JP3507741B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JP3507741B2 JP35089099A JP35089099A JP3507741B2 JP 3507741 B2 JP3507741 B2 JP 3507741B2 JP 35089099 A JP35089099 A JP 35089099A JP 35089099 A JP35089099 A JP 35089099A JP 3507741 B2 JP3507741 B2 JP 3507741B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は自動変速機の制御
装置に関し、より具体的には変速ショックの低減を意図
した自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動変速機の制御装置としては例えば、
特開平6−341525号記載の技術が知られており、
その従来技術においては内燃機関の吹き上がりおよび摩
擦係合要素、即ち、クラッチのタイアップを検出し、吹
き上がりを検出したときは、ON側のクラッチの係合圧
を上げる、あるいは昇圧勾配を大きくする、あるいは昇
圧タイミングを早めるように調圧特性を変更し、吹き上
がりやタイアップによるショックを防止するように制御
している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術においては、油圧の追従性を考慮していないため、エ
ンジントルクの増加によって内燃機関の吹き上がりを生
じる恐れがあった。換言すれば、従来技術は、機関回転
数に対するタフネスが必ずしも十分ではなかった。
【0004】従って、この発明の目的は上記した課題を
解決し、油圧の追従性を考慮して供給油圧を決定するこ
とで機関回転数の急変に対するタフネスを向上させ、内
燃機関の吹き上がりを生じることなく、変速ショックを
効果的に低減して乗員の感性に良く適合するようにした
自動変速機の制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するた
めに、この発明は請求項1項において、車両に搭載され
た内燃機関の出力を運転状態に応じて予め設定された変
速特性に従って摩擦係合要素を介して変速して駆動輪に
伝達する自動変速機の制御装置において、前記自動変速
機に入力される入力軸回転数を検出する入力軸回転数検
出手段、前記自動変速機に入力される入力トルクを算出
する入力トルク算出手段、前記出された入力トルクに
基づいて摩擦係合要素に供給される油圧が到達すべき値
を示す到達圧高さを出する到達圧高さ出手段、少な
くとも前記検出された入力軸回転数と前記算出された
達圧高さに基づき、目標到達時間に対して設定された目
標供給油圧量の応答特性の最大値を検索する応答特性最
大値検索手段、前記目標到達時間に対する前記出され
た到高さに基づいて応答特性の実際値を出する応
答特性実際値出手段、前記出された応答特性の実際
値と前記検索された応答特性の最大値を比較し、比較結
果に基づいて応答特性を決定し、決定された応答特性に
基づいて行先段を実現する摩擦係合要素に供給すべき供
給油圧量を決定する供給油圧量決定手段、および前記決
定された供給油圧量に基づいて油圧を供給する油圧制御
回路を備えるように構成した。
【0006】このように、出された入力トルクに基づ
いて摩擦係合要素に供給される油圧が到達すべき値を示
到達圧高さを出し、検出された入力軸回転数と算出
された油圧到達圧高さに基づき、目標到達時間に対して
設定された目標供給油圧量の応答特性の最大値を検索す
ると共に、前記目標到達時間に対する出された到
高さに基づいて応答特性の実際値を出し、両者を比較
して応答特性を決定し、決定された応答特性に基づいて
行先段を実現する摩擦係合要素(クラッチ)に供給すべ
き供給油圧量を決定するように構成した。換言すれば、
油圧の追従性を考慮して供給油圧を決定することで油圧
の到達時間を管理できるため、制御性を向上させ、内燃
機関の吹き上がりを生じることなく、変速ショックを効
果的に低減して乗員の感性に良く適合させることができ
る。さらに、内燃機関の吹き上がりを検知することがな
いため、吹き上がりに対してフィードバック制御で対応
する場合に比し、トルク相の制御時間を短縮することが
できると共に、吹き上がりを懸念しつつ制御する必要が
ないため、より高圧側で制御することが可能となって応
答性を上げることができる。よって一層良好な変速特性
を実現することができる。
【0007】請求項2項にあっては、前記供給油圧量決
定手段は、前記出された応答特性の実際値が前記検索
された応答特性の最大値を超えるときは、前記応答特性
の最大値に基づいて行先段を実現する摩擦係合要素に供
給すべき供給油圧量を決定する如く構成した。
【0008】これにより、油圧の追従性を一層良く考慮
して供給油圧を決定することが可能となり、機関回転数
の急変に対するタフネスを向上させて内燃機関の吹き上
がりを生じることなく、変速ショックを効果的に低減し
て乗員の感性に良く適合させることができる。
【0009】請求項3項にあっては、前記供給油圧量決
定手段は、前記出された応答特性の実際値が前記検索
された応答特性の最大値を下回るときは、前記出され
た応答特性の実際値に基づいて行先段を実現する摩擦係
合要素に供給すべき供給油圧量を決定する如く構成し
た。
【0010】これにより、油圧の追従性を一層良く考慮
して供給油圧を決定することが可能となると共に、目標
時間に到達させることができ、変速ショックを効果的に
低減して乗員の感性に良く適合させることができる。
【0011】請求項4項にあっては、前記供給油圧量決
定手段は、前記決定された行先段を実現する摩擦係合要
素に供給すべき行先段供給油圧量に基づいて現在段を実
現する摩擦係合要素に供給すべき現在段供給油圧量を決
定する如く構成した。
【0012】これにより、前記した効果に加え、行先段
と現在段の供給油圧を良くバランスさせることができ、
変速ショックを一層効果的に低減して乗員の感性に良く
適合させることができる。
【0013】請求項5項にあっては、前記供給油圧量決
定手段は、前記出された入力トルクから前記行先段供
給油圧量を減算して前記現在段供給油圧量を決定する如
く構成した。
【0014】これにより、前記した効果に加え、行先段
と現在段の供給油圧を良くバランスさせることができ、
変速ショックを一層効果的に低減して乗員の感性に良く
適合させることができる。
【0015】請求項6項にあっては、さらに、前記自動
変速機の作動油温を検出する作動油温検出手段を備え、
前記応答特性最大値検索手段は、前記検出された入力軸
回転数と前記算出された到達圧高さと前記検出された作
動油温に基づいて前記応答特性の最大値を検索する如く
構成した。
【0016】これにより、油圧の追従性を一層良く考慮
して供給油圧を決定することが可能となり、機関回転数
の急変に対するタフネスを向上させて内燃機関の吹き上
がりを生じることなく、変速ショックを効果的に低減し
て乗員の感性に良く適合させることができる。
【0017】請求項7項にあっては、前記供給油圧量決
定手段は、少なくとも前記変速のトルク相において前記
供給油圧量を決定する如く構成した。
【0018】これにより、トルク相において油圧の追従
性を一層良く考慮して供給油圧を決定することが可能と
なると共に、イナーシャ相の油圧制御に滑らかに連続さ
せることができ、機関回転数の急変に対するタフネスを
向上させて内燃機関の吹き上がりを生じることなく、変
速ショックを効果的に低減して乗員の感性に良く適合さ
せることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に即してこの発明
の一つの実施の形態に係る自動変速機の制御装置を説明
する。
【0020】図1はその装置を全体的に示す概略図であ
る。
【0021】以下説明すると、符号Tは自動変速機(以
下「トランスミッション」という)を示す。トランスミ
ッションTは車両(図示せず)に搭載されてなると共
に、前進5速および後進1速の平行軸式の有段自動変速
機からなる。
【0022】トランスミッションTは、内燃機関(以下
「エンジン」という)Eのクランクシャフト10にロッ
クアップ機構Lを有するトルクコンバータ12を介して
接続されたメインシャフト(入力軸)MSと、このメイ
ンシャフトMSに複数のギヤ列を介して接続されたカウ
ンタシャフト(出力軸)CSとを備える。
【0023】メインシャフトMSには、メイン1速ギヤ
14、メイン2速ギヤ16、メイン3速ギヤ18、メイ
ン4速ギヤ20、メイン5速ギヤ22、およびメインリ
バースギヤ24が支持される。
【0024】また、カウンタシャフトCSには、メイン
1速ギヤ14に噛合するカウンタ1速ギヤ28、メイン
2速ギヤ16と噛合するカウンタ2速ギヤ30、メイン
3速ギヤ18に噛合するカウンタ3速ギヤ32、メイン
4速ギヤ20に噛合するカウンタ4速ギヤ34、メイン
5速ギヤ22に噛合するカウンタ5速ギヤ36、および
メインリバースギヤ24にリバースアイドルギヤ40を
介して接続されるカウンタリバースギヤ42が支持され
る。
【0025】上記において、メインシャフトMSに相対
回転自在に支持されたメイン1速ギヤ14を1速用油圧
クラッチC1でメインシャフトMSに結合すると、1速
(ギヤ。変速段)が確立する。
【0026】メインシャフトMSに相対回転自在に支持
されたメイン2速ギヤ16を2速用油圧クラッチC2で
メインシャフトMSに結合すると、2速(ギヤ。変速
段)が確立する。カウンタシャフトCSに相対回転自在
に支持されたカウンタ3速ギヤ32を3速用油圧クラッ
チC3でカウンタシャフトCSに結合すると、3速(ギ
ヤ。変速段)が確立する。
【0027】カウンタシャフトCSに相対回転自在に支
持されたカウンタ4速ギヤ34をセレクタギヤSGでカ
ウンタシャフトCSに結合した状態で、メインシャフト
MSに相対回転自在に支持されたメイン4速ギヤ20を
4速−リバース用油圧クラッチC4Rでメインシャフト
MSに結合すると、4速(ギヤ。変速段)が確立する。
【0028】また、カウンタシャフトCSに相対回転自
在に支持されたカウンタ5速ギヤ36を5速用油圧クラ
ッチC5でカウンタシャフトCSに結合すると、5速
(ギヤ。変速段)が確立する。
【0029】さらに、カウンタシャフトCSに相対回転
自在に支持されたカウンタリバースギヤ42をセレクタ
