JP3496522B2 - 溶融金属精錬用上吹きランス - Google Patents
溶融金属精錬用上吹きランスInfo
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Description
炉において精錬用ガスを溶融金属に吹き付けるために使
用する上吹きランスに関する。
備の普及により、転炉の主たる役割は脱炭のみとなって
いる。このため、これらの設備を有する製鋼工場におい
ては、副原料をほとんど添加しないレススラグ吹錬が行
われることが多い。
ためには、全ての溶鋼が対象となる転炉脱炭処理をいか
に短縮するかが課題である。すなわち、送酸速度を上げ
て吹錬時間を短縮することが重要である。
今日では、高速吹錬時の問題はスラグフォーミングより
もスピッティングである。
ストの発生増加による歩留まりの低下、ダクト内のダス
ト堆積による設備能力の低下や設備損傷、炉口への地金
付着による操業阻害等を招く。
酸素ガスジェットが浴面に衝突するときのエネルギーを
分散させることが可能なランス多孔化が有効であり、現
状の製鋼用転炉においては多孔ランスを用いるのが一般
的である。
ノズルが等間隔で配置されたものであり、通常各ノズル
軸の延長がランスの中心軸上の1点で交わるように傾斜
している。
ットの衝突エネルギーを分散させる効果が大きく、スピ
ッティング低減に有利である。現状の転炉では4〜6孔
の多孔ランスが用いられているが、今後更に高速の吹錬
を要された場合、更にランスの多孔化が望まれる。
数の増加には自ずと限界がある。すなわち、ノズル数が
多くなりすぎると各ノズルに対応するキャビティー(ジ
ェット衝突による浴面の凹み)に重なりが生ずるが、こ
れにより、スピッティングが助長されることが指摘され
ている。
0−165313号公報では、キャビティーの直径D
と、隣接するキャビティーの中心を結んだ直線上の2つ
のキャビティーが重なる部分の距離dの比率であるオー
バーラップ率δ(=d/D)を指標としてノズル傾斜角
θを大きくとり、キャビティーの重複を小さくする方法
が提案されている。
程、このθを大きくする必要があるが、この場合、脱炭
酸素効率(上吹き酸素と溶鋼中炭素との反応効率)の低
下による吹錬時間の延長やスラグ中T.Fe(Total F
e、すなわち全鉄分)の増加、および二次燃焼率の増加
による炉壁耐火物の損耗速度が増大するといった問題が
生じる。すなわち、θを大きくすることは、キャビティ
の重複を小さくしスピッティングの低減には効果がある
ものの、本来の目的である製鋼プロセスの生産性向上に
対し有効な手段とは言い難い。
出口における酸素ガスの流速が減少し、飛散した粒鉄が
ノズル内に入り込み、ノズル詰まりやランス溶損を招く
という問題もある。
減する方法として、特開平8−269530号公報で
は、主噴出孔の出口部内面に副噴出孔を複数個配設し、
ジェットの流速分布を平滑化することによりスピッティ
ングを低減するという方法が開示されている。
ング低減に有効であるのは、後述する様に本発明者らも
確認したが、特開平8−269530号公報の方法は、
ランス内の酸素流路の数を増やす必要があること、およ
びランスの先端形状が複雑になることからランスの製作
コストが増大するという問題がある。
件下において、スピッティングを抑制することが可能な
溶融金属精錬用上吹きランスを提供することにある。
ング低減を目的に様々な形状のランスを検討した結果、
次のような知見を得た。
ときの流速分布、または動圧分布(流速の二乗に比例す
る)はノズルの中心軸上で最大となるが、この最大流速
とスピッティング発生量とは正の相関関係にある。
速分布ができるだけ平滑であることがスピッティング低
減に有効である。
図で、同図(a) は通常のランス、同図(b) は本発明のね
じれを有するランスである。符号1はランス、2はノズ
ルである。同図(a) の場合、各ノズルの中心軸はランス
の中心軸上の1点で交わるが、同図(b) の場合、各ノズ
ルの方向は相互にねじれた位置関係となっている。
うに、各ノズルの噴出方向が互いにねじれた位置関係に
