JP6347199B2 - 溶銑の精錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、同一の上底吹き転炉型精錬容器を用いて、溶銑の予備脱りん処理および当該予備脱りん処理された溶銑の脱炭処理を行う、溶銑の精錬方法に関する。
近年、鉄鉱石価格の上昇に伴い、高炉法による鉄鋼製造プロセスにおいては、より安価な鉄鉱石を利用することが求められている。安価な鉄鉱石のりん濃度は高いことが多く、そのような鉄鉱石を高炉で利用して製造される溶銑はりん濃度が高くなるため、製鋼工程においては、より高効率な脱りん方法の開発が求められている。近年では、溶銑の脱りん処理を脱炭処理と明確に分けて、脱りん処理を脱炭処理に先立って行い、その脱りん処理後のスラグの少なくとも一部を排除した後に、その脱りん処理後の溶銑を脱炭処理する、溶銑の予備脱りん処理とその溶銑の脱炭処理との組合せが一般的になっている。
本発明は、そのような組合せを想定しているため、以下単に溶銑脱りん処理と記載した場合には上記の予備脱燐処理を、単に脱炭処理と記載した場合には上記の脱りん処理後の脱炭処理のことを指すものとする。
溶銑脱りん処理には、トーピードカー、溶銑鍋、あるいは転炉等の様々な設備を用いたプロセスが採用されている。そのなかで、転炉はフリーボードが大きく、酸素ガスを大量に上吹きすることが可能であり、短時間かつ、高熱裕度での処理が可能なため、高生産性の点で有利である。
転炉は、溶銑の脱炭処理を主目的として設置されることが多いが、上記の理由から溶銑脱りん処理に使用されることもあり、転炉設備の運用を柔軟に行うため、一機の転炉において溶銑脱りん処理と脱炭処理とを混在させて実施することもある。また、溶銑脱りん処理後に一度転炉から溶銑鍋に出湯し、再度転炉に注銑して脱炭処理を行う場合もあるが、熱ロスを極力低減するために、溶銑脱りん処理を行った後、炉を傾動して脱りんスラグの一部を炉口から排出し、引続き炉内の脱りん溶銑を脱炭処理する場合もある。
以上のような背景から、転炉は溶銑脱りん処理、あるいは脱炭処理だけの専用炉として使用される場合のみではなく、一機の転炉で溶銑脱りん処理、および脱炭処理を両方実施できる状態にあることが求められる場合がある。転炉では酸素ガスを上吹きランスから溶銑に吹き付けて溶銑脱りん処理、および脱炭処理を行うが、溶銑脱りん処理ではスラグ中の(%T.Fe)を高めて脱りん率を上げるためにソフトブロー、脱炭処理ではスラグ中の(%T.Fe)を低くして鉄分ロスを抑えるためにハードブローが志向される。
一機の転炉で溶銑脱りん処理、および脱炭処理を両方行う場合、それぞれに適した上吹きを行うには、上吹きランスには溶銑脱りん処理用のソフトブローランスと脱炭処理用のハードブローランスの2種類のランスを備えておくことが必要である。
例えば、溶銑脱りん処理用ランスとしては、特許文献1に開示されているように、上吹き酸素がスラグによって遮断されて溶銑に直接酸素が接触しないようにソフトブローに設計する方法などがある。また、脱炭処理用の上吹きランスとして、スラグ中の(%T.Fe)を低減するため、ハードブローとするために孔径の小さいノズルを有するランスを用いるだけでなく、特許文献2に開示されているように、ランスを回転させることで火点を動かして鉄の酸化を抑制する方法もある。
特開2005−139529号公報 昭62−130211号公報 特開2000−001714号公報
しかし、これまで、一種類のランスで溶銑脱りん処理に適したソフトブロー条件、および脱炭処理に適したハードブロー条件をなし得ることは困難であった。溶銑脱りん処理に適したソフトブロー、あるいは脱炭処理に適したハードブローを一種類のランスで得るためには、ランス高さの調整だけでは困難な場合が多く、上吹きする酸素の流量も調整することが必要である。脱炭処理のハードブローに適したランスの場合、溶銑脱りん処理ではランス高さを上げ、かつ酸素流量を下げる必要があった。