ギヤSGでカウンタシャフトCSに結合した状態で、メ
インシャフトMSに相対回転自在に支持されたメインリ
バースギヤ24を4速−リバース用油圧クラッチC4R
でメインシャフトMSに結合すると、後進変速段が確立
する。
【0030】カウンタシャフトCSの回転は、ファイナ
ルドライブギヤ46およびファイナルドリブンギヤ48
を介してディファレンシャルDに伝達され、それから左
右のドライブシャフト50,50を介し、内燃機関Eお
よびトランスミッションTが搭載される車両(図示せ
ず)の駆動輪W,Wに伝達される。
【0031】車両運転席(図示せず)のフロア付近には
シフトレバー54が設けられ、運転者の操作によって8
種のレンジ、P,R,N,D5,D4,D3,2,1の
いずれか選択される。
【0032】エンジンEの吸気路(図示せず)に配置さ
れたスロットルバルブ(図示せず)の付近には、スロッ
トル開度センサ56が設けられ、スロットル開度THを
示す信号を出力する。またファイナルドリブンギヤ48
の付近には車速センサ58が設けられ、ファイナルドリ
ブンギヤ48が1回転するごとに車速Vを示す信号を出
力する。
【0033】更に、カムシャフト(図示せず)の付近に
はクランク角センサ60が設けられ、特定気筒の所定ク
ランク角度でCYL信号を、各気筒の所定クランク角度
でTDC信号を、所定クランク角度を細分したクランク
角度(例えば15度)ごとにCRK信号を出力する。ま
た、エンジンEの吸気路のスロットルバルブ配置位置の
下流には絶対圧センサ62が設けられ、吸気管内絶対圧
(エンジン負荷)PBAを示す信号を出力する。
【0034】また、メインシャフトMSの付近には第1
の回転数センサ64が設けられ、メインシャフトMSが
1回転する度に信号を出力すると共に、カウンタシャフ
トCSの付近には第2の回転数センサ66が設けられ、
カウンタシャフトCSが1回転する度に信号を出力す
る。
【0035】さらに、車両運転席付近に装着されたシフ
トレバー54の付近にはシフトレバーポジションセンサ
68が設けられ、前記した8種のポジション(レンジ)
の中、運転者によって選択されたポジションを示す信号
を出力する。
【0036】さらに、トランスミッションT、あるいは
その付近の適宜位置には温度センサ70が設けられ、油
温(Automatic Transmission Fluid温度。作動油温)T
ATFに比例した信号を出力すると共に、ブレーキペダ
ル(図示せず)の付近にはブレーキスイッチ72が設け
られ、運転者によってブレーキペダルが踏まれると、O
N信号を出力する。
【0037】これらセンサ56などの出力は、ECU
(電子制御ユニット)80に送られる。
【0038】ECU80は、CPU82,ROM84,
RAM86、入力回路88、および出力回路90からな
るマイクロコンピュータから構成される。マイクロコン
ピュータはA/D変換器92を備える。
【0039】前記したセンサ56などの出力は、入力回
路88を介してマイクロコンピュータ内に入力され、ア
ナログ出力はA/D変換器92を介してデジタル値に変
換されると共に、デジタル出力は波形整形回路などの処
理回路(図示せず)を経て処理され、前記RAM86に
格納される。
【0040】前記した車速センサ58の出力およびクラ
ンク角センサ60のCRK信号出力はカウンタ(図示せ
ず)でカウントされ、車速Vおよびエンジン回転数NE
が検出される。第1の回転数センサ64および第2の回
転数センサ66の出力もカウントされ、トランスミッシ
ョンの入力軸回転数NMおよび出力軸回転数NCが検出
される。
【0041】マイクロコンピュータにおいてCPU82
は行先段あるいは目標段(変速比)を決定し、出力回路
90および電圧供給回路(図示せず)を介して油圧制御
回路Oに配置されたシフトソレノイドSL1からSL5
を励磁・非励磁して各クラッチの切替え制御を行うと共
に、リニアソレノイドSL6からSL8を励磁・非励磁
してトルクコンバータ12のロックアップ機構Lの動作
及び各クラッチの油圧を制御する。
【0042】次いで、この発明に係る自動変速機の制御
装置の動作を説明する。
【0043】図2はその動作を示すフロー・チャートで
ある。図示のプログラムは、例えば10msecごとに
実行される。
【0044】以下説明すると、S10において検出され
た車速Vとスロットル開度THから公知のシフトマップ
(シフトスケジューリングマップ。図示せず)を検索
し、S12に進み、検索値を行先段(変速段)SHと書
き換え、S14に進み、現在係合されている現在段(変
速段)を検出してGAと書き換えると共に、目標段SH
を先行段GBと書き換える。
【0045】次いでS16に進み、変速モードQATN
UMを検索する。変速モードQATNUMは、具体的に
は、11h(1速から2速へのアップシフト)、12h
(2速から3速へのアップシフト)、21h(2速から
1速へのダウンシフト)、31h(1速ホールド(保
持))などと標記される。即ち、最初の数字が1であれ
ばアップシフトを、2であればダウンシフトを、3であ
ればホールドを示す。尚、以下の説明において、変速モ
ードQATNUMが1*hかなどと標記される場合があ
るが、その場合、*は数字を問わず、アップシフトか否
か判断することを意味する。
【0046】次いでS18に進み、S10以降の処理に
おいて変速が必要と判断されるとき、制御時期を示すR
AM上の値SFTMONを0に初期化し、S20に進
み、変速制御を実行する。尚、上記の説明から明らかな
如く、変速モードQATNUMの最初の数字が3であれ
ば、現在段(ギヤ)を保持し、変速制御を実行しない。
【0047】尚、以下の説明では、1速(ギヤ)から2
速(ギヤ)へのアップシフトを例にとる。即ち、現在段
GAを1速(ギヤ)、行先段GBを2速(ギヤ)とす
る。
【0048】図3はその変速制御、より具体的にはアッ
プシフト制御を全体的に示すフロー・チャートである。
【0049】図3の制御時期を示す図4タイム・チャー
トを併せて参照しつつ以下説明すると、S100におい
て前記した値SFTMONのビットが0であるか否か判
断する。この値は図2フロー・チャートのS18で0に
初期化されていることからS100の判断は肯定されて
S102に進み、後述する目標クラッチトルクなどの値
を全て0に初期化(イニシャライズ)し、S104に進
み、SFTMONを10hに設定する。
【0050】次いでS106に進み、現時点が図4タイ
ム・チャートにおいて変速準備開始時点であるので、行
先段である2速ギヤを実現するクラッチC2の目標クラ
ッチトルク(以下「TQON」という)を0とし、S1
08に進み、現在段である1速ギヤを実現するクラッチ
C1の目標クラッチトルク(以下「TQOF」という)
を所定のOFF棚トルク、より具体的にはエンジントル
クを保持するのに必要なトルク量に設定(算出)する。
尚、この実施の形態において、解放(OFFあるいはオ
フ)側の目標クラッチトルクおよび油圧量において平坦
な部位を棚と称する。
【0051】図5はそのOFF棚トルク算出処理を示す
サブルーチン・フロー・チャートである。
【0052】以下説明すると、S200においてエンジ
ントルク(推定入力トルク。後述)TTAPに余裕加算
トルク値#dTQUTRFを加算した値を棚トルク(O
FF側目標クラッチトルクTQOF)とする。
【0053】図3フロー・チャートにあっては次いでS
110に進み、係合(ON)側である行先段を実現する
クラッチC2のON(オン)準備圧(クラッチ油圧量。
以下「QATON」という)を算出(設定)する。これ
は、いわゆる無効ストローク詰めに相当する作業であ
る。
【0054】図6はその作業を示すサブルーチン・フロ
ー・チャートである。
【0055】同図の説明に入る前に、この実施の形態に
係る準備圧算出(無効ストローク詰め相当圧)を概説す
ると、当該クラッチ(例の場合では2速クラッチC2)
の回転数とATF油温により、当該クラッチの無効スト
ローク詰めに最適な供給油圧と充填時間を決定するよう
にした。
【0056】充填時間は、操作量(供給油圧)、クラッ
チ回転数、ATF油温、変速インタバル(あるクラッチ
への操作量を零にしてから当該クラッチに再び操作量を
与えるまでの時間)、クラッチの位置(排油時のドレン
系のリザーバ油面からの高さ、ドレン系のリザーバまで
の距離など)、供給・排出油路の経路(長)、シフトバ
ルブ経由数、シフトソレノイド(アクチュエータ)SL
nの特性、およびクラッチの機械的なバラツキ(容積、
スプリング特性など)などの要因によって変化する。
【0057】そこで、この実施の形態においては、これ
らの変動要因の中、クラッチの位置、供給・排出油路の
経路(長)、シフトバルブ経由数についてはクラッチご
とに予め求めておいて記憶すると共に、リニアソレノイ
ドの特性、クラッチの機械的なバラツキなどは、変速制
御系全体で補償するようにした。
【0058】以下説明すると、操作量QATONを増加
するほど準備を終了するのに要する時間(準備終了時
間)を短縮することができて有利であるが、反面、図7
に示すようにバラツキ幅が増大して制御精度が低下する
ため、変速インタバルの場合と同様に、図8に符号Aで
示すようなバラツキ幅の小さい、制御精度と応答性を両
立させる操作量を求めて設定しておく。
【0059】以上のように設定した変速インタバルと操
作量に対し、クラッチ回転数(入力軸回転数NM)とA
TF油温を変更しながら、図9に示すように準備終了時
間を計測することで、各クラッチに必要なデータを収集
することができる。
【0060】上記のようにして収集したデータをベース
とし、変速インタバルについては以下のように内部オイ
ル量(ATF量あるいは作動油量)を推定し、上記した
準備終了時間を補正する。
【0061】以下、このデータの収集について説明する
と、先ず、図10に示す如く、変速インタバルXnを変
更しながら、データ収集用準備終了時間(以下「T」と
いう)を計測する。
【0062】XnとTの関係を図11に示すようにグラ
フ化し、図12に示すようにXnに対してTを0(内部
オイル空)と1(内部オイル充満)の間で正規化する。
次いで、図13に示すように、変速インタバルXnに対
するオイル減少量(減少速度)を求め、図14に示すよ
うに、オイル量に対するオイル減少量(減少速度)dO
ILに変換する。
【0063】即ち、操作量を零とした時点から一定時間
ごとに内部オイル量に対する図13の値を検索し、その
傾きの分だけ内部オイル量から減算する長時間にわた
って操作量を零にするとき、内部オイル量も零となる。
