の燃料がエンジン10に供給されることに起因する不具合の発生や、機関出力の低下等、機関運転状態に適した十分な量の燃料がエンジン10に供給されないことに起因する不具合の発生をそれぞれ回避することができるようになる。
【0090】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。尚、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0091】
本実施形態では、最終噴射期間TQFINの算出手順が上記第1の実施形態と相違している。
以下、この最終噴射期間TQFINの算出手順について図8に示すフローチャートを参照して説明する。尚、同図に示す各ステップ100〜710のうち、先に示した図4と同一の符号を付したステップについては同一の処理が行われるため、その処理内容の説明は省略する。
【0092】
ECU60は、ステップ100,200の各処理を実行した後、ステップ400において圧力変化量DPCRを算出する。そして、ステップ610において、実燃料圧PCRに対して圧力変化量DPCRを加算補正し、その補正値を新たな実燃料圧PCRとして設定する。
【0093】
次に、ECU60は、ステップ710において、図4に示すステップ300の処理と同様、図6に示す関数データを参照することにより、この更新された実燃料圧PCRと機関要求噴射量QFINとに基づいて最終噴射期間TQFINを算出する。こうして最終噴射期間TQFINを算出した後、ECU60は本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0094】
このように本実施形態では、レール圧の変化に起因して実際の燃料噴射量が機関要求噴射量QFINからずれるのを抑制する上で、最終噴射期間TQFINを算出する前に圧力変化量DPCRに基づき予め実燃料圧PCRを補正するだけでよい。
【0095】
(3)従って、第1の実施形態において(1)及び(2)に記載した作用効果に加え、基本噴射期間TQFINBや噴射期間補正値TQFINHを敢えて算出する必要は無く、また、図7に示すような、噴射期間補正値TQFINHを算出するための関数データ等を予め用意する必要も無いため、制御構造の簡素化を図ることができるようになる。
【0096】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について上記第2の実施形態との相違点を中心に説明する。尚、第2の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0097】
本実施形態では、パイロット噴射を実行可能なエンジン10に対して本発明に係る燃料噴射制御装置を適用するようにしている。周知のように、このパイロット噴射は、メイン噴射に先立ち微量の燃料を予め噴射する(パイロット噴射する)ことにより、燃焼圧の急激な上昇を抑えて燃焼騒音の低減を図るものである。以下に説明する本実施形態の燃料噴射制御では、パイロット噴射によってレール圧が低下した場合、このレール圧の低下量に基づいてメイン噴射時の噴射期間(メイン噴射期間TQMAIN)を適正な期間に補正するようにしている。
【0098】
尚、本実施形態では、燃料ポンプ30による燃料圧送が常にメイン噴射終了後に開始されるように、各調整弁70a,70bの閉弁時期が予め設定されている(図11参照)。従って、実燃料圧PCRの検出時からメイン噴射が終了するまでの期間に燃料圧送が行われることはなく、同燃料圧送によりレール圧が変化することもない。
【0099】
以下、こうしたメイン噴射期間TQMAINの算出手順について説明する。
図9及び図10は、上記メイン噴射期間TQMAIN及びパイロット噴射期間TQPLTの算出手順を示すフローチャートである。また、図11は、各サプライポンプ50a,50bにおける燃料の吸入・圧送タイミング、、パイロット噴射及びメイン噴射等に伴うレール圧の変化態様等を示すタイミングチャートである。
【0100】
ECU60は、図9及び図10の各フローチャートに示す一連の処理を所定のクランク角毎(180°CA毎)の割込処理として実行する。尚、本ルーチンの割込時期は、図4及び図8に示す処理ルーチンと同様、各サプライポンプ50a,50bの状態が吸入行程から圧送行程に切り替わる時期(クランク角CAが例えば図11に示すCA0,CA1,CA2,CA3の各角度に達する時期)に設定されている。
【0101】
