JP3259478B2 - 車輪スリップ制御装置 - Google Patents

車輪スリップ制御装置

Info

Publication number
JP3259478B2
JP3259478B2 JP27265393A JP27265393A JP3259478B2 JP 3259478 B2 JP3259478 B2 JP 3259478B2 JP 27265393 A JP27265393 A JP 27265393A JP 27265393 A JP27265393 A JP 27265393A JP 3259478 B2 JP3259478 B2 JP 3259478B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheel
drive
rotation direction
vehicle
slip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP27265393A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07125622A (ja
Inventor
健治 笹原
浩人 西方
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP27265393A priority Critical patent/JP3259478B2/ja
Publication of JPH07125622A publication Critical patent/JPH07125622A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3259478B2 publication Critical patent/JP3259478B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車輪スリップ制御装置に
係り、特に坂路の発進或いは走行時に発生する車輪スリ
ップを抑制制御する車輪スリップ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の加速時に駆動輪に与えられる駆動
トルクが路面の摩擦係数との関係において過大である場
合には、駆動輪のスリップが大きくなって効果的に加速
することができない。そして、駆動輪で発生される駆動
力はスリップ率が所定の値である場合に最大となるた
め、駆動輪のスリップ率或いはスリップ量が所定の値と
なるように駆動輪の回転を制御することが行われている
(この制御をトラクションコントロール:TRCとい
う)。
【0003】駆動輪の回転を制御するための具体的な手
段としては、エンジン等の駆動源の出力トルクを低減さ
せること、駆動輪の回転を抑制するブレーキを作動させ
ること、或いは出力トルクの低減とブレーキの作動とを
併用すること等が採用されている。
【0004】上記のようなトラクションコントロールを
設けることにより、スリップの発生を防止でき、特に低
い摩擦係数を有する路面(低μ路)の走行時における安
定性を向上することができる。しかるに、車両を雪道の
ように特に摩擦係数の低い登坂路上で発進させる場合に
は、通常のトラクションコントロールによる制御ではス
リップ量が大となり良好に車両を発進できない場合が生
じることが知られている。
【0005】このため、登坂路上における発進時には、
平坦路における発進時の場合に比べてスリップ率を低く
抑えて設定することにより摩擦係数の低い登坂路上の発
進においても良好に発進させることができるようにした
スリップ制御装置が提案されている(特開昭63−22
2964号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、摩擦係数の
低い登坂路上の発進で実行されるトラクションコントロ
ールにおいて、スリップ率を低く抑えて設定する制御を
行っても、駆動輪にスリップが生じて車両が後退してし
まうおそれがあった。以下、この現象が生じる理由につ
いて説明する。
【0007】氷雪路等の低μ路面の登坂路で停止状態か
ら発進しようとする時、アクセルを踏んで駆動輪に駆動
力を発生させると、駆動輪にスリップが発生しタイヤと
路面間のμ(摩擦係数)は非常に小さくなり、路面に対
し得られる駆動力が大幅に低下する。この為、車両は登
坂路の勾配によっては坂道を後退してしまう(ずり下が
る)と共に発進,登坂が不能となる場合が生じる。
【0008】一方、トラクションコントロールにおいて
は、駆動輪及び非駆動輪に夫々車輪速度検出センサが設