【0064】次いで、図15に示すように、オイル量
(オイル残量)と入力軸回転数NMに対するオイル減少
量をATF油温TATFについてマップ化することで、
図16に示すように、入力軸回転数NMの変化に対する
オイル量の変化を把握することができる。
【0065】即ち、図17に符号Bで示すように、変速
インタバルXnに対するオイル量としてのみ記憶した場
合、時間軸方向に不連続に進む(あるいは戻る)ことと
なって回転数変化に対する追従が非常に困難であること
から、入力軸回転数の変化に対するオイル量の変化を把
握することができないが、上記のように構成したこと
で、その把握が可能となる。
【0066】従って、操作量を与えるとき、内部オイル
空のときの準備終了時間Tを記憶すると共に、オイル減
少量dOILから内部オイル量OILnを算出し、それ
らに基づいて実際の準備終了時間(制御時間。以下「T
1」という)を決定(補正)することができる。
【0067】上記を前提として図6を参照してON準備
圧算出処理を説明する。
【0068】先ずS300においてSFTMONが10
hか否か判断する。SFTMONは図3フロー・チャー
トのS104で10hに設定されているので、肯定され
てS302に進み、SFTMONの値を11hに書き換
え、S304に進み、ON側クラッチ(例の場合は2速
クラッチC2)の準備圧QDB1Aと上記した(実際
の)準備終了時間T1を検索する。
【0069】図18フロー・チャートは、その処理を示
すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0070】以下説明すると、S400において、検出
された入力軸回転数NMとATF油温TATFから準備
終了時間T1をマップ検索し、S402に進み、同様に
検出された入力軸回転数NMとATF油温TATFから
準備圧QDB1Aをマップ検索し、S404に進み、前
記したオイル残量OILnを推定する。オイル残量OI
Lnにおいて、nは1から5の値であり、1速クラッチ
C1から5速クラッチC5のそれぞれに対応するクラッ
チオイル残量を示す。
【0071】図19はそのオイル残量OILnの推定処
理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。尚、
この処理はクラッチごとに行われる。以下、説明の簡略
化のため、この例の行先段用の2速クラッチC2を例に
とって説明するが、他のクラッチに関しても同様であ
る。
【0072】以下説明すると、S500においてタイマ
tmST(ダウンカウンタ)の値が0か否か判断する。
このタイマは図3フロー・チャートのS102におい
て、変速中にないとき、換言すれば、図4タイム・チャ
ートにおいてSFTMON=0の状態にあるときは0と
される。
【0073】S500で肯定されるときはS502に進
み、行先段(ギヤ)GBが2速か否か判断する。肯定さ
れるときは変速中になく、2速クラッチC2がオン(係
合)していることから、S504に進み、オイル残量O
IL2(2速クラッチC2のオイル残量)を1とする。
即ち、2速クラッチC2はオイルで充満されていると推
定する。
【0074】S502で否定されるときはS506に進
み、2速クラッチC2のオイル残量OIL2が所定値#
OILMINより小さいか否か判断し、肯定されるとき
はS508に進み、オイル残量(前回値)は0、即ち、
2速クラッチC2はオイルがなく、空と推定する。
【0075】他方、S506で否定されるときはS51
0に進み、検出された入力軸回転数NMとオイル残量O
IL2からATF油温TATFおよびクラッチの排出油
路経路に従って別々に設定されたマップの中から該当す
るマップを検索して前記したオイル減少量dOIL2を
求める。
【0076】次いで、S512に進み、オイル減少量d
OIL2だけ減算してオイル残量OIL2を補正する。
【0077】一方、S500で否定されるときは変速中
と判断してS514に進み、目標段GBが2速か否か判
断する。S514で肯定されるときはS516に進み、
現在段GAが2速で、かつ操作量(供給油圧)QATO
Fが所定値#QDB1MIN以上か否か判断し、肯定さ
れるときはS518に進み、オイル残量OIL2を1と
設定する。
【0078】他方、S516で否定されるときはS52
0に進み、オイル残量OIL2が所定値#OILMIN
未満か否か判断し、肯定されるときはS522に進み、
オイル残量OIL2を0とする。また、S520で否定
されるときはS524に進み、S510の処理と同様に
オイル減少量dOIL2をマップ検索し、S526に進
み、S512と同様にオイル残量OIL2を減算補正す
る。
【0079】S514で定されるときはS528に進
み、変速モードQATNUMが1*hで、かつ、タイマ
tUPA1(準備終了時間相当値)の値が0ではない
か、即ち、アップシフト準備中か否か判断し、肯定され
るときはS530に進み、オイル残量OIL2を値tU
PA1で除算して得た値だけオイル残量を加算補正す
る。
【0080】S528で否定されるときはS532に進
み、変速モードQATNUMが2*hで、かつタイマt
KPAJの値が0ではないか、即ち、ダウンシフト準備
中か否か判断し、肯定されるときはS534に進み、オ
イル残量OIL2を値tKPAJで除算して得た値だけ
オイル残量を加算補正する。また、S532で否定され
るときはS536に進み、オイル残量OIL2を1とす
る。
【0081】図18フロー・チャートの説明に戻ると、
次いでS406に進み、このようにして得たオイル残量
OILnを準備終了時間T1に乗じて準備終了時間T1
を補正する。
【0082】図6フロー・チャートの説明に戻ると、次
いでS306に進み、よって得た準備終了時間T1をタ
イマtUPA1(ダウンカウンタ)にセットして時間計
測を開始する。
【0083】次いでS308に進み、よって得たON準
備圧QDB1Aをクラッチ油圧量QATONとする。
尚、これはS300で否定されたときも同様である。
【0084】このように構成したことによって、クラッ
チの立ち上がりに応じてバラツキ幅が小さく、応答性も
適切な操作量および制御時間を求めることができる。ま
た、連続的な変速に対しても、内部オイル量(オイル残
量)を推定して補正することにより、適切な制御を実現
することができる。
【0085】図3フロー・チャートの説明に戻ると、次
いでS112に進み、OFF棚圧を算出する。
【0086】図20はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートである。
【0087】以下説明すると、S600においてOFF
棚圧(下限圧)TQOFを適宜算出し、S602に進
み、算出したOFF棚圧をクラッチ油圧量とする。
【0088】図3フロー・チャートの説明に戻ると、次
回のプログラムループにおいてS100の判断は、先の
プログラムループにおいてS110で11hに設定され
ていることから、否定されてS114に進み、SFTM
ONが10hあるいは11h(図4に示す)か否か判断
する。
【0089】S114で肯定されるとS116に進み、
前記した準備終了時間T1を示すタイマtUPA1の値
が0に達したか否か判断し、否定されるときは未経過と
判断してS106に進むと共に、肯定されるときはS1
18に進み、SFTMONを20hに書き換える。
【0090】次いでS120に進み、トルク相ON/O
FFトルクを算出する。
【0091】図21はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートである。
【0092】同図の説明に入る前にその処理を概説する
と、前記した如く、従来技術(特開平6−341525
号)においては内燃機関の吹き上がりおよび摩擦係合要
素、即ち、クラッチのタイアップを検出し、吹き上がり
を検出したときは、ON側のクラッチの係合圧を上げ
る、あるいは昇圧勾配を大きくする、あるいは昇圧タイ
ミングを早めるように調圧特性を変更し、吹き上がりや
タイアップによるショックを防止するように制御してい
る。
【0093】しかしながら、従来技術においては、油圧
の追従性を考慮していないため、エンジントルクの増加
によって内燃機関の吹き上がりを生じる恐れがあった。
換言すれば、従来技術は、機関回転数に対するタフネス
が必ずしも十分ではなかった。
【0094】従って、この実施の形態おいては、油圧
の追従性を考慮して供給油圧を決定するようにした。よ
り具体的には、ON側クラッチにおいて、準備終了後の
立ち上がりについて、その油圧高さに対する追従時間と
トルクの立ち上がり特性を、ECU80の内部に保持し
ているデータから決定するようにした。
【0095】それにより、ECU80はON側クラッチ
がどの時点からどのようにトルクを持ち始めるのか認識
することができ、認識したON側クラッチトルクと推定
入力トルク(エンジントルク)からOFF側クラッチに
必要な油圧を算出することができる。即ち、この処理に
おいては、ON側の入力にバランスするようにOFF側
の値を決定する。
【0096】以下説明すると、アップシフトにおいて、
イナーシャ相の油圧は、変速ショック低減の観点から設
定される。図22においてその基準目標操作量をXとす
ると、設定された目標時間Yに実際のクラッチ(油)圧
を基準目標操作量Xに到達させるために、過渡的な操作
量を以下の如く決定する。
【0097】即ち、ECU80のROM84に、図23
に示す如く、一定の(油)圧(操作量A)を出力したと
きの追従時間(トルクが立ち上がり始めてから油圧が指
令値に到達するまでの時間)Bを実験を通じて求め、傾
きK(=A/B)として記憶しておく。操作量Aは、制
御に実際に使用される操作量の中から決定した複数値
で、入力軸回転数NMやATF油温に対してマップデー
タ(第1のデータ)X1(n)として保持する。
【0098】さらに、図24に示すように、傾き、即
ち、それを出力したときにある時間で到達する実油圧を
実現する操作量Aの応答特性を示すものとして、Kを同
様にマップデータ(第2のデータ)として保持してお
く。
【0099】次いで、前記XとYの比(=X/Y)を求
め、その比(以下「KX」という)を目標値とし、図2
5(a)に示す如く、K(Aの応答特性を示す第2のデ
ータ)と比較する。その結果、K>KXであれば、内部
データの方が大きい、即ち、基準目標操作量Xに目標時
間Yで到達することが可能であることから、同図(b)
に示すように実行すべき傾き(決定値)KZを目標値K
Xとする。
【0100】他方、K<KXであれば、目標の傾きの方
