JP3488181B2 - 磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にトランス等の
鉄芯として使用する一方向性電磁鋼板の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】磁束密度B8 (800A/mの磁場中で
の磁束密度)が1.9Tを超える、優れた磁気特性を有
する一方向性電磁鋼板を安定的に生産する技術は種々提
案されているが、これらは、概ね次の三つに分類でき
る。第一の技術は、スラブを1350℃から最高では1
450℃の超高温度に加熱し、かつ、スラブ全体を通し
て一様に加熱(均熱)するために、十分な時間、スラブ
をその加熱温度に保持する方法である。この方法は、M
nS、AlN等のインヒビター能力を有する物質を完全
溶体化させて、二次再結晶に必要なインヒビターとして
機能させるためのものであり、この完全溶体化の処理
は、同時に、スラブ部位によるインヒビターの強度差を
解消する手段にもなっているから、この点で、上記方法
は、安定した生産を実現する上で理にかなっている。
【0003】しかしながら、上記方法の場合、インヒビ
ター能力を有する物質を完全溶体化するのに必要な加熱
温度、すなわち、完全溶体化温度は超高温度となり、実
生産においては、二次再結晶に必要なインヒビター量を
確保するため、完全溶体化温度(超高温度)以上の温度
で加熱することになるが故、実生産上様々な問題を包含
している。
【0004】例えば、熱間圧延において、所要の熱延
温度を確保することが困難となり、該温度を確保できな
い場合には、インヒビター強度のスラブ内偏差が生じ、
そのため二次再結晶不良が発生する、熱延加熱時に粗
大粒が生成し、その粗大粒部分が二次再結晶できず、線
状の二次再結晶不良が発生する、スラブ表層が溶融し
ノロとなり加熱炉のメンテナンスに多大の労力が必要と
なる、もしくは、熱延後の鋼帯に巨大なエッジクラッ
クが発生し歩留まりが低下する、等の問題が発生する。
【0005】この技術の改善技術として、特開平1−1
68817号公報などに開示されているような、上記の
方法をベースにして、一次再結晶後に窒化処理を行い二
次再結晶を安定化させようとする方法が知られている
が、この方法によって解決され得る問題は、前記の問
題のみであり、依然として、実生産上での〜の問題
解決には困難性が残っている。
【0006】第二の技術は、特開昭59−56522号
公報、特開平5−112827号公報、特開平9−11
8964号公報などに開示されているように、AlNを
インヒビターとして用い、スラブ加熱を1280℃未満
で行い、脱炭焼鈍後二次再結晶開始までに窒化処理する
方法を組み合わせるものである。このような方法におい
ては、例えば、特開平2−182866号公報に示され
るように、脱炭焼鈍後の一次再結晶粒の平均粒径を一定
範囲に、通常、18〜35μmの範囲に制御すること
が、二次再結晶を良好に行わせる上で非常に重要であ
る。
【0007】更に、特開平5−295443号公報に
は、熱延加熱時の固溶窒素などの、インヒビター能力を
有する物質の鋼中固溶量が一次再結晶の粒成長性を決定
づけるため、スラブ内一次再結晶粒の大きさを均一にす
るよう、熱延加熱時の固溶窒素などを低く抑えるべく成
分調整などを行う方法が開示されている。しかしなが
ら、この方法では、いかに厳密に成分を調整しても、固
溶窒素量などのスラブ内における偏差は存在し、スラブ
内におけるインヒビター能力差、つまり、スラブ内にお
ける一次再結晶粒径の差を厳密に消失させることは不可
能である。そして、結果として、二次再結晶をスラブ内
で均一化することが困難となる場合があるという問題を
有しており、上記方法は工業的に極めて安定した製造法
とはいえないものである。
【0008】第三の技術は、特開平6−322443号
公報等に開示されているように、インヒビターとしてC
x S(x=1.8、又は2)を用い、スラブ加熱温度
をCux Sの完全溶体化温度以上MnSの完全溶体化温
度以下とする方法である。この方法の特徴は、スラブ加
熱温度を低温化した上で、第二の技術で採用する窒化処
理などの付加的な工程を不要とすることにある。
【0009】しかしながら、上記方法は、スラブ加熱温
度をMnSの完全溶体化温度以下とすることから、前記
の第二の技術が抱える問題と同様の問題を有しており、
やはり工業的に極めて安定した製造法ではない。また、
そもそも、Cux Sは、二次再結晶を制御するためのイ
ンヒビターとして公知であるものの、特に、最終冷延率
が80%を超える高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造に
は適していない(鉄と鋼 p.2049,N0.15,