けられており、各センサからの出力から駆動輪速度(V
WR)と非駆動輪速度(VWF)を検出し、駆動輪速度
VWRが非駆動輪速度VWFに対して大きい場合(VW
R>VWF)、 VWR≦VWF+C(Cは定数)…… となるよう駆動力を制御することが行われている。
【0009】ここで、従来のスリップ制御装置において
は、各車輪に設けられているセンサは車輪の車輪速度の
みしか検出することができず、車輪が正転していても逆
転していてもその回転方向は検出できず単に車輪速度の
みが検出される構成とされていた(逆転の場合も速度検
出可能)。
【0010】このため図5に示されるように、例えば車
両1が登坂路2において低μ路のため矢印Xで示すよう
に後退しているような場合においては、非駆動輪3及び
駆動輪4は共に回転しており、非駆動輪3は車両1の後
退により逆転(同図において、反時計方向の車輪の回転
を正転とする)しており、また駆動輪4はエンジンの駆
動力により正転している。この場合、上記のように各車
輪の車輪速度センサは車輪速度のみしか検出することが
できないため、その出力はVWR>0,VWF>0とな
る。
【0011】一方、登坂路2の傾斜角や路面のμの値に
よっては、駆動輪速度VWRが非駆動輪速度VWFに対
して大きい場合(VWR>VWF)が発生する可能性が
ある。この場合においては、トラクションコントロール
においては上記した式に基づき駆動輪4の制御を実行
し、駆動輪4にスリップが発生した状態のままで駆動輪
4を回転し続けることとなる。このため、上記のような
状態下においては、車両1は運転者がアクセルを踏み続
けているにも拘わらず後退してしまうという問題点があ
った。このように、低μの登坂路2において発生した車
両1の後退を停止するには、一旦車両1を停止させる必
要がある。
【0012】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、各車輪にその回転方向を検出できるセンサを設け
ると共に駆動輪と非駆動輪の回転方向が異なる場合には
車両を制動することにより、登坂路における発進性の向
上を図った車輪スリップ制御装置を提供することを目的
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理図で
ある。同図に示すように、上記課題を解決するために本
発明では、非駆動輪(W1)の車輪速度を検出する非駆動輪
速度検出手段(A1)と、駆動輪(W2)の車輪速度を検出する
駆動輪速度検出手段(A2)と、上記非駆動輪速度検出手段
(A1)と駆動輪速度検出手段(A2)とが検出する各車輪(W1,
W2) の車輪速度に基づき車輪スリップの発生を検出し、
車輪スリップを抑制する車輪スリップ抑制手段(A3)とを
具備する車輪スリップ制御装置において、上記非駆動輪
(W1)の車輪回転方向を検出する非駆動輪回転方向検出手
段(A4)と、上記駆動輪(W2)の車輪回転方向を検出する駆
動輪回転方向検出手段(A5)と、この非駆動輪回転方向検
出手段(A4)及び該駆動輪回転方向検出手段(A5)の検出結
果に基づき、上記駆動輪(W2)に所定以上のスリップが生
じており、非駆動輪(W1)の車輪回転方向と駆動輪(W2)の
車輪回転方向とが一致しない場合に、上記駆動輪(W2)に
制動力を付加して駆動輪(W2)の回転を停止させ、かつ、
車両を停止させる制動制御手段(A6)とを設けたことを特
徴とするものである。
【0014】
【作用】上記構成とされた車輪スリップ制御装置では、
非駆動輪回転方向検出手段(A4)及び駆動輪回転方向検出
手段(A5)を設けることにより、各車輪の回転方向を検出
することが可能となる。
【0015】このため、非駆動輪(W1)の回転方向と駆動
輪(W2)の回転方向が不一致であることより登坂路におい
て車両が後退している状態を検出することが可能とな
る。
【0016】制動制御手段(A6)は、非駆動輪(W1)の回転
方向と駆動輪(W2)の回転方向が不一致となっているかを
検出し、不一致であると判定した場合には車両を制動し
停止させる。これにより、低μの登坂路における車両の
後退を防止できると共に発進性の向上を図ることができ
る。
【0017】
【実施例】次に本発明の実施例について図面と共に説明
する。
【0018】図2は本発明の一実施例である車輪スリッ
プ制御装置を搭載した車両10の要部構成図であり、本
実施例においては後輪駆動の車両を例に挙げている。
【0019】同図において、12は右前輪(非駆動
輪),13は左前輪(非駆動輪),14は右後輪(駆動
輪),15は左後輪(駆動輪)を示している。エンジン
11の駆動力はプロペラシャフト11a,ディファレン