あるように配置するとよい。
ャビティが互いに干渉するとスピッティングが増加する
ので、鋼浴面のキャビティが干渉しない範囲、すなわち
鋼浴面のキャビティの大きさと火点の位置をあまり変え
ないで平滑化しなければならない。この制約のもとで、
前記のノズルのねじれを大きくしようすると、ランス先
端でノズルのひねりを大きくするとともに、ノズルの外
側方向への傾斜角度を小さくしなければならない。その
結果、ジェット同士が接近し、鋼浴面ではキャビティ同
士が干渉してスピッティングは逆に増加する。従って、
ノズルのひねりとノズル傾斜とは適切な関係を保たねば
ならない。
は以下の通りである。
ノズルを有する金属精精錬用上吹きランスにおいて、ラ
ンス中心軸がz軸、ノズルの出口位置がx軸上となるよ
うに定めたxyz直交座標系において、yz平面および
xz平面への該ノズル軸の投影がz軸となす角度をそれ
ぞれαおよびβとしたとき、αとβが下記(1)式を満
足することを特徴とする溶融金属精錬用上吹きランス。
部の6孔ランスの例を示す概要図であり、同図(a) は平
面図、同図(b) は同図(a) のB−B断面のyz平面への
投影図、同図(c) は同図(a) のC−C断面のxz平面へ
の投影図である。同図において図1と同一部品は同一符
号で表す。図2において、符号3は中心に配置された小
径ノズルである。
ルの出口位置がx軸上となるxyz直交座標系を用いて
説明する。ランス1には、ノズルのひねりに相当するy
z平面へのノズル軸の投影とz軸となす角度α(以下、
ノズル旋回角という)、およびノズルの外側方向の傾斜
に相当するxz平面へのノズル軸の投影とz軸とのなす
角度β(以下ノズル傾斜角という)とを有するノズル2
が、ランス軸の周りに等間隔で軸対称に配置されてい
る。
孔ランス(例えば、特開昭60−165313号公報に
開示されたもの)を同図の角度に適用すると、αは0°
であり、βは通常のランスで言うノズルの傾斜角度に相
当する。
使用する場合の、ノズル2とそれに対応する火点5の幾
何学的位置関係を示す概要図である。同図ではノズル1
本分のみを示す。同図に示すように、火点の中心(ノズ
ル軸の延長が溶融金属浴面4と交わる位置)からz軸に
降ろした垂線のxy平面への投影とx軸とがなす角度を
ねじれ度δと定義すると、δ、α、β、ランス−浴面間
距離H0 、ノズル出口位置とランス中心軸との距離D
(図2参照)との間に(2)式の関係が得られる。 tan δ=H0tanα/(H0tanβ+D) (2)。
いとすると、δは近似的に(3)式で与えられる。 δ=tan -1(tanα/tan β) (3)。
位置間の距離Rは(4)式で与えられる。 R=H0 (tan2α+tan2β)1/2 (4)。
のねじれ度δが液滴飛散速度に及ぼす影響を調査した。
示す概略図である。符号6は飛散した液滴、7は測定用
の吸水紙である。同図のランス1には表1に示すランス
A〜Fの6孔ランスを用意しそれぞれについて実験を行
った。
上の1点で交わるもので、従来型に相当するランスであ
り、α=0°β=20°である。
びFは、本発明に係る各ノズルの方向が互いにねじれの
位置関係にあるランスで、(4)式のRはランスAと同
様98mmで一定、かつ、(3)式のねじれ度δが10
°、30°、60°、70°および90°となるよう
α、βを決定したものである。
を270mmに設定し、ランス1より一定時間圧空を流
量1000Nl/minで上吹きした。その間、水面4
の上方800mmに吸水紙7を取り付け、その前後の重
量変化から液滴6の飛散速度を算出した。液滴6は転炉
におけるスピッティングを想定したものである。
面上のジェットの流速分布をピトー管による動圧分布で
計測した。
散速度(スピッティング量に相当)を、ねじれ度が0°
のランスAの値を1として指数化し、比較したグラフで
ある。
°、30°、および60°のランスB〜Eのスピッティ
ング量はランスAよりも少なく、約0.4〜0.5倍に
安定していた。これに対し、δが70°および90°の
ランスではスピッティング量は従来ランスより増加して
