JP3518553B2 - 医療用器材 - Google Patents

医療用器材

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JP3518553B2
JP3518553B2 JP36113092A JP36113092A JP3518553B2 JP 3518553 B2 JP3518553 B2 JP 3518553B2 JP 36113092 A JP36113092 A JP 36113092A JP 36113092 A JP36113092 A JP 36113092A JP 3518553 B2 JP3518553 B2 JP 3518553B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用器材に関し、さ
らに詳しくは、接触する薬剤を変質させず、薬品を充填
する工程でも傷つきにくい医療用器材に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用器材は繰り返しの使用によるウィ
ルスの二次感染を防止するために、最近では、使い捨て
のものに置き換えられつつある。また、例えば、注射薬
も、従来は注射の際に滅菌されたアンプル中から注射器
で吸引して用いていたが、最近は、予め注射器中に注射
薬を吸入してあるプレフィルドシリンジが流通し、注射
後の注射器は廃棄されるようになった。
【0003】医療用の薬品容器においては、内容物の視
認が容易になるように、ある程度以上の透明性が必要で
あり、従来、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ塩化ビニルなどが用いられている。しかし、ガラス
は割れることがあり、重く、さらにアルカリイオンなど
が溶出することがあった。また、燃やすのが困難であっ
たり、破片の処理が危険であるなど、使い捨てにするの
には、困難な場合もあった。ポリエチレン、ポリプロピ
レンは耐熱性に劣り、スチーム滅菌ができないほかに、
低分子の有機成分が溶出することがあった。さらに、ポ
リ塩化ビニルは耐熱性に劣り、塩素が溶出し、内容物が
変質することがあった。
【0004】最近、医療用器材の素材として熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂が提案されており、その樹脂で作られ
た医療用器材は、ガスバリア性に優れ、水分を透過せ
ず、溶出物の少ないなど、性能が優れていることが報告
されている(特開平3−61025号公報)。しかし、
熱可塑性ノルボルネン系樹脂で、薬品容器などの医療器
材を移送したり、使用する場合に、傷を生じやすく、そ
の傷に起因して落ちにくい汚れを生じることがあること
が判明判明した。すなわち、実際に機械を用いて薬品を
充填する工程においては外部表面に金属などとの接触に
よるキズの発生や機械油による除去が困難な汚れの付着
が認められた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
問題について鋭意研究の結果、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂からなる医療用器材の薬品、生体、または生体と接
触する器具と接触しない表面にハードコート層を形成す
ることにより、キズが発生しにくく、機械油による汚れ
も除去が容易であり、さらに、高温でのスチーム滅菌が
可能となることを見いだし、本発明を完成させるに到っ
た。
【0006】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、滅菌でも変形せず、不純物の溶出や薬品成分の吸着
によって接触する薬品を変質させず、外部表面にキズが
発生しにくく、機械油による汚れも除去が容易であり、
また、高温でのスチーム滅菌が可能な熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂からなる医療用器材が提供される。
【0007】(熱可塑性ノルボルネン系樹脂)本発明の
熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、特開平3−14882
号や特開平3−122137号、特開平4−63807
号などで公知の樹脂であり、具体的には、ノルボルネン
系単量体の開環重合体、その水素添加物、ノルボルネン
系単量体の付加型重合体、ノルボルネン系単量体とオレ
フィンの付加型重合体などが挙げられる。
【0008】ノルボルネン系単量体も、上記公報や特開
平2−227424号、特開平2−276842号など
で公知の単量体であって、例えば、ノルボルネン、その
アルキル、アルキリデン、芳香族置換誘導体およびこれ
ら置換または非置換のオレフィンのハロゲン、水酸基、
エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミ
ド基、シリル基等の極性基置換体、例えば、2−ノルボ
ルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメ
チル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネ
ン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−
2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノル
ボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル
−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フ
ェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル
−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネ
ン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−オクタデシ
ル2−ノルボルネン等;ノルボルネンに一つ以上のシク
ロペンタジエンが付加した単量体、その上記と同様の誘
導体や置換体、例えば、1,4:5,8−ジメタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a−2,3−シクロ
ペンタジエノナフタレン、6−メチル−1,4:5,8
−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オ
クタヒドロナフタレン、1,4:5,10:6,9−ト
リメタノ−1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,
9a,10,10a−ドデカヒドロ−2,3−シクロペ
ンタジエノアントラセン等;シクロペンタジエンの多量
体である多環構造の単量体、その上記と同様の誘導体や
置換体、例えば、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒ
ドロジシクロペンタジエン等;シクロペンタジエンとテ
トラヒドロインデン等との付加物、その上記と同様の誘
導体や置換体、例えば、1,4−メタノ−1,4,4
a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレ
ン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,
8a−オクタヒドロ−2,3−シクロペンタジエノナフ
タレン等;等が挙げられる。
【0009】なお、本発明においてはノルボルネン系単
量体を重合させる場合には、本発明の効果を実質的に妨
げない範囲において重合可能な他のシクロオレフィン類
等を併用して、共重合体とすることができる。開環重合
の場合の共重合可能なシクロオレフィンの具体例として
は、例えば、シクロペンテン、シクロオクテン、5,6
−ジヒドロジシクロペンタジエンなどのごとき反応性の
二重結合を1個以上有する化合物が例示される。
【0010】ノルボルネン系単量体の重合は公知の方法
でよく、一般には、重合触媒としてTiCl4、WC
6、MoCl5、VCl5、NiCl2、PdCl2など
の遷移金属化合物と、Al、Li、Na、Mgなどの典
型金属のアルキル化合物などを組み合わせて重合する。
また、必要に応じて、公知の方法、例えば、Ni、Pd
などを触媒として、水素添加することにより、熱可塑性
ノルボルネン系樹脂水素添加物とすることができる。
【0011】なお、従来公知の重合方法では、重合体中
に重合触媒由来の遷移金属が残留する。医療用器材が、
生体や薬品等と接触する際に、残留する遷移金属が溶出
するのは好ましくなく、医療用器材中に実質的に残留し
ないことが好ましい。そのような重合体を得る方法とし
ては、細孔容積0.5cm3/g以上、好ましくは0.
