JP3290751B2 - 高加工性高温高強度フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
高加工性高温高強度フェライト系ステンレス鋼Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、高加工性高温高強度
フェライト系ステンレス鋼、特に、自動車用エンジンの
マニホールド用鋼等の用途に適したフェライト系ステン
レス鋼に関する。
フェライト系ステンレス鋼、特に、自動車用エンジンの
マニホールド用鋼等の用途に適したフェライト系ステン
レス鋼に関する。
【０００２】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼は、オーステ
ナイト系ステンレス鋼に比較して以下の点で優れる。 （１）熱膨張係数が小さい。すなわち、繰り返し加熱を
受けるような環境での特性（耐酸化性熱疲労特性）に優
れる。 （２）他の部品（鋼、鋳物）との接合が容易である。 （３）安価である。 フェライト系ステンレス鋼は上記の特性を有するため、
９００℃程度の環境にさらされる自動車エンジンのエキ
ゾーストマニホールドにＪＩＳのＳＵＳ４３０ＬＸ（１
８Ｃｒ−０．３Ｎｂ−０．５Ｃｕ）等が用いられ、ま
た、特開昭６４−８２５４号公報等でもエキゾーストマ
ニホールドに適したフェライト系ステンレス鋼が提案さ
れている。
ナイト系ステンレス鋼に比較して以下の点で優れる。 （１）熱膨張係数が小さい。すなわち、繰り返し加熱を
受けるような環境での特性（耐酸化性熱疲労特性）に優
れる。 （２）他の部品（鋼、鋳物）との接合が容易である。 （３）安価である。 フェライト系ステンレス鋼は上記の特性を有するため、
９００℃程度の環境にさらされる自動車エンジンのエキ
ゾーストマニホールドにＪＩＳのＳＵＳ４３０ＬＸ（１
８Ｃｒ−０．３Ｎｂ−０．５Ｃｕ）等が用いられ、ま
た、特開昭６４−８２５４号公報等でもエキゾーストマ
ニホールドに適したフェライト系ステンレス鋼が提案さ
れている。
【０００３】しかしながら、近年では、自動車の高級
化、エンジンの大型化に伴いエンジンルーム内でエキゾ
ーストマニホールドの占有できるスペースが小さくな
り、エキゾーストマニホールドの形状の制約も大きく、
素材としてのステンレス鋼に高い加工性が要求される。
さらに一度加工した後の加工、即ち２次加工での靱性が
不足し、脆性破壊する点も改善要求がある。また、高温
高耐力材料を用いて軽量化を図りたいとの要求も大き
い。このため、従来から、上記３つの要求を同時に満た
すことができるフェライト系ステンレス鋼の開発が求め
られていた。
化、エンジンの大型化に伴いエンジンルーム内でエキゾ
ーストマニホールドの占有できるスペースが小さくな
り、エキゾーストマニホールドの形状の制約も大きく、
素材としてのステンレス鋼に高い加工性が要求される。
さらに一度加工した後の加工、即ち２次加工での靱性が
不足し、脆性破壊する点も改善要求がある。また、高温
高耐力材料を用いて軽量化を図りたいとの要求も大き
い。このため、従来から、上記３つの要求を同時に満た
すことができるフェライト系ステンレス鋼の開発が求め
られていた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明は、
９００℃程度の高温において高耐力化しつつ室温におい
ても高加工性、２次加工性を有するフェライト系ステン
レス鋼を提供することを目的とする。
９００℃程度の高温において高耐力化しつつ室温におい
ても高加工性、２次加工性を有するフェライト系ステン
レス鋼を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明者は、大きな高温
耐力を維持しつつ室温加工性の向上を図るべく鋭意研究
を行った結果、ＴｉとＮｂとの複合添加、Ｃｏ単独ある