Vol.70,N0.1984)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】一般に、良好な磁気特
性を持つ二次再結晶を実現させ得るか否かは、主に、一
次再結晶粒径と、二次再結晶を制御する二次インヒビタ
ーとによって決定されるが、例えば、前記第一の技術に
おける一次再結晶粒径が約10μmであるのに対して、
前記第二の技術におけるそれは18〜35μmであると
いうように、それぞれの一次再結晶粒径が大きく異なる
にもかかわらず、何れの方法でも良好な二次再結晶を実
現せしめることが可能であることは、Goss方位
({110}<001>方位)の良く揃った二次再結晶
を実現させるために必要な一次再結晶粒径と二次インヒ
ビターの組み合わせが、必ずしも一意的でないことを示
している。
【0011】そこで、本発明者らは、一次結晶粒径が如
何なる値でも、二次インヒビターを調整することで、G
oss方位の良く揃った二次再結晶を実現することが可
能であるという発想のもとで、研究を重ねてきた。そし
て、本発明者らは、上記発想のもとで、安定した生産方
法を確立するという観点から、一方向性電磁鋼板の製造
に欠かせないインヒビターについて、その機能を発揮す
る段階によって、一次再結晶粒径を制御する一次インヒ
ビターと、二次再結晶粒径を制御する二次インヒビター
とに分類し、優れた磁気特性を持つ一方向性電磁鋼板の
製造に関して検討した。
【0012】ところで、Goss方位の良く揃った二次
再結晶を実現させるために必要な一次再結晶粒径と二次
インヒビターの組み合わせは一意的でないといえども、
例えば、一次結晶粒径がスラブ(コイル)全体に渡って
変動する場合、スラブ部位毎に二次インヒビター強度を
適正にコントロールしなければ、良好な二次再結晶方位
は得られない。それ故、一次再結晶粒径、二次再結晶粒
径ともに、スラブ全体に渡って変動がない製造法が、安
定的な製造法となる。
【0013】また、一次結晶粒径は、一次インヒビター
強度と一次再結晶を行う脱炭焼鈍の温度によって決定さ
れるため、一次インヒビター強度もスラブ全体に渡って
変動がないことが望まれる。すなわち、安定した生産方
法を確立するという観点からは、一次インヒビターと二
次インヒビターを、ともに、如何にスラブ全体に渡って
変動なく造り込むかということが最大の問題となる。
【0014】この点において、前記第一〜三の技術は、
それぞれ以下の問題を抱えている。第一の技術では、イ
ンヒビターの完全溶体化温度以上で、かつ、二次再結晶
の不安定化を招く熱延加熱時の粗大粒形成温度以下とい
う、極めて狭い温度範囲でスラブを加熱する必要があ
り、二次再結晶に必要なインヒビター強度の確保と工業
的に安定した品質の確保の両立が非常に困難である。
【0015】第二の技術では、脱炭焼鈍後、仕上げ焼鈍
中二次再結晶までの間に窒化処理することで二次インヒ
ビター強度の確保は容易であるが、一次インヒビター強
度の均一性という点でみると、有限量の固溶窒素などが
スラブ(コイル)内で偏在し、これが一次再結晶粒径の
変動をもたらす。また、この場合、一次インヒビター
は、二次インヒビターとしても作用するため、スラブ
(コイル)全体に渡る一次インヒビターの変動は、二次
インヒビターの変動にも繋がる。
【0016】第三の技術では、MnSについて完全溶体
化処理を施さず、また、熱延後にAlNを60%以上析
出させる製造法であることから、第二の技術と同様、一
次インヒビターのスラブ(コイル)内における均一化の
点で不利であり、途中工程でインヒビター強化処理を施
さないので、二次インヒビターは一次インヒビターから
変化しておらず、二次インヒビターがスラブ部位毎で変
動し、結局、工業的に安定した品質を確保することが困
難である。更に、前述したように、Cux Sは二次再結
晶を制御するためのインヒビターとして公知であるもの
の、特に、最終冷延率80%を超える高磁束密度一方向
性電磁鋼板の製造には適していない。
【0017】すなわち、本発明は、上述した実情に鑑み
発明されたもので、二次再結晶をより一層完全ならし
め、優れた磁気特性を持つ一方向性電磁鋼板を極めて安
定して製造することができる方法を提供することを目的
としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、下記(1)〜(8)に示すとおりである。 (1)質量%で、C:0.025〜0.10%、Si:
2.5〜4.0%、酸可溶性Al(sAl):0.01
〜0.10%、N:0.0075%以下、Seq=S+
0.406×Se:0.003〜0.05%、Mn:
0.02〜0.20%、を含有し、残部がFe及び不可
避的不純物からなる一方向性電磁鋼板用のスラブを、1
200℃以上の温度で加熱した後熱間圧延して熱延板と
