JP3248425B2 - 表面強化化粧紙とその製造方法 - Google Patents
表面強化化粧紙とその製造方法Info
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Description
に使用される化粧板用の表面強化化粧紙とその製造方法
に係り、特に、表面硬度が高くてその耐久性に優れ、し
かも、生産コストの低減と環境衛生上の問題が回避でき
る高級化粧板用の表面強化化粧紙とその製造方法に関す
るものである。
等化粧基板の平面上に積層され、家具や住宅機器等に使
用される化粧板用の化粧紙としては、従来、チタン紙等
の浸透性の良い原紙(化粧紙基材)に印刷を施した後、
この化粧紙基材にメラミン樹脂、ジアリルフタレート樹
脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて作った樹脂含浸紙が知
られており、この樹脂含浸紙を上記フェノールコア紙や
パーティクルボード等化粧基板の平面上に乗せ、かつ、
鏡面板を介し加熱圧縮して化粧板を製造している。そし
て、この様な方法にて得られた化粧板は、必要な表面硬
度や耐摩耗性を備えているが、反面、生産効率が悪いた
め高価なものにならざるを得なかった。
年、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂の代わりに無溶剤系
として処方された電子線硬化型樹脂を利用する方法が種
々検討がなされているが、以下に示すような理由により
満足なものが得られていないのが実情である。
のインキとしては、従来、油性インキが利用されている
が、溶剤の使用や地球環境に対する影響等の問題が近年
重視されてきているため、この様な問題のない水性イン
キが主流となりつつある。
使用した場合、印刷柄が施された化粧紙基材の表面から
無溶剤系の電子線硬化型樹脂を塗布し、電子線照射を同
一工程内で短時間で行おうとすると、水性インキの極性
が高いために電子線硬化型樹脂の浸透が阻害され易く、
化粧紙基材の内部まで電子線硬化型樹脂が十分に浸透す
る以前に電子線硬化型樹脂が硬化してしまう欠点があっ
た。
キ層との密着力が小さく、さらに電子線硬化型樹脂層の
硬化収縮も作用して電子線硬化型樹脂がインキ層表面か
ら剥離し易いという問題があった。
エネルギーを樹脂の硬化に利用する活性エネルギー線硬
化性無溶剤型塗料やインキは、一般的に上記熱硬化型の
ものと比較して、省エネルギー、高生産性、低温硬化が
可能等の利点が強調されている。しかし、ここで用いら
れる活性エネルギー線硬化性無溶剤型樹脂組成物には、
一般にオリゴマー(又はプレポリマー)、モノマーを主
成分とし、光硬化では更に光重合開始剤、増感剤を加え
て構成される100%液状型あるいは有機溶剤溶液型の
樹脂組成物が適用されているが、この塗装作業性を容易
にするために加えられる粘度調節用の低分子量ビニルモ
ノマーや溶剤の使用に起因した臭気による作業環境の悪
化、モノマー、溶剤への引火による火災の危険性、毒性
等の安全衛生上の問題点が多かった。また、100%液
状型とする場合には、モノマーの添加によって、本来目
的とするオリゴマーの物性が損なわれるという欠点があ
った。このため、モノマーや溶剤を必要とせず、これ等
問題のない水系の紫外線又は電子線硬化型樹脂組成物を
適用した表面強化化粧紙の開発が望まれている。
コーティング剤には、良好な表面意匠性と物性のバラン
スが要求される。そして、表面の光沢を艶消し感とする
ため一般的に無機フィラー粒子等の体質顔料が添加され
るが、この体質顔料は上記艶消し感の作用以外に耐摩耗
性等の物性向上にも寄与している。しかし、商品によっ
ては表面の光沢が高く(すなわち艶消し感が低い)、か
つ、耐摩耗性等の物性も優れたものが要求される場合が
ある。このような場合、表面保護コーティング剤に体質
顔料を多く添加することが困難なため、表面保護コーテ
ィング剤の主成分である樹脂分のみによって物性を満足
させる必要がある。
ても同一膜厚で比較した場合、無機物が添加された塗膜
の物性に及ばないのが一般的であり、上記艶消し感が低
くかつ耐摩耗性等の物性の両者を満足させることは困難
であった。
みで表面意匠性と高度な塗膜物性を同時に満足させるこ
とが困難な問題点を有していた。
点に着目してなされたもので、その課題とするところ
は、家具や住宅機器類等に使用可能な硬度や耐摩耗性を
備え、しかも、生産コストの低減と環境衛生上の問題が
回避できる高級化粧板用の表面強化化粧紙とその製造方
法を提供することにある。
る発明は、化粧基板上に積層される化粧板用の表面強化
化粧紙を前提とし、水性インキにより印刷柄が施された
化粧紙基材と、この化粧紙基材の印刷面上に設けられか
つ熱乾燥後に粘着性を有さないよう調製された水性エマ
ルジョン樹脂を主成分とする活性エネルギー線硬化型水
性樹脂組成物により構成された第一保護層と、この第一
保護層上に設けられかつ上記水性エマルジョン樹脂が含
