JPH06297661A - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステルフィルム

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JPH06297661A
JPH06297661A JP5086397A JP8639793A JPH06297661A JP H06297661 A JPH06297661 A JP H06297661A JP 5086397 A JP5086397 A JP 5086397A JP 8639793 A JP8639793 A JP 8639793A JP H06297661 A JPH06297661 A JP H06297661A
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JP
Japan
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particles
film
polyester film
coating layer
acid
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JP5086397A
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English (en)
Inventor
Seiji Sakamoto
征二 坂本
Yuzo Otani
雄三 大谷
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Diafoil Co Ltd
Original Assignee
Diafoil Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気記録媒体として、優れた走行性、電磁変
換特性および耐摩耗性を与えるポリエステルフィルムを
提供する。 【構成】 ポリエステルフィルムの少くとも片面に該ポ
リエステルフィルムの製膜工程内で設けられた塗布層を
有し、該塗布層が(A)平均粒径が1μm以下の酸化ア
ルミニウム粒子、および(B)平均粒径が(A)のそれ
よりも大きくかつ0.05〜2μmの範囲にある炭酸カ
ルシウム、二酸化ケイ素および耐熱性有機粒子から選ば
れた一種以上の粒子を所定量含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体として、
優れた走行性、電磁変換特性および耐摩耗性を与えるポ
リエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、本発明
はテープ走行時の滑り性に優れ、擦り傷や摩耗粉の発生
が極めて少なく、ドロップアウトの発生が抑制された高
密度磁気記録用に適したベースフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
エステルフィルムは、物理的、化学的特性に優れ、産業
用基材として広く用いられている。このなかでも二軸配
向ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびポリエチ
レンナフタレートフィルムは、特に機械的強度、寸法安
定性、平面性等に優れることから、磁気記録媒体のベー
スフィルムとして今や必要不可欠なものとなっている。
【0003】ところで、これらのフィルムを実際に取り
扱うに際しては走行性、さらには耐摩耗性が要求される
が、従来このことは十分には達成されていなかった。す
なわち、フィルムと基材、例えば金属ピンとが高速で接
触すると両者の間の摩擦、摩耗が大きくなり、フィルム
に擦り傷が発生したり、摩耗粉が生成するようになる。
【0004】本発明者らはこの耐摩耗性の改良につき鋭
意検討を行った結果、フィルム表面に酸化アルミニウム
粒子を含む塗布層を形成する方法を提案した。しかしな
がら本発明者らはかかる方法はフィルムの摩耗特性を改
良するためには極めて有効ではあるものの、フィルム走
行性および磁気記録媒体製造時のカレンダー工程等の熱
処理工程における粘着性の防止の点において、まだ不十
分であることを知見した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者らはかかる問
題点の解決に意を致した結果、酸化アルミニウム粒子に
加えある特定の粒子を特定量配合した塗膜を形成するな
らばこれらの問題点が一挙に解決できることを知見し、
本発明を完成するに至った。すなわち本発明の要旨は、
ポリエステルフィルムの少くとも片面に該ポリエステル
フィルムの製膜工程内で設けられた塗布層を有し、該塗
布層が(A)平均粒径が1μm以下の酸化アルミニウム
粒子、および(B)平均粒径が(A)のそれよりも大き
くかつ0.05〜2μmの範囲にある炭酸カルシウム、
二酸化ケイ素および耐熱性有機粒子から選ばれた一種以
上の粒子を下記式(1)〜(3)を同時に満足する条件
で含有することを特徴とする磁気記録媒体用二軸延伸ポ
リエステルフィルムに存する。
