JP3523424B2 - 換気式空気熱源空気調和装置 - Google Patents
換気式空気熱源空気調和装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、換気式空気熱源空
気調和装置に係り、空気を熱源として、事務所，店舗等
の建物の冷暖房、除湿、および塵埃の濾過などの空気調
和と換気を行うのに好適な一体型の換気式空気熱源空気
調和装置に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】従来一般に、事務所，店舗等の建物の冷
暖房には、セパレート型の空気熱源パッケージエアコン
が使用されている。これらは、室外機、室内機および両
者をつなぐ冷媒配管で構成されている。これに対し、例
えば、特開平２−２８７０３４号公報記載のように、換
気機能の付加と冷媒配管工事の省略とを目的とした一体
型集中空調ユニットが開発されている。 【０００３】また、空気熱源パッケージエアコンの暖房
運転時には、室外側熱交換器のフィン部表面に霜が付
き、この霜を取り除くために定期的に除霜運転を行う必
要がある。このような除霜運転時には暖房運転は中断さ
れる。除霜に費やされるエネルギーは、暖房に直接寄与
しないエネルギーであり、さらに除霜運転時に一部の熱
エネルギーは外部へ逃げる損失エネルギーとなる。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】特開平２−２８７０３
４号公報記載のような一体型集中空調ユニットは、換気
機能の付加と冷媒配管工事の省略とを実現しているが、
冷暖房をまかなうセパレート型空気熱源パッケージエア
コンにおける室内機および室外機に相当する部分は単に
一体型として併設されているだけで、冷暖房性能の向
上、省エネルギーの点で改善の余地があった。 【０００５】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るためになされたもので、環気の一部（排気）を熱回収
したのち、その空気を室外機の熱源として利用し、空調
性能を向上するとともに省エネルギーを実現する換気式
空気熱源空気調和装置を提供することを目的（第一の目
的）とする。また、本発明の他の目的（第二の目的）
は、除霜運転時における外気への放熱を抑え、投入した
エネルギーを有効に利用できる換気式空気熱源空気調和
装置を提供することにある。 【０００６】 【課題を解決するための手段】上記第一の目的を達成す
るために、本発明に係る換気式空気熱源空気調和装置の
最も基本的な構成は、空調対象の部屋とダクトを介して
接続し、室内機、室外機、換気装置を一体に構成してな
る換気式空気熱源空気調和装置において、換気により屋
外に排気される空気の熱を前記換気装置の熱交換器で回
収したのち、その空気をさらに室外機の熱源として利用
するように構成したものである。 【０００７】より具体的な構成は、空調対象の部屋と環
気ダクトおよび給気ダクトを介して接続し、室内側熱交
換器を備えた室内機相当部と、室外側熱交換器を備えた
室外機相当部と、換気用熱交換器を備えた換気装置とを
一筐体内に配置するようにした一体型の換気式空気熱源
空気調和装置において、前記室外機相当部に、前記室外
側熱交換器の吸い込み空気と、前記換気用熱交換器を通
過した空調空気の一部の排気とを混合する空間領域を設
けたものである。 【０００８】また、上記第二の目的を達成するために、
本発明に係る換気式空気熱源空気調和装置の構成は、上
記の装置において、暖房運転における室外側熱交換器の
除霜時に、当該室外側熱交換器を外気から遮断する隔離
手段を設けたものである。この隔離手段は、例えば、室
外機相当部の外気吸い込み部に設けた風圧シャッタであ
る。 【０００９】以下、さらに具体的に本発明の構成と作用
を説明する。本発明は、本装置に接続された空調対象の
部屋からの戻り空気ダクトすなわち環気ダクトで空調対
象からの戻り空気すなわち環気を本装置へ導入し、換気
のために導入する外気を環気の一部と熱交換してから混
入させ、本装置内部で、セパレート型の空気熱源パッケ
ージエアコンの室内機に相当する空気調和部により冷暖
房除湿および塵埃の濾過などの空気調和を行ったのち、
