JP3316116B2 - 電気コネクタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁ハウジングの
コンタクト収容室に収容されたコンタクトを係止するダ
ブルロック部材を備えた電気コネクタに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、所定の収容方向からコンタク
トが収容される複数のコンタクト収容室を有する絶縁ハ
ウジングと、これらコンタクト収容室それぞれに対応す
るコンタクト挿入孔を有し、上記収容方向に略直交する
方向から絶縁ハウジングに装着される板状のダブルロッ
ク部材とを備えた電気コネクタが知られている。この電
気コネクタでは、絶縁ハウジングの仮係止位置にダブル
ロック部材を仮係止させてコンタクト挿入孔とコンタク
ト収容室とを位置合わせし、この状態でコンタクトをコ
ンタクト収容室に向けて挿入し、その後、ダブルロック
部材を本係止位置に移動させて本係止させる。これによ
り、コンタクトをコンタクト収容室内の係止部で係止す
るとともにダブルロック部材によっても係止し、この２
重係止によってコンタクトの抜け止めが確実に行なわれ
る。

【０００３】このような電気コネクタにおいては、仮係
止位置にダブルロック部材を仮係止させた状態でコンタ
クトをコンタクト収容室に向けて挿入するコンタクト挿
入作業が、通常、コンタクト挿入用の機械で自動的に行
われる。このコンタクト挿入作業は、上述したように、
ダブルロック部材のコンタクト挿入孔と絶縁ハウジング
のコンタクト収容室とを正確に位置合わせした状態で行
われる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、絶縁ハウジ
ングやダブルロック部材は、一般に、射出成型で製造さ
れる樹脂製であり、その寸法に誤差が生じることがあ
り、ダブルロック部材が仮係止位置に仮係止した状態で
がたつくことがある。このように、ダブルロック部材が
がたつくとコンタクト挿入孔とコンタクト収容室とを正
確に位置合わせできず、コンタクト挿入用の機械でコン
タクトをコンタクト収容室に挿入する際にコンタクトが
ダブルロック部材に衝突しコンタクト挿入用の機械が停
止してコンタクト挿入作業が中断することがある。特
に、コンタクト数の多い多極の電気コネクタでは、絶縁
ハウジングやダブルロック部材が大きくなるので寸法誤
差も大きくなり、このため、ダブルロック部材のコンタ
クト挿入孔と絶縁ハウジングのコンタクト収容室とを正
確に位置合わせできないことがある。また、コンタクト
が大型化すると、この大型化したコンタクトを確実にロ
ックして抜け止めする高信頼性のロック機構が望まれて
いる。

