JPH0741917A - 自動車排気系用鋼 - Google Patents
自動車排気系用鋼Info
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- JPH0741917A JPH0741917A JP18471893A JP18471893A JPH0741917A JP H0741917 A JPH0741917 A JP H0741917A JP 18471893 A JP18471893 A JP 18471893A JP 18471893 A JP18471893 A JP 18471893A JP H0741917 A JPH0741917 A JP H0741917A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は自動車排気系用鋼に係り、さらに詳
しくは自動車の排気系に使用されるエキゾーストマニホ
ールド用等として特性が優れ、かつ低コストな鋼を提供
する。 【構成】 重量％で、Ｓｉ：０．３〜３．０％、Ｍｎ：
０．０２〜２．０％、Ｃｒ：３．５〜９．９％、Ａｌ：
１．０％超５．０％以下を含有し、Ｍｏ、Ｗの１種また
は２種の合計で０．５〜４．０％を含有し、Ｃを０．０
３％以下、Ｐを０．０３％以下、Ｓを０．０３％以下、
Ｎを０．０２％以下に低減し、各元素の組み合わせが特
定の条件式を満足し、あるいはさらにＮｂ、Ｖ、Ｔｉ、
Ｚｒ、Ｔａ、Ｈｆ、希土類元素、Ｃａの１種以上を含有
し、残部Ｆｅおよび不可避不純物からなることを特徴と
する自動車排気系用鋼。
しくは自動車の排気系に使用されるエキゾーストマニホ
ールド用等として特性が優れ、かつ低コストな鋼を提供
する。 【構成】 重量％で、Ｓｉ：０．３〜３．０％、Ｍｎ：
０．０２〜２．０％、Ｃｒ：３．５〜９．９％、Ａｌ：
１．０％超５．０％以下を含有し、Ｍｏ、Ｗの１種また
は２種の合計で０．５〜４．０％を含有し、Ｃを０．０
３％以下、Ｐを０．０３％以下、Ｓを０．０３％以下、
Ｎを０．０２％以下に低減し、各元素の組み合わせが特
定の条件式を満足し、あるいはさらにＮｂ、Ｖ、Ｔｉ、
Ｚｒ、Ｔａ、Ｈｆ、希土類元素、Ｃａの１種以上を含有
し、残部Ｆｅおよび不可避不純物からなることを特徴と
する自動車排気系用鋼。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は自動車排気系用鋼に係
り、さらに詳しくは、自動車のエンジンに取り付けられ
るエキゾーストマニホールド用、排気ガス浄化触媒保持
基体用、自動車排気系のフロント部分の鋼管、等とし
て、耐酸化性、強度や加工性等の特性に優れ、かつ低コ
ストの鋼に関する。
り、さらに詳しくは、自動車のエンジンに取り付けられ
るエキゾーストマニホールド用、排気ガス浄化触媒保持
基体用、自動車排気系のフロント部分の鋼管、等とし
て、耐酸化性、強度や加工性等の特性に優れ、かつ低コ
ストの鋼に関する。
【０００２】
【従来の技術】近年、自動車のエキゾーストマニホール
ドには、従来の鋳鉄製エキゾーストマニホールドに代え
て、ステンレス鋼製のエキゾーストマニホールドが使用
される例が増加している。これはステンレス鋼製エキゾ
ーストマニホールドの方が肉厚を薄くすることが可能で
あり、自動車の軽量化に大きく役立つためである。ＪＩ
Ｓ（日本工業規格）のＳＵＳ３１０などのオーステナイ
ト系ステンレス鋼は優れた耐熱性および加工性を有して
いるので一般の耐熱用途に広く使用されている。しか
し、この種の鋼は一般に高価である上に、熱膨張係数が
大きく、熱疲労特性に劣るという難点を有している。
ドには、従来の鋳鉄製エキゾーストマニホールドに代え
て、ステンレス鋼製のエキゾーストマニホールドが使用
される例が増加している。これはステンレス鋼製エキゾ
ーストマニホールドの方が肉厚を薄くすることが可能で
あり、自動車の軽量化に大きく役立つためである。ＪＩ
Ｓ（日本工業規格）のＳＵＳ３１０などのオーステナイ
ト系ステンレス鋼は優れた耐熱性および加工性を有して
いるので一般の耐熱用途に広く使用されている。しか
し、この種の鋼は一般に高価である上に、熱膨張係数が
大きく、熱疲労特性に劣るという難点を有している。
【０００３】一方、フェライト系ステンレス鋼は、一般
にオーステナイトステンレス鋼よりも熱膨張係数が小さ
いので熱疲労特性に優れることから、エキゾーストマニ
ホールドのように加熱・冷却の温度サイクルを受ける用
途には適していると言える。このため、ＪＩＳ規格Ｇ４
３０５に定めるＳＵＳ４１０ＬやＳＵＳ４３０ＬＸ等が