ECU60は、図9に示すステップ100、200において実燃料圧PCRを検出し、更にアクセル開度ACCP及び機関回転速度NE等に基づいて機関要求噴射量QFINを算出する。
【0102】
そして、ステップ320では、機関回転速度NE及び機関要求噴射量QFINに基づいてパイロット噴射量QPLTを算出する。このパイロット噴射量QPLTと機関回転速度NE及び機関要求噴射量QFINとの関係は予め実験等により、燃焼騒音、排煙濃度等を考慮して機関運転状態に最も適した量となるように求められ、同パイロット噴射量QPLTを算出するための関数データとしてメモリ64に記憶されている。
【0103】
次に、ステップ330において、次の演算式(6)に従ってメイン噴射量QMAINを算出する。
QMAIN=QFIN−QPLT ・・・(6)
QFIN:機関要求噴射量
QPLT:パイロット噴射量
こうしてパイロット噴射量QPLT及びメイン噴射量QMAINを算出した後、ステップ450では、実燃料圧PCRの検出時からパイロット噴射が開始されるまでの期間(レール圧変化推定期間APCRPLT:図11参照)におけるレール圧の変化量(圧力変化量DPCRPLT)と、同検出時からメイン噴射が開始されるまでの期間(レール圧変化推定期間APCRMAIN:図11参照)におけるレール圧の変化量(圧力変化量DPCRMAIN)とをそれぞれ算出する。
【0104】
図10はこれら各圧力変化量DPCRPLT,DPCRMAINの算出手順を詳細に示すフローチャートである。
同図に示すステップ452において、ECU60は、上記各レール圧変化推定期間APCRPLT,APCRMAINを機関回転速度NEに基づいてそれぞれ時間に換算し、それら各換算値を実燃料圧PCRの検出時からパイロット噴射が開始される時までの燃料リーク期間TLEAKPLT、同検出時からメイン噴射が開始される時までの燃料リーク期間TLEAKMAINとしてそれぞれ設定する。
【0105】
次に、ECU60は、ステップ454において、先の図5に示すステップ408の処理と同様にして、上記各燃料リーク期間TLEAKPLT,TLEAKMAIN、実燃料圧PCR、及び燃温THFに基づいて、実燃料圧PCRの検出時からパイロット噴射開始時まで燃料のリーク量(燃料リーク量QLEAKPLT)と、同検出時からメイン噴射開始時までの燃料のリーク量(燃料リーク量QLEAKMAIN)とをそれぞれ算出する。更に、ECU60は、先の図5に示すステップ410の処理と同様にして、ステップ456において実燃料圧PCR及び燃温THFに基づき体積弾性係数Eを算出する。
【0106】
そして、ステップ458において、ECU60は次の各演算式(7),(8)に従って各圧力変化量DPCRPLT,DPCRMAINをそれぞれ算出する。
DPCRPLT=E・QLEAKPLT/VCR ・・・(7)
DPCRMAIN
=E・(QPLT+QLEAKMAIN)/VCR ・・・(8)
E:体積弾性係数
QLEAKPLT,QLEAKMAIN:燃料リーク量
VCR:コモンレール20の容積
尚、上記演算式(8)から明らかなように、実燃料圧PCRの検出時からメイン噴射開始時までの圧力変化量DPCRMAINの算出には、燃料リーク量QLEAKMAINの他、パイロット噴射量QPLTも反映されている。パイロット噴射が行われる場合、メイン噴射はそのパイロット噴射により低下したレール圧に基づいて実行されるためである。
【0107】
こうして各圧力変化量DPCRPLT,DPCRMAINを算出した後、ECU60は処理を図9に示すステップ620に移行する。このステップ620では、パイロット噴射開始時におけるレール圧(以下、「パイロット噴射時燃料圧」という)PCRPLTと、メイン噴射開始時におけるレール圧(以下、「メイン噴射時燃料圧」という)PCRMAINとをそれぞれ次の各演算式(9),(10)に従って算出する。
【0108】
PCRPLT=PCR−DPCRPLT ・・・(9)
PCRMAIN=PCR−DPCRMAIN ・・・(10)
PCR:実燃料圧
DPCRPLT,DPCRMAIN:圧力変化量
これら各演算式(9),(10)から明らかなように、パイロット噴射時燃料圧PCRPLT、メイン噴射時燃料圧PCRMAINはいずれも、実燃料圧PCRを各圧力変化量DPCRPLT,DPCRMAINに基づいてそれぞれ補正したものである。
【0109】
