JP6292019B2 - 溶融金属精錬用上吹きランス - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、製鋼用転炉において精錬用ガスを溶融金属に吹きつけるために使用する溶融金属精錬用上吹きランスに関する。
転炉型精錬容器において上吹きランスから溶銑に酸素を吹き付ける脱炭処理によって溶鋼を得る操業では、処理効率向上のために酸素流量を上げて高速処理をすることが求められている。
しかし、酸素流量を上げると、吹錬中の粒鉄飛散(スピッティング)が激しくなり、鉄分歩留りが低下してしまうことが問題であった。
このスピッティングを低減するためには、酸素ガスジェットが浴面に衝突するときのエネルギーを分散させることが可能なランス多孔化が有効であり、現状の製鋼用転炉においては多孔ランスを用いるのが一般的である。
多孔ランスとは、ランスをランス先端面側から見たときに、同一円周上に2孔以上のノズルが等間隔で配置されたものであり、通常各ノズル軸の延長がランス中心軸上の1点で交わるように傾斜している。
多孔ランスではノズル個数が多いほどジェットの衝突エネルギーを分散させる効果が大きく、スピッティング低減に有利である。現状の転炉では4〜6孔の多孔ランスが用いられているが、今後更に高速の吹錬を要された場合、更にランスの多孔化が望まれる。
しかしながら、多孔ランスにおけるノズル数の増加には自ずと限界がある。すなわち、ノズル数が多くなりすぎると各ノズルに対応するキャビティー(ジェット衝突による浴面の凹み)に重なりが生ずるが、これにより、スピッティングが助長されることになる。
これに対して、特許文献1には、上吹き多孔ランスのノズルの向きをひねり、各ノズルの噴出方向を互いにねじれた位置関係にすることで、スピッティングを低減できると開示されている。
特開2000−001714号公報
しかし、特許文献1に記載の上吹き多孔ランスを使用した結果、このノズルの向きをひねる角度を大きくするほど、ランス先端部の耐用回数(寿命)が低下することがわかった。ノズル出口周囲の溶損が通常のランスと比べて激しいために寿命が低下し、ランスの交換頻度が増加してしまうのである。そこで、この課題の原因を詳細に調査した。
まず、上底吹き型転炉においてノズルの向きをひねった上吹き多孔ランスを使用した後、ランスが溶損した痕跡を詳しく観察した。その結果、地金は各ノズル出口の周囲の一部に付着しており、出口全周に付着しているわけではなく、ノズルをひねったことで通常ランスと異なる向きとなるジェットの噴出方向に地金が比較的多く付着していた。地金が付着していた箇所が、ジェットの噴出方向のノズル出口近傍であったことから、その部分が他所に比べて圧力が低いことが考えられる。
次にノズルの向きをひねった上吹き多孔ランスの構造について、詳細に検討した。
通常の多孔ランスでは、ジェットの噴出方向に地金が多く付着することはみられていない。したがって、ノズルの向きをひねった上吹き多孔ランスの構造自体がこのノズル出口での溶損を招いている可能性が高い。通常の多孔ランスでは、各ノズルからジェットが合体せずに放射状に噴出されるように、各ノズル中心軸はランス中心軸と平行ではなく、ランス外側に向けて傾斜角が付与された構造となっている。
ノズル中心軸がランス中心軸と平行でない場合、ランス先端面がランス中心軸と直角な平面であると、ノズル中心軸とランス先端面とは直角に交差しないため、ノズル出口形状が円の形状でなくなってしまう。ノズル中心軸とランス先端面が直角に交差しない場合には、噴出されるジェットの特性に悪影響を及ぼすことが考えられる。
ところで、転炉の上吹きランスのノズルは、一般的にラバールノズルである。ラバールノズルは、末細ノズルと末広ノズルを接続したノズルである。転炉の上吹きランスの場合、それらの間にはスロート直管部が設けられることが一般的であり、また、末細ノズルが省略される場合がある。いずれの場合も流路断面が最小となるスロート直管部でチョークしたガスを末広ノズルにおいて膨張させることで超音速ジェットが噴出される。
ラバールノズルの中心軸とランス先端面が直角に交差しない場合には、末広ノズルがランス先端面で斜めに切断されることとなり、末広部におけるガスの膨張が不均一となるため、ノズル出口面におけるジェットの流速・圧力・温度分布の不均一をもたらすことが考えられる。