が大きい、即ち、基準目標操作量Xに目標時間Yで到達
することが不可能であることから、同図(c)に示すよ
うに実行時間をY1に延長し、実行すべき傾きKZを前
記マップデータKとする。
【0101】次いで、図26に示すようなマップデータ
(第2のデータ)から、操作量Aを決定する。即ち、決
定された傾きKZでマップデータを検索し、操作量X1
(n)を算出する。KKXのとき、基準目標操作量X
を目標時間の間中、出力する必要がないため、X1<X
となる。KKXのとき、XとX1は基本的に近い値と
なる。
【0102】目標時間に対し、実行時間Y1は、Y1=
X/KZとなる。KZ=KXのとき、Y=Y1となり、
KZ<KXのときは図25(c)に示す如く、Y1=
(X/KZ)>Yとなる。このことは、設定データにお
ける機械系の固有値に基づいて、目標時間が実現不可能
なときは自動的に実行時間が延長されることを意味す
る。
【0103】また、KZ>KXのときは図25(b)に
示す如く、目標時間丁度に油圧を到達させるために過渡
的な中間圧(操作量)としてX1を出力するとき、その
X1を出力する時間Y1は、Y1=X1/KZで求める
ことができる。
【0104】上記を前提として図21を参照してトルク
相ONトルクおよびOFFトルクの算出を説明する。
【0105】以下説明すると、S700においてG1ト
ルクTQUIA1を算出する。ここでG1トルクとは、
前後方向重力加速度(以下「G」という)目標値に基づ
いて決定されるイナーシャ相開始時点の目標トルクを意
味する。また、後述するG2トルクおよびG3トルク
は、イナーシャ相中間点および終端点における同様のト
ルクを意味する。
【0106】図27はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートである。
【0107】以下説明すると、S800においてSFT
MONが20hであるか否か判断する。図3フロー・チ
ャートのS118で20hに設定されていることから、
S800の判断は肯定されてS802に進み、検出され
た車速Vを所定車速VUTAに固定する。これは、後述
するG2トルクおよびG3トルクを算出するときも同一
の車速、即ち、この固定車速VUTAを使用するためで
ある。
【0108】次いでS804に進み、推定入力トルク
(エンジントルク)TTAPが0以上か否か判断し、否
定されるときはS806に進み、G1トルクTQUIA
1を所定値#dTQUIAM(余裕トルクを示す値。例
えば3kgf・m)とする。
【0109】S804で肯定されるときはS808に進
み、推定入力トルク(エンジントルク)TTAPに固定
車速VUTAおよびスロットル開度THからマップ検索
して得た比率(補正係数)#kGUIA1とギヤ比#R
ATIOn/#RATIOmから1を減算して得た値を
乗じた値が、前記した所定値#dTQUIAMを超える
か否か判断する。
【0110】S808で否定されるときはS812に進
み、推定入力トルクTTAPに前記した所定値#dTQ
UIAMを加算して得た値をG1トルクTQUIA1と
すると共に、肯定されるときはS810に進み、以下の
ようにG1トルクTQUIA1を算出する。 TQUIA1=TTAP*{1+#GUIA1*
((#RATIOn/#RATIOm)−1)}
【0111】尚、G1トルクおよび比率(補正係数)#
kGUIA1などに関しては後で再び触れる。また、上
式および他の数式で*は乗算記号を示す。
【0112】図21フロー・チャートの説明に戻ると、
次いでS702に進み、GtトルクTQUTA1を算出
する。GtトルクTQUTA1は、トルク相終了時のト
ルクである。
【0113】図28はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートである。
【0114】以下説明すると、S900において推定入
力トルク(エンジントルク)TTAPが0以上であるか
否か判断し、肯定されるときはS902に進み、推定入
力トルクTTAPに所定のトルク相設定値#kGUTA
1を乗じて得た値を目標トルクtquta1とすると共
に、否定されるときはS904に進み、目標トルクtq
uta1を0とする。
【0115】次いでS906に進み、SFTMONが2
0hか否か判断し、肯定されるときはトルク相初回と判
断してS908に進み、目標トルクtquta1をGt
トルクTQUTA1とすると共に、否定されるときはS
910に進み、値tquta1がGtトルクTQUTA
1以上か否か判断する。肯定されるときは前回値より大
きいために更新しないようにそのままプログラムを終了
すると共に、否定されるときはS912に進み、目標ト
ルクtquta1をGtトルクTQUTA1とする。
【0116】図29(a)(b)(c)に、図27およ
び図28フロー・チャートで使用される変数を示す。
【0117】図21フロー・チャートに戻ると、次いで
S704に進み、SFTMONが20hか否か、即ち、
トルク相に入って初めてのプログラムループか否か判断
し、肯定されるときはS706に進み、SFTMONの
値を21hに設定し、S708に進み、GtトルクTQ
UTA1を油圧換算してGt圧QUTA1とする。
【0118】次いでS710に進み、ON側の最低圧Q
UIALを検索する。
【0119】次いでS712に進み、所定値#TMUT
AGを検索してトルク相目標時間TMUTAGとし、S
714に進み、アップシフトのON側クラッチのトルク
相制御時間TMDB2A(目標値までの追従時間)、ト
ルク相ブースト圧QDB2A(図25(b)のX1
(a)相当値)、ブースト制御時間TMDB2B(図2
5(b)のY相当値)などを算出する。
【0120】図30はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートであり、図31および図32はトルク相
時間TMDB2Aなどを示すタイム・チャートである。
【0121】以下説明すると、S1000においてGt
圧QUTA1がON側の最低圧QUIALを超えるか否
か判断し、肯定されるときはS1002に進み、到達圧
高さquta1(図22に関して前記したXに相当)を
Gt圧QUTA1とすると共に、否定されるときはS1
004に進み、到達圧高さquta1を最低圧QUIA
Lとする。
【0122】次いでS1006に進み、変速モードQA
TNUMに基づき、入力軸回転数NM、到達圧高さqu
ta1およびATF油温TATFからトルク相最大傾き
kDB2A(図25(a)に関して前記したKに相当)
をマップ検索する。次いでS1008に進み、到達圧高
さquta1を前記した値(トルク相目標時間。図22
に関して前記したYに相当)TMUTAGで除算し、よ
って得た値をトルク相傾きkDB2B(図25(a)に
関して前記したKXに相当)とする。図32(a)にト
ルク相目標時間TMUTAGなどを示す。
【0123】次いでS1010に進み、得たトルク相傾
きkDB2Bがトルク相最大傾きkDB2Aを超えるか
否か判断し、肯定されるときはトルク相時間延長と判断
してS1012に進み、トルク相最大傾きkDB2Aを
傾きkとする。他方、否定されるときはS1014に進
み、トルク相傾きkDB2Bを傾きkとする。
【0124】次いでS1016に進み、変速モードQA
TNUMに基づき、検出された入力軸回転数NM、傾き
kおよびATF油温TATFからブースト圧QDB2A
をマップ検索する。
【0125】次いでS1018に進み、前記したqut
a1を傾きkで除算してトルク相制御時間TMDB2A
を決定(設定)し、S1020に進み、ブースト圧QD
B2Aを傾きkで除算してブースト制御時間TMDB2
Bを決定(設定)し、S1022に進み、変速モードQ
ATNUMに基づき、入力軸回転数NM、ブースト圧Q
DB2AおよびATF油TATFから中折れ時間TM
DB2Cをマップ検索する。
【0126】図21の説明に戻ると、次いでS716に
進み、トルク相制御時間TMDB2A、ブースト制御時
間TMDB2Bおよび中折れ時間TMDB2Cを、それ
ぞれタイマtUTAG,tUTA1,tUTA2にセッ
トして時間計測を開始し、S718に進み、適宜な特性
に従って算出したブースト圧QDB2AをトルクTQU
TABに変換する。
【0127】次いでS720に進み、ON側クラッチト
ルクTQONを0とし、S722に進み、推定入力トル
クTTAPに余裕加算トルク値#dTQUTRFを加算
し、その和をOFF側クラッチトルクTQOFとする。
【0128】他方、S704で否定されるときはS72
4に進み、SFTMONが21hか否か判断し、肯定さ
れるときはS726に進み、タイマtUTA2(TMD
B2C)の値が0か否か判断し、否定されるときは図3
1(a)に示す如く、中折れ前にあると判断してS72
0に進む。
【0129】また、S726で肯定されるときはS72
8に進み、SFTMONを22hに設定し、S730に
進み、図31(b)に示す如く、TQUTA1などを直
線補間してON側クラッチトルクTQONを算出し、S
732に進み、S722と同様に求めた値からTQON
を減算し、よって得た値をOFF側クラッチトルクTQ
OFとする。
【0130】また、S724で否定されるときはS73
4に進み、SFTMONが22hか否か判断し、肯定さ
れるときはS736に進み、タイマtUTA1が0か否
か判断し、否定されるときはS730に進むと共に、肯
定されるときはS738に進み、SFTMONを23h
に設定する。また、S734で否定されるときは、S7
40に進む。
【0131】次いで、S740に進み、同様に図31
(c)のTQUTABからTQUTA1の間を図示の如
く直線補間してON側クラッチトルクTQONを算出
し、S742に進み、S732の処理と同様にOFF側
クラッチトルクTQOFを算出する。
【0132】このように構成することで、油圧の追従性
を考慮した制御が可能となり、推定入力トルク(エンジ
ントルク)の変化に対しても吹き上がりを生じることな
く、追従することができる。また、吹きを検知すること
がないため、トルク相制御時間を短縮することができ、
良好な変速ショック制御を実現することができる。
【0133】図3のフロー・チャートの説明に戻ると、
次いでS122に進み、前記したGt圧などからON側
トルク相圧力(クラッチ油圧量)QATONを算出し、
S124に進み、図20に示す如く、OFF側クラッチ
トルク相圧力(クラッチ油圧量)QATOFを算出す
る。
【0134】他方、S114で否定されるときはS12
6に進み、SFTMONが20hあるいは21hか否か
