JP3259156B2 - 回路基板の表面処理方法 - Google Patents

回路基板の表面処理方法

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JP3259156B2
JP3259156B2 JP01530595A JP1530595A JP3259156B2 JP 3259156 B2 JP3259156 B2 JP 3259156B2 JP 01530595 A JP01530595 A JP 01530595A JP 1530595 A JP1530595 A JP 1530595A JP 3259156 B2 JP3259156 B2 JP 3259156B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回路基板の表面処理方
法、特に、有機材料製の基板と基板上に金属材料を積層
して形成された導体部とを有する回路基板にレーザ光を
照射して導体部を処理する回路基板の表面処理方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、PGA(Pin Grid Array)、QF
P(Quard Flat Pakage )、COB(Chip On Board )
等と呼ばれる各種の半導体パッケージ製品においては、
合成樹脂などからなる回路基板に、銅や金などの金属材
料層からなる導体部を形成しておき、この導体部に半導
体チップなどの各種電子部品を電気的に接合して、電子
部品同士あるいは電子部品と外部回路との接続を果して
いる。このような半導体パッケージ用の回路基板に形成
される導体部は、半導体チップなどに合わせて極めて微
細な加工が必要であるとともに、微弱な電流や高い周波
数の電流が流されるため、その電気的特性には極めて高
い性能が要求される。
【0003】ところが、回路基板を製造する雰囲気の影
響や、その他の製造工程上の種々の影響のために、回路
基板上の導体部表面が汚染されたり、導体部表面が金属
的に不活性になってしまったりして、導体部表面の絶縁
抵抗値が増大したり、電気的接合の信頼性が低下したり
する。このような導体部表面の性能信頼性低下は、回路
基板全体の特性に致命的なダメージを与えることにな
る。
【0004】そこで、回路基板を洗浄したり、導体部の
表面改質等を行ったりして、導体部表面の性能信頼性を
向上させる方法が種々提案されている。従来における導
体部の洗浄方法としては、一般的には、フロン等の化学
薬品を用いた湿式化学的方法が多く採用されている。し
かし、近年、地球環境問題等により、フロンを使用する
洗浄方法が問題とされ、フロンを使用しない方法が求め
られている。そこで、フロンによる洗浄の代わりに、純
水を用いて洗浄する方法や、表面活性剤を用いる洗浄方
法が提案されている。
【0005】しかし、これらの洗浄方法では、導体表面
に存在する汚染物質を完全に除去することができない。
また、洗浄剤が導体部表面に残留して、却って導体部の
特性を損なったりする問題がある。さらに、これらの方
法は、導体部表面に汚染物質が付着した程度であれば対
応できるが、導体部表面が金属的に不活性になってしま
ったものに対しては、前記のような洗浄方法では、電気
的接合の信頼性を回復させることができない。
【0006】そこで、上記のような湿式洗浄方法に代わ
る乾式表面処理方法として、近年、レーザ光を導体部表
面に照射して、有機汚染物質を除去して性能信頼性を向
上させ、かつ導体部表面の金属的活性を回復させて電気
的接合信頼性を向上させる方法が提案されている。その
一例として、複数の金属材料層からなる導体部に、パル
ス幅1μsecのレーザ光を照射して、ハンダ濡れ性な
どが良い合金層を表面に形成させる方法が、特開平2−
256249号公報に開示されている。この従来の回路
基板の表面処理方法では、高密度なレーザ光により導体
部の表面を瞬間的に溶解し、凝固することにより均質な
濡れ性の良い合金層を形成するとともに、有機物等の異
物を蒸発させ、清浄な金属層が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な従来におけるレーザ光を用いた乾式表面処理方法で
は、導体部表面の電気的接合信頼性が十分に向上しない
という問題がある。具体的には、パルス幅が長いレーザ
光を使用しているので、複数の金属材料層の間で金属間
化合物が形成されて、導体部全体の抵抗値が増大すると
いう問題が生じる。また、合金層を形成するには十分な
エネルギーのレーザ入熱量が必要になり、その影響で回
路基板の導体部以外の領域、たとえば樹脂部分等に熱影
響を与えて、樹脂部分等の特性を変化させるという問題
も生じる。
【0008】また、導体部表面は通常メッキにより形成
されており、その表面形状は凹凸を有し、個々に変化し
ているため、表面の汚れ除去のみでは電気的接合信頼性
が十分でない場合が多い。そこで、極表面層のみを平滑
化すれば電気的接合信頼性を向上させることができるこ
とを知見した。この発明の目的は、回路基板上の導体部
に対して、導体部以外の領域に熱影響を与えることな
く、表面の電気的接合信頼性を向上させることができる
回路基板の表面処理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る回路基板
の表面処理方法は、有機材料製の基板と基板上に金属材
料を積層して形成された導体部とを有する回路基板にレ
ーザ光を照射して導体部を処理する方法において、回路
基板に対して光源から短パルスのレーザ光を照射して前
記導体部の表面の凹凸を平滑化するレーザ照射工程(a)
を含んでいる。上記の方法において、導体部の最表面は
厚みが0.2μm以上の金からなり、レーザ照射工程
(a) でのレーザ光の照射エネルギー密度は0.6〜3.