次に、ECU60は、ステップ720において、図8に示すステップ710の処理と同様、図6に示す関数データを参照することにより、これら各燃料圧PCRPLT,PCRMAINとパイロット噴射量QPLT及びメイン噴射量QMAINとに基づいてパイロット噴射期間TQPLT及びメイン噴射期間TQMAINをそれぞれ算出する。その結果、これら各噴射期間TQPLT,TQMAINは実質的に上記各燃料圧PCRPLT,PCRMAINに基づいて補正されることとなる。
【0110】
こうして各噴射期間TQPLT,TQMAINをそれぞれ算出した後、ECU60は本ルーチンの処理を一旦終了する。
このように本実施形態では、実燃料圧PCRの検出時からパイロット噴射或いはメイン噴射が開始される時までのレール圧の変化(圧力変化量DPCRPLT,DPCRMAIN)に基づいてパイロット噴射期間TQPLT及びメイン噴射期間TQMAINを補正するようにしている。
【0111】
(4)従って、こうしたレール圧の変化によりパイロット噴射やメイン噴射での実際の燃料噴射量がパイロット噴射量QPLT或いはメイン噴射量QMAINからずれるのを抑制する上で適正な値として各噴射期間TQPLT,TQMAINを極めて精度良く設定することができ、パイロット噴射を行う場合であっても、極めて精度の高い燃料噴射制御を実現することができるようになる。
【0112】
(5)また、燃料リークに伴うレール圧の低下量(圧力変化量DPCRPLT,DPCRMAIN)を確実に推定し、この低下量に基づいて各噴射期間TQPLT,TQMAINを補正することにより、パイロット噴射時やメイン噴射時の実際の燃料噴射量が機関要求噴射量としてのパイロット噴射量QPLTやメイン噴射量QMAINよりも少なくなるのを抑制することができる。その結果、機関出力の低下等、機関運転状態に適した十分な量の燃料が内燃機関に供給されないことに起因する不具合の発生を回避ができるようになる。
【0113】
(6)特に、実燃料圧PCRの検出時からメイン噴射開始時までの圧力変化量DPCRMAINを推定する際には、こうした燃料リークのみならず、パイロット噴射に伴うレール圧の低下分をも考慮するようにしているため、同パイロット噴射を実行することによりレール圧が低下し、メイン噴射時の実際の燃料噴射量がメイン噴射量QMAINよりも少なくなるのを抑制することができる。従って、この点で、機関出力の低下等の不具合の発生をより確実に回避できるようになる。
【0114】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。尚、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0115】
本実施形態では、前記レール圧変化推定期間APCR中のレール圧の変化に加え、更に燃料噴射期間中での燃料圧送や燃料リークに伴うレール圧の変化を推定し、同レール圧変化に基づいて最終噴射期間TQFINを更に補正することにより、燃料噴射制御の精度をより高めるようにしている。
【0116】
以下、こうした燃料噴射期間中のレール圧変化の推定手順及び同レール圧変化に基づく最終噴射期間TQFINの補正手順について説明する。
図12は、燃料噴射期間中におけるレール圧変化(以下、「圧力変化量DPCRINJ」という)の推定手順を示すフローチャートであり、このフローチャートに示す各処理は先の図5のフローチャートに示す一連の処理の一部として、ステップ412の処理に引き続き実行される。
【0117】
まず、同図に示すステップ420において、ECU60は、実燃料圧PCRとステップ412の処理を通じて求めた圧力変化量DPCRとを加算し、その加算値(PCR+DPCR)と燃温THFとに基づいて体積弾性係数Eを燃料噴射開始時の値に対応させるべく再度算出する。
【0118】
次に、ステップ422において、基本噴射期間TQFINB及び燃温THFに基づいて燃料噴射期間中での燃料リーク量QLEAKINJを算出する。そして、ステップ424では、燃料ポンプ30の圧送開始時期が燃料噴射開始時期よりも進角側の時期であるか否か、即ち、燃料噴射が開始される以前に燃料ポンプ30の燃料圧送が行われるか否かを判断する。ここで燃料噴射が開始される以前に燃料圧送が行われると判断すると、燃料噴射期間中は常に燃料圧送が行われるようになるため、ECU60は、ステップ426において、基本噴射期間TQFINBを機関回転速度NEに基づいてクランク角CAに換算し、その換算値を燃料噴射期間中における燃料圧送期間APUMPINJとして設定する。
【0119】
次に、ステップ428では、次の演算式(11)に従って燃料噴射期間中における燃料圧送量QPUMPINJを算出する。