し、次いで、これに焼鈍を施すかもしくは施こさず、1
回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延をし、そ
の後、脱炭焼鈍、次いで、焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ
焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法において、イン
ヒビター能力を有する物質の完全溶体化温度よりも高い
温度(スラブ加熱温度Ts(℃))下記式(式中[ ]
は、[ ]内の成分元素の質量%)、 1 =10062/(2.72−log([sAl]*
[N]))−273、 2 =14855/(6.82−log([Mn]*
[S]))−273、及び、 3 =10733/(4.08−log([Mn]*
[Se]))−273、 で定義するT 1 (℃)、T 2 (℃)及びT 3 (℃)の中の
最大の温度よりも高いスラブ加熱温度Ts(℃) で前記
スラブの加熱を行い、更に、脱炭焼鈍後、仕上げ焼鈍の
二次再結晶開始までの間に、鋼板に窒化処理を施すこと
を特徴とする磁気特性に優れた一方向電磁鋼板の製造方
法。
【0019】 (2)前記スラブの加熱を、1350℃
以下の温度で行うことを特徴とする前記(1)に記載の
磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0020】 ()前記スラブが、更に、質量%で、
Cu:0.01〜0.30%を含有し、かつ、該スラブ
の加熱を、下記式(式中[ ]は、[ ]内の成分元素
の質量%)、 T4=43091/(25.09−log([Cu]*
[Cu]*[S]))−273 で定義するT4(℃)よりも高いスラブ加熱温度Ts
(℃)で行うことを特徴とする、前記(1)〜()の
いずれかに記載の磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板の
製造方法。
【0021】 ()前記スラブが、更に、質量%で、
B:0.0005〜0.0060%を含有し、かつ、該
スラブの加熱を、下記式(式中[ ]は、[ ]内の成
分元素の質量%)、 T5=13680/(4.63−log([B]*
[N]))−273 で定義するT5(℃)よりも高いスラブ加熱温度Ts
(℃)で行うことを特徴とする前記(1)〜()のい
ずれかに記載の磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板の製
造方法。
【0022】 ()前記脱炭焼鈍後の一次再結晶粒の
平均粒径が7μm以上18μm未満であることを特徴と
する前記(1)〜()のいずれかに記載の磁気特性に
優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。 ()前記窒化処理を、ストリップ走行状態下で、水
素、窒素、アンモニアの混合ガス中で行い、鋼板の窒素
増量を0.001〜0.03質量%とすることを特徴と
する前記(1)〜()のいずれかに記載の磁気特性に
優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0023】 ()前記脱炭焼鈍前の最終の冷間圧延
において、その冷延圧下率を80%以上95%以下とす
ることを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記
載の磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明者らは、スラブ加熱時、イ
ンヒビター能力を有する物質を完全溶体化することが、
スラブ(コイル)内で一次インヒビターを極限まで均一
化する最適の方法であるとの出発点に立ち、インヒビタ
ー能力を有する物質のスラブ内濃度を従来法より低くす
ると、完全溶体化温度が下がることに着目した。熱延加
熱時にインヒビターの完全溶体化を図る技術としては、
前記第一の技術があるが、この技術においてインヒビタ
ー能力を有する物質のスラブ内濃度を低くすると、二次
再結晶を不安定化することになり、安定的な工業生産技
術として成立しなかった。
【0025】そこで、本発明者らは、鋭意研究、実験を
重ねた結果、スラブ成分中の窒素濃度が高い場合、スラ
ブ加熱を完全溶体化温度以上で行っても、スラブ全体に
渡って一次インヒビターを均一化することが困難である
ことを解明した。つまり、スラブ成分中の窒素濃度を低
くすることが、スラブ内における一次インヒビター能力
の差を極めて小さくする上でのキーポイントであること
を見い出した。
【0026】一方、硫化物や、セレン化物のインヒビタ
ーについては、熱延工程におけるインヒビターの均一化
において、窒化物インヒビターほどの影響を与えないこ