0J/cm2 、レーザ光の照射回数は1〜50回であ
る。
【0010】上記方法において、回路基板に対して第1
のレーザ光を照射して導体部に付着した異物を除去する
第1レーザ照射工程(b) と、第1レーザ照射工程後に、
回路基板に対して第1のレーザ光以上の強度の第2のレ
ーザ光を照射して導体部を表面処理する前記の第2レー
ザ照射工程(a) とを含むことができる。上記方法におい
て、第1のレーザ光は照射エネルギー密度が0.2〜
0.6J/cm2 のエキシマレーザ光であり、第2のレ
ーザ光は照射エネルギー密度が0.6〜3.0J/cm
2 のエキシマレーザ光であることができる。
【0011】上記方法において、回路基板を減圧雰囲気
下に配置する工程をさらに含み、各レーザ照射工程で
は、減圧雰囲気下に配置された回路基板に光学窓を介し
てレーザ光を照射することができる。
【0012】上記方法において、減圧雰囲気下でプラズ
マを発生させるプラズマ発生工程をさらに含んでいるこ
とができる。上記方法において、プラズマ発生工程で発
生させるプラズマのパワーを制御するプラズマ制御工程
をさらに含んでいることができる。
【0013】上記方法において、減圧雰囲気下で光学窓
の近傍にガス流を形成するガス流形成工程をさらに含ん
でいることができる。上記方法において、レーザ照射前
に、回路基板の導体部が1回のレーザ照射領域より大き
いか否かを判断する工程をさらに含み、レーザ照射工程
では、導体部がレーザ照射領域より大きいと判断したと
き、導体部のうち回路基板上に非導体部と混在する混在
部にレーザ光を照射し、その後、混在部を除く導体部に
レーザ光を照射することができる。
【0014】上記方法において、レーザ照射工程では、
光源から照射されたレーザ光を2枚のミラーを駆動して
偏向したレーザ光を回路基板上で走査することができ
る。上記方法において、レーザ照射工程では、光源とミ
ラーとの間に配置され、照射位置を限定するマスクと、
マスクの画像を回路基板上で結像するためのレンズとを
ミラーに同期して光軸方向に移動させることができる。
【0015】上記方法において、レーザ照射工程では、
光源と回路基板との間に、それらの焦点距離の和だけ離
れて配置された2枚のレンズを介してレーザ光を照射す
ることができる。上記方法において、レーザ照射工程で
回路基板に照射されたレーザ光の照射位置を検出する照
射位置検出工程と、検出照射位置に応じて、レーザ光の
照射位置を補正する補正工程とをさらに含んでいること
ができる。
【0016】上記方法において、照射位置検出工程で
は、検出光源から照射された検出レーザ光を光源から照
射されたレーザ光と同一位置に照射し、照射された検出
レーザ光の照射位置を検出することができる。上記方法
において、回路基板の導体部は複数のメッキ層から構成
され、レーザ照射工程で導体部にレーザ光を照射された
後の導体部の状態により、メッキ密着性を評価する評価
工程をさらに含んでいることができる。
【0017】
【作用】この発明に係る回路基板の表面処理方法では、
レーザ照射工程において、回路基板に対して光源から短
パルスのレーザ光が照射される。ここでは、短パルスの
レーザ光を回路基板に照射することで、導体部表面にの
みレーザ光のエネルギーを作用させることができるの
で、導体部以外の領域に熱影響を与えることなく、導体
部表面の異物を除去できるとともに、複数の金属材料層
の間に金属間化合物を形成することなく導体部極表面だ
けを溶融してピンホールや凹凸をなくし、表面を平滑に
でき、導体部表面の電気的接合信頼性を向上できる。
【0018】導体部の最表面は厚みが0.2μm以上の
金からなり、レーザ照射工程でのレーザ光の照射エネル
ギー密度は0.6〜3.0J/cm2 、レーザ光の照射
回数は1〜50回であれば、複数の金属材料を積層して
も金の下に積層された金属材料に熱影響を与えることな
く、導体部表面の異物を除去できかつ導体部表面を平滑
にできる。
【0019】回路基板に対して第1のレーザ光を照射し
て導体部に付着した異物を除去し、続いて、回路基板に
対して第2のレーザ光を照射して導体部を表面処理すれ
ば、第1のレーザ光で導体部表面の有機物による汚れ等
の異物を除去した後に、第2のレーザ光で導体部表面を
溶融しているので、電気的接合信頼性をより向上でき
る。
【0020】第1のレーザ光は照射エネルギー密度が
0.2〜0.6J/cm2 のエキシマレーザ光であり、
第2のレーザ光は照射エネルギー密度が0.6〜3.0
J/cm2 のエキシマレーザ光であれば、強度が弱いエ
キシマレーザ光で回路基板に熱影響を与えることなく異
物を除去でき、続いて強度の強いエキシマレーザ光で導
体部表面を溶融でき、電気的接合信頼性をより向上でき
る。
【0021】減圧雰囲気下に配置された回路基板に光学
窓を介して短パルスのレーザ光が照射されれば、減圧雰
囲気下でレーザ光の照射が行われるので、導体部以外の
領域への照射により飛散した粒子と雰囲気ガスとの衝突
が減少し、導体部への飛散粒子の付着を抑制できる。こ
のため、導体部とそれ以外の領域とにレーザ光を大面積
で照射しても電気的接合信頼性を確保できる。
【0022】減圧雰囲気下でプラズマを発生させるた状
態で、回路基板に短パルスのレーザ光が照射されれば、
プラズマ雰囲気中でレーザ光が照射されるので、プラズ
マによってイオン化したガスの衝突によって光学窓に付
着した異物が除去されるとともに、飛散した粒子がガス
化して排気されることで光学窓への付着量が減少し、光
学窓のレーザ透過率劣化が抑制される。また、イオン化
したガスの衝突によって導体部表面に僅かに付着した飛
散物を除去でき、より電気的接合信頼性を向上できる。
【0023】発生されるプラズマ量が制御されれば、光
学窓のレーザ透過率劣化防止と回路基板の表面に付着し
た微量の飛散物の除去とを確実にでき、より電気的接合
信頼性を向上できる。減圧雰囲気下で光学窓の近傍にガ
ス流を形成すれば、飛散物が光学窓に付着しにくくな
り、光学窓のレーザ透過率が劣化しにくい。従って、常
