JP3466056B2 - アルミハニカムの製造方法 - Google Patents

アルミハニカムの製造方法

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JP3466056B2
JP3466056B2 JP16660797A JP16660797A JP3466056B2 JP 3466056 B2 JP3466056 B2 JP 3466056B2 JP 16660797 A JP16660797 A JP 16660797A JP 16660797 A JP16660797 A JP 16660797A JP 3466056 B2 JP3466056 B2 JP 3466056B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アルミハニカムの
製造方法に関する。すなわち、中空柱状の多数のセルの
平面的集合体よりなると共に、アルミニウム合金箔を母
材としたアルミハニカムの製造方法に、関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】アルミハニカムは、他の一般的なハニカ
ムコアと同様、従来、展張方式やコルゲート方式にて製
造されており、セル壁間の条線接合は、接着やろう付け
接合により行われていた。展張方式では、まず、母材た
るアルミニウム合金箔に条線状に接着剤又はろう材を塗
布した後、多数枚を、条線状に塗布された接着剤又はろ
う材が半ピッチずつずれた位置関係でブロック状に重積
し、それから、加圧,加熱して相互間を接着又はろう付
けした後、重積方向に引張力を加えて展張する。これに
より、条線状に接着又はろう付けされると共に展張され
たアルミニウム合金箔を、セル壁とし、このようなセル
壁にて区画形成された中空柱状の多数のセルの平面的集
合体たる、アルミハニカムを製造していた。これに対し
コルゲート方式では、まず、母材たるアルミニウム合金
箔を波板に成形した後、多数枚を、波の半ピッチ分ずつ
ずらせ谷部と頂部とを合わせる位置関係で、空間を存し
つつ重積した後、加圧,加熱することにより、塗布,介
装された接着剤又はろう材にて、相互間を接着又はろう
付けする。これにより、条線状に接着又はろう付けされ
ると共に重積された波板を、セル壁とし、セル壁にて区
画形成された中空柱状の多数のセルの平面的集合体た
る、アルミハニカムを製造していた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来例にあっては、次の問題が指摘されていた。まず、
接着剤を用いて条線状に接着されると共に、展張方式や
コルゲート方式にて製造されたアルミハニカムについて
は、次の第1,第2,第3の問題が指摘されていた。第
1に、アルミハニカムの性能が、接着剤の性能に左右さ
れてしまう、という問題が指摘されていた。すなわち、
製造されたアルミハニカムの全体的な高温強度,耐熱
性,耐食性等が、セル壁間の部分的な条線接着のために
用いられた接着剤の高温強度,耐熱性,耐食性等にて、
支配,決定されてしまっていた。このように、接着剤を
用いた従来のアルミハニカムは、母材たるアルミニウム
合金箔つまりアルミニウムの基本性能、つまり優れた高
温強度,耐熱性,耐食性等が生かされず、高温強度,耐
熱性,耐食性等の性能面に難点が指摘されていた。第2
に、アルミハニカムを屋外で使用した場合、接着剤が紫
外線にて劣化する、という問題が指摘されていた。すな
わち、製造されたアルミハニカムは、セル壁間が部分的
に条線状に条線接着されているが、事後、屋外で使用し
た場合、この接着用の接着剤が、太陽光線に含まれる紫
外線にて劣化しやすかった。このように、接着剤を用い
た従来のアルミハニカムは、劣化しやすく、形状等の品
質保持面に問題が指摘されていた。第3に、製造に際
し、まず母材たるアルミニウム合金箔を、毒性が強く有
害な有機溶剤,アルカリ,強酸等で、前処理洗浄するこ
とを要していた。すなわち、事後の接着に備え、予め母
材たるアルミニウム合金箔表面の油脂分やゴミ等を除去
しておくために、毒性の強い有害物質を使用しなければ
ならず、製造に危険が伴い安全面に問題が指摘されてい
た。更に、製造時の加圧,加熱による条線接着に際し、
溶融,硬化される接着剤から有毒ガスが発生し、この面
からも製造に危険が伴い、安全面に問題が指摘されてい
た。このように、接着剤を用いた従来のアルミハニカム
は、製造時の安全面に問題が存していた。 【0004】接着剤を用いて条線状に接着されて製造さ
れた従来のアルミハニカムコアについては、このように
第1,第2,第3の問題が指摘されていた。次に、ろう
材を用いて条線状にろう付けされると共に、展張方式や
コルゲト方式にて製造された従来のアルミハニカムコア
については、次の第4,第5,第6,第7の問題が指摘
されていた。 【0005】第4に、このアルミハニカムは、ろう材を
用いてセル壁間がろう付けされているが、ろう付けに際
し、エロージョン現象や金属間化合物層が生じやすい、
という問題が指摘されていた。すなわち、製造時の加
圧,加熱による条線ろう付けに際しては、ろう付け対象
の母材たるアルミニウム合金箔,波板,セル壁につい
て、エロージョン現象が生じ、表面に機械的な小片剥
離,浸食,穴等が発生しやすかった。更に、ろう付けに
際し、ろう付け対象のアルミニウム合金箔,波板,セル
壁間に、アルミニウム合金箔とろう材が溶融した脆い金
属間化合物層を生成しやすかった。このように、ろう材
を用いた従来のアルミハニカムは、製造時にそのセル壁
について、エロージョン現象の問題や金属間化合物層の
生成による脆化の問題があり、品質面に難点が生じやす
かった。第5に、このようなエロージョン現象や金属間