7cm3/g以上、好ましくは比表面積250m2/g以
上のアルミナなどの吸着剤に、ニッケルなどの水素添加
触媒金属を担持させた不均一系触媒を用いて重合体を水
素添加したり、このような吸着剤で樹脂溶液を処理して
金属原子を吸着させたり、樹脂溶液を酸性水と純水で繰
り返し洗浄したりすることなどにより、重合触媒由来の
遷移原子を1ppm以下にすることができる。
【0012】不均一系触媒の製造方法は公知の方法に従
えばよく、特公昭50−15474号、特公昭49−3
2187号、特公昭49−11312号、特公昭51−
48479号などに従い、乾燥や焼成の条件によって、
担体の吸着能を制御すればよい。例えば、ニッケルを活
性アルミナに担持した不均一系触媒の場合、濃度10〜
20%の硫酸ニッケルまたは硝酸ニッケル水溶液に水酸
化アルミニウム粉末を10〜20%の濃度で懸濁し、水
酸化ナトリウムで加水分解することにより、水酸化アル
ミニウムの表面に水酸化ニッケルを担持させる。この粉
末を濾過により回収し、押し出しにより固め、350〜
450℃で焼成し、水素と100〜200℃で接触させ
て表面を還元し、さらに酸素の存在下で80〜120℃
に熱することにより金属表面を酸化し、酸化被膜を形成
することにより、活性アルミナに担持したニッケル触媒
が得られる。なお、ニッケルの表面が酸化ニッケルで覆
われているが、水素添加反応の系中では還元により、酸
化ニッケルがニッケルとなり、触媒として機能する。
【0013】押し出しの条件、焼成の温度や圧力等によ
り、活性アルミナの微細な構造が変化するので、細孔容
積0.5cm3/g以上、好ましくは0.7cm3/g以
上、また好ましくは比表面積250m2/g以上になる
ように条件を選択する。また、高温で水素添加する場合
は、酸化被膜が厚いほど耐熱性を持つので、酸化の温
度、時間、酸素濃度などを調節して、好ましい条件を選
択すればよい。こうして得られた焼成物を粉砕して不均
一系触媒を得ればよい。
【0014】一般的な重合触媒の遷移金属化合物とし
て、塩化遷移金属を使用した場合、通常、塩素原子も2
ppm以上残留する。塩素原子も遷移金属原子と同様に
医療用器材中に残留しないようにすることが好ましく、
除去することが好ましい。除去する方法は、遷移金属原
子と同様の処理で除去でき、残留量を1ppm以下にす
ることができる。
【0015】また、本発明で用いる熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂はガラス転移温度が好ましくは105℃以上、
より好ましくは120℃以上、特に好ましくは130℃
以上のものである。滅菌する方法には、γ線照射による
方法など加熱を必要としない方法もあるが、最も簡便な
滅菌方法は、加熱を要する方法、特に煮沸による方法と
スチーム滅菌である。煮沸による滅菌では、熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂はガラス転移温度が105℃以上であ
れば問題はないが、スチーム滅菌では、滅菌時の温度設
定によって要求される耐熱性が異なる。最も一般的なス
チーム滅菌は、オートクレーブを用いた121℃の方法
である。このスチーム滅菌で変形しないためには、ガラ
ス転移温度が130℃以上のものが好ましい。一般に、
環数の多いモノマーを多く使うほど、熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂のガラス転移温度は高くなる。例えば、4環
体であるエチルテトラシクロドデセンの開環重合体水素
添加物は、通常130℃以上になる。しかし、2環体で
あるノルボルネン開環重合体水素添加物では、通常30
℃程度である。一方、ノルボルネンの付加型重合体で
は、ガラス転移温度は、300℃以上であり、測定出来
ない場合もある。あまりガラス転移温度が高いと、射出
成形が困難になるなどの弊害もあるので、モノマーやコ
モノマーを選択して、目的に応じたガラス転移温度の熱
可塑性熱可塑性ノルボルネン系樹脂を製造すればよい。
【0016】本発明で使用する熱可塑性ノルボルネン系
樹脂の数平均分子量は、トルエン溶媒によるGPC(ゲ
ル・パーミエーション・クロマトグラフィ)法で測定し
たポリスチレン換算値で、10,000〜200,00
0、好ましくは20,000〜100,000、より好
ましくは25,000〜50,000である。数平均分
子量が小さすぎると機械的強度が劣り、大きすぎると成
形性が悪くなる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂中のトル
エンを溶媒とした高速液体クロマトグラフィー分析によ
るポリスチレン換算分子量が2,000以下の樹脂成分
含有量が1重量%以下、好ましくは0.5%以下のもの
である。低分子量成分が多いと、医療用器材が生体や薬
品との接触により溶出する恐れがある。
【0017】なお、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を水素
添加する場合、水素添加率は耐熱劣化性、耐光劣化性な
どの観点から、90%以上、好ましくは95%以上、よ
り好ましくは、99%以上とする。
【0018】(配合剤)熱可塑性ノルボルネン系樹脂は
医療用器材によく用いられるスチーム滅菌処理では、変
形など形状的変化は実質的に認められないが、処理条件
などによっては、濁りを生じて透明性が低下することが
ある。これを防止するために、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂と非相溶性の配合剤を添加して、樹脂組成物として
用いることが好ましい。透明性が発現できるまで細かく
分散できるものであれば、有機化合物でも無機質充填剤
であってもよい。
【0019】無機質充填剤としては、平均粒径が1μm
以下、特に0.5μm以下、さらに0.2μm以下のも
のが好ましい。また、透明で、非水溶性のものが好まし
い。例えば、シリカ、アルミナ、ガラスなどを上記粒径
の超微粉末としたものが挙げられる。
【0020】有機化合物としては、本発明の医療用器材
と接触する薬剤中に溶出したりすることにより、薬剤を
変質させにくい高分子化合物が好ましく、微細に分散さ
せるために、ガラス転移温度が40℃以下のゴム質重合
体が好ましい。なお、ブロック共重合したゴム質重合体
などでガラス転移温度が2点以上ある場合があるが、そ
の場合は、最も低いガラス転移温度が40℃以下であれ
ばよい。
【0021】配合剤として用いられる高分子化合物の例
としては、乳化重合または溶液重合したスチレン・ブタ
ジエン・ゴム、ハイスチレンゴムなどのランダムまたは
ブロック・スチレン・ブタジエン系共重合体、これらの
水素添加物;イソプレン・ゴム、その水素添加物;クロ
ロプレンゴム、その水素添加物;エチレン・プロピレン