【0006】0.1≦Wa≦50 …(1) 5≦Wb≦50 …(2) 0.1≦Wb/Wa≦20 …(3) (Wa,Wbは各々塗布層中の粒子A、粒子Bの含有率
(重量%)を示す) 以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0007】本発明でいうポリエステルとは、テレフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸のような芳香族
ジカルボン酸またはそのエステルと、エチレングリコー
ルを主たる出発原料として得られるポリエステルを指す
が、他の第三成分を含有していても構わない。この場
合、ジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、
テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジ
ピン酸およびセバシン酸等を用いることができる。また
グリコール成分としては、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノールおよびネオペンチルグリコール等を
用いることができる。いずれにしても、本発明でいうポ
リエステルとは、繰り返し構造単位の80%以上がエチ
レンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフ
タレート単位を有するポリエステルを指す。
【0008】また、本発明のポリエステルフィルムと
は、かかるポリエステルを出発原料とするポリエステル
フィルムを指すが、その製造方法としては公知の方法を
採用することができる。例えば、270〜320℃でシ
ート状に溶融押出しした後、40〜80℃で冷却固化
し、無定形シートとした後、80〜150℃で縦、横方
向に面積倍率で4〜20倍となるよう逐次二軸延伸ある
いは同時二軸延伸し、160〜250℃で熱処理する方
法(例えば特公昭30−5639号公報記載の方法)を
利用することができる。縦および横方向の延伸は、各一
段で延伸してもよく、必要に応じ、多段で延伸したり、
多段延伸の間に配向緩和のための熱処理区間を設けたり
することもできる。また、二軸延伸後、次工程の熱処理
工程に供する前に再度延伸してもよい。この再延伸は、
縦横いずれの方向に行うこともできる。
【0009】本発明においては少くとも2種類の粒子
(A)および(B)を含む塗布液をポリエステルフィル
ムの製造工程内において少くともフィルムの片面に塗布
するが、この場合、粒子(A)、すなわち酸化アルミニ
ウムの一次粒子の平均粒径は1μm以下、好ましくは
0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下であ
る。
【0010】酸化アルミニウムは良く知られているよう
に、通常ジブサイト、バイアライト、ベーマタイト等の
アルミナ水和物を加熱分解することによって得られる
が、このときの原料の種類、加水分解条件、特に温度条
件によりα型をはじめβ、γ、κ、ο、δ、η、χ、ρ
型等の10種類近い異なる結晶型を有する酸化アルミニ
ウムが生成する。また、塩化アルミニウムを酸水素炎中
で燃焼加水分解する方法によっても酸化アルミニウムを
得ることができるが、この場合、処理条件によってα、
γ、δ等の各種の結晶型の酸化アルミニウムが得られ
る。
【0011】これらの酸化アルミニウムは各々特有の性
状を有しており、例えばα型は比表面積が小さく、ほと
んど触媒活性を示さないのに対し、γ型やη型は通常1
50〜300m2 /g程度の比表面積を有し、高い触媒
活性を有している。また、それぞれの結晶型によって密
度も約2.5〜4g/cm2 まで変わり得るし、硬度も
微妙に変化する。
【0012】本発明においては酸化アルミニウムの中で
も特にガンマ(γ)型、デルタ(δ)型およびシータ
(θ)型酸化アルミニウムから選ばれた酸化アルミニウ
ムを用いると特に顕著な効果が発揮される。酸化アルミ
ニウムを配合した塗布層は、金属性ピンあるいはプラス
チック製のガイドロールやピンのいずれとの接触におい
てもほとんど摩耗粉を発生することがなく、極めて耐擦
傷性、耐摩耗性に優れている。さらに、かかる酸化アル
ミニウムを塗布層のみに有したフィルムは、フィルム中
に配合されたフィルムに比べ、スリット時のスリット刃
の摩耗速度が著しく軽減される。このスリット刃の摩耗
速度が軽減される理由については、恐らくかかる酸化ア
ルミニウムをフィルムの表層部のみに集中させることに
よりフィルム全体に対する粒子の使用量が、従来のフィ
ルム中に配合させる場合に比べ0.05〜0.2倍程度
と著しく減少させることができたためと考えられる。
【0013】これらの酸化アルミニウムを用いた場合に
かかる効果、特に優れた耐摩耗性が発現される理由は定
かではないが、恐らく該粒子の有機バインダーに対する
馴染みの良いこと、および硬度が適度であることが主な
理由と思われる。これらの酸化アルミニウムの中でも特
に好ましく用いられるδ型の結晶型の酸化アルミニウム
は、一般に塩化アルミニウムを高度に火焔加水分解する
ことによって得ることができるが、その平均粒径は0.