QPUMPINJ=APUMPINJ・KQPUMP・・・(11)
APUMPINJ:燃料圧送期間
KQPUMP:燃料圧送速度
一方、先のステップ424において、燃料噴射が開始される以前に燃料圧送が行われることはないと判断すると、ECU60は処理をステップ430に移行し、燃料噴射開始時期、基本噴射期間TQFINB、及び機関回転速度NEに基づいて燃料噴射終了時期をクランク角CAを単位として算出する。
【0120】
続くステップ432では、この燃料噴射終了時期と燃料ポンプ30の圧送開始時期とを比較することにより、燃料噴射期間中に燃料圧送が開始されるか否かを判断する。ここで、燃料噴射期間中に燃料圧送が開始されると判断すると、ステップ434において、圧送開始時期から燃料噴射終了時期までの期間(クランク角CA)を燃料噴射期間中における燃料圧送期間APUMPINJとして算出する。そして、ステップ436において、上記演算式(11)に従って燃料噴射期間中における燃料圧送量QPUMPINJを算出する。
【0121】
一方、ステップ432において、燃料噴射期間中に燃料圧送が開始されないと判断すると、燃料圧送期間と燃料噴射期間とは重ならないことになるため、ECU60は、ステップ435において、燃料噴射期間中の燃料圧送量QPUMPINJを「0」に設定する。
【0122】
上記各ステップ428,435,436のいずれかの処理を実行した後、ECU60は、ステップ440において、次の演算式(12)に従って燃料噴射期間中における圧力変化量DPCRINJを算出する。
【0123】
DPCRINJ
=E・(QPUMPINJ−QLEAKINJ)/VCR ・・・(12)
E:体積弾性係数
QPUMPINJ:燃料噴射期間中の燃料圧送量
QLEAKINJ:燃料噴射期間中の燃料リーク量
VCR:コモンレール20の容積
そして、ECU60は、ステップ442において、既に算出したレール圧変化推定期間APCR中の圧力変化量DPCRと上記燃料噴射期間中における圧力変化量DPCRINJとに基づき、次の演算式(13)に従って平均圧力変化量DPCRAVEを算出する。
【0124】
DPCRAVE=DPCR+DPCRINJ/2 ・・・(13)
尚、この平均圧力変化量DPCRAVEは、実燃料圧PCRの検出時から燃料噴射開始時まで(即ちレール圧変化推定期間APCR中)の圧力変化量DPCRと、同検出時から燃料噴射終了時までの圧力変化量(DPCR+DPCRINJ)との平均値である。
【0125】
こうして平均圧力変化量DPCRAVEを算出した後、先の図4に示すステップ500以降の処理を実行する。この際、ステップ600の処理において、レール圧変化推定期間APCR中における圧力変化量DPCRに代えて、上記平均圧力変化量DPCRAVEに基づき噴射期間補正値TQFINHを算出するようにする。従って、続くステップ700では、レール圧変化推定期間APCR中のレール圧変化(圧力変化量DPCR)に加え、燃料噴射期間中におけるレール圧変化(圧力変化量DPCRINJ)にも基づいて基本噴射期間TQFINBが補正されるようになる。
【0126】
(7)従って、本実施形態によれば、実燃料圧PCRの検出時から燃料噴射開始時までレール圧変化によって実際の燃料噴射量が機関要求噴射量QFINからずれるのを抑制できるばかりでなく、燃料噴射期間中のレール圧変化に起因する燃料噴射量のずれをも抑制することができ、更に高精度な燃料噴射制御を実現することができるようになる。
【0127】
(8)特に、こうした燃料噴射期間中のレール圧の変化量(圧力変化量DPCRINJ)を推定するに際し、燃料圧送量QPUMP及び燃料リーク量QLEAKをそれぞれ参照するようにしているため、燃料圧送に伴うレール圧の上昇分及び燃料リークに伴うレール圧の低下分のいずれをも、この圧力変化量DPCRINJに反映させることができる。従って、レール圧の上昇によって実際の燃料噴射量が機関要求噴射量QFINよりも多くなったり、逆にレール圧の低下によって実際の燃料噴射量が機関要求噴射量QFINよりも少なくなったりするのを抑制することができる。その結果、排気性状の悪化等、機関運転状態に適さない過大な量の燃料がエンジン10に供給されることに起因する不具合の発生や、機関出力の低下等、機関運転状態に適した十分な量の燃料がエンジン10に供給されないことに起因する不具合の発生をそれぞれ回避することができるようになる。
【0128】
[その他の実施形態]