シャルギヤ11b等を介して各後輪14,15に伝達さ
れる構成とされている。また、エンジン11には図示し
ないトランスミッションが接続されており、このトラン
スミッションにはギヤがバックに入れられた時に閉成さ
れるバックライトスイッチ35が設けられている。この
バックライトスイッチ35が生成するバックライト信号
は後述するスリップ制御コンピュータ21に送信され
る。
【0020】このバックライトスイッチ35は駆動輪回
転方向センサとして機能し、バックライトスイッチ35
が生成するバックライト信号によりスリップ制御コンピ
ュータ21は駆動輪14,15の回転方向を検知するこ
とができる。具体的には、バックライト信号が供給され
ている状態においては、スリップ制御コンピュータ21
は駆動輪14,15が逆転していると判断し、バックラ
イト信号が供給されていない状態においては、スリップ
制御コンピュータ21は駆動輪14,15が正転してい
ると判断する。尚、本実施例においては駆動輪回転方向
センサをバックライトスイッチ35により構成している
が、後述する非駆動輪回転方向センサ33と同様に駆動
輪14,15の回転を直接検出するセンサを設けた構成
とすることも可能である。
【0021】上記各車輪12〜15には夫々ブレーキ1
6〜19が設けられており、この各ブレーキ16〜19
にはABS(Anti-lock Breaking System) アクチュエー
タ20に接続されたブレーキ配管16a〜19aが接続
されている。ABSアクチュエータ20は、スリップ制
御コンピュータ21からの信号により、各ブレーキ16
〜19に供給するブレーキ油圧を制御し、これにより各
ブレーキ16〜19の制動力を制御するものである。
【0022】また、ABSアクチュエータ20はトラク
ションコントロール(TRC)アクチュエータ22に接
続されており、TRCアクチュエータ22はスリップ制
御コンピュータ21からの信号によりABSアクチュエ
ータ20にブレーキ油圧を供給する。この際、スリップ
制御コンピュータ21からTRCポンプ23にも信号を
供給し、TRCポンプ23はポンプモータを作動させて
ブレーキフルードをTRCアクチュエータ22に圧送
し、TRC制御油圧を発生させる。
【0023】ブレーキペダル24はブレーキブースタ2
5を介してマスタシリンダ26に接続されており、運転
者がブレーキペダル24を踏むことにより発生する踏力
はブレーキブースタ25で増幅され、マスタシリンダ2
6においてブレーキ油圧に変換される。また、マスタシ
リンダ26の上部にはブレーキフルードが蓄えられたリ
ザーバタンク27が配設されている。前記したTRCポ
ンプ23が作動することにより、このリザーバタンク2
7に蓄えられているブレーキフルードがTRCアクチュ
エータ22に圧送されTRC制御油圧が発生する。
【0024】更に、ブレーキペダル24にはストップラ
ンプスイッチ(ストップS/Wと略称する)28が配設
されており、このストップS/W28はブレーキペダル
24が踏まれることにより閉成し、車両10の後部に設
けられたストップランプ(図示せず)を点燈させる構成
となっている。このストップS/W28のスイッチ信号
もスリップ制御コンピュータ21に送信される構成とさ
れている。
【0025】上記した各車輪12〜15には、各車輪2
〜5の車輪速度を検出する車輪速度センサ29〜32が
配設されている。この車輪速度センサ29〜32によ
り、各車輪12〜15の車輪速度は個別に検出され、検
出された車輪速度はスリップ制御コンピュータ21に送
信される。
【0026】また、上記した各車輪12〜15の内、右
前輪12(非駆動輪)には車輪の回転方向を検出しうる
回転方向検出センサ33が配設されている。この回転方
向検出センサ33により検出された車輪回転方向はスリ
ップ制御コンピュータ21に送信される。尚、本実施例
においては、車輪速度センサ29〜32は各車輪12〜
15の車輪速度のみが検出でき、また回転方向検出セン
サ33は車輪12の回転方向のみが検出できる構成とさ
れている。しかるに、車輪速度と回転方向が共に検出で
きる構成のセンサを用いることも可能である。
【0027】ここで、回転方向検出センサ33の一例を
図3を用いて説明する。同図において、40は右前輪1
2(非駆動輪)のアクスルシャフトであり、アクスル4
1にベアリング42を介して回転自在に支持されてい
る。回転方向検出センサ33は、大略すると、アクスル
シャフト40に取付固定されたスリット板43と、アク
スル41に取付固定された光センサユニット44とによ
り構成されている。スリット板43は、等間隔で多数の