化合物層の発生をおさえるためには、加圧,加熱による
ろう付けを、極く短時間のうちに行わなければならなか
った。しかしながら、それではろう付けが不完全となり
やすく、特に、展張方式にてアルミハニカムを製造する
際は、加圧,加熱時にブロック状に重積された母材たる
各アルミニウム合金箔について、ブロック中心部がろう
付け温度に達せず、ろう付けされなくなる事態も発生し
てしまう。このように、ろう材を用いたアルミハニカム
は、そのセル壁間の条線ろう付け不良,接合不良が発生
しやすく、この面からも品質面に問題が指摘されてい
た。 【0006】第6に、ろう材としては、粉末状やペース
ト状のろう材が使用されることが多いが、このようなろ
う材を、ろう付け対象の母材たるアルミニウム合金箔や
波板に塗布する際、条線状への位置決めや塗布量の制御
が容易でない、という問題も指摘されていた。すなわ
ち、特に展張方式で製造する場合はペースト状のろう材
が使用されることが多いが、このようなペースト状のろ
う材は流れやすく、母材たるアルミニウム合金箔に正確
に条線状に塗布することが容易でないと共に、そのまま
条線状に位置決め保持するのも容易でなかった。このよ
うに、粉末状やペースト状のろう材を用いた従来のアル
ミハニカムは、ろう材の条線位置決めや塗布量の制御が
正確に行いにくく、品質が不安定化しやすかった。第7
に、そこでろう材を用いつつ製造する場合は、このよう
な粉末状やペースト状のろう材に代え、ブレージングシ
ートつまり予め板状とされたろう付け用フィラーが用い
られることもあった。しかしながらブレージングシート
は、100μm以下の肉厚のものが現状では得られがた
く、重量が重かった。ろう材を用いて条線状にろう付け
されて製造された従来のアルミハニカムについては、こ
のように、第4,第5,第6,第7の問題点が指摘され
ていた。なお、このようにろう材を用いた従来のアルミ
ハニカムについては、これらに加え更に、前述した第1
に準じ、耐食性にも問題が指摘されていた。すなわち、
アルミニウム合金箔とろう材とは異種の金属材料よりな
るが、条線ろう付け箇所において、アルミニウム合金箔
を母材としたセル壁と、これとは異種金属たるろう材と
が接していることに起因して、耐食性に問題が生じてい
た。つまりアルミハニカムについて、母材たるアルミニ
ウム合金箔の優れた基本性能の1例たる耐食性が生かさ
れず、耐食性に問題が指摘されていた。 【0007】本発明に係る展張方式のアルミハニカムの
製造方法は、このような実情に鑑み、上記従来例の課題
を解決すべくなされたものであって、マグネシウムを含
有したアルミニウム合金箔を、セル壁の母材として用
い、加圧,加熱により、地肌付近に含有されていたマグ
ネシウムが蒸気化し、もって、アルミニウム合金箔の地
肌表面の酸化皮膜を還元除去して、セル壁間を条線状に
拡散接合するようにしたことにより、つまり、接着剤や
ろう材を用いることなくセル壁間を条線接合するように
したことにより、次のことを目的とする。すなわち、第
1に、高温強度,耐熱性,耐食性等に優れ、第2に、屋
外使用しても劣化せず、第3に、製造時に有害物質を使
用せず有毒ガスも発生せず、第4に、エロージョン現象
や脆い金属間化合物層も発生せず、第5に、接合不良が
防止され、第6に、品質が安定し、第7に、軽量化も促
進され、第8に、コスト面にも優れ、第9に、加圧,加
熱も比較的低圧,低温,短時間のうちに、簡単容易に実
施される、アルミハニカムの製造方法を提案することを
目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
る本発明の技術的手段は、次の通りである。このアルミ
ハニカムの製造方法では、まず、マグネシウムを0.1
重量%以上含有すると共に、地肌表面に酸化皮膜が形成
された母材たるアルミニウム合金箔について、離型剤
を、一定幅とピッチで条線状に地肌を残しつつ、所定間
隔にて配設する。 【0009】次に、複数枚の該アルミニウム合金箔を、
条線状に残された該地肌が半ピッチずつずれた位置関係
で、重積する。しかる後、真空や不活性ガス雰囲気等の
低酸素濃度雰囲気中で、加圧すると共に400℃以上で
加熱することにより、該アルミニウム合金箔の該地肌付
近に含有されていた該マグネシウムが、蒸気化する。 【0010】なお、この加圧,加熱時間は、該アルミニ
ウム合金箔に含有されていた該マグネシウムが、蒸気化
され過ぎて抜け過ぎることなく、該アルミニウム合金箔
の強度低下を避けるべく、すべて蒸気化されず、適量残
留する時間内に設定される。そして、このような加圧,
加熱により蒸気化した該マグネシウムが、該アルミニウ
ム合金箔の該地肌表面に集まり、該地肌表面を覆ってい
た該酸化皮膜と反応して、還元除去せしめる。 【0011】もって、該アルミニウム合金箔の該地肌
に、アルミニウムが無垢の状態で露出し、このように該
地肌にアルミニウムが露出した該アルミニウム合金箔間
が、該離型剤間に条線状に残されて接触した該地肌間に
て、拡散接合される。それから、重積方向に引張力を加
えて展張することにより、各該アルミニウム合金箔が、
条線状の拡散接合箇所の縁に沿って折曲されると共に、
該拡散接合箇所以外の箇所が、分離,離隔される。もっ
て、このような該アルミニウム合金箔をセル壁とし、該
セル壁にて区画形成された中空柱状の多数のセルの平面
的集合体たる、アルミハニカムを得ること、を特徴とす
る。 【0012】この展張方式のアルミハニカムの製造方法
は、このように構成されているので、次のようになる。
まず、マグネシウムを含有すると共に、地肌表面に酸化
皮膜が形成されたアルミニウム合金箔を母材とすると共
に、離型剤を利用しつつ重積する。それから、加圧,加
熱により、母材たるアルミニウム合金箔の地肌表面付近