既に、エキゾーストマニホールド等として実用されてい
る。さらに、例えば特開昭６４−８２５４号公報や特開
平２−１７５８４３号公報ではＣｒを多量に含有し、高
温強度を改善したフェライト系ステンレス鋼が提案され
ている。
にオーステナイトステンレス鋼よりも熱膨張係数が小さ
いので熱疲労特性に優れることから、エキゾーストマニ
ホールドのように加熱・冷却の温度サイクルを受ける用
途には適していると言える。このため、ＪＩＳ規格Ｇ４
３０５に定めるＳＵＳ４１０ＬやＳＵＳ４３０ＬＸ等が
既に、エキゾーストマニホールド等として実用されてい
る。さらに、例えば特開昭６４−８２５４号公報や特開
平２−１７５８４３号公報ではＣｒを多量に含有し、高
温強度を改善したフェライト系ステンレス鋼が提案され
ている。
【０００４】しかし、これらのフェライト系ステンレス
鋼は非常に高価であり、エキゾーストマニホールドに使
用した場合には、鋳鉄製のものに比べてコストが著しく
高く、排気ガス浄化触媒用としてもコストが高い、とい
う難点がある。かつ、Ｃｒを多量に含有しているために
加工性がよいとは言えず、エキゾーストマニホールドの
ような複雑な形状を形成するためには、製造工程が複雑
になり加工コストも高くなるという難点がある。
鋼は非常に高価であり、エキゾーストマニホールドに使
用した場合には、鋳鉄製のものに比べてコストが著しく
高く、排気ガス浄化触媒用としてもコストが高い、とい
う難点がある。かつ、Ｃｒを多量に含有しているために
加工性がよいとは言えず、エキゾーストマニホールドの
ような複雑な形状を形成するためには、製造工程が複雑
になり加工コストも高くなるという難点がある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした現状
に鑑みて、自動車のエンジンに取り付けられるエキゾー
ストマニホールド用や排気ガス浄化触媒保持基体、ある
いは排気系フロントパイプなどの自動車排気系用の鋼と
して、強度、耐酸化性および加工性等の特性に優れ、か
つ低コストの鋼を提供することを目的としている。
に鑑みて、自動車のエンジンに取り付けられるエキゾー
ストマニホールド用や排気ガス浄化触媒保持基体、ある
いは排気系フロントパイプなどの自動車排気系用の鋼と
して、強度、耐酸化性および加工性等の特性に優れ、か
つ低コストの鋼を提供することを目的としている。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成すべく種々検討した結果、Ｃｒを従来のエキゾー
ストマニホールド用ステンレス鋼とは逆に３．５％以上
９．９％以下と比較的少なくした鋼に、Ｓｉ、Ａｌを複
合添加し、さらにＭｏ、Ｗの１種または２種を添加する
ことによって、高温強度および高温での耐酸化性を大き
く改善できること、合金元素量の範囲を特定の条件を満
足するように厳密に制御すると一段と高温での耐酸化性
と高温強度が改善されること、を見出した。さらに本発
明者らは、かかる鋼にＮ、ｂ、Ｖ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｔａ、
Ｈｆを添加すると加工性が一段と改善され、希土類元素
あるいはＣａを添加すると、高温での耐酸化性も良くな
ることを見出した。
を達成すべく種々検討した結果、Ｃｒを従来のエキゾー
ストマニホールド用ステンレス鋼とは逆に３．５％以上
９．９％以下と比較的少なくした鋼に、Ｓｉ、Ａｌを複
合添加し、さらにＭｏ、Ｗの１種または２種を添加する
ことによって、高温強度および高温での耐酸化性を大き
く改善できること、合金元素量の範囲を特定の条件を満
足するように厳密に制御すると一段と高温での耐酸化性
と高温強度が改善されること、を見出した。さらに本発
明者らは、かかる鋼にＮ、ｂ、Ｖ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｔａ、
Ｈｆを添加すると加工性が一段と改善され、希土類元素
あるいはＣａを添加すると、高温での耐酸化性も良くな
ることを見出した。
【０００７】本発明は主に上記の知見に基づいてなされ
たものであり、本発明の第１発明が要旨とするところ
は、重量％で、Ｓｉ：０．３〜３．０％、Ｍｎ：０．０
２〜２．０％、Ｃｒ：３．５〜９．９％、Ａｌ：１．０
％超５．０％以下を含有し、Ｍｏ、Ｗの１種または２種
の合計で０．５〜４．０％を含有し、Ｃを０．０３％以
下、Ｐを０．０３％以下、Ｓを０．０３％以下、Ｎを
０．０２％以下に低減し、残部Ｆｅおよび不可避不純物