そのため、図1に示す多孔ランス10では、ノズル中心軸12dに傾斜角βがついていることを勘案し、多孔ランス10の先端面12bがノズル中心軸12eと直角に交差するように、円錐面で構成されているのが一般的である。一般的な多孔ランス10では、このような設計が施され、ノズル中心軸12eと多孔ランス10の先端面12bが直角に交差し、ノズル出口面12dにおけるジェットの流速・圧力・温度分布が不均一とならないように配慮されることが多い。
しかし、図2に示すノズルの向きをひねった多孔ランス20では、多孔ランス20の先端面22bを円錐面で設計しても、ノズル中心軸22eと多孔ランス20の先端面22bを直角に交差させることはできない。ラバールノズル22aの向きをひねった上吹き多孔ランス20において、ノズル中心軸22eと多孔ランス20の先端面22bを直角に交差させるためには、各ノズル中心軸22eに対して直角な面を多孔ランス20の先端面22bにラバールノズル22aの数だけ設ける必要がある。しかし、そのような場合には先端面22bに大きな凹凸が形成され、多孔ランス20の製作が難しいだけでなく、使用時において凹凸部によって地金が付着しやすくなる可能性が考えられる。
したがって、ラバールノズルの向きをひねった多孔ランスでは、ラバールノズルの中心軸とランス先端面が直角に交差させることは困難であり、その他の措置を何も講じない場合には、ノズル出口面におけるジェットの流速・圧力・温度分布の不均一が生じてしまうことになる。
以上より、ラバールノズルの向きをひねった多孔ランスにおいて、ジェットの噴出方向のノズル出口面の外周近傍において溶損が大きく進行した原因は、ラバールノズルの中心軸とランス先端面が直角に交差しておらず、その他の対策を何も講じていないために、ノズル出口面におけるジェットの流速・圧力・温度分布が不均一になっていることであると推測された。また、流動解析によってノズル出口面の周囲のジェットの噴出方向の部位ではジェットの圧力(全圧)が局所的に低いことが示され、ここに飛散粒鉄が引き寄せられやすくなって、地金となって付着して溶損が進行したと考えられる。つまり、ジェットの噴出方向のノズル出口面外周近傍領域を通過するジェットは、他の領域を通過するジェットに比べ、より膨張しやすい行程となっており、その結果、局所的にジェットの圧力が低い領域が形成され、この領域に地金が比較的多く付着してランスが溶損したと考えられる。
そこで、本発明は、ノズルの向きを傾斜させるとともにひねった上吹き多孔ランスにおいて、ノズル出口周囲の溶損を抑制する溶融金属精錬用上吹きランスを提供することを目的とする。
ノズルの向きをひねった多孔ランスでは、ノズル軸とランス先端面を直角に交差させることができないため、ノズル出口におけるジェットの流速・圧力・温度分布の不均一を抑制するためには、その他の対策を講じる必要があると考えた。そこで、発明者らは、ラバールノズルのノズルスロート直管部と末広部の境界部について改良を施し、末広ノズルのノズル出口面においてガスの膨張を均一にすることは可能か、流動解析によって検討を行った。
その結果、以下の改善を行うことで、ノズル出口面におけるジェットの流速・圧力・温度分布の不均一を抑制できることを見出した。
(1)酸素含有ガスの流路とするランス内管と、該ランス内管の先端に前記流路に連通して延設される3孔以上のラバールノズルを有するとともに、前記酸素含有ガスが噴出するランス先端面を有するノズル部とを備えた溶融金属精錬用上吹きランスであって、
当該3孔以上のラバールノズルは全て同一形状で、それらの中心軸が当該ランスの中心軸を中心とする同心円上に等間隔に配置され、
各前記ラバールノズルにおいて、前記溶融金属精錬用上吹きランスのランス中心軸がz軸、前記ラバールノズルの出口面の中心位置がy軸上となるように定めたxyz直交座標系において、xy平面への前記ノズル中心軸の投影がy軸となす角度をねじれ角α(deg)、前記ラバールノズルの出口面の中心を通るz軸と平行な直線と前記ノズル中心軸とのなす角をノズル傾斜角β(deg)としたとき、αが(1)式、βが(2)式を満足し、
10 < α < 70 (1)
15 ≦ β ≦ 30 (2)