とも判明し、一次インヒビターとして、主に硫化物や、
セレン化物のインヒビターを用いることが有効であるこ
とを見い出した。この窒化物インヒビターと、硫化物
や、セレン化物のインヒビターの作用効果における相違
の原因は定かでないが、AlNの溶解度が、α相とγ相
で大きく異なることに起因し、熱間圧延中に、母相がA
lNの溶解し易いγ相から、溶解し難いα相へ転移する
際、AlNが不均一に析出することが原因と考えられ
る。
【0027】さて、上記方策(スラブ成分中の窒素濃度
の低減)によって、スラブ(コイル)部位間における一
次インヒビター能力(強度)の差を、極めて低減するこ
とができるが、一方、二次再結晶において優れた磁気特
性を持つ先鋭化されたGoss方位を得るためには、硫
化物や、セレン化物に加えて、高温まで安定なインヒビ
ターが必要であり、本発明では、このインヒビターを、
窒化処理によりAlNを形成することで確保する。
【0028】すなわち、本発明は、スラブ成分中、イン
ヒビター能力を有する物質の濃度を従来法より低くする
ことで、インヒビターの完全溶体化温度を下げ、かつ、
スラブ加熱温度をその温度より高くすることで、スラブ
部位によらずに一次インヒビター強度を均一化せしめ、
インヒビター成分濃度を下げたことに起因する二次イン
ヒビターの強度不足を、脱炭焼鈍後、仕上げ焼鈍中二次
再結晶開始までの間に窒化処理を施すことにより、窒化
物(AlN、Si3 4 、Mn等の単独または複合析出
物)を形成し、インヒビターとして機能させて補償する
ことで、磁気特性の良好な一方向性電磁鋼板の安定的な
製造を可能にするものである。
【0029】つまり、本発明の目的は、一方向性電磁鋼
板の製造において大きな役割を有するインヒビターにつ
いて、その機能発揮段階を冶金的に分離し、機能発揮段
階毎に、それぞれ異なる物質を用いてその機能を行わし
めることにより極めて安定な製造法を提供することにあ
る。また、一方向性電磁鋼板の製造において一次再結晶
が行われる脱炭焼鈍の温度は、一般に、930℃以下と
低いので、この段階では、従来法の高温熱間圧延で形成
するような強力なインヒビターは必要がない。本発明で
は、この一次インヒビターとして、主に硫化物や、セレ
ン化物を用いるので、一次再結晶粒成長の温度依存性が
極めて小さく、一次再結晶焼鈍(実際には脱炭焼鈍)温
度を大きく変える必要がない。この結果、一次酸化層の
構成組成および引き続く窒化処理における窒化量が著し
く安定し、一次皮膜欠陥を激減させる効果も得られる。
【0030】次に、本発明におけるスラブの成分組成の
限定理由について述べる。Cは、0.025%より少な
いと一次再結晶集合組織が適切でなくなり、0.10%
を超えると、脱炭が困難になり工業生産に適さない。S
iは、2.5%より少ないと良好な鉄損が得られず、
4.0%を超えると冷間圧延が極めて困難となり工業生
産に適さない。
【0031】Alは、Nと結合してAlNを形成し、主
に二次インヒビターとして機能する。このAlNは、窒
化前に形成されるものと、窒化後高温焼鈍時に形成され
るものの両方があり、この両方のAlN量を確保するた
め、0.01〜0.10%必要である。0.01%未満
の場合は、二次インヒビターとしての働きが不充分とな
り、良好なGoss方位を持つ二次再結晶粒を安定的に
得ることができず、また、0.10%を超える場合に
は、後工程で必要とする窒化量が増大し、被膜に甚大な
ダメージを与える。
【0032】Nは、0.0075%を超えると、熱延時
の不均一析出の原因となるので、上限を0.0075%
とした。より好ましくは、0.0050%以下である。
SおよびSeは、Mn、Cuと結合して、主に、一次イ
ンヒビターとして作用する。SおよびSeの含有量は、
Seq=S+0.406×Seで限定するが、Seqが
0.05%を超えると、最終仕上げ焼鈍で純化するのに
要する時間が長くなりすぎて好ましくない。また、0.
003%未満とすると、一次インヒビターとしての効果
が弱くなるので、下限を0.003%とする必要があ
る。
【0033】Mnは、0.02%より少ないと、熱延鋼
帯で割れが発生しやすく、歩留まりが低下する。一方、
0.20%を超えると、MnS、MnSeが多くなりす
ぎて、固溶の程度が場所により不均一となり、安定的な
生産が困難になるので、上限を0.2%とする。Cu
は、スラブを1200℃以上で加熱する本発明の条件で
熱延すると、SやSeとともに微細な析出物を形成し、
一次インヒビター効果を発揮する。また、この析出物は
AlNの分散をより均一にする析出核ともなり、二次イ
ンヒビターの役割も演じ、この効果が二次再結晶を良好
ならしめる。0.01%より少ないと上記効果が減じ安
定生産が難しくなり、0.30%を超えると上記効果が
飽和するとともに、熱延時に「カッパーヘゲ」なる表面
