JP3456158B2 - 内燃機関用スタータジェネレータ - Google Patents

内燃機関用スタータジェネレータ

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JP3456158B2
JP3456158B2 JP00441099A JP441099A JP3456158B2 JP 3456158 B2 JP3456158 B2 JP 3456158B2 JP 00441099 A JP00441099 A JP 00441099A JP 441099 A JP441099 A JP 441099A JP 3456158 B2 JP3456158 B2 JP 3456158B2
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    • H02K21/22Synchronous motors having permanent magnets; Synchronous generators having permanent magnets with stationary armatures and rotating magnets with magnets rotating around the armatures, e.g. flywheel magnetos
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02NSTARTING OF COMBUSTION ENGINES; STARTING AIDS FOR SUCH ENGINES, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F02N11/00Starting of engines by means of electric motors
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    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
    • H02P9/00Arrangements for controlling electric generators for the purpose of obtaining a desired output
    • H02P9/08Control of generator circuit during starting or stopping of driving means, e.g. for initiating excitation

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  • Permanent Magnet Type Synchronous Machine (AREA)
  • Control Of Eletrric Generators (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の始動時
には始動用電動機及び発電機として働き、内燃機関の始
動後は発電機として働く内燃機関用スタータジェネレー
タ(内燃機関始動用電動機兼用発電装置)に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】内燃機関には、機関を運転するために必
須の電装品負荷(例えば内燃機関用点火装置や燃料噴射
装置等)を駆動したり、ランプ負荷やバッテリなどの随
時駆動負荷に電力を供給したりするために磁石発電機が
取り付けられる。一般に用いられている磁石発電機は、
機関のクランク軸に取り付けられたフライホイール磁石
回転子と、電機子鉄心に電機子コイルを巻装して構成し
た固定子とにより構成される。
【0003】フライホイール磁石回転子の周壁部の外周
にはリングギアが固定され、機関のケースには機関始動
用電動機が取り付けられている。電動機の出力軸にはピ
ニオンギアが取り付けられ、電動機が駆動されたときに
ピニオンギアが前方に飛び出してリングギアに噛み合う
ようになっている。
【0004】固定子に設けられた発電コイルは、内燃機
関用の点火装置を駆動するための電圧を発生する点火装
置駆動コイルを含んでいて、電動機が駆動されたときに
ピニオンギアがリングギアに噛み合って磁石回転子を回
転させることにより機関のクランク軸を回転させるとと
もに、磁石回転子の回転に伴って固定子に設けられた点
火装置駆動コイルに誘起する電圧で点火装置を動作させ
ることにより内燃機関を始動させる。
【0005】上記のように、従来の内燃機関では、機関
を始動するためにフライホイールの外周にリングギアを
取り付けるとともに、始動用電動機を設ける必要があっ
たため、機関の構造が複雑になるのを避けられなかっ
た。
【0006】そこで、機関のクランク軸に取り付けた磁
石発電機を、機関の始動時にブラシレス直流電動機とし
て動作させることにより、始動用電動機を省略すること
が提案されている。このような使い方をする磁石発電機
をスタータジェネレータと呼んでいる。
【0007】図15は、既提案のこの種のジェネレータ
の構成と、該ジェネレータの負荷回路とを示したもの
で、同図において1´は内燃機関の出力軸に取り付けら
れたフライホイール101と該フライホイール101の
周壁部の内周に取り付けられた円弧状の永久磁石M1 及
びM2 とにより構成されたフライホイール磁石回転子、
2は3極の電機子鉄心201の歯部201u〜201w
にそれぞれ3相の電機子コイルLu〜Lwが巻回された
固定子であり、磁石回転子1´及び固定子2により発電
機及び電動機の双方として機能する回転電機が構成され
ている。
【0008】永久磁石M1 及びM2 はそれぞれの内周側
にN極及びS極が現れるようにそれぞれの磁化の方向を
異ならせて回転子の径方向に着磁されている。
【0009】電機子コイルLu〜Lwは3相星形結線さ
れて、3相ブリッジ接続された6個のオンオフ制御が可
能なスイッチ素子Qu〜Qw及びQx〜Qzと、これら
のスイッチ素子にそれぞれ逆並列接続されたダイオード
Du〜Dw及びDx〜Dzとからなるインバータ回路3
の交流側端子に接続され、インバータ回路3の直流側端
子間にバッテリ4と平滑用コンデンサ4とが接続されて
いる。
【0010】図示のインバータ回路3においては、各ス
イッチ素子がMOSFETからなっていて、ブリッジ接
続されたスイッチ素子Qu〜Qw及びQx〜Qzによ
り、バッテリ4から電機子コイルLu〜Lwに所定の相
順で転流する駆動電流を流すスイッチ回路が構成され、
ダイオードDu〜Dw及びDx〜Dzにより、電機子コ
イルLu〜Lwから得られる3相交流電圧を整流してバ
ッテリ4に印加するダイオードブリッジ全波整流回路が
構成されている。バッテリ4には、内燃機関用点火装置
や、ランプなどの図示しない負荷が接続される。
【0011】図15に示した回転電機をブラシレス直流
電動機として動作させる際の励磁パターンを決めるた
め、固定子2側には、U相ないしW相のそれぞれの電機
子コイルに対して磁石回転子の回転角度位置を検出する
位置検出器6u〜6wが設けられている。位置検出器6
u〜6wはホールICなどの磁気センサからなってい
て、U相の電機子コイルに対して設けられた位置検出器
6uはU相の電機子コイルLuに対して電気角で90度
位相が進んだ位置で磁石回転子1´の磁極を検出するこ
とにより、U相の位置検出信号Huを発生する。またV
相の電機子コイルLv及びW相の電機子コイルLwに対
してそれぞれ設けられた位置検出器6v及び6wはそれ
ぞれV相の電機子コイルLv及びW相の電機子コイルL
wに対して電気角で90度位相が進んだ位置で磁石回転
子の磁極を検出することにより、V相の位置検出信号H
v及びW相の位置検出信号Hwを出力する。
【0012】上記位置検出信号Hu〜Hwはスイッチ制
御装置7に入力されている。スイッチ制御装置7は、機
関の始動時に磁石回転子1´の回転角度位置に応じてバ
ッテリ4から電機子コイルLu〜Lwに所定の相順で転
流する駆動電流が流れるように、インバータ回路3のス
イッチ素子Qu〜Qw及びQx〜Qzにそれぞれ駆動信
号Su〜Sw及びSx〜Szを所定のタイミングで与え
て、図示の回転電機をブラシレス直流電動機として動作
させ、これにより機関のクランク軸を回転させて機関を
始動させる。
【0013】機関が始動した後は、図示の回転電機を磁
石発電機として動作させて、電機子コイルLu〜Lwに
誘起する3相交流電圧をダイオードDu〜Dw及びDx
〜Dzからなる全波整流回路により整流してバッテリ4
に印加する。
【0014】上記の例では、3相の電機子コイルが設け
られる場合を例にとったが、一般に、n相(nは2以上
の整数)の電機子コイルが設けられている場合、位置検
出装置は、各相の電機子コイルが巻回されている電機子
鉄心の歯部の先端の磁極部の中心位置と磁石回転子の各
磁極の中心位置との間の位置関係が予め設定された関係
になる位置を各相の基準励磁相切替位置として検出し
て、基準励磁相切替位置の情報を含む信号を各相の位置
検出信号として発生する。またスイッチ制御装置は、内
燃機関の始動時に内燃機関を始動させる方向に磁石回転
子を回転せるために必要な極性の駆動電流をバッテリか
らインバータ回路の所定のスイッチ素子を通して電機子
コイルに流すべく各相の位置検出信号により検出される
基準励磁相切替位置または該基準励磁相切替位置に対し
て所定の制御位相角を有する励磁相切替位置でインバー
タ回路の所定のスイッチ素子に駆動信号を与える。
【0015】なお「制御位相角」は、位置検出装置によ
り検出される基準励磁相切替位置と、実際の励磁相切替
位置(駆動電流を流す電機子コイルの相を切り替える際
の回転子の回転角度位置)との位相差であるが、本明細
書においては、この制御位相角が正負の値をとり得るも
のとし、実際の励磁相切替位置が基準励磁相切替位置に
対して進み側の位置となる場合に制御位相角を正とし、