かつ、前記ラバールノズルは、前記流路と連通して延設されるスロート直管部と、該スロート直管部と連通して延設される末広部とを有し、該末広部の一端面である前記ラバールノズルの出口面が、前記ランス中心軸を軸とした半頂角γ(deg)の円錐面である前記ランス先端面に位置し、前記スロート直管部と前記末広部の境界面が、前記円錐面を前記z軸方向に平行移動した仮想円錐面に位置し、かつ、前記半頂角γは(3)式を満足することを特徴とする溶融金属精錬用上吹きランス。
γ=90−β (3)
本発明において、「境界面とは」、スロート直管部と末広部との境界部で区切られた仮想の面を表す。
本発明によれば、ノズルの向きを傾斜させるとともにひねった上吹き多孔ランスにおいて、ノズル出口周囲の溶損を抑制する溶融金属精錬用上吹きランスを提供することができる。
図1は、一般的な多孔ランスの先端部の概略図であり、図1(a)は底面図であり、図1(b)は図1(a)のa−a’断面図であり、図1(c)は図1(a)のb−b’断面図である。 図2は、特許文献1に記載の多孔ランスの先端部の概略図であり、図1(a)は底面図であり、図1(b)は図1(a)のa−a’断面図であり、図1(c)は図1(a)のb−b’断面図であり、図1(d)は図1(a)のc−c’断面図である。 図3は、本発明に係る多孔ランスの先端部の概略図であり、図1(a)は底面図であり、図1(b)は図1(a)のa−a’断面図であり、図1(c)は図1(a)のb−b’断面図であり、図1(d)は図1(a)のc−c’断面図である。 図4は、ノズルねじれ角αを変えた場合のノズル出口面における静圧の標準偏差値の変化を、本発明に係る多孔ランスと特許文献1に記載の多孔ランスとを対比して示すグラフである。
本発明を実施するための形態を、図を用いて説明する。以降の説明では、3孔以上のラバールノズルのうちの一つに着目して説明するが、本発明に係るランスは、同一形状のラバールノズルをそのノズル中心軸がランス中心軸を中心とする同一円周上に等間隔になるように配置している。それらの同一形状のラバールノズルの全てについて、それぞれ以下の説明が該当する。
1.溶融金属精錬用上吹きランス
図3に示すように、本発明の溶融金属精錬用上吹きランス(以下、単に、「ランス」と称する。)30は、ランス内管31、ノズル部32を有する。ランス内管31は酸素含有ガスの流路31aを有する。ノズル部32は、ランス内管31の先端に流路31aに連通して延設されるラバールノズル32a、ランス30の先端面32bを有する。
ラバールノズル32aは、図3(b)および図3(c)に示すようにランス中心軸32cがz軸、図3(a)および図3(c)に示すようにラバールノズル32aの出口面32dの中心位置がy軸上となるように定めたxyz直交座標系において、図3(a)に示すようにxy平面へのノズル中心軸32eの投影がy軸となす角度をねじれ角α(deg)、図3(d)に示すようにラバールノズル32aの出口面32dの中心を通るz軸と平行な直線32fとノズル中心軸32eとのなす角をノズル傾斜角β(deg)としたとき、αが(1)式、βが(2)式を満足する。
10 < α < 70 (1)
15 ≦ β ≦ 30 (2)
ねじれ角αが10°以下の場合には、αが小さいために、ノズルの向きをひねった多孔ランス特有の溶損が発生しにくく、本発明を適用する必要はない。また、αが70°以上の場合、特許文献1に記載されているように、ノズルの向きをひねったことによるスピッティング低減効果がなくなってしまうため、αは70°未満とする必要がある。また、傾斜角βが15°未満ではジェット間の相互干渉が強くなり、βが30°を超えると脱炭酸素効率の低下が大きくなるため、本発明はβが15°以上30°以下のランスを対象とする。
本発明の溶融金属精錬用上吹きランスは、ラバールノズル32aがねじれ角αおよびノズル傾斜角βを有する場合において、ラバールノズルの中心軸32eが先端面32bと垂直ではない場合であっても、(1)式と(2)式とを同時に満たす場合には、後述する(3)式をも満たすことによって地金の付着を低減してランスの溶損を抑制することができる。
ラバールノズル32aは、流路31aと連通して延設されているスロート直管部32gと、スロート直管部32gと連通して延設される末広部32hとを有する。スロート直管部32gは円筒形である。スロート直管部32gと末広部32hとは境界面32iを共有している。末広部32hは境界面32iから先端面32dへ向けて断面積が大きくなっている。つまり、末広部32hは底面が出口面32dであり上面が境界面32iである略切頭楕円錐形状である。境界面32iはスロート直管部32gと末広部32hとの境界部32jで囲まれた仮想円錐面である。