いはＣｏとＶの同時添加が有効なことを見出した。これ
は、高温耐力の向上にはＴｉ系およびＮｂ系の析出物よ
りも固溶Ｎｂが大きく寄与するため、特にＴｉによる効
果はないが、室温下での強度は転位の固着にＴｉ系およ
びＮｂ系の析出物が寄与し、特に室温下において大きな
Ｔｉ系の析出物を析出させ転位を動きやすくさせるＴｉ
とＮｂとの複合添加が強度上昇を抑制するためと考えら
れる。しかし、Ｔｉによって２次加工性が劣下するた
め、さらにＣｏ単独あるいはＣｏとＶの添加が２次加工
性向上に非常に有効であることを見出し、本発明を完成
した。
耐力を維持しつつ室温加工性の向上を図るべく鋭意研究
を行った結果、ＴｉとＮｂとの複合添加、Ｃｏ単独ある
いはＣｏとＶの同時添加が有効なことを見出した。これ
は、高温耐力の向上にはＴｉ系およびＮｂ系の析出物よ
りも固溶Ｎｂが大きく寄与するため、特にＴｉによる効
果はないが、室温下での強度は転位の固着にＴｉ系およ
びＮｂ系の析出物が寄与し、特に室温下において大きな
Ｔｉ系の析出物を析出させ転位を動きやすくさせるＴｉ
とＮｂとの複合添加が強度上昇を抑制するためと考えら
れる。しかし、Ｔｉによって２次加工性が劣下するた
め、さらにＣｏ単独あるいはＣｏとＶの添加が２次加工
性向上に非常に有効であることを見出し、本発明を完成
した。
【０００６】すなわち、この発明は、 Ｃ：０．０１５重量％以下、Ｓｉ：２．０重量％以下、 Ｍｎ：０．２０重量％以上２．０重量％以下、 Ｃｒ：１０重量％以上２０重量％以下、 Ｎｉ：１．０重量％以下、Ｎｂ：０．１重量％以上０．
４重量％未満、 Ｔｉ：０．０２重量％以上０．５重量％以下、Ａｌ：
０．２重量％以下、 Ｃｏ：０．０５重量％以上１．０重量％以下または、Ｃ
ｏ：０．０５重量％以上１．０重量％以下とＶ：０．０
５重量％以上１．０重量％以下、および Ｎ：０．０３重量％以下 を含み、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなること
を特徴とする高加工性高温高強度フェライト系ステンレ
ス鋼を提供する。
４重量％未満、 Ｔｉ：０．０２重量％以上０．５重量％以下、Ａｌ：
０．２重量％以下、 Ｃｏ：０．０５重量％以上１．０重量％以下または、Ｃ
ｏ：０．０５重量％以上１．０重量％以下とＶ：０．０
５重量％以上１．０重量％以下、および Ｎ：０．０３重量％以下 を含み、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなること
を特徴とする高加工性高温高強度フェライト系ステンレ
ス鋼を提供する。
【０００７】また、この発明は、上記フェライト系ステ
ンレス鋼の成分に加えて下記（１）〜（３）のグループ
の少なくとも１種を含有するフェライト系ステンレス鋼
を提供する。 （１）Ｍｏ：５．０重量％以下 （２）Ｚｒ：１．０重量％以下 （３）希土類元素（ＲＥＭ）：０．００５重量％以上
０．３重量％以下
ンレス鋼の成分に加えて下記（１）〜（３）のグループ
の少なくとも１種を含有するフェライト系ステンレス鋼
を提供する。 （１）Ｍｏ：５．０重量％以下 （２）Ｚｒ：１．０重量％以下 （３）希土類元素（ＲＥＭ）：０．００５重量％以上
０．３重量％以下
【０００８】
【作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。この発
明のフェライト系ステンレス鋼は、ＴｉとＮｂとの複合
添加により室温での強度上昇をきわめて小さくでき、か
つ、高温下での耐力を大きくできる。そして、Ｔｉの上
限を０．５重量％以下に、Ｎｂの上限を０．４重量％以
下に規定し、かつ、０．０５〜１重量％のＣｏまたは、
０．０５〜１重量％のＣｏと０．０５〜１重量％のＶを
同時添加することで２次加工性も向上できる。したがっ
て、この発明のフェライト系ステンレス鋼は、２次加工
が不可欠で製品として大きな高温耐力が求められる用