おり、その量は約1.2倍および1.5倍であった。
ンス、30°および70°の6孔ランスのランス中心軸
から半径方向のジェットの動圧分布を示すグラフであ
る。図6〜8においては、ランス中心から見て動圧が最
大値をとる方位と、そこから30°ずれた、隣接ノズル
との境界に相当する方位(最も動圧が小さくなる方位)
のみを示した。
動圧の最大値は、最も動圧が小さくなっている方位のピ
ーク値に対して約2倍であった。
δが30°のランスでは、動圧の最大値は、最も動圧が
小さくなっている方位のピーク値に対して1.3倍であ
った。
0°のランスでは、方位ごとの動圧分布に明確な差がな
く、従来型のランスAよりもランス中心軸に近い位置に
動圧の最大値がみられた。
°未満の場合、動圧分布がより平滑になり、その結果液
滴飛散速度が減少するが、70°以上の場合、急激にジ
ェット間の相互干渉による合体が進み、その結果逆に液
滴飛散速度を増加させてしまうことが判明した。
で、270ton/ch、送酸速度6万Nm3 /hrの
吹錬を行う場合を例として、ノズル傾斜角度およびラン
ス高さを定める方法を述べる。
求まるノズルのねじれ度δが70°以上であるとスピッ
ティングは増加してしまう。これは、ジェット間の干渉
合体が強まり動圧分布平滑化の効果が薄れてしまうから
である。よってねじれ度δは70°未満となるよう定め
る。すなわち、δ、α、βの関係は、0°<δ= tan-1
(tan α/tan β)<70°、すなわち、0<tan α/
tan β<2.75、である。
軸間の距離Rについて述べる。図3から明らかなよう
に、Rが小さいほどジェットは浴面に鉛直に近い角度で
侵入することになり、その結果、鉛直方向に近い角度で
飛散する、すなわち、ダストロスや炉口地金付着として
問題となるスピッテイングが増大する。
少するが、脱炭酸素効率の低下による吹錬時間の延長や
スラグ中T.Feの増加、COガスの二次燃焼率の増大
に伴う耐火物溶損速度の増加等の問題を生ずる。
心とランス中心軸との距離Rは、500mm以上、15
00mm以下であるのが望ましい。
て述べる。H0 を小さくしすぎると、溶鋼飛散によるラ
ンスの溶損や熱変形が発生しやすく、ランス寿命を短く
することになる。
がりが大きくなり、ノズル傾斜角度を大きくし過ぎたと
きと同様COガスの二次燃焼や耐火物損耗の問題を生じ
てしまう。
2200mm以上、3000mm以下であるのが望まし
い。
する。ノズル数2以下では転炉内での反応の対称性が失
われるためである。上限は特に定めないが、ノズル数が
過大であるとランス先端の構造が複雑になること、ノズ
ル1本当たりのジェットの運動量が過小になること等か
ら、10以下とするのが望ましい。
央部への粒鉄付着を防止するため、他のノズルからのジ
ェットとほとんど干渉することのない、弱い噴流を生じ
せしめる小孔径ノズル(図2の符号3)をランス中央部
に配置することも可能である。
プロセスに使用するのが好適であるが、これに限らず上
吹きランスだけを使用する製鋼プロセス、その他AOD
炉や銅精錬炉のような上吹きランスから精錬用ガスを供
給するあらゆる金属の精錬プロセスに適用可能である。
おいて、本発明の上吹きランスを用いて低炭素鋼を溶製
し、スピッテイングロス量の調査を実施した。
錬(スラグ量溶鋼ton当たり30〜35kg)であ
り、上吹き酸素流量は55000Nm3 /hr、底吹き
ガスはCO2 2000Nm3 /hr、ランス高さは約
2.7mで一定とした。また、終点[C]は約0.05
%で一定とした。
心軸上の1点で交わる通常の多孔ランス(比較例1、
2、3)と、各ノズルの方向が互いにねじれの位置関係
となるランス(比較例4および本発明例1〜3)とを用
い、後者におけるノズルのねじれ度δは10°、30
°、50°、70°の4通りとした。
とノズル総断面積が同じ8孔ランスであり、βは比較例
1のランスと同様の15°とした。
とノズル総断面積が同じ8孔ランスであり、隣接するキ
ャビティーが重ならないようβは20°とした。
比較例3および実施例では、幾何学的な火点の中心と浴
面上のランス中心軸位置からの距離Rを比較例1と同じ