に含有されていたマグネシウムが、蒸気化して、アルミ
ニウム合金箔の地肌表面を強固に安定的に覆っていた酸
化皮膜と反応し、もって酸化皮膜を還元除去,破壊,分
散せしめる。そこで、アルミニウム合金箔のアルミニウ
ムが、無垢の状態で露出して接触し、もって拡散接合が
進行する。すなわち、母材たるアルミニウム合金箔の地
肌間が、条線状に拡散接合されて、条線状に拡散接合箇
所が形成される。それから、更に展張を実施することに
より、アルミニウム合金箔をセル壁とし、このようなセ
ル壁にて区画形成された中空柱状の多数のセルの平面的
集合体たる、アルミハニカムが得られる。そして、この
製造方法で製造されアルミハニカムは、接着剤やろう材
を用いることなく、セル壁間が拡散接合により条線接合
されてなる。さてそこで、この製造方法で製造されたア
ルミハニカムについては、次のようになる。第1に、高
温強度,耐熱性,耐食性等に優れ、第2に、屋外使用し
ても劣化せず、第3に、製造時に有害物質を使用せず有
害ガスも発生せず、第4に、エロージョン現象や脆い金
属間化合物層も発生せず、第5に、接合不良が防止さ
れ、第6に、品質が安定する。そして第7に、このアル
ミハニカムは、セル壁間が拡散接合により条線接合され
ており、母材たるアルミニウム合金箔のみを用いて、構
成されている。母材以外の金属や樹脂等を一切使用しな
いので、その分だけ、重量が軽減される。第8に、同様
にこのアルミハニカムは、セル壁間が拡散接合により条
線接合されており、母材たるアルミニウム合金箔のみに
て構成されている。条線接合のため母材以外の金属や樹
脂等を一切使用しないので、その分、コスト安である。
第9に、このアルミハニカムは、マグネシウムを所定量
含有したアルミニウム合金箔をセル壁の母材として用
い、拡散接合により条線接合されている。そこで、アル
ミハニカムの製造方法にあっては、アルミニウム合金箔
の地肌表面の酸化皮膜が蒸気化したマグネシウムにて還
元除去されて、アルミニウムが無垢状態で露出するの
で、簡単容易に極めてスムーズに、アルミニウム合金箔
間の拡散接合が進行する。従って、温度,圧力,時間,
雰囲気、等の各条件に関しても、それほど高度の条件設
定が要求されず、比較的低温,低圧,短時間,低度の真
空下で、拡散接合が実施される。このように、このアル
ミハニカムは、母材としてマグネシウムを含有したアル
ミニウム合金箔を用いたことにより、セル壁間が簡単容
易に拡散接合,条線接合されてなる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下本発明を、図面に示す発明の
実施の形態に基づいて、詳細に説明する。図1,図3,
図4は、本発明の実施の形態の説明に供する。そして図
1は、展張方式の説明に供する斜視説明図であり、
(1)図は、アルミニウム合金箔を、(2)図は、離型
剤を配設した状態を、(3)図は、切断した状態を、
(4)図は、重積した状態を、(5)図は、拡散接合し
た状態を(6)図は、展張した状態を示す。図2は、本
発明には属さない参考例たる、コルゲート方式への適用
例の説明に供する正面説明図であり、(1)図は、アル
ミニウム合金箔を、(2)図は、波板の成形工程を、
(3)図は、成形された波板を、(4)図は、重積,拡
散接合された波板を示す。図3は、得られたアルミハニ
カムの斜視図である。図4は、拡散接合の原理説明図で
あり、(1)図は、接合対象の1対のアルミニウム合金
箔を、(2)図は、その加熱状態を、(3)図は、酸化
皮膜の還元除去状態を、(4)図は、拡散接合状態を示
す。 【0014】まず、本発明の製造方法について、図1の
例により説明する。この展張方式によるアルミハニカム
1の製造方法では、まず、図1の(1)図に示したよう
に、マグネシウムMg(図4の(1)図等を参照)を含
有した母材たるアルミニウム合金箔ALが準備される。
すなわち、このアルミニウム合金箔ALは、0.1重量
%以上のマグネシウムMgを含有するほか、シリコンS
i,鉄Fe,銅Cu,マンガンMn,クロムCr,亜鉛
Zn,チタニウムTi等を、選択的又はすべて含有して
なる。そして、このアルミニウム合金箔ALは、圧延さ
れたままのシート状・薄板状・帯状をなし、その肉厚が
1mm以下のものが通常用いられるが、1mm以上のも
のも使用可能であり、代表的には0.13mm程度のも
のが用いられる。そして、図4の(1)図,(2)図等
に示したように、このアルミニウム合金箔ALの地肌2
表面には、酸化皮膜3が強固に安定的に形成されてい
る。すなわち、アルミニウム合金箔ALの地肌2表面
は、通常、酸化皮膜3にて覆われており、機械的・化学
的に磨いても、すぐに酸化されて酸化皮膜3が形成さ
れ、この酸化皮膜3はアルミナAL2O3 として知られ
ている。 【0015】次に、この製造方法では、図1の(2)図
に示したように、このようなアルミニウム合金箔ALに
対し、離型剤4が、一定幅とピッチで条線状に地肌2を
残しつつ、所定間隔にて配設される。すなわち離型剤4
は、図示例ではアルミニウム合金箔AL片面に対し、地
肌2を狭い一定幅とピッチの条線状に残すように、狭い
間隔を存しつつ一定ピッチで、例えば塗布等により配設
される。このような離型剤4としては、セラミックスの
粉末スプレイ,ボロンナイトライド粉末,その他狭義の
ものの他、ビニールテープ,粘着テープ,油性インク,
揮発性インク,カーボン紙,その他広義のマスキング用
のものも、使用可能である。 【0016】それから、この製造方法では、このように
離型剤4が配設され、地肌2が条線状に残されたアルミ
ニウム合金箔ALが、図1の(3)図に示したように、
帯状から一定長さ毎に切断される。そして、図1の
(4)図に示したように、このように切断された複数枚