本装置から空調対象の部屋への送り空気ダクトすなわち
給気ダクトにより空調対象へ給気する一体型の換気式空
気熱源空気調和装置において、従来はそのまま外部へ放
出されていた熱交換したあとの環気（排気）を室外側熱
交換器の熱源として利用できるように、セパレート型の
空気熱源パッケージエアコンの室外機に相当する熱交換
器の吸い込み空気に混合するための空気流路を設けて構
成されたものである。 【００１０】さらに、空気熱源パッケージエアコンの暖
房運転時に避けられない除霜運転において、外気への放
熱を抑えて、投入したエネルギーを有効に利用できるよ
うに、除霜運転時に室外側熱交換器を外気から遮断でき
るような隔離手段を設けて構成されたものである。 【００１１】空気を熱源として冷暖房を行うパッケージ
エアコンでは、通常外気温度すなわち室外機が吸い込む
空気の温度が室温に近いほど冷凍サイクル上効率の良い
運転となる。例えば暖房では、室温が２０℃に暖房され
ている場合に外気温度が０℃の場合よりも外気温度が５
℃の方が冷凍サイクル上効率の良い運転となり消費電力
が小さくなることはよく知られている。 【００１２】一方、本装置は、換気のための導入空気を
環気の一部と熱交換してから導入するため、熱交換した
後の環気（排気）は外気温度に近づくが、換気の温度交
換効率は一般に５０〜７０％程度で１００％には至らな
いために外気温度よりは環気温度に近い温度となる。こ
の熱交換した後の環気（排気）を室外機の吸い込み空気
に混合すると室外機の吸い込み空気温度は室温に近づ
き、冷凍サイクル上効率の良い運転となり、消費電力は
小さくなる。 【００１３】また、暖房運転中に必要となる除霜運転
は、セパレート型空気熱源パッケージエアコンの室外機
に相当する熱交換器に高温の冷媒を流し熱交換器フィン
部表面に生じた霜を溶かす方法が一般的に行われてい
る。この際の熱エネルギーの移動は、（高温の冷媒）→
（熱交換器の管部）→（熱交換器のフィン部）→（フィ
ン部表面の霜）の順に伝わるが、（高温の冷媒）から
（フィン部表面の霜）に達するまでに、一部の熱エネル
ギーは外部へ逃げるため、高温の冷媒が失った熱エネル
ギーの全てが霜を溶かすために使われずに損失エネルギ
ーとなってしまう。 【００１４】そこで本装置は、除霜運転時に熱交換近傍
の空気が外気と入れ替わらないように、室外側熱交換器
を外気から遮断する隔離手段を設け、損失エネルギーを
抑えて除霜により多くの熱エネルギーを効率良く投入
し、除霜時間の短縮から省エネルギーおよび暖房性能向
上を実現するものである。 【００１５】次に、本発明の作用を図１および図２を参
照して、具体的数値を用いて説明する。図１は、空気熱
源パッケージエアコンを暖房運転したときの外気温度と
消費電力との関係の一例を示す線図、図２は、換気用熱
交換器運転時の空気温度の一例を示す説明図である。 【００１６】図１は、暖房運転の際に圧縮機の運転周波
数を変化させることで暖房能力を増減することのできる
空気熱源パッケージエアコンにおいて、ある一定の暖房
能力を発揮した際の外気温度（℃）と消費電力（ｋＷ）
との関係を示す例であり、外気温度が高いほど消費電力
は小さくなっている。すなわち、図１の例では、外気温
度が−１５℃より−５℃と高いときの方が、消費電力は
約４．１ｋＷより２．９ｋＷと小さくなっている。 【００１７】図２は、換気用熱交換器運転時の空気温度
の一例を示すものである。換気のための導入外気は−１
０℃であり、空調対象の室内からの環気は２０℃であ
る。前者すなわち換気のための導入外気が、熱交換後に
は５℃、後者すなわち室内からの環気が、熱交換後には
５℃となっている。この熱交換後の室内からの環気すな
わち排気を、−１０℃の室外側熱交換器吸い込み空気に
混合すると、本例では−９．４℃に温度が上昇する。そ
の結果、本例では消費電力が約２％低下する。 【００１８】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図３
および図４を参照して説明する。図３は、本発明の一実
施の形態に係る換気式空気熱源空気調和装置の構成を示
す斜視図、図４は、図３の装置の図で、（ａ）は上面
図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。 【００１９】図３，４において、１は一体型の換気式空