からなり、以下の式で与えられるＯＲ値 ＯＲ値＝〔％Ｃｒ〕＋４〔％Ｓｉ〕＋〔％Ａｌ〕−１７
〔％Ｃ〕−３〔％Ｎ〕 が８．５以上であり、金属組織が実質的にフェライトを
主体とする組織であることを特徴とする自動車排気系用
鋼にあり、第２発明が要旨とするところは、第１発明の
鋼に付加成分としてさらに、Ｎｂ、Ｖ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｔ
ａ、Ｈｆの１種または２種以上を含有し、その含有量の
合計として、重量％で０．０１％以上１．０％以下を含
有する鋼にあり、第３発明が要旨とするところは、第１
発明または第２発明の鋼に付加成分としてさらに、重量
％で、希土類元素：０．００１〜０．１％、Ｃａ：０．
０００５〜０．０３％の１種または２種を含有する鋼に
ある。
たものであり、本発明の第１発明が要旨とするところ
は、重量％で、Ｓｉ：０．３〜３．０％、Ｍｎ：０．０
２〜２．０％、Ｃｒ：３．５〜９．９％、Ａｌ：１．０
％超５．０％以下を含有し、Ｍｏ、Ｗの１種または２種
の合計で０．５〜４．０％を含有し、Ｃを０．０３％以
下、Ｐを０．０３％以下、Ｓを０．０３％以下、Ｎを
０．０２％以下に低減し、残部Ｆｅおよび不可避不純物
からなり、以下の式で与えられるＯＲ値 ＯＲ値＝〔％Ｃｒ〕＋４〔％Ｓｉ〕＋〔％Ａｌ〕−１７
〔％Ｃ〕−３〔％Ｎ〕 が８．５以上であり、金属組織が実質的にフェライトを
主体とする組織であることを特徴とする自動車排気系用
鋼にあり、第２発明が要旨とするところは、第１発明の
鋼に付加成分としてさらに、Ｎｂ、Ｖ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｔ
ａ、Ｈｆの１種または２種以上を含有し、その含有量の
合計として、重量％で０．０１％以上１．０％以下を含
有する鋼にあり、第３発明が要旨とするところは、第１
発明または第２発明の鋼に付加成分としてさらに、重量
％で、希土類元素：０．００１〜０．１％、Ｃａ：０．
０００５〜０．０３％の１種または２種を含有する鋼に
ある。
【０００８】また、第４発明が要旨とするところは、第
１発明、第２発明あるいは第３発明の鋼において、Ｃと
Ｎの含有量の合計が、重量％で０．０３％以下である鋼
にあり、第５発明が要旨とするところは、第１発明、第
２発明、第３発明あるいは第４発明の鋼において、Ｓ
ｉ、Ａｌ、Ｃ、Ｎの含有量が、以下の式を満足する鋼に
ある。
１発明、第２発明あるいは第３発明の鋼において、Ｃと
Ｎの含有量の合計が、重量％で０．０３％以下である鋼
にあり、第５発明が要旨とするところは、第１発明、第
２発明、第３発明あるいは第４発明の鋼において、Ｓ
ｉ、Ａｌ、Ｃ、Ｎの含有量が、以下の式を満足する鋼に
ある。
【０００９】〔％Ｓｉ〕＋１．６〔％Ａｌ〕−６〔％
Ｃ〕−５〔％Ｎ〕−０．１〔％Ｍｎ〕≧２．１
Ｃ〕−５〔％Ｎ〕−０．１〔％Ｍｎ〕≧２．１
【００１０】
【作用】以下に本発明において各成分の範囲を限定した
理由を述べる。Ｓｉ：ＳｉはＣｒを３．５％以上含有
し、Ａｌを１．０％を超えて含有する鋼に複合して添加
すると、高温での耐酸化性改善効果が顕著であり、また
フェライト組織を確保するためにも必要な元素であっ
て、含有量が０．３％未満ではその効果が充分ではな
く、３．０％を超えて含有すると常温での靱性と加工性
が低下するので、含有量範囲を０．３〜３．０％に限定
する。
理由を述べる。Ｓｉ：ＳｉはＣｒを３．５％以上含有
し、Ａｌを１．０％を超えて含有する鋼に複合して添加
すると、高温での耐酸化性改善効果が顕著であり、また
フェライト組織を確保するためにも必要な元素であっ
て、含有量が０．３％未満ではその効果が充分ではな
く、３．０％を超えて含有すると常温での靱性と加工性
が低下するので、含有量範囲を０．３〜３．０％に限定
する。
【００１１】Ｍｎ：Ｍｎは鋼の脱酸剤として必要で０．
０２％以上を含有させる必要があるが、２．０％を超え
て含有させてもその効果はもはや飽和しているばかり
か、過剰にＭｎを含有させるとフェライト単相組織を確
保することが難しくなるので、上限含有量は２．０％と
する。 Ｃｒ：ＣｒはＳｉおよびＡｌと複合して添加して、エキ
ゾーストマニホールドとして必要な耐食性、耐酸化性を
確保するために３．５％以上を含有させることが必要で
あるが、９．９％を超えて含有させてもいたずらにコス
トを増すばかりか、加工性が低下するので上限含有量は
９．９％とする。
０２％以上を含有させる必要があるが、２．０％を超え
て含有させてもその効果はもはや飽和しているばかり