(a)第1及び第2の実施形態では、レール圧変化推定期間APCR中の圧力変化量DPCRを燃料圧送量QPUMP及び燃料リーク量QLEAKの双方に基づいて推定するようにしたが、燃料圧送量QPUMPのみ、或いは燃料リーク量QLEAKのみ基づいて同圧力変化量DPCRを推定するようにしてもよい。
【0129】
(b)第3の実施形態では、実燃料圧PCRの検出時からメイン噴射開始時までの圧力変化量DPCRMAINを上記燃料リーク量QLEAKMAIN及びパイロット噴射量QPLTに基づいて推定するようにしたが、燃料リーク量QLEAKMAINのみ、或いはパイロット噴射量QPLTのみ基づいて、この圧力変化量DPCRMAINを推定するようにしてもよい。
【0130】
(c)また、第3の実施形態において、メイン噴射が開始される以前に燃料圧送を開始可能な構成とした場合には、実燃料圧PCRの検出時からメイン噴射開始時までの燃料圧送量を求め、この燃料圧送量に基づいて、或いは同燃料圧送量に加え、上記燃料リーク量QLEAKMAINやパイロット噴射量QPLTに基づいて、圧力変化量DPCRMAINを推定するようにしてもよい。
【0131】
(d)第3の実施形態や上記(b),(c)に示す実施形態では、各圧力変化量DPCRPLT,DPCRMAINに基づいて予め実燃料圧PCRを補正し、その補正後の値(パイロット噴射時燃料圧PCRPLT,メイン噴射時燃料圧PCRMAIN)に基づいてパイロット噴射時やメイン噴射時での燃料噴射期間(パイロット噴射期間TQPLT,メイン噴射期間TQMAIN)を算出するようにしたが、第1の実施形態と同様にして、パイロット噴射期間TQPLTやメイン噴射期間TQMAINに係る補正値を上記各圧力変化量DPCRPLT,DPCRMAINに基づいて算出し、その補正値に基づいてこれら各燃料噴射期間TQPLT,TQMAINを補正するようにしてもよい。
【0132】
(e)第3の実施形態や上記(b),(c),(d)に示す実施形態において、第4の実施形態と同様に、パイロット噴射期間中やメイン噴射期間中における燃料圧送や燃料リークに伴うレール圧の変化分を推定し、そのレール圧変化に基づいてパイロット噴射期間TQPLTやメイン噴射期間TQMAINを更に補正するようにしてもよい。
【0133】
(f)第3の実施形態では、パイロット噴射の実施態様として同パイロット噴射をメイン噴射の前に一回だけ行う場合について例示したが、このパイロット噴射はメイン噴射の前に複数回実行されるものであってもよい。こうした場合には、2回目以降のパイロット噴射については、それ以前に実行されたパイロット噴射での総燃料噴射量に基づきレール圧の変化を推定し、同レール圧変化に基づいて、そのパイロット噴射時での燃料噴射期間を補正するようにする。
【0134】
(g)第4の実施形態では燃料噴射期間中における圧力変化量DPCRINJを燃料圧送量QPUMPINJ及び燃料リーク量QLEAKINJに基づいて推定するようにしたが、燃料圧送量QPUMPINJのみ、或いは燃料リーク量QLEAKINJのみに基づいて同圧力変化量DPCRINJを推定するようにしてもよい。
【0135】
(h)上記第1、第2、第4の実施形態では、燃料ポンプ30の燃料圧送速度(KQPUMP)が一定であるとして同燃料ポンプ30の燃料圧送量を算出するようにしたが、例えばこの燃料圧送速度が圧送開始時期によって変化する場合であっても、この燃料圧送速度を圧送開始時期に対応して示すマップ等を参照することにより燃料圧送量を算出することができる。
【0136】
(i)上記各実施形態では、燃料噴射量を燃料噴射期間、即ちインジェクタ12の開弁期間に基づいて制御する場合について例示したが、こうした開弁期間に限らず、例えば、同インジェクタ12の開度に基づいて燃料噴射量を制御するようにし、この開度指令値をレール圧の変化に基づいて補正するようにしてもよい。
【0137】
(j)上記各実施形態では、本発明の燃料噴射制御装置が適用される内燃機関としてディーゼルエンジンを例示したが、例えば、燃料を燃焼室に直接噴射する直噴式ガソリンエンジンに同装置を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディーゼルエンジンの高圧燃料噴射系を示す概略構成図。
【図2】燃料リーク等に伴うレール圧の変化態様等を示すタイミングチャート。
【図3】燃料圧送等に伴うレール圧の変化態様等を示すタイミングチャート。