最近の一般的な転炉設備では、一機の転炉に対して2本のランスを備えたランス台車が設置されている。2本のランスを備える理由として、使用中のランスが水もれトラブル等で交換が必要になった際、すぐに健全なランスを使用できるように備えておくためである。したがって、現在でも2本のランスを備えることは可能であるが、2種類のランスを備えることは操業上困難である場合が多い。
そこで、本発明は、溶銑脱りん処理と脱炭処理を同一炉で行う場合でも、1つのランスで高効率脱りんと高効率脱炭を実現できる溶鋼の精錬方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、高効率溶銑脱りん処理と高効率脱炭処理を実現する観点から、特許文献3に記載されているノズルの向きをひねった多孔ランスを回転させた場合の諸効果について検討することにした。
ここで、ノズルの向きをひねった多孔ランスとは、ランス先端部分に複数の同一形状のラバールノズル(以下、「ノズル」という。)を有するランスの一種である。図1はランス10の先端部を示す概略図であるが、説明の都合上、複数のノズル11の中から任意に一つを抽出して図示したものである。図1に示すxyz座標系は、転炉吹錬用上吹きランス(以下、「ランス」という。)10の中心軸12がz軸となるようにし、z軸の正の方向がノズル11の出口13から噴出する上吹き酸素の上流側に向くようにし、上記の任意に一つを抽出したノズル11の出口13の中心がy軸上の正側に位置するようにして定めた右手系のxyz直交座標系である。
ここで、右手系のxyz座標系とは、手の親指・人差し指・中指を互いに直交させ、親指がx軸、人差し指がy軸、中指がz軸になるように定めた座標系である。
そして、ノズル11において、xy平面へのノズル11の中心軸(以下、「ノズル軸」という。)14の投影がy軸となす角度をひねり角α、ノズル11の出口13の中心を通り、かつz軸と平行な直線15とノズル軸14とのなす角度を傾斜角βとしたとき、ノズル11のひねり角α、および傾斜角βは複数の同一形状のノズルにおいてそれぞれ同一である。
このようなランスを用いて以下の検討を行った。
検討には数値解析手法を用い、ノズル11の向きをひねったランス10を、ノズル11をひねった方向に回転させた場合とノズル11をひねった方向と逆の方向に回転させた場合のジェットの挙動について調査した。ここで、ノズル11の向きをひねった方向とは、ランス軸(z軸)12を回転軸として、xy平面へのノズル軸14の投影がその延長線まで含めてx軸上の正側でx軸と交差する場合には、上吹き酸素の上流側から見て左回りに回転させる方向であり、そのノズル軸14の投影がその延長線まで含めてx軸上の負側でx軸と交差する場合には、上吹き酸素の上流側から見て右回りに回転させる方向である。
解析は定常解析で、ランス10の回転はランス軸12を回転軸として座標を回転させて考慮し、溶銑は考慮せずに気相のみを考慮し、ランス10を回転させた場合のジェットの流動について解析した。
その結果、ノズル11の向きをひねったランス10を回転させた場合、回転方向によってジェットの挙動が異なることがわかった。回転方向によって異なるのはジェットの動圧であり、同じ回転数であっても、ノズル11の向きをひねった方向に回転させた場合には逆方向に回転させた場合よりもジェットの動圧が小さくなることがわかった。これは、ノズル11の向きをひねった方向にランス10を回転させる場合には、回転速度を上げていくと、ジェットが回転方向とは反対側になびくため、ジェットの進行方向側の空間ではジェットの流れが無い静止状態に近づいていき、ジェットの減衰が大きくなるためと考えられる。また、ノズル11の向きをひねった方向と逆方向にランス10を回転させる場合には、回転速度を上げてもひねった方向にランスを回転させた場合よりジェットがなびかないため、ジェットの進行方向の空間が静止状態に近づき難く、ジェットの減衰が小さいためと考えられる。このように、ノズル11の向きをひねったランス10を、ノズル11をひねった向きに回転させるとソフトブローになりやすく、ノズル11をひねった向きと逆方向に回転させるとソフトブローになりにくいことが明らかとなった。