先端面32bはランス中心軸32cを軸とした半頂角γを有する円錐面であり、この円錐面にラバールノズル32aの出口面32dが位置する。前述のように、ノズル中心軸32cが先端面32bと垂直に交差することはない。しかし、本発明者らは、ラバールノズル32aの構造に着目し、ジェットの流速・圧力・温度分布が不均一になる原因が、ラバールノズル32aのスロート直管部32gと末広部32hとの境界面32iの向きであることに着目した。そして、境界面32iを、円錐面である先端面32bをランス中心軸32cに相当するz軸に沿ってランス内管31側に平行移動した仮想円錐面32kに位置するような向きとした。そして、さらに、円錐面の半頂角γ(deg)がノズル傾斜角β(deg)との関係で(3)式を満たすようにすることによって、従来では成しえなかったジェットの流速・圧力・温度分布の不均一を抑制することができた。
γ=90−β (3)
以上のように、ラバールノズルの向きをひねった多孔ランスにおいて、以上の指針を設計に取り入れた形状は図3のようになり、末広部32hにおけるガスの膨張が均一化され、出口面32dにおけるジェットの流速・圧力・温度分布の不均一が抑制される。
本発明者らは本発明の効果を立証するためにノズルの流動解析を行った。
図4には、流動解析結果の一例として、ノズルねじれ角αを変えた場合のノズル出口面における静圧の標準偏差値の変化を、本発明に係る多孔ランスと特許文献1に記載の多孔ランスとを対比して示す。ノズル出口面における静圧の標準偏差は、ノズル出口面における解析格子上の全ノード約100箇所の静圧から求めた。この図4において、本発明に係るランスは、ノズルスロート径(境界面の直径)56mm、ノズル出口断面積(出口面の面積)の円相当直径は75mm、ノズル傾斜角βが18°、半頂角γが72°であり、ノズルねじれ角αを15°〜70°の範囲で変えた場合の5孔ランスである。一方、特許文献1に記載の多孔ランスを従来として、スロート直管部と末広部との境界面32iとラバールノズル中心軸32eとがなす角度が72°でなく90°とした以外、上記の本発明に係る多孔ランスと同一にしたものを示す。酸素流量を、いずれも60000Nm/hで上吹きする際のノズル出口面における静圧の標準偏差を、両者対比して示す。
従来の設計により作製されたランス(図2に示すランス)では、ねじれ角が大きくなるほど、ノズル出口面におけるジェットの圧力分布の不均一度が増したのに対し、本設計手法を取り入れることにより作製されたランス(図3に示すランス)ではねじれ角増加によるジェットの圧力分布の不均一化が抑制された。
その結果、ラバールノズルの向きをひねった上吹き多孔ランスにおいて、ノズル出口面周囲の溶損は抑制され、通常のひねりを付与しないランスと同程度の寿命まで使用することができる。
また、本発明の設計手法で設計したランスについて、α、β、γを本発明適用外の条件にした場合についての調査も加えた。ランスは、前述の調査と同じく、ノズルをひねった5孔ランスで、ノズルスロート径(境界面の直径)56mm、ノズル出口断面積(出口面の面積)の円相当直径は75mmであり、酸素流量60000Nm/hで解析を行った。表1に、α、β、γの条件とノズル出口面における静圧の標準偏差を示す。
Figure 0006292019
ケース1は本発明範囲にあり、ノズル出口面における静圧の標準偏差は、図4に示したとおり、従来のノズルをひねったランスと比べて小さく抑えられている。ケース2では、ねじれ角αが80°と大きいが、本発明の設計手法を取り入れることでノズル出口面における静圧の標準偏差はケース1と同程度に抑制されている。但し、αが70°以上であるため、前述したようにスピッティングが多くなってしまう。ケース3では、傾斜角βが35°と大きいが、発明の設計手法を取り入れることでノズル出口面における静圧の標準偏差はケース1と同程度に抑制されている。但し、βが30よりも大きいため、脱炭酸素効率の低下が大きくなる問題が生じる。ケース4、5では、γが(3)式を満たしていないため、ノズル出口面における静圧の標準偏差はケース1よりも高く、ノズル出口面におけるジェットの圧力分布の不均一が解消されず、ノズル寿命が短くなってしまうと考えられる。