1μmm以下として得られることが多いので好都合であ
る。
【0014】本発明においてはかかる酸化アルミニウム
粒子を1次粒子まで分散させて使用することが好ましい
が、フィルムの表面状態に悪影響を及ぼさない限り、多
少凝集した二次粒子として挙動しても差し支えない。た
だし、この場合も見かけ上の平均粒径が0.5μmm以
下が好ましく用いられる。なお本発明においては、塗布
層に配合する酸化アルミニウムの70重量%以上、好ま
しくは90重量%以上がγ型、δ型またはθ型のそれで
あれば所望の効果を十分に発揮することができる。
【0015】ところで本発明においては粒子(A)のみ
ではしばしば滑り性が不足し磁気記録媒体用のベースフ
ィルムとしては不適切なものとなり、またロール状に巻
き重ねた場合往々にして塗膜と反対面の磁性層との間に
粘着が生じるので、第2の粒子(B)を併用し、これら
の特性を改善する。粒子(B)としては平均粒径が粒子
(A)のそれより大きくかつ0.05〜2μmの範囲に
ある炭酸カルシウム、二酸化ケイ素および耐熱性有機粒
子から選ばれた一種以上の粒子を用いる。
【0016】これらの粒子はいかなる方法で得られたも
のでもよく、その結晶構造等も特に制限はない。すなわ
ち、炭酸カルシウム粒子としては天然品を粉砕したもの
でも合成品でもよく、またその結晶構造はカルサイト
型、バテライト型、アラゴナイト型のいずれであっても
よい。また二酸化ケイ素粒子はいわゆる湿式法、乾式法
のいずれによるものでもよく、特にアルコキシシランの
加水分解法による粒径の揃った粒子が好ましく採用され
る。
【0017】耐熱性有機粒子としては、例えば特公昭5
9−5216号公報に記載されているような分子中に唯
一個の脂肪族の不飽和結合を有するモノビニル化合物と
架橋剤として分子中に二個以上の脂肪族の不飽和結合を
有する化合物との共重合体を例示することができる。こ
の共重合体のより具体的な例としては、例えば特開昭5
9−217755号公報に記載されているような乳化重
合法による単分散性の粒子を挙げることができる。
【0018】耐熱性有機粒子としては、このほか、例え
ば、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、
熱硬化性尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂あるいはポリ
テトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂の微粉体
を挙げることもできる。いずれにしても本発明でいう耐
熱性有機粒子とは塗布後の製膜工程における加熱を経て
も溶解等が実質的に起こらず、いわゆる配合粒子として
機能し得るものを指す。
【0019】本発明において用いる粒子(B)の平均粒
子は、粒子(A)のそれより大きくかつ0.05μm以
上でなければならない。この条件が満されないとフィル
ムの走行性が改良されない。一方粒子(B)の平均粒径
が2μmを越えると粗大突起が頻発するようになり、磁
気記録媒体としたときに電磁気特性が悪化する。また、
本発明においては塗布層中の粒子(A)の含有率(W
a)は0.1〜50重量%、好ましくは1〜40重量
%、さらに好ましくは2〜30重量%である。この値が
0.1重量%未満では耐擦傷性が改良されず、また50
重量%を超えると塗布層の機械的強度やベースのポリエ
ステルフィルムとの接着性が悪化する。
【0020】塗布層中の粒子(B)の含有率(Wb)は
5〜50重量%、好ましくは7〜45重量%、さらに好
ましくは10〜40重量%である。この値が5%未満で
は走行性が改良されないし、また逆にこの値が50重量
%を超えると、塗布層表面に粗大突起が頻発するように
なりドロップアウトが増加してしまう。また本発明にお
いて、粒子(B)および粒子(A)の含有率比(Wb/
Wa)は0.1〜20、好ましくは0.3〜10、さら
に好ましくは2〜8である。Wb/Waの値が0.1未
満では走行性や粘着防止が改良されないし、また20を
超えると耐擦傷性の効果が低下するようになるしドロッ
プアウトが増加する。
【0021】なお本発明においては粒子(A),(B)
の粒度分布は特に限定されないが、よりシャープなも
の、具体的には粒径の小さい方から積算した場合、重量
分率75%と25%の粒径の比が2.0以下、さらには
1.5以下のものが好ましい。また、これらの粒子の形
状についても特に制限はないが、通常、塊状もしくは球
状に近いものが好ましく用いられる。具体的には、例え
ば特公昭53−14583号公報に定義してある体積形
状が0.1〜π/6、さらには0.2〜π/6であるよ
うな粒子が好ましい。
【0022】また、用いる粒子の比表面積においても特
に制限はない。例えば、平均粒径0.5μm、密度2g
/cm2 の真球の粒子は6m2 /g程度の比表面積を有
するが、500m2 /g程度のポーラスなものまで好適
に使用できる。なお、これらの粒子は水性塗料との親和
性を改良する等の目的で、各種の表面処理剤でその表面
が変成されていてもよい。
【0023】本発明においてはこれらの粒子及び水性樹
脂を含む塗布液をポリエステルフィルムの製造工程中
(通常縦延伸工程終了後、横延伸工程開始前が好ましく
用いられる)少くともその片面に塗布し、乾燥させて塗
膜を形成する。本発明の塗布層のバインダーには、水性
樹脂を用いるが、ここでいう水性樹脂とは、ポリエステ
ルフィルムの表面に塗工された後の磁気記録材料の製造
工程や、磁気記録材料に加工された後の高温高湿下の使
用環境に耐えうる耐熱性、耐湿性を有し、また、この層