実際の励磁相切替位置が基準励磁相切替位置に対して遅
れ側の位置となる場合に制御位相角を負とする。
【0016】なお3相以上のブラシレス直流電動機で
は、一度に2以上の相の電機子コイルを励磁して、回転
子の位置に応じて、励磁相の組み合わせを順次切り替え
ていく。したがって、本発明に係わる回転電機が3相以
上の多相の電機子コイルを有する場合、機関の始動時に
機関始動用電動機として動作させる際の励磁相切替位置
は、電機子コイルの励磁相の組み合わせを切り替える位
置である。
【0017】上記基準励磁相切替位置は、回転電機の機
械的構造により一義的に決まるものではなく、位置検出
装置を構成する位置検出器の取付け位置により決まるも
のである。通常のブラシレス直流電動機では、各相の電
機子コイルに流す駆動電流の通電角(電気角)に応じ
て、位置検出器の取付け位置を適当な位置に設定してい
る。
【0018】例えば、各相の電機子コイルに駆動電流が
流れた際に該電機子コイルに誘起する無負荷誘起電圧が
ピークに達する位置(各相の電機子コイルが巻回された
歯部を流れる磁束が零点を通過する位置)の前後90度
(電気角)の区間各相の電機子コイルに電流を流す18
0度スイッチング制御を行って電動機を回転させる場合
には、各相の電機子コイルが巻回されている歯部の先端
の磁極部の中心位置(周方向の中心)が回転子の磁石界
磁の各磁極の中心位置に一致した時の回転子の回転角度
位置を検出するように各相の位置検出信号を得るための
位置検出器を取り付ける。
【0019】例えば、図15に示したように、U相ない
しW相の電機子コイルLuないしLwが3つの歯部Pu
〜Pwに巻回されている場合に、ホールICからなる位
置検出器6uないし6wを用いて磁石回転子の磁極を検
出することにより、U相ないしW相の位置検出信号を得
る場合には、図示のように歯部201uないし201w
の磁極部の中心位置からそれぞれ90度位相が進んだ位
置に位置検出器6u〜6wを配置して磁石界磁の磁極を
検出することにより、歯部201u〜201wの先端の
磁極部の中心位置に磁石界磁の各磁極の中心位置が一致
する毎にレベルが変化する矩形波状のU相ないしW相の
位置検出信号を得るようにするのが普通である。この場
合、歯部201u〜201wの先端の磁極部の中心位置
に磁石界磁の各磁極の中心位置が一致する位置がそれぞ
れU相ないしW相の基準励磁相切替位置となり、各相の
基準励磁相切替位置は、各相の位置検出器から得られる
矩形波状の位置検出信号のレベルが変化する位置(矩形
波信号の立上り位置及び立下がり位置)となる。
【0020】また各相の電機子コイルに駆動電流が流れ
た際に該電機子コイルに誘起する無負荷誘起電圧がピー
クに達する位置の前後60度の区間各相の電機子コイル
に電流を流す120度スイッチング制御を行って電動機
を回転させる場合には、歯部201uないし201wの
磁極部の中心位置からそれぞれ60度位相が進んだ位置
にU相ないしW相の位置検出器6u〜6wを配置して磁
石界磁の磁極を検出することにより、歯部201u〜2
01wの先端の磁極部の中心位置よりも電気角で30度
遅れた位置に磁石界磁の各磁極の中心位置が一致する毎
にレベルが変化する矩形波状のU相ないしW相の位置検
出信号を得るようにするのが普通である。この場合、歯
部201u〜201wの先端の磁極部の中心位置よりも
電気角で30度遅れた位置に磁石界磁の各磁極の中心位
置が一致した状態になったときの位置が基準励磁相切替
位置となり、各相の基準励磁相切替位置は、各相の位置
検出器から得られる位置検出信号のレベルが変化する位
置となる。
【0021】180度スイッチング制御または120度
スイッチング制御を行ってブラシレス直流電動機を回転
させる場合に上記のように位置検出器を配置して、各相
の位置検出信号を得るようにした場合には、制御進み角
を零とした場合、即ち、各相の位置検出信号のレベルが
変化する基準励磁相切替位置(位置検出信号の立上り位
置及び立下がり位置)で励磁される電機子コイルの相の
組み合わせを所定の組み合わせに切り替えるようにイン
バータのスイッチ素子を制御することにより、起動時の
トルクを最大にすることができる。しかしながら、常に
上記のように位置センサの取り付け位置を設定しなけれ
ばならないわけではなく、基準励磁相切替位置をインバ
ータ回路の制御にとって都合がよい位置に設定して、該
基準励磁相切替位置で検出信号を発生させるように位置
センサを取り付けるようにすることができる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】磁石回転子1´と固定
子2とからなる図15に示した回転電機において、機関
の始動時に電機子コイルLu〜Lwに図示のように電機
子電流を流して、該回転電機をスタータモータとして動
作させ、磁石回転子1´を図16の矢印CL方向(時計
方向)に回転させると、電機子コイルLu〜Lwに流れ
る電機子電流により電機子反作用起磁力が生じ、該起磁
力が永久磁石M1 及びM2 に作用する。
【0023】図16において、電機子コイルLu〜Lw
のコイル導体の断面を示す丸印の内側に表示されたx印
は電機子電流が図の紙面の表面側から裏面側に流れてい
ることを示し、丸印の内側に示された黒丸印は電機子電
流が図の紙面の裏面側から表面側に流れていることを示
している。またBaは電機子コイルLu〜Lwに流れる
電機子電流によりそれぞれのコイルから生じる電機子反
作用起磁力の合成ベクトル(合成電機子反作用起磁力)
を示している。磁石回転子の周方向の領域を180度
(π)のN極領域とS極領域とに分けて、図16のよう
に電機子電流が流れた時の電機子反作用起磁力Bを示す
と、図17のようになる。この電機子反作用起磁力は回
転子磁極相互間の中間軸の位置で最大値F及び−Fをと
る。
【0024】なお実際には、磁極間の部分では磁路の磁
気抵抗が大きくなるため、電機子反作用起磁力が磁極間
の中間軸の位置まで直線的に増加することはなく、回転
子磁極相互間の中間軸付近で起磁力の落ち込みが生じる
が、図17及び以下に示す同様の図においては、この磁
気抵抗の影響を無視している。
【0025】機関が始動した後、図15の従来の内燃機
関用スタータジェネレータを磁石発電機として運転した
場合には、図19に示すように、電機子コイルLu〜L
wに電機子電流が流れ、各相の電機子コイルに流れる電
機子電流により生じる電機子反作用起磁力が永久磁石M
1 及びM2 に作用する。図19において、Baは発電機
として運転した際に電機子コイルLu〜Lwに流れる電
機子電流によりそれぞれのコイルから生じる電機子反作
用起磁力の合成ベクトルを示している。図19のように
合成電機子反作用起磁力が生じたときに、N極領域の各
部を流れる磁束Bの大きさを概略的に示すと、図20の
ようになる。
【0026】図15に示したスタータジェネレータは、
機関始動用の電動機としての機能を有していることが必
要である。そのため、このスタータジェネレータでは、
機関の始動時に電機子コイルに十分に大きな電機子電流
を流して高トルクを発生させることを優先させてその巻
線仕様を決めることが必要とされ、電機子コイルは低抵
抗、低インダクタンスであることが必要とされる。この
ように構成された回転電機は、電動機として動作させた
場合には、高いトルクを発生して機関始動用電動機とし
ての機能を果たすが、機関が始動した後磁石発電機とし
て動作させた場合には、十分な発電出力を発生すること
が困難であり、機関の回転数が上昇しないとバッテリを
充電するために必要な出力を得ることができないという
問題があった。即ち、機関始動用電動機として適する巻
線仕様の回転電機を磁石発電機として運転した場合、そ
の出力電流I対回転数N特性は図14の曲線aのように
なり、機関の低速領域では、バッテリを充電するための
出力を発生することができないだけでなく、機関の高速
時には出力が過大になって、バッテリが過充電されるこ
とになる。バッテリを充電するために必要とされる発電
機の特性は、図14の曲線bのように、機関の低回転速
度領域で出力が立上り、機関の高速時には出力が飽和し
て制限される特性である。図14の曲線bのような特性
を得るためには、電機子コイルの巻数を多くしてそのイ
ンダクタンスを高くする必要があるため、その巻線仕様
は始動用電動機に必要とされる巻線仕様とは相容れない
ものとなる。
【0027】上記のように、始動用電動機とバッテリ充
電用の磁石発電機とでは、それぞれに要求される特性を
満足するために必要とされる巻線仕様が全く異なるた
め、磁石回転子と多相の電機子コイルとを有する1つの
回転電機をブラシレス直流電動機とバッテリ充電用の磁
石発電機とに兼用してスタータジェネレータとして用い
るという考え方は、アイディアとしては成立しても、未
だ実用の段階には至っていない。
【0028】本発明の目的は、機関の始動時に回転電機
を始動用電動機として運転する際には、機関を始動する
ために必要な高いトルクを得ることができ、機関が始動
した後、回転電機を磁石発電機として動作させる際に
は、機関の低速回転領域から高出力を得ることができる
ようにした内燃機関用スタータジェネレータを提供する
ことにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明は、2m個(mは
1以上の整数)の回転子磁極を有する磁石界磁を備えた
磁石回転子と、周方向に並ぶ多数の歯部を有する電機子
鉄心と該電機子鉄心の歯部に巻回されてn相回路(nは
2以上の整数)を構成するように結線されたコイル群か
らなるn相の電機子コイルとを有して電機子鉄心の各歯
部の先端に回転子磁極に対向する固定子磁極が形成され
た固定子とからなる回転電機と、該回転電機の電機子コ
イルに流す電流を制御するインバータ回路と、該インバ
ータ回路を制御するインバータ制御装置とを備えて、内
燃機関の始動時には回転電機を電動機として動作させて
内燃機関を始動させる方向に磁石回転子を回転させ、内
燃機関が始動した後は回転電機を磁石発電機として動作
させてn相の電機子コイルの誘起電圧で全波整流回路を
通してバッテリに充電電流を流す内燃機関用スタータジ
ェネレータに係わるものである。
【0030】本発明が対象とするスタータジェネレータ
において用いられるインバータ回路は、n相ブリッジ接
続された2n個のオンオフ制御が可能なスイッチ素子か
らなるスイッチ回路と2n個のスイッチ素子のそれぞれ
に逆並列接続された2n個のダイオードにより構成され
たn相ダイオードブリッジ全波整流回路とを備えたもの
で、全波整流回路の直流側の対の端子がバッテリの両端
に接続され、全波整流回路の交流側のn個の端子がn相
の電機子コイルから引き出されたn個の端子にそれぞれ
接続される。
【0031】インバータ制御装置は、バッテリからイン
バータ回路のスイッチ素子を通してn相の電機子コイル
に所定の相順で転流する駆動電流を流すようにインバー
タ回路のスイッチ素子を制御する。
【0032】本発明においては、上記磁石回転子の磁石
界磁が、所定の極弧角を有する2m個の円弧状永久磁石
からなる主極と、該主極よりも極弧角が小さく、かつ主
極を構成する永久磁石よりも透磁率が高い円弧状強磁性
材料からなる2m個の補極とにより構成されていて、各
主極の両側に補極が1つずつ対称に配置されるように主
極と補極とが周方向に交互に配置される。
【0033】またインバータ制御装置は、上記回転電機
を電動機として動作させる際、及び磁石発電機として動
作させる際にそれぞれインバータを下記のように制御す
るように構成される。
【0034】即ち、回転電機を電動機として動作させる
際には、磁石回転子の各主極と各主極よりも磁石回転子
の回転方向の進み側に位置する隣接の1つの補極とを電
動機用回転子磁極として、機関を始動させる方向に前記
磁石回転子を回転させるべく、電動機用回転子磁極の幾
何学的中心位置と各相の電機子コイルが巻回されている
電機子鉄心の歯部の先端の固定子磁極の幾何学的中心位
置とが設定された関係になる位置に設定された電動機用
基準励磁相切替位置または該電動機用基準励磁相切替位
置に対して所定の制御位相角を有する電動機用励磁相切
替位置でn相の電機子コイルの励磁相を切り換えつつバ
ッテリからインバータ回路を通してn相の電機子コイル
に所定の相順で転流する駆動電流を流すようにインバー
タ回路のスイッチ素子を制御する。
【0035】また上記回転電機を磁石発電機として動作
させる際には、磁石回転子の各主極と各主極よりも前記
回転方向の遅れ側に位置する隣接の1つの補極とを1つ
の発電機用回転子磁極として、発電機機用回転子磁極の
幾何学的中心位置と各相の電機子コイルが巻回されてい
る電機子鉄心の歯部の先端の固定子磁極の幾何学的中心
位置とが設定された関係になる位置に設定された発電機
用基準励磁相切替位置または該発電機用基準励磁相切替
位置に対して所定の制御位相角を有する発電機用励磁相
切替位置で励磁相を切り替えつつバッテリからインバー
タ回路を通して電機子コイルに所定の相順で転流する制
御電流を流すべく、インバータ回路のスイッチ素子を制
御する。
【0036】上記インバータ制御装置は、電機子コイル
の励磁相を切り換える回転子の回転角度位置を検出する
位置検出装置と、該位置検出装置により検出されたタイ
ミングに基づいてインバータ回路のスイッチ素子を制御
するスイッチ制御装置とにより構成できる。
【0037】この場合位置検出装置は、回転電機を電動
機として動作させる際には磁石回転子の各主極と各主極
よりも磁石回転子の回転方向の進み側に位置する隣接の
1つの補極とを電動機用回転子磁極として各電動機用回
転子磁極の幾何学的中心位置と各相の電機子コイルが巻
回されている電機子鉄心の歯部の先端の固定子磁極の幾
何学的中心位置とが設定された関係になる位置を各相の
電動機用基準励磁相切替位置として検出し、回転電機を
磁石発電機として動作させる際には、磁石回転子の各主
極と各主極よりも回転方向の遅れ側に位置する隣接の1
つの補極とを1つの発電機用回転子磁極として各発電機
用回転子磁極の幾何学的中心位置と各相の電機子コイル
が巻回されている電機子鉄心の歯部の先端の固定子磁極
の幾何学的中心位置とが設定された関係になる位置を各
相の発電機用基準励磁相切替位置として検出して、電動
機用基準励磁相切替位置の情報を含む各相の電動機用位
置検出信号及び発電機用基準励磁相切替位置の情報を含
む各相の発電機用位置検出信号を発生する。
【0038】またスイッチ制御装置は、内燃機関を始動
させる際には内燃機関を始動させる方向に磁石回転子を
回転せるために必要な極性の駆動電流をバッテリからイ
ンバータ回路の所定のスイッチ素子を通して電機子コイ
ルに流すべく各相の電動機用位置検出信号により検出さ
れる電動機用基準励磁相切替位置または該基準励磁相切
替位置に対して所定の制御位相角を有する電動機用励磁
相切替位置でインバータ回路の所定のスイッチ素子に駆
動信号を与え、内燃機関が始動した後は、電機子コイル
の出力電圧対出力電流特性を所期の特性とするべく、発
電機用位置検出信号により検出される発電機用基準励磁
相切替位置に対して所定の制御位相角を有する発電機用
励磁相切替位置でインバータ回路の所定のスイッチ素子
に駆動信号を与える。
【0039】また上記インバータ制御装置は、磁石発電
機として動作させる回転電機の出力を増大させる際に
は、各発電機用回転子磁極部の補極側の部分を通して流
れる磁束を増加させるべく発電機用基準励磁相切替位置
に対して遅れた位置を発電機用励磁相切替位置とし、磁
石発電機として動作させる回転電機の出力を抑制する際
には各発電機用回転子磁極部の補極側の部分を通して流
れる磁束を減少させるべく発電機用基準励磁相切替位置
に対して進んだ位置を発電機用励磁相切替位置とするよ
うに、回転電機により駆動する負荷の大小に応じて制御
位相角を調整するように構成する。
【0040】上記位置検出装置は、磁石回転子とともに
回転するように設けられて、電動機用回転子磁極部に対
応する磁極を有するように着磁された位置検出用磁石
と、位置検出用磁石の磁極を検出して各相の電動機用位
置検出信号を発生する各相の磁気センサと、各相の磁気
センサが発生した電動機用位置検出信号の位相を所定角
遅らせることにより各相の発電機用位置検出信号を得る
発電機用位置検出信号発生手段とにより構成することが
できる。
【0041】上記位置検出装置はまた、磁石回転子とと
もに回転するように設けられて、発電機用回転子磁極に
対応する磁極を有するように着磁された位置検出用磁石
と、該位置検出用磁石の磁極を検出して各相の発電機用
位置検出信号を発生する各相の磁気センサと、各相の磁
気センサが発生した発電機用位置検出信号の位相を所定
角度遅らせることにより各相の電動機用位置検出信号を
得る電動機用位置検出信号発生手段とから構成すること
もできる。
【0042】上記位置検出装置はまた、磁石回転子とと
もに回転するように設けられて電動機用回転子磁極また
は各発電機用回転子磁極に対応する磁極を有するように
着磁された位置検出用磁石と、位置検出用磁石の磁極を
検出して各相の電動機用位置検出信号を発生する各相の
電動機用磁気センサと、位置検出用磁石の磁極を検出し
て各相の発電機用位置検出信号を発生する各相の発電機
用磁気センサとから構成することもできる。
【0043】本発明が適用されるスタータジェネータ
は、固定子の外側を磁石回転子が回転する回転子外転形
(アウタロータ形)に構成されたものでもよく、固定子
の内側を磁石回転子が回転する回転子内転形(インナロ
ータ形)に構成されたものでもよい。
【0044】内燃機関には、一般にフライホイールが取
付けられるため、該フライホイールを利用して磁石回転
子を構成すると機関をコンパクトに構成できる。この場
合、周壁部と該周壁部の軸線方向の一端を閉じる底壁部
と該底壁部の中央に設けられたボス部とを有してボス部
が内燃機関の出力軸に取り付けられるカップ状のフライ
ホイールを用いて、該フライホイールの周壁部の内周に
主極及び補極を取り付けることにより磁石回転子を構成
できる。
【0045】この場合、固定子は、環状の継鉄部から多
数の歯部が放射状に突出した構造を有する多極星形電機
子鉄心と該電機子鉄心の歯部に巻回されてn相回路(n
は2以上の整数)を構成するように結線されたコイル群
からなるn相の電機子コイルとにより構成されて磁石回
転子の内側に配置される。
【0046】図15に示したような従来の回転電機をブ
ラシレス直流電動機として動作させるために電機子電流
を流すと、図17に示したように、電機子電流により生
じる電機子反作用起磁力Bにより回転子磁極の進み側の
領域が増磁作用を受け、遅れ側の領域が減磁作用を受け
る。このとき進み側で増える磁束の量と遅れ側で減少す
る磁束の量とは等しいため、電機子電流が変化しても回
転子磁極全体を通して流れる磁束の量は変化しない。
【0047】これに対して、本発明のように、磁石界磁
の各回転子磁極を磁石からなる主極と強磁性材料からな
る補極とにより構成した場合、図7に示すように流れる
電機子電流により、図8に示したように電機子反作用起
磁力Bが生じ、この起磁力により、各主極よりも回転方
向の進み側(前方側)に位置する補極が各主極と同じ極
性に磁化される。
【0048】そのため、主極と補極とを交互に設けた回
転電機を電動機として動作させた場合には、各主極と各
主極より進み側に位置する隣接の補極とが同じ極性の回
転子磁極として機能する。即ち、各主極と各主極より進
み側に位置する隣接の補極とにより各回転子磁極が構成
される。この場合、各回転子磁極から発生するもともと
の磁束の量は、磁石の量が減少している分、回転子磁極
全体を永久磁石により構成したものに比べて少なくなる
が、電機子反作用起磁力が生じると、補極を通して流れ
る磁束が増加するため、所定の条件を満たした時に回転
子磁極全体を永久磁石により構成した場合に流れる磁束
よりも多くの磁束が流れる。
【0049】また回転子磁極を主極と補極とにより構成
した回転電機をブラシレス直流電動機として動作させる
場合、n相の電機子コイルの励磁相を切り換える励磁相
切替位置により磁束量が変化する。この場合、各回転子
磁極の幾何学的中心位置(周方向の中心位置、図8、図
9に示した原点0の位置)が各相の電機子コイルが巻回
された電機子鉄心の歯部の先端の固定子磁極の幾何学的
中心位置(周方向の中心位置)に一致する位置を電動機
用基準励磁相切替位置として、該基準励磁相切替位置と
励磁相切替位置との間の角度(制御位相角)α(図9参
照)を進み側に増加させると回転子磁極から生じる磁束
量は全体として減少して(磁石界磁が減磁されて)電動
機の出力トルクが低下する。また制御位相角αを遅れ側
に増加させると磁束量が増加して(磁石界磁が増磁され
て)電動機の出力トルクが向上する。
【0050】従って、上記回転電機をブラシレス直流電
動機として動作させる場合には、制御位相角αを遅れ側
に変化させてその大きさを適当に調整することにより、
機関を始動させるために必要にして十分な出力トルクを
得ることができ、機関を支障なく始動させることができ
る。
【0051】上記のように、補極を設けた回転電機をブ
ラシレス直流電動機として動作させた場合、制御位相角
を適当に設定することにより、回転子磁極全体を永久磁
石により構成した同じ大きさのブラシレス直流電動機か
ら得られる出力トルクよりも大きなトルクを得ることが
できるため、回転電機を特に大形にすることなく、内燃
機関始動用電動機としての機能を持たせることができ
る。
【0052】また上記回転電機の回転子の回転方向を変
えることなく、該回転電機を磁石発電機として動作させ
た場合には図10に示すように、電機子電流が流れる方
向が電動機として動作する場合(図7の場合)と逆にな
るため、図11に示すように電機子反作用起磁力Bが生
じ、この起磁力により各主極よりも回転方向の遅れ側に
位置する隣接の補極が各主極と同じ極性に着磁される。
従って、内燃機関が始動した後、上記回転電機を磁石発
電機として動作させる際には、各主極と各主極よりも回
転方向の遅れ側に位置する隣接の補極とにより1つの回
転子磁極が構成される。
【0053】この場合、各回転子磁極の周方向の中心位
置(図11に示した原点0の位置)が各相の電機子コイ
ルが巻回された電機子鉄心の歯部の周方向の中心位置に
一致する位置を発電機用基準励磁相切替位置として、該
発電機用基準励磁相切替位置と実際の励磁相切替位置と
の間の角度(制御位相角)αを回転方向に対して進み側
に変化させると回転子磁極から生じる磁束量は全体とし
て減少して(磁石界磁が減磁されて)磁石発電機の出力
が減少する。また制御位相角αを回転方向に対して遅れ
側に変化させると磁束量が増加して(磁石界磁が増磁さ
れて)磁石発電機の出力が増加する。
【0054】このように、磁石回転子に補極を設けた回
転電機を磁石発電機として動作させる際に、基準励磁相
切替位置に対して所定の制御位相角αだけ進んだ位置を
励磁相切替位置として、インバータ回路のスイッチ素子
をオンオフ制御すると、バッテリからインバータ回路を
通して電機子コイルに流れる電流により生じる電機子反
作用起磁力により、各回転子磁極を増磁して、磁石発電
機の出力を増加させることができる。従って、上記回転
電機が機関始動用電動機としての機能を果たすように、
低抵抗、低インダクタンスを有するように電機子コイル
が巻回されていても、該回転電機を磁石発電機として動
作させる際には、該発電機から十分に大きな出力を発生
させて、機関の低回転領域からバッテリに充電電流を供
給することができる。
【0055】なお、上記の説明では、回転子磁極の幾何
学的中心位置と電機子鉄心の歯部の先端の固定子磁極の
幾何学的中心位置とが一致する位置を基準励磁相切替位
置としたが、必ずしもこのように基準励磁相切替位置を
決める必要はなく、回転子磁極の幾何学的中心位置と電
機子鉄心の歯部の先端の固定子磁極の幾何学的中心位置
との間の関係が設定された関係になる位置を基準励磁相
切替位置とすることができる。
【0056】ただし、制御を容易にするためには、電機
子反作用起磁力により増磁作用を受ける領域と減磁作用
を受ける領域との境界位置を基準励磁相切替位置として
定めるのが好ましい。本発明で用いる回転電機のように
磁石界磁に高透磁率材料からなる補極が設けられている
場合には、該補極の部分が磁石の部分(主極部分)より
多く電機子反作用起磁力の影響を受けるため、電機子反
作用起磁力により増磁作用を受ける領域と減磁作用を受
ける領域との境界位置は、回転子磁極の幾何学的中心位
置と電機子鉄心の歯部の先端の固定子磁極の幾何学的中
心位置とが一致する位置よりも補極側に寄った位置とな
る。
【0057】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係わるスタータジ
ェネレータの構成を示したもので、同図において1は内
燃機関のクランク軸に取り付けられたカップ状のフライ
ホイール101と、フライホイール101に取り付けら
れた主極P1 及びP2 と補極Pa及びPbとを有して、
主極と補極とをフライホイールの周方向に交互に並べた
構成を有する磁石回転子であり、この磁石回転子1と固
定子2とによりブラシレス直流電動機及び磁石発電機と
して動作する回転電機が構成されている。
【0058】フライホイール101は、周壁部101a
と底壁部と該底壁部の中央に設けられたボス部101b
とを有していて、ボス部101bが機関のクランク軸に
取り付けられる。
【0059】主極P1 及びP2 は円弧状に形成された極
弧角が等しい永久磁石からなっていて、これらの主極
は、180度の角度間隔をもって配置されてフライホイ
ールの周壁部101aの内周に接着などにより固定され
ている。主極P1 及びP2 をそれぞれ構成する永久磁石
は、それぞれの内周側にN極及びS極が現れるようにそ
れぞれの磁化の方向を異ならせて回転子の径方向に着磁
されている。
【0060】補極Paは、主極P1 の回転方向(図示の
矢印CL方向)の前端部と主極P2の回転方向の後端部
との間のスペースの中央部に配置され、補極Pbは主極
P1の回転方向の後端部と主極P2 の回転方向の前端部
との間のスペースの中央部に配置されている。補極Pa
及びPbは、主極P1 及びP2 の対向方向に対して90
度離れた位置に、互いに180度の角度間隔をもって配
置されている。補極Pa及びPbは主極を構成する永久
磁石よりも透磁率が高い強磁性材料からなっている。
【0061】本発明に係わるスタータジェネレータで用
いる磁石回転子では、各主極の両側に補極が対称に配置
されていて、各主極とその隣接の1つの補極とにより電
動機用の回転子磁極または発電機用回転子磁極が構成さ
れる。
【0062】即ち、図1に示した回転電機を始動用電動
機として動作させる際には、図7に示すように流れる電
機子電流により、図8に示したように、電機子反作用起
磁力Bが生じ、この起磁力により、各主極よりも回転方
向の進み側(前方側)に位置する補極が各主極と同じ極
性に磁化される。
【0063】そのため、回転電機を電動機として動作さ
せた際には、各主極と各主極より進み側に位置する隣接
の補極とが同じ極性の磁極として機能する。即ち、図2
に示したように、主極P1 と該主極P1 よりも磁石回転
子の回転方向の前方側(進み側)に位置する1つの補極
Paとが1つの電動機用回転子磁極m11として働き、主
極P2 と該主極P2 よりも磁石回転子の回転方向の進み
側(前方側)に位置する1つの補極Pbとが、他の1つ
の電動機用回転子磁極m12として働く。
【0064】また内燃機関が始動した後、図示の回転電
機を磁石発電機として動作させる際には、図10に示す
ように電機子電流が流れる方向が電動機として動作する
場合(図7の場合)と逆になるため、図11に示すよう
に電機子反作用起磁力Bが生じ、この起磁力により各主
極よりも回転方向の遅れ側に位置する隣接の補極が各主
極と同じ極性に着磁される。従って、上記回転電機を磁
石発電機として動作させる際には、主極P1 よりも磁石
回転子の回転方向の遅れ側(後方側)に位置する1つの
補極Pbが電機子反作用起磁力により主極P1 と同極性
に磁化されるため、これらの主極P1 及び補極Pbが1
つの発電機用回転子磁極m21として働く。また主極P2
よりも磁石回転子の回転方向の遅れ側(後方側)に位置
する1つの補極Paが電機子反作用起磁力により主極P
2 と同極性に磁化されるため、該主極P2 及び補極Pa
が他の1つの発電機用回転子磁極m22として働く。
【0065】磁石回転子1とともに回転電機を構成する
固定子2は、磁石回転子1の内側に配置されて機関のケ
ース等に設けられた固定子取付け用台板に固定される。
図示の固定子2は、環状の継鉄部201aから3つの歯
部201u〜201wを放射状に突出させた3極の電機
子鉄心201と、3極の電機子鉄心201の歯部201
u〜201wにそれぞれ巻回された3相の電機子コイル
Lu〜Lwとからなっている。
【0066】図1において3はインバータ回路で、この
インバータ回路は、3相ブリッジ接続された6個のオン
オフ制御が可能なスイッチ素子Qu〜Qw及びQx〜Q
zからなるスイッチ回路と、3相ブリッジ接続された6
個のダイオードDu〜Dw及びDx〜Dzからなるダイ
オードブリッジ全波整流回路とからなっている。
【0067】更に詳述すると、スイッチ回路は、一端が
共通接続されたブリッジの上辺のスイッチ素子Qu〜Q
wと、一端が上辺のスイッチ素子Qu〜Qwの他端にそ
れぞれ接続されて他端が共通接続されたブリッジの下辺
のスイッチ素子Qx〜Qzとからなっている。上辺のス
イッチ素子Qu〜Qwの他端と下辺のスイッチ素子Qx
〜Qzとのそれぞれの接続点がU相ないしW相の交流側
端子3u〜3wとなっていて、U相ないしW相の交流側
端子にそれぞれ3相星形結線されたU相ないしW相の電
機子コイルLu〜Lwの非中性点側の端子が接続されて
いる。また上辺のスイッチ素子Qu〜Qwの一端の共通
接続点及び下辺のスイッチ素子Qx〜Qzの他端の共通
接続点がそれぞれ正極側及び負極側の対の直流側端子3
p及び3nとなっていて、正極側直流端子3p及び負極