となるように、αおよびβを定めた。
の粒鉄付着を防止するため、20mmφのノズルをラン
ス中央部に配置した。
いた操業時のスピッティングロス、吹錬終了時のスラグ
中T.Fe濃度、およびトータルのFeロスを比較して
示す。これらの値は、各ランスを10〜20ch使用し
たときの平均値である。スピッティングロス、スラグ中
T.Fe、およびトータルのFeロスは比較例1を基準
として、これに対する増減を重量%で示した。
1、2、および3のランスを比較して述べる。
し、ノズル数を8孔に増やしたランスである。このラン
スにおいては各ノズルに対応する火点の重複が大きいた
めスピッティングロスは大きく、また、脱炭酸素効率が
低下するため吹錬終了時のスラグ中T.Feも若干高か
った。
るが、火点の重複を回避するためβを20°と大きくし
たランスである。このランスにおいては火点の重複がな
いので、多孔化の効果がそのまま反映しスピッティング
ロスは低下する。しかしながら、同時に脱炭酸素効率も
低下するためスラグ中T.Fe濃度は増加してしまい、
トータルの鉄ロスは比較例1と大差はなかった。
実施例1、2、3)を比較する。実施例1、2、および
3の、ねじれ度δが70°未満のランスでは、スピッテ
イングロス量は基準値に対して0.45〜0.48%減
少している上に、スラグ中T.Feも基準値に対し±
0.5%とほぼ同値であり、トータルの鉄ロスは大きく
減少した。
°のランスではスラグ中T.Feは1.0%減少してお
り脱炭酸素効率の向上が伺えるが、スピッティングロス
は1.22%も増加した。
ノズルのねじれ度δが70°未満の場合、動圧分布がよ
り平滑になり、スピッティングが減少するが、70°を
超えた場合、急激にジェット間の相互干渉による合体が
進み、逆にスピッテイングを増加させてしまうためと考
えられる。
はランスのねじれ度δを70°未満とする必要であるこ
とがわかった。
ティングロスの低減、スラグへの鉄ロス低減および耐火
物溶損抑制の面から最適なランスであることがわかっ
た。
精錬プロセスにおいて、本発明のランスを使用すること
により、精錬用ガスと溶融金属との反応効率を低下させ
ることなくスピッティングを大幅に低減することができ
る。
炉口地金付着等の操業トラブルの回避が達成され、生産
性を向上することができる。
は通常のランス、同図(b) は本発明のねじれを有するラ
ンスである。
を示す概要図であり、同図(a)は平面図、同図(b) は同
図(a) のB−B断面のyz平面への投影図、同図(c) は
同図(a) のC−C断面のxz平面への投影図である。
の幾何学的位置関係を示す概要図である。
(スピッティング量)を比較したグラフである。
すグラフである。
分布を示すグラフである。
分布を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 同円周上に等間隔で配置された3孔以上
のノズルを有する金属精精錬用上吹きランスにおいて、
ランス中心軸がz軸、ノズルの出口位置がx軸上となる
ように定めたxyz直交座標系において、yz平面およ
びxz平面への該ノズル軸の投影がz軸となす角度をそ
れぞれαおよびβとしたとき、αとβが下記(1)式を
満足することを特徴とする溶融金属精錬用上吹きラン
ス。 0< tanα/tan β<2.75 (1) - 【請求項2】
Priority Applications (1)
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Family
ID=15918211
Family Applications (1)
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JP17116598A Expired - Lifetime JP3496522B2 (ja) | 1998-06-18 | 1998-06-18 | 溶融金属精錬用上吹きランス |
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