に均一なエネルギー密度のレーザ光が回路基板に照射さ
れて、高品質の表面処理を行える。
【0024】レーザ照射前に、回路基板の導体部が1回
のレーザ照射領域より大きいか否かを判断し、導体部が
レーザ照射領域より大きいと判断したとき、導体部のう
ち回路基板上に非導体部と混在する混在部にレーザ光を
照射し、その後、混在部を除く導体部にレーザ光を照射
すれば、導体部が照射領域より大きい場合に、混在部か
ら先にレーザ光を照射するので、混在部において導体部
以外の領域から飛散した粒子が混在部を除く導体部に付
着しても付着した飛散粒子を確実に除去でき、電気的接
合信頼性を向上できる。
【0025】光源から照射されたレーザ光を2枚のミラ
ーを駆動してレーザ光を回路基板上で走査すれば、レー
ザ光を走査しているので、回路基板を移動させることな
く高速で大面積を処理できるとともに、走査領域を限定
することで回路基板の任意の場所のみを表面処理でき
る。
【0026】マスクとレンズとがミラーの移動に同期し
て光軸方向に移動すれば、マスクを配置しているので、
導体部以外にレーザ光が照射されず、飛散粒子の発生を
抑制できるとともに、マスクとレンズとをミラーに同期
して移動させることで、ミラーの駆動による光路長の変
化に応じて変化する結像位置を常に基板上に設定でき、
高精度な表面処理を行える。
【0027】2枚のレンズを焦点距離の和だけ離れて配
置していれば、レーザ光を回路基板に対して垂直に入射
でき、マスクを配置してもその結像ボケが小さくなり、
回路基板に段差があっても精度良く表面処理できる。回
路基板に照射されたレーザ光の照射位置が検出され、検
出された照射位置に応じて、レーザ光の照射位置が補正
されれば、照射位置を検出し、それに応じて照射位置を
補正しているので、つねに精度のよい表面処理を行え
る。
【0028】検出光源から照射された検出レーザ光を光
源から照射されたレーザ光と同一位置に照射し、照射さ
れた検出レーザ光の照射位置を検出すれば、検出レーザ
光としてたとえば可視光を用いれば、CCDカメラ等の
安価な検出手段で照射位置を検出できるので、照射位置
を安価かつ容易に検出できる。
【0029】導体部にレーザ光を照射された後の導体部
の状態により、メッキ密着性を評価すれば、表面処理と
同時に品質検査を行えるので生産性を向上できかつ回路
基板の信頼性を向上できる。
【0030】
【実施例】ついで、この発明の実施例について、図面を
参照しながら以下に説明する。図2及び図3は、回路基
板の具体例として、PGA基板を表している。回路基板
10は、変性ポリイミド樹脂からなる矩形板状の樹脂基
材11上に導体金属からなる2種の導体部を積層した構
造である。樹脂基材11の上面には矩形状に凹入された
第1の導体部であるキャビティ12が、たとえば等間隔
に縦横4か所形成されている。このキャビティ12に、
集積回路が形成された半導体チップ(図示せず)が収容
される。キャビィティ12の四方周辺には、小さな短冊
状をなす第2の導体部であるインナーリード13が多数
並んで形成されている。このインナーリード13は、図
示しない端子ピンに接続された導体回路につながってい
る。また、キャビィティ12に収容された半導体チップ
の各端子がインナーリード13にボンディングワイヤに
よって接続される。なお、このインナーリード13は、
図2に示すように、たとえば1mm×15mmの領域に
樹脂基材11に混在しており、樹脂基材11中に導体部
が混在する混在領域となっている。また、キャビティ1
2は、たとえば15mm×15mmの領域となってお
り、導体部のみが存在する領域になっている。
【0031】導体部であるキャビティ12やインナーリ
ード13は、図3に模式的に示すように、樹脂基材11
の上面に貼られた銅箔層14に、電解銅メッキ層15と
ニッケルメッキ層16と金メッキ層17とをこの順に積
層した構造である。金メッキ層17は、たとえば厚みが
0.2μm以上の金メッキにより形成されており、好ま
しくは0.5μm以上の金メッキにより形成されてい
る。ここで、金メッキ層17の厚みを0.2μm以上に
したのは、0.2μm以下では、後述するエネルギー密
度でレーザ光を照射すると下地のニッケルメッキ層16
に熱的影響が及ぶおそれがあるからである。
【0032】図1は、本発明の一実施例の実施に用いる
表面処理装置の全体構造を表している。表面処理装置
は、エキシマレーザ照射装置30とXYテーブル60と
を備えている。XYテーブル60の上には、多数の回路
基板10が装着されている。この回路基板10に、エキ
シマレーザ照射装置30から、短パルスのエキシマレー
ザ光Rを照射する。レーザ光Rは、ミラー32、結像用
のレンズ34を経て、回路基板10に照射される。レー
ザ光Rは、波長248nmのKrFエキシマレーザ光で
あり、図4に示すように、パルス幅は30nsec程度
であり、複数のパルス数で回路基板10を処理する場合
の繰り返し周波数は1〜200Hz(周期は、1sec
〜5msec)である。また、照射エネルギー密度は、
0.6〜3.0J/cm2 程度に設定されており、その
照射面積は、たとえば3mm□である。
【0033】このように、短パルスのレーザ光を導体部
に照射すると、短時間照射で熱容量が小さいため、導体
部極表面にのみレーザ光のエネルギーが作用する。この
結果、導体部の奥深くまで熱が伝達されず、導体部が複
数の金属層により構成されている場合であっても、層間
に金属間化合物が形成されにくくなり、導体部全体の抵
抗値が増大することが少なくなり、導体部の電気的接合
信頼性が向上する。また、図3(b)に示すように、導
体部表面に付着した有機物が蒸発して除去されるととも
に、導体部表面の金属付着物が導体部内部に拡散され
て、表面の不純物量を低減できる。さらに、導体部の極
表面だけを溶融させることができるので、表面を平滑に
できるとともに表面のピンホールの数を低減しかつ表面
を軟化できる。さらにまた、導体部のみが加熱されるの
で、樹脂基材11に熱影響が及びにくくなり、樹脂基材
11の特性変化しにくい。
