JP3393004B2 - ソリッドゴルフボール - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、３層構造からなる
ソリッドコアをカバーで被覆したソリッドゴルフボール
に関する。

【０００２】

【従来の技術】単層構造のソリッドコアをカバーで被覆
したツーピースソリッドゴルフボールは、飛距離は出る
が、打球感およびコントロール性が悪いという欠点を有
している。

【０００３】そこで、前記ツーピースソリッドゴルフボ
ールに代わるものとして、スリーピースソリッドゴルフ
ボールが開発されている。このスリーピースソリッドゴ
ルフボールは、ツーピースソリッドゴルフボールと同様
に、ソリッドコアとカバーから構成されているが、ソリ
ッドコアまたはカバーを２層構造とすることにより、ボ
ール全体を３層構造としたものである。例えば、特開昭
６０−２４１４６４号公報には、ソリッドコアを２層構
造にし、インナーコアを硬度５０〜７０（ＪＩＳ−Ｃ硬
度）、アウターコアを硬度７０〜９０（ＪＩＳ−Ｃ硬
度）としたものが開示されており、特公平４−４８４７
３号公報には、カバーを２層構造にし、カバー外層をシ
ョアＤ硬度５８〜７２、比重０．９２〜１．２、カバー
内層をカバー外層以下のショアＤ硬度、比重１．２以上
としたものが開示されている。

【０００４】また、特開昭５１−４９８４０号公報に
は、ボール全体を４層構造以上としたソリッドゴルフボ
ールが開示されている。このソリッドゴルフボールで
は、芯部の重量配分をより多くし、且つ、外側になるに
従って順次硬度が高くなるように構成している。さら
に、特公平３−３５０１号公報には、重量配分が外側程
多くなるように設定したコアを有するマルチピースソリ
ッドゴルフボールが提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来か
ら、ツーピースソリッドゴルフボールに代わる種々のも
のが開発され、また提案されている。しかしながら、い
ずれの従来技術においても、ツーピースソリッドゴルフ
ボールの欠点を十分に解消することができないのが現状
である。

【０００６】すなわち、特開昭６０−２４１４６４号公
報では、アウターコアの硬さが影響するため、打球感は
必ずしも良くなるとは限らない。特公平４−４８４７３
号公報では、比重の高いカバー内層の硬度が低い場合、
打球時の衝撃力が大きくなるため、カバー内層の柔軟化
による打球感の向上は難しい。これと同様に、特公平３
−３５０１号公報でも、打球感は良くならない。また、
特開昭５１−４９８４０号公報では、硬度が低い芯部の
直径が大きいため、反発性が悪く、糸巻きゴルフボール
程度の飛距離しか得られない。

【０００７】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであり、十分な飛距離を出すことができ、し
かも、打球感およびコントロール性を十分に向上させる
ことのできるソリッドゴルフボールを提供することを目
的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】図１は、本発明のソリッ
ドゴルフボール１０の断面構造を示す。このソリッドゴ
ルフボール１０は、基本的には、３層構造からなるソリ
ッドコア１２と、前記ソリッドコア１２を被覆するカバ
ー１４とから構成される。

【０００９】前記ソリッドコア１２は、内部層１２ａ
と、ショアＤ硬度４５〜６５を有する中間層１２ｂと、
中間層１２ｂよりも硬度が低い外被層１２ｃとから構成
される。なお、内部層１２ａの硬度は、中間層１２ｂの
硬度よりも低く設定される。

【００１０】ソリッドコア１２は、直径３７．５〜４１
ｍｍとし、内部層１２ａは、直径１８〜２９ｍｍとし、
内部層１２ａを中間層１２ｂで覆った２層コアは、直径
３５〜３９．５ｍｍとすると好適である。