を下塗り層として磁性層やバックコート層などの上塗り
層が塗られる場合にはその層との接着性に優れる樹脂で
あり、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリスチレ
ン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレ
ート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニ
ルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリウレタンな
どの樹脂およびこれらの樹脂の共重合体や混合体などの
中から選ぶことができるが、これらに限定されるもので
はない。これらの中で最も好ましい樹脂は、ポリエステ
ル系樹脂である。
【0024】かかるポリエステル系樹脂を構成する成分
として下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキ
シ化合物を例示できる。すなわち、多価カルボン酸とし
ては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、
フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5
−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カ
リウムスルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフ
タル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデ
カンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリッ
ト酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル
酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリ
ウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用い
ることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレ
ングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3
−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチル
グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p
−キシリレングリコール、ビスフェノールA−エチレン
グリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテ
トラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピ
オン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチ
ロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロ
ピオン酸カリウムなどを用いることができる。
【0025】通常、これらの化合物の中から、それぞれ
適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエ
ステル系樹脂を合成する。なお、上記のほか、特開平1
−165633号公報に記載されている、いわゆるアク
リルグラフトポリエステルや、ポリエステルポリオール
をイソシアネートで鎖延長したポリエステルポリウレタ
ンなどのポリエステル成分を有する複合高分子も本発明
で用いるポリエステル系樹脂として好適に使用し得る。
【0026】本発明における水性樹脂は、水を70wt
%以上含有する液体を媒体とし、界面活性剤などによっ
て強制分散化した塗布剤であってもよいが、好ましくは
ポリエーテル類のような親水性のノニオン成分や、四級
アンモニウム塩のようなカチオン性基を有する自己分散
型塗布剤であり、さらに好ましくは、アニオン性基を有
する水溶性または水分散性樹脂塗布剤である。
【0027】アニオン性基を有する樹脂とは、アニオン
性基を有する化合物を共重合やグラフトなどにより樹脂
に結合させたものであり、スルホン酸、カルボン酸、リ
ン酸およびそれらのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウ
ム塩、アンモニウム塩等から適宜選択される。アニオン
性基の塗料固形分に対する割合は、0.05〜8重量%
の範囲が好ましい。アニオン性基量が0.05重量%未
満では樹脂の水溶性あるいは水分散性が悪くなる場合が
あり、アニオン性基量が8重量%を超えると、塗布層の
耐水性や吸湿性の点で問題が生じることがある。
【0028】本発明における塗布層を得るための塗布液
には、塗布層の固着性(ブロッキング性)、耐水性、耐
溶剤性、機械的強度の改良のために、架橋剤としてメチ
ロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン
系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系な
どの化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ブロ