判断し、肯定されるときはS128に進み、前記タイマ
tUTAGの値が0か否か判断し、否定されるときはS
120に進むと共に、肯定されるときはS130に進
み、SFTMONの値を30hに設定する。
【0135】ここで、エンジントルク(推定入力トル
ク)TTAPの算出(推定)について説明する。
【0136】従来、エンジントルクは、例えば特開平6
−207660号公報に記載されるように車速とスロッ
トル開度から推定、あるいはエンジン回転数と吸気管内
絶対圧などの情報から推定、さらにはトルクコンバータ
の状態などから推定していた。
【0137】しかしながら、スロットル開度などから推
定するときは、環境変化に対して十分に追従することが
できず、また吸気管内絶対圧などから推定するときはト
ルクコンバータおよびイナーシャエネルギの要素が加味
されていないため、推定精度が十分ではない不都合があ
った。さらに、トルクコンバータの状態から推定すると
きは、直結付近でトルク吸収特性が急変するため、特に
過渡状態などにおいて推定精度が低下する不都合があっ
た。
【0138】従って、この実施の形態においては、図3
3に示す如く、エンジン回転数NEと吸気管内絶対圧P
BAからマップ検索自在に設定したエンジントルクTE
PBを用いると共に、エンジン回転数NEからその上昇
に使用されたイナーシャトルクDTEIを算出し、算出
されたイナーシャトルクDTEIおよびトルコントルク
比KTRを用いて入力トルクTTAPを算出(推定)す
るようにした。
【0139】より具体的には、以下の式のように算出す
る。 TTAP=(TEPB−DTEI)*KTRLAT
【0140】尚、DTEIは、トルコンスリップ率ET
R>1.0、即ち、逆駆動状態では零とすると共に、ア
ップシフトでの使用に備えて平滑化する。さらに、イナ
ーシャ相中の回転変化の影響を避けるために、シフトア
ップ時に変速が開始すると、エンジン回転数NEが低下
し、イナーシャトルクDTEIが負になるが、エンジン
トルクは変わらないことから、変速中でのイナーシャト
ルクは算出しない。即ち、DTEIは、イナーシャ相制
御に移行した時点で固定する。
【0141】また、KTRに関しては、図34タイム・
チャートに示すように、変速中に実KTRを用いる場
合、実KTRが増加すると、入力トルクTTAPが増大
する。その結果、制御圧も増大するため、変速ショック
が大きくなる。従って、KTRは変速中には増加させな
いようにし、よって後述するイナーシャ相制御における
目標Gへの追従性を向上させるようにした。
【0142】上記を前提として図35フロー・チャート
を参照して推定入力トルクの演算処理を説明する。
【0143】先ずS1100において検出されたエンジ
ン回転数NEと吸気管内絶対圧PBAから上記したエン
ジントルクTEPBをマップ検索し、S1102に進
み、DTEIを算出する。
【0144】図36はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートである。
【0145】以下説明すると、S1200でエンジンス
トールかどうか適宜な手法で判断し、肯定されるときは
S1202に進み、カウンタ(リングバッファ)をクリ
アする。尚、カウンタは10個のバッファを備え、プロ
グラムループ(10msec)ごとに検出されたエンジ
ン回転数NEの値を保持する。次いでS1204に進
み、エンジン回転数変化量DNE(後述)を0にリセッ
トする。
【0146】S1200で否定されるときはS1206
に進み、カウンタ(リングバッファ)の10個のバッフ
ァが埋まったか否か判断し、肯定されるときはS120
8に進み、今回検出されたエンジン回転数NEから10
0msec前に検出されてバッファに格納されているエ
ンジン回転数NEBUFnを減算して上記したエンジン
回転数変化量DNEを算出する。また、否定されるとき
はS1208をスキップする。
【0147】次いでS1210に進み、今回検出された
エンジン回転数NEをバッファ内に格納し、S1212
に進み、検出されたエンジン回転数NEと入力軸回転数
NMの比を求めてトルコンスリップ率ETRを算出し、
算出値が1.0より大きいか否か判断する。
【0148】S1212で肯定されるときはS1214
に進み、値DTEI(後述)を0にリセットすると共
に、否定されるときはS1216に進み、算出したエン
ジン回転数変化量DNEが0未満か否か判断する。S1
216で肯定されるときはS1214に進むと共に、否
定されるときはS1218に進み、エンジン回転数変化
量DNEに所定値#KDTEIXを乗じて上記した値D
TEIを算出する。
【0149】次いでS1220に進み、タイマtSTが
0か否か判断する。このタイマは図示しない別ルーチン
において変速中はその値が0となることから、S122
0の判断は変速中か否か判断することに相当する。S1
220で否定されるときは以降の処理をスキップする、
即ち、変速中はDTEIの値を保持すると共に、肯定さ
れるときはS1222に進み、重み係数#NDTEIを
用いて前回値DETInとの加重平均値を算出して平滑
化(平均化)する。
【0150】図35フロー・チャートの説明に戻ると、
次いでS1104に進み、図33に示すように算出した
ETRからKTRをテーブル検索し、S1106に進
み、算出したTEPBが0を越えるか否か判断する。
【0151】S1106で肯定されるときはS1108
に進み、TEPBがDTEIを越えるか否か判断し、肯
定されるときはS1110に進み、TEPBからDTE
Iを減算して得た値にKTRを乗じて得た値をTEPB
Kとする。尚、S1106あるいはS1108で否定さ
れるときはS1112に進み、TEPBをTEPBKと
する。尚、TEPBKは、パワーオンダウンシフト制御
のエンジントルク算出用の値である。
【0152】次いでS1114に進み、前記したタイマ
tSTの値から変速中か否か判断し、肯定されるときは
S1116に進み、KTRをKTRLATと書き換える
と共に、否定されるときはS1118に進み、KTRが
KTRLAT未満か否か判断し、肯定されるときはS1
120に進み、同様にKTRをKTRLATと書き換え
ると共に、否定されるときはS1122に進む。
【0153】図33に示す如く、これらはアップシフト
制御のエンジントルク算出用のためである。図33およ
び図35ではKTRをKTRLAT、TTAPをTTA
PLと表示するが、この実施の形態ではアップシフトを
例にとって説明しているため、KTRはKTRLAT
と、またTTAPはTTAPLと同義である。
【0154】次いでS1122に進み、TEPBが0を
越えるか否か判断し、否定されるときはS1124に進
み、TEPBをTTAPとすると共に、肯定されるとき
はS1126に進み、TEPBがDTEIを越えるか否
か判断し、否定されるときはS1124に進むと共に、
肯定されるときはS1128に進み、TTAPを図示の
如く算出する。
【0155】次いでS1130に進み、変速モードQA
TNUMが1*hで、かつSFTMONが30h以上か
否か判断し、否定されるときはトルク相なので、S11
32に進みNEをNELと書き換えてラッチする。
【0156】次いでS1134に進み、図33に示すよ
うにラッチされたエンジン回転数NELと吸気管内絶対
圧PBAからTEPBLをマップ検索し、S1136に
進み、検索値TEPBLが0を越えるか否か判断し、否
定されるときはS1138に進み、TEPBLをTTA
PLとする。
【0157】他方、S1136で肯定されるときはS1
140に進み、TEPBLがDTEIを越えるか否か判
断し、否定されるときはS1138に進むと共に、肯定
されるときはS1142に進み、TTAPLを図示の如
く算出する。
【0158】このように、図33に示す如く、アップシ
フトのイナーシャ相制御に入った時点で検索用のエンジ
ン回転数NEをラッチし、推定入力トルクはアップシフ
トとダウンシフト(特にKD(パワーオンダウンシフ
ト))では別に算出する。尚、TTAPLがTTAPと
等価なことは前記した通りである。
【0159】図3フロー・チャートの説明に戻ると、次
いでS132に進み、イナーシャ相のON側の前記した
G1トルク、G2トルクおよびG3トルクを算出する。
【0160】図37はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートである。
【0161】同図の説明に入る前に、図38から図40
を参照してこの処理を概説する。
【0162】従来、アップシフトにおいて、前段(現在
段)の駆動力に等しい駆動力になるまで油圧を上昇させ
て所定時間保持しているが、車両の駆動軸まわりに作用
する駆動力は、車両全体に作用する前後方向あるいは重
力方向の重力加速度Gと等価でなく、前段と等しい駆動
力に制御することにより、車両全体としてのショックが
却って悪化する場合も生じ得る。
【0163】即ち、車両の運転状態によっては、トルク
相の引込みからのトルクの立ち上がりが大きくなり、車
両全体としては前後方向加速度の他、上下方向の重力加
速度(ピッチング)が発生して乗員が却って大きなショ
ックを感じることがある。
【0164】また、図38に示すように、エンジンEの
イナーシャを吸収させるために回転変化中にGが発生す
ることは避けられないが、前段(現在段)で発生してい
るGを越える結果を招くのは好ましくない。
【0165】従って、この実施の形態においては、イナ
ーシャ相の前側と後側で目標Gを予め設定すると共に、
その設定に際して推定入力トルクTTAP(TTAP
L)と変速前後のギヤレシオ#RATIOn,mを用い
た比率(所定の値)KGUIAn(n:1から3程度)
とし、その値に基づいてクラッチトルク(操作量)を決
定するようにした。
【0166】より具体的には、予め設定された車両の目
標Gの高さ(大きさ)について現在段のそれを1とし、
目標段のそれを0と定義するとき、前記1と0の間に選
択される比率KGUIAn(n:1から3。図29
(c)に示す)を用い、少なくともその比率と推定入力
トルクなどからクラッチトルクを決定することで、変速
ショックを効果的に低減して乗員の感性に良く適合する
ようにした。
【0167】より具体的には、図39に示す如く、アッ
プシフトにおいて、イナーシャ相の目標G波形を、イナ
ーシャ相の前後のGの高さとして設定する。前段ギア
(例で言えば1速ギア)のGと等しい高さを1(同図
(a))、後段(例で言えば2速ギア)のGと等しい高
さを0と定義した場合(同図(b))、0.3から0.
7程度に設定し(同図(c))、よって変速ショックと
変速時間(換言すればクラッチ負荷)のバランスが取れ
た制御を実現することができる。
【0168】図40はその制御を全体的に示すタイム・
チャートである。同図において、推定入力トルクTTA
Pに相当する値が、後段のGと等しい高さ0(KGUI
A1=0)に対応する。
【0169】計算式で示すと、以下の如くとなる。 イナーシャ相前側クラッチトルク TQON1=TTAP*{1+KGUIA1*((#R
ATIOn/#RATIOm)−1)} イナーシャ相中間クラッチトルク TQON2=TTAP*{1+KGUIA2*((#R
ATIOn/#RATIOm)−1)} イナーシャ相後側クラッチトルク TQON3=TTAP*{1+KGUIA3*((#R
ATIOn/#RATIOm)−1)}
【0170】上記で、#RATIOn:前段ギヤの減速
比、#RATIOm:行先段ギヤの減速比である。そし
て、TQON1,TQON2,TQON3に基づいてク
ラッチ操作量を算出する。
【0171】尚、G波形の設定は任意であり、例えば、
右下がりのG波形に設定しようとするときは、比率KG
UIA1を大きめに、比率KGUIA2あるいは3を小
さめにすることで容易に実現することができる。また、
設定値を追加すれば、一層詳細に設定することができ
る。
【0172】比率KGUIAnは、1速から2速へのア
ップシフト、あるいは2速から3速へのアップシフトな
どの変速モードごとに、図27フロー・チャートのS8
08,S810で述べたように、車速Vおよびスロット
ル開度THから検索自在なマップ値として設定する。
尚、クラッチの熱負荷を考慮して高スロットル開度ほど
大きくなるように設定するのが望ましい。
【0173】上記を前提として図37フロー・チャート
を参照して以下説明する。
【0174】先ずS1300において前段(現在段)相
当クラッチスリップ率GRATIO(GA)に所定値#
dGRUIA2を加算してイナーシャ相の切換スリップ
率gruia2を算出する。図41に切換スリップ率g
ruia2を示す。尚、GRATIO(GA)は、クラ
ッチスリップ率GRATIO(入力軸回転数NM/出力
軸回転数NC)に減速比を乗じて求めた値で、前段変速
段(ギヤ)に対応する値である。
【0175】次いで、S1302に進み、クラッチスリ
ップ率GRATIOが切換スリップ率gruia2未満
か否か判断し、肯定されるときはイナーシャ相の前側に
あると判断してS1304に進み、G1トルクTQUI
A1を算出する。
【0176】G1トルクTQUIA1の算出については
先に図27を参照して説明しているが、ここで再説する
と、そのS808あるいはS810に示す如く、推定入
力トルク(エンジントルク)TTAPに上記した比率
(補正係数。スロットル開度THおよび固定車速VUT
Aからマップ検索)#kGUIA1を乗じて得た値をG
1トルクTQUIA1とする。
【0177】図37フロー・チャートの説明に戻ると、
次いで、S1306に進み、G2トルクTQUIA2を
算出する。
【0178】図42はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートであり、S1400からS1408の処
理を経てG2トルクTQUIA2を算出するが、G2ト
ルクに対応する第2の比率#kGUIA2を使用する点
を除くと、図27に示すG1トルクTQUIA1の算出
と異ならない。
【0179】図37フロー・チャートの説明に戻ると、
次いでS1308に進み、算出したG1トルクTQUI
A1とG2トルクTQUIA2を補間し、その間のON
側クラッチトルクTQONを算出する。
【0180】尚、S1302で否定されるときはS13
10に進み、図42に示すようにG2トルクTQUIA
2を算出し、S1312に進み、G3トルクTQUIA
3を算出する。
【0181】図43はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートであり、S1500からS1508の処
理を経てG3トルクTQUIA3を算出するが、同様に
G3トルクに対応する第3の比率#kGUIA3を使用
する点を除くと、図27に示すG1トルクTQUIA1
の算出と異ならない。
【0182】図37フロー・チャートにおいては次いで
S1314に進み、算出したG2トルクTQUIA2と
G3トルクTQUIA3を補間し、その間のON側クラ
ッチトルクTQONを算出する。
【0183】この実施の形態においては上記の如く構成
したので、乗員の感性に近い設定が可能となり、変速シ
ョックを効果的に低減することができる。また、推定入
力トルクTTAPをパラメータとして操作量を算出する
ため、クラッチ容量が均衡することがなく、よって変速
時間が不要に長引いて予定時間内に変速が終了しないな
どの不都合が生じることがない。
【0184】図3の説明に戻ると、次いでS134に進
み、イナーシャ相のOFF側クラッチトルクTQOFを
0に設定し、S136に進み、算出したON側のイナー
シャ相のクラッチトルクTQONに基づいて後述するト
ルク油圧変換処理に従ってクラッチ油圧QATONを算
出し、算出したクラッチ油圧QATONに基づいて該当
するシフトソレノイドSLnに指令する。
【0185】次いでS138に進み、同様に設定したO
FF側のイナーシャ相のクラッチトルクTQOFに基づ
いて後述するトルク油圧変換処理に従ってクラッチ油圧
QATOFを算出し、算出したクラッチ油圧QATOF
に基づいて該当するシフトソレノイドSLnに指令す
る。
【0186】次回以降のプログラムループにおいてS1
26の判断は否定されてS140に進み、SFTMON
が30hあるいは31hか否か判断し、肯定されるとき
はS142に進み、クラッチスリップ率GRATIOが
所定値#GRUEAGを越えるか否か判断する。
【0187】所定値#GRUEAGはエンゲージ(係
合)制御開始クラッチスリップ率であり、従ってS14
2の処理は、クラッチがエンゲージ(係合)制御を開始
するほどに変速が終了しつつあるか否か判断することを
意味する。
【0188】S142で否定されるときはS132に進
むと共に、肯定されるときはS144に進み、SFTM
ONを40hに設定する。次いで、S146に進み、ク
ラッチトルクTQONに基づいてON側のエンゲージ圧
(クラッチ油圧量QATON。即ち、トルク油圧変換
値)を算出する。
【0189】図44はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートである。
【0190】同図の説明に入る前に、この実施の形態に
おけるイナーシャ相でのトルク油圧変換値の算出につい
て概説する。
【0191】トルク油圧変換値の算出に際しては、一般
に、油圧変換値を油温で補正しているが、油温補正特性
が必ずしも一定値とならない不都合があった。さらに、
車速V(即ち、差回転)やスロットル開度TH(即ち、
油圧)も考慮すべきであった。
【0192】従って、この実施の形態においては、AT
Fの粘性、クラッチ(Cn)の面圧によって決定される
ゾンマフェルト数(Sommerfeld Number)からクラッチ摩
擦係数μを推定してイナーシャ相におけるトルク油圧変
換を行うようにした。尚、他の相におけるトルク油圧変
換も同様である。
【0193】以下、前記の如く算出された目標クラッチ
トルクTQONに基づいて行われるクラッチ油圧量の算
出について説明する。
【0194】クラッチ(Cn)のクラッチディスク摩擦
特性(μ特性)は、クラッチディスクと対向面プレート
の回転差、ATF油温TATFおよびクラッチディスク
面圧によって変化するが、一般的には以下が知られてい
る。
【0195】1.クラッチディスクと対向面プレートと
の回転差(周速差)が減少すると、クラッチディスクの
摩擦係数μ、より具体的には動摩擦係数μdは、減少す
る傾向にある。 2.ATF油温が低下すると、AFT粘度が上昇するた
め、オイル剪断力が増大し、μdは上昇する傾向にあ
る。 3.クラッチディスク面圧が増大すると、μdは減少す
る傾向にある。
【0196】実際には、上記した3つの特性から相互に
影響し合ってクラッチディスクの摩擦係数μdが決定さ
れるため、クラッチディスクと対向面プレートとの回転
差、ATF油温およびクラッチディスク面圧から状態値
S(前記したゾンマフェルト数)をクラッチディスク摩
擦係数として予め実験を通じて求めておき、前記したE
CU80のROM84内に格納(記憶)しておく。
【0197】状態値S(ゾンマフェルト数)は、式で示
すと、以下のようになる。 S=AFT粘度*周速度/クラッチディスク面圧
【0198】アップシフトのイナーシャ相では、ON側
クラッチトルクが出力軸トルクにそのまま反映されるた
め、速度ショックを低減するには、ON側のクラッチト
ルクTQONを管理する必要がある。クラッチトルクT
QONは一般に以下のように算出される。 TQON=μ*クラッチディスク枚数*クラッチ径*
(クラッチ圧*ピストン面積+遠心油圧成分−リターン
スプリング力)
【0199】その中でも、μ、より具体的にはμdの値
は上記したように状況に応じて変化するため、μdの値
を正確に把握することが、変速ショックの低減のために
重要となる。
【0200】従って、アップシフト時のイナーシャ相に
おいて、ON側クラッチに関し、状態値Sを用いてクラ
ッチディスク摩擦係数μdをリアルタイムに算出してク
ラッチ油圧QATONを演算することになり、目標通り
のクラッチトルクを出力することができる。
【0201】即ち、算出したクラッチ油圧QATONに
基づいて実際のクラッチ供給圧を制御することにより、
クラッチディスクと対向面プレートとの回転差、ATF
油温およびクラッチディスク面圧の変化に関わらず、均
一なG波形を得ることができて変速ショックを有効に低
減することができる。
【0202】即ち、ATF油温の高温時は図45(a)
に示す如く小さいSの値から変速を開始すると共に、低
温時は図45(b)に示す如く大きいSの値から変速を
開始する。図45(c)は高温時における摩擦係数μの
時間的な変化を示し、図45(d)は低温時のそれを示
す。このように、摩擦係数μの変化を把握し、クラッチ
油(圧)を制御することで、より均一な油圧特性を得る
ことができる。
【0203】上記を前提として図44フロー・チャート
に従ってON側クラッチトルクについて油圧変化処理を
説明する。尚、図46はその処理を同様に示すブロック
図である。
【0204】先ずS1600において算出された目標ク
ラッチトルクTQONが0未満か、換言すれば負値か否
か判断し、肯定されるときはS1602に進み、目標ク
ラッチトルクTQONを0とする。
【0205】次いでS1604に進み、フラグf.MY
UONのビットが1にセットされているか否か判断す
る。このフラグのビットは図示しない別ルーチンにおい
て変速が開始されるとき1にセットされることから、S
1604の判断は変速の初回か否か判断することに相当
する。
【0206】S1604で肯定されるときは変速制御初
回時であることからS1606に進み、そのフラグのビ
ットを0にリセットし、S1608に進み、クラッチデ
ィスク摩擦係数μを初期値#μDCnに設定する。これ
は状態値Sの算出にμの値が必要なためである。尚、S
1604で否定されるときはS1610に進み、μの前
回値(前回プログラムループ時)μnをμ(今回の)と
する。
【0207】次いでS1612に進み、入力軸回転数N
Mと出力軸回転数NCと減速比#RATIOnから差回
転dnm.ncを算出し、S1614に進み、状態値
(ゾンマフェルト数)Sを算出する。状態値Sは粘性η
と差回転dnm.ncと摩擦係数μおよびゾンマフェル
ト算出係数KOMを乗算して得た値をクラッチトルク
TQONで除算して求める。
【0208】より具体的には、S=(η*dnm.n
c)/Pdiskで算出する。尚、Pdiskはクラッ
チ面圧を示し、Pdisk=TQON/(KSOM*
μ)で算出する。また、ηはオイル粘性を示し、検出さ
れたATF油温からテーブル検索して得た値を使用す
る。また、摩擦係数μは前記ステップで説明したように
前回値または固定値を用いる。
【0209】次いでS1616に進み、クラッチディス