のアルミニウム合金箔ALは、例えば多数枚のアルミニ
ウム合金箔ALは、条線状に残された地肌2が半ピッチ
ずつずれた位置関係で、ブロック状に重積される。すな
わち、多数枚のアルミニウム合金箔ALは、片面につい
て条線状に残された地肌2が、上下間で左右に半ピッチ
ずつずれた位置関係で、ブロック状に上下に重積され
る。 【0017】しかる後、この製造方法では、図1の
(5)図に示したように、加圧,加熱することにより、
ブロック状に重積されたアルミニウム合金箔AL間が、
離型剤4間に条線状に残されて接触した地肌2にて、拡
散接合される。そして、この拡散接合は、真空や不活性
ガス雰囲気等の低酸素濃度雰囲気中で行われると共に、
図4の(1)図,(2)図,(3)図,(4)図等に示
したように、400℃以上で加熱することにより蒸気化
したマグネシウムMgが、アルミニウム合金箔ALの地
肌2表面の酸化皮膜3を、還元除去せしめることにより
行われる。 【0018】このような拡散接合等について、更に詳述
する。まず、図示例の各アルミニウム合金箔ALは、そ
の片面(例えば表面)には、離型剤4が配設され地肌2
が条線状に残されているのに対し、他面(例えば裏面)
には、離型剤4が配設されず全面が地肌2のままとなっ
ている。そこで、重積された各アルミニウム合金箔AL
相互間は、片面の条線状の地肌2と他面全面の地肌2と
が、直接接触,密着し、もって条線状の地肌2の所で拡
散接合される。そして拡散接合は、次のように行われ
る。まず、図4の(1)図に示したように、アルミニウ
ム合金箔ALの地肌2付近に含有されたマグネシウムM
gが、図4の(2)図に示したように、加熱により蒸気
化して地肌2表面に集まり、地肌2表面を覆う酸化皮膜
3と反応する。つまり、マグネシウムMgはアルミニウ
ムに比し、蒸気圧が高い(圧が高くても蒸発しやすい)
と共に活性が高い金属であり、酸素との親和力が強いの
で酸化して、ALOよりなる酸化皮膜3を還元せし
め、もって図4の(3)図に示したように、MgALO
よりなる生成物5を生成させる。このようにして、アル
ミニウム合金箔ALの地肌2表面の酸化皮膜3が、生成
物5となって還元除去,破壊,分散せしめられる。もっ
て、アルミニウム合金箔ALの地肌2については、それ
ぞれ、アルミニウムが無垢の状態で露出し、もって図4
の(4)図に示したように、このようにアルミニウムが
露出したアルミニウム合金箔ALの地肌2どうしが、加
圧により接触,密着することにより拡散接合されて、条
線状の拡散接合箇所6が形成される。つまり、アルミニ
ウム合金箔ALの地肌2間は、原子が粒界面で拡散移動
することにより、密に拡散接合される。 【0019】そして、このような拡散接合は、炉中等
で、次の温度,圧力,時間,雰囲気、等の条件
のもとに実施される。まず、温度条件は、400℃以
上に設定される。つまり、加熱が400℃未満では、拡
散接合の前提となるアルミニウム合金箔AL中のマグネ
シウムMgの蒸気化が、不十分,不成立となり、酸化皮
膜3が還元除去されなくなる。次に、圧力条件つまり
荷重は、1gf/mm以上が望ましい。つまり、加圧
が1gf/mm未満だと、拡散接合に必要なアルミニ
ウム合金箔AL間の接触,密着が、得られなくなる。更
に、時間条件つまり加圧,加熱処理時間は、5分程度
から10時間程度の間で、他の,,の各条件を勘
案して設定される。いずれにしても、処理時間が例えば
5分間未満等、短過ぎる場合には、拡散接合の前提とな
るアルミニウム合金箔AL中のマグネシウムMgの蒸気
化が、不十分,不成立となり、酸化皮膜3の還元除去が
不足する。これに対し、例えば10時間を越える等、長
過ぎる場合には、アルミニウム合金箔AL中から、マグ
ネシウムMgが蒸気化し過ぎてしまい、事後、アルミニ
ウム合金箔ALの強度が低下するようになる。つまり、
アルミニウム合金箔AL中に含有されたマグネシウムM
gは、周知のごとくアルミニウムの強度を向上させるべ
く機能するので、すべて蒸気化されることなく適量残留
していることが必要であり、マグネシウムMgが抜け過
ぎると、アルミニウム合金箔ALを母材としたセル壁の
強度が低下するようになる。次に、雰囲気条件として
は、真空、又は不活性ガス雰囲気等の低酸素濃度雰囲気
中で、全体的な酸化防止に留意しつつ実施される。望ま
しくは、酸素が1,000ppm以下で、水分が80p
pm以下がよい。このような、温度,圧力,時
間,雰囲気、等の条件下で、アルミニウム合金箔AL
間の拡散接合が、行われる。各条件についての具体的値
は、適宜決定される。次に、その3つの具体例について
述べておく。 【0020】まず、アルミニウム合金箔ALとして、肉
厚0.13mmで、表1に示した重量比構成のJIS規
格称呼6951番のものを使用した場合について、その
1例は次のとおり。この例では、温度は600℃、
圧力は3gf/mm、時間は20分、雰囲気は酸
素濃度50ppmの窒素ガスに、各々設定され、離型剤
4としてはボロンナイトライド粉末が使用された。次
に、アルミニウム合金箔ALとして、肉厚が0.13m
mで、同じく表1に示した重量比構成のJIS規格称呼
6951番のものを使用した場合について、他の例は次
のとおり。この他の例では、温度は450℃から58
0℃、圧力は1gf/mmから5gf/mm
時間は30分から1時間、雰囲気は10−3torr
から10−5torrの真空に、各々設定され、離型剤
4としてはボロンナイトライド粉末が使用された。又、
アルミニウム合金箔ALとして、肉厚が0.13mm
で、表2に示した重量比構成のJIS規格称呼5052
番のものを使用した場合について、その1例は次のとお
り。この例では、温度は550℃、圧力は3gf/
mm、時間は30分、雰囲気は約10−3tor