か、過剰にＭｎを含有させるとフェライト単相組織を確
保することが難しくなるので、上限含有量は２．０％と
する。 Ｃｒ：ＣｒはＳｉおよびＡｌと複合して添加して、エキ
ゾーストマニホールドとして必要な耐食性、耐酸化性を
確保するために３．５％以上を含有させることが必要で
あるが、９．９％を超えて含有させてもいたずらにコス
トを増すばかりか、加工性が低下するので上限含有量は
９．９％とする。
【００１２】Ａｌ：ＡｌはＣｒおよびＳｉと複合して添
加して、エキゾーストマニホールドとして必要な耐食性
および耐酸化性を確保するために必要な元素であり、鋼
の脱酸剤としても、またフェライト組織を確保するため
にも重要である。含有量が１．０％以下では耐食性およ
び耐酸化性が充分ではなく、５．０％を超えて添加して
ももはやその効果は飽和しているのに対して、析出物を
生成して加工性を低下させる場合があるので、含有量は
１．０％超５．０％以下に限定する。
加して、エキゾーストマニホールドとして必要な耐食性
および耐酸化性を確保するために必要な元素であり、鋼
の脱酸剤としても、またフェライト組織を確保するため
にも重要である。含有量が１．０％以下では耐食性およ
び耐酸化性が充分ではなく、５．０％を超えて添加して
ももはやその効果は飽和しているのに対して、析出物を
生成して加工性を低下させる場合があるので、含有量は
１．０％超５．０％以下に限定する。
【００１３】Ｍｏ、Ｗ：Ｍｏ、Ｗは、Ｃｒを３．５％以
上含有する鋼に添加して、自動車の排気系用鋼として必
要な高温強度を確保するために、ＭｏおよびＷのいずれ
か１種、または２種の合計量で０．５％以上を含有させ
なければならないが、４．０％を超えて添加してもその
効果はもはや飽和するのに対して、いたずらにコストを
増加させるとともに粗大な析出物を生成して加工性を低
下させるので、上限含有量は４．０％とする。
上含有する鋼に添加して、自動車の排気系用鋼として必
要な高温強度を確保するために、ＭｏおよびＷのいずれ
か１種、または２種の合計量で０．５％以上を含有させ
なければならないが、４．０％を超えて添加してもその
効果はもはや飽和するのに対して、いたずらにコストを
増加させるとともに粗大な析出物を生成して加工性を低
下させるので、上限含有量は４．０％とする。
【００１４】Ｃ、Ｎ：ＣおよびＮはＣｒとの化合物を生
成して耐酸化性を低下させるので、ＣおよびＮ量は少な
い方が望ましく、上限含有量はＣが０．０３％、Ｎが
０．０２％とする。また、特に優れた加工性が必要な場
合には、ＣとＮの含有量の合計を０．０３％以下とする
ことが有効である。 Ｐ：Ｐは多量に存在すると靱性を低下させるので少ない
方が望ましく、上限含有量は０．０３％とする。
成して耐酸化性を低下させるので、ＣおよびＮ量は少な
い方が望ましく、上限含有量はＣが０．０３％、Ｎが
０．０２％とする。また、特に優れた加工性が必要な場
合には、ＣとＮの含有量の合計を０．０３％以下とする
ことが有効である。 Ｐ：Ｐは多量に存在すると靱性を低下させるので少ない
方が望ましく、上限含有量は０．０３％とする。
【００１５】Ｓ：Ｓも多量に存在すると熱間加工性およ
び延性を低下させるので少ない方が望ましく、上限含有
量は０．０３％とする。さらに本発明では、各元素の含
有量の組み合わせとして、下記の式で定義されるＯＲ値
が８．５以上であることが必要である。 ＯＲ値＝〔％Ｃｒ〕＋４〔％Ｓｉ〕＋〔Ａｌ〕−１７
〔％Ｃ〕−３〔％Ｎ〕 これは、本発明者らが自動車排気系用鋼としての特性を
得るための最適成分範囲および組み合わせについて詳細
に検討した結果に基づく知見であって、まずＯＲ値が
８．５未満では排気系用鋼としてもっとも重要な特性で
ある高温での耐酸化性が不充分であり、例えば自動車排
気系での使用温度として８５０℃あるいはそれ以上を想
定すると、ＯＲ値として８．５以上を確保することが必
要である。
び延性を低下させるので少ない方が望ましく、上限含有
量は０．０３％とする。さらに本発明では、各元素の含
有量の組み合わせとして、下記の式で定義されるＯＲ値
が８．５以上であることが必要である。 ＯＲ値＝〔％Ｃｒ〕＋４〔％Ｓｉ〕＋〔Ａｌ〕−１７
〔％Ｃ〕−３〔％Ｎ〕 これは、本発明者らが自動車排気系用鋼としての特性を
得るための最適成分範囲および組み合わせについて詳細
に検討した結果に基づく知見であって、まずＯＲ値が
８．５未満では排気系用鋼としてもっとも重要な特性で
ある高温での耐酸化性が不充分であり、例えば自動車排
気系での使用温度として８５０℃あるいはそれ以上を想