疵の原因になる。
【0034】Bは、0.0005%より少ない場合、B
Nとしてのインヒビター効果が発揮されず、0.006
%を越えると、窒化によってインヒビターを形成させる
際、必要とする窒化量が多くなり過ぎ、このことに起因
して、地鉄が露出した一次皮膜欠陥が多発する。更に、
Al、N、S、Se、Mn、Cu、Bの各含有量につい
ては、それらのスラブ中成分濃度から求められる、下記
式で定義するT1 (℃)〜T5 (℃)のうち一つでも1
400℃以上になる場合は、これら成分を完全固溶させ
るために、スラブ加熱温度Ts(℃)を非常に高くする
必要が生じ、好ましくないので、この観点から、これら
含有量相互の調整を図る必要がある。
【0035】T1 =10062/(2.72−log
([sAl]*[N]))−273 T2 =14855/(6.82−log([Mn]*
[S]))−273 T3 =10733/(4.08−log([Mn]*
[Se]))−273 T4 =43091/(25.09−log([Cu]*
[Cu]*[S]))−273 T5 =13680/(4.63−log([B]*
[N]))−273 ここで、式中[ ]は、[ ]内の成分元素の質量%を
表す。
【0036】前述の如く、本発明では、一次インヒビタ
ーとして、主に、硫化物や、セレン化物を用い、一次再
結晶粒を制御しており、スラブ成分におけるNは極力少
なくする必要があり、0.0050%以下が望ましい。
ただし、これだけでは、二次再結晶を制御するのに不充
分であるから、後で述べる窒化処理が必要となる。な
お、インヒビター形成成分としては、上記したAl、
N、S、Se、Mn、Cu、Bの他、Sn、Sb、P、
Cr、Mo、Cd、Ge、Te及びBiなども有利に適
合し、また、Niは、一次及び二次インヒビターとして
の析出物の均一分散に著しい効果があるので、それぞれ
を少量併せて含有させることもできる。
【0037】上記成分の好適添加範囲は、それぞれ、S
n、Sb、P及びCr:0.02〜0.3%、Mo及び
Cd:0.008〜0.3%、Ge、Te及びBi:
0.005〜0.1%、そして、Ni:0.03〜0.
3%であり、これらの各成分についても、単独使用及び
複合使用のいずれもが可能である。次に本発明における
製造工程に係る条件の限定理由について述べる。
【0038】脱炭焼鈍完了後の一次再結晶粒の平均粒径
については、例えば、特開平7−252532号公報で
は一次再結晶粒の平均粒径を18〜35μmとしている
が、本発明では、一次再結晶粒の平均粒径を7μm以上
18μm未満とすることで、磁気特性(特に鉄損)を更
に良好ならしめることができる。すなわち、一次再結晶
粒の粒径が小さければ、単位体積内に存在する一次再結
晶粒の数が増えることを意味する。更に、一次再結晶粒
の粒径が小さい場合、粒成長の観点から、一次再結晶の
段階で二次再結晶の核となるGoss方位粒の体積分率
が多くなる(Materials Science Forum Vol.204-206,Pa
rt2:pp:631)。
【0039】そして、その結果、Goss方位粒の絶対
数は、例えば、一次再結晶粒の平均粒径が18〜35μ
mの場合に比べて、5倍程度も多くなるので、二次再結
晶粒径も相対的に小さくなり、この結果、著しい鉄損の
向上が得られる。また、一次再結晶粒の平均粒径が小さ
いと、二次再結晶の駆動力が大きくなり、最終仕上げ焼
鈍中、昇温段階の早い時期に(より低温で)二次再結晶
を開始させることができる。最終仕上げ焼鈍をコイル状
で行っている現状では、高温ほどコイル各点での温度差
(温度履歴差)が広がるので、上述の二次再結晶温度の
低温化によって、コイル各点での温度履歴がより均一な
(コイル各点での昇温速度が一定な)温度領域で二次再
結晶させることができ、コイル部位間での不均一性が著
しく減少して磁気特性が極めて安定する。
【0040】但し、一次再結晶粒の平均粒径が7μm未
満になると、その大きな粒成長駆動力のため、二次再結
晶温度が低くなりすぎるためと考えられるが、二次再結
晶粒方位のGoss方位からの分散が大きくなり、磁束
密度の低下を招く。脱炭焼鈍後二次再結晶開始前に鋼板
に窒化処理を施すことは、本発明では必須である。その
方法は、仕上げ焼鈍時の焼鈍分離剤に窒化物(CrN、
MnN等)を混合する方法や、脱炭焼鈍後にストリップ
を走行させた状態下でアンモニアを含んだ雰囲気で窒化
処理する方法がある。どちらの方法を採用してもよい
が、後者の方法が工業的に安定している。
【0041】この窒化処理で増加する窒素量(窒素増
量)は、0.001〜0.03質量%に限定するが、
0.001%未満では二次再結晶が不安定となり、一
方、0.03%を超えると、地鉄が露出した一次皮膜欠
陥が多発する。好ましい窒素増量は、0.003〜0.