気熱源空気調和装置、１０は、セパレート型空気熱源パ
ッケージエアコンにおける室内機に相当する部分、１１
は、空調対象の部屋（図示せず）と給気ダクト（図示せ
ず）を介して接続するための給気ダクト接続口で、この
給気ダクト接続口１１は、一体型の換気式空気熱源空気
調和装置１の筐体に開口している。１２は室内側熱交換
器用送風機、１３は室内側熱交換器、１４は換気用熱交
換器である。 【００２０】１５は、環気ダクト（図示せず）および給
気ダクトを流通する空調空気の一部を換気用外気の流通
路と熱交換させる流路の環気入口、１６は、前記流路の
排気出口、１７は、換気用外気の流通路の導入外気入
口、１８は、換気用外気の流通路の導入外気出口、１９
は、空調対象の部屋（図示せず）と環気ダクト（図示せ
ず）を介して接続するための環気ダクト接続口であり、
この環気ダクト接続口１９は、前記換気式空気熱源空気
調和装置１の筐体に開口している。 【００２１】また、図３，４において、２０は、セパレ
ート型空気熱源パッケージエアコンにおける室外機に相
当する部分、２１は室外側熱交換器用送風機、２２は室
外側熱交換器、２３は、室外側熱交換器２２の吸い込み
空気と前記換気用熱交換器１４を通過した空調空気の一
部（環気）の排気とを混合する空間領域に係る混合スペ
ース、２４は、室外機に相当する部分２０の外気吸い込
み部に設けた風圧シャッタである。 【００２２】図３に示す一体型の換気式空気熱源空気調
和装置１の構成と機能について、暖房運転の場合を説明
する。換気式空気熱源空気調和装置１は、室内機に相当
する部分１０、室外機に相当する部分２０、および換気
用熱交換器１４が一筐体内に配置されたものである。室
内機に相当する部分１０と空調対象となる部屋とは、環
気ダクト接続口１９、給気ダクト接続口１１でダクトを
介して接続されている。室内機に相当する部分１０内に
位置する換気用熱交換器１４は、換気用送風機（図示せ
ず）を内蔵しており、暖房時の除霜運転の場合には停止
するように制御されるものである。 【００２３】室外機に相当する部分２０の外気吸い込み
部には、前記換気用熱交換器１４で熱回収した後の環気
すなわち排気を外気と混合する混合スペース２３が設け
られている。この混合スペース２３の外気吸い込み部に
は、除霜時に室外側熱交換器２２を外気から隔離する手
段として風圧シャッタ２４が設けられている。この風圧
シャッタ２４は、室外側熱交換器用送風機２１の運転時
には風圧で開き、停止時には閉じるため、除霜時に室外
側熱交換器用送風機２１が停止すると、室外側熱交換器
２２を外気から隔離し、室外側熱交換器２２近傍の空気
と装置外の外気との入れ替わりを防ぐ。 【００２４】環気ダクト接続口１９から装置内に入った
環気の一部は、環気入口１５から換気用熱交換器１４内
に入り、導入外気入口１７から入った外気と熱交換す
る。熱交換した環気の一部は、排気出口１６を通って混
合スペース２３で、風圧シャッタ２４から取り込まれた
外気と混合し、室外側熱交換器２２を通って室外側熱交
換器用送風機２１により装置外に排出される。 【００２５】また、導入外気は、導入外気入口１７から
換気用熱交換器１４内に入り環気の一部と熱交換したの
ち、導入外気出口１８を通って環気と混合し、室内側熱
交換器１３を通って室内側熱交換器用送風機１２により
給気ダクト接続口１１から給気ダクトを介して空調対象
の部屋へ供給される。 【００２６】本実施の形態により次のような効果があ
る。混合スペース２３にて、環気（排気）を外気と混合
して室外側熱交換器２２の吸い込み空気とすることによ
り、暖房の場合、より高い温度の吸い込み空気による効
率の良い運転ができるので、省エネルギーが実現でき
る。また、この吸い込み空気を混合調整する混合スペー
ス２３を設け、風圧シャッタ２４を設けることにより、
除霜時に、室外側熱交換器２２を外気から隔離しうるの
で、除霜運転時の熱損失を最小限に抑えることができ、
除霜時間を短縮することができる。その結果、暖房性能
の向上と省エネルギーが実現できる。 【００２７】さらに、除霜時間の短縮は、ランニングコ
ストの低減だけでなく、寒冷地で暖房機として空気熱源