定すると、ＯＲ値として８．５以上を確保することが必
要である。
【００１６】ここで、ＯＲ値を求める前記式を定めた根
拠は、本発明者らの検討によれば、Ｃｒが３．５％以上
含有された鋼では、耐酸化性に対してＳｉはＣｒの４倍
の効果を有し、Ａｌはその含有量が１．０％を超える場
合にはＣｒと同等の効果を有し、ＣおよびＮはいずれも
Ｃｒとの析出物を生成して耐酸化性を損なうことを見出
したことに基づくものである。
拠は、本発明者らの検討によれば、Ｃｒが３．５％以上
含有された鋼では、耐酸化性に対してＳｉはＣｒの４倍
の効果を有し、Ａｌはその含有量が１．０％を超える場
合にはＣｒと同等の効果を有し、ＣおよびＮはいずれも
Ｃｒとの析出物を生成して耐酸化性を損なうことを見出
したことに基づくものである。
【００１７】また本発明においては、金属組織が実質的
にフェライト組織であることが必要であるが、これはマ
ルテンサイト組織が多量に存在すると常温における加工
性を損なう上に、高温でオーステナイトを生成して疲労
寿命を低下させるためである。かかる目的からは、金属
組織に占めるフェライト分率が９５％以上であることが
望ましく、さらに望ましくはフェライト分率が９９％以
上であることが望ましい。
にフェライト組織であることが必要であるが、これはマ
ルテンサイト組織が多量に存在すると常温における加工
性を損なう上に、高温でオーステナイトを生成して疲労
寿命を低下させるためである。かかる目的からは、金属
組織に占めるフェライト分率が９５％以上であることが
望ましく、さらに望ましくはフェライト分率が９９％以
上であることが望ましい。
【００１８】このフェライト組織を得るための成分組成
からの条件として、本発明者らが検討した結果によれ
ば、Ｃｒ含有量が３．５〜９．９％の範囲においては、
Ｓｉ、Ａｌ、Ｃ、Ｎの関係が次式を満足する場合に、フ
ェライト組織が安定して得られる。 〔％Ｓｉ〕＋１．６〔％Ａｌ〕−６〔％Ｃ〕−５〔％
Ｎ〕−０．１〔％Ｍｎ〕≧２．１ なお、鋼の組織は成分だけで決定されるものではなく、
鋳造条件、熱間圧延条件とその後の冷却条件、最終熱処
理条件、等にも影響されるものであり、こうしたプロセ
ス条件を制御することによって組織を制御することも勿
論可能である。また、上記のように、成分組成を最適化
することによってフェライト組織を得ることも可能であ
る。
からの条件として、本発明者らが検討した結果によれ
ば、Ｃｒ含有量が３．５〜９．９％の範囲においては、
Ｓｉ、Ａｌ、Ｃ、Ｎの関係が次式を満足する場合に、フ
ェライト組織が安定して得られる。 〔％Ｓｉ〕＋１．６〔％Ａｌ〕−６〔％Ｃ〕−５〔％
Ｎ〕−０．１〔％Ｍｎ〕≧２．１ なお、鋼の組織は成分だけで決定されるものではなく、
鋳造条件、熱間圧延条件とその後の冷却条件、最終熱処
理条件、等にも影響されるものであり、こうしたプロセ
ス条件を制御することによって組織を制御することも勿
論可能である。また、上記のように、成分組成を最適化
することによってフェライト組織を得ることも可能であ
る。
【００１９】以上が本発明が対象とする自動車排気系用
鋼の基本的成分と条件であるが、本発明においては必要
に応じてさらに以下の元素を添加して特性を一段と向上
させた鋼も対象としている。なお、以下の成分を添加し
た場合においても、前述のＯＲ値が８．５以上という条
件を満足しなければならないのは、言うまでもない。Ｎ
ｂ、Ｖ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｔａ、Ｈｆ：Ｎｂ、Ｖ、Ｔｉ、Ｚ
ｒ、Ｔａ、Ｈｆは、Ｃｒを３．５％以上含有し、Ｍｏ、
Ｗを１種または２種の合計で０．５％以上含有する鋼に
複合して添加すると、加工性を高めるのに効果がある。
Ｎｂ、Ｖ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｔａ、Ｈｆの１種または２種以
上の含有量の合計が０．０１％未満ではその効果が充分
発揮されない。一方、１．０％を超えて添加してもその
効果はもはや飽和するのに対して、いたずらにコストを
増加させるだけであるし、粗大な析出物を生成して靱性
を低下させるおそがあるので、Ｎｂ、Ｖ、Ｔｉ、Ｚｒ、
Ｔａ、Ｈｆの１種または２種以上の合計含有量は０．０
１％以上１．０％以下とする。
鋼の基本的成分と条件であるが、本発明においては必要
に応じてさらに以下の元素を添加して特性を一段と向上
させた鋼も対象としている。なお、以下の成分を添加し
た場合においても、前述のＯＲ値が８．５以上という条
件を満足しなければならないのは、言うまでもない。Ｎ