共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピ
レン・α−オレフィン共重合体などの飽和ポリオレフィ
ンゴム;エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、α−
オレフィン・ジエン共重合体、ジエン共重合体、イソブ
チレン・イソプレン共重合体、イソブチレン・ジエン共
重合体などのジエン系重合体、これらのハロゲン化物、
ジエン系重合体またはそのハロゲン化物の水素添加物;
アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、その水素添加
物;フッ化ビニリデン・三フッ化エチレン共重合体、フ
ッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体、フッ化
ビニリデン・六フッ化プロピレン・四フッ化エチレン共
重合体、プロピレン・四フッ化エチレン共重合体などの
フッ素ゴム;ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエー
テル系ゴム、アクリルゴム、クロルスルホン化ポリエチ
レンゴム、エピクロルヒドリンゴム、プロピレンオキサ
イドゴム、エチレンアクリルゴムなどの特殊ゴム;ノル
ボルネン系単量体とエチレンまたはα−オレフィンの共
重合体、ノルボルネン系単量体とエチレンとα−オレフ
ィンの三元共重合体、ノルボルネン系単量体の開環重合
体、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物など
のノルボルネン系ゴム質重合体の内樹脂組成物の主成分
である熱可塑性ノルボルネン系樹脂と非相溶のもの;ス
チレン・ブタジエン・スチレン・ゴム、スチレン・イソ
プレン・スチレン・ゴム、スチレン・エチレン・ブタジ
エン・スチレン・ゴムなどの芳香族ビニル系モノマー・
共役ジエンのランダム共重合体、これらの水素添加物;
スチレン・ブタジエン・スチレン・ゴム、スチレン・イ
ソプレン・スチレン・ゴム、スチレン・エチレン・ブタ
ジエン・スチレン・ゴムなどの芳香族ビニル系モノマー
・共役ジエンの直鎖状または放射状ブロック共重合体、
それらの水素添加物などのスチレン系熱可塑性エラスト
マーをはじめ、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリ
アミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエ
ン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラ
ストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑
性エラストマー;などのガラス転移温度が20℃以下の
ゴム質重合体や、シクロヘキシル基、イソボルニル基、
トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカン−3−イル
基、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕−7−デセン−
3−イル基など環状置換基を有するポリ(メタ)アクリ
レート樹脂;スチレン類とオクチルアクリレート、ヘキ
シルアクリレートブチルアクリレートなどの(メタ)ア
クリレート類との共重合体、ポリ(アミノカルボニルテ
トラメチレンカルボニルアミノメチレンー1,3−シク
ロヘキシレンメチレン)などのポリアミド樹脂;ポリ
〔オキシカルボニル(1,3−フェニレン)カルボニル
オキシメチレン(トリシクロ〔4.3.0.12,5〕−
3,8−ジイル)メチレン〕などのポリエステル樹脂;
ポリブチレンオキサイド、ポリ〔オキシ(2−メチル−
2−ヒドロキシトリメチレン)オキシ(1,4−フェニ
レン)イソプロピリデン(1,4−フェニレン)〕など
のポリエーテル樹脂;ポリ〔オキシカルボニルオキシ
(2−メチル−1,4−シクロヘキシレン〕イソプロピ
リデン(3−メチル−1,4−シクロヘキシレン)〕な
どのポリカーボネート樹脂;ポリウレタン樹脂;などの
高分子化合物などが挙げられる。
【0022】これらの中でも、芳香族ビニル系モノマー
と共役ジエン系モノマーの共重合体、その水素添加物、
及び本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂と非相溶のノ
ルボルネン系ゴム質重合体が、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂との分散性が良く、好ましい。芳香族ビニル系モノ
マーと共役ジエン系モノマーの共重合体はブロック共重
合体でもランダム共重合体でも良い。耐候性の点から芳
香環以外の部分を水添しているものがより好ましい。具
体的には、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、ス
チレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、ス
チレン・イソプレン・ブロック共重合体、スチレン・イ
ソプレン・スチレン・ブロック共重合体、およびこれら
の水素添加物、スチレン・ブタジエン・ランダム共重合
体などが挙げられる。
【0023】また、本発明の樹脂を薬品容器に成形した
場合などには、内容物の量や状態が確認できる程度の透
明性が必要である。そのためには、配合剤は、それを添
加する熱可塑性ノルボルネン系樹脂との屈折率の差が小
さいことが好ましい。屈折率の差が大きいものを混合す
ると、多量に添加した場合に内容物の量などが見えなく
なるほど不透明となりやすい。また、少なすぎるとスチ
ーム滅菌処理での濁り防止が不十分になる。
【0024】熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、配合剤を
添加すると、一般に透明性は低下するが、樹脂、配合
剤、配合割合によって透明性は異なり、1mmの厚さに
成形すると波長領域450〜700nmの範囲で光線透
過率で通常40%以上、好ましくは50%以上、より好
ましくは60%以上である。配合剤がミクロドメンを形
成して分散している場合は、0.3μm以下、特に0.
2μm以下のミクロドメインを形成していれば、可視光
の波長よりも配合剤の直径が小さく、光が散乱しにくい
ため、透明性に優れる。
【0025】また、配合剤と熱可塑性ノルボルネン系樹
脂の屈折率の差は小さいほど、透明性に優れ、配合量が
5重量%〜0.5重量%では、好ましくは0.2以下、
より好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.05以
下に、特により好ましくは0.02以下、配合量が0.