途、例えば、エンジンのエキゾーストマニホールドに用
いることで、１次加工としての曲げ加工後に２次加工と
しての拡管加工も容易に行うことができ、小型かつ複雑
な形状のエキゾーストマニホールドを成形できる。
明のフェライト系ステンレス鋼は、ＴｉとＮｂとの複合
添加により室温での強度上昇をきわめて小さくでき、か
つ、高温下での耐力を大きくできる。そして、Ｔｉの上
限を０．５重量％以下に、Ｎｂの上限を０．４重量％以
下に規定し、かつ、０．０５〜１重量％のＣｏまたは、
０．０５〜１重量％のＣｏと０．０５〜１重量％のＶを
同時添加することで２次加工性も向上できる。したがっ
て、この発明のフェライト系ステンレス鋼は、２次加工
が不可欠で製品として大きな高温耐力が求められる用
途、例えば、エンジンのエキゾーストマニホールドに用
いることで、１次加工としての曲げ加工後に２次加工と
しての拡管加工も容易に行うことができ、小型かつ複雑
な形状のエキゾーストマニホールドを成形できる。
【０００９】そして、この発明のフェライト系ステンレ
ス鋼は、Ｍｏを添加することで他の特性を劣化させるこ
と無く高温耐力を向上させることができ、また、Ｚｒあ
るいは希土類元素（以下、ＲＥＭという）の少なくとも
一方を添加することで他の特性を劣化させること無く耐
酸化性を向上させることができる。
ス鋼は、Ｍｏを添加することで他の特性を劣化させるこ
と無く高温耐力を向上させることができ、また、Ｚｒあ
るいは希土類元素（以下、ＲＥＭという）の少なくとも
一方を添加することで他の特性を劣化させること無く耐
酸化性を向上させることができる。
【００１０】すなわち、本発明は、 Ｃ：０．０１５重量％以下、Ｓｉ：２．０重量％以下、 Ｍｎ：０．２０重量％以上２．０重量％以下、 Ｃｒ：１０重量％以上２０重量％以下、 Ｎｉ：１．０重量％以下、Ｎｂ：０．１重量％以上０．
４重量％以下、 Ｔｉ：０．０２重量％以上０．５重量％以下、Ａｌ：
０．２重量％以下、 Ｃｏ：０．０５重量％以上１．０重量％以下または、Ｃ
ｏ：０．０５重量％以上１．０重量％以下とＶ：０．０
５重量％以上１．０重量％以下、および Ｎ：０．０３重量％以下 を含み、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなること
を特徴とする高加工性高温高強度フェライト系ステンレ
ス鋼を提供する。
４重量％以下、 Ｔｉ：０．０２重量％以上０．５重量％以下、Ａｌ：
０．２重量％以下、 Ｃｏ：０．０５重量％以上１．０重量％以下または、Ｃ
ｏ：０．０５重量％以上１．０重量％以下とＶ：０．０
５重量％以上１．０重量％以下、および Ｎ：０．０３重量％以下 を含み、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなること
を特徴とする高加工性高温高強度フェライト系ステンレ
ス鋼を提供する。
【００１１】本発明はさらに、下記（１）〜（３）のグ
ループの少なくとも１種を含有するフェライト系ステン
レス鋼を提供する。 （１）Ｍｏ：５．０重量％以下 （２）Ｚｒ：１．０重量％以下 （３）希土類元素（ＲＥＭ）：０．００５重量％以上
０．３重量％以下
ループの少なくとも１種を含有するフェライト系ステン
レス鋼を提供する。 （１）Ｍｏ：５．０重量％以下 （２）Ｚｒ：１．０重量％以下 （３）希土類元素（ＲＥＭ）：０．００５重量％以上
０．３重量％以下
【００１２】本発明にかかるフェライト系ステンレス鋼
の成分の作用および限定理由について説明する。
の成分の作用および限定理由について説明する。
【００１３】Ｃ：０．０１５重量％以下 Ｃは靱性に有害であり、できるだけ少ないほうが好まし
いが、工業的、経済的な点から上限を０．０１５重量％
とする。
いが、工業的、経済的な点から上限を０．０１５重量％
とする。
【００１４】Ｓｉ：２．０重量％以下 Ｓｉは耐酸化性の向上に有効であるが、靱性、加工性を
低下させるため、上限を２．０重量％とする。
低下させるため、上限を２．０重量％とする。
【００１５】Ｍｎ：０．２重量％以上２．０重量％以下 Ｍｎは、加工性の点から少ないほど望ましいが、一方Ｍ
ｎの添加は靱性を向上させる。製造時の経済性を考慮し
て上限を２．０重量％、下限を０．２重量％とする。
ｎの添加は靱性を向上させる。製造時の経済性を考慮し
て上限を２．０重量％、下限を０．２重量％とする。
【００１６】Ｃｒ：１０重量％以上２０重量％以下 Ｃｒは、耐酸化性を付与する主要元素であるが、１０重
量％未満では十分な耐酸化性を付与できず、２０重量％
を越えると靱性劣化および加工性の劣化が著しいため上
限を２０重量％とする。
量％未満では十分な耐酸化性を付与できず、２０重量％
を越えると靱性劣化および加工性の劣化が著しいため上
限を２０重量％とする。
【００１７】Ｎｉ：１．０重量％以下 Ｎｉは、製造工程上不可避的に入ってくるが、靱性向上
に寄与する。特に添加する必要は無いが、高価であるた
め上限を１．０重量％とする。
に寄与する。特に添加する必要は無いが、高価であるた
め上限を１．０重量％とする。
【００１８】 Ｎｂ：０．１重量％以上０．４重量％未満 Ｎｂは高温強度向上の為に添加するが、室温下における
強度が著しく高まり加工性が低下する。しかし、Ｔｉあ
るいはＴｉとＺｒとを複合添加することにより室温下で
の強度上昇を小さく、かつ、高温下での強度を高くする
ことができ、さらに、Ｃｏ単独またはＣｏとＶを同時に
添加することにより２次加工性も向上する。０．１重量
％以上の添加で効果がでるが、Ｎｂを０．４重量％を越
えて添加すると、ＴｉあるいはＴｉ，Ｚｒを添加しても
室温下での強度上昇が著しいため、上限を０．４重量％
を超えないこととする。
強度が著しく高まり加工性が低下する。しかし、Ｔｉあ
るいはＴｉとＺｒとを複合添加することにより室温下で
の強度上昇を小さく、かつ、高温下での強度を高くする
ことができ、さらに、Ｃｏ単独またはＣｏとＶを同時に
添加することにより２次加工性も向上する。０．１重量
％以上の添加で効果がでるが、Ｎｂを０．４重量％を越
えて添加すると、ＴｉあるいはＴｉ，Ｚｒを添加しても
室温下での強度上昇が著しいため、上限を０．４重量％
を超えないこととする。
【００１９】Ｔｉ：０．０２重量％以上０．５重量％以
下 Ｔｉは、Ｎｂ含有鋼において０．０２重量％以上の添加
により室温下における強度上昇を抑え高温下における強
度も向上させるが、２次加工性に有害であるため上限を
０．５重量％とする。
下 Ｔｉは、Ｎｂ含有鋼において０．０２重量％以上の添加
により室温下における強度上昇を抑え高温下における強
度も向上させるが、２次加工性に有害であるため上限を
０．５重量％とする。
【００２０】Ａｌ：０．２重量％以下 Ａｌは脱酸剤として添加する。Ａｌは、特にＮｂの添加
歩留りを確実にするために必要であるが、過剰に添加す
ると介在物が多くなるため上限を０．２重量％とする。
歩留りを確実にするために必要であるが、過剰に添加す
ると介在物が多くなるため上限を０．２重量％とする。
【００２１】Ｃｏ：０．０５重量％以上１．００重量％
以下、または、Ｃｏ：０．０５重量％以上１．０重量％
以下とＶ：０．０５重量％以上１．００重量％以下 Ｖ、Ｃｏは特にＮｂ，Ｔｉ添加鋼において２次加工性の
向上に寄与する。０．０５重量％以上の添加で効果がで
るが、Ｖ、Ｃｏは高価な元素であるため上限を１．００
重量％とする。特にＣｏ添加の効果は大きい。
以下、または、Ｃｏ：０．０５重量％以上１．０重量％
以下とＶ：０．０５重量％以上１．００重量％以下 Ｖ、Ｃｏは特にＮｂ，Ｔｉ添加鋼において２次加工性の
向上に寄与する。０．０５重量％以上の添加で効果がで
るが、Ｖ、Ｃｏは高価な元素であるため上限を１．００
重量％とする。特にＣｏ添加の効果は大きい。
【００２２】Ｎ：０．０３重量％以下 Ｎは、高温強度を高めるが、Ｃと同様に靱性に有害であ
るため上限を０．０３重量％とする。Ｎは、０．０３重
量％以下であれば実用上問題が無い。
るため上限を０．０３重量％とする。Ｎは、０．０３重
量％以下であれば実用上問題が無い。
【００２３】Ｍｏ：５．０重量％以下 Ｍｏは高温強度維持のために添加する。このＭｏは高価
であるため上限を５．０重量％とした。
であるため上限を５．０重量％とした。
【００２４】Ｚｒ：１．０重量％以下 Ｚｒは、耐酸化性を向上させるが、過剰の添加は靱性を
低下させるため上限を１．０重量％とする。
低下させるため上限を１．０重量％とする。
【００２５】ＲＥＭ：０．００５重量％以上０．３重量
％以下 ＲＥＭはＬａ，Ｃｅ等の希土類元素で耐酸化性を著しく
高める。この効果は０．００５重量％以上で現れるが、
０．３重量％以上では飽和して靱性の悪化を招くため上
限を０．３重量％とする。
％以下 ＲＥＭはＬａ，Ｃｅ等の希土類元素で耐酸化性を著しく
高める。この効果は０．００５重量％以上で現れるが、
０．３重量％以上では飽和して靱性の悪化を招くため上
限を０．３重量％とする。
【００２６】以上の条件を充足する本発明のフェライト
系ステンレス鋼は、常温下での加工性、特に、２次加工
性にも優れ、さらに、高温強度も優れる。したがって、
自動車エンジンのエキゾーストマニホールド等の用途、
すなわち、複雑な形状への加工が求められ２次加工が不
可欠で、軽量化の要求が大きいものの素材として適す
る。
系ステンレス鋼は、常温下での加工性、特に、２次加工
性にも優れ、さらに、高温強度も優れる。したがって、
自動車エンジンのエキゾーストマニホールド等の用途、
すなわち、複雑な形状への加工が求められ２次加工が不
可欠で、軽量化の要求が大きいものの素材として適す
る。
【００２７】
【実施例】以下、この発明を実施例により具体的に説明
する。 （実施例）表１に示す組成の試料１〜７、表２に示す比
較鋼Ａ〜Ｉについて、熱間圧延、焼鈍、冷間圧延、焼鈍
により２ｍｍ厚の板とし、次に示す条件で高温引張、室
温引張、酸化試験、２次加工性評価を行った。
する。 （実施例）表１に示す組成の試料１〜７、表２に示す比
較鋼Ａ〜Ｉについて、熱間圧延、焼鈍、冷間圧延、焼鈍
により２ｍｍ厚の板とし、次に示す条件で高温引張、室
温引張、酸化試験、２次加工性評価を行った。
【００２８】（１）高温引張試験 板厚２ｍｍの板状試験片を用いて、０．３％／分の引張
速度で行った。評価は０．２％の伸びを生じた時の応力
で表す。 （２）室温引張試験 ＪＩＳ Ｚ ２２４１に準拠した。評価は表中で下記の
ように表す。 破断伸び（Ｅｌ）（％） Ａ：３０超 Ｂ：２５〜３０
Ｃ：２５以下 降伏応力（ＹＳ）（ＭＰａ） Ａ：３５０以下 Ｃ：３
５０超
速度で行った。評価は０．２％の伸びを生じた時の応力
で表す。 （２）室温引張試験 ＪＩＳ Ｚ ２２４１に準拠した。評価は表中で下記の
ように表す。 破断伸び（Ｅｌ）（％） Ａ：３０超 Ｂ：２５〜３０
Ｃ：２５以下 降伏応力（ＹＳ）（ＭＰａ） Ａ：３５０以下 Ｃ：３
５０超
【００２９】（３）酸化試験 厚み２ｍｍ、幅２０ｍｍ、長さ３０ｍｍの試験片を用
い、表面を３２０番研磨した後９５０℃または９８０℃
大気中で１００時間加熱し、試験前後の重量変化を調べ
た。評価は下記のように表す。 Ａ：５ｍｇ／ｃｍ2 以下 Ｂ：５〜１０ｍｇ／ｃｍ2 Ｃ：１０ｍｇ／ｃｍ2 以上
い、表面を３２０番研磨した後９５０℃または９８０℃
大気中で１００時間加熱し、試験前後の重量変化を調べ
た。評価は下記のように表す。 Ａ：５ｍｇ／ｃｍ2 以下 Ｂ：５〜１０ｍｇ／ｃｍ2 Ｃ：１０ｍｇ／ｃｍ2 以上
【００３０】（４）２次加工性評価 厚み２ｍｍの冷延焼鈍板を厚み１．８ｍｍまで圧延し、
圧延方向に２ｍｍＶノッチを入れ、２０℃でのシャルピ
ー吸収エネルギを測定した。評価は下記のように表す。 Ａ：６０Ｊ／ｃｍ2 超 Ｂ：３０〜６０Ｊ／ｃｍ2 Ｃ：３０Ｊ／ｃｍ2 以下
圧延方向に２ｍｍＶノッチを入れ、２０℃でのシャルピ
ー吸収エネルギを測定した。評価は下記のように表す。 Ａ：６０Ｊ／ｃｍ2 超 Ｂ：３０〜６０Ｊ／ｃｍ2 Ｃ：３０Ｊ／ｃｍ2 以下
【００３１】本発明の組成の試料１，２，３，４，５，
６，７の試験結果を表１に、比較例としての従来の比較
鋼Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆ，Ｇ，Ｈ，Ｉの試験結果をそ
の組成とともに表２に示す。
６，７の試験結果を表１に、比較例としての従来の比較
鋼Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆ，Ｇ，Ｈ，Ｉの試験結果をそ
の組成とともに表２に示す。
【００３２】表１と表２との比較から明らかなように、
Ｔｉ単独添加系である比較鋼Ａ，Ｂは、室温引張試験に
おける破断伸び（Ｅｌ）が大きく室温において軟質と認
められるが、２次加工性評価試験のシャルピー吸収エネ
ルギが小さく２次加工性が劣り、高温耐力も低い。ま
た、Ｎｂ単独添加系である比較鋼Ｃは、２次加工性およ
び高温耐力に優れているが、室温引張試験における降伏
応力（ＹＳ）が高く室温下での加工が制限される。
Ｔｉ単独添加系である比較鋼Ａ，Ｂは、室温引張試験に
おける破断伸び（Ｅｌ）が大きく室温において軟質と認
められるが、２次加工性評価試験のシャルピー吸収エネ
ルギが小さく２次加工性が劣り、高温耐力も低い。ま
た、Ｎｂ単独添加系である比較鋼Ｃは、２次加工性およ
び高温耐力に優れているが、室温引張試験における降伏
応力（ＹＳ）が高く室温下での加工が制限される。
【００３３】さらに、比較鋼ＤはＮｂ−Ｔｉ複合添加し
た例であり、２次加工性及び高温耐力に優れる。しかし
ながら、比較鋼ＤはＮｂが過剰（０．７４重量％）であ
り室温のＹＳが高く、加工性の点から本願発明の各試料
に及ばない。またさらに、比較鋼Ｅ，Ｆ，Ｇは、Ｎｂ，
Ｔｉを本発明と同等量を添加されＥｌ，Ｙｓは優れてい
るが、ＣｏまたはＶが少なく２次加工性に劣る。また試
料１と比較鋼Ｈの比較により高Ｃ化は９００℃の耐力を
低下させるとともに、２次加工性も低下させている。ま
た試料６と比較鋼Ｉの比較によりＭｎは２次加工性にと
って０．２％以上は必要であることがわかる。
た例であり、２次加工性及び高温耐力に優れる。しかし
ながら、比較鋼ＤはＮｂが過剰（０．７４重量％）であ
り室温のＹＳが高く、加工性の点から本願発明の各試料
に及ばない。またさらに、比較鋼Ｅ，Ｆ，Ｇは、Ｎｂ，
Ｔｉを本発明と同等量を添加されＥｌ，Ｙｓは優れてい
るが、ＣｏまたはＶが少なく２次加工性に劣る。また試
料１と比較鋼Ｈの比較により高Ｃ化は９００℃の耐力を
低下させるとともに、２次加工性も低下させている。ま
た試料６と比較鋼Ｉの比較によりＭｎは２次加工性にと
って０．２％以上は必要であることがわかる。
【００３４】これに対し、本発明にかかる試料は、いず
れも、高温耐力、室温加工性、耐酸化性および２次加工
性について十分な特性を有する。特に１と９の比較によ
りＣｏによる２次加工性改善効果はＶより大きいことが
わかる。そして、本発明は、試料１，３，７の比較から
明らかなようにＭｏの添加で他の特性を劣化させること
無く高温耐力を向上でき、また、試料１と４，５，６の
比較から明らかなようにＺｒあるいはＲＥＭの少なくと
も一方の添加で他の特性を劣化させること無く耐酸化性
を向上できる。
れも、高温耐力、室温加工性、耐酸化性および２次加工
性について十分な特性を有する。特に１と９の比較によ
りＣｏによる２次加工性改善効果はＶより大きいことが
わかる。そして、本発明は、試料１，３，７の比較から
明らかなようにＭｏの添加で他の特性を劣化させること
無く高温耐力を向上でき、また、試料１と４，５，６の
比較から明らかなようにＺｒあるいはＲＥＭの少なくと