rの真空に、各々設定され、離型剤4としてはボロンナ
イトライド粉末が使用された。 【0021】 【表1】【0022】 【表2】 【0023】さてこの製造方法では、このようにして、
ブロック状に重積された母材たるアルミニウム合金箔A
Lについて、図1の(5)図に示したように、拡散接合
が行われる。しかる後、この製造方法では、次に図1の
(6)図に示したように、展張が行われる。すなわち、
重積方向に引張力を加えて展張することにより、重積さ
れた各アルミニウム合金箔ALは、条線状の拡散接合箇
所6(図4の(4)図も参照)の縁に沿って折曲される
と共に、拡散接合箇所6以外の箇所が分離,離隔され
る。すなわち、前述によりブロック状に重積されると共
に条線状に拡散接合された各アルミニウム合金箔AL
は、矢示の上下の重積方向に沿い上下に引張力が加えら
れて、展張される。そこで各アルミニウム合金箔AL
は、各々、条線状の拡散接合箇所6の縁にそって上下に
折曲され、拡散接合箇所6以外の箇所が上下に分離,離
隔される。 【0024】図1に示した展張方式の製造方法では、こ
のような各工程を辿ることにより、アルミハニカム1が
製造される。すなわち図3に示したように、アルミニウ
ム合金箔ALをセル壁7とし、セル壁7にて区画形成さ
れた中空柱状の多数のセル8の平面的集合体たる、アル
ミハニカム1が得られる。図1の例は、このようになっ
ている。 【0025】次に、図2に示した本発明には属さない参
考例のコルゲート方式による製造方法について、説明す
る。このコルゲート方式による製造方法では、まず、図
2の(1)図,(2)図,(3)図等に示したように、
マグネシウムMg(図4の(1)図を参照)を含有した
母材たるアルミニウム合金箔ALが、波形の凹凸が連続
的に折曲形成された波板9に、コルゲート成形される。 【0026】これらについて、更に詳述する。まず図2
の(1)図に示したように、母材として準備されるマグ
ネシウムMgを含有したアルミニウム合金箔ALについ
ては、図1の展張方式の製造方法において前述したとこ
ろに準じるので、その説明は省略する。そして、このよ
うに準備されたアルミニウム合金箔ALは、図2の
(2)図に示したように、ラックとラック,ギヤとギ
ヤ,ギヤとラック等の治具10を備えたコルゲート成形
装置に供給される。そして加圧,加熱されることによ
り、図2の(3)図に示したように、波形の凹凸が短手
方向に直線的に平行、かつ長手方向に繰り返し連続的
に、所定ピッチと高さで折曲形成された波板9が、コル
ゲート成形される。なお、波板9の波形の凹凸の断面形
状は、図示の台形状のほか、略三角形状,略四角形状,
その他各種形状のものも考えられる。 【0027】それから、この製造方法では、図2の
(4)図に示したように、複数枚の波板9を、波の半ピ
ッチ分ずつずらせ谷部と頂部とを合わせる位置関係で重
積した後、加圧,加熱することにより、波板9の合わさ
れて接触した谷部と頂部の地肌2間を、拡散接合する。 【0028】これらについて、更に詳述する。すなわ
ち、図2の(4)図と共に図4の各図をも参照しつつ説
明すると、上述によりコルゲート成形された、マグネシ
ウムMgを含有したアルミニウム合金箔ALを母材とし
た波板9は、まず所定長さ毎に切断される。それから、
複数枚例えば多数枚の波板9は、上下の波板9間で左右
に順次波の半ピッチ分ずつずらし、順次、上の波板9の
谷部と下の波板9の頂部とを合わせる位置関係で、上下
に重積され、全体的に空間が存した積層ブロック状とさ
れる。しかる後、このように重積された各波板9を、炉
内等で加熱しつつ上下から加圧することにより、各波板
9の合わされて接触した谷部の地肌2と頂部の地肌2間
が、拡散接合される。すなわち、波板9の母材たるアル
ミニウム合金箔ALに含有されたマグネシウムMgが、
加熱により蒸気化してアルミニウム合金箔ALの地肌2
表面の酸化皮膜3を還元除去せしめ、合わされた谷部と
頂部の地肌2表面を覆う酸化皮膜3が還元除去,破壊,
分散せしめられる。このようにして、波板9つまりアル
ミニウム合金箔ALの合わされた谷部と頂部について、
アルミニウムが無垢の状態で露出して、加圧されつつ接
触,密着することにより、拡散接合が行われ、条線状の
拡散接合箇所6が形成される。 【0029】図2に示したコルゲート方式の製造方法で
は、このような各工程を辿ることにより、アルミハニカ
ム1が製造される。すなわち図3に示したように、条線
状に拡散接合された波板9をセル壁7とし、セル壁7に
て区画形成された中空柱状の多数のセル8の平面的集合
体たる、アルミハニカム1が得られる。図2の参考例の
コルゲート方式は、このようになっている。 【0030】さて、本発明の展張方式の製造方法にて得
られたアルミハニカム1は、次のようになっている。す
なわち図3に示したように、このアルミハニカム1は、
条線状に接合されたセル壁7にて区画形成された、中空
柱状の多数のセル8の平面的集合体よりなる。そして、
セル壁7の母材として、マグネシウムMgを含有したア
ルミニウム合金箔ALが用いられると共に、セル壁7
は、その母材たるアルミニウム合金箔ALが、拡散接合
による拡散接合箇所6にて条線状に接合されている。そ
して、この拡散接合箇所6の拡散接合は、加圧,加熱に
より蒸気化したマグネシウムMgが、アルミニウム合金
箔ALの地肌2表面の酸化皮膜3を還元除去せしめるこ
と、により行われている。又、セル壁7そしてセル8の
断面形状は、図示の正六角形状のものが代表的である
が、これによらず、縦長や横長の六角形状,台形状,略
四角形状,その他各種形状のものも可能である。そし
て、このアルミハニカム1は、一般のハニカムコアと同
様に、重量比強度に優れ、軽量であると共に高い剛性・