5重量%未満では、0.3以下、より好ましくは0.2
以下、特に好ましくは0.1以下、特により好ましくは
0.05以下にする。
【0026】熱可塑性ノルボルネン系樹脂の種類が異な
れば屈折率も異なるが、例えば、ゴム質重合体はモノマ
ーの比率を変化させたり、主鎖の不飽和結合の数を水素
添加などにより変化させることにより、連続的に屈折率
を変えることが可能である。用いる熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂の屈折率に応じて、適当な屈折率を有するゴム
質重合体を選択することが好ましい。
【0027】(配合)本発明においては熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂90〜99.99重量%、好ましくは95
〜99.98重量%、より好ましくは99〜99.95
重量%、特に好ましくは99.5〜99.9重量%に配
合剤10〜0.01重量%、好ましくは5〜0.02重
量%、より好ましくは1〜0.05重量%、特に好まし
くは0.5〜0.1重量%添加して、熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂中で分散させる。添加量が多すぎれば、樹脂
の透明性、ガラス転移温度、耐熱性が低下する。添加量
が少なすぎれば、配合剤を配合する効果が獲られな
い。。
【0028】添加する方法は配合剤が熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂中で十分に分散する方法であれば、特に限定
されない。例えば、ゴム質重合体を配合剤とする場合に
は、ミキサー、二軸混練機などで樹脂温を溶融状態で混
練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させて凝固法、
キャスト法、または直接乾燥法により溶剤を除去する方
法などがある。
【0029】混練する場合には、樹脂温度がTg+50
℃〜Tg+150℃の温度で、十分にシェアをかける。
樹脂温度が低すぎると粘度が高くなり混練が困難であ
り、高すぎると樹脂やゴム質重合体が劣化し、粘度や融
点の差により両者がうまく混練できない。
【0030】配合剤の種類、量を調節すると、樹脂を薬
品容器に成型した場合などに、内容物の量などが確認で
きる程度に透明となる。透明性を向上させるには、配合
剤がミクロドメインとなって熱可塑性ノルボルネン系樹
脂中に分散することが好ましい。有機化合物の場合は、
配合量が多いとミクロドメインとならない場合がある
が、例えば、ゴム質重合体であれば、0.8〜0.01
重量%添加することによりミクロドメインとすることが
できる。また、配合量が少ない場合、あるいは配合剤を
加えない場合は、オートクレーブなどによるスチーム滅
菌により、樹脂が白濁し、透明性が失われる可能性があ
る。
【0031】例えば、ラボプラストミル(東洋精機製)
を用いる場合、二軸異方向ミキサーモードで回転数20
〜30rpmで、フィード・レートを調節して滞留時間
を1〜10分程度にして混練すれば、通常、熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂中にゴム質重合体を直径0.3μm以
下のミクロドメインを形成して分散させることができ
る。通常、二軸混練機においては、L/Dを25以上、
好ましくは30以上にし、滞留時間を1〜10分程度に
する。滞留時間が長いほど、ミクロドメインを形成しや
すいが、樹脂やゴム質重合体が劣化しやすいので、用い
る樹脂、ゴム質重合体、混練に用いる装置の組み合せに
よって、予備的に混練して、その組み合せにあった回転
数、滞留時間等を決めなければならない。
【0032】なお、ミクロドメインはゴム質重合体を配
合剤とする場合には、ほぼ球形となり、粒子間での粒径
のばらつきは小さい。通常、直径0.3μm以下、好ま
しくは0.2μm以下である。この粒径であれば、後述
のようにゴム質重合体を添加による熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂組成物の透明性の低下は小さく、問題とならな
い。他の配合剤の場合も、ミクロドメインはほぼ球形と
なることが好ましく、粒子間での粒径のばらつきがない
ことが好ましく、直径0.3μm以下、特に0.2μm
以下となることが好ましい。なお、ミクロドメインが球
形とならない場合でも、そのミクロドメインを閉じ込め
ることのできる最小の球の直径が0.3μm以下、特に
0.2μm以下となることが好ましい。
【0033】(添加剤)本発明で用いる熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂には、所望により、各種添加剤を添加して
もよい。樹脂に用いられる添加剤は樹脂と相溶性のある
ものであり、フェノール系やリン系などの酸化防止剤、
耐電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤などがある。溶液流延
法でシートを成形する場合には、表面粗さを小さくする
ため、レベリング剤の添加も好ましい。レベリング剤
は、例えば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリ
ル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤など
塗料用レベリング剤を用いることができ、それらの中で
も溶媒との相溶性の良いものが好ましい。しかし、これ
らは樹脂から溶出する恐れがあり、添加剤は分子量が大
きいものが好ましく、添加量は少ないことが好ましい。
【0034】例えば、酸化防止剤は比較的分子量が小さ
く、溶出しやすいが、分子量600以上、好ましくは7
00以上の酸化防止剤であれば溶出を防ぐことができ、
3000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、
より好ましくは500ppm以下の添加するのであれ
ば、酸化防止剤はほとんど溶出しない。
【0035】分子量600以上の酸化防止剤としては、
ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス
〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ〕エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5.5〕ウンデカン、1,6−ヘキサンジオール−ビ
ス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチレン
ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレ
ンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒ
ドロシンナマイド)、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオ
キシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げら
れる。
【0036】また、スチーム滅菌での濁りの発生防止の
ために、熱可塑性ノルボルネン系樹脂に多価アルコール
の部分エーテル化物および/または部分エステル化物を
5〜0.01重量%、好ましくは2〜0.05重量%、
特に好ましく1.0〜0.1重量%添加してもよい。添
加することによって、配合剤を添加したのと同様に、ス
チーム滅菌での濁りの発生を防止できる。
【0037】多価アルコールのアルコール性水酸基の一
