JP6347199B2 - 溶銑の精錬方法 - Google Patents
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Description
検討には数値解析手法を用い、ノズル11の向きをひねったランス10を、ノズル11をひねった方向に回転させた場合とノズル11をひねった方向と逆の方向に回転させた場合のジェットの挙動について調査した。ここで、ノズル11の向きをひねった方向とは、ランス軸(z軸)12を回転軸として、xy平面へのノズル軸14の投影がその延長線まで含めてx軸上の正側でx軸と交差する場合には、上吹き酸素の上流側から見て左回りに回転させる方向であり、そのノズル軸14の投影がその延長線まで含めてx軸上の負側でx軸と交差する場合には、上吹き酸素の上流側から見て右回りに回転させる方向である。
前記転炉吹錬用上吹きランスは、ノズルの出口がランス先端面の同一円周上に等間隔で配置された複数の同一形状のラバールノズルを有し、かつ、
前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸をz軸として、その正方向を前記ノズルの出口から噴出する上吹き酸素の上流側に定め、前記複数のラバールノズルのうちの任意の一つのノズルに関し、その出口面の中心がy軸上の正側に位置するように定めた右手系のxyz直交座標系において、
xy平面への前記任意の一つのノズルの中心軸の投影がy軸となす角度をひねり角α、当該ノズルの出口面の中心を通り、かつz軸と平行な直線と当該ノズルの中心軸とのなす角度を傾斜角βとしたとき、前記複数の各ノズルのひねり角α、および傾斜角βはそれぞれ同一であって、そのひねり角α(°)が(1)式、傾斜角β(°)が(2)式を満足し、かつ、
xy平面への前記任意の一つのノズルの中心軸の投影とx軸との交点がx軸上の正側に位置する場合には、前記溶銑の予備脱りん処理では、前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸を回転軸として、酸素の上流側から見て左回りに当該上吹きランスを回転させ、一方、その予備脱りん処理を施された溶銑の脱炭処理では、当該上吹きランスを逆回りに回転させること、
および、
xy平面への前記任意の一つのノズルの中心軸の投影とx軸との交点がx軸上の負側に位置する場合には、前記溶銑の予備脱りん処理では、前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸を回転軸として、酸素の上流側から見て右回りに当該上吹きランスを回転させ、一方、その予備脱りん処理を施された溶銑の脱炭処理では、当該上吹きランスを逆回りに回転させることを特徴とする、溶銑の精錬方法。
10° < β < 30° (2)
1.転炉吹錬用上吹きランス
(1)ランスとxyz座標系との関係
本発明では、ランスの回転方向を規定するためにランスとxyz座標系との関係を明確にする必要がある。本発明で規定するxyz座標系は、図1に示すように、ランス10の中心軸12がz軸となるようにし、z軸の正の方向がノズル11の出口13から噴出する上吹き酸素の上流側に向くようにし、ノズル11の出口13の中心がy軸上の正側に位置するようにして定めた右手系のxyz直交座標系である。なお、図1では説明の便宜上一つのノズルのみを記載するが、本発明で使用するランスは多孔ランスであり、全てのノズルは同一形状で各ノズルの出口がランス先端面の同一円周上に等間隔に配置されている。
本発明のノズル11では、xy平面へのノズル軸14の投影がy軸となす角度をひねり角α、ノズル11の出口13の中心を通り、かつz軸と平行な直線15とノズル軸14とのなす角度を傾斜角βとしたとき、各ノズル11のひねり角α、および傾斜角βはそれぞれ同一とする。脱りん時と脱炭時でランスの回転方向を変えることによって、高脱りん効率および高脱炭効率が発揮されるようにするためである。
10°<β<30° (2)
ノズルの向きをひねったランスのひねり角αは、10°以下では本発明効果が小さく、また、100°以上ではジェットどうしの干渉が大きくなるため、(1)式の範囲にする必要がある。ノズルの傾斜角βは、10°以下ではジェットどうしの干渉が大きくなり、また、30°以上では火点と耐火物間の距離が小さくなって耐火物の溶損を促してしまうため、(2)式の範囲にする必要がある。
ノズル11はジェットの速度を稼ぐために、例えば図1に示すようなラバールノズルであることが好ましい。ノズル11は上吹き酸素流路17と連通して延設されているスロート直管部18と、スロート直管部18と連通して延設される末広部19とを有する。スロート直管部18は例えば円筒形である。スロート直管部18と末広部19とは境界面20を共有している。末広部19は境界面20からノズル11の出口13へ向けて断面積が大きくなる略切頭楕円錐形状である。境界面20はスロート直管部18と末広部19との境界部で囲まれた仮想面であり、例えば図1に示すようにノズル軸14に直交してもよく、ランス先端面16と並行であってもよい。