スリット43aが形成されており、ボルト45によりア
クスルシャフト40に取付固定されている。光センサユ
ニット44は、二つのホトインタラプタ44a,44b
を所定間隔離間させて内設した構造を有し、この二つの
ホトインタラプタ44a,44bは回転方向検出を行う
ため例えば4.5 °の移相差が付くように配設されてい
る。よって、各二つのホトインタラプタ44a,44b
から出力されるセンサ出力信号(回転方向信号)より右
後輪14の回転方向を検出することができる。
【0028】再び図2に戻り説明を続ける。スリップ制
御コンピュータ21はマイクロコンピュータにより構成
されており、具体的には図示しないエンジンコントロー
ルコンピュータ(ECU),TRCコンピュータ,AB
Sコンピュータ等により構成されている。この各コンピ
ュータは夫々接続されており、情報の授受を行いうる構
成とされている。
【0029】ECUは、各種センサからスロットルポジ
ション信号等のエンジン制御に必要な各種信号が送信さ
れ、これらのセンサ信号に基づきエンジン11を最適条
件下で駆動させるよう燃料噴射量制御,点火制御等を行
うものである。ECUに送信される信号の内、TRC及
びABSに必要な信号はECUからTRCコンピュータ
及びABSコンピュータに送信される。
【0030】ABSコンピュータは、各車輪速度センサ
29〜32から送信される車輪速度信号から求められる
車輪速度及びTRCコンピュータから送信されるTRC
制御信号に基づき、前記したABSアクチュエータ20
及びTRCアクチュエータ22に制御信号を出力する。
また、TRCコンピュータに対して上記車輪速度信号を
出力する。
【0031】TRCコンピュータは、ABSコンピュー
タから送信される車輪速度及びECUから送信されるス
ロットルポジション信号により走行状態及びスリップ率
を判断し、スリップの発生を抑制する制御(本実施例の
場合にはブレーキ16〜19を用いた制動制御)を行
う。
【0032】上記の各コンピュータはマイクロプロセッ
サ(MPU),リードオンリメモリ(ROM),ランダ
ムアクセスメモリ(RAM),これらを接続する双方向
のバスライン,外部センサや装置と接続するためのI/
O(Input and Output) ユニット等により夫々構成され
ている。また、本発明の要部となる車両10が低μの登
坂路2において発進する状況下において実行させるスリ
ップ制御処理はTRCコンピュータにおいて実施され
る。
【0033】尚、図1を用いて説明した車輪スリップ抑
制手段(A3),及び制動制御手段(A6)はスリップ制御コン
ピュータ(TRCコンピュータ)21が実行するソフト
ウェアプログラムとして構成される。以下、スリップ制
御コンピュータ21が実行するスリップ制御動作につい
て図4を用いて説明する。
【0034】同図に示す処理が起動すると、先ずステッ
プ10(図ではステップをSと略称する)において、ス
リップ制御コンピュータ21は非駆動輪12,13に配
設された車輪速度センサ29,30から送信される非駆
動輪車輪速度信号より非駆動輪車輪速度VWFを演算す
ると共に、駆動輪14,15に配設された車輪速度セン
サ31,32から送信される駆動輪車輪速度信号より駆
動輪車輪速度VWRを演算する。
【0035】続くステップ12においては、ステップ1
0で演算された非駆動輪車輪速度VWF及び駆動輪車輪
速度VWRより、TRC制御の開始判定を行う。具体的
には、非駆動輪車輪速度VWFが駆動輪車輪速度VWR
に対して小さい値となっているかどうかが判定される。
尚、ステップ12においては、TRC制御の開始判定レ
ベルを調整するため非駆動輪車輪速度VWFに所定の定
数Cを加算した値と駆動輪車輪速度VWRを比較する構
成としている。
【0036】ステップ12において否定判断がされた場
合は、スリップが発生していないか或いは発生している
スリップ量が小さい場合である。このような車両10の
走行状態においてはTRC制御を行う必要がないため、
ステップ14以下のTRC制御及び本発明の特徴となる
スリップ制御を行うことなくステップ10に戻る構成と
した。一方、ステップ12において肯定判断がされ、ス
リップが発生していると判断された場合には、処理はス
テップ14に進む。
【0037】ステップ14では、非駆動輪回転方向セン
サ33からの出力信号に基づき、スリップ制御コンピュ
ータ21は非駆動輪12,13の回転方向を検知する。
具体的には、非駆動輪12,13が正転(前進方向)し
ている場合には非駆動輪回転方向フラグWFHを正に設
定し(+WFH)し、また逆転(後退方向)している場
