JP3296041B2 - 制動力制御装置 - Google Patents

制動力制御装置

Info

Publication number
JP3296041B2
JP3296041B2 JP23485593A JP23485593A JP3296041B2 JP 3296041 B2 JP3296041 B2 JP 3296041B2 JP 23485593 A JP23485593 A JP 23485593A JP 23485593 A JP23485593 A JP 23485593A JP 3296041 B2 JP3296041 B2 JP 3296041B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
braking force
control
wheel
sideslip
deceleration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP23485593A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0789427A (ja
Inventor
秀明 井上
博嗣 山口
真次 松本
直樹 丸古
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP23485593A priority Critical patent/JP3296041B2/ja
Publication of JPH0789427A publication Critical patent/JPH0789427A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3296041B2 publication Critical patent/JP3296041B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の制動力制御装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両の旋回走行時、制動力制御により車
両の挙動を制御する技術として、例えば特開平3−11
2755号公報に記載の如くにヨーレイトをフィードバ
ックして自動ブレーキをかけるようにするものがある。
また、例えば特開平3−45453号公報の如く、車両
が走行限界を越えそうなとき、ヨーレイトをフィードバ
ックしながら目標車速まで減速させようとするものがあ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらは、操舵角を制
御パラメータに含んでヨーレイトの目標値の設定をし、
ヨーレイトフィードバック(F/B)制御で自動ブレー
キを作動させて旋回時の車両挙動を制御するもので、自
動ブレーキ機能を有しないものに比し、効果的である
が、より一層の制御効果を望むとき、次のような点から
考えると、改善できる余地がある。
【0004】前者のものでは、早いレーンチェンジのよ
うな過渡的状態において自動ブレーキが作動し、減速度
を伴うため発生減速度の程度如何によっては運転者は違
和感を感じ、この点でフィーリングが損なわれる場合が
ある。一方また、後者のものでは、走行限界付近あるい
は限界を越えない限り作動しないから、早いレーンチェ
ンジのような通常状態での運転フィーリングの向上は期
待できず、従って、上記のような違和感を極力軽減させ
る一方で、かような場合にでも運転フィーリングを向上
させられるのが望まれる。
【0005】また、いずれのものも、舵角を基準として
目標ヨーレイトを算出しているが、例えば仮に誤ったハ
ンドル操作をした場合でも、装置はそれ応じて算出した
ヨーレイト目標値になるようにとヨーレイトF/B制御
を実行することとなり、車両の姿勢をたて直しにくくな
る。このような場面のあることを考慮すれば、必ずしも
ベストな挙動制御とならない場合があり、上記ではそう
した不確実な運転者の誤ったハンドル操作などには対処
しずらい。
【0006】また、自動ブレーキで発生することとなる
減速度について、例えばハンドル操作が効かないほど車
両挙動の乱れがある場合など、制御場面によっては、発
生減速度をより大きなものとできるよう、制御可能にす
るといったような機能をもたせることは、有用である。
更に、車輪制動ロックを防止するロック防止制御(いわ
ゆるアンチスキッド制御)との適切な組み合わせをもっ
て、低μ路等での制動力制御を効果的なものとするとい
った機能もまた、有用である。
【0007】本発明は、上記のような点からの改良を図
り、横すべりを小さくするよう車輪に制動力を発生さ
せ、車両走行中の車両挙動の乱れに対し、車両姿勢をた
て直す制御を良好なフィーリングで、また誤った操舵等
の場合でもこれに対応し得るよう、制動力制御をもって
適切に実現することのできる制動力制御装置を提供しよ
うというものである。
【0008】他の目的は、そのように横すべりを小さく
するよう車輪に制動力を発生させ制御する場合、例えば
ハンドル操作が効かないほど、横すべりが大きいという
ようなときは横すべりを小さくする以上に減速すること
を重視した方が安全性が高まるとの着想から、これを具
現化した制動力制御装置を提供することである。他の目
的はまた、そのように横すべりを小さくするよう車輪に
制動力を発生させ制御する場合に、同じく車輪制動力を
制御するものではあるが低μ路等での制動時の車輪ロッ
クの回避を狙ったロック防止制御と効果的に組み合わ
せ、かかるロック防止制御の作動域では前輪ロックは横
すべりに関しこれを収束する方向に機能させ得るとの着
想、及び後輪ロックはその逆であるとの着想を基に、こ
れを有効に活用して上記組み合わせを適切に具現化させ
た制動力制御装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によって、下記の
制動力制御装置が提供される。即ち、車両の車輪制動力
を制御する装置にして、車両の横すべりを推定または検
出する横すべり検出手段と、該推定または検出される横
すべりに応じて許容減速度を設定する許容減速度設定手
段と、該設定手段により設定される許容減速度を守りな
がら横すべりを小さくするように前記横すべり検出手段
の推定または検出横すべりに基づき制御対象車輪に制動
力を発生させ制御する機能を有し、当該制動力を、減速
度が前記許容減速度内の場合は当該推定または検出横す
べりに応じた制動力とし、減速度が前記許容減速度を越
える場合にはその越え量が大きくなるにつれ当該推定ま
たは検出横すべりに応じた制動力から当該越え量に応じ
て減じられた小さな制動力とするように設定する手段を
含む、車輪制動力制御手段とを有することを特徴とする
制動力制御装置(図1)、車両の車輪制動力を制御する
装置にして、車両の横すべりを推定または検出する横す
べり検出手段と、該推定または検出される横すべりに応
じて目標減速度を設定する目標減速度設定手段と、該設
定手段により設定される目標減速度を守りながら横すべ
りを小さくするように前記横すべり検出手段の推定また
は検出横すべりに基づき制御対象車輪に制動力を発生さ
せ制御する機能を有し、当該制動力として、当該推定ま
たは検出横すべりに応じた制動力による第1の制動力成
分と、減速度と前記目標減速度との差に応じた制動力に
よる第2の制動力成分とを設定すると共に、当該差がゼ
ロで減速度を前記目標減速度に一致させつつ制御がなさ
れる場合には当該第1の制動力成分による当該制動力を
発生させ制御がなされるように制動力を設定する手段を
含む、車輪制動力制御手段とを有することを特徴とする
制動力制御装置(図2)、車両の車輪制動力を制御する
装置にして、車両の横すべりを推定または検出する横す
べり検出手段と、該横すべり検出手段の推定または検出
横すべりが所定値より小さい場合は、横すべりを小さく
するよう当該推定または検出横すべりに応じて前輪左右
の制御対象車輪に制動力を発生させ制御し、該横すべり
検出手段の推定または検出横すべりが所定値以上の場合
は、当該前輪左右の制御に加え、後輪にも制動力を発生
させて制御する4輪制動力制御手段とを有することを特
徴とする制動力制御装置(図3)、前輪及び後輪の車輪
ロックを防止するよう車輪制動力を制御可能な車両の制
動力制御装置にして、車両の横すべりを推定または検出
する横すべり検出手段と、横すべりを小さくするよう、
その横すべり検出手段による横すべりに応じて車輪に制
動力を発生させ制御する機能を有し、その横すべり検出
手段の推定または検出横すべりが所定値以上では、該機
能による制御実行時、前輪側については前記車輪ロック
防止制御を禁止し、後輪側については当該ロック防止制
御を禁止せずに実行可能とし、かつ、該推定または検出
横すべりが該所定値未満になると、該機能による制御は
継続しつつ、前輪側での車輪ロック防止制御の禁止制御
は解除し、前輪及び後輪側ともに当該ロック防止制御を
実行可能とするように、そのロック防止制御についての
選択的な切り換え制御をなす切換制御手段を含む、4輪
制動力制御手段とを有することを特徴とする制動力制御
装置(図4)である。
【0010】
【作用】請求項1記載の制動力制御装置は、横すべり検
出手段が車両の横すべりを推定または検出し、許容減速
度設定手段がその推定または検出される横すべりに応じ
て許容減速度を設定し、車輪制動力制御手段は、斯く設
定される許容減速度を守りながら横すべりを小さくする
ように横すべり検出手段の推定または検出横すべりに基
づき制御対象車輪に制動力を発生させ制御する。ここ
に、車輪制動力制御手段は、当該制動力を、減速度が前
記許容減速度内の場合は当該推定または検出横すべりに
応じた制動力とし、減速度が前記許容減速度を越える場
合にはその越え量が大きくなるにつれ当該推定または検
出横すべりに応じた制動力から当該越え量に応じて減じ
られた小さな制動力とするように設定する手段を含む。
後記好適例では、当該制動力は、これを、減速度(例え
ば、Xg(負値))が前記許容減速度(例えば、Xgc
(負値))内の場合(後記図8参照)は当該推定または
検出横すべりに応じた制動力(例えば、KA ・β。式
2,3)とし、減速度が前記許容減速度を越える場合に
はその越え量(|Xg−Xgc|)が大きくなるにつれ
当該推定または検出横すべりに応じた制動力(KA
β)から当該越え量(|Xg−Xgc|)に応じて減じ
られた小さな制動力(例えば、λ・KA ・β)とするよ
うに設定される(後記式4,5、図10参照)。
【0011】よって、横すべりが発生すると、それに応
じ許容減速度を守りながら横すべりを小さくするように
と自動的に車輪に制動力を発生させ車両挙動を制御で
き、発生横すべりが小さいなら減速度の発生がフィーリ
ングを損なわない程度に制御を抑え、横すべりが大きい
ときは減速度が発生しても良いから制御を確実に行える
ようにして横すべりを収束させることも容易に可能とな
る。たとえ早いレーンチェンジでの過渡的状態でもフィ
ーリングの低下を避け、一方また通常状態での運転フィ
ーリングの向上も図れ、しかも、不確実な運転者の例え
ば誤ったハンドル操作にもそれによらずに対処可能とな
して、車両走行中の車両挙動の乱れに対し、車両姿勢を
たて直すのを、良好なフィーリングで、また誤った操舵
等の場合でもこれに対応し得る適切な制動力制御をもっ
て実現することを可能ならしめる。
【0012】請求項2の場合は、その目標減速度設定手
段が、車両の横すべりを推定または検出する横すべり検
出手段で推定または検出される横すべりに応じて目標減
速度を設定し、その車輪制動力制御手段が、斯く設定さ
れる目標減速度を守りながら横すべりを小さくするよう
に横すべり検出手段の推定または検出横すべりに基づき
制御対象車輪に制動力を発生させ制御する。ここに、そ
の車輪制動力制御手段は、当該制動力として、当該推定
または検出横すべりに応じた制動力による第1の制動力
成分と、減速度と前記目標減速度との差に応じた制動力
による第2の制動力成分とを設定すると共に、当該差が
ゼロで減速度を前記目標減速度に一致させつつ制御がな
される場合には当該第1の制動力成分による当該制動力
を発生させ制御がなされるように制動力を設定する手段
を含む。後記好適例では、当該制動力として、当該推定
または検出横すべりに応じた制動力による第1の制動力
成分(例えば、KB ・β。式7,8)と、減速度(X
g)と前記目標減速度(例えば、Xgs(負値)。後記
図13参照)との差(Xg−Xgs;即ち偏差)に応じ
た制動力による第2の制動力成分(例えば、LB ・(X
g−Xgs)。式7,8)とを設定すると共に、当該差
(Xg−Xgs)がゼロ(Xg−Xgs=0)で減速度
を前記目標減速度(Xgs)に一致させつつ制御がなさ
れる場合には当該第1の制動力成分(KB ・β)による
当該制動力を発生させ制御がなされるように制動力を設
定する(後記式7,8の説明参照)。よって、車両の横
すべり発生時、横すべりに応じ目標減速度を守りながら
横すべりを小さくするようにと自動的に車輪に制動力を
発生させて車両挙動を制御することができ、横すべりが
小さいときは減速度の発生がフィーリングを損なわない
程度に制御を抑え、横すべりが大きいときは減速度が発
生しても良いから制御を確実に行い、横すべりを収束さ
せることも容易に可能で、早いレーンチェンジでの過渡
的状態でもヨーレイトをフィードバックさせて自動ブレ
ーキをかける場合のものにおけるようなフィーリングの
低下を避けつつ、かつまた通常状態での運転フィーリン
グの向上も図ることができ、しかも不確実な運転者の例
えば誤ったハンドル操作等があったとしても、それによ
らずに対処可能であり、車両走行中の車両挙動の乱れに
対し、車両姿勢をたて直す制御を、良好なフィーリング
で、かつ誤った操舵等の場合でもこれに対応し得る適切
な制動力制御をもって実現できる。従って、これによっ
ても、請求項1とは異なる手段ながらも、同様にして、
車両走行中の横すべり発生時、車両挙動の乱れに対し横
すべりを小さくするよう自動的に車輪に制動をかけ横す
べりを収束させて車両姿勢をたて直す制動力制御を適切
に実現し得る。
【0013】請求項3記載の制動力制御装置において
は、横すべり検出手段が車両の横すべりを推定または検
出し、その4輪制動力制御手段が、横すべりを小さくす
るよう横すべり検出手段の推定または検出横すべりに応
じて車輪に制動力を発生させ制御するところ、その横す
べり検出手段による横すべりが所定値より小さい場合は
前輪左右の制御対象車輪に制動力を発生させて制御し、
所定値以上の場合は当該前輪左右の制御に加え、後輪に
も制動力を発生させて制御する。ここに、後記好適例で
は、後輪側は所定値(例えば、横すべり角値β2)を越
えたら制御を開始し、前輪側による制御中でも、その所
定値までの大きさの領域のとき、後輪用ゲイン(例え
ば、Lc 。式11,12)は値0、従って後輪に対する
制御はなされず、その所定値を越えれば、前輪側に加
え、後輪も制動がなされる(後記図16参照)。よっ
て、横すべりを小さくするよう車輪に制動力を発生させ
制御する場合、更に、前輪側で制御の場合と、それに加
えるに後輪側にも自動的に制動力を発生させて制動をか
ける場合とを、横すべりの大きさによって適切に使い分
けられ、制御場面によっては減速度を大きなものとし、
横すべりを小さくするのに必要な減速度以上の減速度を
発生させることも確実に実現する制御を可能とする。例
えばハンドル操作が効かないほど横すべりが大きい場合
等、そのときは横すべりを小さくする以上に減速させる
ことを重視した方が安全性が高まるとの立場からの充分
な減速度発生を確保することも可能ならしめる。
【0014】請求項4記載のものの場合は、前輪及び後
輪の車輪ロックを防止するよう車輪制動力を制御可能な
車両の制動力制御装置で、その横すべり検出手段及び4
輪制動力制御手段のそれぞれを有して横すべり検出手段
が車両の横すべりを推定または検出し、その4輪制動力
制御手段が、横すべりを小さくするよう、その横すべり
検出手段による横すべりに応じて車輪に制動力を発生さ
せ制御する機能を有して該制御を実行するが、その横す
べり検出手段の推定または検出横すべりが所定値以上で
は、該機能による制御実行時、前輪側については前記車
輪ロック防止制御を禁止し、後輪側については当該ロッ
ク防止制御を禁止せずに実行可能とし、かつ、該推定ま
たは検出横すべりが該所定値未満になると、該機能によ
る制御は継続しつつ、前輪側での車輪ロック防止制御の
禁止制御は解除し、前輪及び後輪側ともに当該ロック防
止制御を実行可能とするように、その切換制御手段がそ
のロック防止制御についての選択的な切り換え制御をす
る。ここに、後記好適例では、これがため、横すべりに
つき、その値以上の領域も及びそれ未満の領域もこれら
両領域にわたり引き続き上記機能によって横すべりを小
さくするよう制御するべきこととなる値である所定の
値、例えば、横すべり角βに関する所定の横すべり角値
β2を、上記所定値として用い、従って、|β|≧β2
成立の場合も、|β|≧β2不成立の場合も、ともに、
横すべりを小さくするよう横すべり検出手段による横す
べりに応じて車輪に制動力を発生させ制御するための制
御実行領域とするところ、かかる制御中に上記切り換え
を行うことができ、|β|≧β2が成立するほど横すべ
りが大きい場合は、横すべりを小さくするように上記制
御をするとともに、前輪側については車輪ロック防止制
御を禁止し、後輪側については当該ロック防止制御を禁
止せずに実行可能とし(図17ステップS175B→S
175C→S193)、横すべりは発生するも、|β|
≧β2が成立するほどには横すべりが大きくはない|β
|≧β2不成立の状態に至れば、そこからは、横すべり
を小さくするような上記制御はこれを引き続き継続しつ
つ、前輪側での車輪ロック防止制御の禁止制御は解除
し、前輪及び後輪側ともに当該ロック防止制御を実行可
能とする(図17ステップS175B→S193)。よ
って、このものでは、横すべりを小さくするよう車輪に
制動力を発生させ制御する制動力制御(第1の制動力制
御)を行わせる場合に、同じく車輪制動力を制御するも
のではあるが低μ路等での制動時の車輪ロックの回避を
狙ったロック防止制御(第2の制動力制御)との効果的
な組み合わせを実現する制動力制御が可能であって、更
に、該ロック防止制御との両立も図れ、低μ路等での横
すべりの収束を良くし、制御を効果的なものとすること
ができ、ロック防止制御についてのかかる切り換えで、
例えば低μ路では前輪ロックは横すべりを収束する方向
であるが、後輪ロックはその逆であることから、発生横
すべりの収束にそれを効果的に利用でき、横すべりを小
さくするよう車輪に制動力を発生させ制御する場合に、
所定値以上の大きな横すべり発生時でその大きな横すべ
りを小さくする制御(第1の制動力制御)が働いている
ときは前輪側ではロック防止制御(第2の制動力制御)
はこれを禁止し前輪ロックを許し、後輪側ではロック防
止制御(第2の制動力制御)はこれを禁止せずに実行可
能とし、ロック防止制御を後輪側についてのみとし得
て、低μ路でも横すべりの収束を充分なものとすること
を可能ならしめ、かつまた、かくして、これで横すべり
が所定値未満の範囲内のものに至ると、そこからは、横
すべりを小さくするような制御(第1の制動力制御)は
継続しつつ、前輪側でのロック防止制御(第2の制動力
制御)の禁止制御は解除し、前輪及び後輪側ともに当該
ロック防止制御(第2の制動力制御)を実行可能とし得
て、ロック防止制御との効果的な組み合わせを実現させ
ることが可能で、低μ路での横すべりの収束性を高め、
ロック防止制御との両立も図ることができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図5は、本発明制動力制御に係る実施例装置
のシステム構成を示す。適用した車両は、ここでは前後
輪とも左右各輪の制動力を個々に制御可能なものであ
る。
【0016】図中、1L,1Rは左右前輪、2L,2R
は左右後輪、3L,3Rは前輪ホイールシリンダ、4
L,4Rは後輪ホイールシリンダをそれぞれ示す。5は
ブレーキペダル、6はブレーキペダル5の踏込みで2系
統7,8に同時に同じ液圧を出力するマスターシリンダ
で、系7のマスターシリンダ液圧は分岐した系7L,7
Rを経由し、ホイールシリンダ3L,3Rに至って前輪
1L,1Rを制動し、系8のマスターシリンダ液圧は分
岐した系8L,8Rを経由し、ホイールシリンダ4L,
4Rに至って後輪2L,2Rを制動する。
【0017】かかる通常の前後スプリット式2系統液圧
ブレーキ装置に対し、本例では左前輪ブレーキ液圧P
1、右前輪ブレーキ液圧P2、左後輪ブレーキ液圧P
3、右後輪ブレーキ液圧P4を供給する系7L,7R,
8L,8Rにそれぞれ、常態でこれらの系を開通するカ
ット弁11L,11R,12L,12Rを挿入する。そ
して、自動ブレーキ用の液圧源として機能するアキュム
レータ13を設け、これに向けポンプ14がリザーバ4
0のブレーキ液を供給することにより自動ブレーキ用の
液圧を蓄圧する。
【0018】ポンプ14の駆動モータ15は圧力スイッ
チ16を介して電源17に接続し、この圧力スイッチ1
6はアキュムレータ13の内圧が規定値に達する時開
き、モータ15(ポンプ14) をOFFするものとす
る。かくして、アキュムレータ13内には常時上記の規
定圧が貯えられている。
【0019】アキュムレータ13の内圧は回路18によ
りカット弁11L,11R,12L,12Rに印加し、
これらカット弁はアキュムレータ内圧に応動して対応す
る系7L,7R,8L,8Rを遮断するものとする。こ
れら系にそれぞれシリンダ19L,19R,20L,2
0Rの出力室を接続し、該シリンダの入力室に、各輪の
液圧制御アクチュエータとしての電磁比例弁21L,2
1R,22L,22Rの出力ポートを接続する。これら
電磁比例弁はソレノイド駆動電流i1 〜i4 に応じて出
力ポートをアキュムレータ圧回路18及びドレン回路2
3に通じ、対応するソレノイド駆動電流に比例した液圧
をシリンダ19L,19R,20L,20Rに供給す
る。
【0020】ここに、上記の自動ブレーキ液圧源13〜
17が正常でアキュムレータ13に圧力が貯えられてい
れば、これに応動して各カット弁11L,11R,12
L,12Rが既述の如くに対応する系7L,7R,8
L,8Rを遮断しているため、電磁比例弁21L〜22
Rが駆動電流i1 〜i4 を供給され、これらに比例した
圧力が対応するシリンダ19L〜20Rに供給される
時、これらシリンダは対応するホイールシリンダ3L〜
4Rに、その供給駆動電流i1 〜i4 に応じたブレーキ
液圧P1〜P4を供給し、車輪を制動することができ
る。
【0021】なお、液圧源13〜17の故障で上記の制
動作用が不能になった場合、アキュムレータ圧回路18
の圧力がなくなるため各カット弁11L,11R,12
L,12Rが対応する系7L,7R,8L,8Rを開通
することから、ブレーキペダル5の踏込みによりマスタ
ーシリンダ6から系7,8へ出力されるマスターシリン
ダ液圧が、そのまま各ホイールシリンダ3L,3R,4
L,4Rへ向かい、各車輪を直接制動することができ、
制動不能になることはない。
【0022】上記各電磁比例弁21L,21R,22
L,22Rに対するソレノイド駆動電流i1 〜i4 はコ
ントローラ31により制御し、このコントローラ31に
は、系7,8の液圧PF ,PR を検出する圧力センサ3
2,33からの信号、左前輪回転数ω1 、右前輪回転数
ω2 、左後輪回転数ω3 、右後輪回転数ω4 をそれぞれ
検出する車輪回転センサ35〜38からの信号、並びに
車両のヨーレイト(d/dt)φを検出するヨーレート
センサ39からの信号、車体の前後加速度(前後G)X
gを検出する前後Gセンサ51からの信号、及び横加速
度(横G)Ygを検出する横Gセンサ52からの信号を
入力する。
【0023】コントローラ31は、これら入力情報から
下記の制御プログラムを実行して、以下に説明する、横
すべりを小さくするように自動ブレーキをかける制動力
制御を含む車輪制動を行う。
【0024】図6及び図7は、コントローラ31が実行
する制御プログラムフローチャートの一例である。図6
において、まず、ステップ100,110,120でセ
ンサ信号を読み込む。即ち、圧力センサ32,33の信
号から系7,8のマスターシリンダ液圧P F ,PR を読
み込み(ステップ100)、前後Gセンサ51、横Gセ
ンサ52、ヨーレートセンサ39の信号から前後G(減
速度)Xg,横GYg,ヨーレイト(d/dt)φを読
み込み(ステップ110)、車輪回転センサ35〜38
の信号から車輪回転数ω1 〜ω4 を読み込む(ステップ
120)。
【0025】次のステップ130では車体速度を推定す
る。非制動中は非駆動輪の回転数の平均、即ち(ω1
ω2 )/2から、また制動中は全ての車輪の回転数ω1
〜ω 4 からアンチスキッド制御で通常行われている手法
により車速Vを求める。
【0026】なお、本実施例は車速情報は、上記の如く
に推定して得ているが、車速センサを有する車両の場合
は、そのセンサ信号からの車速値Vを用いてもよいこと
はいうまでもない。従って、その場合は、本プログラム
例は、ステップS120,130は車速センサ信号の読
み込み処理に代えればよい。従ってまた、車輪回転セン
サ35〜38を有しない車両でも適用できる。
【0027】次のステップ140においては、車両の横
すべり角βを求める。本プログラム例では、前記のセン
サ信号である横G、ヨーレイト(d/dt)φ、及び上
記車速値Vより横すべり角β値を下記の如くに推定して
得るものとする。
【数1】 Δβ=(Yg/V)−(d/dt)φ ・・・1a β←β+Δβ・Δt ・・・1b ここに、Δtは例えば5msとする。
【0028】なお、横すべり角βは、これに限らず、他
の手法で推定または検出してもよい。例えば、車両の前
後/左右速度を検出する光学式の速度センサを設け、そ
のセンサ信号である前後速度Vx、左右速度Vyより、
β=tan-1(Vx/Vy)≒Vx/Vyにより横すべ
り角βを算出してもよく、例えばまた、コントローラ内
に車両モデルをもち、それによりβを推定してもよい。
【0029】しかして、次にステップ150,160で
許容減速度Xgc決定、及び車両の横すべりを小さくす
るよう車輪に制動力を発生させ制御するためのブレーキ
液圧制御分の演算の各処理を実行する。
【0030】即ち、ステップ150においては、上記ス
テップ140で算出した横すべり角βに応じて許容減速
度Xgcを求める。本実施例では、例えば図8に示す横
すべり角β−許容減速度Xgc特性を用い、これを参照
し当該時点での算出横すべり角β値を基に許容減速度X
gc値を検索して決定する。ここに、Xgc値は、0〜
−1[G]の範囲のものとして設定される。
【0031】同図の特性においては、横すべりがゼロ付
近では許容減速度Xgcはほぼゼロ(これは、後述する
ようにほとんど制御が働かないことを意味する)であ
り、、そして横すべりが大きくなるとともに許容減速度
Xgcは大きくなるようにその特性が設定されている。
【0032】一方、ステップ160においては、上記算
出β値を用い、横すべりを止めるべく発生すべきブレー
キ圧分を求める。ここでは、前輪を対象とし、横すべり
を止めるべく前輪1L,1Rに発生すべきブレーキ液圧
ΔP1,ΔP2を次式に従って計算するものとする。
【数2】 ΔP1=KA ・β (β≧0のとき) =0 (β<0のとき) ・・・2
【数3】 ΔP2=−KA ・β(β<0のとき) =0 (β≧0のとき) ・・・3
【0033】ここに、KA (>0)は定数であり、ここ
では、上記から横すべりに比例したブレーキ液圧を発生
させるようΔP1,ΔP2値を算出することとするもの
である。また、上記各式において、算出横すべり角β値
の正負(β≧0、またはβ<0)並びにその大きさに応
じ、前左輪についてのΔP1値、前右輪についてのΔP
2値が、それぞれ該当する式に基づき決定されるが、横
すべり角βについては、図9に示す如き向きの場合を、
正方向と定めてあり、これは以下の説明でも同じとす
る。
【0034】よって、例えば、図9図示の方向の横すべ
り角β(β>0)のケースでは、左前輪1LにKA ・β
分の制動力を発生させるようΔP1=KA ・β値が設定
される一方で、右前輪1R側はΔP2値がΔP2=0に
設定されることとなる(式2,3)。この場合におい
て、横すべり角βが小さければ、該ブレーキ液圧ΔP1
分はそれだけ小さなものとして、また横すべり角βが大
きいときは、それだけ大きいものとして、算出決定され
る。
【0035】上記ステップ160に続くステップ170
(図7)では、前記ステップ110で読み込みんだXg
値と、ステップ150での設定許容減速度Xgc値とを
用いて、本ステップ170実行ごと当該時点での減速度
が許容減速度内か否かが判断される。
【0036】かかる判断結果に応じ、その答がYes
(Xg−Xgc≧0成立)なら、ステップ180をスキ
ップして指令ブレーキ液圧値演算処理のステップ190
に進んでステップ200による出力処理が実行され、一
方その答がNoで範囲外ならステップ180の処理を経
て、同ステップ190へ進み、同ステップ200が実行
される。
【0037】ステップ180は、上述の前輪左右ブレー
キ液圧ΔP1,ΔP2値に対する補正処理であり、減速
度が許容減速度を越えた場合に、前述のステップ160
にて決定したブレーキ液圧値ΔP1,ΔP2を小さくす
るように補正を加える。ここでは、許容減速度からの越
え量に応じて、下記の如くに、値1より小なる値をとる
補正係数λを用いて、かかる補正を行う。
【数4】ΔP1←λ・ΔP1 ・・・4
【数5】ΔP2←λ・ΔP2 ・・・5
【0038】図10は、上記で適用する補正係数λの特
性の一例を示し、係数λ値は、|Xg−Xgc|に対応
して、|Xg−Xgc|値が大きくなるにつれ値1から
減少して値0をとるように設定されている。
【0039】従って、ステップ170で現に車両の減速
度が設定許容減速度Xgc内か否かが監視され、そこか
ら直接ステップ190に進む場合においては、ステップ
160によるブレーキ液圧値ΔP1,ΔP2がそのとき
の算出横すべり角βに応じK A ・βまたは−KA ・βと
演算されると、そのままの値でステップ190以下の処
理に適用されるが、減速度が設定許容減速度Xgcを越
える場合にあっては、制御はステップ180による上記
の補正を経てステップ190を実行する処理の切り換え
られ、その時点の許容減速度からの越え量に応じて、上
記算出値KA ・βまたは−KA ・βそのものよりも小さ
なλ・KA ・βまたは−λ・KA ・βのものへと減じら
れ、それがブレーキ液圧ΔP1,ΔP2値として再設定
されてステップ190以下の処理に適用される。
【0040】ステップ190は、各輪のホイールシリン
ダへの前輪左目標ブレーキ液圧P1(S),前輪右目標
ブレーキ液圧P2(S),後輪左目標ブレーキ液圧P3
(S),後輪右目標ブレーキ液圧P4(S)を演算する
ための処理である。これら目標のブレーキ液圧は、本プ
ログラム例にあっては、基本的には対応する系7(前輪
側),8(後輪側)のマスターシリンダ液圧PF ,PR
にするが、前輪左右の車輪1L,1Rに関しては、それ
に、前記ステップ160またはステップ180で求めら
れている前輪左右ブレーキ液圧ΔP1,ΔP2分を加算
して、次の演算により定める。
【数6】 P1(S)=PF +ΔP1 ・・・6a P2(S)=PF +ΔP2 ・・・6b P3(S)=PR ・・・6c P4(S)=PR ・・・6d なお、式6a,6bの右辺第2項が自動ブレーキ機能に
よる本制動力制御に係る制御分であるが、同右辺第1項
部分、式6c,6dの右辺部分に、本制動力制御の制御
分以外の制御分の要素を含む態様のものとしてプログラ
ムを組んでもよい。
【0041】こうして、本ステップ190では、前記ス
テップ100での読み込みマスターシリンダ液圧PF
R 値と、前輪左右ブレーキ液圧ΔP1,ΔP2値とを
用い、各輪の目標ブレーキ液圧P1(S)〜P4(S)
を決定する。ここで、マスターシリンダ液圧値PF ,P
R がゼロ(即ち、ブレーキぺダル5を踏んでいない時)
なら自動ブレーキが前輪にかかるようになる。
【0042】しかして、ステップ200の処理において
は、本ステップ実行ごと、上述のようにして計算され求
められる目標ブレーキ液圧P1(S)〜P4(S)が得
られるように各輪液圧制御アクチュエータの電磁比例弁
21L,21R,22L,22Rの駆動電流i1 〜i4
を決定し、それらを対応する電磁比例弁に出力する出力
処理を実行していくことになる。
【0043】かくして、本プログラム例の制御では、既
述の如くに、カット弁11L〜12Rによる系7L,7
R,8L,8Rの遮断状態において、車両走行中、運転
者が減速を意図しブレーキペダル5を踏み込んでマスタ
ーシリンダ液圧PF ,PR を発生させるブレーキ操作
時、車両の横すべりが発生していない状態なら、前記の
A ・β値分によるΔP1及びΔP2制御分(式2〜
6)はなく、従って各輪目標ブレーキ液圧値P1(S)
〜P4(S)がそのまま対応する値PF ,PR に設定さ
れ、それに対応した駆動電流i1 〜i4 が出力されて、
そのブレーキペダル5の踏み込み通りのブレーキングで
減速を行わせられるとともに、マスターシリンダ液圧値
F ,PR がゼロでブレーキぺダル5を踏んでいないブ
レーキ非操作中でも、横すべりの発生をみたときには、
その時その時の横すべり角β値(ステップ140)に応
じて設定される許容減速度Xgc(ステップ150,図
8)を守りながら横すべりを小さくするようにと、式6
(a),(b)の右辺第2項に適用される上述のブレー
キ液圧ΔP1,ΔP2(式2〜5)によって前輪に自動
ブレーキをかけることができる。これにより、走行中、
車両挙動が乱れると、自動的にブレーキをかけて車両姿
勢をたて直す制動力制御が良好なフィーリングをもっ
て、また誤った操舵等の場合でも対処し得るようにして
適切に実現される。
【0044】車両の挙動制御に際し、たとえ早いレーン
チェンジでの過渡的状態でもフィーリングの低下が極力
抑制されるのであり、ヨーレイトF/Bで舵角を基準に
設定の目標ヨーレイトと実ヨーレイトとの偏差に応じ自
動ブレーキが作動する場合のものでは、そのような過渡
的状態において生ずることとなるヨーレイト偏差に応じ
た制動がかかって、その制動分、減速度の発生も伴うた
めフィーリングが悪くなるといった事態も回避される。
本制御においては、横すべりを小さくするように自動ブ
レーキをかけるが、その場合において、横すべりが相対
的に小さいときは減速度がほとんど発生しない程度に制
御を抑えるようにでき、横すべりが相対的に大きいとき
は、減速度が発生しても良いから、制御を確実に行え、
走行限界付近あるいは限界を越えない限り制御が作動し
ないといった場合のものにおけるような不利も解消さ
れ、通常状態での運転フィーリングの向上も図れる。
【0045】また、ヨーレイトF/B制動力制御で適用
するヨーレイト目標値を舵角を基準として算出し、制御
量を決定すると、誤った操舵を行ったような場合には、
車両の姿勢を立て直しにくくなるが、本制御ではこのよ
うなことも回避され、不確実な運転者の操作によらず、
横すべりを小さくするように自動ブレーキをかけられ
る。
【0046】また、基本的に横すべり角βに比例したブ
レーキ液圧ΔP1,ΔP2を発生させられ、横すべりが
大きいときはそれだけ制動がかかる結果、横すべりが大
きい場面は、本制御の方向性は、横すべりに応じ自動ブ
レーキがかかって車両に減速度が発生する方向に働くこ
ととになる。
【0047】次に、本発明の他の例について説明する。
図11及び図12は、本実施例(第2実施例)において
コントローラ31(図5)が実行する制御プログラム例
を示す。なお、システム構成は図5のものと同様であっ
てよい(この点は、後記例でも同じである)。また、制
御プログラムも、下記の部分を除き、基本的には前述し
たのと同様で、図11,12中のステップ100〜14
0、ステップ190,200は、前記例(第1実施例)
の図6,7の同一符号の各ステップによる処理内容と同
一のものである。
【0048】以下、要部を説明すると、図11におい
て、本プログラム例では、横すべり角β推定(ステップ
140)後、ステップ151では、横すべり角βに応じ
て目標減速度Xgsを図13に示す特性に従い決定す
る。ここでは、図13に示されるように、横すべり角β
がゼロ付近では目標減速度Xgsもゼロ、横すべり角β
が大きいところでは目標減速度Xgsは−1〔G〕とな
るようにしてある。
【0049】続くステップ161では横すべり角β値を
用い、前輪1L,1Rに発生すべきブレーキ液圧ΔP
1,ΔP2を設定するが、横すべりを止めつつ、目標減
速度Xgsになるようにフィードバック制御を行うた
め、前輪ブレーキ液圧値ΔP1,ΔP2は次式で求め
る。
【数7】 ΔP1=KB ・β+LB ・(Xg−Xgs) (β≧0のとき) =LB ・(Xg−Xgs) (β<0のとき) ・・・7
【数8】 ΔP2=−KB ・β+LB ・(Xg−Xgs)(β<0のとき) =LB ・(Xg−Xgs) (β≧0のとき) ・・・8 ここに、KB (>0),LB (>0)は定数である。 上記において、例えば、横すべり角βがβ>0のケース
(図9参照)なら、左前輪1L側はΔP1=KB ・β+
B ・(Xg−Xgs)と設定される一方で、右前輪1
R側はΔP2=LB ・(Xg−Xgs)0に設定され、
減速度Xgを目標値に一致させつつ制御がなされると
き、ΔP1=KB ・β、ΔP2=0となり、前記例と同
様の態様のものとなる。
【0050】次のステップ171(図12)では、計算
上の不具合が出ないようにΔP1≧0,ΔP2≧0とす
る処理を行う。即ち、もし、上記で算出のブレーキ液圧
値ΔP1,ΔP2が負値となるとき、その場合は値ΔP
1=0,値ΔP2=0に設定し、そのようにブレーキ液
圧値ΔP1,ΔP2を0以上とする処理をして、次のス
テップ190,200にて、前記制御プログラムと同
様、前記式6に従い各輪の目標ブレーキ液圧P(S)1
〜P(S)4を決定し、斯く演算されたブレーキ液圧に
なるように電磁制御弁に電流i1 〜i4 を流す出力処理
を実行するものである。
【0051】本プログラム例の制御によれば、車両の横
すべりが発生したとき、横すべり角βに応じて目標減速
度Xgsを設定し、その設定された目標減速度Xgsを
守りながら横すべりを小さくするように前輪左右に制動
力を発生させ制御することができる。本実施例によって
も、車両挙動の乱れに対し、自動的にブレーキをかけて
車両姿勢をたて直す制動力制御を適切に実現でき、前記
実施例と同様の作用効果を奏し得る。
【0052】次に例をもって示すのは、前記各例による
ものが、車両の横すべりを推定または検出し、横すべり
に応じて許容減速度または目標減速度を設定し、斯く設
定される許容減速度または目標減速度を守りながら横す
べりを小さくするように4輪に制動力を発生させ制御す
る制動力制御装置の場合の例であったが、本実施例は、
推定または検出される横すべりが所定値以下の場合は前
輪左右に制動力を発生させて制御し、横すべりが所定値
を越える場合、前輪左右に加え、後輪にも制動力を発生
させて制御しようというものである。
【0053】図14及び図15は、本実施例(第3実施
例)においてコントローラ31(図5)が実行する制御
プログラム例である。本プログラム例においても、図1
4に示すように、ステップ100〜140で、前記第
1,第2実施例と同様のセンサ信号の読み込み、車速推
定、横すべり角βの推定の各処理を行う。
【0054】続くステップ152では、横すべり角β値
を基に、次のステップ162でのブレーキ液圧値設定処
理において適用する、横すべりに対する前輪用ゲインK
c と後輪用ゲインLc とを決定する。
【0055】図16(a),(b)は、かかる前輪用ゲ
インKc 及び後輪用ゲインLc の決定に適用することの
できるテーブル特性の一例である。前輪用ゲインKc
ついては、例えば、横すべり角βが所定値β1(|β|
は横すべり角β値の絶対値)までの小さな範囲では値0
か、乃至は徐々に増加する値をとり、その所定値β1を
上回れば同図(a)如くに増加するよう定めることがで
きる。一方、後輪用ゲインLc 側については、同図
(b)のように、横すべり角βに関し上記の所定値β1
より大なる値β2を所定値と設定してあり、該所定値β
2までの範囲は値0で、それを上回ると図示の如くに増
加するように予め定められている。なお、ゲインKc
ゲインLに関しては、上記のβ1<β2の関係条件の下
なら、所望のものにその特性傾向を設定できるものであ
る。本ステップ152では、図16(a),(b)のテ
ーブルを参照して、当該時点の横すべり角βに対応する
それぞれのゲイン値Kc ,ゲイン値Lc を検索、決定す
る。
【0056】しかして、ステップ162において、本プ
ログラム例では、前輪及び後輪をそれぞれ対象として、
即ち後輪側をも対象として、横すべり角β値と上記で得
た前輪用ゲインKc 値及び後輪用ゲインLc 値を用い、
横すべりを小さくするよう前輪1L,1Rに発生すべき
ブレーキ液圧ΔP1,ΔP2、及び後左輪2Lに発生す
べきブレーキ液圧分ΔP3並びに後左輪2Lに発生すべ
きブレーキ液圧分ΔP4のそれぞれを、次式に従って求
める。
【数9】ΔP1=Kc ・β ・・・9
【数10】ΔP2=−Kc ・β ・・・10
【数11】ΔP3=Lc ・|β| ・・・11
【数12】ΔP4=Lc ・|β| ・・・12
【0057】次のステップ172(図15)は、前記第
2実施例のステップ171(図12)と同様の処理であ
って、ここで算出ブレーキ液圧値が負の値をとらないよ
うにし、続くステップ192では、4輪の各目標ブレー
キ液圧P1(S)〜P4(S)につき、前後左右4輪の
ブレーキ液圧ΔP1,ΔP2,ΔP3,ΔP4分それぞ
れを用いて、これらを次式、
【数13】 P1(S)=PF +ΔP1 ・・・13a P2(S)=PF +ΔP2 ・・・13b P3(S)=PR +ΔP3 ・・・13c P4(S)=PR +ΔP4 ・・・13d により決定し、そして前記各例と同様のステップ200
による電磁制御弁駆動電流i1 〜i4 出力処理を実行す
るものである。
【0058】本プログラム例の制御によると、次のよう
な制御が加味されることになる。ステップ152で前輪
用ゲインKc ,後輪用ゲインLc が決定され、前記式9
〜12によるステップ162→ステップ172→前記式
13a〜13dによるステップ193→ステップ200
で処理が進められていくと、ここでは、前輪側は横すべ
り角βが所定値β1を越えたら制御を開始するのに対
し、後輪側は該所定値β1より大きな別の所定値β2を
越えたら制御を開始する。即ち、当該所定値β2は、後
輪制動力発生のための判別値として機能し、制御は、こ
れに基づき、選択的に、前輪側自動ブレーキの場合と、
前輪側及び後輪側に自動的にブレーキがかかる場合とに
切り換わり、使い分けられる。
【0059】前輪側による自動ブレーキ作動中でも、横
すべり角βがその所定値β2まで大きさの領域のとき、
β値にかかわらず、後輪用ゲインLc は値0、従って後
輪ブレーキ液圧値ΔP3,ΔP4も値0でそのΔP3,
ΔP4分による後輪2L,2Rに対する自動ブレーキは
かからない(図16(b)、式11,12,13c,1
3d)。よって、この場合、そのΔP3,ΔP4分の減
速度を伴うことはない。だが、もし、横すべり角βが所
定値β2を越える程度に大きものであれば、前輪側に加
え、ステップ162において後輪ブレーキ液圧値ΔP
3,ΔP4も、所定値β2 を越えるその横すべり角β値
に対応して決定された後輪用ゲイン値Lcをもって値L
c ・|β|と設定される結果、その後輪ブレーキ液圧分
で後輪2L,2Rも制動がなされる。これにより、横す
べりの非常に大きな領域では4輪で制動して減速度を発
生することになる。ゲインKc ,Lc を調整することに
より、横すべりが小さくなる度合以上に、車両速度を低
下させることもできる。
【0060】本例に従えば、横すべり発生時、横すべり
を小さくするように自動ブレーキをかけ、横すべりが相
対的に小さいときは減速度がほとんど発生しない程度に
制御を抑えるも、横すべりが相対的に大きいときは減速
度が生じても良いから制御を確実に行え、また、より横
すべりの大きい領域は、横すべりを小さくするのに必要
な減速度以上の減速度を発生させることも容易に実現で
き、減速重視による安全性の向上のための減速度発生が
確保される。ハンドル操作が効かないほど横すべりが大
きい時は横すべりを小さくする以上に減速することを重
視した方がこうした場面での安全性が高まるところ、こ
のような立場からみれば、従来方式のいずれも、横すべ
りが大きいときの減速度が不充分であり、上記の如き安
全性能の向上はこれを充分には引き出しにくいが、本制
御では、適切に制御を使い分けてそれに対応でき、減速
させることを重視して、充分な減速度の発生を後輪のブ
レーキ液圧分による制動も加えることにより確実に達成
させられる。
【0061】なお、上記第1〜第3実施例において、ブ
レーキペダル5の踏み込みによるブレーキ操作中(制動
中)でも、車両の横すべりが発生すると、それぞれ該当
する対応ΔP1,ΔP2,ΔP3,ΔP4分による制御
が作動するものである。
【0062】次に、本発明の更に他の例につき、図17
を用いて説明する。以下に述べる例は、アンチスキッド
制御(ABS制御)と、車両の横すべりを推定または検
出し、横すべりが所定値以上ではこれを小さくするよう
に4輪に制動力を発生させ制御する4輪制動力制御とを
組み合わせ、低μ路等での横すべりの収束性を高めよう
というもので、例えば上記4輪制動力制御で横すべりを
小さくするべく4輪が制御されているときは、前輪につ
いてはABSによるロック防止制御を禁止し、後輪につ
いてはロック防止制御を優先させる。
【0063】図17は、本実施例(第4実施例)におい
てコントローラ31(図5)が実行する制御プログラム
の後半部分のフローチャート例である。ここでは、その
前半部分については、上記第3実施例に係る4輪制動力
制御による図14の制御プログラム部分と同じとし、図
示は省略してある。また、図17中のステップ172
も、その第3実施例の図15の同一符号のステップでの
処理内容と同一のものである。従って、本実施例でも、
第3実施例の場合と同様のステップ100,110,1
20,130,140,152,162,172の各処
理を実行し、図17のステップ175A以降へ進む。
【0064】以下、本実施例での要部を説明すると、図
17において、ステップ175Aでは、ABS制御によ
る各輪の減圧量ΔPABSiを決定する。従って、本制御例
によるものの場合、車両のブレーキシステムは車輪ロッ
クを防止するよう制動力を制御するABS制御も行うも
のである。ここで、ABS制御則自体については、既知
のものであってよい。例えば図5の如き各輪ごとの車輪
速センサを有して4チャンネル4センサ方式のABS制
御が可能なシステムなら、車体速Vから目標車輪速ω*
(例えば、ω* =0.8×V)を得、これと各輪の回転
数ω1 〜ω4 との偏差等に基づいて4輪それぞれについ
ての減圧量ΔP ABSi(i=1〜4)、即ち前左輪の減圧
量ΔPABS1、前左輪の減圧量ΔPABS2、前左輪の減圧量
ΔPABS3、前左輪の減圧量ΔPABS4を決定する方式によ
るものとすることができる。
【0065】ステップ175Bは、横すべりが非常に大
きいか否かを判断するもので、ここでは所定値β2を判
別値として用い、|β|≧β2かをチェックする。その
結果、|β|≧β2不成立で横すべりが発生していない
か、または発生しても横すべりが大きくなければステッ
プ193へ進んで、各4輪の目標ブレーキ液圧P1
(S)〜P4(S)を演算する。
【0066】演算は、ステップ162の前述の式9〜1
2の前後左右4輪のブレーキ液圧値ΔP1,ΔP2,Δ
P3,ΔP4、及びステップ175Aによる前後左右4
輪の各減圧量ΔPABSi値も適用して行い、Pi(S)
(i=1〜4)を、次式、
【数14】 P1(S)=PF +ΔP1−ΔPABS1 ・・・14a P2(S)=PF +ΔP2−ΔPABS2 ・・・14b P3(S)=PR +ΔP3−ΔPABS3 ・・・14c P4(S)=PR +ΔP4−ΔPABS4 ・・・14d (但し、Pi(S)<0のときは、Pi(S)=0とす
る) により決定し、そして第1〜第3実施例と同様、ステッ
プ200で出力処理を実行する。
【0067】一方、ステップ175Bのチェックで、|
β|≧β2が成立するほど横すべりが非常に大きい場合
はステップ175Cへ進んで、後述の如く、あえて前輪
のABSを禁止し、ロックを許容するようにするため、
前輪左右1L,1Rの減圧量ΔPABS1,ΔPABS2値を値
0にする。ここで、前輪1L,1R側をロックさせる理
由は、前輪ロックによりタイヤの横力が大きく低下し
(ほとんどゼロ)、車両の回転モーメントが低下して、
車両は進行方向に進もうとすることを利用するためであ
る。しかして、このステップ175Cの処理を経て、上
記したステップ193,200の処理を実行するもので
ある。
【0068】このようにすると、特にABS車に適用し
て、横すべりを小さくするよう制御を行わせる場合、A
BSとの両立も図れ、低μ路等での横すべりの収束を良
くし、制御を効果的なものとすることができる。
【0069】(1)ケース1 例えば、運転者のブレーキペダル5の踏み込みによる制
動状態で、かつABS制御が作動する低μ路での制動
時、横すべりが発生していない状態なら、算出減圧量Δ
ABSi値(ステップ175A)は、そのままステップ1
93の式14(a)〜(c)の各右辺のABS制御分に
適用され、この場合、P1(S)=PF −ΔPABS1、P
2(S)=PF −ΔPABS2、P3(S)=PR −ΔP
ABS3、P4(S)=PR −ΔPABS4に従い、車輪ロック
を防止する制動力制御が遂行される。こうして、前輪及
び後輪を対象にABS制御が実行される。
【0070】(2)ケース2 また、そのとき横すべりが発生するも、横すべり角βが
所定値β2の範囲内なら、ステップ175Cはスキップ
され、やはり式14(a)〜(c)の各右辺のABS制
御分としては算出減圧量ΔPABSi値がそのまま適用さ
れ、本プログラム例では、P1(S)=PF +ΔP1−
ΔPABS1、P2(S)=PF +ΔP2−ΔPABS2、P3
(S)=PR −ΔPABS3、P4(S)=PR −ΔPABS4
に従い、前輪側は、横すべりに対する自動ブレーキ制御
分とABS制御分で、後輪側は、ABS制御分で車輪制
動がなされていくことになる。
【0071】(3)ケース3 これに対し、所定値β2以上のときは、処理はステップ
175C側に切り換えられ、ここで、前輪の減圧量の方
だけ、ΔPABS1=0,ΔPABS2=0に再設定される。結
果、P1(S),P2(S)のABS制御分は値0で前
輪ロックに向かい、一方、後輪側は、P3(S)=PR
+ΔP3−ΔPABS3、P4(S)=PR+ΔP4−ΔP
ABS4となり、横すべりが大きくてそれを小さくする制御
が働いているときはABS制御につき前輪ABSが禁止
され、後輪ABSのみとなされる。
【0072】本実施例では、こうして、ABS実行領域
に該当していてもあえて前輪ABSを実行させずにロッ
クに向かわせ、先に触れた如くの横すべり発生状態の車
両を進行方向に進ませるようにすることを活用する。ま
た、例えば低μ路では前輪ロックは横すべりを収束する
方向であるが、後輪ロックはその逆であるため、本制御
によらずに低μ路での制動場面で先に後輪ロックをみる
と、かかる低μ路での横すべりの収束が不充分であるの
に対し、本制御に従うと、上記の選択的な切り換えで適
切な組み合わせを実現でき、大きな横すべりの発生して
いる低μ路での当該横すべりの収束を充分なものとし得
て、上記ケース(3)の制御場面にあって、その大きな
横すべりをもこれをよく収束方向に向かわせることがで
きる。かくして、これで横すべり角βが所定値β2の範
囲内のものに至れば、上記前輪ABS禁止制御を解除さ
れ、そこからは上記ケース(2)の制御場面となり、引
き続き横すべりを小さくするような制御は継続し、かく
て本実施例制御は、該当場面での車両姿勢をよくたて直
し、運転者の操縦を援護する。
【0073】また、上記制御において、ブレーキ非操作
中で、横すべりが発生する場合であるなら、制御内容と
しては、減圧量ΔPABSi=0で、結果、式14(a)〜
(c)は前記式13(a)〜(c)のP1(S)=PF
+ΔP1、P2(S)=PF+ΔP2、P3(S)=P
R +ΔP3、P4(S)=PR +ΔP4に表されるもの
となる。故に、実質的に前記第3実施例の場合と同じ
で、横すべりを小さくする制御が働き、同様の作用効果
を奏するものである。なおまた、制動中でも、ABS非
作動なら、これも上記と同じである。
【0074】なお、本発明は、以上の各例に限定される
ものではない。例えば、後2輪は共通に制動力制御を行
うものでもよく、第4実施例でもABS制御はいわゆる
3チャンネル方式のものにも適用できる。また、例え
ば、第1〜第4実施例の組合せでもよい。横すべりを小
さくするように自動ブレーキをかけ、横すべりが相対的
に小さいときは減速度がほとんど発生しない程度に制御
を抑え、横すべりが相対的に大きいときは、減速度が発
生しても良いから制御を確実に行い、場合によっては横
すべりを小さくするのに必要な減速度以上の減速度を発
生させ、更に、横すべりを小さくする制御が働いている
ときは前輪ABSを禁止し、後輪ABSのみとすること
により、自動ブレーキ機能を有する制動力制御の改善を
実施してもよいものである。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、車両の横すべり発生
時、横すべりに応じ請求項1では許容減速度を、請求項
2では目標減速度を守りながら横すべりを小さくするよ
うにと自動的に車輪に制動力を発生させて車両挙動を制
御することができ、横すべりが小さいときは減速度の発
生がフィーリングを損なわない程度に制御を抑え、横す
べりが大きいときは減速度が発生しても良いから制御を
確実に行い、横すべりを収束させることも容易に可能
で、早いレーンチェンジでの過渡的状態でもヨーレイト
をフィードバックさせて自動ブレーキをかける場合のも
のにおけるようなフィーリングの低下を避けつつ、かつ
また通常状態での運転フィーリングの向上も図ることが
でき、しかも不確実な運転者の例えば誤ったハンドル操
作等があったとしても、それによらずに対処可能であ
り、車両走行中の車両挙動の乱れに対し、車両姿勢をた
て直す制御を、良好なフィーリングで、かつ誤った操舵
等の場合でもこれに対応し得る適切な制動力制御をもっ
て実現できる。
【0076】また、請求項3では、横すべりが所定値よ
り小さい場合は前輪左右の制御対象車輪に制動力を発生
させて制御し、所定値以上の場合その前輪左右の制御に
加え、後輪にも制動力を発生させて制御することができ
る。かかる使い分けは、横すべりを小さくするよう車輪
に制動力を発生させ制御する場合に、更に、制御場面に
よっては横すべりが大きいときは横すべりを小さくする
以上に減速することを重視した方が事故回避性を高めら
れることを考慮した制御をも可能とすることができる。
従って、横すべりが所定値より小さいときは後輪側によ
る減速度を伴わないで制御を行える上、該所定値をこえ
るほどに横すべりが大きな領域ではその減速重視の立場
からの制御にもこれに適切に応え得て、横すべりを小さ
くするのに必要な減速度以上の減速度を充分、確実に発
生させることもできる。
【0077】また、請求項4の場合は、横すべりを小さ
くするよう車輪に制動力を発生させ制御する制動力制御
を行わせる場合、同じく車輪制動力を制御するものでは
あるが低μ路等での制動時の車輪ロックの回避を狙った
ロック防止制御との効果的な組み合わせを実現する制動
力制御が可能であって、更に、該ロック防止制御との両
立も図れ、低μ路等での横すべりの収束を良くし、制御
を効果的なものとすることができ、ロック防止制御につ
いての本請求項記載の如くの切り換えで、例えば低μ路
では前輪ロックは横すべりを収束する方向であるが、後
輪ロックはその逆であることから、発生横すべりの収束
にそれを効果的に利用でき、横すべりを小さくするよう
車輪に制動力を発生させ制御する場合に、所定値以上の
大きな横すべり発生時でその大きな横すべりを小さくす
る制御が働いているときは前輪側ではロック防止制御は
これを禁止し前輪ロックを許し、後輪側ではロック防止
制御はこれを禁止せずに実行可能とし、ロック防止制御
を後輪側についてのみとし得て、低μ路でも横すべりの
収束を充分なものとすることを可能ならしめ、かつま
た、かくして、これで横すべりが所定値未満の範囲内の
ものに至ると、そこからは、横すべりを小さくするよう
な制御は継続しつつ、前輪側でのロック防止制御の禁止
制御は解除し、前輪及び後輪側ともに当該ロック防止制
御を実行可能とし得て、ロック防止制御との効果的な組
み合わせを実現させることが可能で、低μ路での横すべ
りの収束性を高めることもでき、ロック防止制御との両
立も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明制動力制御装置の概念図である。
【図2】本発明制動力制御装置の概念図である。
【図3】本発明制動力制御装置の概念図である。
【図4】本発明制動力制御装置の概念図である。
【図5】本発明の制動力制御装置の一実施例を示すシス
テム図である。
【図6】同例におけるコントローラの制御プログラムの
一例にして、その前半部分を示すフローチャートであ
る。
【図7】その後半部分を示すフローチャートである。
【図8】同プログラムに適用できる許容減速度設定特性
の一例を示す図である。
【図9】車両の横すべり角の説明図である。
【図10】同プログラムに適用できる補正係数の特性の
一例を示す図である。
【図11】本発明の他の実施例に係る制御プログラムの
一例にして、その前半部分を示すフローチャートであ
る。
【図12】その後半部分を示すフローチャートである。
【図13】同プログラムに適用できる目標減速度設定特
性の一例を示す図である。
【図14】本発明の更に他の実施例に係る制御プログラ
ムの一例にして、その前半部分を示すフローチャートで
ある。
【図15】その後半部分を示すフローチャートである。
【図16】同プログラムに適用できるゲイン特性の一例
を示す図である。
【図17】本発明の更に他の実施例に係る制御プログラ
ムの一例を示すものであって、その要部を示すフローチ
ャートである。
【符号の説明】
1L,1R 前輪 2L,2R 後輪 3L,3R,4L,4R ホイールシリンダ 5 ブレーキぺダル 6 マスターシリンダ 11L,11R,12L,12R カット弁 13 アキュムレータ 14 ポンプ 19L,19R,20L,20R シリンダ 21L,21R,22L,22R 電磁比例弁 31 コントローラ 32,33 圧力センサ 35〜38 車輪回転センサ 39 ヨーレイトセンサ 51 前後加速度(前後G)センサ 52 横加速度(横G)センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸古 直樹 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−221300(JP,A) 特表 平3−500868(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 7/12 - 8/96

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の車輪制動力を制御する装置にし
    て、 車両の横すべりを推定または検出する横すべり検出手段
    と、 該推定または検出される横すべりに応じて許容減速度を