まれない活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物により
構成された第二保護層とを具備し、上記活性エネルギー
線硬化型水性樹脂組成物の一成分が紫外線又は電子線硬
化型ポリマー、オリゴマー若しくはモノマーより成る樹
脂にて構成され、かつ、その少なくとも一成分に下記一
般式(I)にて示される2官能以上のウレタンアクリレ
ート若しくはウレタンメタクリレートを含有しているこ
とを特徴とするものである。
化化粧紙によれば、上記第一保護層と第二保護層を水性
インキとの親和性に優れた活性エネルギー線硬化型水性
樹脂組成物にて構成しているため、各保護層と水性イン
キ層との密着力が向上し、かつ、活性エネルギー線硬化
前の熱乾燥プロセスで化粧紙基材内部へ上記活性エネル
ギー線硬化型水性樹脂組成物が浸透することから家具や
住宅機器類等に使用可能な硬度や耐摩耗性を具備させる
ことが可能となる。
製された水性エマルジョン樹脂を主成分とする活性エネ
ルギー線硬化型水性樹脂組成物により上記第一保護層を
構成しているため熱乾燥後の塗膜は水への再溶解性が低
い。従って、後工程において水性エマルジョン樹脂が含
まれない活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物を塗工
して第二保護層を設ける際に再コート性を確保すること
が可能となる。
る活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物により構成さ
れた第一保護層内に体質顔料等のフィラーを高濃度に添
加してその耐摩耗性等の物性を具備させ、他方、水性エ
マルジョン樹脂が含まれない活性エネルギー線硬化型水
性樹脂組成物により構成された第二保護層にはフィラー
を添加させずにその意匠性を付与させることにより、表
面保護コーティング層一層のみでは達成が困難であった
表面意匠性と高度な塗膜物性を同時に満足させることも
可能となる。
組成物内に2官能以上のウレタンアクリレート若しくは
ウレタンメタクリレートを配合した場合、このウレタン
アクリレート若しくはウレタンメタクリレートが他の重
合性樹脂組成成分と反応して耐溶剤性、耐水性、耐酸、
耐アルカリ性、膜強度等の物性バランスに優れた保護層
を形成することが可能となる。請求項1に係る発明はこ
の様な技術的理由によりなされている。
べた様に、上記活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物
の一成分が紫外線又は電子線硬化型ポリマー、オリゴマ
ー若しくはモノマーより成る樹脂にて構成され、かつ、
その少なくとも一成分に上記一般式(I)にて示される
2官能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメ
タクリレートを含有していることをも併せて特徴として
いる。
化化粧紙によれば、活性エネルギー線硬化型水性樹脂組
成物内に両末端にアクリロイル基若しくはメタクリロイ
ル基を有する上記一般式(I)にて示される2官能以上
のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレー
トが含まれているため、第一及び第二保護層用の活性エ
ネルギー線硬化型水性樹脂組成物の塗膜が形成された
後、紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射するこ
とにより、2官能以上のウレタンアクリレート若しくは
ウレタンメタクリレートが他の重合性樹脂組成成分と反
応して架橋剤の一成分として作用し、耐溶剤性、耐水
性、耐酸、耐アルカリ性、膜強度等の物性バランスに優
れた各保護層を形成することが可能となり、かつ、最終
的な保護層塗膜中には未反応成分が残留することもな
い。
能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタク
リレートの二価アルコール残基が、酸化エチレン(E
O)と酸化プロピレン(PO)の構造を有するエーテル
系ポリオールから選ばれた化合物を原料として構成さ
れ、更に、上記二価アルコール残基を構成する酸化エチ
レンと酸化プロピレンの各繰り返し単位構造当たりの組
成比(モル比)を適正な範囲に設定することにより、ウ
レタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレートの
親水性/疎水性のバランスがとれるため他の樹脂組成物
成分に対する乳化能力が付与され、本来、油溶性の化合
物の種類が圧倒的に多い他の活性エネルギー線硬化型オ
リゴマー、モノマー等を効果的に水分散化することがで
きる。これにより乳化剤として作用する上記ウレタンア
クリレート若しくはウレタンメタクリレート自体も架橋
剤として作用するため、耐溶剤性、耐水性、耐酸、耐ア
ルカリ性、膜強度等の物性バランスにより優れた保護層
を形成することが可能となる。請求項2〜3に係る発明
はこの様な技術的理由によりなされている。
1記載の発明に係る表面強化化粧紙を前提とし、上記一