ックポリイソシアネート、シランカップリング剤、チタ
ンカップリング剤、ジルコ−アルミネート系カップリン
グ剤、過酸化物、熱または光反応性のビニル化合物や感
光性樹脂などを含有してもよい。
【0029】さらに、必要に応じて、消泡剤、塗布性改
良剤、増粘剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよく、そ
れらを配合した系でも本発明の効果は十分に発揮され
る。本発明の塗布層の厚さは0.01〜1μmの範囲か
ら選択することが好ましい。塗布層の膜厚が0.01μ
m以下ではポリエステルフィルム中の大粒子の脱落防止
効果が発揮できない恐れや塗膜強度が低下し塗膜自体の
脱落を招く恐れがあり、1μmを超えると走行性やブロ
ッキング性が悪化することがある。
【0030】本発明の塗布フィルムの塗布層が片面に塗
布された場合は、通常、塗布層の反対側に磁性層が設け
られる。本発明のフィルムはビデオテープ用のベースフ
ィルムとして賞用されるほか、オーディオ用のそれとし
て用いた場合にも特に効果を発揮し得る。すなわち、か
かる分野においては、最近ダブルラジカセ、コンポステ
レオ等、従来の2倍以上の高速ダビング機能を登載した
機種が普及するようになった結果、ダビング工程および
早送り、巻戻しの際、テープと基材がより高速で接触す
るようになったが、この場合、本発明の効果が有効に発
揮される。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の
実施例によって限定されるものではない。なお、本発明
における各種の物性および特性の測定方法、定義は下記
のとおりである。また、実施例および比較例中、「部」
とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測
定法は以下のとおりである。
【0032】(1)平均粒径 塗布層中の粒子の粒径は塗布層断面を透過電子顕微鏡で
観察することにより求めた。平均粒径は等価球換算値の
積算体積分率50%の直径を平均粒径とした。乾粉につ
ていも同様な操作を行って、平均粒径を求めた。
【0033】(2)中心線平均粗さ(Ra) (株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を
用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面
曲線からその中心線方向に基準長さL(2.5mm)の
部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦
倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表した
とき、次の式で与えられた値を〔μm〕で表す。中心線
平均粗さは、試料フィルム表面10本の断面曲線を求
め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線
平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2
μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08m
mとした。
【0034】
【数1】
【0035】(3)走行性 平滑なガラス板上に、幅15mm、長さ150mmに切
り出したフィルム同士を2枚重ね、その上にゴム板を載
せ、さらにその上に荷重を載せ、2枚のフィルムの接圧
を2g/cm2 として、20mm/minでフィルム同
士を滑らせて塗布面と非塗布面との摩擦力を測定した。
5mm滑らせた点での摩擦係数を動摩擦係数(F/F
μd)とし、走行性の評価とした。
【0036】(4)摩耗特性 硬質クロム製固定ピンにフィルムの塗布面を接触させな
がら1000m走行させ、硬質クロム製固定ピンに付着
する摩耗白粉を目視観察し、以下のA、B、Cの3段階
で評価した。なお、フィルム速度は13m/minと
し、張力は約200g、ピンへのフィルムの巻き付け角
度は135°とした。 A…白粉発生なし B…白粉発生量小 C…白粉発生量大
【0037】(5)耐擦傷性 ポリエステルフィルムを塗布面が接するように硬質クロ
ム製固定ピン(直径6mm、表面粗さ3S)に巻き付け
角135度、張力200gで接触させ、速度13m/m
inで100m走行させた。
【0038】次いでポリエステルフィルムの固定ピンと
の接触面にアルミニウムを蒸着し、傷の程度を目視判定
し、次のランクに分けた。 A…ほとんど傷がついていない B…少し傷が認められるが、満足すべきレベル C…傷の量比較的少なく、深い傷はわずかである D…傷の量が比較的多く、所々深い傷がある E…傷の量が多く、しばしば深い傷がある
【0039】(6)巻き特性 ロール状に巻き上げた際のフィルムロール端面の外観を
以下のように判定した。 A…端面が揃っているもの B…端面が少し不揃いのもの C…端面が著しく不揃いのもの
【0040】(7)電磁気特性 まず、次に示す磁性塗料をポリエステルフィルムの非コ
ート面に塗布し、乾燥後の膜厚が5μmとなるよう磁性
層を形成した。すなわち、磁性微粉末200部、ポリウ
レタン樹脂30部、ニトロセルロース10部、塩酢ビ共
重合体10部、レシチン5部、シクロヘキサノン100
部およびメチルエチルケトン300部をボールミルにて
48時間混合分散後、ポリイソシアネート化合物5部を
加えて磁性塗料とし、これをポリエステルフィルムに塗
布した後、塗料が十分乾燥固化する前に磁気配向させ、
次いで乾燥した。さらに、この塗布フィルムをスーパー
