JP3232702B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステルフィルム

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JP3232702B2 JP27898792A JP27898792A JP3232702B2 JP 3232702 B2 JP3232702 B2 JP 3232702B2 JP 27898792 A JP27898792 A JP 27898792A JP 27898792 A JP27898792 A JP 27898792A JP 3232702 B2 JP3232702 B2 JP 3232702B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体用フィル
ムとして、優れた走行性、電磁変換特性および耐摩耗性
を有するポリエステルフィルムに関する。さらに詳しく
は、本発明は、テープ走行時の擦り傷や摩耗粉の発生が
極めて少なく、ドロップアウトの発生が抑制された、高
密度磁気記録用に適したベースフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
エステルフィルムは、物理的、化学的特性に優れ産業用
基材として広く用いられている。このなかでも二軸配向
ポリエチレンテレフタレートフィルムは、特に機械的強
度、寸法安定性、平面性等に優れることから、磁気記録
媒体のベースフィルムとして今や必要不可欠なものとな
っているが、近年、磁気記録媒体の改良が急速な勢いで
行われており、これに伴いベースフィルムへの要求も一
段と厳しいものとなってきている。例えばビデオテープ
のように高密度の記録を要するものでは磁性層の薄膜化
が行われるが、この場合、ベースフィルム自体の凹凸が
磁性層表面に反映され、その程度が大きい場合には電磁
変換特性の低下やドロップアウトの多発を招くようにな
る。従ってベースフィルムの表面はより平坦であること
が望まれるが、良く知られているようにフィルムの表面
が平坦になるとフィルムの走行性が悪化するのみなら
ず、フィルムと基材、例えばガイドピンとの間の摩擦、
摩耗が大きくなり、フィルムに擦り傷が発生したり摩耗
粉が生成するようになる。
【0003】このようにポリエステルフィルムの耐摩耗
性が不十分であると、磁性層製造工程あるいは製品とな
った後、フィルムと各種ロールまたはガイドピンとの間
に摩耗粉が生成し、電磁変換特性やドロップアウトの点
において劣るようになる。また、フィルムの耐擦傷性が
不十分であると、磁性層と塗布前後においてフィルムに
傷が入りやすく、それが磁性層表面に反映されて電磁器
的な特性が劣るようになる。さらに削り取られた白粉状
の物質の存在によっても、しばしば電磁気特性が悪化し
てしまう。ポリエステルフィルムの走行性や耐摩耗性な
どの表面特性を改良する手段として、従来、フィルム中
に不活性な微粒子を存在させ、フィルム表面を適度に粗
面化する方法、具体的にはいわゆる析出粒子法と添加粒
子法とが知られている。
【0004】析出粒子法とは、ポリエステル製造工程に
おいて触媒残渣等を微細な粒子としてポリエステル中に
析出させるものであり、操作が簡単でポリマーを安価に
製造することができ、しかも製造時のフィルターライフ
が長いという長所を有する。さらにポリエステルとの親
和性に優れ、フィルムからの粒子の脱落が少なく、耐摩
耗性においても比較的優れている。しかしながら、析出
粒子の主成分は有機成分であるため、フィルムの耐擦傷
性において劣る。一方、添加粒子法とは炭酸カルシウ
ム、カオリン、シリカ、酸化チタン等の微粒子をポリエ
ステル製造時あるいは成形時に添加、含有させる方法で
ある。この方法では 一般に粒子とポリエステルとの親
和性に欠如しがちであるが、耐擦傷性の改良には効果が
あるが知られている。特に特開平1−306220号公
報に記載されているように、硬度の高い粒子を特定量用
いると、耐擦傷性や耐摩耗性を著しく向上させ得ること
が知られている。
【0005】しかしながら、かかる硬度の高い粒子を単
独あるいは他の粒子と組み合わせて用いることには、コ
ストや製造の面で不利な点がある。すなわち、ポリエス
テルフィルムに高硬度粒子を配合する方法においては、
通常、特殊な製造方法によって得られる高価な粒子をフ
ィルム全層にわたって充填させなければならないし、ま
た原料ポリエステルの製造に際しても、粒子の分散を良
好とするため、低濃度としたエチレングリコールスラリ
ーを大量に添加しなければならないなど、装置や操作ひ
いては製造コストの面で不都合がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題に
鑑み鋭意検討を行った結果、ポリエステルフィルムの製
造工程内で、特殊分散処理した酸化アルミニウム粒子を
含有する塗布液を塗布して得られるフィルムが優れた特
性を有することを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルム
の少なくとも片面に、該ポリエステルフィルムの製膜工
程内で設けられた塗布層を有し、かつ、該塗布層が、固
形分比で0.0001〜0.05倍量のカチオン系界面
活性剤および0.01〜0.5倍量のノニオンまたはア
ニオン系界面活性剤によって処理された平均粒径1μm
以下の酸化アルミニウム水分散体を0.1〜50重量%
含有する水性塗料からなることを特徴とするポリエステ
ルフィルムに存する。
【0007】以下、本発明をさらに詳細に説明する本発
明でいうポリエステルとは、テレフタル酸、2.6−ナ
フタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸また
はそのエステルと、エチレングリコールを主たる出発原
料として得られるポリエステルを指すが、他の第三成分
を含有していても構わない。この場合、ジカルボン酸成
分としては、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、2.