般式(I)にて示される2官能以上のウレタンアクリレ
ート若しくはウレタンメタクリレートの二価アルコール
残基が、酸化エチレンと酸化プロピレンの構造を有する
エーテル系ポリオールから選ばれた化合物を原料として
構成されていることを特徴とし、請求項3に係る発明
は、請求項2記載の発明に係る表面強化化粧紙を前提と
し、上記一般式(I)にて示される2官能以上のウレタ
ンアクリレート若しくはウレタンメタクリレートの二価
アルコール残基を構成する酸化エチレンと酸化プロピレ
ンの各繰り返し単位構造当たりの組成比(モル比)が、
9:1〜4:6の範囲に設定されていることを特徴とす
るものである。
記載の発明に係る表面強化化粧紙の製造方法を特定した
発明に関する。
1記載の表面強化化粧紙の製造方法を前提とし、水性イ
ンキによる印刷柄が施された化粧紙基材の印刷面上に、
熱乾燥後に粘着性を有さないよう調製された水性エマル
ジョン樹脂を主成分とする活性エネルギー線硬化型水性
樹脂組成物を塗工して第一保護層を形成し、この第一保
護層上に上記水性エマルジョン樹脂が含まれない活性エ
ネルギー線硬化型水性樹脂組成物を塗工して第二保護層
を形成し、かつ、各保護層を熱乾燥させた後、紫外線若
しくは電子線を照射して上記第一保護層と第二保護層と
を同時に硬化させる表面強化化粧紙の製造方法であっ
て、上記活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物の一成
分が紫外線又は電子線硬化型ポリマー、オリゴマー若し
くはモノマーより成る樹脂にて構成され、かつ、その少
なくとも一成分に下記一般式(I)にて示される2官能
以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリ
レートを含有していることを特徴とし、
面強化化粧紙の製造方法を前提とし、上記一般式(I)
にて示される2官能以上のウレタンアクリレート若しく
はウレタンメタクリレートの二価アルコール残基が、酸
化エチレンと酸化プロピレンの構造を有するエーテル系
ポリオールから選ばれた化合物を原料として構成されて
いることを特徴とし、また、請求項6に係る発明は、請
求項5記載の表面強化化粧紙の製造方法を前提とし、上
記一般式(I)にて示される2官能以上のウレタンアク
リレート若しくはウレタンメタクリレートの二価アルコ
ール残基を構成する酸化エチレンと酸化プロピレンの各
繰り返し単位構造当たりの組成比(モル比)が、9:1
〜4:6の範囲に設定されていることを特徴とするもの
である。
て詳細に説明する。
ず説明し、その後、化粧紙の表面保護層として適用する
活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物の製造方法につ
いて詳細に説明する。
を構成する化粧紙基材としては、坪量30〜120g/
m2の化粧紙用原紙が好適である。予めウレタン系樹脂
やビニル系樹脂等でシーラー処理等を施した化粧紙用原
紙を適用してもよい。これに水性インキにより印刷を施
すか全面を着色する。印刷方法はグラビア印刷法等の公
知の方法でよい。また、第一及び第二保護層の塗工方法
は任意であるが、生産段階ではロールコーター、リバー
スロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター
等によるのが一般的である。
成成分である活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物の
製造方法について説明する。
能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタク
リレートにおけるポリウレタンジオール成分を導入する
ためのジイソシアネート化合物としては、トリレンジイ
ソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート
(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MD
I)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)等に代表
される芳香族ジイソシアネート、リジンジイソシアネー
トメチルエステル(LDIM)、トリメチルヘキサメチ
レンジイソシアネート(TMDI)、ダイマー酸ジイソ
シアネート(DDI)、ヘキサメチレンジイシシアネー
ト、メチルシクロヘキシレン−2、4(2、6)−ジイ
ソシアネート、1、3(4)−(ジイソシアナトメチ
ル)シクロヘキサン、4、4−ビス(イソシアナトシク
ロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の
脂肪族系ジイソシアネートが使用できる。
入するためのポリオール物質としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、
ジプロピレングリコール等の低分子量ポリオール、ポリ
オキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリ
コール等のオリゴマーポリオール、さらに必要な場合に
は、酸化エチレンおよび酸化プロピレンのランダム、ま
たはブロックポリエーテル等も利用することができる。
ル物質とにより得られたポリウレタンジオールの両末端
にアクリレート若しくはメタクリレートを導入して上記
一般式(I)にて示される2官能以上のウレタンアクリ
レート若しくはウレタンメタクリレートを合成するため
の材料としては、一分子内にメタクリロイル基とイソシ
アネート基を有する2官能性モノマーであるm−イソプ
ロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネート
(m−TMI)、2−メタクリロイルオキシエチルイソ
シアネート(MOI)等が利用できる。また、例示した
種々の上記ジイソシアネート化合物に加え、任意の2官
能以上の多官能ポリイソシアネート化合物のイソシアネ
ート基と分子内にアクリロイル若しくはメタクリロイル
基と水酸基、カルボキシル基、アミン、アミド等の活性
水素基をそれぞれ1個以上有する化合物の活性水素基を
反応させることによって得られる一分子内に少なくとも
1個以上のイソシアネート基と1個以上のアクリロイル
若しくはメタクリロイル基を有する化合物を利用するこ
とができる。この化合物を合成するに当って必要な分子
内にアクリロイル若しくはメタクリロイル基と水酸基、
カルボキシル基、アミン、アミド等の活性水素基をそれ
ぞれ1個以上有する化合物としては、多品種で種々のグ
レードのものが市販品として入手可能である。代表的に
は、例えばアニオン系モノマーとして、アクリル酸−2
−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、
メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒ
ドロキシプロピル、アクリル酸、メタクリル酸、メタク
リル酸、イタコン酸、クロトン酸、及びこれらの化合物
を共重合成分とする任意のオリゴマー類等が挙げられ
る。カチオン系モノマーとして、例えばアクリル酸アミ
ノアルキル及びメタクリル酸アミノアルキルエステル
類、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、
ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−
イソプロピルアクリルアミド等のアミド系モノマー類が
挙げられる。
能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタク
リレートが配合された活性エネルギー線硬化型水性樹脂
組成物の他の構成成分としては、一般的なポリエステル
系、ポリエポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル
系、ポリアクリル系等のアクリレートに代表される重合
性プレポリマーが使用できる。また必要に応じて、臭気
や皮膚刺激性の低い単官能及び多官能アクリレート若し
くはメタクリレート類を加えてもよい。
脂組成物における活性エネルギー線が紫外線である場
合、上記組成物内に光増感剤(ラジカル重合開始剤)を
添加する必要がある。このような添加剤としては、例え
ば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイ
ンエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、
ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキ
ルエーテル類;アセトフェノン、2、2−ジメトキシ−
2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘ
キシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類;メチル
アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミ
ルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサン
トン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイ
ソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;ア
セトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタ
ールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4、4−ビス
メチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及
びアゾ化合物などが挙げられる。これらは単独または2