カレンダーにて表面処理を施し、1/2インチ幅にスリ
ットしてビデオテープとした。このビデオテープを松下
電気(株)製NV−3700型ビデオデッキにより常速
にて下記の磁気テープ特性を評価した。
【0041】VTRヘッド出力 シンクロスコープにより測定周波数4メガヘルツにおけ
るVTRヘッド出力を測定し、基準テープを0.0デシ
ベル(dB)とし、その相対値を(dB)を測定した。 ドロップアウト(DO)数 4.4メガヘルツの信号を記録したビデオテープを再生
し、大倉インダストリー(株)ドロップアウトカウンタ
ーでドロップアウト数を約20分間測定し、1分間当た
りのドロップアウト数に換算した。
【0042】(8)カレンダーロール粘着性 ポリエステル樹脂ロールおよびハードクロムメッキロー
ルを有するカレンダーロールに塗布層がポリエステル樹
脂ロールに接するようにポリエステルフィルムを通紙し
100℃、線圧200Kgf/cm、速度20m/Se
cの条件で200m通過させた。この時の塗布層とポリ
エステル樹脂ロールとの粘着性を観察し、以下の基準で
評価した。 A…全く粘着せず、最後までスムースな走行をした。 B…フィルム、樹脂ロール間で弱い粘着が認められる。 C…フィルム、ロールの粘着がひどく、離れぎわでビリ
ビリ音がしたり、フィルムが蛇行する。
【0043】実施例1 ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール
60部および酢酸マグネシウム4水塩0.09部を加熱
昇温するとともにメタノールを留去してエステル交換反
応を行い、反応開始から4時間を要して230℃まで昇
温し、実質的にエステル交換反応を終了させた。次い
で、エチルアシッドホスフェート0.04部を添加し、
さらに、三酸化アンチモン0.04部を加えて重縮合反
応を行い、4時間30分後、極限粘度0.660のポリ
エチレンテレフタレートを得た。
【0044】得られたポリエステルを乾燥後、290℃
で溶融押出し、無定形シートとし、縦方向に90℃で
3.5倍延伸した。次いで該フィルムの片面に次に示す
粒子を含有した塗布液をバーコート法にて延伸乾燥後の
塗布厚みが0.10μmとなるよう塗工した。
【表1】 塗布液 (重量部) 酸化アルミニウム粒子(δ型、平均粒径0.02μm) 0.3 合成法炭酸カルシウム粒子(カルサイト型、平均粒径0.1μm) 2.4 ポリエステル樹脂 7.3 水 90.0
【0045】次に横方向に110℃で3.7倍延伸し、
210℃で3秒間熱処理を行い、厚さ15μmのフィル
ムを得た。得られたフィルムの評価結果を他の実施例お
よび比較例のそれとともに下記表−1に示す。
【0046】実施例2,3及び比較例1〜3 表−1に示すように塗布剤の条件を変えるほかは実施例
1と同じ条件で塗布層を有するフィルムを製造し、その
評価を行った。
【0047】
【表2】
【0048】本発明の要件を満すフィルムはいずれも優
れたフィルム特性を有し、磁気記録媒体のベースフィル
ムとして好適に使用することができる。これに対し比較
例1は粒子(B)を併用しない場合の例であるが、走行
性や巻き特性、カレンダー粘着の点において難があり、
磁気テープ化後の特性も見劣りする。また比較例2は粒
子(B)の配合量が多すぎる場合の例であるが、カレン
ダー粘着性や磁気テープ特性の点において不十分であ
る。比較例3は塗布層中の粒子(A)の含有量が本発明
の必要量に満たない場合の例であるが、摩耗特性、耐摩
耗性や磁気テープ特性において不十分な結果しか得られ
なかった。
【0049】
【発明の効果】本発明のフィルムは優れた表面特性を有
し、特に磁気記録媒体用のベースフィルムとして好適で
あり、その工業的価値は高い。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00 4F

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少くとも片面に
    該ポリエステルフィルムの製膜工程内で設けられた塗布
    層を有し、該塗布層が(A)平均粒径が1μm以下の酸
    化アルミニウム粒子、および(B)平均粒径が(A)の
    それよりも大きくかつ0.05〜2μmの範囲にある炭
    酸カルシウム、二酸化ケイ素および耐熱性有機粒子から
    選ばれた一種以上の粒子を下記式(1)〜(3)を同時
    に満足する条件で含有することを特徴とする磁気記録媒
    体用二軸延伸ポリエステルフィルム。 0.1≦Wa≦50…(1) 5≦Wb≦50…(2) 0.1≦Wb/Wa≦20…(3) (Wa,Wbは各々塗布層中の粒子A、粒子Bの含有率
    (重量%)を示す)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002509967A (ja) * 1998-03-30 2002-04-02 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー ポリエステルフィルムに向けたコーティング樹脂中の多孔性粒子

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JP2002509967A (ja) * 1998-03-30 2002-04-02 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー ポリエステルフィルムに向けたコーティング樹脂中の多孔性粒子

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