ク摩擦係数μdを算出した状態値(ゾンマフェルト数)
Sからテーブル検索し、S1618に進み、目標クラッ
チトルクTQONを係数KDISKと摩擦係数μdを乗
算したもので除算してFDISK(油圧によるディスク
押力)を算出する。尚、係数KDISKは目標クラッチ
トルクTQONからディスク押力FDISKを算出する
ために、クラッチごとに設定される値である。
【0210】次いでS1620に進み、図示の如く、F
DISKからクラッチドラム内遠心油圧力Fctfを減
算し、リターンスプリング力Frtnを加算して得た値
をクラッチのピストン受圧面積Apisで除算してクラ
ッチ油圧QATONを算出する。尚、Fctfは入力軸
回転数NMからテーブル検索して得た値を用いる。
【0211】図3フロー・チャートの説明に戻ると、次
いでS148に進み、OFF側のエンゲージ圧(クラッ
チ油圧量QATOF)を同様な手法で算出する。
【0212】図47はその処理を示すサブルーチン・フ
ロー・チャートである。
【0213】以下説明すると、S1700において算出
された目標クラッチトルクTQOFが0未満か、換言す
れば負値か否か判断し、肯定されるときはS1702に
進み、クラッチトルクTQOFを0とする。
【0214】次いでS1704に進み、変速モードQA
TNUMが2*hか否か、換言すればダウンシフトか否
か判断し、否定されるときはS1706に進み、フラグ
f.MYUOFのビットを0にリセットし、S1708
に進み、アップシフトでのOFF圧制御はクラッチを滑
らせないことが前提であるため、クラッチディスク摩擦
係数μdを所定値#μSCn(静摩擦係数)とする。
【0215】尚、S1704で肯定されてダウンシフト
と判断されるときはS1710に進み、前記したフラグ
f.MYUOFのビットが1にセットされているか否か
判断し、肯定されるときはS1712に進み、そのフラ
グのビットを0にリセットし、S1714に進み、μを
初期値#μDCnに設定する。尚、S1710で否定さ
れるときはS1716に進み、μの前回値(前回プログ
ラムループ時)μnをμ(今回の)とする。
【0216】次いでS1718に進み、クラッチ差回転
domegaを一定値#dOMEGAとする。以下、O
N側の場合と同様に、S1720に進んで状態値(ゾン
マフェルト数)Sを算出し、S1722に進んでクラッ
チディスク動摩擦係数μdを算出した状態値(ゾンマフ
ェルト数)Sからテーブル検索し、S1724に進み、
FDISKを検出し、S1726に進み、図示の如くク
ラッチ油圧QATOFを算出する。
【0217】図3フロー・チャートの説明に戻ると、S
140で否定されるときはS150に進み、タイマtU
EAGの値が零に達したか否か判断し、否定されるとき
はS146に進むと共に、肯定されるときはS152に
進み、パラメータをリセットするなどの終了処理を行っ
て終わる。
【0218】この実施の形態においては、上記の如く、
車両に搭載された内燃機関(エンジンE)の出力を運転
状態、より具体的には車速(V)とスロットル開度(T
H)などに応じて予め設定された自動変速特性に従って
摩擦係合要素(クラッチCn)を介して変速して駆動輪
(W)に伝達する自動変速機(トランスミッションT)
の制御装置において、前記自動変速機に入力される入力
軸回転数(NM)を検出する入力軸回転数検出手段(第
1の回転数センサ64,ECU80)、前記自動変速機
に入力される入力トルク(エンジントルクTTAP)を
算出する入力トルク算出手段(ECU80,S20,S
120,S1100からS1142,S1200からS
1218)、前記検出された入力トルクに基づいて油圧
到達圧高さ(quta1。A)を検出する到達圧高さ検
出手段(ECU80,S20,S120,S714,S
900からS912,S1002)、少なくとも前記検
出された入力軸回転数と油圧到達圧高さに基づき、所定
の特性に従って目標到達時間(トルク相目標時間TMU
TAG。Y)に対して設定された目標供給油圧量(X)
の応答特性の最大値(トルク最大傾きkDB2A。KX
(=X/Y))を検索する応答特性最大値検索手段(E
CU80,S20,S120,S714,S100
6)、前記目標到達時間(TMUTAG。B)に対する
前記検出された油圧到達高さに基づいて応答特性の実際
値(kDB2B。K(=A/B))を検出する応答特性
実際値検出手段(ECU80,S20,S120,S7
14,S1008)、前記検出された応答特性の実際値
と前記検索された応答特性の最大値を比較し、比較結果
に基づいて応答特性を決定し、決定された応答特性に基
づいて行先段を実現する摩擦係合要素(クラッチCn)
に供給すべき供給油圧量(目標クラッチトルクTQON
あるいはクラッチ油圧量QATON)を決定する供給油
圧量決定手段(ECU80,S20,S120,S71
4,S1010,S730,S740)、および前記決
定された供給油圧量に基づいて油圧を供給する油圧制御
回路(O)を備えるように構成した。
【0219】このように、検出された入力トルクに基づ
いて油圧到達圧高さを検出し、検出された入力軸回転数
とその油圧到達圧高さに基づき、所定の特性に従って目
標到達時間に対して設定された目標供給油圧量の応答特
性の最大値を検索すると共に、前記目標到達時間に対す
る検出された油圧到達高さに基づいて応答特性の実際値
を検出し、両者を比較して応答特性を決定し、決定され
た応答特性に基づいて行先段を実現する摩擦係合要素
(クラッチ)に供給すべき供給油圧量を決定するように
構成した。換言すれば、油圧の追従性を考慮して供給油
圧を決定することで油圧の到達時間を管理できるため、
制御性を向上させ、内燃機関の吹き上がりを生じること
なく、変速ショックを効果的に低減して乗員の感性に良
く適合させることができる。さらに、内燃機関の吹き上
がりを検知することがないため、吹き上がりに対してフ
ィードバック制御で対応する場合に比しトルク相の制御
時間を短縮することができると共に、吹き上がりを懸念
しつつ制御する必要がないためより高圧側で制御可能と
なり応答性が上がる。よってトルク相の制御時間を短縮
することができ、一層良好な変速特性を実現することが
できる。
【0220】また、前記供給油圧量決定手段は、前記検
出された応答特性の実際値が前記検索された応答特性の
最大値を超えるときは、前記応答特性の最大値に基づい
て行先段を実現する摩擦係合要素(クラッチ)に供給す
べき供給油圧量を決定する(ECU80,S20,S1
20,S714,S1010,S1012,S740)
ように構成した。
【0221】これにより、油圧の追従性を一層良く考慮
して供給油圧を決定することが可能となり、機関回転数
の急変に対するタフネスを向上させて内燃機関の吹き上
がりを生じることなく、変速ショックを効果的に低減し
て乗員の感性に良く適合させることができる。
【0222】さらに、前記供給油圧量決定手段は、前記
検出された応答特性の実際値が前記検索された応答特性
の最大値を下回るときは、前記検出された応答特性の実
際値に基づいて行先段を実現する摩擦係合要素(クラッ
チ)に供給すべき供給油圧量を決定する(ECU80,
S20,S120,S714,S1010,S101
4,S730)ように構成した。
【0223】これにより、油圧の追従性を一層良く考慮
して供給油圧を決定することが可能となると共に、目標
時間に到達させることができ、変速ショックを効果的に
低減して乗員の感性に良く適合させることができる。
【0224】また、前記供給油圧量決定手段は、前記検
出された応答特性の実際値が前記検索された応答特性の
最大値を下回るときは、前記検出された応答特性の実際
値に基づいて行先段を実現する摩擦係合要素(クラッ
チ)に供給すべき供給油圧量を決定する(ECU80,
S20,S120,S714,S1010,S101
4,S730)如く構成した。
【0225】これにより、油圧の追従性を一層良く考慮
して供給油圧を決定することが可能となると共に、目標
時間に到達させることができ、変速ショックを効果的に
低減して乗員の感性に良く適合させることができる。
【0226】また、前記供給油圧量決定手段は、前記決
定された行先段を実現する摩擦係合要素(クラッチ)に
供給すべき行先段供給油圧量に基づいて現在段を実現す
る摩擦係合要素(クラッチ)に供給すべき現在段供給油
圧量を決定する(ECU80,S20,S120,S7
22,S732,S742)如く構成した。
【0227】これにより、前記した効果に加え、行先段
と現在段の供給油圧を良くバランスさせることができ、
変速ショックを一層効果的に低減して乗員の感性に良く
適合させることができる。
【0228】また、前記供給油圧量決定手段は、前記検
出された入力トルクから前記行先段供給油圧量を減算し
て前記現在段供給油圧量を決定する(ECU80,S2
0,S120,S722,S732,S742)如く構
成した。
【0229】これにより、前記した効果に加え、行先段
と現在段の供給油圧を良くバランスさせることができ、
変速ショックを一層効果的に低減して乗員の感性に良く
適合させることができる。
【0230】さらに、前記自動変速機の作動油温を検出
する作動油温検出手段(温度センサ70,ECU)を備
え、前記応答特性最大値検索手段は、前記検出された入
力軸回転数と油圧到達圧高さと前記検出された作動油温
に基づいて前記応答特性の最大値を検索する(ECU8
0,S20,S120,S714,S1006)如く構
成した。
【0231】これにより、油圧の追従性を一層良く考慮
して供給油圧を決定することが可能となり、機関回転数
の急変に対するタフネスを向上させて内燃機関の吹き上
がりを生じることなく、変速ショックを効果的に低減し
て乗員の感性に良く適合させることができる。
【0232】また、前記供給油圧量決定手段は、少なく
とも前記変速のトルク相において前記供給油圧量を決定
する(ECU80,S20,S704)如く構成した。
【0233】これにより、トルク相において油圧の追従
性を一層良く考慮して供給油圧を決定することが可能と
なると共に、イナーシャ相の油圧制御に滑らかに連続さ
せることができ、機関回転数の急変に対するタフネスを
向上させて内燃機関の吹き上がりを生じることなく、変
速ショックを効果的に低減して乗員の感性に良く適合さ
せることができる。
【0234】尚、上記においてエンジントルク(入力ト
ルク)を推定(算出)で求めたが、トルクセンサなどを
用いて検出しても良い。
【0235】
【発明の効果】請求項1項にあっては、出された入力
トルクに基づいて摩擦係合要素に供給される油圧が到達
すべき値を示す到達圧高さを出し、検出された入力軸
回転数と算出された油圧到達圧高さに基づき、目標到達
時間に対して設定された目標供給油圧量の応答特性の最
大値を検索すると共に、前記目標到達時間に対する
された到高さに基づいて応答特性の実際値を
し、両者を比較して応答特性を決定し、決定された応答
特性に基づいて行先段を実現する摩擦係合要素に供給す
べき供給油圧量を決定するように構成した。換言すれ
ば、油圧の追従性を考慮して供給油圧を決定することで
油圧の到達時間を管理できるため、制御性を向上させ、
内燃機関の吹き上がりを生じることなく、変速ショック
を効果的に低減して乗員の感性に良く適合させることが
できる。さらに内燃機関の吹き上がりを検知することが
ないため、吹き上がりに対してフィードバック制御で対
応する場合に比し、トルク相の制御時間を短縮すること
ができると共に、吹き上がりを懸念して制御する必要が
ないためより高圧側で制御可能となって応答性を上げる
ことができる。よってトルク相の制御時間を短縮するこ
とができ、一層良好な変速特性を実現することができ
る。
【0236】請求項2項にあっては、油圧の追従性を一
層良く考慮して供給油圧を決定することが可能となり、
イナーシャ相での圧以上に油圧を上げることなく最大限
の応答性で制御することができ、変速ショックを低減す
ることができる。また、内燃機関の吹き上がりを生じる
ことなく、変速ショックを効果的に低減して乗員の感性
に良く適合させることができる。
【0237】請求項3項にあっては、油圧の追従性を一
層良く考慮して供給油圧を決定することが可能となり、
目標時間に到達させることができると共に、変速ショッ