種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノー
ルアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミ
ン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチル
アミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始
助剤などと組み合わせて使用することもできる。有機過
酸化物や光重合開始剤の使用量は、上記活性エネルギー
線硬化型水性樹脂組成物の重合性成分100重量部に対
し0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重量部であ
る。
料を説明したが、以下、上記活性エネルギー線硬化型水
性樹脂組成物の製造方法を具体的に説明する。
能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタク
リレートの合成には、任意のそれぞれ2官能のポリイソ
シアネートと酸化エチレン(EO)及び酸化プロピレン
(PO)の構造を有するポリエーテルジオールを選び、
これらを常法に従って、適当な溶媒中でイソシアネート
基と水酸基の割合がほぼ等モルとなるように処方し、こ
れらを反応させる。この場合、EOとPOの組成比(モ
ル比)が9:1〜4:6の範囲となるように処方するこ
とが好ましい。
末端水酸基をアクリロイル基若しくはメタクリロイル基
とするために、(1)一分子内にメタクリロイル基とイ
ソシアネート基を有する2官能性モノマーであるm−イ
ソプロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネー
ト(m−TMI)、2−メタクリロイルオキシエチルイ
ソシアネート(MOI)等の化合物、若しくは、(2)
任意の2官能以上の多官能ポリイソシアネート化合物の
イソシアネート基と分子内にアクリロイル若しくはメタ
クリロイル基と水酸基、カルボキシル基、アミン、アミ
ド等の活性水素基をそれぞれ1個以上有する化合物の活
性水素基を反応させることによって得られる一分子内に
少なくとも1個以上のイソシアネート基と1個以上のア
クリロイル若しくはメタクリロイル基を有する化合物
を、前記ポリウレタンジオール1モルに対して2モル反
応させることによって、2官能以上のウレタンアクリレ
ート若しくはウレタンメタクリレートが得られる。
タンアクリレート若しくはウレタンメタクリレートを必
須成分とし、これに一般的な重合性プレポリマーや、必
要に応じて、臭気や皮膚刺激性の低い単官能及び多官能
アクリレート若しくはメタクリレートモノマー類を配合
し、この組成物を水中に強制的に乳化分散させることに
よって、活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物を得
る。この場合、上記一般式(I)にて示される2官能以
上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレ
ートプレポリマーは乳化剤として作用する。活性エネル
ギー線として紫外線を利用する場合、油溶性の光重合開
始剤は乳化前の樹脂組成物中若しくは乳化後、水溶性の
光重合開始剤は乳化後に添加することが好ましい。
例えば(1)全ての樹脂成分を混合した後水を加え、必
要ならば加温操作や樹脂の溶剤を添加することにより、
ホモミキサー等で強力に分散する。分散後は冷却、溶剤
の除去等を行う。(2)最初に乳化剤として作用する上
記一般式(I)にて示されるウレタンアクリレート若し
くはウレタンメタクリレートを水中に溶解若しくは分散
させた後、強力な撹拌を行いながら残りの樹脂組成物を
除々に添加する。(3)一般的な転相乳化法等により製
造することができる。
ー線硬化型水性樹脂組成物が得られるが、この活性エネ
ルギー線硬化型水性樹脂組成物を第一保護層の構成材料
として使用する場合には、熱乾燥後に粘着性を有さない
ようにする(すなわち、タックフリーとする)ため、以
下のような汎用の水系樹脂、例えば、アクリル系樹脂エ
マルジョン、ポリスチレン系樹脂エマルジョン、酢酸ビ
ニル系樹脂エマルジョン、塩化ビニリデン系樹脂エマル
ジョン、塩化ビニル系樹脂エマルジョン等のビニルポリ
マー系エマルジョン、SB系樹脂エマルジョン、NB系
樹脂エマルジョン等の合成ゴム系樹脂エマルジョン、ウ
レタン系樹脂エマルジョン、アクリルウレタン系樹脂エ
マルジョン等の水分散型樹脂をブロッキング防止剤とし
て加えることが必要である。また、ポリビニルアルコー
ル、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、カゼイ
ン、ゼラチン、デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリ
アクリルアミド及びこれらの誘導体等の水溶性樹脂も増
粘剤等の塗液物性調整用の添加剤として必要な範囲で利
用することができる。さらに市販品として入手可能な活
性エネルギー線硬化型水性樹脂も混合して使用すること
ができる。
脂組成物には、保護層に各種の機能を付与させるため、
必要に応じて、着色剤、体質顔料、滑剤、可塑剤、安定
剤、難燃剤、消泡剤、酸化防止剤、殺菌剤、導電材料、
磁性材料等の添加物を含有させることも可能である。
する。
べて重量基準であるものとする。
ノン250部とトルエン100部を入れ、ジフェニルメ
タンジイソシアネート254部を前記混合溶媒中に仕込
んだ後、ジエチレングリコール75部とジプロピレング
リコール40部の混合液を約2時間かけて滴下し、20
時間反応を行なった。
5部滴下して反応を終了させ、さらにハイドロキノン
0.2部を加えて酸化エチレンと酸化プロピレンの構造
が約7/3の割合でランダムに組み込まれたポリウレタ
ンジオールを得た。
−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート60部を
加えて60℃で反応させ、次いで溶媒を除去することに
より2官能のウレタンメタクリレートプレポリマーを得
た。IRスペクトル測定によりイシシアネート基に基づ
く吸収の消失を確認した。
ポリマー50部をイオン交換処理を経た蒸留水465部
中に分散し、温度を50℃に保った。この水分散液に下
記処方の光又は電子線硬化型オリゴマーとモノマーから
成るプレポリマー組成物をホモミキサーによる十分な分
散を加えながら少しずつ投入した。
℃に加熱し、粘度を下げた状態で投入した。投入完了
後、ホモミキサーによる撹拌を6000rpmの回転数
にて10分間継続し、乳白色で均一な紫外線硬化型水性
樹脂組成物を得た。
水性UVエマルジョンと略称する)を用い、以下の処方
にて第一及び第二保護層としての紫外線硬化型水性塗工
剤を調製した。
た。乳白色の安定な懸濁液より成る塗工剤が得られた。
色で安定な懸濁液より成る塗工剤が得られた。
キ製造社製)を用いてオーク調木目絵柄を印刷し、この
化粧紙基材のインキ層上に、まず第一保護層用紫外線硬
化型水性塗工剤を塗布量約8g/m2となるようワイヤ
ーバーにて塗工し、かつ、オーブンにて75℃、2min
乾燥を行なった。
護層用紫外線硬化型水性塗工剤を塗布量約7g/m2と
なるように塗工し、第一保護層と同じ条件にて熱乾燥を
行った。
第二保護層表面側から積算光量300mJ/cm2の紫
外線を照射することにより上記第一及び第二保護層塗膜
を硬化させたところ、表面の光沢が良好で硬く、強靱な
膜が得られた。
系の接着剤にてパーチクルボードと貼り合わせて化粧板
を作製し、これを観察したところ外観上美しい艶消しの
塗装感が有り、表面のスクラッチ耐性も良好であった。
よって評価した。
ノンを滴下しながら、500g/cm2荷重の条件でラ
ビングを行い、溶剤による塗膜表面の損傷を観察した。
のラビング回数を測定した。
カラー合板の標準規格(日本プリント合板・カラー合板
工業組合)の基準を基に、ニチバン社製のセロテープ
(商標)による剥離(40℃±3℃、2時間後)を行
い、表面状態を観察した。
従い、ゴム製摩耗輪にサンドペーパーを巻つけて荷重5
00gの条件下で摩耗試験を行い、印刷された絵柄が5
0%以上消失した場合を不合格、50%以下の場合を合
格とした。
従い、油性インキ、水性インキならびにクレヨンを用い
て化粧板の塗膜表面に10mm幅の線を形成し、4時間
放置後、メタノールで拭き取り、汚染状態を観察した。
3日間浸漬した後、膜の白化度合を目視観察にて評価し
た。
に滴下した後、時計皿でカバーし、6時間後表面状態を
目視観察にて評価した。
液)を塗膜上に滴下した後、時計皿でカバーし、6時間
後表面状態を目視観察にて評価した。
エネルギー線硬化型水性塗工剤に光重合開始剤(ダロキ
ュア1173、イルガキュア2959)を添加せず、実
施例1と同様の方法、条件にて化粧紙基材の水性インキ
層上に第一及び第二保護層塗膜を形成し、熱乾燥を経た
後、塗膜側より加速電圧200keVの電子線を吸収線
量4Mradの条件で照射することにより塗膜を硬化さ
せた。
れ、硬い塗膜が得られた。評価結果を表1に示す。
他は実施例1と同様の方法で化粧紙を作製し、塗膜の硬
化を実施例2と同様の電子線によって行うことによっ
て、化粧板を作製した。その評価結果を表1に示す。
用した場合、比較例に係る化粧紙を適用した場合に較べ
て耐セロハンテープ性と耐摩耗性が改善されていること
が確認される。
紙によれば、第一保護層と第二保護層を水性インキとの
親和性に優れた活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物
にて構成しているため、各保護層と水性インキ層との密
着力が向上し、かつ、活性エネルギー線硬化前の熱乾燥
プロセスで化粧紙基材内部へ活性エネルギー線硬化型水
性樹脂組成物が浸透することから家具や住宅機器類等に
使用可能な硬度や耐摩耗性を具備させることが可能とな
る効果を有する。
製された水性エマルジョン樹脂を主成分とする活性エネ