【0034】このように、短パルスレーザ光によって、
導体部表面の汚染物除去及び導体部極表面の溶融させ
て、極表面を平滑化させたり、金属の活性化を果たした
りする、表面の改質作用が行われる。レーザービームR
の照射方法として、つぎの方法が採用される。レーザ照
射装置30で短パルスレーザの発振を一定間隔(たとえ
ば1〜200Hz)で連続的に繰り返す(たとえば1〜
50回)とともに回路基板10を移動させる。このよう
な発振を行いつつ回路基板10も連続的に移動させて、
回路基板10の照射パターン全域にレーザ光Rを照射す
る。このような方法を採用すれば、レーザ光Rの照射を
中断することなく、能率的に作業が行える。
【0035】図5は、レーザ光を2回に分けて照射する
実施例を示す模式図である。回路基板では、工程上どう
しても導体部12(13)表面に有機物の汚れ20が付
着する。このため、まず第1のレーザ光を照射して有機
物の汚れ20を除去する。これにより、ワイヤーボンデ
ィングの接続信頼性が向上する。この第1のレーザ光は
エネルギー密度が小さいので導体部に対する影響が小さ
い。このため、有機物を完全に除去するまでレーザ光を
照射する。ここで、第1のレーザ光の照射エネルギー密
度は,0.2〜0.6J/cm2 であり、照射回数は1
〜500回である。また、照射間隔は前述と同じであり
1〜200Hzである。
【0036】導体部の表面には、通常、図3に示すよう
に、メッキ層が形成されており、その表面状態(メッキ
の結晶粒径、表面凹凸、メッキ中の不純物量)がロット
によりバラツキが大きいので、第2のレーザ光を照射し
て導体部極表面を溶融させて、表面状態のバラツキを小
さくし、ワイヤーボンディング特性(電気的接合信頼
性)を向上させる。即ち、汚れを除去した後、高密度の
第2のレーザ光で極短時間で導体部の極表面を溶融さ
せ、有機物等の不純物が内部に拡散することなく、表面
を平滑にし、軟化してピンホールが少ない表面を形成す
る。ここで、第2のレーザ光の照射エネルギー密度は,
0.6〜3.0J/cm2 であり、照射回数は1〜50
回である。
【0037】なお、第2のレーザ光で有機物の汚れを除
去することも可能であるが、汚れ20の厚みが厚い場合
には、レーザ照射回数が少ないと汚れを完全に除去でき
ない。また、レーザ照射回数を多くすると回路基板に熱
的影響が生じ、回路の電気特性が劣化する。したがっ
て、有機物の汚れ20は、弱いエネルギー密度のレーザ
光でレーザ照射回数を多くして除去し、表面状態の改善
は強いエネルギー密度のレーザでレーザ照射回数を少な
くして行えば、回路基板電気特性を劣化させることな
く、電気的接合信頼性を向上できる。また、上記2つの
実施例において、ミラー32とレーザ照射装置30との
間に照射パターンを導体部に限定するマスクを配置し、
マスクをXYテーブル60と同期して移動させてもよ
い。
【0038】図6は、真空チャンバー内に配置された回
路基板に短パルスレーザ光を照射する実施例を示してい
る。通常、回路基板10には樹脂基材11の上の必要な
部分にだけ導体部が形成されているため、導体部と樹脂
基材11とが混在している。このため、レーザ光を導体
部のみに照射しようとすると、レーザ光の照射系の制御
が複雑になる。また、導体部のみを照射すると、一度に
照射できる面積が小さくなり、生産性の観点からも問題
がある。そこで、この実施例では、一度に照射できる範
囲を3mm□とし、導体部と樹脂基材11とをまとめて
照射し、大面積を一度に処理できるようにする。
【0039】この実施例の実施に用いる表面処理装置
は、上部外壁に光学窓4が配置された箱状の真空チャン
バー1を備えている。真空チャンバー1には、真空ポン
プ2が接続されており、その内部は真空ポンプ2により
0.1〜0.01Torr程度の真空度に保持されてい
る。光学窓の上方にはレーザ照射装置30が配置されて
いる。なお、ここではミラー32や結像用のレンズ34
は図示を省略している。真空チャンバー1の内部には、
回路基板10を保持するための基板保持部5が光学窓4
に対向して配置されている。
【0040】レーザ光Rを導体部と樹脂基材11とにま
とめて照射すると、樹脂基材11から発生する飛散物が
雰囲気ガスと衝突して導体部表面に付着する。これを防
止するために、回路基板10を真空チャンバー1内で減
圧雰囲気下に配置した状態で、照射範囲が広い短パルス
のレーザ光をまとめて回路基板10に照射する。なお、
雰囲気ガスとしては空気でよいが、He,Ar,Nガス
でもよい。このように減圧雰囲気に回路基板10を配置
すると、樹脂基材11からの飛散物が高速で基板10か
ら飛び出しても雰囲気ガスと衝突しにくくなり、導体部
への付着量が減少する。
【0041】図7は、減圧雰囲気下でプラズマを発生さ
せつつ回路基板に短パルスレーザ光を照射する実施例を
示している。減圧雰囲気中でレーザ光を照射すると、光
学窓4に樹脂基材11からの飛散物が付着して、光学窓
4のレーザ透過率が低下するという問題が生じる。そこ
で、この実施例では、減圧雰囲気下でプラズマを発生さ
せ、化学的作用及び物理的作用によって光学窓4への飛
散物の付着を低減する。
【0042】表面処理装置は、図6に示す装置に加え
て、光学窓4と基板保持部5との間に配置されたプラズ
マ電極7を備えている。プラズマ電極7は、真空チャン
バー1外に配置された高周波プラズマ電源9に接続され
ている。プラズマ電極7は、ステンレス製であり、10
0〜250mmの巻き径で長さが50mmのコイル状の
電極である。高周波プラズマ電源9はプラズマ電極に高
周波電圧を印加してプラズマ電極7から20〜500W
のプラズマを発生させる。
【0043】この実施例では、レーザ光Rを回路基板1
0に照射すると樹脂基材11から飛散物が発生し、光学
窓や導体部に付着する。この飛散物が光学窓4に付着し
てもイオン化された雰囲気ガスとの衝突によってエッチ
ングにより物理的に除去される。また、プラズマ中に飛
散した飛散物はガス化して排気されることで光学窓4へ