クを効果的に低減して乗員の感性に良く適合させること
ができる。
【0238】請求項4項にあっては、前記した効果に加
え、行先段と現在段の供給油圧を良くバランスさせるこ
とができ、変速ショックを一層効果的に低減して乗員の
感性に良く適合させることができる。
【0239】請求項5項にあっては、前記した効果に加
え、行先段と現在段の供給油圧を良くバランスさせるこ
とができ、変速ショックを一層効果的に低減して乗員の
感性に良く適合させることができる。
【0240】請求項6項にあっては、油圧の追従性を一
層良く考慮して供給油圧を決定することが可能となり、
機関回転数の急変に対するタフネスを向上させて内燃機
関の吹き上がりを生じることなく、変速ショックを効果
的に低減して乗員の感性に良く適合させることができ
る。
【0241】請求項7項にあっては、トルク相において
油圧の追従性を一層良く考慮して供給油圧を決定するこ
とが可能となると共に、イナーシャ相の油圧制御に滑ら
かに連続させることができ、機関回転数の急変に対する
タフネスを向上させて内燃機関の吹き上がりを生じるこ
となく、変速ショックを効果的に低減して乗員の感性に
良く適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る自動変速機
の制御装置を全体的に示す説明図である。
【図2】図1装置の動作を示すメインフロー・チャート
である。
【図3】図2フロー・チャートの中の変速制御処理を示
すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図4】図3フロー・チャートの中の制御時点を示すタ
イム・チャートである。
【図5】図3フロー・チャートの中のOFF棚トルク算
出処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図6】図3フロー・チャートの中のON準備圧算出処
理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図7】図6フロー・チャートのON準備圧算出におけ
る操作量とバラツキ幅の関係を示す説明グラフである。
【図8】同様に図6フロー・チャートのON準備圧算出
における操作量とバラツキ幅の関係を示す説明グラフで
ある。
【図9】図6フロー・チャートで使用する準備終了時間
の計測などを示す説明グラフである。
【図10】同様に図6フロー・チャートで使用する準備
終了時間を変速インタバルを変更しながら計測する場合
を示す説明グラフである。
【図11】図10に示す準備終了時間と変速インタバル
の関係をグラフ化して示す説明図である。
【図12】図11に示す特性を変速インタバルに対して
準備終了時間を正規化して示す説明グラフである。
【図13】図12に示す特性を変速インタバルに対する
オイル減少量に変換して示す説明グラフである。
【図14】同様に図13に示す特性をオイル量に対する
オイル減少量に変換して示す説明グラフである。
【図15】図14に示すオイル減少量を、オイル量と入
力軸回転数とATF油温に対してマップ化して示す説明
グラフである。
【図16】同様に、図14に示すオイル減少量を、オイ
ル量と入力軸回転数とシフト方向に対して示す説明グラ
フである。
【図17】従来技術における図16と同様の特性を示す
説明グラフである。
【図18】図6フロー・チャートのON側クラッチの準
備圧QDB1Aと準備終了時間T1の検索処理を示すサ
ブルーチン・フロー・チャートである。
【図19】図18フロー・チャートの中のオイル残量推
定処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図20】図3フロー・チャートの中のOFF棚圧算出
処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図21】図3フロー・チャートの中のトルク相のON
/OFFトルク算出処理を示すサブルーチン・フロー・
チャートである。
【図22】図21の処理を説明する、アップシフトにお
けるイナーシャ相の基準目標操作量および目標時間など
を示す説明グラフである。
【図23】図22の処理において一定の操作量を出力し
たときの追従時間(到達時間)の関係を示す説明グラフ
である。
【図24】図23に示す関係における操作量の応答特性
を示す説明グラフである。
【図25】図24に示す操作量の応答特性の比較結果を
示す説明グラフである。
【図26】図24に示す操作量を応答特性で検索して算
出される過渡的な操作量の特性を示す説明グラフであ
る。
【図27】図21フロー・チャートの中のG1トルクの
算出処理を示すサブルーチン・フロー・チャートであ
る。
【図28】図21フロー・チャートの中のGtトルクの
算出処理を示すサブルーチン・フロー・チャートであ
る。
【図29】図27および図28フロー・チャートで使用
される変数を示すタイム・チャートである。
【図30】図21フロー・チャートの中のトルク相時間
などの算出処理を示すサブルーチン・フロー・チャート
である。
【図31】同様にフロー・チャートの中のトルク相時間
などの算出処理を示すタイム・チャートである。
【図32】同様にフロー・チャートの中のトルク相時間
などの算出処理を示すタイム・チャートである。
【図33】図21フロー・チャートなどの中のエンジン
トルク(推定入力トルク)の算出処理を示すブロック図
である。
【図34】図21フロー・チャートなどの中のエンジン
トルク(推定入力トルク)の算出処理を示すタイム・チ
ャートである。
【図35】図21フロー・チャートなどの中のエンジン
トルク(推定入力トルク)の算出処理を示すサブルーチ
ン・フロー・チャートである。
【図36】図35フロー・チャートなどの中のDTEI
の算出処理を示すサブルーチン・フロー・チャートであ
る。
【図37】図3フロー・チャートの中のイナーシャ相の
ON側のG1トルクなどの算出処理を示すサブルーチン
・フロー・チャートである。
【図38】図37の処理が前提とする、前後方向重力加
速度Gについて前段のそれに対する行先段のそれの設定
を示す説明グラフである。
【図39】同様に、図37の処理が前提とする、前後方
向重力加速度Gについて前段のそれに対する行先段のそ
れの設定を示す説明グラフである。
【図40】図37フロー・チャートの処理を示すタイム
・チャートである。
【図41】同様に図37フロー・チャートの処理を部分
的に示すタイム・チャートである。
【図42】図37フロー・チャートの中のG2トルク算
出処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図43】図37フロー・チャートの中のG3トルク算
出処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図44】図3フロー・チャートの中の目標クラッチト
ルクに基づくON側のエンゲージ圧算出、即ち、トルク
油圧変換処理を示すサブルーチン・フロー・チャートで
ある。
【図45】図44フロー・チャートの中のトルク油圧変
換処理を説明する説明グラフである。
【図46】図44フロー・チャートの中のトルク油圧変
換処理を説明するブロック図である。
【図47】図3フロー・チャートの中の目標クラッチト
ルクに基づくOFF側のエンゲージ圧算出、即ち、トル
ク油圧変換処理を示すサブルーチン・フロー・チャート
である。
【符号の説明】
T 自動変速機(トランスミッション) O 油圧制御回路 E 内燃機関(エンジン) Cn クラッチ(摩擦係合要素) 12 トルクコンバータ 56 スロットル開度センサ 64 第1の回転数センサ 66 第2の回転数センサ 70 温度センサ 80 ECU(電子制御ユニット)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福地 正光 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (72)発明者 真境名 信哉 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平6−341525(JP,A) 特開 平3−282049(JP,A) 特開 平9−264410(JP,A) 特開 平11−51163(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 63/48

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に搭載された内燃機関の出力を運転
    状態に応じて予め設定された変速特性に従って摩擦係合
    要素を介して変速して駆動輪に伝達する自動変速機の制
    御装置において、 a.前記自動変速機に入力される入力軸回転数を検出す
    る入力軸回転数検出手段、 b.前記自動変速機に入力される入力トルクを算出する
    入力トルク算出手段、 c.前記出された入力トルクに基づいて摩擦係合要素
    に供給される油圧が到達すべき値を示す到達圧高さを
    出する到達圧高さ出手段、 d.少なくとも前記検出された入力軸回転数と前記算出
    された到達圧高さに基づき、目標到達時間に対して設定
    された目標供給油圧量の応答特性の最大値を検索する応
    答特性最大値検索手段、 e.前記目標到達時間に対する前記出された到
    さに基づいて応答特性の実際値を出する応答特性実際
    出手段、 f.前記出された応答特性の実際値と前記検索された
    応答特性の最大値を比較し、比較結果に基づいて応答特
    性を決定し、決定された応答特性に基づいて行先段を実
    現する摩擦係合要素に供給すべき供給油圧量を決定する
    供給油圧量決定手段、 および g.前記決定された供給油圧量に基づいて油圧を供給す
    る油圧制御回路、 を備えたことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記供給油圧量決定手段は、前記出さ
    れた応答特性の実際値が前記検索された応答特性の最大
    値を超えるときは、前記応答特性の最大値に基づいて行
    先段を実現する摩擦係合要素に供給すべき供給油圧量を
    決定することを特徴とする請求項1項記載の自動変速機
    の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記供給油圧量決定手段は、前記出さ
    れた応答特性の実際値が前記検索された応答特性の最大
    値を下回るときは、前記出された応答特性の実際値に
    基づいて行先段を実現する摩擦係合要素に供給すべき供
    給油圧量を決定することを特徴とする請求項1項または
    2項記載の自動変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記供給油圧量決定手段は、前記決定さ
    れた行先段を実現する摩擦係合要素に供給すべき行先段
    供給油圧量に基づいて現在段を実現する摩擦係合要素に
    供給すべき現在段供給油圧量を決定することを特徴とす
    る請求項1項から3項のいずれかに記載の自動変速機の
    制御装置。
  5. 【請求項5】 前記供給油圧量決定手段は、前記出さ
    れた入力トルクから前記行先段供給油圧量を減算して前
    記現在段供給油圧量を決定することを特徴とする請求項
    4項記載の自動変速機の制御装置。
  6. 【請求項6】 さらに、 h.前記自動変速機の作動油温を検出する作動油温検出
    手段、 を備え、前記応答特性最大値検索手段は、前記検出され
    た入力軸回転数と前記算出された到達圧高さと前記検出
    された作動油温に基づいて前記応答特性の最大値を検索
    することを特徴とする請求項1項から5項のいずれかに
    記載の自動変速機の制御装置。
  7. 【請求項7】 前記供給油圧量決定手段は、少なくとも
    前記変速のトルク相において前記供給油圧量を決定する
    ことを特徴とする請求項1項から6項のいずれかに記載
    の自動変速機の制御装置。
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