ルギー線硬化型水性樹脂組成物により上記第一保護層を
構成しているため熱乾燥後の塗膜は水への再溶解性が低
い。
樹脂が含まれない活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成
物を塗工して第二保護層を設ける際に再コート性を確保
することが可能となる効果を有する。
る活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物により構成さ
れた第一保護層内に体質顔料等のフィラーを高濃度に添
加してその耐摩耗性等の物性を具備させ、他方、水性エ
マルジョン樹脂が含まれない活性エネルギー線硬化型水
性樹脂組成物により構成された第二保護層にはフィラー
を添加させずにその意匠性を付与させることにより、表
面保護コーティング層一層のみでは達成が困難であった
表面意匠性と高度な塗膜物性を同時に満足させることも
可能となる効果を有する。
脂組成物内に両末端にアクリロイル基若しくはメタクリ
ロイル基を有する上記一般式(I)にて示される2官能
以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリ
レートが含まれているため、第一及び第二保護層用の活
性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物の塗膜が形成され
た後、紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射する
ことにより、乳化剤としての作用を有する2官能以上の
ウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレート
が他の重合性樹脂組成成分と反応して架橋剤の一成分と
して作用し、耐溶剤性、耐水性、耐酸、耐アルカリ性、
膜強度等の物性バランスに優れた各保護層を形成するこ
とが可能となり、かつ、最終的な保護層塗膜中には未反
応成分が残留し難い効果を有している。
化粧紙によれば、上記一般式(I)にて示される2官能
以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリ
レートの二価アルコール残基が、酸化エチレンと酸化プ
ロピレンの構造を有するエーテル系ポリオールから選ば
れた化合物を原料として構成されており、また、請求項
3記載の発明に係る表面強化化粧紙によれば、上記一般
式(I)にて示される2官能以上のウレタンアクリレー
ト若しくはウレタンメタクリレートの二価アルコール残
基を構成する酸化エチレンと酸化プロピレンの各繰り返
し単位構造当たりの組成比(モル比)が、9:1〜4:
6の範囲に設定されているため、上記ウレタンアクリレ
ート若しくはウレタンメタクリレートの親水性/疎水性
のバランスがとれることから他の樹脂組成物成分に対す
る乳化能力が付与され、これにより耐溶剤性、耐水性、
耐酸、耐アルカリ性、膜強度等の物性バランスにより優
れた保護層を形成できる効果を有する。
強化化粧紙の製造方法によれば、請求項1〜3に係る表
面強化化粧紙を確実に製造できると共に、第一保護層と
第二保護層を形成させる活性エネルギー線硬化型水性樹
脂組成物は、その希釈成分として揮発性のビニルモノマ
ーや有機溶剤ではなく水を使用するもので、また乾燥時
にアンモニア、アミン等が発生することもないため、環
境衛生上の問題がなく、更に、上記活性エネルギー線硬
化型水性樹脂組成物は基本的に1液タイプであるため、
使用後、余った塗液の再利用が可能で経済性に優れ、か
つ、大気汚染防止のための設備投資等が大幅に削減でき
る効果を有する。
Claims (6)
- 【請求項1】化粧基板上に積層される化粧板用の表面強
化化粧紙において、 水性インキにより印刷柄が施された化粧紙基材と、この
化粧紙基材の印刷面上に設けられかつ熱乾燥後に粘着性
を有さないよう調製された水性エマルジョン樹脂を主成
分とする活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物により
構成された第一保護層と、この第一保護層上に設けられ
かつ上記水性エマルジョン樹脂が含まれない活性エネル
ギー線硬化型水性樹脂組成物により構成された第二保護
層とを具備し、上記活性エネルギー線硬化型水性樹脂組
成物の一成分が紫外線又は電子線硬化型ポリマー、オリ
ゴマー若しくはモノマーより成る樹脂にて構成され、か
つ、その少なくとも一成分に下記一般式(I)にて示さ
れる2官能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタ
ンメタクリレートを含有していることを特徴とする表面
強化化粧紙。【化1】 R:水素原子またはメチル基 X:イソシアネート残基 Y:二価アルコール残基 - 【請求項2】 上記一般式(I)にて示される2官能以上
のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレー
トの二価アルコール残基が、酸化エチレンと酸化プロピ
レンの構造を有するエーテル系ポリオールから選ばれた
化合物を原料として構成されていることを特徴とする請
求項1記載の表面強化化粧紙。 - 【請求項3】 上記一般式(I)にて示される2官能以上
のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレー
トの二価アルコール残基を構成する酸化エチレンと酸化
プロピレンの各繰り返し単位構造当たりの組成比(モル
比)が、9:1〜4:6の範囲に設定されていることを
特徴とする請求項2記載の表面強化化粧紙。 - 【請求項4】 請求項1記載の表面強化化粧紙の製造方法
において、 水性インキによる印刷柄が施された化粧紙基材の印刷面
上に、熱乾燥後に粘着性を有さないよう調製された水性
エマルジョン樹脂を主成分とする活性エネルギー線硬化
型水性樹脂組成物を塗工して第一保護層を形成し、この
第一保護層上に上記水性エマルジョン樹脂が含まれない
活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物を塗工して第二
保護層を形成し、かつ、各保護層を熱乾燥させた後、紫
外線若しくは電子線を照射して上記第一保護層と第二保
護層とを同時に硬化させる表面強化化粧紙の製造方法で
あって、 上記活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物の一成分が
紫外線又は電子線硬化型ポリマー、オリゴマー若しくは
モノマーより成る樹脂にて構成され、かつ、その少なく
とも一成分に下記一般式(I)にて示される2官能以上
のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレー
トを含有している ことを特徴とする表面強化化粧紙の製
造方法。【化2】 R:水素原子またはメチル基 X:イソシアネート残基 Y:二価アルコール残基 - 【請求項5】 上記一般式(I)にて示される2官能以上
のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレー
トの二価アルコール残基が、酸化エチレンと酸化プロピ
レンの構造を有するエーテル系ポリオールから選ばれた
化合物を原料として構成されていることを特徴とする請
求項4記載の表面強化化粧紙の製造方法。 - 【請求項6】 上記一般式(I)にて示される2官能以上
のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレー
トの二価アルコール残基を構成する酸化エチレンと酸化
プロピレンの各繰り返し単位構造当たりの組成比(モル
比)が、9:1〜4:6の範囲に設定されていることを
特徴とする請求項5記載の表面強化化粧紙の製造方法。
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---|---|---|---|
JP12783296A JP3248425B2 (ja) | 1996-04-24 | 1996-04-24 | 表面強化化粧紙とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12783296A JP3248425B2 (ja) | 1996-04-24 | 1996-04-24 | 表面強化化粧紙とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09290487A JPH09290487A (ja) | 1997-11-11 |
JP3248425B2 true JP3248425B2 (ja) | 2002-01-21 |
Family
ID=14969773
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12783296A Expired - Lifetime JP3248425B2 (ja) | 1996-04-24 | 1996-04-24 | 表面強化化粧紙とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3248425B2 (ja) |
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JP4983515B2 (ja) * | 2007-09-27 | 2012-07-25 | 凸版印刷株式会社 | 化粧シート、化粧シートの製造方法、化粧材 |
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-
1996
- 1996-04-24 JP JP12783296A patent/JP3248425B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09290487A (ja) | 1997-11-11 |
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