合には非駆動輪回転方向フラグWFHを負に設定する
(−WFH)。
【0038】続くステップ16では、バックランプスイ
ッチ35から供給されるバックライト信号により、スリ
ップ制御コンピュータ21は駆動輪14,15の回転方
向を検知する。具体的には、駆動輪14,15が正転
(前進方向)している場合には駆動輪回転方向フラグW
RHを正に設定し(+WRH)し、また逆転(後退方
向)している場合には駆動輪回転方向フラグWRHを負
に設定する(−WRH)。
【0039】ステップ14及びステップ16で求められ
た非駆動輪回転方向フラグWFH及び駆動輪回転方向フ
ラグWRHに基づき、ステップ18では非駆動輪12,
13の回転方向と駆動輪14,15の回転方向が一致し
ているかどうかが判断される。具体的には、非駆動輪回
転方向フラグWFHと駆動輪回転方向フラグWRHとを
積算し、WFH*WRH≧0の場合には、非駆動輪1
2,13の回転方向と駆動輪14,15の回転方向が一
致していると判断し、またWFH*WRH<0の場合に
は、非駆動輪12,13の回転方向と駆動輪14,15
の回転方向が不一致であると判断する。
【0040】非駆動輪12,13の回転方向と駆動輪1
4,15の回転方向が一致している場合は、運転者が意
図する方向に車両10が進んでいる場合であり、正常な
走行状態である。しかるに、非駆動輪12,13の回転
方向と駆動輪14,15の回転方向が不一致である場合
には、運転者が意図する方向に車両10は進んでおら
ず、運転者がアクセルを踏み続けているにも拘わらず後
退してしまう状態(ずり下がる状態)である。前記した
ように、このようなずり下がる状態は低μの登坂路にお
ける発進時に生じやすく、一旦このずり下がりが発生し
た場合には、車両10を停止させる必要がある。
【0041】ステップ18において肯定判断がされた場
合には、処理はステップ20に進み、駆動輪14,15
に設けられた回転速度センサ31,32の出力信号より
駆動輪14,15の回転速度(VWR)がゼロか或いは
それ以下かどうかが判断される。ステップ20において
否定判断がされた場合は、駆動輪14,15が停止され
ていない状態であり、この場合には処理はステップ26
に進み、スリップ制御コンピュータ21はABSアクチ
ュエータ20及びTRCアクチュエータ22にブレーキ
制御増圧モードを要求する。ABSアクチュエータ20
及びTRCアクチュエータ22は、スリップ制御コンピ
ュータ21からブレーキ制御増圧モードを要求される
と、各ブレーキ16〜19に対しブレーキフルードを供
給してブレーキ圧を増圧し車両10の制動を行う。
【0042】続くステップ30においては、ストップラ
ンプスイッチ28からのストップスイッチ信号がオンと
なっているかどうかが判断される。ストップランプスイ
ッチ28がオンの状態は、運転者がブレーキペダル24
を踏んでいる場合である。この状態においては運転者は
車両10を停止させようとしており、スリップ制御コン
ピュータ21により制動処理を行う必要はないため、処
理はステップ40に進み通常のTRC制御を行う。ここ
でいう通常のTRC制御とは、非駆動輪12,13の回
転速度VWFと駆動輪14,15の回転速度VWRとか
ら求められるスリップ率に基づき、このスリップ率及び
車両状態より検出される車両10に発生するスリップが
所定値以上の場合に、路面に伝達されるエンジントルク
を低減するため、ブレーキ16〜19の制動力を増大さ
せる処理をいう。
【0043】一方、ステップ30において否定判断がさ
れ、運転者がブレーキペダル24を踏んでいないと判断
されると、処理はステップ32に進み制動後の非駆動輪
12,13の車輪速度VWF及び駆動輪14,15の車
輪速度VWRを演算し処理はステップ20に戻る。よっ
て、ステップ20において駆動輪14,15の回転が停
止されたと判断されるまでステップ26,30,32の
処理は繰り返し実行されブレーキ制御増圧モードは維持
される。
【0044】一方、ステップ20において肯定判断がさ
れ、駆動輪14,15の回転が停止されたと判断される
と、処理はステップ22に進み非駆動輪12,13に設
けられた回転速度センサ29,30の出力信号より非駆
動輪12,13の回転速度(VWF)がゼロか或いはそ
れ以下かどうかが判断される。本実施例においては、非
駆動輪12,13の回転速度VWFを車両10の走行速
度とみなしている。従って、ステップ22において否定
判断がされた場合は、車両10が停止していない状態と
判断し、この場合には処理はステップ28に進み、スリ
ップ制御コンピュータ21はABSアクチュエータ20
及びTRCアクチュエータ22にブレーキ制御保持モー