【００１１】３層構造のソリッドコア１２をカバー１４
で被覆したソリッドゴルフボール１０に関して、ソリッ
ドコア１２の各層の寸法（直径または厚み）、硬度等に
ついて研究した結果、中間層１２ｂの硬度を比較的高
く、かつ外被層１２ｃの硬度を中間層１２ｂの硬度より
も低く設定することにより、従来のツーピースおよびス
リーピースソリッドゴルフボール並みの飛距離が得ら
れ、且つ、十分に満足できる打球感およびコントロール
性が得られた。特に、アイアンクラブによるアプローチ
等の際の打球感およびコントロール性が向上した。

【００１２】

【００１３】ソリッドコア１２の各層の硬度に関して
は、中間層１２ｂの硬度をショアＤ硬度４５〜６５と
し、外被層１２ｃの硬度を中間層１２ｂの硬度よりも低
くする。中間層１２ｂの硬度をショアＤ硬度４５よりも
低くすると、反発性が悪化して、飛距離が出なくなる。
一方、中間層１２ｂの硬度をショアＤ硬度６５よりも高
くすると、打球感が悪くなる。

【００１４】外被層１２ｃの硬度を中間層１２ｂの硬度
より高くすると、外被層１２ｃの硬さが影響して打球感
が悪くなり、クラブフェイス面からのボールの離れが早
くなり、コントロール性が悪くなる。従って、中間層１
２ｂの硬度をショアＤ硬度で４５〜６５に限定し、外被
層１２ｃの硬度を中間層１２ｂの硬度よりも低く設定す
ることが必要である。

【００１５】本発明においては、内部層１２ａの硬度を
ショアＤ硬度１５〜４０に設定すると、高反発性が得ら
れて、飛距離がより出易くなる。なお、内部層１２ａの
硬度はこの範囲に限定されるものではない。

【００１６】ソリッドコア１２の重量配分は、内部層１
２ａの比重を比較的大きく、中間層１２ｂおよび外被層
１２ｃの比重を比較的小さくするのが好ましいが、これ
に限定されるものではない。

【００１７】本発明では、ソリッドコア１２の直径を３
７．５〜４１ｍｍ、内部層１２ａの直径を１８〜２９ｍ
ｍ、内部層１２ａを中間層１２ｂで覆った２層コアの直
径を３５〜３９．５ｍｍにすると、ボールの耐久性が良
好となるが、これらの範囲を多少変更することもでき
る。

【００１８】３層構造のソリッドコア１２を被覆するカ
バー１４には、通常、アイオノマ一樹脂またはこれを含
んだ材料を使用する。カバー１４の厚みは、従来のツー
ピースおよびスリーピースソリッドゴルフボールのカバ
ー厚みと同程度にする。

【００１９】

【実施例】実施例１〜４および比較例２、３ 表１の配合による内部層１２ａ用、中間層１２ｂ用およ
び外被層１２ｃ用のゴム組成物を使用して、表２の実施
例１〜４および比較例２、３に示した直径、重量、硬度
からなる３層構造のソリッドコア１２を得た。なお、実
施例１〜３および比較例２のソリッドコア１２は、内部
層１２ａの比重が約１．３８、中間層１２ｂの比重が約
１．０６、外被層１２ｃの比重が約１．１０であり、実
施例４および比較例３のソリッドコア１２は、内部層１
２ａの比重が約１．２８、中間層１２ｂの比重が約１．
１２、外被層１２ｃの比重が約１．１０である。

【００２０】アイオノマー樹脂１００重量部に対して二
酸化チタン１．５重量部を配合したカバー１４用の樹脂
組成物を使用して、得られたソリッドコア１２を被覆
し、研磨、塗装を施して実施例１〜４および比較例２、
３のソリッドゴルフボール１０を作製した。なお、カバ
ー１４は、ショアＤ硬度６８である。比較例１ 従来のツーピースソリッドゴルフボールであり、表１の
配合によるゴム組成物を使用して得られた単層構造のソ
リッドコアを実施例１〜４および比較例２、３で使用し
たカバー用の樹脂組成物を使用して被覆し、研磨、塗装
を施して作製した。