以上の結果から、ノズル11の向きをひねったランス10を用い、溶銑脱りん処理を行う場合にはノズル11をひねった向きにランス10を回転させソフトブロー効果でスラグ中の(%T.Fe)を増加させて脱りん効率を向上させ、脱炭処理を行う場合にはノズル11をひねった向きと逆方向にランス10を回転させ、ソフトブローになりにくくし、火点移動によって特に脱炭末期の鉄酸化を抑制してスラグ中の(%T.Fe)を減少させ、鉄分歩留りの良い高効率な脱炭処理を行う知見を得た。その結果、本発明の要旨を次のように纏めることができる。
(1)同一の上底吹き転炉型精錬容器を用いて、1本の転炉吹錬用上吹きランスから酸素を上吹きして、溶銑の予備脱りん処理および当該予備脱りん処理された溶銑の脱炭処理を行う溶銑の精錬方法において、
前記転炉吹錬用上吹きランスは、ノズルの出口がランス先端面の同一円周上に等間隔で配置された複数の同一形状のラバールノズルを有し、かつ、
前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸をz軸として、その正方向を前記ノズルの出口から噴出する上吹き酸素の上流側に定め、前記複数のラバールノズルのうちの任意の一つのノズルに関し、その出口面の中心がy軸上の正側に位置するように定めた右手系のxyz直交座標系において、
xy平面への前記任意の一つのノズルの中心軸の投影がy軸となす角度をひねり角α、当該ノズルの出口面の中心を通り、かつz軸と平行な直線と当該ノズルの中心軸とのなす角度を傾斜角βとしたとき、前記複数の各ノズルのひねり角α、および傾斜角βはそれぞれ同一であって、そのひねり角α(°)が(1)式、傾斜角β(°)が(2)式を満足し、かつ、
xy平面への前記任意の一つのノズルの中心軸の投影とx軸との交点がx軸上の正側に位置する場合には、前記溶銑の予備脱りん処理では、前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸を回転軸として、酸素の上流側から見て左回りに当該上吹きランスを回転させ、一方、その予備脱りん処理を施された溶銑の脱炭処理では、当該上吹きランスを逆回りに回転させること、
および、
xy平面への前記任意の一つのノズルの中心軸の投影とx軸との交点がx軸上の負側に位置する場合には、前記溶銑の予備脱りん処理では、前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸を回転軸として、酸素の上流側から見て右回りに当該上吹きランスを回転させ、一方、その予備脱りん処理を施された溶銑の脱炭処理では、当該上吹きランスを逆回りに回転させることを特徴とする、溶銑の精錬方法。
10° < α < 100° (1)
10° < β < 30° (2)
本発明により、溶銑脱りん処理と脱炭処理を同一炉で行う場合でも、一つのランスで高効率脱りんと高効率脱炭を実現できる。
図1はランスの先端部分の概略図であり、図1(a)はランスを酸素の上流側から見た横断面図であり、図1(b)は図1(a)のa−a’断面図であり、図1(c)は図1(a)のb−b’断面図であり、図1(d)は図1(a)のc−c’断面図である。 図2は、ノズルをひねった方向にランスを回転させた場合におけるランス回転数と脱りん率との関係を示す図である。 図3は、ノズルをひねった方向とは逆の方向にランスを回転させた場合におけるランス回転数と脱りん率との関係を示す図である。 図4は、ノズルをひねった方向にランスを回転させた場合におけるランス回転数とT.Fe濃度との関係を示す図である。 図4は、ノズルをひねった方向とは逆の方向にランスを回転させた場合におけるランス回転数とT.Fe濃度との関係を示す図である。
本発明を実施するための形態を、図を用いて説明する。
1.転炉吹錬用上吹きランス
(1)ランスとxyz座標系との関係