025%である。熱間圧延に先立つスラブ加熱温度は本
発明の重要な点である。スラブ加熱温度が1200℃未
満では本発明のキーポイントである一次インヒビターの
生成が十分に行われず、脱炭焼鈍温度に対する一次再結
晶粒径の変動が大きくなるなどの問題を引き起こす。
【0042】一方、スラブ加熱温度を、インヒビター能
力を有する物質の完全溶体化温度よりも高くすることに
よって、スラブ部位毎での一次インヒビターの強度差を
極端に小さくすることができる。但し、スラブ加熱温度
を、インヒビターの完全溶体化温度の直上に設定する場
合は、インヒビターの溶体化のため、加熱温度に保定す
る必要時間が長くなるので、生産性の観点より、少なく
とも20℃程度以上は高く設定することが好ましい。な
お、1400℃を超える超高温度で加熱することは、工
業生産において非常な困難を伴うので避けるべきであ
る。
【0043】実生産の上で、スラブ加熱温度は、熱間圧
延が容易で熱延鋼帯の形状(クラウン)が優れ、スラブ
表層部の溶解、鉱滓化発生に係る実害が伴わない、12
00〜1350℃が好ましい。本発明の方法では、第一
に、公知の連続鋳造法により、初期の厚みが150mm
から300mm、好ましくは、200mmから250m
mのスラブを製造する。このスラブに替りに、初期の厚
みが約30mmから70mmのいわゆる薄いスラブであ
ってもよく、この場合は、熱間圧延鋼帯を製造する際、
中間厚みに粗加工をする必要がないという利点がある。
また、鋼帯鋳造により製造した、一層薄い初期厚みのス
ラブ又は鋼帯を用いて、本発明方法により一方向性電磁
鋼板を製造することも可能である。
【0044】また、工業生産上において、熱間圧延の加
熱方法には通常のガス加熱方法を用いてよいが、この方
法に加え、誘導加熱、直接通電加熱を用いることは、均
一に焼鈍する点で望ましく、これらの特別な加熱方法に
おいて、所要の形状を確保するため、分塊圧延を鋳込み
スラブに施しても何ら問題はない。また、加熱温度が1
300℃以上になる場合は、この分塊圧延により集合組
織の改善を施しC量を減じてもよい。これらは、従来技
術の範囲である。
【0045】冷間圧延における最終の冷延圧下率が80
%未満であると、一次再結晶集合組織中のGoss方位
粒において所望の方位集積度が得難いので、高磁束密度
の確保が難しくなる。一方、最終の冷延圧下率が95%
を超えると、一次再結晶集合組織中のGoss方位粒の
粒数が極端に少なくなり、二次再結晶が不安定になる。
【0046】熱延鋼帯の焼鈍は、主に、熱延時に生じた
鋼帯内の組織・インヒビター分散の不均一性を除去する
ために行われる。熱延鋼帯での焼鈍でもよいし、最終の
冷間圧延の前の焼鈍でもよい。すなわち、最終の冷間圧
延の前に、熱延時の温度履歴の差による不均一性を解消
するために、1回以上の焼鈍を行うことが望ましい。最
終の冷間圧延は常温で実施してもよいが、少なくとも1
パスを100〜300℃の温度で1分以上保つと、一次
再結晶集合組織が改善され磁気特性が極めて良好にな
る。
【0047】
【実施例】〔実施例1〕表1に示す(1)〜(4)の成
分組成のスラブを、a:1150℃、b:1200℃、
c:1250℃、d:1300℃、e:1350℃の5
水準の温度で各60分均熱した後に熱間圧延し、2.0
mmの熱延板とした。次いで、この熱延板に、1120
℃に200秒保持後直ちに900℃に保持して急冷する
熱延板焼鈍を施した後酸洗し、0.23mmに冷間圧延
した。この冷延板に、850℃で150秒間保持する脱
炭焼鈍を施した。この後、水素、窒素、アンモニアの混
合ガス中で、750℃30秒間保持する窒化焼鈍を行
い、窒化後の鋼板の全窒素量を200ppm前後に調整
した。次いで、MgO、TiO2 を主成分とする焼鈍分
離剤を塗布し、1200℃まで15℃/時の昇温速度で
加熱し、その後、1200℃で20時間の仕上げ焼鈍を
行った。この鋼板に歪取り焼鈍を施した後、コロイダル
シリカとリン酸アルミニウムを主成分とする張力コーテ
ィング処理を行い、磁気特性を測定した。以上の各試験
水準についての、磁気測定結果等を表2に、また、sA
lとNの含有量及びスラブ加熱温度と製品コイル内B8
偏差の関係を図1に示す。本発明の成分組成に属するス
ラブから、本発明の工程条件に従って製造した場合、製
品コイル全長に渡って優れた磁気特性が安定して得られ
ていることが判る。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】〔実施例2〕表3に示す(5)〜(8)の
成分組成のスラブを、実施例1と同じ5水準の温度で各
60分均熱した後に熱間圧延し、2.3mmの熱延板と
した。次いで、この熱延板に、1120℃に180秒保
持後直ちに900℃に保持して急冷する熱延板焼鈍を施
した後酸洗し、0.30mmに冷間圧延した。この冷延
板に、850℃で150秒間保持する脱炭焼鈍を施し
た。この後、水素、窒素、アンモニアの混合ガス中で、
750℃30秒間保持する窒化焼鈍を行い、窒化後の鋼
板の全窒素量を200ppm前後に調整した。次いで、
MgO、TiO2 を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
1200℃まで15℃/時の昇温速度で加熱し、その
後、1200℃で20時間の仕上げ焼鈍を行った。この
鋼板に歪取り焼鈍を施した後、コロイダルシリカとリン
酸アルミニウムを主成分とする張力コーティング処理を
行い、磁気特性を測定した。以上の各試験水準について
の、磁気測定結果等を表4に、また、MnとSの含有量
及びスラブ加熱温度と製品コイル内B8 偏差の関係を図
2に示す。本発明の成分組成に属するスラブから、本発
明の工程条件に従って製造した場合、製品コイル全長に
渡って優れた磁気特性が安定して得られていることが判
る。特に、一次再結晶平均粒径が7〜18μmの場合
は、B8が1.92T以上の特に優れた磁気特性が製品
コイル全長に渡って安定して得られている。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】〔実施例3〕表5に示す(9)〜(12)
の成分組成のスラブを、実施例1と同じ5水準の温度で
各60分均熱した後に熱間圧延し、2.5mmの熱延板
とした。次いで、この熱延板に、1120℃に30秒保
持後直ちに900℃に保持して急冷する熱延板焼鈍を施
した後酸洗し、0.27mmに冷間圧延した。この冷延
板に、850℃で90秒間保持する脱炭焼鈍を施した。
この後、水素、窒素、アンモニアの混合ガス中で、75
0℃30秒間保持する窒化焼鈍を行い、窒化後の鋼板の
全窒素量を200ppm前後に調整した。次いで、Mg
O、TiO2 を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、12
00℃まで15℃/時の昇温速度で加熱し、その後、1
200℃で20時間の仕上げ焼鈍を行った。この鋼板に
歪取り焼鈍を施した後、コロイダルシリカとリン酸アル
ミニウムを主成分とする張力コーティング処理を行い、
磁気特性を測定した。以上の各試験水準についての、磁
気測定結果等を表6に、また、MnとSeの含有量及び
スラブ加熱温度と製品コイル内B8 偏差の関係を図3に
示す。本発明の成分組成に属するスラブから本発明の工
程条件に従って製造した場合、製品コイル全長に渡って
優れた磁気特性が安定して得られていることが判る。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】〔実施例4〕表7に示す(13)〜(1
6)の成分組成のスラブを、実施例1と同じ5水準の温
度で各60分均熱した後に熱間圧延し、2.3mmの熱
延板とした。次いで、この熱延板に、1120℃に25
0秒保持後急冷する熱延板焼鈍を施した後酸洗し、0.
35mmに冷間圧延した。この冷延板に、850℃で1
50秒間保持する脱炭焼鈍を施した。次いで、MgO、
TiO2 を主成分としてMnNを加えた焼鈍分離剤を塗
布し、1200℃まで10℃/時の昇温速度で加熱し、
その後、1200℃で20時間の仕上げ焼鈍を行った。
この鋼板に歪取り焼鈍を施した後、コロイダルシリカと
リン酸アルミニウムを主成分とする張力コーティング処
理を行い、磁気特性を測定した。以上の各試験水準につ
いての、磁気測定結果等を表8に、また、CuとSの含
有量及びスラブ加熱温度と製品コイル内B8 偏差の関係
を図4に示す。本発明の成分組成に属するスラブから、
本発明の工程条件に従って製造した場合、製品コイル全
長に渡って優れた磁気特性が安定して得られていること
が判る。
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】〔実施例5〕表9に示す(17)〜(2
0)の成分組成のスラブを、実施例1と同じ5水準の温
度で各60分均熱した後に熱間圧延し、2.3mmの熱
延板とした。次いで、この熱延板に、1150℃に30
秒保持後直ちに900℃に保持して急冷する熱延板焼鈍
を施した後酸洗し、0.30mmに冷間圧延した。この
冷延板に、850℃で150秒間保持する脱炭焼鈍を施
した。この後、水素、窒素、アンモニアの混合ガス中
で、750℃30秒間保持する窒化焼鈍を行い、窒化後
の鋼板の全窒素量を200ppm前後に調整した。次い
で、MgO、TiO2 を主成分とする焼鈍分離剤を塗布
し1200℃まで15℃/時の昇温速度で加熱し、その
後、1200℃で20時間の仕上げ焼鈍を行った。この
鋼板に歪取り焼鈍を施した後、コロイダルシリカとリン
酸アルミニウムを主成分とする張力コーティング処理を
行い、磁気特性を測定した。以上の各試験水準について
の、磁気測定結果等を表10に、また、BとNの含有量
及びスラブ加熱温度と製品コイル内B8 偏差の関係を図
5に示す。本発明の成分組成に属するスラブから、本発
明の工程条件に従って製造した場合、製品コイル全長に
渡って優れた磁気特性が安定して得られていることが判
る。但し、N濃度の最も高いスラブでは、製品コイル内
磁性偏差が大きくなっていることが判る。
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】
【発明の効果】本発明により、二次再結晶の不均一性を
解消して、優れた磁気特性を有する一方向性電磁鋼板
を、極めて安定して、工業的に生産することが可能とな
る。したがって、本発明は、一方向性電磁鋼板の工業的
な生産に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】sAlとNの含有量及びスラブ加熱温度と製品
コイル内B8 偏差の関係を示す図である。
【図2】MnとSの含有量及びスラブ加熱温度と製品コ
イル内B8 偏差の関係を示す図である。
【図3】MnとSeの含有量及びスラブ加熱温度と製品
コイル内B8 偏差の関係を示す図である。
【図4】CuとSの含有量及びスラブ加熱温度と製品コ
イル内B8 偏差の関係を示す図である。
【図5】BとNの含有量及びスラブ加熱温度と製品コイ