の付着量も減少する。この結果、光学窓4のレーザ透過
率が低下しにくくなり、均一なエネルギーのレーザ光R
が長期に渡り安定して回路基板10に到達し、安定した
表面処理が可能になる。
【0044】また、導体部に僅かに付着した飛散物もエ
ッチング作用により除去できる。この導体部への飛散物
の僅かな付着は、ワイヤーボンディングにはあまり影響
を及ぼさない。しかし、図8に示すように、キャビティ
12に半導体チップ22をダイボンドするとき、ダイボ
ンドの溶剤21に付着物が溶けて、溶剤21の粘度を下
げて流れやすくすることがある。溶剤21がインナーリ
ード13まで流れると、短絡等の問題が生じるので、こ
のような僅かな付着物も除去することで、電気的接合信
頼性をより向上できる。
【0045】図9は、プラズマを制御しつつ短パルスレ
ーザ光を照射する実施例を示している。この実施例によ
る表面処理装置には、図7に示す実施例の装置に加え
て、プラズマ電極7を上下に移動させる移動機構7aが
設けられている。移動機構7aは、たとえばモータ等の
駆動機構を用いればよい。このようにプラズマ電極7を
上下させることで、光学窓4と回路基板10との双方に
適切なプラズマパワーを到達させることができる。な
お、プラズマ電極位置を変更することによりプラズマを
制御するほかに、回路基板にバイアス電圧を印加した
り、プラズマに磁場をかけることによりプラズマを制御
してもよい。
【0046】この実施例では、図7に示す実施例より適
切にプラズマを制御できるので、より光学窓4及び導体
部に付着した飛散物を除去でき、電気的接合信頼性をよ
り向上できる。図10は、光学窓の近傍にガス流を形成
しながらレーザ光を照射する実施例を示している。
【0047】この実施例による表面処理装置には、図7
に示す実施例の装置に加えて、光学窓4の周辺にノズル
18が配置されている。ノズル18には、雰囲気ガス
(例えば清浄な空気)を充填したガスボンベ19が接続
されている。この実施例では、光学窓4の近傍にガスを
流し、光学窓4への飛散物の付着を抑制している。この
とき、常時真空ポンプ2で真空チャバー1内を排気し、
ガスの流入により雰囲気圧力が増加しないようにしてお
く。また、このときのガス流量は、真空チャンバー1内
の真空度(雰囲気圧力)に影響がない程度でよい。具体
的には、排気容量との関連があるが1リットル/分程度
が望ましい。また、真空チャンバー1内の真空度は0.
05Torrでよい。なお、ガスの種類はどのようなも
のでも、飛散物の付着防止に関しての効果がある。しか
し、反応性ガスであると、回路基板10と反応して回路
基板10を腐食するおそれがあるので、雰囲気ガス(空
気)や不活性ガスが望ましい。
【0048】この実施例では、ガス流によって飛散物の
光学窓4への付着を抑制しているので、レーザ透過率が
低下しにくくなり、回路基板10に常に均一なエネルギ
ー密度のレーザ光が照射されて高品質の表面処理を行え
る。図11は、図1に示した表面処理装置でインナーリ
ード13とキャビティ12とで別に照射を行う実施例を
示している。インナーリード13が形成された領域は、
図2に示すように、導体部と樹脂基材11とが混在した
領域である。このインナーリード13を照射する際には
レーザ光により両者を同時に照射することになる。しか
し、キャビティ12は導体部のみが存在するので、キャ
ビティ12の照射の際には樹脂基材11を照射すること
はない。
【0049】したがって、図11に示すように、まず、
ステップS1で導体部がレーザ光の照射領域(1回の照
射面積)がより大きいか否かを判断する。導体部が大き
いと判断した場合には、ステップS2に移行し、まず、
インナーリード13が形成された混在領域だけを照射す
るようにXYテーブル60を制御する。これにより、混
在領域の樹脂基材11から樹脂分が飛散する。飛散した
樹脂分は、キャビティ12に付着する。ステップS3で
は、キャビティ12にレーザ光を照射するようにXYテ
ーブル60を制御する。これにより、キャビティ12に
付着した樹脂飛散物が除去されるとともに、金属表面層
が溶融されて改質される。また、導体部が照射領域より
小さいと判断したときはステップS1からステップS4
1移行し、全体を照射する。なお、ガルバノ走査機構に
よりレーザ光を走査する場合には、ステップS2及びス
テップS3にてガルバノ走査機構を制御すればよい。
【0050】このような手順でレーザ光を照射すること
により、図8で説明したような、ダイボンドの溶剤に樹
脂分が溶けることがなくなり、溶剤による短絡を防止で
きる。図12は、レーザ光を走査する実施例を示してい
る。この実施例の表面処理装置は、上部外壁に光学窓4
を有する真空チャンバー1と、真空チャンバー1の上方
に配置されたレーザ照射装置30とを有している。真空
チャンバー1とレーザ照射装置30との間には、レーザ
走査機構31が配置されている。レーザ走査機構31
は、レーザ照射装置30の下方に配置された集光レンズ
34と、集光されたレーザ光を走査する回転可能な2枚
のガルバノミラー36,37とを有している。ガルバノ
ミラー36,37は、サーボ機構(図示せず)により回
転角度を制御されて、各ミラー36,37に対するレー
ザ光の出射角度から回路基板10の照射角度を任意に設
定できる。ここでは、回路基板10を移動させることな
く、高速で大面積を処理することができるとともに、ミ
ラー36,37を制御することで任意の場所のみを表面
処理することができる。
【0051】図13は、レーザ照射装置と回路基板との
間にマスクを配置し、導体部を精度良く表面処理する実
施例を示している。この表面処理装置のレーザ走査機構
31は、レーザ照射装置30に対向して配置されたマス
ク38と、マスク38に面して配置されたレンズ34
と、回転する2枚のガルバノミラー36,37とを有し
ている。マスク38とレンズ34とは、ガルバノミラー
36,37と同期して光軸方向に移動する移動機構38
a,34aをそれぞれ有している。
【0052】通常、マスク38のイメージを結像して表
面処理を行う場合、マスク38からレンズ34までの距
離aと、レンズ34から加工点(回路基板10の表面)
までの距離bと、レンズ34の焦点fとの間には、 1/a + 1/b = 1/f の関係式が成立する。
【0053】ガルバノミラーを用いてレーザ走査を行う
場合、光路長bが回路基板10上の中心部Aと周辺部B
とで異なるため、マスク38のパターン像がボケて、精
度のよい加工が行えないことがある。そこで、この実施
例では、マスク38とレンズ34とを光路長bの変化に
応じて移動させることで、マスク38のパターン像の常
にボケないようにする。たとえば、中心部Aと周辺部B
とで光路長が10mm異なる場合には、マスク38とレ
ンズ34とをともに10mmだけミラー36に対して移
動させればよい。
【0054】図14は、導体部に段差がある場合でも、
導体部を精度良く表面処理する実施例を示している。こ
の表面処理装置は、レーザ照射装置30とミラー36と
照射されたレーザ光を平行光にする2枚のレンズ34,
39とを有している。2枚のレンズ34,39は、ミラ
ー36と回路基板10との間に配置されている。この回
路基板10には、キャビティ12が凹入しており、イン
ナーリード13とキャビティ12との間に段差がある。
【0055】一般に、回路基板10の多層化に伴い、回
路基板10の光路長に対する照射位置が変化するものが
あるため、レーザ光の1パルス内で段差が生じ、高精度
の表面処理が困難になる。そこで、この実施例では、レ
ーザ光が回路基板10に対して垂直に入射するように2
枚のレンズを組み合わせ、回路基板10の段差に対して
もエネルギー密度が一定になるように光学系を配置し
た。この2枚のレンズ34,39のそれぞれの焦点距離
をf1,f2とし、距離をLとすると、下記の関係にな
るように、2枚のレンズ34,39を配置する。
【0056】 f1 + f2= L ここでは、レーザ光が回路基板10に対して垂直に入射
するため、回路基板10に段差があっても精度が良い表
面処理を行える。実際に、段差1mmに対して焦点距離
f1=400、f2=100のレンズを使用したところ
段差2mmまで精度がよい表面処理を行えた。
【0057】図15乃至図17は、レーザ照射位置を検
出してその位置を補正する実施例を示している。レーザ
光学系は一般に、周辺温度の変化や経時変化によって光
路長が変化してレーザ照射位置が変化することがある。
また、レーザ発振器の放電状態や共振器の変化により、
レーザ出射位置が変化して加工位置が異なることがあ
る。そこで、これらの実施例では、レーザ照射位置を回
路基板10上で直接観察して照射位置が変化すると照射
位置を変化させるよう補正する。
【0058】図15に示す実施例は、回路基板10を移
動してレーザ光の照射位置を固定している場合を示して
いる。この表面処理装置は、マスク38と、XYテーブ
ル60上に配置された、エキシマレーザ光の波長に対し
て感度特性を有する検出器50とを備えている。なお、
レンズ34は図1のレンズ34(図1)と位置は異なる
が同一機能を有している。検出器50は、照射位置を臨
み得るように配置されている。他の構成は、図1に示す
実施例と同様である。なお、この検出及び補正タイミン
グはたとえば1時間に1回の割合で行えばよい。
【0059】検出器50及びその光学系は、KrFエキ
シマレーザが照射される場合には、紫外線対応のものを
用いるとよい。ここでは、検出器50の視野内で照射位
置がずれたときに、ずれ量に応じてXYテーブル60の
位置を補正すればよい。図16に示す実施例は、レーザ
光を走査して、回路基板10を固定している場合を示し
ている。この表面処理装置は、図13に示す実施例の装
置に検出器50を加えたものである。検出器50は、ガ
ルバノミラー36,37を制御するスキャナー制御系5
1により同期して回転制御される。そして、照射位置が
変化するとそのずれ量を検出し、検出ずれ量に応じてス
キャナー制御系51により照射位置を補正する。
【0060】図17は、紫外線対応のような特別な検出
器ではなく、通常の可視光カメラを検出器として用いた
実施例を示している。この表面処理装置は、照射位置検
出用の可視光であるHe−Neレーザ光(波長633n
m)を照射する検出レーザ照射装置52とミラー54と
ミラー53と検出器50とをさらに備えている。ミラー
54は、検出レーザ照射装置52に面して配置され、H
e−Neレーザ光を透過し、KrFエキシマレーザ光を
反射する。ミラー53は、レーザ照射装置30に面して
配置され、エキシマレーザ光をミラー54に向けて反射
する。検出器50は、たはえばCCDカメラからなり、
レーザ照射位置が視野内の中心となるように配置されて
いる。なお、レーザ照射装置30の光軸と検出レーザ照
射装置52の光軸とが一致するように2つの照射装置3
0,52は配置されている。
【0061】ここでは、可視光がレーザ照射位置に照射
されるので、検出器のコストが安価になるとともに、照
射位置の検出が容易になる。また、処理用のレーザ光の
波長が変化しても照射位置を確実に検出できる。図18
は、レーザ光により表面処理することでメッキ密着性の
評価も行える実施例を示している。
【0062】複数のメッキ層によって導体部を形成した
回路基板10では、メッキ層間に不純物26が介在して
メッキ密着力が弱くなると、レーザ照射によってメッキ
が剥離する(図18(b))。また、剥離しなくてもメ
ッキ層間に不純物が介在していると、長期的にはメッキ
表面に拡散し、回路基板之電気的接合信頼性が低下す
る。そこで、照射エネルギー密度とレーザ照射回数とを
設定することで、レーザ光照射による回路基板のメッキ
密着性を評価することが可能になる。
【0063】この実施例では、図1に示した装置で回路
基板10の表面処理とメッキ密着性とを同時に評価する
ために、KrFエキシマレーザを用いて、照射エネルギ
ー密度1.0〜1.4J/cm2 ,レーザ照射回数1〜
5ショットの照射条件でメッキの密着性の評価を行っ
た。回路基板10の構成は、図18に示すように、ガラ
ス布基材変性ポリイミド樹脂製の樹脂基材11上に銅箔
14を貼り、その上に電解銅メッキ層15,ニッケルメ
ッキ層16,金メッキ層17をそれぞれ積層した。各メ
ッキ層の厚みは銅メッキ層15が10μm,ニッケルメ
ッキ層16が5μm,金メッキ層17が1μmである。
不純物26が付着してメッキの剥離が生じた場所は、主
に金メッキ層17とニッケルメッキ層16との間であ
る。
【0064】このような条件でレーザ照射を行うと、表
面の改質を行い、電気的接合信頼性を向上させることが
できるとともに、メッキ密着性を評価でき、メッキ剥離
が生じたものを直ちに不良品として選別できる。ここで
は、レーザ照射によって、従来検出が困難であったメッ
キ層間の不純物や欠陥が検出可能になり、長期的な品質
維持が困難な信頼性が低い回路基板を事前に検出可能に
なり、最終製品の信頼性を向上できる。また、表面改質
と同時に品質検査が行えるので、生産性も向上する。
【0065】
【発明の効果】この発明に係る回路基板の表面処理方法
では、短パルスのレーザ光を回路基板に照射すること
で、導体部表面にのみレーザ光のエネルギーを作用させ
ることができるので、導体部以外の領域に熱影響を与え
ることなく、導体部表面の異物を除去できるとともに、
複数の金属材料層の間に金属間化合物を形成することな
く、導体部極表面だけを溶融してピンホールや凹凸をな
くして表面を平滑にでき、導体部表面の電気的接合信頼
性を向上できる。
【0066】導体部の最表面は厚みが0.2μm以上の
金からなり、レーザ照射工程でのレーザ光の照射エネル
ギー密度は0.6〜3.0J/cm2 、レーザ光の照射
回数は1〜50回であれば、複数の金属材料を積層して
も金の下に積層された金属材料に熱影響を与えることな
く、導体部表面の異物を除去できかつ導体部表面を平滑
にできる。
【0067】第1のレーザ光で導体部表面の有機物によ
る汚れ等の異物を除去した後に、第2のレーザ光で導体
部表面を溶融すれば、電気的接合信頼性をより向上でき
る。第1のレーザ光は照射エネルギー密度が0.2〜
0.6J/cm2 のエキシマレーザ光であり、第2のレ
ーザ光は照射エネルギー密度が0.6〜3.0J/cm
2 のエキシマレーザ光であれば、強度が弱いエキシマレ
ーザ光で回路基板に熱影響を与えることなく異物を除去
でき、続いて強度の強いエキシマレーザ光で導体部表面
を溶融でき、電気的接合信頼性をより向上できる。
【0068】減圧雰囲気下でレーザ光の照射が行われれ
ば、導体部以外の領域への照射により飛散した粒子と雰
囲気ガスとの衝突が減少し、導体部への飛散粒子の付着
を抑制できる。このため、導体部とそれ以外の領域とに
レーザ光を大面積で照射しても電気的接合信頼性を確保
できる。
【0069】プラズマ雰囲気中でレーザ光が照射されれ
ば、プラズマによってイオン化したガスの衝突によって
光学窓に付着した異物が除去されるとともに、飛散した
粒子がガス化して排気されることで光学窓への付着量が
減少し、光学窓のレーザ透過率劣化が抑制される。ま
た、イオン化したガスの衝突によって導体部表面に僅か
に付着した飛散物を除去でき、より電気的接合信頼性を
向上できる。
【0070】発生されるプラズマ量が制御されれば、回
路基板の表面に付着した微量の飛散物を確実に除去で
き、より電気的接合信頼性を向上できる。減圧雰囲気下
で光学窓の近傍にガス流を形成すれば、飛散物が光学窓
に付着しにくくなり、光学窓のレーザ透過率が劣化しに
くい。従って、常に均一なエネルギー密度のレーザ光が
回路基板に照射されて、高品質の表面処理を行える。
【0071】導体部が照射領域より大きい場合に、混在
部から先にレーザ光を照射すれば、混在部において導体
部以外の領域から飛散した粒子が混在部を除く導体部に
付着しても付着した飛散粒子を確実に除去でき、電気的
接合信頼性を向上できる。レーザ光を走査すれば、回路
基板を移動させることなく高速で大面積を処理できると
ともに、走査領域を限定することで回路基板の任意の場
所のみを表面処理できる。
【0072】マスクを配置していれば、導体部以外にレ
ーザ光が照射されず、飛散粒子の発生を抑制できるとと
もに、マスクとレンズとをミラーに同期して移動させる
ことで、ミラーの駆動による光路長の変化に応じて変化
する結像位置を常に基板上に設定でき、高精度な表面処
理を行える。
【0073】2枚のレンズを焦点距離の和だけ離れて配
置しておけば、レーザ光を回路基板に対して垂直に入射
でき、マスクを配置してもその結像ボケが小さくなり、
回路基板に段差があっても精度良く表面処理できる。照
射位置を検出し、それに応じて照射位置を補正していれ
ば、つねに精度のよい表面処理を行える。
【0074】検出レーザ光としてたとえば可視光を用い
れば、CCDカメラ等の安価な検出手段で照射位置を検
出できるので、照射位置を安価かつ容易に検出できる。
表面処理と同時に品質検査を行えば、で生産性を向上で
きかつ回路基板の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に用いる表面処理装置を示す
斜視図。
【図2】回路基板の一例を示す平面図。
【図3】回路基板の断面拡大図。
【図4】レーザ照射を短パルスで繰り返して行う実施例
の繰り返し周期及びパルス幅を示すグラフ。
【図5】レーザ照射を2回に分けて行う実施例の照射手
順を示す模式図。
【図6】減圧雰囲気内でレーザ照射を行う実施例を示す
断面模式図。
【図7】減圧雰囲気内でプラズマを発生しつつレーザ照
射を行う実施例を示す断面模式図。
【図8】キャビティに飛散物が付着した場合の影響を示
す図。
【図9】減圧雰囲気内で制御されたプラズマを発生しつ
つレーザ照射を行う実施例を示す断面模式図。
【図10】減圧雰囲気内で光学窓の周辺にガス噴出しつ
つレーザ照射を行う実施例を示す断面模式図。
【図11】導体部において、インナーリードから先にレ
ーザ照射を行う実施例を説明するフローチャート。
【図12】ガルバノスキャン光学系によりレーザ光を走
査する実施例を示す断面模式図。