本発明では、ランスの回転方向を規定するためにランスとxyz座標系との関係を明確にする必要がある。本発明で規定するxyz座標系は、図1に示すように、ランス10の中心軸12がz軸となるようにし、z軸の正の方向がノズル11の出口13から噴出する上吹き酸素の上流側に向くようにし、ノズル11の出口13の中心がy軸上の正側に位置するようにして定めた右手系のxyz直交座標系である。なお、図1では説明の便宜上一つのノズルのみを記載するが、本発明で使用するランスは多孔ランスであり、全てのノズルは同一形状で各ノズルの出口がランス先端面の同一円周上に等間隔に配置されている。
このようなxyz座標系を用いた場合、本発明で用いるランス10の任意の1つのノズル11の出口13の中心は、y軸上の正側に位置し、xy平面へのそのノズル軸14の投影がその延長線まで含めて考えてx軸の正側、あるいはx軸の負側に交点を有するようになる。
(2)ノズル角
本発明のノズル11では、xy平面へのノズル軸14の投影がy軸となす角度をひねり角α、ノズル11の出口13の中心を通り、かつz軸と平行な直線15とノズル軸14とのなす角度を傾斜角βとしたとき、各ノズル11のひねり角α、および傾斜角βはそれぞれ同一とする。脱りん時と脱炭時でランスの回転方向を変えることによって、高脱りん効率および高脱炭効率が発揮されるようにするためである。
ノズル11は、ひねり角α(deg)が(1)式、傾斜角β(deg)が(2)式を満足する。
10°<α<100° (1)
10°<β<30° (2)
ノズルの向きをひねったランスのひねり角αは、10°以下では本発明効果が小さく、また、100°以上ではジェットどうしの干渉が大きくなるため、(1)式の範囲にする必要がある。ノズルの傾斜角βは、10°以下ではジェットどうしの干渉が大きくなり、また、30°以上では火点と耐火物間の距離が小さくなって耐火物の溶損を促してしまうため、(2)式の範囲にする必要がある。
(3)ノズル形状
ノズル11はジェットの速度を稼ぐために、例えば図1に示すようなラバールノズルであることが好ましい。ノズル11は上吹き酸素流路17と連通して延設されているスロート直管部18と、スロート直管部18と連通して延設される末広部19とを有する。スロート直管部18は例えば円筒形である。スロート直管部18と末広部19とは境界面20を共有している。末広部19は境界面20からノズル11の出口13へ向けて断面積が大きくなる略切頭楕円錐形状である。境界面20はスロート直管部18と末広部19との境界部で囲まれた仮想面であり、例えば図1に示すようにノズル軸14に直交してもよく、ランス先端面16と並行であってもよい。
(4)ノズル数
ノズル数は3〜6が適している。ノズル数が3未満ではノズル数が非常に少ないためにハードブローになりやすく、ノズルスロート径を非常に大きくするか、ランス高さを非常に高くする必要がある。しかし、スロート径があまりに大きくなりすぎるため、冷却水路等の確保等を考慮するとランスの製作が困難になる。また、ランス高さを非常に高くした場合にはジェットの拡がりが大きくなるため、ジェットどうしの干渉合体を防ぐことと耐火物にジェットが近接することとの両立が困難になる。ノズル数が7以上になると、ジェットの干渉合体が顕著になるため、不適である。
(5)ランス先端部の形状
ランス10の先端面21は、例えば図1に示すように、ランス中心軸12を軸とした半頂角γ(°)を有する円錐面であり、この円錐面にノズル11の出口13が同一円周上に位置する。γは、ノズル軸14と先端面14とがなす角をなるべく直交に近づけることが好ましく、具体的には60°〜80°とすることが好ましい。
2.本発明に係る溶銑の精錬方法
(1)検証実験
転炉実験にて、本発明の効果、および効果を発する条件について検討した。
2.5t上底吹き転炉にて、上述の上吹きランスを回転させるためのモーター、およびギア、および酸素ガス配管、冷却水配管が回転可能なようにロータリージョイントをランス上端に設置し、上吹きランスを回転できるようにした。そして、この回転ランスの先端にノズルの向きをひねった多孔ランスの先端部、または、ノズルの向きをひねらないノーマルランスの先端部を取り付けて、溶銑脱りん実験、および脱炭実験を行った。