側直流端子3n間にそれぞれバッテリ4と平滑用コンデ
ンサ5とが並列に接続されている。バッテリ4には、内
燃機関用点火装置や、ランプなどの図示しない負荷が接
続される。
【0068】図示の例では、各スイッチ素子がMOSF
ETからなっていて、ブリッジの上辺のスイッチ素子Q
u〜Qwをそれぞれ構成するFETはそれぞれのドレイ
ンが共通接続されてバッテリ4の正極端子に接続されて
いる。またブリッジの下辺のスイッチ素子Qx〜Qzを
それぞれ構成するFETはそれぞれのドレインが上辺の
スイッチ素子Qu〜Qwを構成するFETのソースに接
続されるとともに、それぞれのソースが共通接続さて、
バッテリ4の負極端子に接続されている。バッテリ4の
両端には平滑用コンデンサ5が接続されている。
【0069】フライホイール1のボス部101bの外周
には、電動機用回転子磁極m11,m12にそれぞれ対応す
る磁極を有するように着磁された位置検出用磁石10が
取り付けられている。図示の例では、位置検出用磁石1
0が半円弧状の2個の永久磁石10a及び10bからな
っていて、これらの永久磁石は、それぞれの外周側にN
極及びS極が現れるように、磁化の方向を異ならせてフ
ライホイールの径方向に着磁され、磁石10a及び10
bの着磁領域の中心位置がそれぞれ電動機用回転子磁極
m11及びm12の中心位置に一致させられている。
【0070】電機子鉄心201の継鉄部201aの内周
寄りの部分に、3相の電機子コイルLu〜Lwのそれぞ
れに対応する位置検出器6u〜6wが120度の角度間
隔をもって取り付けられている。位置検出器6u〜6w
はホールICからなっていて、位置検出用磁石10の磁
極を検出して、検出している磁極の極性に応じて異なる
レベルをとる電圧信号を電動機用位置検出信号Hu〜H
wとして出力する。
【0071】この例では、内燃機関の始動時に、バッテ
リ4からインバータ回路3のスイッチ素子を通して3相
の電機子コイルに駆動電流を流して発電機をブラシレス
直流電動機として動作させる際に、各相の電機子コイル
に流す駆動電流の通電角を電気角で180度とする18
0度スイッチング制御を行うものとする。そのため、図
示の例では、180度スイッチング制御を行う場合の位
置検出器の普通の配置の仕方に倣って、各相の位置検出
器は、対応する相の電機子コイルが巻回された電機子鉄
心の複数の歯部のうちのいずれか1つの歯部の先端の磁
極の中心位置よりも電気角で90度位相が進んだ位置に
配置されて、位置検出用磁石10の磁極の極性を検出す
ることにより、各相の電機子コイルが巻かれた歯部の磁
極部の中心位置に磁石界磁の各磁極の中心位置が一致し
た状態になる位置を各相の基準励磁相切替位置として検
出する。
【0072】位置検出器6u〜6wがそれぞれ発生する
電動機用位置検出信号Hu〜Hwは、回転電機をブラシ
レス直流電動機として動作させる際の基準励磁相切替位
置の情報を含む波形の信号であればよいが、位置検出器
としてホールICを用いた場合、該ホールICは、検出
している磁極の極性がN極のときとS極のときとで異な
るレベルの信号を発生するので、位置検出信号の波形は
矩形波状の波形になり、該矩形波状の位置検出信号の立
上り位置及び立下がり位置がそれぞれ基準励磁相切替位
置になる。
【0073】図1及び図2に示した状態は、位置検出器
6uが位置検出用磁石10のN極の終端部(回転方向の
後方側に位置する端部)を検出してその出力信号のレベ
ルを変化させる瞬間を示している。この信号のレベル変
化により、U相の電機子コイルLuが巻かれた歯部20
1uの磁極部の中心位置に磁石界磁の磁極m11の中心位
置が一致した状態になったこと(回転子の回転角度位置
が回転電機を電動機として動作させる際のU相の基準励
磁相切替位置に一致したこと)を検出する。
【0074】7はマイクロコンピュータや論理回路など
を用いて構成されるスイッチ制御装置で、このスイッチ
制御装置は、位置検出器6u 〜6w がそれぞれ出力する
位置検出信号Hu〜Hwが入力される入力端子と、スイ
ッチ素子Qu〜Qw及びQx〜Qzのそれぞれの制御端
子(図示の例ではMOSFETのゲート)に与える駆動
信号Su〜Sw及びSx〜Szを出力する出力端子とを
有していて、内燃機関の始動時に内燃機関を始動させる
方向に磁石回転子1を回転せるために必要な極性の駆動
電流をバッテリ4からインバータ回路3を通して電機子
コイルLu〜Lwに流すべく、位置検出器6u〜6wに
より3相の電機子コイルLu〜Lwに対して検出された
基準励磁相位置を基にして決定した励磁相切替位置でイ
ンバータ回路3のスイッチ回路の所定のMOSFET
(スイッチ素子)に駆動信号を与える。
【0075】また図示の例では、位置検出器6u〜6w
がそれぞれ位置検出信号Hu〜Hwを発生したときに計
時動作を開始するU相ないしW相用の位置検出信号発生
用タイマ11u〜11wが設けられていて、U相ないし
W相用の位置検出信号発生用タイマ11u〜11wが電
動機用回転子磁極m11及びm12と発電機用回転子磁極m
21及びm22との間の位相差θ(図2参照)に相当する時
間(回転子の回転速度により異なる)を計時したときに
それぞれU相ないしW相の発電機用位置検出信号hu〜
hwを発生するようになっている。各相の発電機用位置
検出信号は、磁石回転子1の各主極と各主極よりも磁石
回転子の回転方向の後方側に配置された隣接の補極とか
らなる各発電機用回転子磁極の中心位置と、各相の電機
子コイルが巻回されている電機子鉄心の歯部の先端の磁
極部の中心位置とが一致した状態になる各相の発電機用
基準励磁相切替位置の情報を含む信号である。
【0076】この例では、U相ないしW相用の位置検出
信号発生用タイマ11u〜11wにより、3相の位置検
出器6u〜6wが発生した電動機用位置検出信号の位相
を所定角遅らせることにより各相の発電機用位置検出信
号を得る発電機用位置検出信号発生手段が構成され、こ
の発電機用位置検出信号発生手段と、位置検出用磁石1
0a,10bと、位置検出器6u〜6wとにより位置検
出装置が構成されている。
【0077】図1及び図2のように3相の位置検出器6
u〜6wがそれぞれU相ないしW相の電機子コイルが巻
回された歯部Pu〜Pwの磁極部の中心位置に対して電
気角で90度進んだ位置に取り付けられている場合、位
置検出器がN極を検出したときに高レベルの信号を出力
するものとすると、位置検出器6u〜6wがそれぞれ発
生する電動機用位置検出信号Hu〜Hwの波形は、図5
の(A)〜(C)のように電気角で120度の位相差を
もって順次発生する矩形波状の波形になる。電動機用位
置検出信号Hu〜Hwのそれぞれの立上り位置及び立下
がり位置がそれぞれ、回転電機を始動用電動機(ブラシ
レス直流電動機)として運転する際のU相ないしW相の
基準励磁相切替位置となる。
【0078】この例では、スイッチ回路を構成する各ス
イッチ素子を電気角で180度の期間オン状態にし、残
りの180度の期間をオフ状態にするように各スイッチ
素子のオンオフ制御(180度スイッチング制御)を行
わせる。この場合、例えば図5(D)ないし(I)のよ
うに、スイッチ素子Qu〜Qw及びQx〜Qzの基準の
スイッチングパターンを定める。
【0079】図5(D)ないし(I)はスイッチ素子Q
u〜Qw及びQx〜Qzにそれぞれ与えられる駆動信号
Su〜Sw及びSx〜Szの波形で示したもので、図5
(D)ないし(I)にそれぞれ示された高レベルの矩形
波信号が駆動信号Su〜Sw及びSx〜Szである。こ
れらの駆動信号Su〜Sw及びSx〜Szが発生してい
る期間がそれぞれスイッチ素子Qu〜Qw及びQx〜Q
zの駆動期間であり、駆動信号Su〜Sw及びSx〜S
zが発生していない期間がスイッチ素子Qu〜Qw及び
Qx〜Qzの非駆動期間である。
【0080】図5に示した180度スイッチング制御の
基準スイッチパターンにおいては、U相ないしW相の電
機子コイルLuないしLwに対してそれぞれ磁石回転子
の回転角度位置を検出する位置検出器6uないし6wか
ら得られる位置検出信号HuないしHwがそれぞれ高レ
ベルになっている期間(それぞれの位置検出器が磁石界
磁の一方の磁極を検出している期間)をブリッジの上辺
の対応するスイッチ素子QuないしQwの非駆動期間と
し、位置検出信号HuないしHwがそれぞれ低レベルに
なっている期間をブリッジの上辺の対応するスイッチ素
子QuないしQwの駆動期間とする。またスイッチ回路
のブリッジの上辺のスイッチ素子QuないしQwのそれ
ぞれの非駆動期間(位置検出器6uないし6wがそれぞ
れ磁石界磁の他方の磁極を検出している期間)をブリッ
ジの下辺の対応するスイッチ素子QxないしQzの駆動
期間とし、ブリッジの上辺のスイッチ素子QuないしQ
wの駆動期間をそれぞれブリッジの下辺の対応するスイ
ッチ素子QxないしQzの非駆動期間とする。
【0081】図5(D)ないし(I)に示したような基
準スイッチパターンでスイッチ素子Qu〜Qw及びQx
〜Qzをオンオフさせると、磁石回転子の回転により電
機子コイルLu〜Lwに誘起させられる電圧(発電機と
しての誘起電圧)と同位相の交流電圧がバッテリ4から
スイッチ素子Qu〜Qw及びQx〜Qzにより構成され
たスイッチ回路を通して電機子コイルLu〜Lwに印加
される。
【0082】図1に示したスタータジェネレータでは、
内燃機関の始動時に、スイッチ制御装置7が、所定の基
準励磁相切替位置または該基準励磁相切替位置に対して
制御位相角αを有する所定の励磁相切替位置でインバー
タ回路3のスイッチ素子Qu〜Qw及びQx〜Qzにそ
れぞれ駆動信号Su〜Sw及びSx〜Szを与えて、電
機子コイルLu〜Lwに所定の相順で転流する駆動電流
を流す。これにより磁石発電機をブラシレス直流電動機
として動作させて磁石回転子1を回転させ、機関の出力
軸を始動方向に回転させる。
【0083】内燃機関が始動した後は、回転電機を磁石
発電機として運転して、該発電機から得られる出力によ
りバッテリ4を充電する。回転電機を磁石発電機として
動作させる際には、電機子コイルの出力電圧対出力電流
特性を所期の特性とするべく、位置検出装置により検出