【図4】第1の実施形態における燃料噴射期間の算出手順を示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態における圧力変化量の算出手順を示すフローチャート。
【図6】燃料圧及び燃料噴射量と燃料噴射期間との関係を示すグラフ。
【図7】燃料圧及び機関要求噴射量と感度係数との関係を示すグラフ。
【図8】第1の実施形態における燃料噴射期間の算出手順を示すフローチャート。
【図9】第3の実施形態における燃料噴射期間の算出手順を示すフローチャート。
【図10】第3の実施形態における圧力変化量の算出手順を示すフローチャート。
【図11】パイロット噴射及びメイン噴射等に伴うレール圧の変化態様等を示すタイミングチャート。
【図12】第4の実施形態における圧力変化量の算出手順の一部を示すフローチャート。
【図13】蓄圧配管内の燃料圧の一変化態様を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
10…エンジン、12…インジェクタ、14…燃料タンク、20…コモンレール、21…リリーフ通路、22…リリーフバルブ、23…吐出通路、24…吸入通路、30…燃料ポンプ、31…フィードポンプ、34…吸入ポート、36…リリーフポート、38…吐出ポート、40…ドライブシャフト、42…カム、50a…第1のサプライポンプ、50b…第2のサプライポンプ、60…ECU、62…CPU、64…メモリ、65…回転数センサ、66…気筒判別センサ、67…アクセルセンサ、68…燃圧センサ、69…燃温センサ、70a…第1の調整弁、70b…第2の調整弁。

Claims (12)

  1. 内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射弁が接続され燃料ポンプから燃料が圧送供給される蓄圧配管内の燃料圧を前記燃料ポンプにおける燃料の圧送行程から吸入行程に切り替わる時期に検出し、該検出燃料圧及び機関要求噴射量に基づき設定される制御指令値に基づいて前記燃料噴射弁を駆動制御する高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、
    前記蓄圧配管内の燃料圧を可変とする前記高圧燃料噴射系の可変要素に基づいて前記燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までの前記燃料圧の変化を推定する推定手段と、
    前記燃料噴射弁の実燃料噴射量を前記機関要求噴射量に一致させるべく前記制御指令値を前記推定される燃料圧変化に基づいて補正する補正手段と
    を備え
    前記推定手段は、前記燃料ポンプの燃料圧送量及び前記燃料噴射弁に接続されたリリーフ通路を介してリークする燃料のリーク量を前記可変要素とし、前記燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までの前記燃料圧送量及び前記リーク量に基づいて前記燃料圧変化を推定する
    ことを特徴とする高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、
    前記制御指令値は前記燃料噴射弁の開弁期間指令値であり、
    前記補正手段は前記燃料圧変化に基づいて前記開弁期間指令値の補正値を算出し、該補正値に基づいて同開弁期間指令値を補正する
    ことを特徴とする高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置。
  3. 請求項1に記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、
    前記制御指令値は前記燃料噴射弁の開弁期間指令値であり、
    前記補正手段は前記検出燃料圧を前記燃料圧変化に基づき補正することにより、該補正によって更新された検出燃料圧及び前記機関要求噴射量に基づき設定される前記開弁期間指令値の補正を行う
    ことを特徴とする高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置。
  4. 請求項2又は3に記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、
    前記推定手段は燃料噴射期間中の前記燃料ポンプの燃料圧送に伴う前記燃料圧の変化を同燃料噴射期間中の燃料圧送量に基づいて更に推定し、
    前記補正手段は前記実燃料噴射量を前記機関要求噴射量に一致させるべく前記開弁期間指令値を前記燃料噴射期間中の燃料圧変化に基づいて更に補正する