強度を備え、又、整流効果,平面精度,保温性,遮音性
にも優れ、単位容積当たりの表面積が大である、等々の
特性を備え、広く各種の構造材として使用される。通常
は、その開口端面たるセル端面に、それぞれ表面板が、
接着,ろう付け,拡散接合等にて接合され、もってハニ
カムサンドイッチパネルとして、使用に供される。アル
ミハニカム1は、このようになっている。 【0031】本発明に係る展張方式のアルミハニカムの
製造方法は、以上説明したように構成されている。そこ
で以下のようになる。このアルミハニカムの製造方法で
は、マグネシウムMgを含有したアルミニウム合金箔A
Lを、セル壁7の母材として用いると共に、図1に示し
たように、このようなアルミニウム合金箔ALを離型剤
4を利用しつつ重積する。それから、加圧,加熱するこ
とにより、図4に示したように、母材たるアルミニウム
合金箔ALに含有されていたマグネシウムMgが蒸気化
して、アルミニウム合金箔ALの地肌2表面を強固に安
定的に覆っていた酸化皮膜3と反応し、もって酸化皮膜
3を還元除去,破壊,分散せしめるので、アルミニウム
合金箔ALのアルミニウムが、無垢の状態で露出して接
触する。 【0032】もって、拡散接合が進行し、母材たるアル
ミニウム合金箔ALの地肌2間が、条線状に拡散接合さ
れて、条線状の拡散接合箇所6が形成される。そこで事
後、更に展張を実施することにより、図3に示したよう
に、アルミニウム合金箔ALをセル壁7とし、このよう
なセル壁7にて区画形成された中空柱状の多数のセル8
の平面的集合体たる、アルミハニカム1が得られる。さ
てそこで、このような製造方法にて得られたアルミハニ
カム1にあっては、次の第1,第2,第3,第4,第
5,第6,第7,第8,第9のようになる。 【0033】第1に、このアルミハニカム1は、セル壁
7間が拡散接合により、条線接合されている。つまり、
母材たるアルミニウム合金箔ALのみにて構成されてお
り、他の異種金属,樹脂等は一切用いられていない。従
って、このアルミハニカム1は、母材たるアルミニウム
合金箔ALつまりアルミニウムの基本性能を、そのまま
全体的に備えており、優れた高温強度,耐熱性,耐食性
等を具備してなる。 【0034】第2に、このアルミハニカム1は、同様
に、セル壁7間が拡散接合により条線接合され、母材た
るアルミニウム合金箔ALのみにて構成されている。従
って、このアルミハニカム1は、屋外で使用した場合で
も、太陽光線に含まれる紫外線にて拡散接合箇所6が、
劣化するようなこともない。 【0035】第3に、このアルミハニカム1は、セル壁
7間が拡散接合により条線接合されると共に、展張方式
にて製造される。そして、セル壁7の母材たるアルミニ
ウム合金箔ALは、使用に際し拡散接合に備え、予め有
害物質を使用する前処理洗浄を実施する必要もなく、圧
延された状態のまま使用に供される。又、拡散接合は、
母材たるアルミニウム合金箔ALを対象とした加圧,加
熱により行われ、その際、有毒ガスが発生することもな
い。 【0036】第4に、このアルミハニカム1は、セル壁
7間が拡散接合により条線接合されると共に、展張方式
にて製造される。このように、このアルミハニカム1
は、母材たるアルミニウム合金箔ALのみを用いて製造
され、他の金属は一切介在しないので、加圧,加熱によ
り拡散接合,条線接合に際し、エロージョン現象や脆い
金属間化合物層が生成されるようなこともない。 【0037】第5に、このように、エロージョン現象や
金属間化合物層の生成がないので、これをおさえるべ
く、拡散接合,条線接合のための加圧,加熱を、極く短
時間に限定,設定する必要もない。つまりこのアルミハ
ニカム1は、必要十分な時間をかけて、セル壁7間を拡
散接合,条線接合することができる。特に、ブロック状
に重積された母材たる各アルミニウム合金箔ALについ
て、ブロック中心部が短時間の加熱のため所定温度に達
せず、結局、接合不良となってしまうようなこともな
い。つまりブロック中心部まで、確実に拡散接合,条線
接合され、もって製造されたアルミハニカム1につい
て、セル壁7間に接合不良が生じるようなことは、確実
に防止される。 【0038】第6に、このアルミハニカム1は、セル壁
7間が拡散接合により条線接合されている。従って、展
張方式にて製造する際は、離型剤4を利用することによ
り、所期のごとく一定幅とピッチで条線状に地肌2を残
しつつ、事後の加圧,加熱により簡単容易かつ正確に、
アルミニウム合金箔AL間を条線状に拡散接合すること
ができる。このように、このアルミハニカム1は、拡散
接合を採用したことにより、セル壁7間が簡単容易かつ
正確,均一に、所期のごとく条線接合されるようにな
る。 【0039】第7に、このアルミハニカム1は、セル壁
7間が拡散接合により条線接合されており、母材たるア
ルミニウム合金箔ALのみを用いて、構成されている。
このように、このアルミハニカム1は、母材以外の金属
や樹脂等を一切使用しないので、その分だけ、重量が軽
減される。 【0040】第8に、同様にこのアルミハニカム1は、
セル壁7間が拡散接合により条線接合されており、母材
たるアルミニウム合金箔ALのみにて構成されている。
つまり、このアルミハニカム1は、拡散接合を採用し、
条線接合のため母材以外の金属や樹脂等を一切使用しな
いので、その分、コスト安である。 【0041】第9に、このアルミハニカム1は、マグネ
シウムMgを所定量含有したアルミニウム合金箔ALを
セル壁7の母材として用いつつ、拡散接合により条線接
合されている。このように、マグネシウムMgを所定量
含有するので、アルミニウム合金箔ALの地肌2表面を
強固に安定的に覆っていた酸化皮膜3が、蒸気化したマ
グネシウムMgにて還元除去,破壊,分散され、もっ