6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸およびセバシ
ン酸等を用いることができる。また、グリコール成分と
しては、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブタンジオール、1.4−シクロヘキサンジメタノ
ールおよびネオペンチルグリコール等を用いることがで
きる。いずれにしても、本発明でいうポリエステルと
は、繰り返し構造単位の80%以上がエチレンテレフタ
レート単位またはエチレン−2.6−ナフタレート単位
を有するポリエステルを指す。
【0008】また、本発明のポリエステルフィルムと
は、かかるポリエステルを出発原料とするポリエステル
フィルムを指すが、その製造方法としては公知の方法を
採用することができる。例えば、270〜320℃でシ
ート状に溶融押出しした後、40〜80℃で冷却固化
し、無定形シートとした後、80〜130℃で縦、横方
向に面積倍率で4〜20倍となるよう逐次二軸延伸ある
いは同時二軸延伸し、160〜250℃で熱処理する方
法(例えば特公昭30−5639号公報記載の方法)を
利用することができる。縦および横方向の延伸は、各一
段で延伸してもよく、必要に応じ、多段で延伸したり、
多段延伸の間に配向緩和のための熱処理区間を設けたり
することもできる。また、二軸延伸後、次工程の熱処理
工程に供する前に再度延伸してもよい。この再延伸は、
縦横いずれの方向に行うこともできる。
【0009】本発明でいう酸化アルミニウム粒子とは、
例えば無水塩化アルミニウムの火焔法加水分解あるいは
アルミニウムアルコキサイドの加水分解等によって製造
された、一次粒子の平均粒径が1μm以下の粒子、好ま
しくは0.2〜0.005μmの粒子をいう。本発明に
おいてはアルミナ粒子は一次粒子まで完全に分散させて
使用することが好ましいが、フィルムの表面状態に悪影
響を及ぼさない限り、粒子が多少凝集し、二次粒子とし
て挙動しても差し支えない。また、酸化アルミニウムの
一部、例えば30%重量未満がSi,Ti,Fe,Na
およびK等の酸化物で置換されても差し支えない。酸化
アルミニウム粒子の粒度分布は、シャープなもの、具体
的には粒径の小さい方から積算した場合、重量分率75
%と25%の粒径の比が2.0以下のものが好ましく、
1.5以下のものがさらに好ましい。また、これらの粒
子の形状については、通常、塊状もしくは球状に近いも
のが好ましく用いられる。具体的には、例えば特公昭5
3−14583号公報に定義してある体積形状が0.1
〜π/6、好ましくは0.2〜π/6であるような粒子
が好ましい。
【0010】また、用いる粒子の比表面積について特に
制限はなく、例えば、平均粒径0.5μm、密度2g/
cm2の真球の粒子は6cm2/g程度の比表面積を有す
るが、500cm2/g程度のポーラスなものまで好適
に使用できる。本発明で用いる酸化アルミニウム粒子
は、水分散作業の効率化、スラリーの保存安定性、水性
樹脂との配合安定性を高める目的で、極少量のカチオン
系界面活性剤とやや多量のノニオンまたはアニオン系界
面活性剤とにより処理したものを用いる。かかる処理
は、例えば、酸化アルミニウム粒子の水系スラリーに前
記界面活性剤を加え、解砕処理することにより行われ
る。
【0011】カチオン系界面活性剤としては、例えば、
脂肪族アミン塩、第4級アンモニウム塩、ポリオキシエ
チレンアルキルアミン等を挙げることができる。ノニオ
ン系界面活性剤としては、例えば、多価アルコールの脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等を挙げる
ことがでる。アニオン系界面活性剤としては、例えば、
アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、
アルキル硫酸塩、エステル硫酸塩、エーテル硫酸塩、ア
ルキルアリルエーテル硫酸塩、脂肪酸塩、ポリカルボン
酸塩、エーテルカルボン酸塩等を挙げる。スラリー中に
添加するカチオン系界面活性剤は、スラリー中の酸化ア
ルミニウム粒子に対して0.0001〜0.05倍量
(重量比)とする。カチオン界面活性剤が0.0001
倍量未満の場合は、水溶液のアルミナ粒子に対する浸透
性が低下し、粒子の分散に多大の時間を要するととも
に、スラリーとした場合の保存安定性に劣るため好まし
くない。カチオン界面活性剤が0.05倍量(重量比)
を超えた場合は、過剰の界面活性剤が逆に凝集剤として
作用するため好ましくない。
【0012】スラリー中に添加するノニオンまたはアニ
オン系界面活性剤は、スラリー中の酸化アルミニウム粒