された発電機用の基準励磁相切替位置または該基準励磁
相切替位置に対して所定の制御位相角を有する発電機用
の励磁相切替位置でインバータ回路3の所定のスイッチ
素子に駆動信号を与えることにより、バッテリ4側から
電機子コイルLu〜Lwに制御電流を流し、この制御電
流により生じる制御用起磁力によって、電機子コイルL
u〜Lwに鎖交する磁束の量を増加または減少させるこ
とにより、発電機の出力を調整する。
【0084】ここで、本発明の原理の理解を容易にする
ため、磁石界磁を備えた回転電機の電機子反作用につい
て説明する。
【0085】図15に示された従来のスタータジェネレ
ータにおいて、基準励磁相切替位置で電機子コイルの励
磁相を切り替えながら電機子電流を流すことにより回転
電機をブラシレス直流電動機として動作させた場合、電
機子電流により、図17に示すように電機子反作用起磁
力Bが生じる。この起磁力Bは回転子磁極の極間の中間
軸の位置で最大値−F及びFをとる。この電機子反作用
起磁力により、回転子磁極の回転方向の進み側の半部で
は増磁作用が生じ、遅れ側の半部では減磁作用が生じ
る。ここで、回転子磁極の周方向の中心を原点0にと
り、回転子磁極の回転方向の遅れ側の端部位置及び進み
側の端部位置をそれぞれ−θ1 及びθ1 とすると、増磁
側の電機子反作用平均起磁力B1 は、 B1 ={θ1 /(π/2)}F×(1/2)=θ1 F/π …(1) また減磁側の電機子反作用平均起磁力B2 は、 B2 ={−θ1 /(π/2)}F×(1/2)=−θ1 F/π …(2) で与えられる。ここで回転子磁極を構成する磁石から生
じる全磁束をΦ、磁石のパーミアンスをPm とすると、
回転子磁極の増磁作用を受ける半部を流れる磁束Φ1 及
び減磁作用を受ける半部を流れる磁束Φ2 は下記の式に
より与えられる。 Φ1 =(Φ/2)+(Pm /2)(θ1 F/π) …(3) Φ2 =(Φ/2)−(Pm /2)(θ1 F/π) …(4) (3)式及び(4)式より、回転子磁極を通して流れる
全磁束Φo は、Φo =Φ1 +Φ2 =Φとなり、回転子磁
極全体の磁束量は変化しない。即ち、回転子磁極全体が
永久磁石からなる磁石界磁を備えた回転電機では、電機
子反作用起磁力による増磁分と減磁分とがバランスする
ため、電機子電流が流れても回転子磁極を通して流れる
磁束の総量は変化しない。
【0086】これに対し、図1に示したように補極を備
えた回転電機をブラシレス直流電動機として動作させた
場合には、図8及び図12に示すように電機子反作用起
磁力Bが生じ、各主極よりも進み側に位置する補極が各
主極と同極性に磁化される。このように、回転子磁極の
一部を補極により構成した場合、回転子磁極の周方向の
中心から主極の補極側の端部までの角度をθ3 、補極の
主極側の端部までの角度をθ2 とすると、磁石の増磁側
部分に作用する電機子反作用平均起磁力は下記の(5)
式のようになる。
【0087】 {θ3 /(π/2)}F×(1/2)=θ3 F/π …(5) また磁石の増磁作用を受ける部分のパーミアンスは、 (Pm /2)×(θ3 /θ1 ) …(6) 磁石の増磁側の部分を通して流れる磁束は、 (Pm /2)(θ3 /θ1 )×(θ3 /π)F …(7) となり、補極に作用する電機子反作用平均起磁力は、 [{(θ1 +θ2 )/2}/(π/2)] =(θ1 +θ2 )F/π …(8) となる。ここで補極のパーミアンスをPH とすると、電
機子反作用起磁力により補極を通して流れる磁束は、 PH {(θ1 +θ2 )/π}F …(9) また磁石の増磁作用を受ける部分を流れる磁束は、回転
子磁極全体を磁石により構成した場合に該磁石から生じ
る磁束をΦとすると、 (Φ/2)×(θ3 /θ1 ) …(10) で与えられる。
【0088】(7)式、(9)式及び(10)式を加え
て、回転子磁極の増磁作用を受ける半部を通して流れる
磁束Φ1 を求めると、 Φ1 =(Φ/2)×(θ3 /θ1 ) +(Pm /2)(θ3 /θ1 )×(θ3 /π)F +PH (θ1 +θ2 )F/π …(11) また回転子磁極の電機子反作用起磁力により減磁作用を
受ける部分を通して流れる磁束Φ2 は、 Φ2 =(Φ/2)−(Pm /2)(θ1 /π)F …(12) (11)式及び(12)式から回転子磁極を通して流れ
る全磁束Φo を求めると、 Φo =Φ1 +Φ2 =Φ(θ1 +θ3 )/(2θ1 ) −Pm (θ1 +θ3 )/(2θ1 )(F/π)(θ1 −θ3 ) +PH (F/π){(θ1 +θ2 )} …(13) (13)式の第1項及び第2項の部分は、図6の直線a
のように、電機子電流が大きくなるに従って小さくなっ
ていくが、第3項は、図6の曲線bのように電機子電流
の増加に伴って大きくなっていく。回転子磁極全体を通
して流れる磁束は図6の曲線cのようになる。回転子磁
極の一部を補極により構成した場合には、磁石の容積が
小さくなるため、回転子磁極全体を流れる磁束の量は少
ない[回転子磁極全体を磁石により形成した場合の(θ
1 +θ3 )/(2θ1 )倍]が、(13)式の第2項と
第3項との和がΦ×(θ1 −θ3 )/(2θ1 )以上に
なると、回転子磁極全体を磁石により構成した場合に磁
石から生じる磁束Φよりも多くの磁束が流れるようにな
る。これは、電機子反作用起磁力により、補極の部分を
通して磁束が流れ易いことによる。なお図6の縦軸の磁
束量は、電機子電流が零の場合の磁束量に対する比率と
して示してある。
【0089】次に、図15に示した、補極を持たない回
転電機をブラシレス直流電動機として動作させる場合
に、図18に示すように、励磁相切替位置を基準励磁相
切替位置から制御位相角αだけ進ませた場合を考える。
このとき回転子磁極の増磁側の部分を通して流れる磁束
の量Φ1 は、 Φ1 =Φ×(θ1 −α)/(2θ1 )+{Pm (θ1 −α)/(2θ1 )}× {(θ1 −α)/π}F …(14) また回転子磁極の減磁側の部分を通して流れる磁束の量
Φ2 は、下記の式で与えられる。
【0090】 Φ2 =Φ×(θ1 +α)/(2θ1 )−{Pm (θ1 +α)/(2θ1 )}× {(θ1 +α)/π}F …(15) 従って、全磁束ΦA は、 ΦA =Φ1 +Φ2 =Φ−Pm F(2α/π) …(16) 制御位相角αが正の場合(励磁相切替位置を基準励磁相
切替位置よりも進ませた場合)、(16)式の第2項は
減磁量として働く。また制御位相角αを負とした場合
(励磁相切替位置を基準励磁相切替位置よりも遅らせた
場合)、(16)式の第2項は増磁量として働く。従っ
て、ブラシレス直流電動機では、制御位相角を進めると
出力トルクが低くなり、制御位相角を遅らせると出力ト
ルクが高くなる。
【0091】次に本発明で用いる回転電機のように、回
転子磁極の一部を補極で置き換えた場合に、図9に示す
ように励磁相切替位置を基準励磁相切替位置よりも制御
位相角αだけ進ませた場合を考える。このとき、磁石の
増磁作用を受ける部分を通して流れる磁束は、下記の式
で与えられる。
【0092】 {Pm (θ3 −α)/(2θ1)}{F/(π/2)}{(θ3 −α)/2} =Pm {(θ3 −α)/(2θ1)}{(θ3 −α)/π}F …(17) また磁石の減磁作用を受ける部分を通して流れる磁束は
下記の式で与えられる。 {Pm (θ1 +α)/(2θ1)}{F/(π/2)}{(θ1 +α)/2} =Pm {(θ1 +α)/(2θ1)}{(θ1 +α)/π}F …(18) 従って、回転子磁極全体を通して流れる磁束ΦA は、 ΦA ={Φ(θ1 +θ3)/(2θ1)}− Pm{(θ1 +θ3)/(2θ1)}(F/π)(θ1 −θ3 +2α)+ PH (F/π)[{(θ1 +θ2)/2}−α] …(19) (19)式において、制御位相角αを正とすると(励磁
切替位置を基準励磁切替位置よりも進ませると)、制御
位相角αに係わる項は減磁量として働き、電機子電流の
増大に伴って回転子磁極を通して流れる磁束の量が減少
する。
【0093】また(19)式において制御位相角αを負
とすると(励磁相切替位置を基準励磁相切替位置に対し
て遅らせると)、(19)式の制御位相角αに係わる項
が増磁量として働き、電機子電流の増大に伴って回転子
磁極を通して流れる磁束の量が増加する。
【0094】補極が設けられた回転電機を磁石発電機と
して動作させた場合には、電機子電流の向きが電動機の
場合とは逆になるため、電機子反作用起磁力Bは図11
及び図13(B)に示すようになって、各主極よりも遅
れ側に位置する補極が各主極と同極性に磁化され、各主
極と各主極より遅れ側に位置する補極とが1つの回転子
磁極として働く。このとき回転子磁極を通して流れる全
磁束ΦA は、下記の式で与えられる。
【0095】 ΦA ={Φ×(θ1 +θ3)/(2θ1)}− {Pm(θ1 +θ3)/(2θ1)}(FG /π)(θ1 −θ3)+ PH (FG /π){(θ1 +θ2)/2} …(20) 本発明においては、このように回転電機を磁石発電機と
して動作させる際に、インバータ回路3を制御すること
により、バッテリ4側からインバータ回路3を通して電
機子コイルLu〜Lwに制御電流を流して、該制御電流
により図13(C)に示すように制御用起磁力Bcを発
生させる。このように回転電機を発電機として動作させ
る際に、バッテリから電機子コイルに制御電流を流して
制御用起磁力Bcを発生させるようにすると、該制御用
起磁力Bcを発生させる位相により、回転子磁極を通し
て流れる磁束の量を制御して発電機の出力特性を調整す
ることができる。
【0096】即ち、回転電機を磁石発電機として動作さ
せる際に、図13(C)に示すように制御位相角αを負
として、回転子磁極の幾何学的中心位置(基準励磁相切
替位置)よりも所定の位相角αだけ補極寄りの(遅れ側
の)位置で電機子コイルの励磁相を切り換えてバッテリ
から電機子コイルに制御電流を流すようにインバータ回
路3を制御すると、制御用起磁力による増減磁は、図1
5に示した磁石発電機と同様にバランスした状態にな