て、アルミニウム合金箔ALのアルミニウムが無垢の状
態で露出して、簡単容易に極めてスムーズに、アルミニ
ウム合金箔AL間の拡散接合が進行する。従って、温
度,圧力,時間,雰囲気、等の各条件に関して
も、それほど高度の条件設定が要求されなくなる。具体
的には前述したように、極めて高温,高圧,長時
間,高度の真空等を、必須的条件として要求されるこ
ともなく、比較的低温,低圧,短時間,低度の
真空等の条件下で、加圧,加熱することにより、拡散接
合が実施される。このように、このアルミハニカム1
は、母材として所定量のマグネシウムMgを含有したア
ルミニウム合金箔ALを用いたことにより、セル壁7間
が簡単容易に拡散接合,条線接合されてなる。 【0042】 【発明の効果】本発明に係る展張方式のアルミハニカム
の製造方法は、以上説明したように、マグネシウムを含
有したアルミニウム合金箔を、セル壁の母材として用
い、加圧,加熱により、地肌付近に含有されていたマグ
ネシウムが蒸気化し、もって、アルミニウム合金箔の地
肌表面の酸化皮膜を還元除去して、セル壁間を条線状に
拡散接合するようにしたことにより、つまり、接着剤や
ろう材を用いることなくセル壁間を条線接合することに
より、次の効果を発揮する。 【0043】第1に、高温強度,耐熱性,耐食性等に優
れたアルミハニカムが得られる。すなわち、このアルミ
ハニカムは、セル壁間が拡散接合により条線接合されて
おり、前述したこの種従来例のように、セル壁間が接着
やろう付けにて条線接合されている訳ではない。このよ
うに、このアルミハニカムは、高温強度,耐熱性,耐食
性等に劣る接着剤や、異種金属たるろう材が一切使用さ
れず、母材たるアルミニウム合金箔のみにて構成されて
いるので、アルミニウム合金箔つまりアルミニウムの基
本性能が十分に生かされており、優れた高温強度,耐熱
性,耐食性等を備え、性能面に優れている。 【0044】第2に、屋外使用しても、劣化するような
ことがない。すなわち、このアルミハニカムは、セル壁
間が拡散接合により条線接合されており、前述したこの
種従来例のように、接着により条線接合されている訳で
はない。このように、このアルミハニカムは、母材たる
アルミニウム合金箔のみにて構成されているので、屋外
で使用した場合も、この種従来例の接着剤のように紫外
線にて劣化するようなことはなく、形状等の品質保持面
に優れている。 【0045】第3に、製造時に有害物質を使用せず、有
毒ガスが発生することもない。すなわち、このアルミハ
ニカムは、セル壁間が拡散接合により条線接合されてお
り、前述したこの種従来例のように、接着により条線接
合されている訳ではない。従って、製造に際し母材たる
アルミニウム合金箔は、この種従来例のように、接着に
備え表面の油脂分やゴミ等を除去する必要はなく、毒性
が強い有機溶剤,アルカリ,強酸等の有害物質を使用し
て、アルミニウム合金箔を前処理洗浄することを要しな
い。更に、製造時の加圧,加熱による条線接合に際し、
この種従来例のように、接着剤から有毒ガスが発生する
ようなこともない。このように、このアルミハニカム
は、製造時に有害物質は使用されず、有毒ガスが発生す
ることもなく、もって危険が回避されており、製造時の
安全面に優れている。 【0046】第4に、エロージョン現象や脆い金属間化
合物層が発生するようなことはない。すなわち、このア
ルミハニカムは、セル壁間が拡散接合により条線接合さ
れており、前述したこの種従来例のように、ろう付けに
て条線接合されている訳ではない。従って、製造時の加
圧,加熱による条線接合に際し、接合対象たる母材のア
ルミニウム合金箔,波板,セル壁について、この種従来
例のようにエロージョン現象が生じることはなく、表面
に機械的な小片剥離,浸食,穴、等が発生することはな
い。更に条線接合に際し、母材のアルミニウム合金箔,
波板,セル壁に、この種従来例のように、脆い金属間化
合物層が生成されることもない。このように、このアル
ミハニカムは、エロージョン現象の問題や金属間化合物
層による脆化の問題が回避されており、品質面に優れて
いる。 【0047】第5に、接合不良も防止される。すなわ
ち、このアルミハニカムは、セル壁間が拡散接合により
条線接合されており、前述したこの種従来例のように、
ろう付けにて条線接合されている訳ではない。従ってこ
の種従来例のように、上述したエロージョン現象や金属
間化合物層の発生をおさえるべく、加圧,加熱を極く短
時間に限定,設定する必要はなく、条線接合が不完全と
なる事態は発生しない。特に、ブロック状に重積された
母材たる各アルミニウム合金箔の中心部が、この種従来
例のように加熱不足で接合不良となるようなことはな
く、中心部まで確実に拡散接合されるようになる。この
ように、このアルミハニカムは、そのセル壁間が確実に
拡散接合されており、接合不良は防止され、この面から
も品質面に優れている。 【0048】第6に、品質も安定している。すなわち、
このアルミハニカムは、セル壁間が拡散接合により条線
接合されており、前述したこの種従来例のように、粉末
状やペースト状のろう材を用いて条線接合されている訳
ではない。従って、粉末状やペースト状のろう材を用い
つつ展張方式にて製造した場合のように、母材たるアル
ミニウム合金箔に正確に条線状に塗布すべく苦慮した
り、そのまま条線状に位置決め保持すべく特に配慮する
必要はなく、離型剤を利用することにより、簡単容易か
つ正確に、拡散接合,条線接合が実現される。このよう
に、このアルミハニカムは、そのセル壁間が正確,均一
に拡散接合,条線接合されており、この面からも品質が
極めて安定している。 【0049】第7に、軽量化も促進される。すなわち、
このアルミハニカムは、セル壁間が拡散接合により条線
接合されており、前述したこの種従来例のように、接着