部をエステル化した部分エステル化物としては、例えば
特開昭63−275654号で公知のグリセリンモノス
テアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモ
ノベヘネート、ジグリセリンモノステアレート、グリセ
リンジステアレート、グリセリンジラウレート、ペンタ
エリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトー
ルモノラウレート、ペンタエリスリトールモノベヘレー
ト、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリ
スリトールジラウレート、ペンタエリスリトールトリス
テアレート、ジペンタエリスリトールジステアレートな
どが挙げられる。
【0038】多価アルコールのアルコール性水酸基の一
部をエーテル化した部分エーテル化物としては、例え
ば、3−(オクチルオキシ)−1,2−プロパンジオー
ル、3−(デシルオキシ)−1,2−プロパンジオー
ル、3−(ラウリルオキシ)−1,2−プロパンジオー
ル、3−(4−ノニイルフェニルオキシ)−1,2−プ
ロパンジオール、1,6−ジヒドロキシ−2,2−ジ
(ヒドロキシメチル)−7−(4−ノニルフェニルオキ
シ)−4−オキソヘプタン、p−ノニルフェノールとホ
ルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得
られるエーテル化合物、p−オクチルフェノールとホル
ムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得ら
れるエーテル化合物、p−オクチルフェノールとジシク
ロペンタジエンの縮合体とグリシドールの反応により得
られるエーテル化合物などが挙げられる。これらの中で
も、分子量500〜2000、特に800〜1500の
ものが好ましい。分子量が小さい添加剤を用いる場合、
添加量が多い場合は、溶出しやすく、分子量の大きいも
のを少量添加することが好ましい。添加量が少ないと、
スチーム滅菌による濁りの発生防止の効果が小さい。
【0039】(成型)本発明においては、熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂を医療用器材に成形する。本発明の医療
用器材としては、例えば、注射用の液体薬品容器、アン
プル、プレフィルドシリンジ、輸液用バッグ、固形薬品
容器、点眼薬容器、点滴薬容器などの液体または粉体、
固体の薬品容器; 食品容器; 血液検査用のサンプリ
ング用試験管、採血管、検体容器などのサンプル容器;
メスや鉗子、ガーゼ、コンタクトレンズなどの医療材
料などの滅菌容器; 注射器などの医療器具;ビーカ
ー、シャーレ、フラスコなどの実験器具; 医療検査用
プラスチックレンズなどの光学部品;医療用輸液チュー
ブ、配管、継ぎ手、バルブなどの配管材料; などが例
示される。特に機械を用いて薬品を封入する、薬品容
器、凝結剤を封入した血液検査用のサンプリング用試験
管や採血管などにおいて、本発明の効果が大きい。
【0040】熱可塑性ノルボルネン系樹脂の成形方法は
特に限定されない。目的に応じて、射出成形法、ブロー
成形法、インジェクションブロー成形法、回転成形法、
真空成形法、押出成形法、カレンダー成形法、溶液流延
法などが可能である。
【0041】本発明の配合剤を配合した場合の熱可塑性
ノルボルネン系樹脂の成形品の耐熱性、耐薬品性、誘電
特性、剛性は、添加しない熱可塑性ノルボルネン系樹脂
の成型品と実質的に同じである。
【0042】また、本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹
脂は薬品の吸着が少ない。特に、アルコール類、アミン
類、エステル類、アミド類、エーテル類、カルボン酸
類、アミノ酸類などの極性基を有する化合物の吸着が少
なく、さらに、本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂は
有機物などが染み出すことがないので、接触する薬品が
変質したりすることがない。
【0043】(プライマー)本発明においては、薬品、
生体、または生体と接触する医療器具と接触しない表面
部分にハードコート層を形成する。前述のように熱可塑
性ノルボルネン系樹脂にゴム質重合体を添加した場合
は、密着性が良好である。しかし、そのような方法によ
り密着性が改良されていない熱可塑性ノルボルネン系樹
脂の場合、ハードコートする部分にプライマー層を形成
しておくことが好ましい。
【0044】本発明で用いるプライマーは、ハロゲン化
炭化水素重合体から成り、通常、分子量5,000〜2
00,000、好ましくは10,000〜150,00
0、より好ましくは20,000〜100,000のも
のである。このようなハロゲン化炭化水素重合体として
は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、
スチレンなどの炭化水素系モノマーを重合または共重合
した炭化水素系ポリマーをハロゲン化したもの、または
ビニルクロリド、ベニリデンクロリド、クロロプレンな
どのハロゲン含有モノマーを重合または共重合したもの
などである。なかでも、炭化水素系ポリマーを塩素化し
たものが好ましく、特に塩化ポリプロピレンが好まし
い。
【0045】ハロゲンの含有量は、15〜55重量%、
好ましくは20〜45重量%、より好ましくは25〜3
5重量%である。分子量が小さすぎるとプライマー層の
強度が低くなり、大きすぎると粘度が高くなりすぎて塗
布の作業性が悪い。また、ハロゲンの含有量が少なすぎ
ても多すぎてもプライマー層とハードコート形成面、プ
ライマー層とハードコート層との接着性が悪くなる。
【0046】また、紫外線硬化型ハードコート層を形成
する場合は、後述の光重合性モノマー、光重合性オリゴ
マーなど、特に単官能アクリレートモノマーを2〜20
重量%添加すると、プライマー層とハードコート層との
接着性が向上するので好ましい。
【0047】本発明においては、プライマーは溶剤に溶
解してプライマー溶液として用いる。溶剤は、熱可塑性
飽和ノルボルネン系樹脂に対する実質的貧溶媒であれ
ば、特に限定されない。例えば、トルエンは熱可塑性飽
和ノルボルネン系樹脂の良溶媒であるが、メチルイソブ
チルケトンで70重量%以下に希釈すれば、熱可塑性飽
和ノルボルネン系樹脂に塗布しても浸食が小さくなるの
で、プライマーの溶剤として用いることができる。ま
た、紫外線硬化型ハードコート層を形成する場合は、n
−ブチルメタクリレートやイソアミルメタクリレートな
どの単官能アクリレートも熱可塑性飽和ノルボルネン系
樹脂に対する貧溶媒であり、前述のプライマーに添加す
るの光重合性モノマーとしての効果を有する反応性希釈
剤であるため、好ましいものである。
【0048】プライマー溶液の濃度は1〜30重量%、
好ましくは2〜20重量%、より好ましくは3〜10重
量%である。
【0049】(プライマー層の形成方法)本発明で形成
されるプライマー層は、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹
脂からなるハードコート層形成面に塗布し、溶剤中の揮
発成分を十分に除去することにより形成される。なお、
例えば、プライマーの溶剤として前述のような反応性希
釈剤のみを使用する場合は、除去操作は不要である。
【0050】プライマー溶液の塗布方法は特に限定され
ず、例えば、スプレー、浸漬、スピンコート、ロールコ
ーター等が可能である。また、プライマー溶液中の揮発
成分の除去方法も特に限定されない。溶剤を実質的に除
去するのに必要な揮発温度と時間は、使用する溶剤の種
類、塗布量、接着面またはハードコート層形成面の形状