    ことを特徴とする高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置。
  5. 請求項2又は3に記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、
    前記推定手段は燃料噴射期間中の前記リリーフ通路を介した燃料のリークに伴う前記燃料圧の変化を同燃料噴射期間中のリーク量に基づいて更に推定し、
    前記補正手段は前記実燃料噴射量を前記機関要求噴射量に一致させるべく前記開弁期間指令値を前記燃料噴射期間中の燃料圧変化に基づいて更に補正する
    ことを特徴とする高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置。
  6. 内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射弁が接続され燃料ポンプから燃料が圧送供給される蓄圧配管内の燃料圧を前記燃料ポンプにおける燃料の圧送行程から吸入行程に切り替わる時期に検出し、該検出燃料圧及び機関要求噴射量に基づき設定される制御指令値に基づいて前記燃料噴射弁を駆動制御する高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、
    前記蓄圧配管内の燃料圧を可変とする前記高圧燃料噴射系の可変要素に基づいて前記燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までの前記燃料圧の変化を推定する推定手段と、
    前記燃料噴射弁の実燃料噴射量を前記機関要求噴射量に一致させるべく前記制御指令値を前記推定される燃料圧変化に基づいて補正する補正手段とを備え、
    前記高圧燃料噴射系は前記機関要求噴射量と等しい量の燃料を分割して前記燃料噴射弁から噴射するものであり、
    前記制御指令値は各燃料噴射での要求燃料噴射量及び前記検出燃料圧に基づき各燃料噴射毎に各別に設定され、
    前記推定手段は前記燃料噴射弁の燃料噴射量を前記可変要素とし、前記燃料圧の検出時から各燃料噴射のうちの特定の燃料噴射が開始される時までの前記燃料噴射量の積算値に基づいて前記燃料圧変化を推定し、
    前記補正手段は前記燃料圧変化に基づいて前記特定の燃料噴射での実燃料噴射量を同特定の燃料噴射での要求燃料噴射量に一致させるべく前記特定の燃料噴射における制御指令値を補正する
    ことを特徴とする高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置。
  7. 内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射弁が接続され燃料ポンプから燃料が圧送供給される蓄圧配管内の燃料圧を前記燃料ポンプにおける燃料の圧送行程から吸入行程に切り替わる時期に検出し、該検出燃料圧及び機関要求噴射量に基づき設定される制御指令値に基づいて前記燃料噴射弁を駆動制御する高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、
    前記蓄圧配管内の燃料圧を可変とする前記高圧燃料噴射系の可変要素に基づいて前記燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までの前記燃料圧の変化を推定する推定手段と、
    前記燃料噴射弁の実燃料噴射量を前記機関要求噴射量に一致させるべく前記制御指令値を前記推定される燃料圧変化に基づいて補正する補正手段とを備え、
    前記高圧燃料噴射系は前記機関要求噴射量と等しい量の燃料を分割して前記燃料噴射弁から噴射するものであり、
    前記制御指令値は各燃料噴射での要求燃料噴射量及び前記検出燃料圧に基づき各燃料噴射毎に各別に設定され、
    前記推定手段は前記燃料ポンプの燃料圧送量を前記可変要素とし、前記燃料圧の検出時から各燃料噴射のうちの特定の燃料噴射が開始される時までの前記燃料圧送量に基づいて前記燃料圧変化を推定し、
    前記補正手段は前記燃料圧変化に基づいて前記特定の燃料噴射での実燃料噴射量を同特定の燃料噴射での要求燃料噴射量に一致させるべく前記特定の燃料噴射における制御指令値を補正する
    ことを特徴とする高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置。