    設定する許容減速度設定手段と、 該設定手段により設定される許容減速度を守りながら横
    すべりを小さくするように前記横すべり検出手段の推定
    または検出横すべりに基づき制御対象車輪に制動力を発
    生させ制御する機能を有し、当該制動力を、減速度が前
    記許容減速度内の場合は当該推定または検出横すべりに
    応じた制動力とし、減速度が前記許容減速度を越える場
    合にはその越え量が大きくなるにつれ当該推定または検
    出横すべりに応じた制動力から当該越え量に応じて減じ
    られた小さな制動力とするように設定する手段を含む、
    車輪制動力制御手段と を有することを特徴とする制動力制御装置。
  2. 【請求項2】 車両の車輪制動力を制御する装置にし
    て、 車両の横すべりを推定または検出する横すべり検出手段
    と、 該推定または検出される横すべりに応じて目標減速度を
    設定する目標減速度設定手段と、 該設定手段により設定される目標減速度を守りながら横
    すべりを小さくするように前記横すべり検出手段の推定
    または検出横すべりに基づき制御対象車輪に制動力を発
    生させ制御する機能を有し、当該制動力として、当該推
    定または検出横すべりに応じた制動力による第1の制動
    力成分と、減速度と前記目標減速度との差に応じた制動
    力による第2の制動力成分とを設定すると共に、当該差
    がゼロで減速度を前記目標減速度に一致させつつ制御が
    なされる場合には当該第1の制動力成分による当該制動
    力を発生させ制御がなされるように制動力を設定する手
    段を含む、車輪制動力制御手段と を有することを特徴とする制動力制御装置。
  3. 【請求項3】 車両の車輪制動力を制御する装置にし
    て、 車両の横すべりを推定または検出する横すべり検出手段
    と、該横すべり検出手段の推定または検出横すべりが所定値
    より小さい場合は、横すべりを小さくするよう当該推定
    または検出横すべりに応じて前輪左右の制御対象車輪に
    制動力を発生させ制御し、該横すべり検出手段の推定ま
    たは検出横すべりが 所定値以上の場合は、当該前輪左右
    の制御に加え、後輪にも制動力を発生させて制御する4
    輪制動力制御手段と を有することを特徴とする制動力制御装置。
  4. 【請求項4】 前輪及び後輪の車輪ロックを防止するよ
    う車輪制動力を制御可能な車両の制動力制御装置にし
    て、 車両の横すべりを推定または検出する横すべり検出手段
    と、 横すべりを小さくするよう、その横すべり検出手段によ
    る横すべりに応じて車輪に制動力を発生させ制御する機
    能を有し、その横すべり検出手段の推定または検出横す
    べりが所定値以上では、該機能による制御実行時、前輪
    側については前記車輪ロック防止制御を禁止し、後輪側
    については当該ロック防止制御を禁止せずに実行可能と
    し、かつ、該推定または検出横すべりが該所定値未満に
    なると、該機能による制御は継続しつつ、前輪側での車
    輪ロック防止制御の禁止制御は解除し、前輪及び後輪側
    ともに当該ロック防止制御を実行可能とするように、そ
    のロック防止制御についての選択的な切り換え制御をな
    す切換制御手段を含む、4輪制動力制御手段と を有することを特徴とする制動力制御装置。
JP23485593A 1993-09-21 1993-09-21 制動力制御装置 Expired - Fee Related JP3296041B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23485593A JP3296041B2 (ja) 1993-09-21 1993-09-21 制動力制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23485593A JP3296041B2 (ja) 1993-09-21 1993-09-21 制動力制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0789427A JPH0789427A (ja) 1995-04-04
JP3296041B2 true JP3296041B2 (ja) 2002-06-24

Family

ID=16977410

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23485593A Expired - Fee Related JP3296041B2 (ja) 1993-09-21 1993-09-21 制動力制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3296041B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3435924B2 (ja) * 1995-08-25 2003-08-11 トヨタ自動車株式会社 車輌の制動力制御装置
EP1958839B1 (en) 2005-12-27 2010-03-03 Honda Motor Co., Ltd Vehicle control device

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3827883A1 (de) * 1988-08-17 1990-02-22 Bosch Gmbh Robert Antiblockierregelsystem
JP2663712B2 (ja) * 1990-11-28 1997-10-15 トヨタ自動車株式会社 車両制御装置
JP3527748B2 (ja) * 1992-02-13 2004-05-17 トヨタ自動車株式会社 車両運動制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0789427A (ja) 1995-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3248413B2 (ja) 車輌の挙動制御装置
US20120316733A1 (en) Vehicle turning control device
JP2000135974A (ja) 車両の運動制御装置
JP2005271824A (ja) 車両の挙動制御装置
JP2005271820A (ja) 車両のロールオーバ抑制制御装置
JP3257375B2 (ja) 車輌の挙動制御装置
JP2572860B2 (ja) 車両の旋回挙動制御装置
JP3303435B2 (ja) 駆動・制動力配分制御装置
JP3296041B2 (ja) 制動力制御装置
JP2572856B2 (ja) 車両の旋回挙動制御装置
JP3248272B2 (ja) 制動力配分制御装置
JP2623840B2 (ja) 車両の旋回挙動制御装置
JP2005271821A (ja) 車両の挙動制御装置
JP3894059B2 (ja) 車線逸脱防止装置
JPH0345452A (ja) 車両の旋回挙動制御装置
JPH07117645A (ja) 制動制御装置
JP3522157B2 (ja) 車両の制動操作状態判定手段及び該制動操作状態判定手段を備えた前後制動力配分制御装置
JP3214163B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JPH10264796A (ja) 車両の姿勢制御装置
JP2005271817A (ja) 車両の挙動制御装置
JP4733453B2 (ja) 車両用ブレーキ液圧制御装置
JP2572850B2 (ja) 車両の旋回挙動制御装置
JP2988223B2 (ja) 車両姿勢制御装置
JP3170931B2 (ja) 制動力制御装置
JP2572857B2 (ja) 車両の旋回挙動制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090412

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090412

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100412

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371