パッケージエアコンの使用を難しくしていた大きな原因
である除霜を改善することにより、従来寒冷地で広く使
われてきた燃焼式の暖房機から、全電気式である空気熱
源パッケージエアコンへの移行を実現することができ
る。これにより、近年問題となっている燃焼排気による
地球温暖化問題に対しても貢献できるものである。 【００２８】なお、上記の実施形態では、除霜時に室外
熱交換器を外気から隔離する手段として風圧シャッタを
用いた例を示したが、電動等の駆動装置により隔離手段
の開閉を行っても差し支えない。また、上記図３の実施
形態では、排気出口１６を混合スペース２３の側面に位
置させた例を示したが、混合スペース内部に流路を延長
して設け、混合がより均一に行われるようにしても良
い。 【００２９】さらに、上記の実施形態では、暖房運転の
例をとり説明したが、冷房時においても、より低い吸い
込み空気での運転が可能で、効率の良い省エネルギー運
転が実現できることは言うまでもない。 【００３０】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、環気（排気）の一部を熱回収したのち、その空気
を室外機の熱源として利用し、空調性能を向上するとと
もに省エネルギーを実現する換気式空気熱源空気調和装
置を提供することができる。また、本発明によれば、除
霜運転時における外気への放熱を抑え、投入したエネル
ギーを有効に利用できる換気式空気熱源空気調和装置を
提供することができる。
気調和装置に係り、空気を熱源として、事務所，店舗等
の建物の冷暖房、除湿、および塵埃の濾過などの空気調
和と換気を行うのに好適な一体型の換気式空気熱源空気
調和装置に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】従来一般に、事務所，店舗等の建物の冷
暖房には、セパレート型の空気熱源パッケージエアコン
が使用されている。これらは、室外機、室内機および両
者をつなぐ冷媒配管で構成されている。これに対し、例
えば、特開平２−２８７０３４号公報記載のように、換
気機能の付加と冷媒配管工事の省略とを目的とした一体
型集中空調ユニットが開発されている。 【０００３】また、空気熱源パッケージエアコンの暖房
運転時には、室外側熱交換器のフィン部表面に霜が付
き、この霜を取り除くために定期的に除霜運転を行う必
要がある。このような除霜運転時には暖房運転は中断さ
れる。除霜に費やされるエネルギーは、暖房に直接寄与
しないエネルギーであり、さらに除霜運転時に一部の熱
エネルギーは外部へ逃げる損失エネルギーとなる。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】特開平２−２８７０３
４号公報記載のような一体型集中空調ユニットは、換気
機能の付加と冷媒配管工事の省略とを実現しているが、
冷暖房をまかなうセパレート型空気熱源パッケージエア
コンにおける室内機および室外機に相当する部分は単に
一体型として併設されているだけで、冷暖房性能の向
上、省エネルギーの点で改善の余地があった。 【０００５】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るためになされたもので、環気の一部（排気）を熱回収
したのち、その空気を室外機の熱源として利用し、空調
性能を向上するとともに省エネルギーを実現する換気式
空気熱源空気調和装置を提供することを目的（第一の目
的）とする。また、本発明の他の目的（第二の目的）
は、除霜運転時における外気への放熱を抑え、投入した
エネルギーを有効に利用できる換気式空気熱源空気調和
装置を提供することにある。 【０００６】 【課題を解決するための手段】上記第一の目的を達成す
るために、本発明に係る換気式空気熱源空気調和装置の
最も基本的な構成は、空調対象の部屋とダクトを介して
接続し、室内機、室外機、換気装置を一体に構成してな
る換気式空気熱源空気調和装置において、換気により屋
外に排気される空気の熱を前記換気装置の熱交換器で回
収したのち、その空気をさらに室外機の熱源として利用
するように構成したものである。 【０００７】より具体的な構成は、空調対象の部屋と環
気ダクトおよび給気ダクトを介して接続し、室内側熱交