【００２１】実施例１〜４および比較例１〜３につき、
反発性、キャリー、打球感、コントロール性を表２に示
した。

【００２２】表２に示すように実施例１〜４のソリッド
ゴルフボールは、比較例１の従来のツーピースソリッド
ゴルフボールとほぼ同程度の飛距離が出ており、キャリ
ーが１７６．９〜１７８．１ｍであった。また、実施例
１〜４のソリッドゴルフボールは、打球感およびコント
ロール性が良いという評価が得られた。

【００２３】これに対して、比較例１のツーピースソリ
ッドゴルフボールは、打球感およびコントロール性が悪
かった。比較例２のソリッドゴルフボールは、打球感お
よびコントロール性は良いが、キャリーが１７３．２ｍ
であり、飛距離が出なかった。比較例３のソリッドゴル
フボールは、打球感およびコントロール性が悪かった。

【００２４】

【表１】

【００２５】

【表２】

【００２６】＊１：スイングロボット装置を使用して、
ウッド１番クラブ（＃１）により打ったときのゴルフボ
ールの初速度であり、比較例を１００とした指数であ
る。

【００２７】＊２：スイングロボット装置を使用して、
ウッド１番クラブ（＃１）によりクラブヘッド速度４０
ｍ／ｓｅｃで打って測定した。

【００２８】＊３：男子上級ゴルファーによりウッド１
番クラブ（＃１）およびアイアン９番クラブ（＃９）に
より打って評価した。

【００２９】◎ :極めて良い、○：良い、△：やや悪
い、×: 悪い。

【００３０】＊４：男子上級ゴルファーによりアイアン
クラブによりアプローチをして評価した。

【００３１】○：良い、×: 悪い。

【００３２】

【発明の効果】本発明のソリッドゴルフボールによれ
ば、十分な飛距離が得られ、ツーピースソリッドゴルフ
ボールの欠点である打球感およびコントロール性の悪さ
を十分に解消でき、特にアイアンクラブによるアプロー
チ等の際に、良好な打球感と優れたコントロール性を得
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ソリッドゴルフボールの断面構成図である。

【符号の説明】

１０…ソリッドゴルフボール １２…ソリッド
コア １２ａ…内部層 １２ｂ…中間層 １２ｃ…外被層 １４…カバー

フロントページの続き (72)発明者 内藤 裕之 香川県大川郡志度町大字志度5412番地 キャスコ株式会社内 (56)参考文献 特開 平６−23069（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−109971（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−336617（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−248351（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−103123（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−299497（ＪＰ，Ａ) 特表 平11−506041（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A63B 37/00

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内部層、前記内部層の外部に形成される中
   間層および前記中間層の外部に形成される外被層の３層
   構造からなるソリッドコアと、前記ソリッドコアを被覆
   するカバーとからなる４層構造のソリッドゴルフボール
   であって、前記内部層、前記中間層および前記外被層はゴム組成物
   からなり、かつ前記カバーは樹脂組成物からなり、 前記内部層は、ショアＤ硬度が前記中間層よりも低く設
   定され、 前記中間層は、ショアＤ硬度が４５〜６５に設定され、 前記外被層は、ショアＤ硬度が前記中間層よりも低く設
   定されることを特徴とするソリッドゴルフボール。
2. 【請求項２】請求項１記載のソリッドゴルフボールにお
   いて、 前記内部層は、ショアＤ硬度が１５〜４０であることを
   特徴とするソリッドゴルフボール。
3. 【請求項３】請求項１または２記載のソリッドゴルフボ
   ールにおいて、 前記内部層は、直径が１８．０〜２９．０ｍｍ、前記中
   間層は、前記内部層を含む直径が３５．０〜３９．５ｍ
   ｍ、前記外被層は、前記内部層および前記中間層を含む
   直径が３７．５〜４１．０ｍｍであることを特徴とする
   ソリッドゴルフボール。