やろう付けにて条線接合されている訳ではない。従っ
て、接着剤やろう材を使用しない分だけ軽量化が促進さ
れ、重量が大幅に軽減されるようになる。このように、
このアルミハニカムは、軽量化が促進される等、重量面
に優れている。 【0050】第8に、コスト面にも優れている。すなわ
ち、このアルミハニカムは、セル壁間が拡散接合により
条線接合されており、前述したこの種従来例のように、
接着やろう付けにて条線接合されている訳ではない。従
って、接着剤やろう材を使用しない分だけコスト安とな
る等、アルミハニカムが、コスト面に優れつつ製造可能
となる。 【0051】第9に、加圧,加熱も比較的低圧,低温,
短時間のうちに、簡単容易に実施される。すなわち、こ
のアルミハニカムは、マグネシウムを所定量含有したア
ルミニウム合金箔を、セル壁の母材として用いてなる。
そして、アルミニウム合金箔表面の酸化皮膜が、蒸気化
したマグネシウムにて還元除去,破壊,分散されると共
に、アルミニウムが無垢の状態で露出するので、簡単容
易に拡散接合が進行するようになる。もって、ニッケル
やステンレス等を対象として従来一般的に行われていた
拡散接合のように、極めて高温,高圧,長時間(数10
時間から数100時間),高度の真空等を必須的条件と
することもなく、比較的低温,低圧,短時間,低度の真
空等の条件下での加圧,加熱により、簡単容易に拡散接
合が行われる。このように、このアルミハニカムは、拡
散接合を利用するものの、簡単容易に製造可能である。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決さ
れる等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるも
のがある。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係るアルミハニカムの製造方法につい
て、発明の実施の形態の説明に供する斜視説明図であ
り、(1)図は、アルミニウム合金箔を、(2)図は、
離型剤を配設した状態を、(3)図は、切断した状態
を、(4)図は、重積した状態を、(5)図は、拡散接
合した状態を、(6)図は、展張した状態を示す。 【図2】本発明には属さない参考例の説明に供する正面
説明図であり、(1)図は、アルミニウム合金箔を、
(2)図は、波板の成形工程を、(3)図は、成形され
た波板を、(4)図は、重積,拡散接合された波板を示
す。 【図3】本発明の実施の形態の説明に供し、アルミハニ
カムの斜視図である。 【図4】本発明の実施の形態の説明に供する拡散接合の
原理説明図であり、(1)図は、接合対象の1対のアル
ミニウム合金箔を、(2)図は、その加熱状態を、
(3)図は、酸化皮膜の還元除去状態を、(4)図は、
拡散接合状態を示す。 【符号の説明】 1 アルミハニカム 2 地肌 3 酸化皮膜 4 離型剤 5 生成物 6 拡散接合箇所 7 セル壁 8 セル 9 波板 10 治具 AL アルミニウム合金箔 Mg マグネシウム
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B23K 101:02 B23K 101:02 103:10 103:10 (56)参考文献 特開 昭60−24287(JP,A) 特公 昭43−17910(JP,B1) 特公 平5−62034(JP,B2) 特公 昭43−14097(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 20/00 - 20/26

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 まず、マグネシウムを0.1重量%以上
    含有すると共に、地肌表面に酸化皮膜が形成された母材
    たるアルミニウム合金箔について、離型剤を、一定幅と
    ピッチで条線状に地肌を残しつつ、所定間隔にて配設
    し、 次に、複数枚の該アルミニウム合金箔を、条線状に残さ
    れた該地肌が半ピッチずつずれた位置関係で重積した
    後、真空や不活性ガス雰囲気等の低酸素濃度雰囲気中で、加
    圧すると共に400℃以上で加熱することにより、該ア
    ルミニウム合金箔の該地肌付近に含有されていた該マグ
    ネシウムが蒸気化し、 この加圧,加熱時間は、該アルミニウム合金箔に含有さ
    れていた該マグネシウムが、蒸気化され過ぎて抜け過ぎ
    ることなく、該アルミニウム合金箔の強度低下を避ける
    べく、すべて蒸気化されず適量残留する時間内に設定さ
    れ、 そして、このような加圧,加熱により蒸気化した該マグ
    ネシウムが、該アルミニウム合金箔の該地肌表面に集ま
    り、該地肌表面を覆っていた該酸化皮膜と反応して、還
    元除去せしめ、 もって、該アルミニウム合金箔の該地肌に、アルミニウ
    ムが無垢の状態で露出し、このように該地肌にアルミニ
    ウムが露出した 該アルミニウム合金箔間が、該離型剤間
    に条線状に残されて接触した該地肌間にて、拡散接合さ
    れ、 それから、重積方向に引張力を加えて展張することによ
    り、各該アルミニウム合金箔が、条線状の拡散接合箇所
    の縁に沿って折曲されると共に、該拡散接合箇所以外の
    箇所が分離,離隔され、 もって、このような該アルミニウム合金箔をセル壁と
    し、該セル壁にて区画形成された中空柱状の多数のセル
    の平面的集合体たる、アルミハニカムを得ること、を特
    徴とするアルミハニカムの製造方法。
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