によっても異なるが、ハードコート層形成面を有する成
形品の熱変形がないように、おおむね120℃以下で、
かつ、十分に除去できるように条件を決定すればよい。
具体的には60〜120℃で、3〜60分程度の放置し
ておくのが適当である。高温で揮発成分を除去した後
は、室温で10秒〜10分程度の冷却を行い、ほぼ室温
近くまで冷却することが好ましい。
【0051】塗布する量は、特に限定されないが、厚さ
が1〜10μm程度、特に2〜5μm程度になるように
することが好ましい。塗布後に揮発成分の除去が必要な
場合は、十分な除去後に上記の厚さになるようにするこ
とが好ましい。プライマーの塗布量が少ないと、プライ
マーの効果が小さく、多すぎると乾燥が困難であった
り、十分な接着性が得られなかったりする。
【0052】(コート剤)ハードコート層を形成する場
合に用いるコート剤はシリコン系コート剤でも、有機系
コート剤でもよい。シリコーン系のコート剤は、シラン
化合物の部分加水分解物であり、有機系のコート剤に
は、メラミン系、アルキッド系、ウレタン系およびアク
リル系の塗料を加熱硬化するコート剤と、多官能アクリ
ル系モノマーなどを紫外線硬化する紫外線硬化型コート
剤がある。熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂が熱変形し
にくい条件で硬化でき、十分な硬さと耐候性の点で、紫
外線硬化型コート剤が好ましい。
【0053】本発明で用いられる紫外線硬化型コート剤
は、反応性モノマーおよび/または反応性オリゴマーと
光重合開始剤、その他の添加剤を含み、無溶剤または溶
剤で希釈したものである。
【0054】反応性モノマーとしては、アクリレート類
がその主なものであるが、具体的には、2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタク
リレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、フェノ
キシエチルアクリレート、フェノキシプロピルアクリレ
ート、その他の高級アルキルアクリレート等の単官能ア
クリレートモノマー類;スチレン、ビニルピロリドン等
のその他の単官能モノマー類;エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチ
レングリコール、ヘキサンジオール、トリメチロールプ
ロパン、テトラメチロールプロパン、ペンタエリスリト
ール等のポリオール類に2個以上のアクリレートが結合
した多官能アクリレートモノマー類;などを挙げること
ができる。
【0055】反応性オリゴマーとしては、末端にアクロ
イル基を持つポリエステルアクリレート、分子鎖中にエ
ポキシ基かつ末端にアクロイル基を持つエポキシアクリ
レートまたはポリウレタンアクリレート、分子鎖中に二
重結合を持つ不飽和ポリエステル、1,2−ポリブタジ
エン、その他のエポキシ基またはビニルエーテル基を持
つオリゴマーを挙げることができる。
【0056】光重合開始剤としては、2,2−ジメトキ
シ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ
アセトフェノン、塩素化アセトフェノン等のアセトフェ
ノン類; ベンゾフェノン類; ベンジル、メチルオル
ソベンゾイルベンゾエート、ベンゾインアルキルエーテ
ル等のベンゾイン類; α,α′−アゾビスイソブチロ
ニトリル、2,2′−アゾビスプロパン、ヒドラゾン等
のアゾ化合物; ベンゾイルパーオキサイド、ジターシ
ャリーブチルパーオキサイド等の有機パーオキサイド
類; ジフェニルジサルファイド、ジベンジルジサルフ
ァイド、ジベンゾイルジサルファイド等のジフェニルジ
サルファイド類;等を挙げることができる。また、市販
のダロキュアー1173(メルク社製)、ダロキュアー
1116(メルク社製)、イルガキュアー184(チバ
ガイギー社製)、イルガキュアー651(チバガイギー
社製)等も用いることができる。
【0057】本発明においては、単官能アクリレートモ
ノマー、2または3官能アクリレートモノマー、4官能
以上のアクリレートモノマー、及び光重合開始剤から成
る紫外線硬化型コート剤が好ましい。
【0058】本発明においては、光重合性のモノマーで
あってアクリレート基を1つ有するものを単官能アクリ
レートモノマー、同じく2つ有するものを2官能アクリ
レートモノマーなどというようにいう。
【0059】単官能アクリレートモノマーとしては、例
えば、n−ブチルアクリレート、イソアミルアクレイレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメ
タクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノ
キシプロピルアクリレート、その他の高級アルキルアク
リレートなどが挙げられる。紫外線硬化型コート剤の硬
化収縮率を低下させるために、炭素数4〜6程度の側鎖
を有するアクリレートが好ましい。
【0060】2または3官能アクリレートモノマーとし
ては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、トレ
メチロールプロパン、テトラメチロールプロパン、ペン
タエリストール、ジペンタエリスリトール等のポリオー
ル類に2または3個のアクリレートが結合したものであ
る。
【0061】4官能以上のアクリレートモノマーとして
は、例えば、テトラメチロールプロパン、ペンタエリス
トール、ジペンタエリスリトール等のポリオール類に4
個以上のアクリレートが結合したものである。
【0062】これらの混合割合は、通常、アクリレート
モノマーと光重合開始剤を合わせた重量に対して、単官
能アクリレートモノマーは0〜80重量%、好ましくは
0〜60重量%、2または3官能アクリレートモノマー
は5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%、4官
能以上のアクリレートモノマー10〜80重量%、好ま
しくは20〜75重量部、光重合開始剤は0.5〜10
重量%、好ましくは1〜5重量%である。4官能以上の
アクリレートモノマーが多すぎると、硬化収縮が増大
し、少なすぎるとハードコート層の硬度が低下し、また
硬化速度が低下する。単官能アクリレートモノマーの量
が少ないと粘度が高くなり作業性が悪い。また、単官能
アクリレートモノマーの量が多いと硬化収縮が減少する
ほか、2または3官能アクリレートモノマーの量が少な
くなり、ハードコート層の柔軟性が低下し、クラック発
生の原因となる。また、接着性を向上させるためには2
または3官能アクリレートモノマーの量は多いことが好
ましい。
【0063】さらに、ハードコート層の接着性や硬度を
満たす限りにおいて、適当な添加物を加えてもよい。例
えば適当な界面活性剤、例えば、紫外線硬化剤との相溶
性のよい非イオン系活性剤、特にアミン系界面活性剤や
その他の帯電防止剤を添加することにより、表面の帯電
性などを改良できたり、フッ素系ノニオン界面活性剤を
添加することにより、基板との濡れや硬化後の表面平滑
性が改良できたりする。特に硬化後の表面平滑性が改良
されることにより、表面のハードコート層の滑りがよく
なるため、成形品に傷がつきにくくなる。また、適当な
熱可塑性樹脂を添加することにより、粘度を調整した
り、接着性を向上させることもできる。接着性を向上さ
せる熱可塑性樹脂としては、熱可塑性飽和ノルボルネン
系樹脂の場合、熱可塑性ノルボルネン系樹脂またはそれ
と構造が類似の樹脂、例えば、ノルボルネン系単量体の
開環重合体や、ジシクロペンタジエン系、ジエン系、脂
肪族系、ウォーターホワイト系などの石油樹脂またはそ
の水素添加物などが挙げられる。