ノズル数は3〜6が適している。ノズル数が3未満ではノズル数が非常に少ないためにハードブローになりやすく、ノズルスロート径を非常に大きくするか、ランス高さを非常に高くする必要がある。しかし、スロート径があまりに大きくなりすぎるため、冷却水路等の確保等を考慮するとランスの製作が困難になる。また、ランス高さを非常に高くした場合にはジェットの拡がりが大きくなるため、ジェットどうしの干渉合体を防ぐことと耐火物にジェットが近接することとの両立が困難になる。ノズル数が7以上になると、ジェットの干渉合体が顕著になるため、不適である。
ランス10の先端面21は、例えば図1に示すように、ランス中心軸12を軸とした半頂角γ(°)を有する円錐面であり、この円錐面にノズル11の出口13が同一円周上に位置する。γは、ノズル軸14と先端面14とがなす角をなるべく直交に近づけることが好ましく、具体的には60°〜80°とすることが好ましい。
(1)検証実験
転炉実験にて、本発明の効果、および効果を発する条件について検討した。
図2、および図3は、ランスの回転数と実験後の脱りん率の関係を示している。いずれの条件においてもランスを回転させることによって脱りん率は向上している。10rpmまではいずれも脱りん率が増加した。なかでも、ノズルの向きをひねったランスを使用し、かつ、ノズルをひねった方向にランスを回転させた場合には、その逆に回転させた場合や、ノーマルランスを使用した場合よりも脱りん率が30rpmまで大幅に向上した。これは、ノズルをひねったランスをひねった方向に回転させることによりジェットの減衰が促され、スラグ中の(%T.Fe)が増加して脱りん率が上昇したためと考えられる。ノズルをひねった方向にランスを回転させた場合には脱りん率が100rpmまで緩やかに増加したが、ノーマルランスの場合には変化がみられなかった。
図4、および図5は、ランスの回転数と実験後に得られたスラグ中(%T.Fe)との関係を示している。いずれの条件においてもランスを回転させることによって(T.Fe)が減少した。これは、溶鋼中のCの移動が律速となる脱炭末期において、ランスを回転させることによって火点が浴面上を移動することにより、反応界面積が増えて脱炭反応が促進されるためと考えられる。10rpmまではいずれも(%T.Fe)が減少し、ランスの種類や回転方向の違いによる影響は殆ど現れなかった。
先ず脱燐処理では、上吹きランスにスロート直径68mmでノズル傾斜角が20°のノズルが同一円周上に等間隔で配置された6孔のノーマルランスを用いた。ランスの高さは溶銑の静止湯面から3000mmで一定とし、ランスは回転させなかった。その結果、処理後の脱りん率は68%であった。
先ず溶銑処理では、上吹きランスに比較例1で用いたノーマルランスを用い、ランスの高さも溶銑の静止湯面から3000mmで一定とし、処理中においてランスを50rpm一定で回転させた。その結果、処理後の脱りん率は70%であった。
先ず溶銑処理では、上吹きランスにスロート直径68mmでノズル傾斜角が20°、そのひねり角αが30°のノズルが同一円周上に等間隔で6個配置されたひねりランスを用いた。ランスの高さは銑の静止湯面から3000mmで一定とし、ランスをノズルをひねった方向に回転させ、その回転数を処理中一定で50rpmとした。その結果、処理後の脱りん率は82%であった。
Claims (1)
- 同一の上底吹き転炉型精錬容器を用いて、1本の転炉吹錬用上吹きランスから酸素を上吹きして、溶銑の予備脱りん処理および当該予備脱りん処理された溶銑の脱炭処理を行う溶銑の精錬方法において、
前記転炉吹錬用上吹きランスは、ノズルの出口がランス先端面の同一円周上に等間隔で配置された複数の同一形状のラバールノズルを有し、かつ、
前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸をz軸として、その正方向を前記ノズルの出口から噴出する上吹き酸素の上流側に定め、前記複数のラバールノズルのうちの任意の一つのノズルに関し、その出口面の中心がy軸上の正側に位置するように定めた右手系のxyz直交座標系において、
xy平面への前記任意の一つのノズルの中心軸の投影がy軸となす角度をひねり角α、当該ノズルの出口面の中心を通り、かつz軸と平行な直線と当該ノズルの中心軸とのなす角度を傾斜角βとしたとき、前記複数の各ノズルのひねり角α、および傾斜角βはそれぞれ同一であって、そのひねり角α(°)が(1)式、傾斜角β(°)が(2)式を満足し、かつ、
xy平面への前記任意の一つのノズルの中心軸の投影とx軸との交点がx軸上の正側に位置する場合には、前記溶銑の予備脱りん処理では、前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸を回転軸として、酸素の上流側から見て左回りに当該上吹きランスを回転させ、一方、その予備脱りん処理を施された溶銑の脱炭処理では、当該上吹きランスを逆回りに回転させること、および、
xy平面への前記任意の一つのノズルの中心軸の投影とx軸との交点がx軸上の負側に位置する場合には、前記溶銑の予備脱りん処理では、前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸を回転軸として、酸素の上流側から見て右回りに当該上吹きランスを回転させ、一方、その予備脱りん処理を施された溶銑の脱炭処理では、当該上吹きランスを逆回りに回転させることを特徴とする、溶銑の精錬方法。
10° < α < 100° (1)
10° < β < 30° (2)
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