溶銑脱りん実験では、溶銑2.0tを装入し、最大粒径が15mmの塊生石灰を30.0kg添加した後、上吹きランスから酸素を溶銑に吹き付けて脱りん吹錬を行い、処理後の脱りん率を調査する実験を行った。なお、塊生石灰中のCaO濃度は92%である。
溶銑は、温度1300℃、[%C]=4.2質量%、[%Si]=0.4質量%、[%Mn]=0.3質量%、[%P]=0.1質量%、[%S]=0.001質量%の条件にて2.5t転炉に装入された。浴深は385mmとなった。
上吹きランスは、スロート直径5.8mmでノズル傾斜角が20°のラバールノズルが同一円周上に等間隔で配置された5孔ランスとし、かつ、ノズルの向きをひねったランスはひねり角αを15°、および30°を付与したランスとした。また、ノズルの向きをひねらないランスは、ひねり角αは0°であり、その他の仕様はノズルの向きをひねったランスと同じとした。
上吹き酸素流量は、8.0Nm/min一定とし、吹錬時間は4.0minとした。ランスの高さは500mm一定とし、ランスを回転させる場合は吹錬中一定の回転数とし、回転数、および回転方向を変えた実験を行った。溶銑の撹拌のために底吹きガスによる撹拌も行い、底吹きは4本羽口とし、脱りん吹錬中に各底吹き羽口からArガスを0.2Nm/minで流した。
脱炭実験では、脱りん溶銑2.0tを装入し、最大粒径が15mmの塊生石灰35.0kgと最大粒径が15mmの塊硅石10kgを添加した後、上吹きランスから酸素を溶銑に吹き付けて脱りん吹錬を行い、処理後の脱りん率を調査する実験を行った。脱りん溶銑は、温度1350℃、[%C]=3.5質量%、[%Si]=0.0質量%、[%Mn]=0.05質量%、[%P]=0.015質量%、[%S]=0.001質量%の条件にて2.5t転炉に装入された。浴深は385mmとなった。
上吹きランスは、前述した溶銑脱りん実験で用いたランスと同じく、直径5.8mmでノズル傾斜角が20°のノズルが同一円周上に等間隔で配置された5孔ランスとし、かつ、ノズルの向きをひねったランスはひねり角αを15°、および30°を付与したランスとした。また、ノズルの向きをひねらないランスは、ひねり角αは0°であり、その他の仕様はノズルの向きをひねったランスと同じである。上吹き酸素流量は、8.0Nm/min一定とし、吹錬時間はおよそ9.0minとし、吹錬後の溶鋼中[%C]は0.05〜0.06質量%となるようにした。ランスの高さは400mm一定とし、ランスを回転させる場合は吹錬中一定の回転数とし、回転数、および回転方向を変えた実験を行った。溶銑の撹拌のために底吹きガスによる撹拌も行い、底吹きは4本羽口とし、溶銑脱りん吹錬と同じく吹錬中に各底吹き羽口からArガスを0.2Nm/minで流した。
溶銑脱りん実験において得られた結果を図2、および図3に示す。
図2、および図3は、ランスの回転数と実験後の脱りん率の関係を示している。いずれの条件においてもランスを回転させることによって脱りん率は向上している。10rpmまではいずれも脱りん率が増加した。なかでも、ノズルの向きをひねったランスを使用し、かつ、ノズルをひねった方向にランスを回転させた場合には、その逆に回転させた場合や、ノーマルランスを使用した場合よりも脱りん率が30rpmまで大幅に向上した。これは、ノズルをひねったランスをひねった方向に回転させることによりジェットの減衰が促され、スラグ中の(%T.Fe)が増加して脱りん率が上昇したためと考えられる。ノズルをひねった方向にランスを回転させた場合には脱りん率が100rpmまで緩やかに増加したが、ノーマルランスの場合には変化がみられなかった。
したがって、溶銑脱燐処理の場合には、ノズルの向きをひねったランスをノズルをひねった方向に10rpm以上の回転数で用いると、ノーマルランスを回転させて用いる方法に比べて脱燐率を高くすることができると分かった。特に、その回転数を30rpmにまで高くすると脱燐率向上効果が顕著に表れるので好適であり、この効果は回転数が上昇するほど緩やかに増加することが100rpmまでは確認されたといえる。