ｂ、Ｖ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｔａ、Ｈｆ：Ｎｂ、Ｖ、Ｔｉ、Ｚ
ｒ、Ｔａ、Ｈｆは、Ｃｒを３．５％以上含有し、Ｍｏ、
Ｗを１種または２種の合計で０．５％以上含有する鋼に
複合して添加すると、加工性を高めるのに効果がある。
Ｎｂ、Ｖ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｔａ、Ｈｆの１種または２種以
上の含有量の合計が０．０１％未満ではその効果が充分
発揮されない。一方、１．０％を超えて添加してもその
効果はもはや飽和するのに対して、いたずらにコストを
増加させるだけであるし、粗大な析出物を生成して靱性
を低下させるおそがあるので、Ｎｂ、Ｖ、Ｔｉ、Ｚｒ、
Ｔａ、Ｈｆの１種または２種以上の合計含有量は０．０
１％以上１．０％以下とする。
【００２０】希土類元素（ＲＥＭ）、Ｃａ：希土類元素
およびＣａは熱間加工性の向上、高温での耐酸化性の改
善に効果のある元素であるが、含有量が希土類元素では
０．００１％未満、Ｃａでは０．０００５％未満ではそ
の効果が充分ではなく、一方、希土類元素では０．１％
を超えて、Ｃａでは０．０３％を超えて添加するとそれ
ぞれ粗大な非金属介在物を生成して逆に熱間加工性や耐
酸化性を劣化させるので、含有量は希土類元素では０．
００１〜０．１％、Ｃａでは０．０００５〜０．０３％
とした。なお、本発明において希土類元素とは原子番号
が５７〜７１番および８９〜１０３番の元素およびＹを
指す。
およびＣａは熱間加工性の向上、高温での耐酸化性の改
善に効果のある元素であるが、含有量が希土類元素では
０．００１％未満、Ｃａでは０．０００５％未満ではそ
の効果が充分ではなく、一方、希土類元素では０．１％
を超えて、Ｃａでは０．０３％を超えて添加するとそれ
ぞれ粗大な非金属介在物を生成して逆に熱間加工性や耐
酸化性を劣化させるので、含有量は希土類元素では０．
００１〜０．１％、Ｃａでは０．０００５〜０．０３％
とした。なお、本発明において希土類元素とは原子番号
が５７〜７１番および８９〜１０３番の元素およびＹを
指す。
【００２１】本発明の鋼においては、上記の成分の他に
スクラップや原料等からの混入不純物として、あるいは
靱性や加工性などを調整する目的で、Ｎｉ、Ｃｕ、Ｂな
どの成分を含有することができる。かかる目的のために
Ｎｉ、Ｃｕ、Ｂを添加した鋼も勿論本発明の対象とする
ところであって、何ら本発明の目的と範囲を逸脱するも
のではない。
スクラップや原料等からの混入不純物として、あるいは
靱性や加工性などを調整する目的で、Ｎｉ、Ｃｕ、Ｂな
どの成分を含有することができる。かかる目的のために
Ｎｉ、Ｃｕ、Ｂを添加した鋼も勿論本発明の対象とする
ところであって、何ら本発明の目的と範囲を逸脱するも
のではない。
【００２２】本発明において提案する鋼は、例えばエキ
ゾーストマニホールドとして使用するに際して、鋼板と
して製造した後に、鋼板をプレス成形し、さらに加工・
溶接してエキゾーストマニホールドとして製造しても良
いし、鋼板を例えば電縫鋼管等としてまず鋼管の形状に
した後に２次加工および溶接等によってエキゾーストマ
ニホールドに加工しても良く、その他のプロセスも含め
て本発明で限定する組成および元素の組み合わせを有す
る鋼は、いずれも本発明の対象とするところであって、
コストや既存製造設備の制約等によって最適なエキゾー
ストマニホールド製造工程を選択することができ、どの
エキゾーストマニホールド製造工程を選択したとしても
それをもって本発明の範囲を逸脱するものではない。排
気ガス浄化触媒支持基体として使用する場合は鋼板とし
て使用する場合が一般的であるし、フロントパイプとし
て使用する場合は鋼管として使用するのが一般的である
が、これらは実施態様の一例であって本発明鋼の対象は
もちろんこれらの製品形状に限定されるものではない。
ゾーストマニホールドとして使用するに際して、鋼板と
して製造した後に、鋼板をプレス成形し、さらに加工・
溶接してエキゾーストマニホールドとして製造しても良
いし、鋼板を例えば電縫鋼管等としてまず鋼管の形状に
した後に２次加工および溶接等によってエキゾーストマ
ニホールドに加工しても良く、その他のプロセスも含め
て本発明で限定する組成および元素の組み合わせを有す
る鋼は、いずれも本発明の対象とするところであって、
コストや既存製造設備の制約等によって最適なエキゾー
ストマニホールド製造工程を選択することができ、どの
エキゾーストマニホールド製造工程を選択したとしても