子に対して0.01〜0.5倍量(重量比)とする。ノ
ニオンまたはアニオン系界面活性剤が0.01倍量(重
量比)未満の場合は、水性樹脂と配合した場合の粒子の
凝集を防ぐことができない。また、ノニオンまたはアニ
オン系界面活性剤が0.5倍量(重量比)を超えた場合
は、過剰の界面活性剤が塗布層の表面に湧き出し、装置
へのべたつき、汚染等を起こすため好ましくない。酸化
アルミニウムの解砕手段としては、例えばロッドミル、
ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、パンミ
ル、ローラーミル、インパクトミル、攪拌摩砕ミル、液
体エネルギーミル、ホモミキサー、超音波分散機等が用
いられる。さらに、分散させたスラリーは、スラリー中
の粗大粒子および未分散の凝集粒子を除去する目的で、
3μmの穿孔を有するカートリッジタイプのフィルター
で濾過することが望ましい。
【0013】本発明では、水性樹脂を用いるが、ここで
いう水性樹脂とは、ポリエステルフィルムの表面に塗工
された後の磁気記録材料の製造工程や、磁気記録材料に
加工された後の高温高湿下の使用環境に耐えうる耐熱
性、耐湿性を有し、また、この層を下塗り層として磁性
層やバックコート層などの上塗り層が塗られる場合には
その層との接着性に優れる樹脂であり、例えばポリエス
テル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリレート、
ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルアルコール、ポリウレタンなどの樹脂およびこれらの
樹脂の共重合体や混合体などの中から選ぶことができる
が、これらに限定されるものではない。これらの中で最
も好ましい樹脂は、ポリエステル系樹脂である。
【0014】かかるポリエステル系樹脂を構成する成分
として下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキ
シ化合物を例示できる。すなわち、多価カルボン酸とし
ては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、
フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5
−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カ
リウムスルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフ
タル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデ
カンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリッ
ト酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル
酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリ
ウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用い
ることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレ
ングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3
−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
2−メチル−1,5−ペンタンジ、オールネオペンチル
グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、p
−キシリレングリコール、ビスフェノ−ルA−エチレン
グリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテ
トラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピ
オン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチ
ロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロ
ピオン酸カリウムなどを用いることができる。
【0015】これらの化合物のなかから、それぞれ適宜
1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステ
ル系樹脂を合成する。なお、上記のほか、特開平1−1
65633号公報に記載されている、いわゆるアクリル
グラフトポリエステルや、ポリエステルポリオールをイ
ソシアネートで鎖延長したポリエステルポリウレタンな
どのポリエステル成分を有する複合高分子も本発明のポ
リエステル系樹脂に含まれる。本発明における水性樹脂
は、水を70重量%以上含有する液体を媒体とし、界面
活性剤などによって強制分散化した塗布剤であってもよ
いが、好ましくはポリエ−テル類のような親水性のノニ
オン成分や、四級アンモニウム塩のようなカチオン性基
を有する自己分散型塗布剤であることが好ましく、さら
に好ましくはアニオン性基を有する水溶性または水分散
性樹脂塗布剤である。
【0016】アニオン性基を有する樹脂とは、アニオン
性基を有する化合物を共重合やグラフトなどにより樹脂
に結合させたものであり、スルホン酸、カルボン酸、リ
ン酸およびそれらのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウ
ム塩、アンモニウム塩等から適宜選択される。アニオン
性基の塗料固形分に対する割合は、0.05〜8重量%
の範囲が好ましい。アニオン性基量が0.05重量%未
満では、樹脂の水溶性あるいは水分散性が悪くなる傾向
があり、アニオン性基量が8重量%を超えると、塗布層
の耐水性や、吸湿性の点で問題が生じることがある。本
発明においては酸化アルミニウム粒子および水性樹脂を
含む塗布液をポリエステルフィルムの製造工程内のフィ
ルムの少なくとも片面に塗布するが、酸化アルミニウム
粒子の配合量は、塗料固形分濃度で0.1〜50重量%
であり、好ましくは1〜10重量%とする。配合量が
0.1重量%未満では、フィルムの耐擦傷性が改良され
ず、50重量%を超えると塗布層の機械的強度が悪化す
る。
【0017】本発明における塗布層を得るための塗布液
には、塗布層の固着性(ブロッキング性)、耐水性、耐
溶剤性、機械的強度の改良のために、架橋剤としてメチ
ロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン
系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系な
どの化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ブロ
ックポリイソシアネート、シランカップリング剤、チタ
ンカップリング剤、ジルコ−アルミネート系カップリン
グ剤、過酸化物、熱または光反応性のビニル化合物や感
光性樹脂などを含有してもよい。さらに、必要に応じ
て、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有
していてもよく、それらを配合した系でも本発明の効果
は十分に発揮される。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の
実施例によって限定されるものではない。なお、本発明
における各種の物性および特性の測定方法、定義は下記
のとおりである。また、実施例および比較例中、「部」
とあるのは「重量部」であり、さらに水以外のものにつ
いては固形分を示す。 (1)平均粒径 顕微鏡法で測定した等価球形分布における積算体積分率
50%の直径(粒径)を平均粒径とした。 (2)中心線平均粗さ(Ra) 日本工業規格JIS B0601に記載されている方法
に従い、(株)小坂研究所製 表面粗さ測定機(SE−
3F)を用いて、中心線平均粗さ(Ra)および最大高
さ(Rt)を求めた。使用した触針の半径は、2.0μ
m、荷重は30mgであり、カットオフ値は0.08m
mである。
【0019】(3)走行性 平滑なガラス板上に、幅15mm、長さ150mmに切
り出したフィルム同士を2枚重ね、その上にゴム板を載
せ、2枚のフィルム接圧を2g/cm2 として、20m
m/minでフィルム同士を滑らせて摩擦力を測定し、
5mm滑らせた点での摩擦係数を動摩擦係数として求め
た。なお、測定は、温度23℃±1℃、湿度50%±5
%の雰囲気下で行った。 (4)摩耗特性 硬質クロム製固定ピンにフィルムを接触させながら10
00m走行させ、硬質クロム製固定ピンに付着する摩耗
白粉を目視観察し、以下の○、△、×の3段階で評価し
た。なお、フィルム速度は13m/minとし、聴力は
約200g,ピンへのフィルムの巻き付け角度は135
°とした。 ○・・・白粉発生なし △・・・白粉発生量小 ×・・・白粉発生量大
【0020】(5)耐擦傷性 ポリエステルフィルムを硬質クロム製固定ピン(直径6