【図13】マスク及びレンズを含む光学系を移動させて
レーザ光を走査する実施例を示す断面模式図。
【図14】導体部に段差がある場合でも精度良く表面処
理を行える実施例を示す断面模式図。
【図15】照射位置を検出して照射位置を補正する実施
例を示す模式図。
【図16】照射位置を検出して照射位置を補正する他の
実施例を示す模式図。
【図17】可視光により照射位置を検出して照射位置を
補正する実施例を示す模式図。
【図18】メッキ密着力を評価しつつ表面処理をおこな
う実施例を説明する断面図。
【符号の説明】
1 真空チャンバー 2 真空ポンプ 4 光学窓 7 プラズマ電極 10 回路基板 11 樹脂基材 12 キャビティ 13 インナーリード 17 金メッキ層 18 ノズル 19 ガスボンベ 20 汚れ 30 レーザ照射装置 31 レーザ走査機構 34,39 レンズ 36,37 ガルバノミラー 38 マスク 50 検出器 52 検出レーザ照射装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 良光 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電 工株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−136569(JP,A) 特開 平4−99292(JP,A) 特開 平1−266983(JP,A) 特開 平5−235520(JP,A) 特開 平6−170570(JP,A) 特開 平5−198950(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 3/00 - 3/26 B23K 26/00

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機材料製の基板と前記基板上に金属材料
    を積層して形成された導体部とを有する回路基板にレー
    ザ光を照射して前記導体部を処理する回路基板の表面処
    理方法において、前記導体部の最表面は厚みが0.2μm以上の金からな
    り、 前記回路基板に対して光源から短パルスのレーザ光を
    射エネルギー密度0.6〜3.0J/cm 2 、レーザ光
    の照射回数1〜50回で照射して前記導体部の表面の凹
    凸を平滑化するレーザ照射工程(a)を含む回路基板の表
    面処理方法。
  2. 【請求項2】前記レーザ照射工程(a) の前に、 前記回路基板に対して光源から短パルスのレーザ光を照
    射エネルギー密度0.2〜0.6J/cm 2 で照射して
    前記導体部の表面に付着した異物を除去するレーザ照射
    工程(b) をさらに含む請求項1に記載の 回路基板の表面
    処理方法。
  3. 【請求項3】前記回路基板を減圧雰囲気下に配置する工
    程をさらに含み、前記各レーザ照射工程では、減圧雰囲
    気下に配置された回路基板に光学窓を介して前記レーザ
    光を照射する、 請求項1または2に記載の回路基板の表面処理方法。
  4. 【請求項4】前記減圧雰囲気下でプラズマを発生させる
    プラズマ発生工程をさらに含む、請求項記載の回路基
    板の表面処理方法。
  5. 【請求項5】前記プラズマ発生工程で発生させるプラズ
    マのパワーを制御するプラズマ制御工程をさらに含む、 請求項記載の回路基板の表面処理方法。
  6. 【請求項6】前記減圧雰囲気下で光学窓の近傍にガス流
    を形成するガス流形成工程をさらに含む、 請求項からのいずれかに記載の回路基板の表面処理
    方法。
  7. 【請求項7】レーザ照射前に、前記回路基板の導体部が
    1回のレーザ照射領域より大きいか否かを判断する工程
    をさらに含み、前記レーザ照射工程では、前記導体部が
    前記レーザ照射領域より大きいと判断したとき、前記導
    体部のうち前記回路基板上に非導体部と混在する混在部
    にレーザ光を照射し、その後、前記混在部を除く導体部
    にレーザ光を照射する、 請求項1記載の回路基板の表面処理方法。
  8. 【請求項8】前記レーザ照射工程では、前記光源から照
    射されたレーザ光を2枚のミラーを駆動しレーザ光を前
    記回路基板上で走査する、 請求項1に記載の回路基板の表面処理方法。
  9. 【請求項9】前記レーザ照射工程では、前記光源とミラ
    ーとの間に配置され、照射位置を限定するマスクと、前
    記マスクの画像を前記回路基板上で結像するためのレン
    ズとを前記ミラーに同期して光軸方向に移動させる、 請求項記載の回路基板の表面処理方法。
  10. 【請求項10】前記レーザ照射工程では、前記光源と前
    記回路基板との間に、それらの焦点距離の和だけ離れて
    配置された2枚のレンズを介してレーザ光を照射する、 請求項1記載の回路基板の表面処理方法。
  11. 【請求項11】前記レーザ照射工程で回路基板に照射さ
    れたレーザ光の照射位置を検出する照射位置検出工程
    と、検出照射位置に応じて、レーザ光の照射位置を補正
    する補正工程とをさらに含む、 請求項1記載の回路基板の表面処理方法。
  12. 【請求項12】前記照射位置検出工程では、前記回路基
    板に向けて検出レーザ光を照射する検出光源から照射さ
    れた検出レーザ光を前記光源から照射されたレーザ光と
    同一位置に照射し、照射された検出レーザ光の照射位置
    を検出する、 請求項1記載の回路基板の表面処理方法。
  13. 【請求項13】前記回路基板の導体部は複数のメッキ層
    から構成され、前記レーザ照射工程で導体部にレーザ光
    を照射された後の導体部の状態により、メッキ密着性を
    評価する評価工程をさらに含む、 請求項1記載の回路基板の表面処理方法。
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