り、バッテリ4から電機子電流に流す制御電流の増減に
よっては発電機出力が変化しない中立状態になる。この
ように中立状態が得られる励磁相切替位置が回転子磁極
の幾何学的中立位置よりも遅れ側に位置するのは、補極
部分の方が主極部分よりも電機子反作用の影響を受けや
すいことによる。
【0097】また制御電流を流す際の励磁相切替位置を
上記中立状態が得られる位置より遅らせると、制御用起
磁力により補極部分を通して流れる磁束の量が増加する
ため、回転子磁極を通して流れる磁束の総量を増加させ
て、発電機出力を増加させることができる。また制御電
流を流す際の励磁相切替位置を上記中立状態が得られる
位置より進ませると、制御用起磁力により補極部分を通
して流れる磁束の量が減少するため、発電機出力を抑制
することができる。
【0098】従って、内燃機関が始動した後、回転電機
を磁石発電機として動作させる際に、制御位相角を遅れ
側に設定することにより、磁石発電機の出力を増加させ
て、機関の低速回転領域からバッテリの充電を開始させ
ることができる。また機関の高速回転時には、制御位相
角を進み側に設定することにより、発電機の出力を抑制
して、バッテリの過充電を防ぐことができる。
【0099】なお補極が設けられていない場合でも、制
御用起磁力を生じさせることにより発電機出力を調整で
きるが、補極が設けられている場合には、制御用起磁力
により該補極の部分を通してより多くの磁束を流すこと
ができるため、制御電流の変化分に対する発電機出力の
制御量を多くして、発電機出力の制御を容易にすること
ができる。
【0100】上記のように、本発明によれば、始動用電
動機及び磁石発電機として動作させる回転電機として補
極を備えた構造のものを用いて、始動の際には、電機子
反作用による増磁効果を活かすことにより高トルクを発
生させて機関の始動を容易にし、また機関が始動した
後、回転電機を磁石発電機として動作させる際には、バ
ッテリからインバータ回路を通して電機子コイルに制御
電流を流すことにより発電機出力を大幅に増加させて、
機関の低速回転領域からバッテリの充電を開始させるこ
とができる。また機関の高速時には、制御電流の位相角
を調整することにより発電機出力を抑制してバッテリの
過充電が生じるのを防ぐことができる。
【0101】図3は本発明に係わるスタータジェネレー
タの他の構成例を示し、図4は図3のスタータジェネレ
ータの本体部分の構成を示している。この例では、電機
子鉄心201の内周部に、位置検出用磁石10の磁極を
検出してU相、V相及びW相の電動機用位置検出信号H
u,Hv及びHwをそれぞれ発生するU相ないしW相の
電動機用位置検出器6u,6v及び6wと、位置検出用
磁石10の磁極を検出してU相ないしW相の発電機用位
置検出信号hu,hv及びhwを発生するU相ないしW
相の発電機用位置検出器8u,8v及び8wとが取り付
けられ、電動機用位置検出信号Hu〜Hw及び発電機用
位置検出信号hu〜hwがスイッチ制御装置7に入力さ
れている。その他の点は図1に示したスタータジェネレ
ータと同様である。発電機用位置検出器8u〜8wはそ
れぞれ、電動機用回転子磁極m11及びm12と発電機用回
転子磁極m21及びm22との間の位相差θだけ、電動機用
位置検出器6u〜6wよりも遅れた位置(磁石回転子の
回転方向の前方側)に配置されている。
【0102】図1に示した例では、電動機用位置検出器
6u〜6wから得られた電動機用位置検出信号を基にし
てタイマにより発電機用位置検出信号を得るようにした
が、図3に示した例では、電動機用位置検出器6u〜6
w及び発電機用位置検出器8u〜8wからそれぞれ直接
電動機用位置検出信号及び発電機用位置検出信号を得る
ことができるため、発電機の出力を制御する場合に磁石
回転子の位置を遅滞なく検出して発電機出力の制御を高
精度で行うことができる。
【0103】上記の例では、電機子コイルが3相回路を
構成するように結線されているが、本発明は、一般に電
機子コイルをn相(nは2以上の整数)の回路を構成す
るように結線する場合に適用することができる。電機子
コイルをn相に結線する場合には、電機子鉄心の歯部の
数をn×m(mは1以上の整数)とし、磁石回転子の磁
石界磁の極数は2×mとする。
【0104】上記の例では、インバータ回路3の整流回
路部分を構成するためにダイオードDu〜Dw及びDx
〜Dzを設けているが、これらのダイオードとしては、
MOSFETの構造上そのドレインソース間に形成され
る寄生ダイオードを用いることもできる。
【0105】またインバータ回路3のスイッチ回路を構
成するスイッチ素子はMOSFETに限られるものでは
なく、トランジスタやIGBT(絶縁ゲート型バイポー
ラトランジスタ)などのオンオフ制御が可能な他のスイ
ッチ素子を用いることもできる。
【0106】上記の例では、各相の電機子コイルに駆動
電流が流れた際に該電機子コイルに誘起する無負荷誘起
電圧がピークに達する位置(各相の電機子コイルが巻回
された歯部を流れる磁束が零点を通過する位置)の前後
90度(電気角)の区間各相の電機子コイルに電流を流
す180度スイッチング制御を行うことにより、機関を
始動する際にジェネレータをブラシレス直流電動機とし
て運転するようにしたが、本発明は、このように180
度スイッチング制御を行う場合に限定されるものではな
く、例えば、各相の電機子コイルに駆動電流が流れた際
に該電機子コイルに誘起する無負荷誘起電圧がピークに
達する位置の前後60度(電気角)の区間各相の電機子
コイルに電流を流す120度スイッチング制御を行うこ
とにより、電動機としての動作を行わせるようにしても
よい。
【0107】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、始動用
電動機及び磁石発電機として動作させる回転電機として
補極を備えた構造のものを用いて、始動の際には、電機
子反作用による増磁効果を活かすことにより高トルクを
発生させて機関の始動を容易にし、また機関が始動した
後、回転電機を磁石発電機として動作させる際には、バ
ッテリからインバータ回路を通して電機子コイルに制御
電流を流すことにより発電機出力を大幅に増加させて、
機関の低速回転領域からバッテリの充電を開始させるこ
とができる。また機関の高速時には、制御電流の位相角
を調整することにより、発電機出力を抑制してバッテリ
の過充電が生じるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるスタータジェネレータの構成例
を示した構成図である。
【図2】図1のスタータジェネレータの要部の構成を示
す拡大正面図である。
【図3】本発明に係わるスタータジェネレータの他の構
成例を示した構成図である。
【図4】図3のスタータジェネレータの要部の構成を示
した拡大正面図である。
【図5】図1のスタータジェネレータの各部の信号波形
を示した波形図である。
【図6】図1のスタータジェネレータの回転子磁極を流
れる磁束と電機子電流との関係を説明するための線図で
ある。
【図7】図1のスタータジェネレータを電動機として運
転した際に流れる電機子電流により電機子反作用起磁力
が生じる様子を示した説明図である。
【図8】図1のスタータジェネレータをブラシレス直流
電動機として運転した際に生じる電機子反作用起磁力と
磁石回転子の界磁との関係を説明するための説明図であ
る。
【図9】図1のスタータジェネレータを所定の制御位相
角をもたせて励磁相を切り替えつつブラシレス直流電動
機として動作させた際に生じる電機子反作用起磁力と磁
石回転子の界磁との関係を説明するための説明図であ
る。
【図10】図1のスタータジェネレータを磁石発電機と
して運転した際に流れる電機子電流により電機子反作用
起磁力が生じる様子を示した説明図である。
【図11】図1のスタータジェネレータを磁石発電機と
して運転した際に生じる電機子反作用起磁力と回転子の
界磁との関係を説明するための説明図である。
【図12】図1のスタータジェネレータを電動機として
運転した際に生じる電機子反作用起磁力と回転子磁極と
の関係を示した線図である。
【図13】図1のスタータジェネレータを発電機として
動作させた際に生じる電機子反作用起磁力と制御用起磁
力とを示した線図である。
【図14】内燃機関始動用電動機を発電機として動作さ
せた場合に得られる出力対回転数特性及びバッテリ充電
用発電機として要求される出力対回転数特性を示した線
図である。
【図15】従来のスタータジェネレータの構成を示した
構成図である。
【図16】図15のスタータジェネレータを電動機とし
て運転した際に流れる電機子電流により電機子反作用起
磁力が生じる様子を示した説明図である。
【図17】図15のスタータジェネレータを電動機とし
て運転した際に生じる電機子反作用起磁力と回転子の界
磁との関係を説明するための説明図である。
【図18】図15のスタータジェネレータを所定の制御
位相角を持たせて励磁相を切替ながら電動機として駆動
した際に生じる電機子反作用起磁力と回転子の界磁との
関係を説明するための説明図である。
【図19】図15のスタータジェネレータを発電機とし
て運転した際に流れる電機子電流により電機子反作用起
磁力が生じる様子を示した説明図である。
【図20】図15のスタータジェネレータを発電機とし
て運転した際に生じる電機子反作用起磁力と回転子の界
磁との関係を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1…磁石回転子、101…フライホイール、2…固定
子、201…電機子鉄心、6u〜6w…位置検出器、7
…スイッチ制御装置、8u〜8w…位置検出器、P1 ,
P2 …永久磁石からなる主極、Pa,Pb…永久磁石よ
りも透磁率が高い強磁性材料からなる補極、Lu〜Lw
…電機子コイル、Hu〜Hw…電動機用位置検出信号、