それをもって本発明の範囲を逸脱するものではない。排
気ガス浄化触媒支持基体として使用する場合は鋼板とし
て使用する場合が一般的であるし、フロントパイプとし
て使用する場合は鋼管として使用するのが一般的である
が、これらは実施態様の一例であって本発明鋼の対象は
もちろんこれらの製品形状に限定されるものではない。
【００２３】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。表
１に成分を示す鋼を溶製し、通常の熱間圧延工程と冷間
圧延工程によって、肉厚２ｍｍの鋼板とし、８５０℃に
て焼鈍を施した。次にこれらの鋼板から試験片を採取し
て、ＪＩＳ規格Ｇ０５６７に準拠して８５０℃での高温
引張試験と、８５０℃において１００時間の連続高温酸
化試験を実施した。また、最高加熱温度を８５０℃とす
る熱疲労試験も実施した。
１に成分を示す鋼を溶製し、通常の熱間圧延工程と冷間
圧延工程によって、肉厚２ｍｍの鋼板とし、８５０℃に
て焼鈍を施した。次にこれらの鋼板から試験片を採取し
て、ＪＩＳ規格Ｇ０５６７に準拠して８５０℃での高温
引張試験と、８５０℃において１００時間の連続高温酸
化試験を実施した。また、最高加熱温度を８５０℃とす
る熱疲労試験も実施した。
【００２４】試験結果を表１に併せて示す。ここで表１
の高温引張試験結果において、◎は８５０℃における
０．２％耐力が２２Ｎ／ｍｍ2 以上であったことを示
し、○は１７Ｎ／ｍｍ2 以上２２Ｎ／ｍｍ2 未満であっ
たことを示し、×は１７Ｎ／ｍｍ 2 未満であったことを
示す。また、高温酸化試験結果において、○は８５０℃
における１００時間後の酸化増量が５ｇ／ｍ2 以下であ
ったことを示し、×は酸化増量が５ｇ／ｍ2 より大きか
ったことを示している。さらに、熱疲労試験結果におい
て、○は破断に至るまでの繰り返し数が５００回以上で
あったことを示し、×は繰り返し数が５００回未満であ
ったことを示している。
の高温引張試験結果において、◎は８５０℃における
０．２％耐力が２２Ｎ／ｍｍ2 以上であったことを示
し、○は１７Ｎ／ｍｍ2 以上２２Ｎ／ｍｍ2 未満であっ
たことを示し、×は１７Ｎ／ｍｍ 2 未満であったことを
示す。また、高温酸化試験結果において、○は８５０℃
における１００時間後の酸化増量が５ｇ／ｍ2 以下であ
ったことを示し、×は酸化増量が５ｇ／ｍ2 より大きか
ったことを示している。さらに、熱疲労試験結果におい
て、○は破断に至るまでの繰り返し数が５００回以上で
あったことを示し、×は繰り返し数が５００回未満であ
ったことを示している。
【００２５】表１から明らかなように、本発明鋼である
Ｎｏ．１〜１０は高温強度、耐酸化性および耐熱疲労特
性に優れているのに対して、比較例であるＮｏ．１１〜
１４は高温強度、高温での耐酸化性あるいは耐熱疲労特
性に劣ることがわかる。
Ｎｏ．１〜１０は高温強度、耐酸化性および耐熱疲労特
性に優れているのに対して、比較例であるＮｏ．１１〜
１４は高温強度、高温での耐酸化性あるいは耐熱疲労特
性に劣ることがわかる。
【００２６】
【表１】
【００２７】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は自動車排気
系用鋼として高温強度および高温での耐酸化性に優れる
鋼を低コストで提供することを可能としたものであり、
産業上の発展に貢献するところ極めて大である。
系用鋼として高温強度および高温での耐酸化性に優れる
鋼を低コストで提供することを可能としたものであり、
産業上の発展に貢献するところ極めて大である。
Claims (5)
- 【請求項１】 重量％で、 Ｓｉ：０．３〜３．０％、 Ｍｎ：０．０２〜２．０％、 Ｃｒ：３．５〜９．９％、 Ａｌ：１．０％超５．０％以下を含有し、 Ｍｏ、Ｗの１種または２種の合計で０．５〜４．０％、
を含有し、 Ｃを０．０３％以下、 Ｐを０．０３％以下、 Ｓを０．０３％以下、 Ｎを０．０２％以下に低減し、残部Ｆｅおよび不可避不
純物からなり、以下の式で与えられるＯＲ値 ＯＲ値＝〔％Ｃｒ〕＋４〔％Ｓｉ〕＋〔％Ａｌ〕−１７
〔％Ｃ〕−３〔％Ｎ〕 が８．５以上であり、金属組織が実質的にフェライトを
主体とする組織であることを特徴とする自動車排気系用
鋼。 - 【請求項２】 付加成分としてさらに、Ｎｂ、Ｖ、Ｔ
ｉ、Ｚｒ、Ｔａ、Ｈｆの１種または２種以上を含有し、
その含有量の合計として、重量％で０．０１％以上１．