【０００５】本発明は、上記事情に鑑み、ダブルロック
部材のがたつきを低減してスムーズにコンタクト挿入作
業を行え、さらに、コンタクトが大型化しても確実に抜
け止めできる電気コネクタを提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の電気コネクタは、所定の収容方向から電源用
のコンタクトと信号用のコンタクトとの２種類のコンタ
クトがそれぞれ収容される複数のコンタクト収容室及び
そのコンタクト収容室に収容された前記コンタクトを係
止する係止ランスを有する絶縁ハウジングと、その絶縁
ハウジング内で上記収容方向に直交する移動方向に仮係
止位置から本係止位置まで移動する、上記コンタクト収
容室に収容されたコンタクトを係止するダブルロック部
材とを備えた電気コネクタにおいて、 （１）上記ダブルロック部材は、上記収容方向に直交す
る面に沿って広がり、且つ上記２種類のコンタクトそれ
ぞれが挿入されるコンタクト挿入孔が形成された板状基
部と、その板状基部に対して直交する方向に広がり、且
つ上記電源用のコンタクトを係止する上記係止ランスの
撓みを防止すると共に、前記絶縁ハウジングの内部に配
置される板状部とを有し、 （２）上記絶縁ハウジングは、上記板状部を上記収容方
向及び上記移動方向の両方向に直交する交差方向から挟
んで案内する案内部を有し、 （３）上記ダブルロック部材が上記仮係止位置に位置す
る際に、上記板状部及び上記案内部の係合により上記絶
縁ハウジング内での上記ダブルロック部材のがたつきを
防止することを特徴とするものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の電
気コネクタの実施形態を説明する。図１は電気コネクタ
を示す分解斜視図、図２は電気コネクタを示す断面図で
ある。電気コネクタ１０は、矢印１１で示す収容方向か
ら信号用の雌型コンタクト１２を収容するコンタクト収
容室２２及び電源用の雌型コンタクト（図示せず）を収
容するコンタクト収容室２９（図３参照）を有する雌型
ハウジング２０と、この雌型ハウジング２０に形成され
たランスハウジング受容部２４，２６に受容されたラン
スハウジング（本発明にいう絶縁ハウジングの一例）４
０と、コンタクト収容室２２に収容された雌型コンタク
ト１２を係止するダブルロック部材６０と、雌型ハウジ
ング２０及び雄型ハウジング１４双方の嵌合を弱い操作
力で行わせるカムスライド８０を備えている。さらに、
電気コネクタ１０は、ランスハウジング受容部２６でラ
ンスハウジング４０と雌型ハウジング２０との間に挟ま
れ内部に水が侵入することを防止する防水部材１００
と、信号用の雌型コンタクト１２や電源用の雌型コンタ
クトに接続されたワイヤ１６を束ねて保護するワイヤー
カバー１１０を備えている。ワイヤ１６には防水用のラ
バープラグ１８が巻き付けられている。尚、図２ではワ
イヤーカバー１１０を省略している。

【０００８】図２に示すように、雌型ハウジング２０の
係合凹部２８とランスハウジング４０の係合突起４２と
が係合して雌型ハウジング２０にランスハウジング４０
が固定される。また、雌型コンタクト１２は、ランスハ
ウジング４０の係止部４４で係止されると共にダブルロ
ック部材６０によっても係止され、この２重係止によっ
て確実に抜け止めされる。

【０００９】次に、図３から図５までを参照して雌型ハ
ウジングを説明する。雌型ハウジング２０には、上述し
たように、信号用のコンタクト収容室２２と、図示しな
い電力用コンタクトが収容される電力用のコンタクト収
容室２９とが形成されている。また、雌型ハウジング２
０には、この雌型ハウジング２０の上下の壁３０ａ，３
０ｂの内側にカムスライド８０（図１参照）の２つのア
ーム８２ａ，８２ｂをそれぞれ受容するアーム受容部３
２ａ，３２ｂが形成されている。さらに、雌型ハウジン
グ２０の上下の壁３０ａ，３０ｂの長手方向端部には、
カムスライド８０の確認用突起８４（図１参照）を受容
する確認用切欠３４が形成されている。カムスライド８
０が雌型ハウジング２０に完全に挿入されると、この確
認用切欠３４に確認用突起８４が完全に受容され、これ
により、電気コネクタ１０が見えない位置にあっても、
カムスライド８０が雌型ハウジング２０に完全に挿入さ
れたことを手探りで判断できる。さらに、雌型ハウジン
グ２０には、ワイヤ−カバー１１０（図１参照）の係止
孔１１２に嵌り込んでワイヤ−カバー１１０を雌型ハウ
ジング２０に固定する固定突起３６が形成されている。

【００１０】雌型ハウジング２０には、上述したよう
に、ランスハウジング４０の係合突起４２（図２参照）
と係合する係合凹部２８が形成されている。この係合凹
部２８を形成するための金型の抜き孔３１が雌型ハウジ
ング２０の上壁３０ａに形成されている（下壁３０ｂに
も同様の抜き孔３１’が形成されている）。従来、大型
のロック用アームを形成する空間がない場合、例えば雌
型ハウジングの側方から金型を入れ、枠状部３３と一体
にロック用アームを形成した。しかし、そのような方法
では枠状部３３の外面に金型の合わせ目ができてしま
う。この枠状部３３の外面は防水面であり、外面に金型
の合わせ目ができると、防水特性が劣化する。このよう
な防水特性の劣化を防止するために、抜き孔３１を形成
し、この抜き孔３１を通して金型の治具を入れ、枠状部
３３の外面に係合凹部２８を形成し、ランスハウジング
４０に係合凹部２８と係合するアームを形成する。

【００１１】次に、図６から図８までを参照してランス
ハウジングを説明する。ランスハウジング４０は、上述
したように、雌型ハウジング２０のランスハウジング受
容部２４，２６に受容されるものであり、雌型ハウジン
グ２０の係合凹部２８とランスハウジング４０の係合突
起４２とが係合して雌型ハウジング２０に固定される。
このランスハウジング４０にも、雌型ハウジング２０と
同様に、信号用のコンタクトを収容するコンタクト収容
室４６と、電源用のコンタクトを収容するコンタクト収
容室４８とが形成されており、これらコンタクト収容室
４６，４８はそれぞれ雌型ハウジング２０のコンタクト
収容室２２，２８と整合している。各コンタクト収容室
４６の下には、チェッカーピン用ホール４７が形成され
ており、チェッカーピン用ホール４７にチェッカーピン
（図示せず）を差し込むことにより、雌型コンタクト１
２（図２参照）とこの雌型コンタクト１２に接続された
ワイヤ１６（図２参照）とが完全に接続されているか否
かが確認でき、さらに、雌型コンタクト１２が完全に挿
入されているか否かも確認できる。コンタクト収容室４
８には、このコンタクト収容室４８に収容された大型の
電源用コンタクトを係止する係止ランス４９が形成され
ており、後述するように、この係止ランス４９が電源用
のコンタクトを係止すると板状部６８により係止ランス
４９の撓みが防止され、電源用のコンタクトを確実に係
止して抜け止めする。

【００１２】また、ランスハウジング４０には、図１に
示すダブルロック部材６０が案内される案内部５０，５
２が形成されており、案内部５２が本発明にいう案内部
の一例である。案内部５０は、ダブルロック部材６０の
うち、コンタクト１２が挿入されるコンタクト挿入孔６
２が形成されたコンタクト板状部６４を案内するもので
ある。一方、案内部５２は、ダブルロック部材６０のう
ち、図１に示す収容方向（矢印１１で示す方向）及びダ
ブルロック部材６０移動方向（矢印６６で示す方向）双
方に広がる板状部（本発明にいう板状部の一例）６８を
案内するものであり、収容方向及び移動方向双方に直交
する交差方向（矢印６７で示す方向）から板状部６８を
挟んで案内する。後述するダブルロック部材の説明で述
べるように、ダブルロック部材６０の仮係止位置におい
ても板状部６８が案内部５２に挟まれたままであるの
で、ダブルロック部材６０が仮係止位置で仮係止した状
態における交差方向（矢印６７で示す方向）のがたつき
を低減できる。さらに、ランスハウジング４０には、ダ
ブルロック部材６０を本係止位置で本係止するための本
係止用アーム５４が、案内部５２の入口近傍に一対形成
されている。

【００１３】次に、図９と図１０を参照してダブルロッ
ク部材を説明する。ダブルロック部材６０は、コンタク
ト１２（図２参照）が挿入されるコンタクト挿入孔６２
が形成されたコンタクト板状部（板状基部）６４と、図
１に示す収容方向（矢印１１で示す方向）及びダブルロ
ック部材６０移動方向（矢印６６で示す方向）双方に広
がる板状部（本発明にいう板状部の一例）６８を備えて
いる。コンタクト板状部６４と板状部６８とは互いに直
交しており、上述したように、コンタクト板状部６４は
ランスハウジング４０の案内部５０（図８参照）に案内
され、一方、板状部６８は案内部５２に案内される。板
状部６８が案内部５２に案内される際には、板状部６８
はその厚さ方向から挟んで案内される。板状部６８の厚
さは、コンタクト板状部６４の交差方向の長さに比べ薄
いので、ダブルロック部材製造時における、板状部６８
の厚さの寸法誤差は、コンタクト板状部６４の交差方向
（矢印６７で示す方向）の長さの寸法誤差に比べはるか
に小さい。板状部６８が無い場合、コンタクト板状部６
４が寸法誤差のために交差方向にがたつくおそれがあ
り、このようにコンタクト板状部６４ががたつくと、コ
ンタクト挿入孔６２とコンタクト収容室２２（図２参
照）とを正確に位置合わせできず、コンタクト挿入用機
械（図示せず）で雌型コンタクト１２（図２参照）をコ
ンタクト収容室２２に挿入する際に雌型コンタクト１２
がダブルロック部材６０に衝突しコンタクト挿入用機械
が停止してコンタクト挿入作業が中断することがある。
しかし、ダブルロック部材６０には、コンタクト板状部
６４の他、このコンタクト板状部６４に直交する板状部
６８が形成されており、上述したように、この板状部６
８の寸法誤差はコンタクト板状部６４の寸法誤差に比べ
はるかに小さく、しかも、案内部５２によって板状部６
８の厚さ方向から挟んで案内され仮係止位置で仮係止さ
れるので、ダブルロック部材６０のがたつきが防止さ
れ、雌型コンタクト１２（図２参照）をコンタクト収容
室２２にスムーズに挿入できる。

【００１４】また、板状部６８には、ダブルロック部材
６０を本係止位置で本係止するための突起７０が形成さ
れており、本係止位置においてこの突起７０がランスハ
ウジング４０の本係止用アーム５４（図６参照）に係止
して、ダブルロック部材６０が本係止位置で本係止され
る。さらに、板状部６８には、収容方向（矢印１１で示
す方向）に延びる凹部７２が板状部６８の表裏面に２つ
ずつ形成されている。これら凹部７２は、ダブルロック
部材６０が仮係止位置に係止されているときにランスハ
ウジング４０（図１参照）の係止ランス４９（図６参
照）を受容する場所に位置する。ランスハウジング４０
の係止ランス４９は、ダブルロック部材６０が仮係止位
置に係止されて雌型コンタクトが挿入されるときに撓
み、雌型コンタクトを完全に挿入させる。雌型コンタク
トが完全に挿入された後、ダブルロック部材６０が移動
して本係止位置に係止されると、凹部７２と係止ランス
４９とは互いにずれ、係止ランス４９が撓めなくなる。
この結果、完全に挿入された雌型コンタクトが係止ラン
ス４９に係止されて抜け止めされる。また、板状部６８
には、この板状部６８に直交して広がる嵌合阻止部７４
が形成されており、ダブルロック部材６０が本係止位置
に係止されていないときに雄型ハウジング１４（図２参
照）と雌型ハウジング２０（図２参照）が嵌合すること
を阻止する。

【００１５】次に、図１１と図１２を参照してカムスラ
イドについて説明する。カムスライド８０は、２つの板
状のアーム８２ａ，８２ｂを備えている。各アーム８２
ａ，８２ｂの互いに向き合う面には、雄型ハウジング１
４（図２参照）の内面に形成された４つのカム従動子
（図示せず）それぞれが係合するカム溝８６ａ，８８
ａ，８６ｂ，８８ｂが形成されている。カム溝８６ａ，
８６ｂの入口側部分には、雄型ハウジング１４（図２参
照）が抜けることを防止する仮係止用突起９０が形成さ
れている。また、アーム８２ａ，８２ｂの長片のうちワ
イヤーカバー１１０側の長片の中央部には、カムスライ
ド８０を抜き出す方向（矢印９４で示す方向）に延びる
係止用アーム９２が形成されている。この係止用アーム
９２の先端部には、カムスライド８０を抜き出す方向に
直交する先端面９２ａが形成されている。この先端面９
２ａは、カムスライド８０がその仮係止位置にあるとき
に雌型ハウジング２０の仮係止用孔３８に嵌り込み、カ
ムスライド８０が雌型ハウジング２０から抜け出ること
を防止する。一方、カムスライド８０がその本係止位置
にあるときに先端面９２ａは、雌型ハウジング２０の本
係止用孔３９に嵌り込み、カムスライド８０が本係止位
置から移動することを防止する。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の電気コネ
クタによれば、ダブルロック部材の板状部がその厚さ方
向から絶縁ハウジングの案内部に挟まれるので、ダブル
ロック部材のがたつきを防止でき、雌型コンタクトをコ
ンタクト収容室にスムーズに挿入できる。また、板状部
は、コンタクトを係止した係止ランスの撓みを防止する
機能も有するので、コンタクトが大型化しても確実にコ
ンタクトを抜け止めできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電気コネクタの一実施形態を示す分解
斜視図である。

【図２】図１の電気コネクタを示す断面図である。

【図３】雌型ハウジングを示す、（ａ）は正面図、
（ｂ）は底面図、（ｃ）は側面図である。

【図４】図３の雌型ハウジングを示す背面図である。

【図５】（ａ）は図３のＡ−Ａ断面図、（ｂ）は図３の
Ｂ−Ｂ断面図である。

【図６】ランスハウジングを示す、（ａ）は正面図、
（ｂ）は側面図、（ｃ）は底面図である。

【図７】図６のランスハウジングを示す背面図である。

【図８】（ａ）は図６のＣ−Ｃ断面図、（ｂ）は図６の
Ｄ−Ｄ断面図である。

【図９】ダブルロック部材を示す、（ａ）は正面図、
（ｂ）は側面図である。

【図１０】図９のダブルロック部材を示す平面図であ
る。

【図１１】カムスライドを示す正面図である。

【図１２】図１１のカムスライドを示す断面図である。

【符号の説明】

１０ 電気コネクタ １１ 収容方向 １２ 雌型コンタクト ２２ コンタクト収容室 ４０ ランスハウジング ４６ コンタクト収容室 ５２ 案内部 ６０ ダブルロック部材 ６６ 移動方向 ６７ 交差方向 ６８ 板状部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定の収容方向から電源用のコンタクト
   と信号用のコンタクトとの２種類のコンタクトがそれぞ
   れ収容される複数のコンタクト収容室及び該コンタクト
   収容室に収容されたコンタクトを係止する係止ランスを
   有する絶縁ハウジングと、該絶縁ハウジング内で前記収
   容方向に直交する移動方向に仮係止位置から本係止位置
   まで移動する、前記コンタクト収容室に収容された前記
   コンタクトを係止するダブルロック部材とを備えた電気
   コネクタにおいて、 前記ダブルロック部材は、前記収容方向に直交する面に
   沿って広がり、且つ前記２種類のコンタクトそれぞれが
   挿入されるコンタクト挿入孔が形成された板状基部と、
   該板状基部に対して直交する方向に広がり、且つ前記電
   源用のコンタクトを係止する前記係止ランスの撓みを防
   止すると共に、前記絶縁ハウジングの内部に配置される
   板状部とを有し、 前記絶縁ハウジングは、前記板状部を前記収容方向及び
   前記移動方向の両方向に直交する交差方向から挟んで案
   内する案内部を有し、 前記ダブルロック部材が前記仮係止位置に位置する際
   に、前記板状部及び前記案内部の係合により前記絶縁ハ
   ウジング内での前記ダブルロック部材のがたつきを防止
   することを特徴とする電気コネクタ。