も一方の添加で他の特性を劣化させること無く耐酸化性
を向上できる。
【００３５】
【表１】
【００３６】
【表２】
【００３７】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、高温下における高耐力を維持しつつ、室温下での加
工性、特に、２次加工性にも優れたフェライト系ステン
レス鋼を提供できる。したがって、この発明のフェライ
ト系ステンレス鋼を用いることで、複雑な形状の自動車
エンジンのエキゾーストマニホールド等を容易に成形で
き、また、軽量化も容易となる。
ば、高温下における高耐力を維持しつつ、室温下での加
工性、特に、２次加工性にも優れたフェライト系ステン
レス鋼を提供できる。したがって、この発明のフェライ
ト系ステンレス鋼を用いることで、複雑な形状の自動車
エンジンのエキゾーストマニホールド等を容易に成形で
き、また、軽量化も容易となる。
【００３８】そして、この発明のフェライト系ステンレ
ス鋼は、Ｍｏを添加することで高温耐力をより向上で
き、また、ＺｒあるいはＲＥＭを添加することで耐酸化
性をより向上できる。
ス鋼は、Ｍｏを添加することで高温耐力をより向上で
き、また、ＺｒあるいはＲＥＭを添加することで耐酸化
性をより向上できる。
フロントページの続き (72)発明者 冨 樫 房 夫 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 平２−115345（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−219055（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−226150（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−228547（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−13053（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−115347（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−320772（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−230544（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−78791（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C22C 38/00 - 38/60
Claims (4)
- 【請求項１】 Ｃ：０．０１５重量％以下、Ｓｉ：２．０重量％以下、 Ｍｎ：０．２０重量％以上２．０重量％以下、 Ｃｒ：１０重量％以上２０重量％以下、 Ｎｉ：１．０重量％以下、Ｎｂ：０．１重量％以上０．
４重量％未満、 Ｔｉ：０．０２重量％以上０．５重量％以下、Ａｌ：
０．２重量％以下、 Ｃｏ：０．０５重量％以上１．０重量％以下または、Ｃ
ｏ：０．０５重量％以上１．０重量％以下とＶ：０．０
５重量％以上１．０重量％以下、 Ｎ：０．０３重量％以下、および Ｚｒ：１．０重量％以下 を含み、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなること
を特徴とする高加工性高温高強度フエライト系ステンレ
ス鋼。 - 【請求項２】請求項１に記載の成分に加えて、さらに、
希土類元素を０．００５重量％以上０．３重量％以下含
むことを特徴とする高加工性高温高強度フエライト系ス
テンレス鋼。 - 【請求項３】 Ｃ：０．０１５重量％以下、Ｓｉ：２．０重量％以下、 Ｍｎ：０．２０重量％以上２．０重量％以下、 Ｃｒ：１０重量％以上２０重量％以下、 Ｎｉ：１．０重量％以下、Ｎｂ：０．１重量％以上０．