ドを要求する。
【0045】ABSアクチュエータ20及びTRCアク
チュエータ22は、スリップ制御コンピュータ21から
ブレーキ制御保持モードを要求されると、ステップ26
の処理により行っていたブレーキ圧の増圧を停止し、そ
の時点のブレーキ圧を保持させる。スリップ制御コンピ
ュータ21はステップ28の処理によりモードをブレー
キ制御増圧モードからブレーキ制御保持モードに切り換
えると、前記したステップ30及びステップ32の処理
を行い、ストップランプスイッチ28がオンされている
かどうかを判断し、オフであった場合は非駆動輪12,
13の車輪速度VWF及び駆動輪14,15の車輪速度
VWRを演算し処理はステップ20に戻る。また、ステ
ップ30において肯定判断がされた場合は、処理はステ
ップ40に進み通常のTRC制御を行う。
【0046】一方、ステップ22で肯定判断がされた場
合は、処理はステップ24に進み、ステップ20及びス
テップ22の処理により車両10が停止した状態が所定
時間(本実施例の場合は150ms)維持されるかどうかを判
断する。ここで、車両10が停止した状態が所定時間維
持されるかどうかを判断する理由は、回転速度センサ2
9〜32の分解能が比較的低いためこれによる誤判定を
防止するためである。
【0047】そして、ステップ24で肯定判断がされた
場合には、車両10は確実に停止したと判断して処理は
ステップ36に進み、スリップ制御コンピュータ21は
ABSアクチュエータ20及びTRCアクチュエータ2
2にブレーキ制御減圧モードを要求する。ABSアクチ
ュエータ20及びTRCアクチュエータ22は、スリッ
プ制御コンピュータ21からブレーキ制御減圧モードを
要求されると、ステップ28の処理により行っていたブ
レーキ圧の保持を停止し、徐々にブレーキ圧を減圧させ
る。
【0048】これにより、各ブレーキ16〜19で発生
していた制動力は低減され、再び非駆動輪12,13は
回転可能に、また駆動輪14,15は駆動トルクを路面
に伝達可能な状態となる。従って、エンジン11の駆動
力により駆動輪14,15は回転し、再びエンジン11
で発生する駆動力を路面に伝達する。また、ステップ3
6の処理を実行する車両10の状態は、一旦車両10が
停止した状態であるため、低μの登坂路における発進で
あっても車両状態は安定しており再発進が可能な状態で
ある。よって、前記一連のステップ18〜32、及びス
テップ36の処理を実行することにより、低μの登坂路
における再発進を円滑に行うことができる。続くステッ
プ38においては、再発進後の非駆動輪12,13の車
輪速度VWF及び駆動輪14,15の車輪速度VWRを
演算し処理はステップ14に戻る。
【0049】一方、前記したステップ18において否定
判断がされた場合、即ちWFH*WRH≧0で非駆動輪
12,13の回転方向WFHと駆動輪14,15の回転
方向WRHが一致していると判断された場合には、車両
10の走行状態は正常な状態(ずり下がりの発生してい
ない状態)であるため、ステップ20からステップ32
の車両10を一旦停止させる処理は不要である。よっ
て、ステップ18において否定判断がされた場合には処
理はステップ34に進む。
【0050】ステップ34では、前記した式の条件
(VWR≦VWF+C)が成立しているかどうかを判断
する。そして、ステップ34で肯定判断がされた場合に
は、前記したステップ36及びステップ38に処理を進
め、ABSアクチュエータ20及びTRCアクチュエー
タ22をブレーキ制御減圧モードとし、また否定判断が
された場合にはステップ40に処理を進め通常のTRC
制御を実行する構成とした。このステップ34の処理を
行う理由は、ステップ18で非駆動輪12,13の回転
方向WFHと駆動輪14,15の回転方向WRHが一致
していると判断された場合においても、駆動輪14,1
5の回転速度VWRが通常のTRC制御の開始基準以下
の領域にある場合には、ステップ36において徐々にブ
レーキ圧を減圧させて急激なスリップの発生を防止する
ためである。ステップ44で時間または回数等をカウン
タKで判定し、所定の時間或いは回数を経過したら通常
のTRC制御を実行する。
【0051】そして、ステップ40において通常のTR
C制御が実行され、そしてステップ42において通常の
TRC制御の終了条件が成立しているかどうかが判断さ
れ、終了条件が成立していないと判断された場合には処
理はステップ14に戻り、前記したステップ14以降の
処理を再び実行する。一方、ステップ42において通常
のTRC制御の終了条件が成立していると判断された場
合には、本制御処理を終了させ、運転者のブレーキ操作