換器を備えた室内機相当部と、室外側熱交換器を備えた
室外機相当部と、換気用熱交換器を備えた換気装置とを
一筐体内に配置するようにした一体型の換気式空気熱源
空気調和装置において、前記室外機相当部に、前記室外
側熱交換器の吸い込み空気と、前記換気用熱交換器を通
過した空調空気の一部の排気とを混合する空間領域を設
けたものである。 【０００８】また、上記第二の目的を達成するために、
本発明に係る換気式空気熱源空気調和装置の構成は、上
記の装置において、暖房運転における室外側熱交換器の
除霜時に、当該室外側熱交換器を外気から遮断する隔離
手段を設けたものである。この隔離手段は、例えば、室
外機相当部の外気吸い込み部に設けた風圧シャッタであ
る。 【０００９】以下、さらに具体的に本発明の構成と作用
を説明する。本発明は、本装置に接続された空調対象の
部屋からの戻り空気ダクトすなわち環気ダクトで空調対
象からの戻り空気すなわち環気を本装置へ導入し、換気
のために導入する外気を環気の一部と熱交換してから混
入させ、本装置内部で、セパレート型の空気熱源パッケ
ージエアコンの室内機に相当する空気調和部により冷暖
房除湿および塵埃の濾過などの空気調和を行ったのち、
本装置から空調対象の部屋への送り空気ダクトすなわち
給気ダクトにより空調対象へ給気する一体型の換気式空
気熱源空気調和装置において、従来はそのまま外部へ放
出されていた熱交換したあとの環気（排気）を室外側熱
交換器の熱源として利用できるように、セパレート型の
空気熱源パッケージエアコンの室外機に相当する熱交換
器の吸い込み空気に混合するための空気流路を設けて構
成されたものである。 【００１０】さらに、空気熱源パッケージエアコンの暖
房運転時に避けられない除霜運転において、外気への放
熱を抑えて、投入したエネルギーを有効に利用できるよ
うに、除霜運転時に室外側熱交換器を外気から遮断でき
るような隔離手段を設けて構成されたものである。 【００１１】空気を熱源として冷暖房を行うパッケージ
エアコンでは、通常外気温度すなわち室外機が吸い込む
空気の温度が室温に近いほど冷凍サイクル上効率の良い
運転となる。例えば暖房では、室温が２０℃に暖房され
ている場合に外気温度が０℃の場合よりも外気温度が５
℃の方が冷凍サイクル上効率の良い運転となり消費電力
が小さくなることはよく知られている。 【００１２】一方、本装置は、換気のための導入空気を
環気の一部と熱交換してから導入するため、熱交換した
後の環気（排気）は外気温度に近づくが、換気の温度交
換効率は一般に５０〜７０％程度で１００％には至らな
いために外気温度よりは環気温度に近い温度となる。こ
の熱交換した後の環気（排気）を室外機の吸い込み空気
に混合すると室外機の吸い込み空気温度は室温に近づ
き、冷凍サイクル上効率の良い運転となり、消費電力は
小さくなる。 【００１３】また、暖房運転中に必要となる除霜運転
は、セパレート型空気熱源パッケージエアコンの室外機
に相当する熱交換器に高温の冷媒を流し熱交換器フィン
部表面に生じた霜を溶かす方法が一般的に行われてい
る。この際の熱エネルギーの移動は、（高温の冷媒）→
（熱交換器の管部）→（熱交換器のフィン部）→（フィ
ン部表面の霜）の順に伝わるが、（高温の冷媒）から
（フィン部表面の霜）に達するまでに、一部の熱エネル
ギーは外部へ逃げるため、高温の冷媒が失った熱エネル
ギーの全てが霜を溶かすために使われずに損失エネルギ
ーとなってしまう。 【００１４】そこで本装置は、除霜運転時に熱交換近傍
の空気が外気と入れ替わらないように、室外側熱交換器
を外気から遮断する隔離手段を設け、損失エネルギーを
抑えて除霜により多くの熱エネルギーを効率良く投入
し、除霜時間の短縮から省エネルギーおよび暖房性能向
上を実現するものである。 【００１５】次に、本発明の作用を図１および図２を参
照して、具体的数値を用いて説明する。図１は、空気熱
源パッケージエアコンを暖房運転したときの外気温度と
消費電力との関係の一例を示す線図、図２は、換気用熱
交換器運転時の空気温度の一例を示す説明図である。 【００１６】図１は、暖房運転の際に圧縮機の運転周波
数を変化させることで暖房能力を増減することのできる
空気熱源パッケージエアコンにおいて、ある一定の暖房
能力を発揮した際の外気温度（℃）と消費電力（ｋＷ）