４重量％未満、 Ｔｉ：０．０２重量％以上０．５重量％以下、Ａｌ：
０．２重量％以下、 Ｃｏ：０．０５重量％以上１．０重量％以下または、Ｃ
ｏ：０．０５重量％以上１．０重量％以下とＶ：０．０
５重量％以上１．０重量％以下、 Ｎ：０．０３重量％以下、および 希土類元素：０．００５重量％以上０．３重量％以下 を含み、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなること
を特徴とする高加工性高温高強度フエライト系ステンレ
ス鋼。 - 【請求項４】請求項１〜３のいずれかに記載の成分に加
えて、さらに、Ｍｏを５．０重量％以下含むことを特徴
とする高加工性高温高強度フエライト系ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11739993A JP3290751B2 (ja) | 1992-05-21 | 1993-05-19 | 高加工性高温高強度フェライト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4-128599 | 1992-05-21 | ||
| JP12859992 | 1992-05-21 | ||
| JP11739993A JP3290751B2 (ja) | 1992-05-21 | 1993-05-19 | 高加工性高温高強度フェライト系ステンレス鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0633198A JPH0633198A (ja) | 1994-02-08 |
| JP3290751B2 true JP3290751B2 (ja) | 2002-06-10 |
Family
ID=26455518
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11739993A Expired - Lifetime JP3290751B2 (ja) | 1992-05-21 | 1993-05-19 | 高加工性高温高強度フェライト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3290751B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP2857538A4 (en) * | 2012-05-28 | 2016-03-23 | Jfe Steel Corp | FERRITIC STAINLESS STEEL |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP3706428B2 (ja) * | 1996-03-15 | 2005-10-12 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 自動車排気系機器用フェライト系ステンレス鋼 |
| DE69829012T2 (de) * | 1997-09-22 | 2005-07-07 | National Research Institute For Metals | Ferritischer,wärmebeständiger Stahl und Verfahren zur Herstellung |
-
1993
- 1993-05-19 JP JP11739993A patent/JP3290751B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| JPH0633198A (ja) | 1994-02-08 |
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