ル内B8 偏差の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茂木 尚 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 横内 仁 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新 日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (72)発明者 山本 紀宏 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新 日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (56)参考文献 特開 平1−168817(JP,A) 特開 平9−118964(JP,A) 特開 平5−295443(JP,A) 特開 平6−322443(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C22C 38/00 303 C22C 38/06 C22C 38/16 H01F 1/16

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、C:0.025〜0.10
    %、Si:2.5〜4.0%、酸可溶性Al(sA
    l):0.01〜0.10%、N:0.0075%以
    下、Seq=S+0.406×Se:0.003〜0.
    05%、Mn:0.02〜0.20%、を含有し、残部
    がFe及び不可避的不純物からなる一方向性電磁鋼板用
    のスラブを、1200℃以上の温度で加熱した後熱間圧
    延して熱延板とし、次いで、これに焼鈍を施すかもしく
    は施こさず、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷
    間圧延をし、その後、脱炭焼鈍、次いで、焼鈍分離剤を
    塗布し、仕上げ焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法
    において、下記式(式中[ ]は、[ ]内の成分元素
    の質量%)、 1 =10062/(2.72−log([sAl]*
    [N]))−273、 2 =14855/(6.82−log([Mn]*
    [S]))−273、及び、 3 =10733/(4.08−log([Mn]*
    [Se]))−273、 で定義するT 1 (℃)、T 2 (℃)及びT 3 (℃)の中の
    最大の温度よりも高いスラブ加熱温度Ts(℃) で前記
    スラブの加熱を行い、更に、脱炭焼鈍後、仕上げ焼鈍の
    二次再結晶開始までの間に、鋼板に窒化処理を施すこと
    を特徴とする磁気特性に優れた一方向電磁鋼板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記スラブの加熱を、1350℃以下の
    温度で行うことを特徴とする請求項1に記載の磁気特性
    に優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記スラブが、更に、質量%で、Cu:
    0.01〜0.30%を含有し、かつ、該スラブの加熱
    を、下記式(式中[ ]は、[ ]内の成分元素の質量
    %)、 T4=43091/(25.09−log([Cu]*
    [Cu]*[S]))−273 で定義するT4(℃)よりも高いスラブ加熱温度Ts
    (℃)で行うことを特徴とする請求項1〜項のいずれ
    かの項に記載の磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記スラブが、更に、質量%で、B:
    0.0005〜0.006%を含有し、かつ、該スラブ
    の加熱を、下記式(式中[ ]は、[ ]内の成分元素
    の質量%)、 T5=13680/(4.63−log([B]*
    [N]))−273 で定義するT5(℃)よりも高いスラブ加熱温度Ts
    (℃)で行うことを特徴とする請求項1〜項のいずれ
    かの項に記載の磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記脱炭焼鈍後の一次再結晶粒の平均粒
    径が、7μm以上18μm未満であることを特徴とする
    請求項1〜項のいずれかの項に記載の磁気特性に優れ
    た一方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記窒化処理を、ストリップ走行状態下
    で、水素、窒素、アンモニアの混合ガス中で行い、鋼板
    の窒素増量を0.001〜0.03質量%とすることを
    特徴とする請求項1〜項のいずれかの項に記載の磁気
    特性に優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記脱炭焼鈍前の最終の冷間圧延におい
    て、その冷延圧下率を80%以上95%以下とすること
    を特徴とする請求項1〜項のいずれかの項に記載の磁
    気特性に優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
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