【0064】これらの混合物は、このままで、紫外線硬
化型コート剤として用いることもできるが、操作性の必
要等に応じて、メタノール、エタノール、プロパノール
等のアルコール系溶媒; エチレングリコール、ブタジ
オール、ヘキサンジオール等のグリコール系溶媒; ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶
剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ア
セトン等のケトン系溶剤;n−ブチルエーテル、ジエチ
ルエーテル等のエーテル系溶剤; 酢酸エチル、酢酸ブ
チル等のエステル系溶剤; メチルセロソルブ、エチル
セロソルブ等のセロソルブ系溶剤; クロロホルム、塩
化メチレン等のクロル系溶剤; 等の溶剤に1〜50重
量%、好ましくは5〜30重量%の濃度に溶解して用い
て、紫外線硬化型コート剤としてもよい。
【0065】(ハードコート層の形成方法)本発明にお
いて、ハードコート層を形成するには、ハードコート層
形成面、または、前述のプライマー処理したハードコー
ト形成面に紫外線硬化型コート剤を塗布し、紫外線を照
射して硬化させる。紫外線硬化型コート剤を溶剤に溶解
して用いた場合は、紫外線硬化型コート剤の塗布後、次
の工程の前に揮発成分を十分に除去しておく。溶剤を多
量に含んだまま紫外線硬化型コート剤を硬化させると、
塗膜にクラックが発生しやすく、また、高硬度の塗膜が
得られない原因にもなる。
【0066】紫外線硬化型コート剤の塗布方法は特に限
定されず、例えば、スプレー、浸漬、スピンコート、ロ
ールコーター等が可能である。溶剤除去方法も特に限定
されない。溶剤を揮発により実質的に除去するのに必要
な温度と時間は、使用する溶剤の種類、塗布量、ハード
コート層形成面の形状によっても異なるが、熱可塑性飽
和ノルボルネン系樹脂の熱変形がないように、おおむね
120℃以下で、かつ、十分に揮発性成分を除去できる
ように条件を決定すればよい。具体的には60〜120
℃で、3〜60分程度の除去方法が適当である。高温で
溶剤を除去した後は、室温で10秒〜10分程度の冷却
を行い、ほぼ室温近くまで冷却することが好ましい。な
お、溶剤を用いない場合は、揮発による除去操作は不要
である。
【0067】塗布する量は、2〜300μm程度の厚さ
になるようにすることが好ましい。溶剤を除去する場合
は、除去後に上記の厚さになるようにすることが好まし
い。紫外線硬化型コート剤の塗布量が少ない場合には、
強度の強いハードコート層が得られず、十分な表面硬度
の改良効果が得られない。多い場合には、溶剤除去や硬
化反応に時間がかかり、生産性が悪くなり、また、硬化
不十分で硬度が低い場合や、ハードコート層が柔軟性に
欠け、割れることがある。
【0068】その後、高圧水銀灯などの紫外線を効率的
に発生する光源から紫外線を照射することにより、硬化
が短時間で起こり、硬度の高いハードコート層が形成さ
れる。紫外線の照射強度は、通常、高圧水銀灯を用いる
場合は、照射強度を1500〜20000mJ/c
2、好ましくは3000〜15000mJ/cm2にす
る。
【0069】硬化させたハードコート層は、鉛筆硬度で
2H以上、好ましくは3H以上、碁盤目剥離試験で80
目/100目以上、好ましくは90目/100目以上の
密着性を示し、さらに、#0000番のスチールウール
を用いたスチールウールテストでは傷がつかず、スチー
ム滅菌処理により剥離せず、さらに、一般的な溶剤や機
械油などにより溶解したり、剥離したりしない。
【0070】
【実施例】以下に、参考例、実施例、および比較例を挙
げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、鉛筆硬
度、碁盤目剥離試験、スチールウールテスト、スチーム
処理は以下のように行った。
【0071】(鉛筆硬度測定法)JIS K−5400
に従って、1kg荷重で測定した。
【0072】(碁盤目剥離試験)成形品表面に形成され
たハードコート層の上から、カッターにより1mm間隔
でタテ、ヨコ各11本の切れ目を入れて1mm四方の碁
盤目を100個作り、セロハン粘着テープ(積水化学社
製)を貼り、外粘着テープを90°方向に剥す。試験結
果は、剥離しなかった目の数で表して示す。
【0073】(スチールウールテスト)#0000番の
スチールウールでハードコートされた成形品をこすり、
傷の有無を確かめた。
【0074】(スチーム処理)オートクレーブで121
℃、30分間の処理を行った。
【0075】参考例1 窒素置換下に、エチルテトラシクロドデセン60重量部
に、シクロヘキサン600重量部、1−ヘキセン6.0
重量部、トリエチルアルミニウム15重量%トルエン溶
液45重量部及びトリエチルアミン15.0重量部を加
え、20℃に保ち、攪拌しながら、エチルテトラシクロ
ドデセン240重量部及び四塩化チタン20重量%トル
エン溶液27.0重量部を60分に渡り、連続的に加え
た。その後、1時間反応させた後、エチルアルコール1
5.0重量部及び水6.0重量部を加えて反応を停止さ
せた。反応溶液を40℃に加温して触媒を加水分解した
後、硫酸カルシウム9重量部及びシクロヘキサン180
重量部を加え、過剰の水を除去した。析出した金属を含
む沈澱物を濾過して除去し、エチルテトラシクロドデセ
ン開環重合体を含む透明なポリマー溶液1113重量部
を得た。
【0076】このポリマー溶液750重量部に、Ni−
ケイソウ土触媒(日揮化学製、N113)15重量部を
添加し、耐圧反応器に入れ、水素を導入して、圧力50
kg/cm2、温度200℃で3時間水素添加反応を行
った。反応終了後、シクロヘキサン700重量部を加え
て希釈し、濾過により触媒を除去し、エチルテトラシク
ロドデセン開環重合体水素添加物溶液1350重量部を
得た。
【0077】この水素添加物溶液550重量部をイソプ
ロイルアルコール1500重量部中へ攪拌しながら注
ぎ、開環重合体水素添加物を凝固させた。凝固した開環
重合体水素添加物を濾過して回収し、イソプロピルアル
コール300重量部で2回洗浄した後、回転式減圧乾燥
器中で5toor、120℃で48時間乾燥し、エチル
テトラシクロドデセン開環重合体水素添加物52重量部
を得た。
【0078】この開環重合体水素添加物100重量部を
シクロヘキサン溶液900重量部を、活性アルミナ(水
澤化学製、ネオビードD)4.5重量部を充填した内径
10cm、長さ100cmのカラムに滞留時間100秒
になるように通過させ、24時間循環させた。イソプロ
ピルアルコール2500重量部中へ攪拌しながら注ぎ、
開環重合体水素添加物を凝固させた。凝固した開環重合
体水素添加物を濾過して回収し、イソプロピルアルコー
ル430重量部で2回洗浄した後、回転式減圧乾燥器で
5torr、120℃で48時間乾燥し、エチルテトラ
シクロドデセン開環重合体水素添加物78重量部を得
た。
【0079】この開環重合体水素添加物の分子量は、ゲ
ル・パーミエーション・クロマトグラフィによるポリス
チレン換算値で数平均分子量28,000、重量平均分
子量58,000、水素添加率99.8%以上、示差走
査熱量分析によるガラス転移温度142℃、分子量2,
000以下の樹脂成分0.1%、チタン原子量1ppm
(検出限界)以下、ニッケル原子量0.1ppm(検出
限界)以下、アルミニウム原子量は0.21ppm、塩
素原子量0.37ppmであった。
【0080】この開環重合体水素添加物99.8重量部
にゴム質重合体(タフテックH1052、ガラス転移温
度0℃以下、旭化成社製)0.2重量部、老化防止剤
(イルガノックス1010、チバガイギー社製)0.0
5重量部を添加し、2軸混練機(TEM−35B、スク
リュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数2
50rpm、樹脂温度265℃、フィードレート10k
g/時間)で混練し、押し出し、ペレットとした。
【0081】このペレットを金型温度100℃、樹脂温
度290℃、吹き込み空気圧5kg/cm2で円筒状の
側面と一つ底面を有する容器A(直径20mm、高さ4
0mm、厚さ2mm)と容器B(直径200mm、高さ
130mm、厚さ3mm)をブロー成形した。
【0082】また、このペレットを射出成形(型締め圧
350t、樹脂温度280℃、金型温度100℃)し、
100mm×50mm×2.0mmの試験片10枚程度
を作製した。この試験片の全光線透過率は90.2%で
透明性は良好であり、また、濁度は0.1%であった。
【0083】容器Bの中にLB培地(バクトトリプトン
1重量%、イーストエクストラクト0.5重量%、Na
Cl1重量%、グルコース0.1重量%の水溶液をpH
7.5に調整)300ml、寒天6g、試験片の一枚を
入れ、アルミ箔でキャップして、スチーム滅菌した後、
3日間、37℃に保持したが、菌類の増殖は認められ
ず、また、目視で白濁、割れ、変形などは確認できなか
った。また、容器から取りだした試験片から寒天により
固化したLB培地を除去した後に測定した濁度は0.2
7%、全光線透過率は89.7%であった。
【0084】硬質ガラスフラスコに蒸留水200gを入
れ、硬質ガラス製の蓋をして、オートクレーブを用いて
120℃で1時間スチーム滅菌し、室温になるまで冷却
した後、24時間静置して、蒸留水を回収した。
【0085】さらに、試験片を蒸留水中で20分間超音
波洗浄した後、40℃で10時間乾燥し、10mm幅に
切断し、20g分を硬質ガラスフラスコに入れ、蒸留水
200gを入れ、硬質ガラス製の蓋をして、オートクレ
ーブを用いて120℃で1時間スチーム滅菌し、室温に
なるまで冷却した後、24時間静置して、蒸留水を回収
した。
【0086】この2種類の蒸留水の原子吸光法やイオン
クロマトグラフィ、燃焼−非分散型赤外線ガス分析法等
による分析結果の差から、試験片からの溶出量を求めた
結果、チタン原子溶出量は0.1ppm(検出限界)以
下、ニッケル原子溶出量0.01ppm(検出限界)以
下、アルミニウム原子溶出量は0.01(検出限界)p
pm以下、塩素原子溶出量0.02(検出限界)ppm
以下、全有機炭素量2ppm(検出限界)以下であっ
た。
【0087】この試験片を日本薬局方第12改正「輸液
用プラスチック試験法」に従い、溶出物試験を行った。
泡立ちは3分以内に消失し、pH差は−0.03、紫外
線吸収は0.007、過マンガン酸カリウム還元性物質
0.15mlであり、医療用途に適した性質を有してい
た。
【0088】実施例1 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10重量
部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート10重量
部、光重合開始剤(ダロキュアー1173、メルク社
製)3重量部、フッ素系界面活性剤(FC−430、住
友3M社製)0.1重量部をイソプロピルアルコール8
0重量部に溶解してハードコート剤を得た。
【0089】このハードコート剤を参考例1で得た容器
Aの内部にハードコート剤が接触しないようにディッピ
ングして塗布した。膜厚は約5μmであった。50℃に
1分間放置してイソプロピルアルコールを揮発させた
後、2分間に渡り高圧水銀ランプによって紫外線照射を
10000mJ/cm2行って、ハードコート剤を硬化
させた。
【0090】容器Bのハードコートした外部表面をスチ
ールウールテストにかけたが、キズは認められなかっ
た。また、耐油性テストでも変化は認められず、また、
碁盤目剥離試験においても100目/100目で、良好
な密着性を示した。さらにスチーム処理でも変化は認め
られなかった。また、この外部表面の鉛筆硬度は3Hで
あった。
【0091】さらにメタノール、アセトン、トルエン、
及びガソリンにこれらの溶剤が内部に入らないように浸
漬し、24時間放置したが、特に異常は認められなかっ
た。
【0092】実施例2 ハードコート剤を、ジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート7重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリ
レート3重量部、光重合開始剤(ダロキュアー117
3、メルク社製)0.3重量部、フッ素系界面活性剤
(FC−430、住友3M社製)0.1重量部をイソプ
ロピルアルコール90重量部に溶解したものに代える以
外は、実施例1と同様に処理した。膜厚は3μmであっ
た。
【0093】容器Bのハードコートした外部表面をスチ
ールウールテストにかけたが、キズは認められなかっ
た。また、耐油性テストでも変化は認められず、また、
碁盤目剥離試験においても100目/100目で、良好
な密着性を示した。さらにスチーム処理でも変化は認め
られなかった。また、この外部表面の鉛筆硬度は3Hで
あった。
【0094】さらにメタノール、アセトン、トルエン、
及びガソリンにこれらの溶剤が内部に入らないように浸
漬し、24時間放置したが、特に異常は認められなかっ
た。
【0095】比較例1 参考例1で得た容器Bの外部表面をスチールウールテス
トにかけたところ、はべしくキズを生じた。また、耐油
性テストでもクラックが発生した。スチーム処理では変
化は認められなかった。この外部表面の鉛筆硬度はHB
であった。
【0096】さらにメタノール、アセトン、トルエン、
及びガソリンにこれらの溶剤が内部に入らないように浸
漬し、24時間放置したところ、メタノール、アセトン
では異常は認められなかったが、トルエン、ガソリンで
は、表面が溶解した。
【0097】
【発明の効果】本発明の医療用器材は、外部表面が硬
く、傷つきにくく、さらに耐薬品性に優れており、薬品
を充填する工程などでも傷つきにくい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−275052(JP,A) 特開 平4−89821(JP,A) 特開 平4−305450(JP,A) 特開 平4−363312(JP,A) 特開 平1−221161(JP,A) 特開 平3−31306(JP,A) 特開 平3−275070(JP,A) 特開 平5−225613(JP,A) 特開 平4−276253(JP,A) 特開 平1−223115(JP,A) 特表 平4−506230(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 5/178

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遷移金属原子含有量が1ppm以下であ
    る熱可塑性ノルボルネン系樹脂90〜99.99重量%
    に、該ノルボルネン系樹脂と非相溶である配合剤10〜
    0.01重量%を添加し、該配合剤成分がミクロドメイ
    ンとなって分散してなるもので形成された基材の少なく
    とも一部の外表面にハードコート層を形成して成る医療
    用器材。
  2. 【請求項2】 ハードコート層が紫外線硬化型ハードコ
    ート剤を硬化させたものである請求項1記載の医療用器
    材。
  3. 【請求項3】 薬品容器である請求項1または2記載の
    医療用器材。
  4. 【請求項4】 容器中に薬品を充填した後、容器ごと減
    菌処理した請求項3記載の医療用器材。
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