mm、表面粗さ3S)に巻き付け角135°、張力20
0gで接触させ、速度13m/minで100m走行さ
せた。次いで、ポリエステルフィルムの固定ピンとの接
触面にアルミニウムを蒸着し、傷の程度を目視判定し次
のランクに分けた。 ランク1・・・傷の量が多く又しばしば深い傷がある ランク2・・・傷の量が比較的多く所所深い傷がある ランク3・・・傷の量比較的少なく、深い傷はわずかで
ある ランク4・・・少し傷が認められるが、満足すべきレベ
ル ランク5・・・ほとんど傷がついていない (6)電磁気特性 ポリエステルフィルムの非コート面に、磁性微粉末20
0部、ポリウレタン樹脂30部、ニトロセルロース10
部、塩酢ビ共重合体10部、レシチン5部、シクロヘキ
サノン100部およびメチルエチルケトン300部をボ
ールミルにて48時間混合分散後、ポリイソシアネート
化合物5部を加えて得られた磁性塗料を乾燥後の膜厚を
5μmとなるよう塗布した後、塗料が十分乾燥固化する
前に磁気配向させ、次いで乾燥した。さらに、この塗布
フィルムをスーパーカレンダーにて表面処理を施し、1
/2インチ幅にスリットしてビデオテープとした。この
ビデオテープを松下電気(株)製NV−3700型ビデ
オデッキにより、常速にて下記の磁気テープ特性を評価
した。VTRヘッド出力(S/N比) シンクロスコープにより測定周波数4メガヘルツにおけ
るVTRヘッド出力を測定し、基準テープを0.0デシ
ベル(dB)とし、その相対値を(dB)を以下の基準
で判定した。 ○・・・+2dB以上 △・・・+0dB〜+2dB ×・・・+0dB以下ドロップアウト(DO)数 4、4メガヘルツの信号を記録したビデオテープを再生
し、大倉インダストリー(株)製ドロップアウトカウン
ターでドロップアウト数を約20分間測定し、1分間当
たりのドロップアウト数に換算した。
【0021】比較例1 ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール
60部および酢酸マグネシウム4水塩0.09部を加熱
昇温するとともにメタノールを留去してエステル交換反
応を行い、反応開始から4時間を要して230℃まで昇
温し、実質的にエステル交換反応を終了させた。次い
で、エチルアシッドホスフェート0.04部を添加し、
さらに、三酸化アンチモン0.04部を加えて重縮合反
応を行い、4時間30分後、極限粘度0.660のポリ
エチレンテレフタレートを得た。得られたポリエステル
を乾燥後、290℃で溶融押出し、無定形シートとし、
縦方向に90℃で3.5倍、横方向に110℃で3.7
倍延伸し、210℃で3秒間熱処理を行い、厚さ15μ
mのフィルムを得た。 比較例2 比較例1において、実質的にエステル交換反応が終了し
た時点で熱分解法より得られた平均粒径0.02μmの
酸化アルミニウム粒子を0.3部添加するほかは比較例
1と同様にしてポリエチレンテレフタレートフィルムを
得た。
【0022】比較例3 比較例1のポリエステルシートの縦延伸後、次に示す酸
化アルミニウム粒子含有塗料をバーコート法にて乾燥延
伸後の塗布厚さが0.05μmとなるように塗工し、次
いで比較例1と同様にして二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートフィルムを得た。酸化アルミニウム水分散体A 酸化アルミニウム粒子(熱分解法 平均粒径0.02μ
m)10.0部;アニオン系界面活性剤(サンノプコ製
SNディスパーサント5020)1.0部;水 8
9.0部酸化アルミニウム粒子含有塗料 酸化アルミニウム水分散体A 0.3部;ポリエステル
樹脂(互応化学製 プラスコートZ−461)9.7
部;水 90.0部
【0023】比較例4 比較例1のポリエステルシートの縦延伸後、次に示す酸
化アルミニウム粒子含有塗料をバーコート法にて乾燥延
伸後塗布厚さ0.05μmとなるように塗工し、次いで
比較例1と同様にして二軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルムを得た。酸化アルミニウム水分散体B 酸化アルミニウム粒子(熱分解法 平均粒径0.02μ
m)10.0部;カチオン系界面活性剤(第一工業製薬
製 ディスコール121)1.0部;水 89.0部酸化アルミニウム粒子含有塗料 酸化アルミニウム水分散体B 0.3部;ポリエステル
樹脂(互応化学製 プラスコートZ−461)9.7
部;水 90.0部
【0024】比較例5 比較例1のポリエステルシートの縦延伸後、次に示す酸
化アルミニウム粒子含有塗料をバーコート法にて乾燥延
伸後の塗布厚さが0.05μmとなるように塗工し、次
いで比較例1と同様にして二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートフィルムを得た。酸化アルミニウム水分散体C 酸化アルミニウム粒子(熱分解法 平均粒径0.02μ
m)10.0部;カチオン系界面活性剤(第一工業製薬
製 ディスコール121)0.1部;水 89.9部酸化アルミニウム粒子含有塗料 酸化アルミニウム水分散体C 0.3部;ポリエステル
樹脂(互応化学製 プラスコートZ−461)9.7
部;水 90.0部
【0025】実施例1 比較例1のポリエステルシートの縦延伸後、次に示す酸
化アルミニウム粒子含有塗料をバーコート法にて乾燥延
伸後の塗布厚さが0.05μmとなるように塗工し、次
いで比較例1と同様にして二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートフィルムを得た。酸化アルミニウム水分散体D 酸化アルミニウム粒子(熱分解法 平均粒径0.02μ
m)10.0部;カチオン系界面活性剤(第一工業製薬
製 ディスコール121)0.01部;アニオン系界面
活性剤(サンノプコ製 SNディスパーサント502
0)2.0部;水87.99部酸化アルミニウム粒子含有塗料 酸化アルミニウム水分散体D 0.3部;ポリエステル
樹脂(互応化学製プラスコートZ−461)9.7部;
水 90.0部
【0026】実施例2 実施例1において、酸化アルミニウム粒子含有塗料を次
に示すものに変えるほかは実施例1と同様にして二軸延
伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。 酸化
アルミニウム水分散体E 酸化アルミニウム粒子(熱分解法 平均粒径0.02μ
m)10.0部;カチオン系界面活性剤(第一工業製薬
製 ディスコールE−420)0.1部;アニオン系界
面活性剤(サンノプコ製 ノプコサント RFA)1.
0部;水 88.9部酸化アルミニウム粒子含有塗料 酸化アルミニウム水分散体E 0.3部;ポリエステル
樹脂(互応化学製 プラスコートZ−461)9.7
部;水 90.0部
【0027】実施例3 実施例1において、酸化アルミニウム粒子含有塗料を次
に示すものに変えるほかは実施例1と同様にして二軸延
伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。 酸化
アルミニウム水分散体F 酸化アルミニウム粒子(熱分解法 平均粒径0.02μ
m)10.0部;カチオン系界面活性剤(第一工業製薬
製 ディスコールE−420)0.1部;ノニオン系界
面活性剤(三洋化成製 ノニポール 200)3.0
部;水 86.9部酸化アルミニウム粒子含有塗料 酸化アルミニウム水分散体F 0.3部;ポリエステル
樹脂(互応化学製プラスコートZ−461)9.7部;
水 90.0部以上、得られた結果をまとめて下記表1
に示す。
【0028】
【表1】
【0029】本発明の要件を満たす実施例1〜3のフィ
ルムはいずれも走行性耐摩耗性に優れ、特に耐擦傷性に
優れるので電磁気特性において高度に満足すべきレベル
にある。これに対し、比較例1は、アルミナ(酸化アル
ミニウム)粒子含有コート層を有しないので耐擦傷性が
悪く、磁気テープとした場合の電磁気特性に劣る。比較
例2はポリエチレンテレフタレートフィルムの内部粒子
にアルミナ粒子を用いた場合の例であるが、この場合は
耐擦傷性が改良された。しかし走行性が不十分で電磁気
特性が満足できるほど改良できていない。またこの方法
は前記したようにコスト的に有利な方法とは言えない。
比較例3〜5は、アルミナ粒子の分散剤にカチオンある
いはアニオン単独で使用した場合であるが、この場合は
粒子の分散が不十分であったり、水性樹脂との配合安定
性が悪化するため満足な結果が得られない。
【0030】
【本発明の効果】本発明のフィルムは、優れた耐摩耗性
および耐擦傷性を有するものであり、その工業的価値は
高い。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、該ポリエステルフィルムの製膜工程内で設けられた
    塗布層を有し、かつ、該塗布層が、固形分比で0.00
    01〜0.05倍量のカチオン系界面活性剤および0.
    01〜0.5倍量のノニオンまたはアニオン系界面活性
    剤によって処理された平均粒径1μm以下の酸化アルミ
    ニウム水分散体を0.1〜50重量%含有する水性塗料
    からなることを特徴とするポリエステルフィルム。
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