のみにより制動を行う通常のブレーキ制御に戻る構成と
した。
【0052】
【0053】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、非駆動輪回
転方向検出手段及び駆動輪回転方向検出手段を設けるこ
とにより、各車輪の回転方向を検出することが可能とな
り、このため非駆動輪の回転方向と駆動輪の回転方向が
不一致であることより登坂路において車両が後退してい
る状態を検出することが可能となる。
【0054】従って、制動制御手段は非駆動輪の回転方
向と駆動輪の回転方向が不一致となっているかを検出
し、この検出結果より不一致であると判定した場合には
車両を制動し停止させることが可能となるため、低μの
登坂路における車両の後退を防止できると共に発進性の
向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】本発明の一実施例である車輪スリップ制御装置
を搭載した車両の要部構成図である。
【図3】回転方向センサの一例の構造を説明するための
図である。
【図4】スリップ制御コンピュータが実行するスリップ
制御動作を示すフローチャートである。
【図5】低μの登坂路において車両が後退した時の車輪
の回転状態を説明するための図である。
【符号の説明】
10 車両 11 エンジン 12〜15 車輪(12,13→非駆動輪:14,15
→駆動輪) 16〜19 ブレーキ 20 ABSアクチュエータ 21 スリップ制御コンピュータ 22 TRCアクチュエータ 23 TRCポンプ 24 ブレーキペダル 28 ストップランプスイッチ 29〜32 車輪速度センサ(29,30→非駆動輪:
31,32→駆動輪) 33 回転方向センサ 35 バックライトスイッチ 43 スリット板 43a スリット 44 光センサユニット 44a,44b ホトインタラプタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非駆動輪の車輪速度を検出する非駆動輪
    速度検出手段と、 駆動輪の車輪速度を検出する駆動輪速度検出手段と、 該非駆動輪速度検出手段と該駆動輪速度検出手段とが検
    出する各車輪の車輪速度に基づき車輪スリップの発生を
    検出し、車輪スリップを抑制する車輪スリップ抑制手段
    とを具備する車輪スリップ制御装置において、 非駆動輪の車輪回転方向を検出する非駆動輪回転方向検
    出手段と、 駆動輪の車輪回転方向を検出する駆動輪回転方向検出手
    段と、 該非駆動輪回転方向検出手段及び該駆動輪回転方向検出
    手段の検出結果に基づき、上記駆動輪に所定以上のスリ
    ップが生じており、該非駆動輪の車輪回転方向と該駆動
    輪の車輪回転方向とが一致しない場合に、上記駆動輪に
    制動力を付加して駆動輪の回転を停止させ、かつ、車両
    を停止させる制動制御手段とを設けたことを特徴とする
    車輪スリップ制御装置。
JP27265393A 1993-10-29 1993-10-29 車輪スリップ制御装置 Expired - Fee Related JP3259478B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27265393A JP3259478B2 (ja) 1993-10-29 1993-10-29 車輪スリップ制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27265393A JP3259478B2 (ja) 1993-10-29 1993-10-29 車輪スリップ制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07125622A JPH07125622A (ja) 1995-05-16
JP3259478B2 true JP3259478B2 (ja) 2002-02-25

Family

ID=17516925

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27265393A Expired - Fee Related JP3259478B2 (ja) 1993-10-29 1993-10-29 車輪スリップ制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3259478B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6644454B2 (en) * 2001-01-23 2003-11-11 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Running condition control system for vehicle and method