との関係を示す例であり、外気温度が高いほど消費電力
は小さくなっている。すなわち、図１の例では、外気温
度が−１５℃より−５℃と高いときの方が、消費電力は
約４．１ｋＷより２．９ｋＷと小さくなっている。 【００１７】図２は、換気用熱交換器運転時の空気温度
の一例を示すものである。換気のための導入外気は−１
０℃であり、空調対象の室内からの環気は２０℃であ
る。前者すなわち換気のための導入外気が、熱交換後に
は５℃、後者すなわち室内からの環気が、熱交換後には
５℃となっている。この熱交換後の室内からの環気すな
わち排気を、−１０℃の室外側熱交換器吸い込み空気に
混合すると、本例では−９．４℃に温度が上昇する。そ
の結果、本例では消費電力が約２％低下する。 【００１８】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図３
および図４を参照して説明する。図３は、本発明の一実
施の形態に係る換気式空気熱源空気調和装置の構成を示
す斜視図、図４は、図３の装置の図で、（ａ）は上面
図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。 【００１９】図３，４において、１は一体型の換気式空
気熱源空気調和装置、１０は、セパレート型空気熱源パ
ッケージエアコンにおける室内機に相当する部分、１１
は、空調対象の部屋（図示せず）と給気ダクト（図示せ
ず）を介して接続するための給気ダクト接続口で、この
給気ダクト接続口１１は、一体型の換気式空気熱源空気
調和装置１の筐体に開口している。１２は室内側熱交換
器用送風機、１３は室内側熱交換器、１４は換気用熱交
換器である。 【００２０】１５は、環気ダクト（図示せず）および給
気ダクトを流通する空調空気の一部を換気用外気の流通
路と熱交換させる流路の環気入口、１６は、前記流路の
排気出口、１７は、換気用外気の流通路の導入外気入
口、１８は、換気用外気の流通路の導入外気出口、１９
は、空調対象の部屋（図示せず）と環気ダクト（図示せ
ず）を介して接続するための環気ダクト接続口であり、
この環気ダクト接続口１９は、前記換気式空気熱源空気
調和装置１の筐体に開口している。 【００２１】また、図３，４において、２０は、セパレ
ート型空気熱源パッケージエアコンにおける室外機に相
当する部分、２１は室外側熱交換器用送風機、２２は室
外側熱交換器、２３は、室外側熱交換器２２の吸い込み
空気と前記換気用熱交換器１４を通過した空調空気の一
部（環気）の排気とを混合する空間領域に係る混合スペ
ース、２４は、室外機に相当する部分２０の外気吸い込
み部に設けた風圧シャッタである。 【００２２】図３に示す一体型の換気式空気熱源空気調
和装置１の構成と機能について、暖房運転の場合を説明
する。換気式空気熱源空気調和装置１は、室内機に相当
する部分１０、室外機に相当する部分２０、および換気
用熱交換器１４が一筐体内に配置されたものである。室
内機に相当する部分１０と空調対象となる部屋とは、環
気ダクト接続口１９、給気ダクト接続口１１でダクトを
介して接続されている。室内機に相当する部分１０内に
位置する換気用熱交換器１４は、換気用送風機（図示せ
ず）を内蔵しており、暖房時の除霜運転の場合には停止
するように制御されるものである。 【００２３】室外機に相当する部分２０の外気吸い込み
部には、前記換気用熱交換器１４で熱回収した後の環気
すなわち排気を外気と混合する混合スペース２３が設け
られている。この混合スペース２３の外気吸い込み部に
は、除霜時に室外側熱交換器２２を外気から隔離する手
段として風圧シャッタ２４が設けられている。この風圧
シャッタ２４は、室外側熱交換器用送風機２１の運転時
には風圧で開き、停止時には閉じるため、除霜時に室外
側熱交換器用送風機２１が停止すると、室外側熱交換器
２２を外気から隔離し、室外側熱交換器２２近傍の空気
と装置外の外気との入れ替わりを防ぐ。 【００２４】環気ダクト接続口１９から装置内に入った
環気の一部は、環気入口１５から換気用熱交換器１４内
に入り、導入外気入口１７から入った外気と熱交換す
る。熱交換した環気の一部は、排気出口１６を通って混
合スペース２３で、風圧シャッタ２４から取り込まれた
外気と混合し、室外側熱交換器２２を通って室外側熱交
換器用送風機２１により装置外に排出される。 【００２５】また、導入外気は、導入外気入口１７から
換気用熱交換器１４内に入り環気の一部と熱交換したの
ち、導入外気出口１８を通って環気と混合し、室内側熱
交換器１３を通って室内側熱交換器用送風機１２により
給気ダクト接続口１１から給気ダクトを介して空調対象
の部屋へ供給される。 【００２６】本実施の形態により次のような効果があ
る。混合スペース２３にて、環気（排気）を外気と混合
して室外側熱交換器２２の吸い込み空気とすることによ
り、暖房の場合、より高い温度の吸い込み空気による効
率の良い運転ができるので、省エネルギーが実現でき
る。また、この吸い込み空気を混合調整する混合スペー
ス２３を設け、風圧シャッタ２４を設けることにより、
除霜時に、室外側熱交換器２２を外気から隔離しうるの
で、除霜運転時の熱損失を最小限に抑えることができ、
除霜時間を短縮することができる。その結果、暖房性能
の向上と省エネルギーが実現できる。 【００２７】さらに、除霜時間の短縮は、ランニングコ
ストの低減だけでなく、寒冷地で暖房機として空気熱源
パッケージエアコンの使用を難しくしていた大きな原因
である除霜を改善することにより、従来寒冷地で広く使
われてきた燃焼式の暖房機から、全電気式である空気熱
源パッケージエアコンへの移行を実現することができ
る。これにより、近年問題となっている燃焼排気による
地球温暖化問題に対しても貢献できるものである。 【００２８】なお、上記の実施形態では、除霜時に室外
熱交換器を外気から隔離する手段として風圧シャッタを
用いた例を示したが、電動等の駆動装置により隔離手段
の開閉を行っても差し支えない。また、上記図３の実施
形態では、排気出口１６を混合スペース２３の側面に位
置させた例を示したが、混合スペース内部に流路を延長
して設け、混合がより均一に行われるようにしても良
い。 【００２９】さらに、上記の実施形態では、暖房運転の
例をとり説明したが、冷房時においても、より低い吸い
込み空気での運転が可能で、効率の良い省エネルギー運
転が実現できることは言うまでもない。 【００３０】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、環気（排気）の一部を熱回収したのち、その空気
を室外機の熱源として利用し、空調性能を向上するとと
もに省エネルギーを実現する換気式空気熱源空気調和装
置を提供することができる。また、本発明によれば、除
霜運転時における外気への放熱を抑え、投入したエネル
ギーを有効に利用できる換気式空気熱源空気調和装置を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】空気熱源パッケージエアコンを暖房運転したと
きの外気温度と消費電力との関係の一例を示す線図であ
る。 【図２】換気用熱交換器運転時の空気温度の一例を示す
説明図である。 【図３】本発明の一実施の形態に係る換気式空気熱源空
気調和装置の構成を示す斜視図である。 【図４】図３の装置の図で、（ａ）は上面図、（ｂ）は
正面図、（ｃ）は側面図である。 【符号の説明】 １…換気式空気熱源空気調和装置、１０…室内機に相当
する部分、１１…給気ダクト接続口、１２…室内側熱交
換器用送風機、１３…室内側熱交換器、１４…換気用熱
交換器、１５…環気入口、１６…排気出口、１７…導入
外気入口、１８…導入外気出口、１９…環気ダクト接続
口、２０…室外機に相当する部分、２１…室外側熱交換
器用送風機、２２…室外側熱交換器、２３…混合スペー
ス、２４…風圧シャッタ。
きの外気温度と消費電力との関係の一例を示す線図であ
る。 【図２】換気用熱交換器運転時の空気温度の一例を示す
説明図である。 【図３】本発明の一実施の形態に係る換気式空気熱源空
気調和装置の構成を示す斜視図である。 【図４】図３の装置の図で、（ａ）は上面図、（ｂ）は
正面図、（ｃ）は側面図である。 【符号の説明】 １…換気式空気熱源空気調和装置、１０…室内機に相当
する部分、１１…給気ダクト接続口、１２…室内側熱交
換器用送風機、１３…室内側熱交換器、１４…換気用熱
交換器、１５…環気入口、１６…排気出口、１７…導入
外気入口、１８…導入外気出口、１９…環気ダクト接続
口、２０…室外機に相当する部分、２１…室外側熱交換
器用送風機、２２…室外側熱交換器、２３…混合スペー
ス、２４…風圧シャッタ。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 原田 文雄
千葉県柏市十余二508番地８ 日立冷熱
株式会社システムエンジニアリング本部
システムエンジニアリングセンター内
(72)発明者 高橋 岑夫
東京都千代田区神田駿河台四丁目６番地
株式会社日立製作所電機システム事業
本部内
(72)発明者 新井 亨
東京都千代田区神田須田町一丁目23番地
２ 日立冷熱株式会社システムエンジニ
アリング本部内
(56)参考文献 特開 平８−159522（ＪＰ，Ａ)
特開 平３−87535（ＪＰ，Ａ)
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
F24F 12/00
F24F 7/08 - 7/10
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】空調対象の部屋と環気ダクトおよび給気ダ
クトを介して接続し、室内側熱交換器を備えた室内機相
当部と、室外側熱交換器を備えた室外機相当部と、換気
用熱交換器を備えた換気装置とを一筐体内に配置するよ
うにした一体型の換気式空気熱源空気調和装置におい
て、前記換気装置の換気用熱交換器は、前記環気ダクト
および給気ダクトを流通する空調空気の一部を換気用外
気の流通路と熱交換させる流路を有し、前記室外機相当
部に、前記室外側熱交換器の吸い込み空気と、前記換気
用熱交換器を通過した空調空気の一部の排気とを混合す
る空間領域を設け、暖房運転における室外側熱交換器の
除霜時に、当該室外側熱交換器を外気から遮断する隔離
手段を設け、前記隔離手段は、室外機相当部の外気吸い
込み部に設けた風圧シャッタであることを特徴とする換
気式空気熱源空気調和装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24300596A JP3523424B2 (ja) | 1996-09-13 | 1996-09-13 | 換気式空気熱源空気調和装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24300596A JP3523424B2 (ja) | 1996-09-13 | 1996-09-13 | 換気式空気熱源空気調和装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1089753A JPH1089753A (ja) | 1998-04-10 |
| JP3523424B2 true JP3523424B2 (ja) | 2004-04-26 |
Family
ID=17097480
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP24300596A Expired - Fee Related JP3523424B2 (ja) | 1996-09-13 | 1996-09-13 | 換気式空気熱源空気調和装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3523424B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2015015640A1 (ja) * | 2013-08-02 | 2015-02-05 | 株式会社 ワールドルーム ブリス | スマートエコ空調システム |
| CN111664549B (zh) * | 2020-06-10 | 2023-09-12 | 青岛海信日立空调***有限公司 | 空调器 |
-
1996
- 1996-09-13 JP JP24300596A patent/JP3523424B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH1089753A (ja) | 1998-04-10 |
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