０％以下を含有する請求項１記載の自動車排気系用鋼。 - 【請求項３】 付加成分としてさらに、重量％で、 希土類元素：０．００１〜０．１％、 Ｃａ：０．０００５〜０．０３％の１種または２種を含
有する請求項１または２記載の自動車排気系用鋼。 - 【請求項４】 ＣとＮの含有量の合計が、重量％で０．
０３％以下である請求項１、２または３のいずれかに記
載の自動車排気系用鋼。 - 【請求項５】 Ｓｉ、Ａｌ、Ｃ、Ｎの含有量が、以下の
式を満足する請求項１、２、３または４のいずれかに記
載の自動車排気系用鋼。 〔％Ｓｉ〕＋１．６〔％Ａｌ〕−６〔％Ｃ〕−５〔％
Ｎ〕−０．１〔％Ｍｎ〕≧２．１
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18471893A JPH0741917A (ja) | 1993-07-27 | 1993-07-27 | 自動車排気系用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18471893A JPH0741917A (ja) | 1993-07-27 | 1993-07-27 | 自動車排気系用鋼 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0741917A true JPH0741917A (ja) | 1995-02-10 |
Family
ID=16158155
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP18471893A Withdrawn JPH0741917A (ja) | 1993-07-27 | 1993-07-27 | 自動車排気系用鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0741917A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN107723617A (zh) * | 2017-09-15 | 2018-02-23 | 大连理工大学 | 一种具有1200°C/1h短时高温组织稳定的Fe‑Cr‑Al基铁素体不锈钢 |
| WO2018215065A1 (en) * | 2017-05-24 | 2018-11-29 | Sandvik Intellectual Property Ab | Ferritic alloy |
| CN109072384A (zh) * | 2016-04-22 | 2018-12-21 | 山特维克知识产权股份有限公司 | 铁素体合金 |
| CN114686759A (zh) * | 2014-12-11 | 2022-07-01 | 山特维克知识产权股份有限公司 | 铁素体合金 |
-
1993
- 1993-07-27 JP JP18471893A patent/JPH0741917A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN114686759A (zh) * | 2014-12-11 | 2022-07-01 | 山特维克知识产权股份有限公司 | 铁素体合金 |
| CN109072384A (zh) * | 2016-04-22 | 2018-12-21 | 山特维克知识产权股份有限公司 | 铁素体合金 |
| CN113088830A (zh) * | 2016-04-22 | 2021-07-09 | 山特维克知识产权股份有限公司 | 铁素体合金 |
| CN113088830B (zh) * | 2016-04-22 | 2023-09-01 | 山特维克知识产权股份有限公司 | 铁素体合金 |
| WO2018215065A1 (en) * | 2017-05-24 | 2018-11-29 | Sandvik Intellectual Property Ab | Ferritic alloy |
| CN110709529A (zh) * | 2017-05-24 | 2020-01-17 | 山特维克知识产权股份有限公司 | 铁素体合金 |
| CN107723617A (zh) * | 2017-09-15 | 2018-02-23 | 大连理工大学 | 一种具有1200°C/1h短时高温组织稳定的Fe‑Cr‑Al基铁素体不锈钢 |
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|---|---|---|---|
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