2.溶銑の精錬方法
本発明に係る溶銑の精錬方法は、主に純酸素ガスである酸素含有ガスを転炉に装入した溶銑に吹き付けて溶銑を精錬する際に、本発明に係るランスを用いる。本発明に係る溶銑の精錬方法において、転炉に装入する溶銑は予備処理されているかどうかを問わない。また、精錬実施後の溶銑の成分も問わず、その精錬がいわゆる溶銑予備脱燐処理であってもよいし、その精錬によって溶鋼を製造してもよい。
本発明に係るランスは、いかなる操業条件においても従来公知のノズルをひねったランスを用いるよりもノズル出口周囲の溶損を抑制してノズル寿命を延ばすことにより、ランスの交換頻度を低減して生産性の向上に貢献することができる。
本発明の効果は、下記の上底吹き転炉における脱りん銑の脱炭吹錬操業にて検証した。
上底吹き転炉において、ひねりが付与されてないノーマルの多孔ランス、ノズルの向きをひねった従来の多孔ランス、および、本発明のノズルの向きをひねった多孔ランスのランス寿命を比較した。いずれのランスも、ノズル数が6個、ノズルスロート直径は60mm、ノズル出口断面積の円相当直径は75mm、ノズル傾斜角βは20deg、ランス先端面はランス中心軸を軸とした半頂角γが70degの円錐面とした。ノズルの向きをひねった多孔ランスのねじれ角αは40degとした。また、本開発のランスは、該ラバールノズルのスロート直管部と末広部の接続部位が、ランス中心軸を軸とする半頂角γが70degの円錐面上になるようにした。また、溶銑量はおよそ300t、酸素流量は最大70000Nm/hで吹錬を行った。
流動解析で事前検討した結果、ノズル出口面における解析格子上の全ノード約100箇所の静圧から求めたノズル出口面のジェット静圧の標準偏差は、ノーマルの多孔ランスが2700Paに対して、従来のノズルの向きをひねった多孔ランスでは4200Pa、本開発のノズルの向きをひねった多孔ランスは2900Paであり、本開発の設計によりノズル出口におけるジェットの圧力分布の不均一度はノーマルランス程度に抑制されていることがわかった。
本検証の結果、ノーマルの多孔ランスの耐用吹錬回数で除して規格化すると、ノーマルの多孔ランスの寿命が1.0に対して、従来のノズルの向きをひねった多孔ランスでは寿命が0.7、本開発のノズルの向きをひねった多孔ランスの寿命は1.0であり、本開発効果によってノズルの向きをひねった多孔ランスの寿命をノーマルランスと同程度とすることができた。

Claims (1)

  1. 酸素含有ガスの流路とするランス内管と、該ランス内管の先端に前記流路に連通して延設される3孔以上のラバールノズルを有するとともに、前記酸素含有ガスが噴出するランス先端面を有するノズル部とを備えた溶融金属精錬用上吹きランスであって、
    当該3孔以上のラバールノズルは全て同一形状で、それらの中心軸が当該ランスの中心軸を中心とする同心円上に等間隔に配置され、
    各前記ラバールノズルにおいて、前記溶融金属精錬用上吹きランスのランス中心軸がz軸、前記ラバールノズルの出口面の中心位置がy軸上となるように定めたxyz直交座標系において、xy平面への前記ノズル中心軸の投影がy軸となす角度をねじれ角α(deg)、前記ラバールノズルの出口面の中心を通るz軸と平行な直線と前記ノズル中心軸とのなす角をノズル傾斜角β(deg)としたとき、αが(1)式、βが(2)式を満足し、
    10 < α < 70 (1)
    15 ≦ β ≦ 30 (2)
    かつ、前記ラバールノズルは、前記流路と連通して延設されるスロート直管部と、該スロート直管部と連通して延設される末広部とを有し、該末広部の一端面である前記ラバールノズルの出口面が、前記ランス中心軸を軸とした半頂角γ(deg)の円錐面である前記ランス先端面に位置し、前記スロート直管部と前記末広部の境界面が、前記円錐面を前記z軸方向に平行移動した仮想円錐面に位置し、かつ、前記半頂角γは(3)式を満足することを特徴とする溶融金属精錬用上吹きランス。
    γ=90−β (3)
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