脱炭実験において得られた結果を図4、および図5に示す。
図4、および図5は、ランスの回転数と実験後に得られたスラグ中(%T.Fe)との関係を示している。いずれの条件においてもランスを回転させることによって(T.Fe)が減少した。これは、溶鋼中のCの移動が律速となる脱炭末期において、ランスを回転させることによって火点が浴面上を移動することにより、反応界面積が増えて脱炭反応が促進されるためと考えられる。10rpmまではいずれも(%T.Fe)が減少し、ランスの種類や回転方向の違いによる影響は殆ど現れなかった。
しかし、ノズルの向きをひねったランスを使用し、かつ、ノズルをひねった方向と逆方向にランスを回転させた場合には、回転数を10rpm以上にすることで(%T.Fe)が最も低位とする効果があることが明らかになり、その効果は30rpmまでは増大していることが分かった。これは、ノズルの向きをひねったランスをひねった方向と逆方向に回転させることにより、ジェットの減衰が抑制され、ランス回転による火点移動による(%T.Fe)低減効果を効率よく享受できたためと考えられる。ノズルの向きをひねったランスをひねった方向と逆方向に回転させた場合には(%T.Fe)が100rpmまで緩やかに減少したが、ノーマルランスの場合には変化がみられなかった。
以上より、ノズルの向きをひねったランスを回転させると、ノズルをひねった方向に回転させる場合と、ひねった逆方向に回転させる場合でジェットの挙動が大きく異なるという知見が得られた。そして、脱りん吹錬ではジェットがソフトブローになりやすいようにひねった方向にノズルの向きをひねったランスを回転させることで(%T.Fe)の増加による高脱りん率を享受できた。また、脱炭吹錬ではソフトブローになり難いようにひねった方向とは逆の方向にノズルの向きをひねったランスを回転させることで火点移動によるT.Fe低減効果を享受できることがわかった。
以上のように、所定の要件を具備したひねりランスを用いると、同一の上吹きランスを用いながらその回転方向を変えるだけで、溶銑の脱りん処理と脱炭処理とでそれぞれに好適な条件を形成することができるので、本発明に係るランスを回転させて用いる精錬方法は、同一の転炉を用いて溶銑脱燐処理とその溶銑を脱炭処理する方法に特に適していると考えられる。
ヒートサイズが300t/Chの上底吹き転炉を用いて、本発明の効果を確認した。初めに、実施例と比較例とに共通する精錬処理条件を記す。
溶銑脱りん処理では、溶銑270t、スクラップ30tを装入し、最大粒径が30mmの塊生石灰を4.0t添加した後、上吹きランスから酸素を溶銑に吹き付けて脱りん吹錬を行った。
溶銑は、温度1300〜1340℃、[%C]=4.5〜4.7質量%、[%Si]=0.4〜0.5質量%、[%Mn]=0.3〜0.4質量%、[%P]=0.10〜0.11質量%、[%S]=0.003〜0.006質量%の条件にて転炉に装入した。
上吹き酸素流量は、1200Nm/min一定とし、吹錬時間は4.0minとした。
その後、その脱燐処理後の溶銑からサンプルを採取するとともに、その処理後のスラグを70〜80%排除し、その後、その同じ転炉を用いてその脱燐処理後の溶銑を脱炭処理した。
その脱炭処理では、最大粒径が30mmの塊生石灰を3.0t、最大粒径が30mmの塊硅石を0.8t、MgO煉瓦屑を0.2t添加した後、上吹きランスから酸素を溶銑に吹き付けて脱炭吹錬を行った。
溶銑は、温度1330〜1360℃、[%C]=3.5〜3.9質量%、[%Si]=0.02質量%未満、[%Mn]=0.15質量%未満、[%P]=0.018〜0.035質量%、[%S]=0.003〜0.006質量%であった。この溶銑に、上吹き酸素流量を1200Nm/min一定として、処理後の[%C]を0.04質量%となるよう、吹錬時間を調整した。
そして、以下に示す各条件にて、溶銑脱燐処理時の脱りん率と脱炭処理時の鉄分歩留りを評価した。
(比較例1)