hu〜hw…発電機用位置検出信号。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−101883(JP,A) 特開 平10−225050(JP,A) 特開 平1−227648(JP,A) 特開 昭60−219951(JP,A) 特開 昭59−86464(JP,A) 特開 平8−116699(JP,A) 特開 昭63−117647(JP,A) 実開 昭61−205240(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 6/20 F02N 11/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2m個(mは1以上の整数)の回転子磁
    極を有する磁石界磁を備えて内燃機関のクランク軸に取
    り付けられる磁石回転子と、周方向に並ぶ多数の歯部を
    有する電機子鉄心と該電機子鉄心の歯部に巻回されてn
    相回路(nは2以上の整数)を構成するように結線され
    たコイル群からなるn相の電機子コイルとを有して前記
    電機子鉄心の各歯部の先端に前記回転子磁極に対向する
    固定子磁極が形成された固定子とからなる回転電機と、 n相ブリッジ接続された2n個のオンオフ制御が可能な
    スイッチ素子からなるスイッチ回路と前記2n個のスイ
    ッチ素子のそれぞれに逆並列接続された2n個のダイオ
    ードにより構成されたn相ダイオードブリッジ全波整流
    回路とを備えて、該全波整流回路の直流側の対の端子が
    バッテリの両端に接続され、該全波整流回路の交流側の
    n個の端子が前記n相の電機子コイルから引き出された
    n個の端子にそれぞれ接続されたインバータ回路と、 前記バッテリから前記インバータ回路のスイッチ素子を
    通して前記n相の電機子コイルに所定の相順で転流する
    駆動電流を流すように前記インバータ回路のスイッチ素
    子を制御するインバータ制御装置とを備え、 前記内燃機関の始動時には前記回転電機を電動機として
    動作させて前記内燃機関を始動させる方向に前記磁石回
    転子を回転させ、前記内燃機関が始動した後は前記回転
    電機を磁石発電機として動作させて前記n相の電機子コ
    イルの誘起電圧で前記全波整流回路を通して前記バッテ
    リに充電電流を流す内燃機関用スタータジェネレータに
    おいて、 前記磁石回転子の磁石界磁は、所定の極弧角を有する2
    m個の円弧状永久磁石からなる主極と、前記主極よりも
    極弧角が小さく、かつ前記主極を構成する永久磁石より
    も透磁率が高い円弧状強磁性材料からなる2m個の補極
    とからなっていて、各主極の両側に補極が1つずつ対称
    に配置されるように前記主極と補極とが周方向に交互に
    配置された構成を有し、 前記インバータ制御装置は、前記回転電機を電動機とし
    て動作させる際には、前記磁石回転子の各主極と各主極
    よりも磁石回転子の回転方向の進み側に位置する隣接の
    1つの補極とを電動機用回転子磁極として、機関を始動
    させる方向に前記磁石回転子を回転させるべく、前記電
    動機用回転子磁極の幾何学的中心位置と各相の電機子コ
    イルが巻回されている前記電機子鉄心の歯部の先端の固
    定子磁極の幾何学的中心位置とが設定された関係になる
    位置に設定された電動機用基準励磁相切替位置または該
    電動機用基準励磁相切替位置に対して所定の制御位相角
    を有する電動機用励磁相切替位置で前記n相の電機子コ
    イルの励磁相を切り換えつつ前記バッテリから前記イン
    バータ回路を通して前記n相の電機子コイルに所定の相
    順で転流する駆動電流を流すように前記インバータ回路
    のスイッチ素子を制御し、前記回転電機を磁石発電機と
    して動作させる際には、前記磁石回転子の各主極と各主
    極よりも前記回転方向の遅れ側に位置する隣接の1つの
    補極とを1つの発電機用回転子磁極として、前記発電機
    機用回転子磁極の幾何学的中心位置と各相の電機子コイ
    ルが巻回されている前記電機子鉄心の歯部の先端の固定
    子磁極の幾何学的中心位置とが設定された関係になる位
    置に設定された発電機用基準励磁相切替位置または該発
    電機用基準励磁相切替位置に対して所定の制御位相角を
    有する発電機用励磁相切替位置で励磁相を切り替えつつ
    前記バッテリから前記インバータ回路を通して前記電機
    子コイルに所定の相順で転流する制御電流を流すべく、
    前記インバータ回路のスイッチ素子を制御するように構
    成されていることを特徴とする内燃機関用スタータジェ
    ネレータ。
  2. 【請求項2】 2m個(mは1以上の整数)の回転子磁
    極を有する磁石界磁を備えて内燃機関のクランク軸に取
    り付けられる磁石回転子と、周方向に並ぶ多数の歯部を
    有する電機子鉄心と該電機子鉄心の歯部に巻回されてn
    相回路(nは2以上の整数)を構成するように結線され
    たコイル群からなるn相の電機子コイルとを有して前記
    電機子鉄心の歯部の先端に前記回転子磁極に対向する固
    定子磁極が形成された固定子とからなる回転電機と、 n相ブリッジ接続された2n個のオンオフ制御が可能な
    スイッチ素子からなるスイッチ回路と前記2n個のスイ
    ッチ素子のそれぞれに逆並列接続された2n個のダイオ
    ードにより構成されたn相ダイオードブリッジ全波整流
    回路とを備えて、該全波整流回路の直流側の対の端子が
    バッテリの両端に接続され、該全波整流回路の交流側の
    n個の端子が前記n相の電機子コイルから引き出された
    n個の端子にそれぞれ接続されたインバータ回路と、 前記バッテリから前記インバータ回路のスイッチ素子を
    通して前記n相の電機子コイルに所定の相順で転流する
    駆動電流を流すように前記インバータ回路のスイッチ素
    子を制御するインバータ制御装置とを備え、 前記内燃機関の始動時には前記回転電機を電動機として
    動作させて前記内燃機関を始動させる方向に前記磁石回
    転子を回転させ、前記内燃機関が始動した後は前記回転
    電機を磁石発電機として動作させて前記n相の電機子コ
    イルの誘起電圧で前記全波整流回路を通して前記バッテ
    リに充電電流を流す内燃機関用スタータジェネレータに
    おいて、 前記磁石回転子の磁石界磁は、所定の極弧角を有する2
    m個の円弧状永久磁石からなる主極と、前記主極よりも
    極弧角が小さく、かつ前記主極を構成する永久磁石より
    も透磁率が高い円弧状強磁性材料からなる2m個の補極
    とからなっていて、各主極の両側に補極が1つずつ対称
    に配置されるように前記主極と補極とが周方向に交互に
    配置された構成を有し、 前記インバータ制御装置は、 前記回転電機を電動機として動作させる際には前記磁石
    回転子の各主極と各主極よりも磁石回転子の回転方向の
    進み側に位置する隣接の1つの補極とを電動機用回転子
    磁極として各電動機用回転子磁極の幾何学的中心位置と
    前記各相の電機子コイルが巻回されている電機子鉄心の
    歯部の先端の固定子磁極の幾何学的中心位置とが設定さ
    れた関係になる位置を各相の電動機用基準励磁相切替位
    置として検出し、前記回転電機を磁石発電機として動作
    させる際には、前記磁石回転子の各主極と各主極よりも
    前記回転方向の遅れ側に位置する隣接の1つの補極とを
    1つの発電機用回転子磁極として各発電機用回転子磁極
    の幾何学的中心位置と前記各相の電機子コイルが巻回さ
    れている電機子鉄心の歯部の先端の固定子磁極の幾何学
    的中心位置とが設定された関係になる位置を各相の発電
    機用基準励磁相切替位置として検出して、前記電動機用
    基準励磁相切替位置の情報を含む各相の電動機用位置検
    出信号及び前記発電機用基準励磁相切替位置の情報を含
    む各相の発電機用位置検出信号を発生する位置検出装置
    と、 前記内燃機関を始動させる際には前記内燃機関を始動さ
    せる方向に前記磁石回転子を回転せるために必要な極性
    の駆動電流をバッテリから前記インバータ回路の所定の
    スイッチ素子を通して前記電機子コイルに流すべく前記
    各相の電動機用位置検出信号により検出される電動機用
    基準励磁相切替位置または該基準励磁相切替位置に対し
    て所定の制御位相角を有する電動機用励磁相切替位置で
    前記インバータ回路の所定のスイッチ素子に駆動信号を
    与え、前記内燃機関が始動した後は、前記電機子コイル
    の出力電圧対出力電流特性を所期の特性とするべく、前
    記発電機用位置検出信号により検出される発電機用基準
    励磁相切替位置に対して所定の制御位相角を有する発電
    機用励磁相切替位置で前記インバータ回路の所定のスイ
    ッチ素子に駆動信号を与えるスイッチ制御装置と、 を具備していることを特徴とする内燃機関用スタータジ
    ェネレータ。
  3. 【請求項3】前記インバータ制御装置は、前記磁石発電
    機として動作させる回転電機の出力を増大させる際に
    は、各発電機用回転子磁極部の補極側の部分を通して流
    れる磁束を増加させるべく前記発電機用基準励磁相切替
    位置に対して遅れた位置を前記発電機用励磁相切替位置
    とし、前記磁石発電機として動作させる回転電機の出力
    を抑制する際には各発電機用回転子磁極部の補極側の部
    分を通して流れる磁束を減少させるべく前記発電機用基
    準励磁相切替位置に対して進んだ位置を前記発電機用励
    磁相切替位置とすることを特徴とする請求項1または2
    に記載の内燃機関用スタータジェネレータ。
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