  8. 内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射弁が接続され燃料ポンプから燃料が圧送供給される蓄圧配管内の燃料圧を前記燃料ポンプにおける燃料の圧送行程から吸入行程に切り替わる時期に検出し、該検出燃料圧及び機関要求噴射量に基づき設定される制御指令値に基づいて前記燃料噴射弁を駆動制御する高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、
    前記蓄圧配管内の燃料圧を可変とする前記高圧燃料噴射系の可変要素に基づいて前記燃料圧の検出時から燃料噴射開始時までの前記燃料圧の変化を推定する推定手段と、
    前記燃料噴射弁の実燃料噴射量を前記機関要求噴射量に一致させるべく前記制御指令値を前記推定される燃料圧変化に基づいて補正する補正手段とを備え、
    前記高圧燃料噴射系は前記機関要求噴射量と等しい量の燃料を分割して前記燃料噴射弁から噴射するものであり、
    前記制御指令値は各燃料噴射での要求燃料噴射量及び前記検出燃料圧に基づき各燃料噴射毎に各別に設定され、
    前記推定手段は前記燃料噴射弁に接続されたリリーフ通路を介してリークする燃料のリーク量を前記可変要素とし、前記燃料圧の検出時から前記特定の燃料噴射が開始される時までの前記リーク量に基づいて前記燃料圧変化を推定し、
    前記補正手段は前記燃料圧変化に基づいて前記特定の燃料噴射での実燃料噴射量を同特定の燃料噴射での要求燃料噴射量に一致させるべく前記特定の燃料噴射における制御指令値を補正する
    ことを特徴とする高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置。
  9. 請求項6乃至8のいずれかに記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、
    前記制御指令値は前記燃料噴射弁の開弁期間指令値であり、
    前記補正手段は前記燃料圧変化に基づいて前記特定の燃料噴射における開弁期間指令値の補正値を算出し、該補正値に基づいて同開弁期間指令値を補正する
    ことを特徴とする高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置。
  10. 請求項6乃至8のいずれかに記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、
    前記制御指令値は前記燃料噴射弁の開弁期間指令値であり、
    前記補正手段は前記検出燃料圧を前記燃料圧変化に基づき補正することにより、該補正によって更新された検出燃料圧及び前記機関要求噴射量に基づき設定される前記開弁機関指令値の補正を行う
    ことを特徴とする高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置。
  11. 請求項9又は10に記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、
    前記推定手段は前記特定の燃料噴射での噴射期間中の前記燃料ポンプの燃料圧送に伴う前記燃料圧の変化を同噴射期間中の燃料圧送量に基づいて更に推定し、
    前記補正手段は前記実燃料噴射量を前記特定の燃料噴射での要求燃料噴射量に一致させるべく前記特定の燃料噴射における開弁期間指令値を前記噴射期間中の燃料圧変化に基づいて更に補正する
    ことを特徴とする高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置。
  12. 請求項9又は10に記載した高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置において、
    前記推定手段は前記特定の燃料噴射での噴射期間中の前記燃料噴射弁に接続されたリリーフ通路を介した燃料リークに伴う前記燃料圧の変化を同噴射期間中のリーク量に基づいて更に推定し、
    前記補正手段は前記実燃料噴射量を前記特定の燃料噴射での要求燃料噴射量に一致させるべく前記特定の燃料噴射における開弁期間指令値を前記噴射期間中の燃料圧変化に基づいて更に補正する
    ことを特徴とする高圧燃料噴射系の燃料噴射制御装置。
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