先ず脱燐処理では、上吹きランスにスロート直径68mmでノズル傾斜角が20°のノズルが同一円周上に等間隔で配置された6孔のノーマルランスを用いた。ランスの高さは溶銑の静止湯面から3000mmで一定とし、ランスは回転させなかった。その結果、処理後の脱りん率は68%であった。
脱炭処理では、脱燐処理と同じ上吹きランスを用い、そのランスの高さも溶銑の静止湯面から3000mmで一定とし、ランスは回転させなかった。本条件における10Ch平均の鉄分歩留りは98.2%であった。
(比較例2)
先ず溶銑処理では、上吹きランスに比較例1で用いたノーマルランスを用い、ランスの高さも溶銑の静止湯面から3000mmで一定とし、処理中においてランスを50rpm一定で回転させた。その結果、処理後の脱りん率は70%であった。
脱炭処理では、脱燐処理と同じ上吹きランスを用い、そのランスの高さも溶銑の静止湯面から3000mmで一定とし、処理中においてランスを50rpm一定で回転させた。本条件における10Ch平均の鉄分歩留りは98.3%であった。
(実施例1)
先ず溶銑処理では、上吹きランスにスロート直径68mmでノズル傾斜角が20°、そのひねり角αが30°のノズルが同一円周上に等間隔で6個配置されたひねりランスを用いた。ランスの高さは銑の静止湯面から3000mmで一定とし、ランスをノズルをひねった方向に回転させ、その回転数を処理中一定で50rpmとした。その結果、処理後の脱りん率は82%であった。
脱炭処理では、脱燐処理と同じ上吹きランスを用い、そのランスの高さも溶銑の静止湯面から3000mmで一定とし、処理中においてランスをノズルをひねった方向と逆方向に50rpm一定で回転させた。本条件における10Ch平均の鉄分歩留りは98.5%であった。

Claims (1)

  1. 同一の上底吹き転炉型精錬容器を用いて、1本の転炉吹錬用上吹きランスから酸素を上吹きして、溶銑の予備脱りん処理および当該予備脱りん処理された溶銑の脱炭処理を行う溶銑の精錬方法において、
    前記転炉吹錬用上吹きランスは、ノズルの出口がランス先端面の同一円周上に等間隔で配置された複数の同一形状のラバールノズルを有し、かつ、
    前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸をz軸として、その正方向を前記ノズルの出口から噴出する上吹き酸素の上流側に定め、前記複数のラバールノズルのうちの任意の一つのノズルに関し、その出口面の中心がy軸上の正側に位置するように定めた右手系のxyz直交座標系において、
    xy平面への前記任意の一つのノズルの中心軸の投影がy軸となす角度をひねり角α、当該ノズルの出口面の中心を通り、かつz軸と平行な直線と当該ノズルの中心軸とのなす角度を傾斜角βとしたとき、前記複数の各ノズルのひねり角α、および傾斜角βはそれぞれ同一であって、そのひねり角α(°)が(1)式、傾斜角β(°)が(2)式を満足し、かつ、
    xy平面への前記任意の一つのノズルの中心軸の投影とx軸との交点がx軸上の正側に位置する場合には、前記溶銑の予備脱りん処理では、前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸を回転軸として、酸素の上流側から見て左回りに当該上吹きランスを回転させ、一方、その予備脱りん処理を施された溶銑の脱炭処理では、当該上吹きランスを逆回りに回転させること、および、
    xy平面への前記任意の一つのノズルの中心軸の投影とx軸との交点がx軸上の負側に位置する場合には、前記溶銑の予備脱りん処理では、前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸を回転軸として、酸素の上流側から見て右回りに当該上吹きランスを回転させ、一方、その予備脱りん処理を施された溶銑の脱炭処理では、当該上吹きランスを逆回りに回転させることを特徴とする、溶銑の精錬方法。
    10° < α < 100° (1)
    10° < β < 30° (2)
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