JP4565757B2 (ja) * 2001-03-05 2010-10-20 トヨタ自動車株式会社 車両走行状態制御装置
US7317980B2 (en) 2002-07-30 2008-01-08 Adivics Co., Ltd. Automatic brake device for controlling movement of vehicle in direction opposite to intended direction of movement of driver
JP2007055536A (ja) * 2005-08-26 2007-03-08 Toyota Motor Corp 自動車およびその制御方法
JP2012224128A (ja) * 2011-04-15 2012-11-15 Suzuki Motor Corp 手動変速機付車両の坂道発進補助制御装置
JP2012224131A (ja) * 2011-04-15 2012-11-15 Suzuki Motor Corp 手動変速機付車両の坂道発進補助制御装置
CN103223947B (zh) * 2013-05-03 2015-08-19 龚志辉 一种基于abs装置的汽车辅助起步控制方法
CN104097506A (zh) * 2014-07-11 2014-10-15 力帆实业(集团)股份有限公司 一种防溜坡装置防溜坡***和车辆

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07125622A (ja) 1995-05-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6547022B2 (en) Vehicle traction control apparatus and method of traction control
JP2638785B2 (ja) アンチスキツド制御装置
US6644454B2 (en) Running condition control system for vehicle and method
US20050228554A1 (en) Control apparatus for hybrid vehicle
JPH11123946A (ja) 4輪駆動車の差動制限制御装置
JP6969440B2 (ja) 車両の運転支援装置
JPH0729557B2 (ja) 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
JP3259478B2 (ja) 車輪スリップ制御装置
JP3438242B2 (ja) 電気自動車のアンチロック制御装置
JP2002152904A (ja) 車両の制動装置
JP3781101B2 (ja) 車輌の制動力制御装置
JP2707805B2 (ja) アンチスキッドブレーキ制御方法
JP4305039B2 (ja) 車輪速センサ異常判定装置
JP4953507B2 (ja) エンジンブレーキ作用を維持する方法
JP2009280083A (ja) 車両の制動制御装置
JP2001234774A (ja) ハイブリッド車両
JP3438243B2 (ja) 電気自動車の制動制御装置
KR100203171B1 (ko) 경사로 재출발시 자동 브레이크 시스템
JP3188323B2 (ja) 車体速度推定装置
JP2917491B2 (ja) アンチスキッドブレーキ制御方法
JPH0532380Y2 (ja)
JPH1016745A (ja) 車輪スリップ制御装置
JP2009298277A (ja) 車両の制駆動力制御装置
JP3726297B2 (ja) 車両用ブレーキ圧力制御装置
JP2000344082A (ja) 車両用トラクション制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081214

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081214

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091214

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees